参考資料 学校評議員制度等の設置状況(平成16年7月1日現在調査結果)

1 調査の目的と方法

 平成12年1月の学校教育法施行規則の改正により、地域住民の学校運営への参画の仕組みを制度的に位置付けるものとして、同年4月から学校評議員制度が導入されている。また、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正により、平成16年9月から保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って運営に直接参画する学校運営協議会の設置が可能となったところである(いわゆるコミュニティ・スクールの制度化)。これらの取組や制度改正を受けて、保護者や地域住民等の学校運営への参画が、より一層多様かつ充実したものとなることが期待される。
 こうした背景をふまえ、学校評議員制度等による地域住民の学校運営参加の状況を把握するため、第6回目の全国調査を実施した。なお、今回は、学校評議員制度、学校評議員類似制度(注1)に加え、「その他の地域参加制度」(注2)という分類を新たに設けるとともに、「学校運営協議会制度」の今後の設置検討状況について調査を行った。

【学校評議員制度の概要】 《根拠:学校教育法施行規則第23条の3等》

(1)設置

  • 学校評議員は、設置者の判断により、学校に置くことができる。
  • 学校評議員の人数や任期など具体の在り方は、設置者が定める。

(2)権限

  • 学校評議員は、校長の求めに応じ、校長が行う学校運営に関し、意見を述べることができる。
  • 学校評議員に意見を求める事項は、校長が判断する。

(3)委嘱

  • 学校評議員は、校長の推薦により、設置者が委嘱する。
  • 学校評議員には、当該学校の職員以外で、教育に関する理解と識見のある者から委嘱する。

【学校運営協議会制度の概要】《根拠:地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5》

(1)設置

  • 学校運営協議会は、学校を設置する地方公共団体の教育委員会の判断により、指定する学校ごとに置くことができる。

(2)権限

  • 学校運営協議会は、大きく、1.校長の策定する学校運営の基本的な方針を承認する権限、2.当該学校の教職員の任用に関して意見を述べる権限を持っている。

(3)任命

  • 学校運営協議会の委員は、保護者や地域住民の中から、学校運営協議会を設置する地方公共団体の教育委員会が任命する。

 

  • (注1)「学校評議員類似制度」とは、その趣旨や目的(開かれた学校づくりを目指して地域や保護者の意見を校長が聞く制度)が学校評議員とほぼ同じ制度のうち、委員の委嘱を教育委員会ではなく学校単位で行っているなど学校評議員制度の要件を一部満たしていない制度。
    <例>
    • 教育委員会ではなく校長が委嘱を行う。
    • 当該学校の教職員や児童生徒に委嘱している。
  • (注2)「その他の地域参加制度」とは、その趣旨や目的が学校評議員とほぼ同じ制度のうち、学校や教育委員会が、地域住民や保護者に学校の教育活動などについての意見を述べる機会を設定しているものの、意見者を特定の委員として任命することがないなど、任命・委嘱が行われない制度。

調査対象

 全ての都道府県・市町村教育委員会および国立大学附属学校

調査基準日

 平成16年7月1日

回収率

 100%

調査方法

 各教育委員会及び各国立大学の担当課が回答するアンケート方式(下線部は、今回新規に実施したもの)

2 調査結果の概要

(1)学校評議員(類似制度を含む)を置く学校

学校評議員(類似制度を含む)設置校

  • 公立学校 31,231校(72.0%)〔前回27,287校(62.4%)〕
  • 国立学校 258校(97.4%)【図表1、2】
  • 学校種別(公立学校):
    • 幼稚園 23.9%〔前回15.4%〕、小学校 77.2%〔前回66.7%〕
    • 中学校 78.6%〔前回69.1%〕、高等学校 86.9%〔前回79.9%〕
    • 盲・聾・養護学校 85.2%〔前回79.1%〕【図表1】
      • 都道府県及び指定都市立学校・・・一部の地域を除き設置率は100%に近い。【図表6】
      • 市(指定都市を除く)町村立学校・・・地域による偏りはあるもののそれぞれの制度が活用されている。【図表7】
      • 都道府県・指定都市別の公立学校での設置状況は、特に幼稚園、小学校において相当のばらつきが見られる。【図表8】

(2)学校評議員からの意見聴取方法(※類似制度を除く)

  • 校長が、学校運営に関して学校評議員に意見を聴取する方法としては、公立学校の94.3%(国立学校では99.2%)で、意見を聞くための会合を開催しており、年間の会合開催回数については2~3回とする学校が多数を占めている。【図表3】

(3)学校評議員からの意見聴取事項、活動内容について(※類似制度を除く)

意見聴取事項や期待される活動内容

  • 地域との連携協力(公立92.3%、国立77.9%)
  • 学校の基本的な目標・方針の決定(公立82.7%、国立89.9%)
  • 学校評価(公立75.1%、国立79.5%)
  • 生徒指導・進路指導(公立72.5%、国立72.9%) 【図表4】

(4)学校評議員における課題(※類似制度を除く)

学校評議員運用上の課題

  • 意見の活用(公立49.0%、国立76.1%)
  • 評議員の適材の確保(公立40.6%、国立77.6%)
  • 評議員等を通した地域との連携(公立30.3%、国立87.9%) 【図表5】

(5)学校運営協議会制度の設置検討状況について

 学校運営協議会の設置が検討されている対象校は合計で67校となっている。

学校運営協議会の設置が検討されている対象校は合計で67校となっている。

 今回の調査は制度改正前の平成16年7月1日を基準に実施したものであり、各教育委員会における調査基準日以後の検討状況は反映していない。今後、学校運営協議会導入校の実績が広く発信されることなどを通じて、制度についての理解が進み、各地で積極的な取組が推進されることがのぞまれる。特に、学校評議員制度について十分な活用の実績を有する教育委員会においては、将来的に学校運営協議会への移行へ向けた積極的な検討が進められることが期待される。

参考

 詳細は、文部科学省ウェブサイト、以下を参照。

  • 学校評議員制度等の設置状況(平成16年7月1日現在調査結果)
  • 公立学校における学校評議員及び類似制度の設置状況(平成15年7月1日現在調査結果) ※ 前回調査

お問合せ先

生涯学習政策局政策課