地方教育行政部会(第6回) 議事録

1.日時

平成16年7月1日(木曜日) 14時~16時

2.場所

グランドアーク半蔵門 「華」(3階)

3.議題

  1. 「地方分権時代における教育委員会の在り方について」委員の意見表明及び自由討議
  2. その他

4.出席者

委員

 鳥居部会長、國分副部会長、茂木副会長、浅見委員、田村委員、渡久山委員、山本委員、吾妻委員、池端委員、稲田委員、大澤委員、小川委員、門川委員、北城委員、佐藤委員、千代委員、土屋委員、藤田委員、宮崎委員、森田委員、八代委員

文部科学省

 結城文部科学審議官、田中生涯学習政策局長、藤田生涯学習政策局審議官、月岡生涯学習総括官、久保生涯学習政策局政策課長、前川初等中等教育企画課長、山田生涯学習企画官、角田初等中等教育企画課課長補佐(その他関係官)

5.議事録

午後2時 開会

○ 鳥居部会長
 それでは、定刻でございますので、ただいまから中央教育審議会地方教育行政部会、第6回目になりますが、開催をさせていただきます。
 皆様、お忙しいところを御参集賜りましてありがとうございます。
 会を始めます前に、事務局に異動がございましたので、御紹介をいただきたいと思います。
 山田生涯学習企画官からどうぞお願いします。

○ 山田生涯学習企画官
 それでは、本日7月1日付で、事務局のほうに異動がございましたので、出席しております者につきまして御紹介させていただきます。
 初等中等教育局長といたしまして、銭谷が生涯学習政策局長より異動となっております。

○ 銭谷初等中等教育局長
 銭谷でございます。よろしくお願いいたします。

○ 山田生涯学習企画官
 生涯学習総括官といたしまして、月岡が国立教育政策研究所教育課程研究センター長より異動となっております。

○ 月岡生涯学習総括官 どうぞよろしくお願いいたします。

○ 山田生涯学習企画官
 社会教育課長といたしまして、竹下が教職員課長より異動となっております。

○ 竹下社会教育課長 竹下でございます。よろしくお願いいたします。

○ 山田生涯学習企画官
 初等中等教育企画課長といたしまして、前川が財務課長より異動となっております。

○ 前川初等中等教育企画課長 前川でございます。よろしくお願いいたします。

○ 山田生涯学習企画官
 なお、田中生涯学習政策局長と久保政策課長につきましては、後ほど遅れて参る予定でございます。

○ 鳥居部会長
 それでは、おいでになったときにまた御紹介をさせていただきます。
 それでは、本日の議事に入ります。
 本日は、学校と教育委員会との関係について御審議をいただくことになっております。学校と教育委員会の関係につきましては、いろいろな切り口があると思うのですが、三つほど今日は考えてみたいと思います。
 その第1は、学校の裁量の拡大についてでございます。
 2番目は、学校の裁量が拡大したことに伴って、学校評価をどういうふうに考えていったらいいかという問題だと思います。
 3番目に、保護者や地域住民の学校や教育行政のかかわり方について。
 これらの問題につきまして、ここのところずっと続けておるわけですが、委員の皆様から意見表明をしていただくことにしたいと思っております。本日は、あらかじめ委員のお一人でいらっしゃいます北城委員にお願いしてあります。北城委員は日本アイ・ビー・エム取締役会長、経済同友会代表幹事でいらっしゃいます。
 もうお一方は、東京都渋谷区立の幡代小学校校長でいらっしゃいます大澤委員にお願いしてあります。
 それから、京都市教育長の門川委員にお願いしてございます。
 4番目に、奈良県PTA協議会顧問の池端委員にお願いをしてございます。
 以上、四方にお願いしてありますが、順番にお願いしていきたいと思います。
 意見表明の内容につきましては、それぞれ各委員にお任せをしてございますが、概略、北城委員には先ほどの3分類でいいますと、主に学校の裁量権の拡大の観点から御意見を伺えればと思っております。御到着早々で恐縮でございますが、北城委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔大澤委員出席〕

○ 北城委員
  御紹介いただきました経済同友会の北城でございます。
 私は経営をしてきた立場で、学校運営で特に校長先生の権限についてお話をさせていただきたいと思うのですが、経済同友会でも教育関係について、経営者なりにいろいろ考えてきたこともありますし、また、最近、イギリス、それからフィンランドの教育機関等の訪問を通じまして、いずれの国でも教育は国の将来の人材を育てるために非常に重要である。教育改革の中で、基本的にはできるだけ権限を教育の現場に近いところに移していくべきではないか。校長先生とか、先生方が創意工夫して努力する中で、質の高い教育ができる。もちろん、質の高い先生方に職に就いていただくとともに、権限があることによって創意工夫ができるという実情を聞いてきましたので、日本でも既に、今、大きな方針としては、文部科学省のほうでも校長先生等に裁量権を移すという方向のようですが、現実に人事権とか、あるいは予算とか、実際の運営に必要な権限を移すべきではないかということでまとめさせていただきました。
 お手元に資料があると思うのですが、まず最初に学校長の裁量権限の拡大ということに関しては、人、物、金、組織運営に必要な権限を校長先生が持つ必要があるのではないか。例えば、教員の人事、任免権、あるいは勤務評価、あるいは給与の査定、校内での人事について、基本的には校長先生に人事権を持っていただいたらいいのではないか。
 それから、学校内の予算の編成についても、基本的に学校で総額必要な予算は教育委員会から与えられるにしても、その中をどう使うかというのは、校長先生の権限にしてはどうか。その他、カリキュラムとか、教科書の選定までもできるだけ校長先生に権限を持ってもらったらいいのではないか。
 ただ、すべて校長先生の権限になってしまいますと、優秀な先生が一つの学校にずうっととどまるというようなことも起きるでしょうから、ある一定期間、例えば5年程度、一つの学校で勤務した場合には、先生のほうからほかの学校への希望を申請できる。申請しても、受け入れ側の校長先生が認めなければ実際の異動はできないということになるので、教育委員会が先生方の人事の異動をするのではなくて、基本的には校長先生が人事権を持つ。それを尊重しながら、教育委員会が問題が起きたときには、その調整をするということがいいのではないかということです。
 それから、当然、1-2として、校長先生にそのような学校運営の責任を持っていただくとすれば、そのための管理能力等について、研修等で技術あるいは能力を持っていただくような仕組みが要ると思いますし、場合によっては外部から校長先生を登用してもいいのではないかということです。
 それから、1-3として、特徴ある優れた学校運営を進める上で非常に重要なのは、校長先生がどのような考え方で学校運営をされるかということですので、校長先生の意識改革について、校長先生にいろいろな形での働きかけが必要ではないか。
 次のページにいきまして、このように校長先生に権限が渡ったとして、校長先生はどのように学校を運営するかということを、保護者とか、あるいは地域の人々に説明をする必要があると思いますので、学校の運営方針、教育計画、指導等について、保護者あるいは地元の人々に説明をする。その説明を受けるための組織として、学校運営評議会 ―名前はいろいろな形があると思いますが ―を設けて、そこが校長先生の活動を評価するべきではないかということで、2-1と2-2に書きました。学校運営評議会が校長先生の活動について評価し、もし問題があるようであれば、校長先生に是正を求める。場合によっては、校長先生の交代も求めるということで、教育委員会は、学校運営評議会の意見を尊重して、校長先生の評価であるとか、あるいは処遇を決める。場合によっては交代を行うということで、基本は校長先生に権限を与えながら、それを第三者、教育に関係する方が評価する。その評価に基づいて、処遇とか、任免が決まるというやり方がいいのではないかと思います。
 それから、3番として、教育委員会についてですが、私の理解しているところ、教育委員会の中で教育長は、教育委員の中から選任されるというふうに理解していますが、教育委員の側が非常勤の場合には、どうしても教育長がすべての責任を持って運営されるということになるのではないかということで、これは企業の中で株式会社等で取締役と社長の関係も最近はいろいろ変わってきていまして、取締役が社長を任命するという形になっていますので、教育委員会も委員が基本的な運営の責任を持っていて、教育長が問題があれば、教育長の交代もできるような仕組みが好ましいのではないかということ。
 それから、都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会の関係については、基本は市町村が主体に運営をする。そして、校長の評価、あるいは教員の任免、その他については市町村が行う。適切に市町村教育委員会が機能しているかどうかということは、都道府県の教育委員会が監視するということで、できるだけ権限を第一線に近いところに移譲すべきではないかというのが、私が考えている校長、あるいは学校運営と教育委員会との関係で、これは経営者の立場で考えていますので、学校の運営に既に携わっている方々から見ると、いろいろ不十分な考えもあるかもしれませんけれども、一応私の考えを表明させていただきました。どうもありがとうございました。

○ 鳥居部会長
 どうもありがとうございました。
 いろいろ御質問、あるいは御意見がおありかと思いますが、一括して後で行いたいと思いますので、先へ進ませていただきたいと思います。
 続きまして、大澤委員にお願いしたいと思います。よろしくどうぞ。

○ 大澤委員
 発言の機会をいただきましてありがとうございます。資料2のほうを御覧いただきたいと思います。
 実際に学校現場で校長として日々勤務をして、子どもたちと接している立場というところからお話を申し上げたいと思います。
 1ページ目です。従来の学校の位置というのは、そのような位置づけがされておりますので、末端といいますか、最前線といいますか、そういう位置づけだろうと思います。この重なりが都道府県、あるいは教育事務所、区市町村教育委員会という、今までの関係が変わっているわけですけれども、まだまだそこのところが今までのような形の重層化したままの形がとられているという思いは持っております。
 それから、2番目ですけれども、教育委員会と学校との関係ということで、学校管理運営規則によって教育委員会がどこまで定め、あとそこから先は学校が自主的に取り組んでいいよということが決めてありますので、具体的にどのようなことが定められているのかということを、そこに項目だけ載せてみました。ここにつきましても、若干管理運営規則を緩めるというような方向で、各区市町村教育委員会等も動き始めているところですが、まだまだ旧来型の管理運営規則のまま置かれていることが多いかと思います。
 3番、校長の職務ということですが、この管理運営規則にいわゆる4管理2監督と私たちはよく言っておりますが、そのようなことが校長の職務として知らされております。実際にどのようなことを行っているのかということで、2枚目のほうになりますが、学校教育の管理ということでは、一番大きなことは教育課程の管理だろうと思います。とりわけ各学校に教育課程の編成権がきまして、総合的な学習の時間をどうするかに始まりまして、かなりここのところにつきましては、今まで一律に行われていたことにのっとっていけばよいということではないので、ここについてしっかりと力を発揮して、保護者に納得していただけるような教育課程を編成し、実施していく。これは校長の本来業務であろうかと思っております。
 しかしながら、最近は、その下に書きましたように、安全確保に関することが大変多くなってきております。O―157、鳥インフルエンザ、これはあっという間に学校対応がいろいろ増えました。それから、最近で言いますと、池田小事件以来、不審者侵入、それから学校あての脅迫電話とか、メールとか、こういったものへの対応、それから校外学習にたくさん出かけるようになりましたので、校外学習時の安全確保、それから児童生徒間で、いわゆるキレる子といったような子どもたちの行動もありますので、そんなところにも留意をしていかなければならない。こんなところが20年前、30年前に比べると、大変増えてきている部分だろうと思います。
 それから、二つ目が、所属職員の管理・監督ということがあるのですが、実際にどの程度の教職員を私が預かってきたかといいますと、A校の場合は、そこに書いてありますように、区によって違いますが、機械警備をしていたり、民間委託をしているということがありまして、ここは約30名、私の下におりました。B校の場合、規模はちょっと小さくなるのですけれども、こちらは今、約50名、私の下で働いてくれております。ですから、これらのメンバーに目を配り、指示をし、あるいは評価をしといったような作業を日々しているわけです。
 それから、教職員の確保ということで、県費負担の教職員は、県が配置をしてくれるわけですけれども、その他講師とか、介助員とか、臨時の補助員は、学校が探さなければならない。この手間が結構なものだというふうに思っております。適切な人に来てもらうためには、学校が選ぶことができるのは大変ありがたいのですけれども、人が出払ってしまっていないということもありまして、ここはなかなか各学校も苦労しているところです。学校施設の管理、学校事務の管理というようなことがあります。
 学校の自主性・自律性の確立に向けてということで、中教審答申に基づきまして、だいぶ見直しが進められているところかと思っております。これからに向けまして、校長権限が拡大し、学校の自主性・自律性を確立するということの方向で進んでおりますので、条件整備をすることが、校長として力を十分発揮していくために必要ではないかと思っております。権限を拡大するということは、責任も増すことですし、学校がすることがもっともっと増えているということです。ですから、一方で透明性の確保や説明責任といったことに伴う作業等も増えるわけですけれども、それだけのことができるだけの条件整備が望まれるところでありまして、以下、学校側から見た、こんなことがあったら、校長は思いっきりできるのではないかということで、3ページ目を申し上げたいと思います。
 学校がすることが増えるわけですから、当然増える分はどこかを削らなければいけないと思うわけです。学校のスリム化ということを、だいぶ前は言われたのですが、最近言われなくなりました。学校週5日制を始めるときには、学校、家庭、地域社会の全体を通して子どもは成長するので、それぞれの役割を明確にし、地域でできるものは地域に、家庭できるものは家庭に戻して、学校は学校でできることだけをしましょうという話だったはずなのですが、どうもその方向に向かっていないなというのが、現場の実感です。
 それから、このことは御理解いただきたいと思います。かつて年間授業時数は244とか、242あったのです。今は200日を切っております。とりわけカレンダーの関係で、例えば昨年は3連休になる日が多いとか少ないというのもあるのですが、私の学校の場合ですと、昨年は204日授業日数があったのです。今年は198日なのです。この6日、7日の減ということは、時間割を組んで標準授業時数を確保する上で、大変苦しいところがあります。200日を切る学校の持ち時間しかないわけです。この学校の持ち時間の中で、あれもこれもと要望されることが、学力の問題はどうなのだということももちろんそうですけれども、増えてきている教育課題について、ぜひこれは学校で教えてほしい、学校がすべきではないかといって、学校に入ってくることが大変増えてきました。
 例えば、不審者が入ったときの避難訓練なんて今までなかったわけですが、今、やっぱりこれをせざるを得ません。それから、先ほど問題になりましたインターネットの使い方といったようなことも、エチケットの指導を学校でと言われますと、やはりこれも急遽入れていくといったようなことで、本来の教科がねらっているものもやりつつ、新しい課題にも対応していくということで、この持ち時間の中で、四苦八苦しているところが現状ではないかと思います。
 あと学校の業務で、届出、調査、報告、こういったものが減ってきていないで、新たな課題にあわせて調査が増えていると思います。
 それから、子どもの問題といいますと、学校がすぐ責められるわけですけれども、このあたりにつきまして、家庭がすべきこと、それからマスコミも含めて、子どもを育てていく社会環境を整えていくということを、大人社会全体が考えていかないとということを、学校側からなかなか言いにくいことなのですけれども、そのように思っております。
 2番目は、教員が児童生徒の指導と授業改善に専念できる環境づくりをお願いしたいと思います。小学校の場合でいいますと、全教科ほとんど持っております。教材研究、教材準備、それから最近、TT担当等も増えてきておりますので、TTの先生との打ち合わせ、あるいは外部の方をお招きしたり、関係機関の方との打ち合わせをする、こういう時間がなかなかとれないでいるのが現状です。
 小学校高学年は、教科担任制がよいということで、教科担任制を取り入れている学校も増えてきているのですが、これも校内に配置された教員をやりくりしてやっていることでありまして、中学校とあわせて、小学校の教員の配置率等も考えていただきたい。ここを改善していただいて、できるだけ教員が教材研究 ―持ち時数の関係もありますけれども ―ができるということを確保していかないと、なかなか授業の質の改善というところには、声はかけますけれども、あとは各個々人がどれだけ汗をかくかという話になってしまいますので、条件整備がやはり必要だと思います。
 それから、教科学習等の前の基本的生活習慣や規範意識が不十分な子、あるいは気持ちが不安定な子、家庭のいろいろな背景を抱えまして、学校だけがその子にとってせめてもの居場所という子も確かにおります。そういったことに対しまして、サポート機能を強化していただけるとありがたい。本校は今、スクールカウンセラーが週1回来ておりますが、随分助けられております。佐世保の事件、あるいは高田馬場の事件を見ましても、高学年からの女子の問題が、今、なかなか深刻な問題になってきております。高学年女子の気持ちをどうくみ取って、それを受け取ってあげられるかというときに、スクールカウンセラーが、「何かあったらお話を聞いてあげるよ」といった形でかかわることで、大変助かっております。ですから、小学校にもこういったスクールカウンセラーを配置するといったようなことで、教員は授業のほうに専念できる。こんなこともできるとありがたいと思います。
 一方で、学校に任されることが増えるわけですから、学校の組織を強化していかなくてはなりません。先ほどお話ししましたように、学校規模、あるいは都道府県・区市町村の状況によって、どれだけのメンバーが学校にいるかということは違うわけですけれども、私の学校の規模では、やはり教頭が1名で、教頭がきりきり舞いしているというのが現状です。よく教頭はセブン・イレブンという言葉がささやかれることがあります。朝早く、夜遅くまでということです。この教頭が倒れてしまいますと、私の学校は大変困ります。管理職が校長と教頭しかいないという学校現場ですので、ぜひ管理職を学校規模によってもう少し増やすとか、そんなことも必要だと思います。
 それから、東京では主幹制度を取り入れました。これも随分助かっております。主任層、こういったところが学校運営の基幹要員として活躍できるような体制づくり。そのためには、学級担任をしない教員と書きましたが、現実には、このようにフリーに動くことのできる力強い教員がいると、校長しては自分の学校経営に力強いものを感じております。
 三つ目は、やはり優れた教職員を配置していただきたい。このことがまず第一です。初任者研修等も、現場で授業を持ちながら初任者研修をしておりますが、近々、教員の大量退職時代がやってきます。初任者が東京でいいましても、各学校に2名、3名という配置がされる状況になってきますと、この経験年数の浅い教員の力をいかにつけていくかということが、目の前の課題だと思っております。ぜひ教員養成、初任者研修等の在り方も、大量退職時代、新規採用がグッと増えるという時代で、どのようにしていくかということも検討課題であろうと思います。やはり人確法の趣旨をきちんと実現していただいて、やってみたいという若者を学校のほうに引き寄せたいと思っております。
 それから、校長裁量で活用できる人事枠、これが各学校の校長が一番望んでいるところだと思います。人、金、物のうちの、人もあてがいぶちで、お金も大して校長の自由になる予算がない中で、経営をよくやっていますねというお話もされますが、ぜひこの人事枠等につきましても考慮していただけますと、ありがたいと思います。

〔田中生涯学習政策局長、久保生涯学習政策局政策課長出席〕

4番目、教育委員会の支援機能ということで、指導主事が配置されているわけですけれども、配置の拡大をしていただくと同時に、学校に足を運ぶことができるような条件整備をしていただきたい。今、どちらかといいますと、議会対応とか、保護者対応とか、もろもろのことに時間をとられていまして、学校に出向いていただく機会が減ってきているように思います。
 それから、指導主事以外にも、幾つかの県で試みが行われておりますけれども、学校をサポートする専門的な力量を持ったメンバーを配置していただけますと、これは大変心強いと思います。
 それから、予算につきましても、予算総枠の中で、校長権限でいろいろ使えるものがあったらありがたい。今、いろんな教科の学習を展開していくに当たりましても、小学校の特質もありますけれども、1ヵ月前から何がどのように出るかということの予測を教員につけさせて、予算要望、あるいは契約に回すということは、なかなか難しいところもあります。子どもとともに学習をつくり出していくといった今の教育のつくり方に合わせたような予算ができるとありがたいと思います。
 最後に、学校からのボトムアップということで、今までどちらかといいますと、学校は教育委員会等から、上からおりてきたことを受けるという形でありましたが、発想をやはり変えなければいけないと思います。学校こそが教育改革の最前線だということを考えていくならば、校長会、教頭会ともっと意見交換をしていただいて、現場からこんなことはどうだといった具体的な提案をして、生の声を吸い上げて、施策に反映していただくようなことはいかがでしょうか。
 それから、魅力ある管理職であるかということです。管理職になろうという者が減ってきております。このことをどう考えるかということです。あるいは、校長、教頭になりましても、これは今まで思っていたのとちょっと違う、あるいは家庭の事情でこれだけハードな仕事はできないということで、降任する者も増えております。管理職になったらこれだけのことができて、自分の教育に対する夢が実現できるのだと、こういう管理職像になるような改革をぜひお願いしたい。
 最後に、校長、教頭自らも資質・能力の向上に努めなければいけないと考えております。
 以上、学校現場から考えていることを申し上げさせていただきました。

○ 鳥居部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、門川委員からお願いいたします。

○ 門川委員
 それでは、京都市の取組を報告したいと思っています。あえて実践的な部分での取組を申し上げたい。と申しますのは、制度論が非常に多いわけですけれども、現行制度でどこまでできるのか。そして、制度をなぶらなければならないのか。ここのところをはっきりしなければ、現行制度でできるにもかかわらず、制度論に持っていったら、新しい制度でもできないだろうと思います。そういうことで、現行でどこまで京都市がやってきたか、そして制度改革は何が必要かということについて、御報告を実践的に申し上げたいと思っています。
 京都市では、桝本市長を先頭に、市民参加、市民とのパートナーシップということをキーワードに、この10年、教育改革に取り組んでまいりました。着実に前進しつつありますが、改革は前進すればするほど新たな課題が見えてくるというのも教育の本質であろうと思いますから、絶えざる改革を進めていきたいと思っております。
 京都は、以前にも申し上げましたが、非常にイデオロギー対立の深刻な土地柄でありました。不毛の対立が長く続きました。今もそういう緊張状態にある都市であります。そんな中で、何をスタートにしてきたかということを申し上げたいと思っています。
 実は、平成4年4月に、今の市長、桝本が教育長に就任いたしました。私、そのとき総務課長でしたので、今も記憶に残っているのですけれども、辞令式が終わり、教育長の記者会見をされた桝本教育長が教育長室に戻ってきて、幹部職員を集めまして、「明日からすべての仕事に優先して学校回りをする。1年以内に316の学校を全部回る。現場主義でもう一遍徹底的に現状を見たい。そして、現場の教職員、保護者、地域の声をじかに聞いて、何をすべきかを原点から考えたい」ということを話されました。びっくりしました。それでのうても、今、大澤先生の話がありましたけれども、教育委員会は不夜城とも、24時間営業、年中無休と言われているような職場です。〈ちょっと教育長、神経高ぶってはるな〉というようなこともありまして、「無理ですよ。もう少し時間をかけて」ということを申しましたら、当時の教育長がニコッと笑われて「無理やろな。わしもそう思う。しかし、さっきの記者会見で無理やろと思うから、断言してきた」。翌日の新聞記事に、「教育長、1年以内に全校訪問公約」と書かれていましたので、教育委員会の職員はみんな覚悟を決めました。
 それから、毎日、毎日、来る日も来る日も教育長は学校回りです。夜遅く帰ってこられます。私、30年間教育委員会にいるんですけれども、あの1年ほどしんどかった1年はなかった。あの1年ほどまた充実した1年はなかった。夜遅く帰ってきて、校長会の幹部や指導主事等々とかんかんがくがくやります。学校格差が大きい。教員の格差が大きい。全国に誇るすばらしい実践に自信を持った学校もあれば、残念な学校もある。これをどうしていこう。なぜこういうことを申し上げますかというと、そこのところをはっきりしなければ、学校任せにしたらあかんと思うんです。
 そこで、かんかんがくがく議論している中で、あるベテラン校長がこんなことを話されました。自分らが若いとき、毎週、毎週、来週の週間指導計画をつくった。週案といいます。非常にしんどかった。それを上席さんに提出して、校長に提出した。しかし、しんどかったけれども、あれが自分の肥やしになった。よし、それをやろう。すべての小学校で、全教員が週案を書いて、校長に提出するという取組をしまして、2年間で全員が出るようになりました。これはあらゆる研修よりも教員の指導力アップにつながったと思います。中学校では単元別指導計画、単元ごとの指導計画を教員が全部つくって、単元が始まるまでに校長に提出しようと、こういう取組も全部やりきりました。
 あるいは、教育長が全校訪問している。校長、教頭は全教室訪問をしよう。すべての仕事に優先して、全教室を訪問しよう。スーッと見てるだけではだめだ。1ヵ月の一番大事な校長、教頭の仕事として、1単位時間、授業の始めから最後まで見よう。例えば18学級の学校があります。校長と教頭と手分けて、最優先して9時間の授業を見よう。9時間を充てていく。それを1ヵ月に1回やろう。これを入り込み指導としました。
 あるいは、父母の参加が大事だと言いながら、参観日を日曜日にやっていない学校がたくさんありました。すべての小・中学校で、日曜日の参観をやろう。日曜日に運動会をやろう。野外活動が大事だといって、すべての学校で宿泊野外活動をやろう。
 こういうことが全市共通で達成すべき課題。京都市には125の教育研究団体があります。それと教育委員会と寄りまして、激論を重ねまして、これとこれとこれを全部の学校でやろうということでやりました。そして、それが4~5年続く中で、達成すべき課題をどんどん達成した学校は、次に独自の課題をやっていくということで、ようやく平成8年、9年から、新たに校長の独自性に基づいていろんな新しい取組をやっていこうという段階に進みました。
 レジュメの「2」の「(1)」になりますが、「みやこ学校創生事業」というのを平成13年から始めました。校長がプランを立てる。そして、企画書をつくって教育委員会に提出する。それをヒアリングし、審査し、そしてそこに年間200万から100万の予算を重点的に打っていく。今年は3億円の予算を184校に打っております。大体1年目は200万、次は150万、3年目100万。毎年50~60校、認定していっている。
 初めはトップ校を育てていこう。先頭を切る学校をつくっていこう。今年ぐらいからステップアップ校をつくっていこう。あそこの学校、あの状況の中でここまでの計画を立ててきた。これをやってもらおうと。それをずうっとやっていきたい。そんなことをやっています。
 その次に、学校運営予算でございますが、次のページになります。これは京都市全体の改革を説明しなければならないのですけれども、4ページの京都市の行政評価システムと新予算編成システムですけれども、京都市が行政評価システムとしまして、政策評価、施策評価、事務事業評価を、外部評価も含めて施行し、本年度から全面実施しております。ホームページでもすべて公開しているわけですけれども、この行政評価と新予算編成システムを昨年から始めたのですけれども、局長、教育長に予算編成の権限を移していく。大体独自財源の90%ぐらいについて局で経営方針をつくって、行政評価を加味して、局で編成しなくてはならない。あと1割は市長を中心に議論をして、政策重点化として配分していくということであります。例えば極端なことを言いますと、一人の職員を減らすと、それは800万円の事業費に回していく。ボランティアを活用して職員を減らせば、800万円の予算になる。これは局の権限であります。そういうことが始まっております。
 2ページに戻りますが、そのことを活用しまして、今までいろいろな事業別の予算、費目別の予算について、基本的に校長の裁量権を拡大していこうということで、費目を超えて使える。予算を編成しましても、あと議会で予算 ―地方自治法等の款・項・目・節がありますが、議会で補正を組まんならん部分は別ですけれども、市長が決定できる予算の流用、移用は、教育長の権限になりました。教育長の権限を校長まで移すということで、小学校費と中学校費を変えるわけにいきませんけれども、例えば光熱水費を削減すれば、それはコンピュータ買うても、図書買うても結構ですと、こういうところまで、今年は大胆にできることになりました。ある校長先生が、一所懸命水を節約して、10万円節約すればパソコンが1台買える。図書が買える。保護者の皆さんと子どもたちで便所清掃や樹木の剪定をやれば、それで教材が買える。ここでできないのは文科省の補助金の理科設備費だけですけれども、それらについてもまた考えていただいたらありがたいと思っています。
 あと二学期制を実施しておりますが、これも全市一律でなしに、学校長の方針によってやっていこう。あるいは、教科担任制等々につきましても、校長の権限によってやっていこう。
 それから、構造改革特区等をつくりまして、小中一貫教育特区をつくりまして、中学校の先生が小学校に行って英語を教え、小・中の数学と算数の授業を両方の先生がやっていく。そのような取組も、地域ごとに校長の権限の裁量の拡大の中でやっています。
 人事でございます。希望転任制度、教員版FA制度とか、あるいは先行的、試行的な実施としまして教員公募制、あるいは常勤講師、非常勤講師の学校独自採用等を試みとしてやっております。
 それから、管理職の教頭を本当は複数化してほしいのですけれども、なかなか権限がございませんので、校長の校務編成権ということで、副教頭制も23校に拡大し、順次拡大していきたいと思っております。
 ただ、人事につきましては、どの校長先生もいい先生が欲しい。どちらかというと、そうでない先生には出ていってほしいということなのですけれども、あまり人事に期待しても学校はよくならないと思います。教員の意識変革をやっていかなければならない。これは後ほど外部評価で申し上げたいと思っております。
 市民とのパートナーシップで、20の教育課題を取り上げまして、例えば道徳でありますとか、理科とか、読書とか、情報教育等々の取組をしております。
 次に、外部評価のほうにいきたいと思います。5ページです。
 外部評価は、全国の学校で取り組まれつつあると思いますけれども、レジュメを読んでいただけたらわかるようにしておりますので、「学校評価システム」というパンフレットを御覧いただきたいと思います。このパンフレットを去年、11万5,000部つくりまして、全保護者、地域の方々に配りました。そして、こういう学校評価システムを全校で展開するんですよということを言いました。あえて京都市の特徴としているところを申し上げたいと思っています。
 一つは、学校を序列化するものではない。もう一つは、保護者、地域が学校の取組だけを評価するものではないという2点でございます。
 まず1点は、やはり地域ごとに、学校中心に育てたい子ども像を共有していこう。どんな子どもを育てたいんやということを共有する。
 もう一つは、情報を共有する。学校の取組、方針、子どもの実態、そういう情報を共有していこう。そのためには、学校はきちんと説明責任を果たしていこう。どんどん学校に来ていただこう。こういう情報を共有すれば、次に課題意識が共有される。課題意識が共有されれば、それを行動の共有に持っていく。そして、評価の共有をしていこう。今、教育で一番困難なのは、学校の取組ももちろん大事ですが、親、地域、その三者の関係だと思います。これが教育改革の一番のねらいだと思っています。保護者、地域が、学校の取組、校長先生がええか悪いか、そういうことをまないたの上に乗せて論評していても、学校の教育はよくなりません。学校が地域とともに、地域が学校とともに変わっていかなければならない。
 私どもの評価ですが、評価の見本を一つ、ある学校のものをつけておるのですけれども、一番最後にこういう評価項目があります。レジュメの7ページにも書いてありますが、保護者に対して、家庭学習や読書の習慣などがつくような環境づくりに努めていますかとか、PTAの活動に積極的に参加していますか、あるいは地域の行事に積極的に参加していますかと。今までの学校評価と言えるかどうかわからんですけれども、そういうことも含めて、保護者の、あるいは地域の人々の学校への教育参加を求めていく。
 学校評価システムは、ある意味では学校、家庭、地域、この三者を含めて、子どもの学びと育ちの場の相互の評価をしていく。そして、三者が共同参画していく、そういうものにならなければならない。専門家が評価して、ここの学校はどうやこうやと言い、あるいは地域の学校批判を高めるようなものになっては、あまり意味がない。親が育つ、地域が育つ、もちろん学校も育つ、そんな評価システムを実行していきたい。このキーワードは、やはり知ってもらうことと、そして評価の結果を公開していく、それにより力を入れていきたい。
 今、先進的に取り組まれているところでは、家庭で子どもの教育についての話題が多くなった、学校へ足を運ぶ回数が増えた、そういう声が聞こえている。あるいは、教師の授業の改善につながっていく。そういう評価にしていきたいと思っております。
 1点だけ。高校改革に全力で取り組んできまして、堀川高校という高校があるのですけれども、4年前、現役で国公立大学に入れたのがたった6人の学校が、今年、卒業生240人のうち135人が国公立大学に入り、京大、東大現役合格では、全国の公立高校のトップになりました。ここの学校ですが、教員は異動していません。3名しか代わっていない。かつての組合の活動家が校長になり、組合の執行委員二人が教頭になって、大きく意識改革されて、これだけの実績を挙げている。だから、校長先生方にいつも言うてんですけれども、ないものねだりしてもだめだ。あそこの学校から、ここの学校から、4番バッターばかり引っ張ってこようと思ったってよくならない。隣の学校が悪くなるだけだ。堀川高校がよくなりましたら、西京がよくなり、京都に洛陽工業高校と伏見工業高校、2校の工業高校があるんですけれども、この2校はこの2年間、この厳しい状況の中で、学校あっせんの就職、100%実現しました。一つの学校が輝けばほかの学校も輝く。これは校長の腕力でええ先生を集めてくるような制度になったらだめやないか。ですから、現行制度で可能なことと、制度を変えなければならないこととをもう一遍考えていきたいと思っています。
 今日は、教育委員会の日です。5人の教育委員の先生方がまた現場へ回っておられます。その現場で見たことをまた議論し、校長会とも議論し、改革に生かしていこう。そんな取組を進めています。以上でございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、池端委員からお願いいたします。

○ 池端委員
 池端でございます。私のほうは、一保護者と申しますか、PTAというか、そういう形で御意見を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず1枚目でございますが、本会、奈良県PTA協議会を今回、私、2年間担当させていただきました中で、教育改革を含めまして、本会と教育行政ということで、上の部分にちょっとかかわりを持たせていただきました委員会等に関して書かせていただいております。
 この中で、県立高校の再編統合は、全国各地でいろいろお取組をいただいているようなことが、奈良県でもございました。その中に委員としても入らせていただいたわけですけれども、常日ごろ全く受け身の立場だけで参画させていただくのでは意味がないと思っておりましたので、あらかた形がつきましたら説明会を我々のほうで開催いたしますので、教育委員会事務局のほうですぐに対応をお願いしたいということで、常日ごろお願いしておりましたところ、記者会見というような形で発表がありました翌々日に第1回目を、すぐに資料を取りそろえて、説明会をしていただきました。
 その後、ここに15年度ということで、25回と書かせていただいておりますが、本会のほうが主に5回、あとは各地域のPTAさんのほうから要請があった場合は、うちと同じような資料をすべて取りそろえて足を運んでいただけますかということで、足を運んで説明会を開催してまいりました。本年度はまだ1回目ということで、今後、我々の協議会の事務局のほうへ日程調整という形で、本会のほうが調整を図らせていただくことになっております。
 また、その下にあります選抜方法も、今回、説明会を同時に1回。今後、どしどし増えてくるのではないかと思っております。
 また、その下の教育の日ということで、実行委員会を、私のほうは副委員長を仰せつかって担当させていただいたわけですが、本会といたしましては、教育というものに関心を持ってほしい、興味を持ってほしいということを、いろいろなところでアピールさせていただいてまいりました。
 また、その下ですが、学校教育の指導方針ということで、こちらの作成委員会に入らせていたたいており、いろいろと今後どうあるべきかという意見を述べさせていただきましたところ、大変おくみ上げをいただいたと思っておるところでございます。その中で、私たちPTAとして、常日ごろ、PTA仲間のところへ年度が始まる前に、手元のほうへ直接届けていただける。送付という形ですが。今までは先生方だけが持っておられたものを、いや、それはやはりおかしいでしょうということで、私たちPTAのほうにも数冊ちょうだいできるということになりましたので、それをもとに、年度の始めに校長先生とPTAの会長さん、役員会が、よく話し合いを持っていただきたい。その中で、校長先生は右のほうを指して、PTAの会長が左を指すということは絶対ないように、しっかり話し合いをした上で、同じ方向を目指して進んでいっていただきたいということで、しっかり連携と協調を図りながら、あくまでもPTAといたしましては、学校の校長先生に関して圧力とか、文句を言いに行くというのではなくて、しっかり校長先生と足並みをそろえていただきたいということを常日ごろ申して、皆さんにお願いをしておるところでございます。
 その下の家庭教育推進事業検討委員会ですが、こちらのほうも、いろいろ冊子でありましたり、リーフレット作成に私もかかわらせていただいてまいりましたが、これのほうもでき上がり次第、本会の委員会であったり、各地域の協議会のほうへ配布をお願いしたいということで、これは就学前の子どもさん、1歳6ヵ月検診のときに、子育てに悩むお母さん方にぜひとも一つの参考資料として見ていただきたいということで、つくらせていただいたものですが、これまた大きな、こちらの重たい袋の中に入っておりますので、また後で御覧おきをいただければありがたいと思っております。
 こういうものをつくらせていただいたものを、本会のほうに気持ちよく提供していただけるということで、うちのほうでも若いお母さん方に、今後のPTAの会員さんになる皆さん方に配布していただきたいということをお願いしております。
 その中で、私たちPTAというのは、保護者は家庭教育の担い手ですので、しっかりそのことの自覚と責任を持っていただきたいということをアピールしてまいりました。
 その下に、軒先あそび推進協議会とありますが、これは文科省のほうでありがたくも新子どもプランということで進めていただいているものを、奈良県でオリジナルという形でさせていただいております。本会といたしましては、新子どもプランのPTAとしての総合窓口という形で、協議会の委員長を本会の会長が兼任するという形でやらせていただいております。特に昨年度は、特別支援学校、今までなかなか一緒に手を取り合ってやりましょうよという機会に恵まれなかったのか、なかなかおつき合いができなかった部分もあったりしたのですが、そちらへ呼びかけということで、いろいろ連携を保っていきましょうということでやらせていただいております。
 その下に、警察からの学校への連絡制度に関する申し合わせということで、これは本会は全面的に協力をさせていただくということでやらせていただいております。これは何かと申しますと、奈良県警、教育委員会、また教育諸団体ということで、目的といたしましては、警察が検挙または補導等をした子どもさんに関しまして、学校へ連絡する。そのことによって警察、学校、保護者が連絡協力して、児童全体の健全育成を図るというものでございます。これは個人情報云々という問題の中で、けんけんがくがくあったところでございますが、本会といたしましては、学校は知らない、家だけが知っている、警察は知っている、また、学校は知っている、家は知らないというようなおかしなことにならないように、子どもを指導する場合、環境を十分に保ちながら、子どもの健全育成に邁進していくべきではないかという意味で、全面的に協力をさせていただいております。
 その下に奈良県PTA協議会作文コンクールということで、「先生だいすき」という作文のコンクールをさせていただきました。実はこれは教育長さんたち、小学校長会、中学校長会さんの理解と協力を得てということですが、これもいろいろな面から反対であったり、学校の現場にちょっかいを出すのかとか、評価対象にするのかとか、様々な御指摘、御意見をいただいたわけですが、いえ、我々はそんなつもりはございません、これを学校の先生方の評価対象にするつもりもございませんし、これに限りましては、私たちは学校や先生の応援をしたいだけで、これをもって先生の質を問うということは一切考えておりませんということで、周りからの圧力等もございましたが、実施をさせていただきました。
 これに関して、結果的には子どもたちの作文を送っていただいて、教育委員会とは別のところで審査していただいたわけですが、ちょっとおもしろいなと思いましたのが、俗にいう校長先生の御力量が高いというか、リーダーシップがあると言われている学校は、すごく応募数が多かった。逆に興味・関心がない、実は職員室の押さえのきかない校長先生のところは、全くといっていいほど応募がない。出していただいた校長先生にお礼を兼ねましてお話をお伺いしたところ、いや、うちの先生はどの先生を出してもらっても恥ずかしいことはないんですと。たまたまこの先生は評価していただいたが、ほかの先生だってどの先生もみんな、うちの先生はすばらしい先生ばかりですと、どの校長先生もおっしゃいます。
 やはりこのあたりが違うのかなと。誰も出しても恥ずかしくない。うちの教師に限ってはすばらしい人ばかりであると言い切っていただける校長先生のところから、作文の応募が多かったということはとても印象的でございました。
 その下は、ちょっとおかしな事業ですが、おさかなの捌き方教室。これは実はお魚屋さんの組合のほうが、なかなかお魚を食べていただけないということで、たくさんお魚を提供していただいて、捌き方教室までやっていただいたということです。これは最初はPTAにということだったのですが、それではあまり意味がないということで、若いお母さん、高校生、子連れでもという形で、このごろ魚の切り身しか見たことがない人が多いわけですから、子どもと一緒にこういうことに参加できるならばということで、お受けをさせていただきました。大変好評で、これに関してはありがたかったかなと思っております。
 ざっとこういう形で、連携させていただいたものは、今御紹介をさせていただきましたが、実はこれ以外に県のPTAのほうには、30ぐらいの充て職というのが私たちのほうに回ってまいります。これはほんの一部のもので、私が参加させていただいたものだけを一応書かせていただいたわけでございます。

○ 鳥居部会長
 時間だいぶたっていますので、ちょっと縮めて……。

○ 池端委員
 申しわけございません。
 次に、下の部分に移らせていただきます。ざっと御覧おきをいただきたく思いますが、いずれにしろ、我々保護者、また地域住民等が考えておる中で、校長先生のリーダーシップを皆さんかなり重視されておられるようです。それと学校の校長先生のリーダーシップ、プラス資質の問題をもう一度御検討いただきたいというお話がたくさんございました。
 最後になりますが、評議員制度ですが、なかなか進まないというのが、私たちが今把握しておる現状でございます。これはなぜかというふうにお聞きしますと、この間、教育委員会はお金がないと、はっきりおっしゃっておられましたので、そんなものかなと私も思ったりはしたのですが。ただ、心配なのは、これが名誉職化であったり、校長先生のお目付役であったりというような意味合いのものに変わっていくことがないように、我々もよく理解をする必要があるのではないかということで、こちらの説明会を今回はしっかりまたやっていかなくてはならないと思っておるところでございます。
 以上でございます。

○ 鳥居部会長
 今の御説明の資料の2枚目に、「知らない」「知らない」と書いてあるところがありますね、教育委員会のところで。そこをちょっと説明していただけますか。

○ 池端委員
 2枚目の教育委員会というところで、「2」の「(1)」ですが、保護者、地域住民の方にいろいろとお尋ねいたしましたところ、教育委員会制度というのを御存じですか、知らないということで、はっきり申し上げまして、教育委員長さんと教育長さんについて御存じない。端的にこういうことを書いてはぶしつけで申しわけなかったかなと思ったのですが、入園式、入学式、また卒園式、卒業式に来て、祝辞だけ読んでお帰りになるような人や、お茶飲んで帰る人というぐらいのイメージしかない。
 その下の教育委員会のとらえ方でございますが、行政のもの、教育委員会事務局のこと、それと学校や先生のお目付役、また、よく言われますのが退職教師、園長先生、校長先生の再就職先ではないかというふうに、保護者から見たらそのように映っておるようでございます。
 PTAから見ましても、教育行政に期待するところは、先生方の資質の向上に関してということが一番重きをなしているようでございます。
 それと一つ、私もよく皆さんに言われるのですが、私たち保護者というのは、マスコミとか、報道に振り回されやすうございます。こういう勉強の仕方がええといえば、そちらへ飛びつき、学力低下と言われれば、そっちへ振り回されて、えらいことや、えらいことやということで、その辺は冷静に、時間をかけて教育というものをしっかり見ていく必要があるのではないかと、反省をしておるところでございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、お四方から意見表明をちょうだいいたしましたので、この後、フリートーキングの形で御審議を進めていただきたいと思います。御質問、あるいは御意見等がございましたら、どうぞ。
 どうぞ、藤田委員。

○ 藤田委員
 非常に興味深い報告を聞かせていただきましたが、幾つか確認を兼ねた質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず北城委員にお聞きしたいのですが、1点目といたしましては、2ページの評価のところで、2-1で、学校運営評議会が行う校長の評価と、それから2-2の学校長の管理能力や指導力等を評価するシステムも重要という、ここの部分での評価とは別のものを想定されているのでしょうか、それとも同じものなのかという点。
 もう1点は、基本的に趣旨は理解できたつもりですが、世界的に現場に近いところに裁量権、権限をおろしていく傾向が強いということは私も承知しておりますが、仮に民間企業との対比で考えた場合に、いわゆる企業が、今の場合ですとたぶん小・中学校ならば、市町村の教育委員会なり、市町村レベルというふうに考えられるとするならば、個々の学校は支店とか、支社とか、営業所。しかも、学校教育は基本的に義務教育段階は、共通基礎教育を前提にしていると思いますので、その基本的な活動なり教育の内容、サービスの内容というのは、基本のところは同じ性質のものだと思うです。様々な特色や工夫をする余地は多々あると思うのですが。そうしたときに、市町村と各学校との関係、逆にトータルな企業と各支店なり営業所なり、それぞれのところとの関係で、特に人事等、学校で採用するということになりますと、現地採用があることは当然ですが、その辺の割合とか、あるいはどういうタイプのものだったら現場でもいいかということが、具体的に問題になるのではないかと思うのです。
 続けて、よろしいですか。

○ 鳥居部会長
 裁量権の話にまず集中して議論することにしていいですか。その範囲内でどうぞ。

○ 藤田委員
 大澤委員のほうから、学校の人事枠の創設ということがちょっと出ておりましたけれども、ここの部分で、例えば人事枠をある程度創設するとして、現にいろいろな形で採用できるものがあるわけですが、専任の教員を含めてということなのか、また、仮に専任の教員の場合には、どのくらいのところがいいのかなという、その辺の印象だけでも結構ですが。
 それから、私は雇用形態と勤務形態を分けて考えることも可能だと思うのですが、オランダですと、正規の雇用でありながら、パートの勤務という先生もいますけれども、そういう勤務形態あるいは雇用形態と、それから職種とか、仕事の内容等によっても違うと思うのですが、この辺のところをもう少し御意見を伺えればと思いました。
 あとは評価の問題でありますので、とりあえず……。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございます。
 全体であと50分ぐらいしか時間がないのですが、15分ぐらいずつに分けて、最初は裁量権の拡大の話に少し集中して御意見を伺えればと思います。今、藤田先生から最初の引き金を引いていただきましたので、北城委員と大澤委員からお答えいただいて、それから資料5というのを事務局で用意してくれてありますので、事務局からも資料5の説明をしていただきたいと思います。
 それでは、どの順番にしましょうか。資料5の説明を先にお願いしましょうか。それから北城委員、大澤委員にお願いします。

○ 角田初等中等教育企画課長補佐
 それでは、資料5につきまして、簡単に御説明させていただきます。
 資料の1ページを御覧いただきますと、学校裁量の拡大についての資料をおつけしております。平成10年に本審議会で答申をいただきまして、それ以降、学校の裁量の拡大について取組が進められております。国といたしまして、ここにございます教育課程の基準の大綱化、弾力化でございますとか、あるいは教職員人事への校長の意見反映といった制度化を行ってきております。また、これにあわせまして、各地方におきまして教育委員会の関与の縮減、あるいは学校裁量予算の拡大が行われているところでございます。
 2ページ目でございますが、このうち学校の予算につきまして、裁量拡大がどういった形で進められているかの取組例をおつけしております。先ほど京都市の門川教育長から御紹介もございましたが、例えば岐阜県でございますとか、あるいは高知県におきましては、県立学校全校を対象にいたしまして、学校の企画提案に応じた予算配分を行っているところでございます。また、下の欄でございますが、横浜市、あるいは東京都におきまして、学校に対し使途を特定しない形で経費を措置いたしまして、学校が独自に計画を立て、執行させるという取組を進めております。
 次に、3ページ目でございますが、すみません、恐縮でございますが、机上に1枚、差し替えの資料をお配り申し上げております。そちらのほうを御覧いただければと思います。この資料でございますが、都道府県及び市町村におきまして、平成10年の答申以降と現在の状況を比較した資料でございます。斜線を引いたバーが平成10年度まで、黒いバーのほうが平成16年度の状況を示しておりまして、御覧いただきますように、教育委員会の関与の縮減でございますとか、あるいは学校裁量の予算、いずれにつきましても、取組が進んでいるという状況でございます。
 最後の4ページ以降につきましては、細かい資料でございますが、小・中学校の場合におきます都道府県、市町村、校長、それぞれの権限関係を整理した資料でございます。
 以上でございます。

○ 鳥居部会長
 差し替えた紙は、入っている紙とどこも違わないみたいですが、何が違うのですか。

○ 角田初等中等教育企画課長補佐
 恐縮でございます。「1」の「(1)」の部分の数字が、集計のミスがございまして、そこだけでございます。

○ 鳥居部会長
 棒の長さはほとんど同じに見えるけれども、数字が違うということですね。

○ 角田初等中等教育企画課長補佐
 はい。そこが間違いでございまして、申しわけございません。

○ 鳥居部会長
 わかりました。ということだそうでございます。
 学校の裁量権の拡大の問題につきまして、御質問と説明がありましたが、北城委員、御説明いただければありがたいのですが。

○ 北城委員
 評価についてですが、基本的には学校運営評議会、各学校の保護者とか、地元の方が入っているところは、校長先生が行っている学校運営について評価する。さらに、校長先生について、この校長先生は優れた学校運営を行っている、あるいは交代の必要があるとか、問題があるというようなことを、ある意味で推薦は出す。その推薦を受けて、教育委員会が最終的にはその校長先生の評価とか、あるいは処遇・配置を決めるという意味で。ですから、推薦をするという位置づけにしています。
 それから、採用についてですけれども、企業の人事制度は全部一律ではないので、各社いろいろ違うと思いますが、大体の会社は採用は人事部が行う。しかし、配置された上で、例えば学校が部としますと、その部長が自分のところにいる人の配置であるとか、自分の部に受け入れるとか、あるいはこの人間は問題があるから、自分の部では使うことができないということは、部長さんが決める。ですから、かつては人事部が強制的に、ここの人間はこの部で使ってほしいとか、人事部が人の評価をしていましたが、今はだんだん人事部が評価するのではなくて、部長がそこにいる人の評価も行う、あるいは配置も決める。ただし、それだけに依存すると、部長が自分のところにいい人材を抱え込んでしまうとか、あるいは優秀な人間がほかの部門で仕事ができなくなるということについては、人事部が介入して異動等を考えるということをやっています。
 したがって、採用そのものは、ここでいくと市町村の教育委員会が行うにしても、どの先生をどこに配置するかは、一義的には校長先生が権限を持って決められる。問題がある社員が出たときにどうするか。これが一番困った問題です。米国であれば問題のある社員はやめてもらうのですけれども、日本ではなかなかやめてもらうことが難しいので、処遇等で昇給を全くしないとかした上で、本人の能力に合うような仕事の場所に転勤してもらったりして対応しているというところです。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 大澤委員、どうぞ。

○ 大澤委員
 校長裁量で活用できる人事枠ということで申し上げますと、例えば今は、学級編制基準で40人とあります。そうしますと、ある学年は80人の前後でずっときているのです。入学以来、39人、40人という学級でずっときているのです。次の学年は83人くらいです。そうしますと、30人に足りない、少ない人数の6年間を過ごすのです。この教育格差について、保護者は「何とかならないか」と言ってくるのてす。そのときに、学校で総枠、教諭をこれだけもらっていますから、この中の一人、これは今、家庭科専科をさせていますけれども、家庭科専科ではなくて、40人学級に一人つけて、30人を切る人数にしたら教育条件はそろうわけですね。保護者は何でうちの学年だけ40人だという思いがあります。
 それから、初任者が配置されますと、最初の保護者会は親が目を三角にしてきます。「何でうちの子どものところに初任者をつけたんだ」と。担任と話しているうちに、〈あ、若い先生もなかなかいいもんだ〉となりますと穏やかになりますが、三角の目がもっと三角になることもあります。初任者は授業を持たなくて、1年間はもう少しフリーの立場で、研修も兼ねて力量もつける形で、動くことができたらいいと。そんなことは現実問題として、皆さん感じていらっしゃるのです。
 ですから、学級規模に合わせて、これだけの人数を配置しますよという配置基準があるのですが、その配置基準をもうちょっと増やしていただきたいというのはもちろんあるのですが、この総枠の中で、どのように教員を使ってもいいよということくらいは、校長に任せてもらうと……。本当にね、苦しい校長もいるんです。指導力に不安を抱えていて、毎年、毎年、保護者から苦情がくる。それをどうしようか。毎年、頭を悩ましている校長さんもいるわけです。その中で、もう少し人事枠が緩やかになるといいと思います。
 それから、校長会で話をしましたら、京都市のフリーエージェント制はものすごい評判なんです。「いいな」と。「3年かけて、せめて3人だけでも校長の〈これは〉と思うのがとれたら、学校を変えられるぞ」という声が出てくるくらい魅力的な施策なんです。ですから、一つは総枠を柔軟に使えることと、そのためには正規の教諭としての数がもうちょっとプラスになるといいということ。
 それから、多様な職種でもいいから、とにかく子ともといろいろなかかわりが持てる人間が今学校に必要です。特に養護教諭とか、学童養護とか、栄養士とか、こういった直接に子どもの学習について評価しないような大人が、ちょっと子どもと話をしてやる、声をかけてあげる、このかかわりで子どもの気持ちが全然違います。そうしますと、教員は授業に専念できるんです。そんなことを思います。
 ですから、正規教員、あるいは勤務形態、雇用はいろいろ結構ですが、とにかく多様な人が子どもにかかわれる、あるいは教育にかかわれるということになれば、教員は教員としてのまたプライドを持って頑張っていくと思いますので、そんなことをしていただけるとありがたいと思ってお話しいたしました。

○ 鳥居部会長
 学校の裁量権の問題について、今、人事の裁量権の話が主でしたけれども、そのほかにいろいろな裁量権の問題があると思いますけれども、藤田先生、重ねてもし問題提起しをしていただくなり、御質問していただくなり、ほかの先生もどうぞよろしくお願いします。
 八代委員、どうぞ。

○ 八代委員
 4人の方から御説明いただいたのですけれども、争点は、昔から議論している運用か制度かということで、私はむしろ門川委員にお聞きしたいのですが、堀川高校が非常にうまくやったというのは、本当に御努力の結果、そうなったのでしょうけれども、だからほかの学校もみんなできるはずだといって、現行制度のままで何とか頑張れというやり方もやはりむちゃではないだろうかということで、それは現行の制度だって、いい面もあれば悪い面もあるわけですから、いい面を残して悪い面を少しずつ変えていくというのが制度改革の考え方で、制度を変えたら悪くなるというふうに悲観的に考える必要は全然ないのではないか。これは当然のことだと思います。
 ですから、やはり現場の校長先生の裁量権を広げていくことで、同じ基礎的な教育をやるにしても、もっといいやり方がないかどうか。あるいは、地域によって問題も違うわけですから、それを弾力的にやっていくという、現場からの裁量権を広げることで、全体の教育をかさ上げしていくという考え方というのは、決して今の運用面の改善ということとは矛盾しないと思います。
 これは藤田先生に対するいつもの質問で恐縮ですが、基礎的な教育だから、あまり現場で変わったことをしないほうがいいということにはならないのではないか。企業との対比ですけれども、企業だって製品の品質管理というのは全国一律にやらなければいけない。しかし、品質を管理するためのやり方というのは、現場で、工場でそれぞれ多様であっていいわけですから。制度の枠を緩めると、現場でとんでもないことが起こるということにはならないのではないか。それはきちんとした品質管理の規制というか、基準を別途設けていけばいいので、それは後で議論される評価だろうと思っております。

○ 鳥居部会長
 どうぞ、門川委員。

○ 門川委員
 八代委員、おっしゃるとおりでして、制度改革は改革に次ぐ改革をやっているわけです。一つ改革したら、3年たったら同じことを続けるなというぐらいに、また変える。ただし、それは現行制度、その制度の中で、本気になって実践したらできることであって、制度論と今その任に当たっている者が全力投球するこの部分をあいまいにして、運用論を制度論にしている部分がありはしないか。このことを自ら問い詰めながら、制度の改革をやっていくことが大事ではないかと思っています。
 もう一つ、言い忘れたのですけれども、レジュメに入っているのですが、授業時数の確保は非常に大きな問題です。とりあえず京都市では、校長裁量で5日までは夏休みとか、休業期間を短縮して、授業時数を減らしましょうと。これを私は10日ぐらいまでやっていこうと。しかし、それが競争になってどんどん授業時数を増やしていくというのも困るかなと。今、とりあえず去年から5日間は校長の裁量で授業時数を減らしましょうというのを始めました。特に今年は198日ですので、これは効果です。
 もう一つは、例えば京都は、今、祇園祭りですけれども、祇園祭りの地域の学校は、祇園祭りの前に夏休みに入ってしまう。8月の20何日から授業を始める。地域のいろんな行事によって振り替えてしまうことによって、授業時数を余計確保できる。それも校長裁量に移していく。そういう取組もあわせてやって、実質的な授業時数を確保していく。そして地域との連携をより深めるようにしていく。
 夏休みも原則的に教員がすべて出勤するという、ちょっと締め過ぎやなという御批判もありますし、私自身もそう思うてるんですけれども、例えば学校は夏休み中、職員朝礼するという学校が増えてきました。1週間に1回登校日をつくりながら、今の子どもは40日間の夏休みの計画を立てられへんので、これは授業時数やなしに、夏休み中のいろんな行事として授業点検をやっていこうとか、そんな取組も、今、校長裁量でどんどんやっていただいている。

〔宮崎委員出席〕

しかし、あえて申し上げますと、学校に任せることと、そして教育委員会が公の教育として全体を統括していく、このバランスといいますか、私はいつも緊張関係と言うのですけれども、やはり校長先生が地域、保護者とともに学校をよくしていただく、そしてお任せすることと同時に、学校だけに任しておいてはよくならないことがいっぱいありますので、教育委員会が全市を見ながら、刺激を与えていく、援助していく。あるいは、厳しい指導もしていく。この緊張関係がなければよくならない。私どもはいつも言うてるんですけれども、一つの学校ですばらしい実践があったら、せめてそれは3年以内に全市の学校に広めていこうというようなこともあわせてやっています。

○ 鳥居部会長
 今の御説明の中で、学校評価の問題と地域との関係も既に出ていますので、3課題を別々に議論することがどうも難しくなってきましたから、資料6と資料7はだいぶ分厚いですから、事務局でせっかく配ってくださいましたので、ごく簡単に説明していただいて、それからもう1回、皆さんのフロアの審議に戻したいと思います。
 どうぞ。

○ 角田初等中等教育企画課長補佐
 それでは、資料6につきまして御説明申し上げます。
 1枚めくっていただきますと、学校評価と情報提供の実施状況につきましての資料でございます。学校評価につきましては、平成14年度以降、評価の実施、さらにその結果の公表につきまして、努力義務化しているところでございます。資料の3ページを御覧いただきますと、全体状況を表にしてございます。幼稚園から盲・聾・養護学校まで、全体で、一番下の欄にございます88.4%が自己評価、さらに44.3%が外部評価、この際の外部評価ということでございますが、学校の教職員以外の者によります評価、すなわち保護者、あるいは地域住民等による評価ということで、44.3%の学校が実施をしております。
 また、円グラフのところでございますけれども、学校の自己評価の結果の公表でございますが、自己評価につきましては41.5%、外部評価につきましては実施校のうち72.9%が行っております。
 1枚飛びまして、5ページ目でございますが、自己評価につきましての回数でございますけれども、年間、学期末に2回、あるいは3回行っているところが一番多く、52%になっております。一方、外部評価につきましては、年度末のみ年間1回が63%になっております。また、外部評価の実施者ということでございますが、一番下の棒グラフでございますが、最も多いのが保護者67%でございまして、次いで学校評議員、PTA役員、児童生徒といった順になってございます。
 また、資料13ページを御覧いただければと思います。これは外部評価等を活用した学校評価の取組例ということでございますが、この13ページは、沖縄県の玉城小学校の例でございまして、通常の学校評価委員会のほかに、学校評議員、区長会長等によります外部評価委員会を別途設けまして、合同で評価するという形で行っている例でございます。
 また、次の静岡県、城内中学校の例でございますけれども、これは学校評価を実施するに当たりまして、項目の決定、あるいは結果の分析に、学校評議員が参画をしている、こういった例でございます。
 次に、資料7につきまして御説明申し上げます。地域に開かれた学校運営の仕組み等に関する資料でございます。1ページ以下は、先ほど来お話が出ております学校評議員の設置状況についてでございます。学校評議員は平成12年度より制度化されておりまして、4ページを御覧いただきますと、幼稚園から盲・聾・養護学校まで全体で62.4%の学校が設置をしておます。その内部の状況でございますが、5ページ、図表5を御覧いただきますと、大体6割の学校で4人から6人の学校評議員を置いているという状況でございます。
 また、駆け足で恐縮でございますが、6ページ目の図表9を御覧いただきますと、学校評議員による会議の開催回数でございますが、一番多いのが1回から3回ということで、83.0%の学校がこの回数ということでございます。
 次に、15ページを御覧いただきたいと思います。これは学校運営協議会制度についての資料でございます。この学校運営協議会制度は、今御説明申し上げました学校評議員制度をさらに発展させた制度でございまして、さきの国会におきまして改正法が成立いたしまして、今年の9月から施行される予定になっております。
 制度の概要といたしましては、下のところにございますように、教育委員会が学校を指定いたしまして、設置をする。委員は教育委員会が任命をする。
 二つ目に、学校運営協議会は校長が作成する学校運営の基本的な方針につきまして、承認を行う。
 三つ目といたしまして、学校運営協議会が教職員の任用に関しまして意見を述べるといった仕組みになっております。
 最後の21ページ目でございますけれども、学校評議員制度、さらには学校運営協議会制度以外の制度で、地域の意見を反映した施設等の運営の仕組みの例でございまして、公民館、図書館、博物館等における協議会の制度がございます。また、教育分野以外では、警察署協議会といった制度がございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

○ 鳥居部会長
 資料8の2枚物がありますけれども、これは一番最後の「6」番だけでもちょっと……。

○ 角田初等中等教育企画課長補佐
 恐縮でございます。資料8につきましては、今国会におきまして、地方行政組織に関する法改正、主なものを御紹介させていただくものでございます。とりわけ1枚目につきましては、教育委員会のほか、行政委員会として置かれております人事委員会、公平委員会とか、あるいは農業委員会、地方労働委員会についての改正法でございます。
 2枚目のほうは、行政委員会ではないものでございますが、行政組織に関しての法改正ということで、自治法の改正とか、あるいは市町村合併の特例に関する法律を説明させていただいております。
 「6」でございますが、これは先ほど御説明申し上げました学校運営協議会制度を創設する法改正ということでございます。内容は先ほど御説明したとおりでございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、もとへ戻りまして、先ほど来の学校の裁量権の拡大のことについて、まだ御意見もおありかと思います。また、関連して学校運営の学校評価に関する御意見もおありかと思いますし、地域との関連についての御意見がおありだと思いますので、どうぞひとつよろしく御意見をお出しくださいませ。
 藤田委員、どうぞ。

○ 藤田委員
 先ほど八代委員のほうから、私とは随分意見が違う ―違う点が非常に多いことは私も承知しておりますが、私は決して小・中学校は共通基礎をやるからといって、全国どこの小・中学校も同じだなんていうふうに思っておりませんし、また同じでいいというふうにも思っておりません。現に実際多様ですし、京都市の取組も非常に優れた、すばらしい取組をやっていると思いますし、それぞれに独自性を持っておりますし、そういった様々な努力や改革は大いに進めていいと思うのです。しかし、基本的なところで、事故の起こる自動車をつくるわけにいかないので、教育もその点では同じであって、基本的にファンクショナルにはきちんとした要件は備えている必要があるという点を私は強調しているつもりです。
 評価との関連ですが、京都の御紹介いただきました評価は非常に工夫をされて、うまく機能しているように一応今の時点では思えるのですが、実際具体的なことを承知しませんけれども、御説明いただいた限りでは。これは先ほどの八代さんの意見ともかかわるのですが、先ほどの御説明の中に、序列をつけるものではない、また、序列をつけるためにやるものでもない。これが非常にクリティカルで、情報の共有、課題の共有、そして協力して学校をよくしていく、そのための意識の共有という。これは情報の共有が重要で、私は情報公開と一線を画して考えるべきだと思っておりましたので、その意味でも心強かったのですが。
 これがもし学校選択制がセットになりますと、どんな評価であっても、選ぶ側からすればそこに何かの序列を見つけていく可能性があると思うのです。私は学校選択制とセットにした評価の在り方については、非常に慎重にこれを検討する必要があるというふうに申し上げてきているのですが、その点で京都の場合には、選択制とか、そのような圧力なり、あるいは何かはないのでしょうか。

○ 鳥居部会長
 門川委員、どうぞ。

○ 門川委員
 選択制の議論というのは、京都でも非常に多く起こっています。このように私は言っているんです。ちょっと例が悪くて申しわけないのですけれども、公の学校は、まずいラーメン屋さんでも客が来るのと一緒や。おいしいラーメン屋さんには行列ができる。まずいラーメン屋さんは客が来ない。だから、おいしいラーメン屋さんがはやって、まずいラーメン屋さんは淘汰される。極論ですけれども、これが選択制の極論やないか。
 小学生、中学生 ―高校は別ですけれども、価値観がきちんとしていたら別ですけれども、親が子どもの手を引いてラーメン屋さんを選ぶように、学校を選んで、よくなるんだろうか。今、学校と家庭と地域社会、この三者の関係が一番大事というのがみんなの共通理解。そのためには、小・中学校段階における学校選択制はよくないと思います。将来、農村地帯で自分の子どもをゆっくり育てたいとか、いわゆる狭い意味での学力とか、大学進学ということで学校を選ばずに、そのようなことができてきたら、そのときには判断ができるやろ。あるいは、中学校なんかで部活動の関係でもう少し風穴をあけたほうがいいのではないかという部分があります。
 それで私はあえて、まずいラーメン屋さんは何でまずいんや。麺が悪いのか、だしが悪いのか、コックの研究姿勢が足らへんのか、あるいはお客さんの味覚、お客さんの雰囲気も悪いのか、みんなでおいしいラーメン屋さんをつくりましょう、研究しましょう。これが学校評議員制度であり、みんなでおいしいラーメン屋さんをと。味覚も高まり、コックの意識も高まり、改善される。そんな学校評価システムにしていきたい、こういうことであります。ちょっとたとえが悪くて申しわけございません。

○ 鳥居部会長
 森田委員、どうぞ。

○ 森田委員
 今のことともかかわりますけれども、裁量についても伺ってよろしゅうございますか。
 事務局のほうから出していただいた資料5にかかわることですけれども、予算面において各学校で自由に使えるお金が増えてきたというお話が、たしか5ページあたりの図にございましたが、全体の予算の中でその比率がどれくらいなのかというのを教えていただけませんでしょうか。
 例えば、ゼロから10%になるのも裁量の拡大ですけれども、20%が50%になるのも裁量の拡大でして、後者と前者はかなり違うという気がしますので、実際どれぐらい裁量が拡大したのかということを教えていただければというのが1点目でございます。
 2点目は、今の御議論にもかかわりますけれども、私自身は教育制度だけではなくて、行政全般についての評価のことも研究の対象にしておりますので、その観点から感じた印象でございます。それぞれその評議会、その他の外部の仕組み等を使って、評価の制度を整備されてきていると思いますけれども、評価の場合には、当然のことながら、評価を誰がするかはともかくとして、評価情報をどのように活用して改善に結びつけていくかというのが大変重要であると思います。
 その場合に、今までのお話ですと、評価情報がどのように活用されて、何を改善しようとしているのか、個々の学校の改善を考えられているのか、学校システム全体の改善を考えられているのか、さらに言いますと、改善をさらに生み出すインセンティブ・メカニズムというのがその評価とどう結びついているのか。その辺がまだよく理解できないところでございます。
 評価をする場合には、それぞれのところの自己改善、今のお話でいいますと、まずいラーメン屋さんも1ヵ月前よりは味がよくなった。その改善も大変重要ですけれども、多くの場合には、例えでいいますとマーケットでもって決まるわけですから、その中で学校選択制に直接結びつくかどうかは別ですけれども、それぞれの学校がどのような形で改善をするかという努力の場合に、それをどのように評価と結びつけていくのか。評価の結果を選択制に結びつけないまでも、例えば資源配分であるとか、そうした改善努力をした人たちに対するいわば報酬という形で考えていくのか、あるいは評価手法ですが、何らかの共通の尺度をもってベンチマークでもって評価をしていくのか、あるいはそういう評価がそもそもなじまないならば、その評価の仕組みと評価情報の活用の仕方がどうなのかということについて、もう少し御説明いただければと思います。
 さもなければ、大学もそうですけれども、評価というのはそれ自体コストがかかるものですから、そのコストをさらに上回るような形で、どのような形で改善を生み出すか、そこが評価を取り入れる場合、非常に重要ではないかと、かように思うわけでございます。

○ 鳥居部会長
 どなたからお答えいただいたらいいか……。

○ 國分副部会長
 ちょっと関連してよろしいですか。

○ 鳥居部会長
 では、國分副部会長、どうぞ。

○ 國分副部会長
 ちょっと関連して、ただいまのお話の1点目の、学校の予算の裁量の問題ですけれども、これが議論されたころ ―今、なくなったのかもしれませんが、やろうとすると、款・項・目といった、要するに財務規則といいますか、会計規則といいますか、その制約がって、なかなかうまくいかないんだ、ポコッと渡すわけにいかないので、会計規則上の制約があってという話を聞いたことがあるのですけれども、依然としてそれがあるのか、あるいはそれは何とか運用で、あるいは制度的に解決された問題なのかということを、関連してお伺いしたいというのが一つ。
 それから、制度か裁量か ―これも制度か裁量かかもしれませんが、先ほど大澤委員から、校長の裁量人事枠というお話がありましたけれども、学級編制基準というのがかなり制度的にいろいろな意味で弾力化されてきたと思うのですけれども、大澤委員が言われるようなことまでは、今の制度でできないのか、運用上工夫できるのか、制度改正がなければできないのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。

○ 鳥居部会長
 森田委員から出た御質問は二つに分かれていまして、第1の御質問、裁量権の拡大の財政面ということと、今、國分副部会長から出たのと一括してお答えを……。事務局でもし情報がありましたら。

○ 角田初等中等教育企画課長補佐
 予算の部分につきましてでございますけれども、恐縮でございますが、どのぐらいの割合かということについては、今回、調査しておりませんで、全体の状況というのはわからないというのがお答えでございます。
 資料の3ページ目の数字につきましては、それぞれの時点でそういった枠を設置しているかどうかということだけを示したものでございます。
 ただ、2ページ目の例でお示ししております、例えば「2」の使途を特定しない経費の措置の東京都、あるいは静岡の例でございますが、これが1校当たり平均約2,000万、あるいは3,000万という数字になっておりまして、これは高校に対しまして通常、教育委員会から様々学校の運営に要する費用ということで出ている費用を組み替えた形でやっておりまして、これは学校に渡されるお金の大半がこれに当たっているのではないかと考えております。
 それと会計規則の問題でございますが、これにつきましては依然ございます。ただ、例えば東京都の場合でございますと、事前に校長先生のほうから要望をいただきまして、その要望によりまして予算を組むということがございまして、一応その区分けはございますが、校長先生からいただいた希望どおりの区分けでお金を渡しているということで、流用するという前の段階で希望を聞いているという状況があると聞いております。
 一方、静岡県につきましては、完全に学校のほうに款・項・目の間の流用につきまして認めておりまして、学校に袋で渡して、その分の費目についての縛りというものがなくなっているという状況と聞いております。

○ 鳥居部会長
 今のに関連して、土屋さんから説明していただけますか。

○ 土屋委員
 裁量権を膨らますことについて私は賛成で、前からそのような考え方でやってまいりましたが、今の問題を少し整理してみる必要があると思います。今の制度では、教職員人事の主要なところは都道府県が持ち、それ以外の学校運営費は市町村が持っているわけです。ですから、先ほどの話は、教職員に限らない問題 ―教職員は枠が決まっているわけですから。これに限らない話になると、実は市町村の話なんですね。政令市はちょっとまた性格が違うだろうと思いますけれども。
 ですから、例えば東京都の例がここにありますけれども、これは都立高校に関する例ですから、義務教育に関しては市町村の話にしないと、話が全くちぐはぐになるわけですね。

〔八代委員退席〕

実は私どもも、武蔵野の場合ですが、各学校に70万円ずつ、校長先生が自由に使えるお金ということでやっているのですけれども、会計規則上の制約はございます。この70万円に関してはないけれども、それ以外に関してはあります。この会計規則上の話で、東京都が都立高校で2,000万円という数字が出ましたけれども、私どももそれを調査してみました。だけど、実態として校長が自由に使える金というのは、100万以下だと思います。2,000万と公称しているけれども。今日は横山教育長がいないから残念ですけれども、我々の調査だと100万以下であります。
 ただ、学校の現場のお立場から御発言がありましたので、大澤先生にもお聞きしたいのですけれども、数十万円あれば、日々の中でいろいろな出来事がありますけれども、恐らく100万円ぐらいあれば、結構な機動的な対応ができるのではないかという気がします。例えば学校のどこどこが壊れたとか、コンピュータを買ってくれとか、これは備品費で、いわゆる学校に配当したものではありませんから、備品登録する話は備品登録する話ですから。学校教育の運営上、必要な金というのはたぶん100万ぐらいあれば、いろいろなことができるのではないかという気がします。大澤先生に後で御意見をお聞きしたいと思います。
 それから、人事のお話も出ましたけれども、教職員の人事と同時に、市町村が配置をしている職員がいろいろいるはずです。時には用務員という格好をとったり、あるいは場所によっては事務主事などを町村で配置している場合もあります。それから、例えば給食、栄養士関係の職員とか、そういういろいろな職員がおりますので、こういうことも含めてある程度柔軟化し、校長先生の裁量のもとにやっていくという方向ならば、トータルとして議論したほうがいいだろうという感じはいたします。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと戻りますけれども、森田委員から御質問のありましたもう一つの問題、つまり、評価というのは一体どういう意味と効果を持っているだろうかという話ですが、私の経験をちょっと申し上げたいと思いますが、私は私立学校ですけれども、あまりほかの学校が評価をやらなかった時代に、あえて学内の反対を押し切って評価しました。これは第三者評価の一種ですが、大体予算が1回に1,000万円かかります。
 一体何をねらってやったかといいますと、まず一つは学内の人たちの頭を切り替えるためです。緊張感が生まれるのです。外に人に評価をされるということで、みんな格好いいことをしようとするわけです。一瞬で終わったら格好いいことは意味がないのですけれども、それが持続すると、実は改革になっちゃうんです。それから、話が整理されます。それから、学生も第三者評価の仲間に入れることによって、学生たちがいい評価のマナーを覚えるようになるわけです。それから、教員たちが評価を受けたときに、かなり個別の評価をしますので、自分たちの教育の内容とか、教育の仕方を変えようとします。その効果は確かにあったと思います。
 もう一つ、副次的な効果ですけれども、私立学校ですから、評価の結果をある種の刷り物にしてよその方にも見ていただけるようにしますと、学校のPRになるわけです。そういういろいろな効果があったように思います。
 森田先生のさっきの御質問の話を聞いていますと、私が今申し上げたようなことの幾つかについて、先生はひらめいておられて、御質問の中に入っていたように思いますけれども、どんな感じでしょうか。

○ 森田委員
 一般的な評価といたしまして、行政評価が行われている場合に、私は三つの機能といいましょうか、目的があると思います。一つは今おっしゃいましたように、内部の自己啓発といいますか、意識改革を促すために自己評価をするもの。
 2番目は、もう少し内部評価が中心になるかと思いますけれども、内部のいわばパフォーマンスの質を改善していくための政策改善。
 3番目は、完全に外部から見て、マーケットでもってどの程度の位置づけになるか。これは格付けとか、そういうことになると思います。
 それぞれ評価のやり方は違うと思いますし、評価の目的が違ってくる。何をねらって、何のためにどういう評価をするかというのは、評価をするときに、その手法にもかかわりますし、コストにもかかわりますし、大変重要なのではないか。その辺につきまして、今までいろいろと仕組みについてお話がございましたけれども、今、義務教育の学校でねらっていらっしゃる評価というのは、一体どれなのかということでございます。
 もう一つは、私も子どもが小学校に行っておりますけれども、親の観点から見ますと、各学校の、先ほどのことで言いますと、個々のラーメン屋さんの改善効果もそうですけれども、やはりどうせ食べるならおいしいところで食べたいという、地域における評価が、社会といいましょうか、そういう観点からは気になるところではないかと思っておりますが、その辺についてもどうかということをお尋ねしたかったということでございます。

○ 鳥居部会長
 どなたか……。どうぞ、北城委員。

○ 北城委員
 評価という場合に、一つは学校の教育の内容そのものの評価、これはほかの学校と比較をすることのできる意味での評価というのも一つあると思います。もちろん、何を改善すべきか、この学校はどういう点がいいのかというのは、評価として一つあると思います。
 もう一つは、校長先生の学校運営に対する取り組み方が進んだかどうか、どちらかといえば人事評価をするための評価も必要だと思うので、そういう意味で二つの評価が要るのではないか。
 学校運営協議会のようなところは、校長先生が適切な教育をしているかどうかということについて評価して、それを教育委員会等に出したらいいのではないか。
 もう一つは、絶対的にこの学校の教育水準は高いかどうか。学校の運営 ―学力だけではないでしょうけれども ―についての評価もあると思うのです。これをどう活用するか。これは学校のランクづけになるのだと思うのです。この学校は非常にいい教育をしている。門川委員は、それはやるべきではないと。学校のランクづけはすべきではないという意見と、一方でランクづけしてもいいではないか。もちろん優れた学校に行きたいと行ったところで、住んでいるところとか、いろいろな理由があるので、必ずしも全部そこに行くわけではないし、逆に問題のある学校だということであれば、校長先生に代わっていただいて、その学校をもっとよくするような施策もとることによって、その学校が高い評価を受けるようになるかもしれないという意味で、私は絶対評価があって、学校のランクづけがあってもいいのではないかという気持ちがしています。ただ、それと学区制の導入とどういうふうにバランスをとるかという検討は必要だとは思います。
 もう一つ、さきほど門川委員が教育委員会と学校との健全な緊張関係とおっしゃったのですが、これは民間企業の例でいくと、かつては本社機構、スタッフがいろいろな権限を持って、いろいろな指示を出して、それに基づいて現場が運営するという経営をやっていたのですけれども、だんだんそれではうまくいかない。できるだけ本社はあまり関与しないほうがいい。基本的な方針は出すけれども、現実の活動はできるだけ現場の創意工夫に任せて、そこに問題があればそれを指摘したり、場合によっては部長に代わってもらうことで運営しているので、方向としてはできるだけ教育委員会のほうの関与を減らして、どっちかというと大澤先生がやりたいと言っていることを、制度的にやりやすくするほうがいいのではないかと、こんなふうに思います。

○ 鳥居部会長
 今のお話は、首長とか、あるいは教育委員長というお立場でどういうふうにお考えになるか、千代委員、佐藤委員、あるいは吾妻委員、もしありましたらどうぞ。
 千代委員、どうぞ。

○ 千代委員
 先ほど門川委員さんが堀川高校を例にしておっしゃいまして、これは義務教育から外れた高校のケースでございますから、かなり自由裁量が可能になりますけれども、長年限にわたって3人ぐらいしかお代わりにならなかったというケースですか。そうすると、ほかとの交流が非常に限られてしまっている。代わるからいいというものではないと思いますけれども、交流の機会はどうであったのかということを、一つ聞かせていただきたい問題でございます。
 それと同時に小学校、中学校というところにおいての義務教育の中では、評価制度の問題もありますから、どうしても教員の異動というのは、絶対的に必要ではないかと思っております。高校レベルと小・中学レベルは、京都市のケースの場合にはどのように使い分けをしていらっしゃるのか。全くそれはないのか。堀川高校や洛陽高校の例だけをおっしゃられたものですから、そのあたりは私は非常に疑問に思っておるのですが、教員の交流とか、先ほど北城委員がおっしゃられた校長等の問題もありますので、校長に人事におけるすべての権限を任すことにおいてのかなりの危険性が出てくる可能性もございますので、そのあたりの御説明をまずいただけないかと思っております。

○ 鳥居部会長
 いかがでしょうか。どうぞ。

○ 門川委員
 まず先ほど森田委員のおっしゃった、評価のコストがかかる、その成果はどうなっていくんだということでございます。これはすべて子どもの学び、育ちに返ってくる。だから、外部評価、もちろんきちんと教師集団が自己評価する。きっちり自己評価して、評価票の例も出しましたけれども、自己評価して、外部評価とのずれをなくしていく。これが教員の最も意識改革になります。それをきちんとやっていくことが授業改善につながり、そういう外部評価を受け入れることによって、今、ものすごく手間暇かかってしんどいんですけれども、これを頑張っていたら、必ず家庭の教育力も高まり、先生は楽になりますよと。ちょっときれいごともあるのですけれども、その成果は全部子どもに返ってくる、親に返ってくる。こういうものやと思って、民間企業とか、そんなものとはちょっと違うやろうなと思っています。学校というのはそういうところやないかと思います。それであるがゆえに、地域がみんなかんかんになって子どものためにということで、共通目標のためにやってやっていく一つの方法やないか、このように思います。
 堀川高校ですけれども、なぜあえて申し上げたかといいますと、校長先生も、学校現場も、保護者も、ええ先生集まらんと学校教育はようならへんと思うてはるんです。そればかりなんです。堀川高校がようなったんは、きっとあの堀川高校から先生、代えはったんやろと思うてはるんです。そうやない。今、教師がいろんな批判されてますけど、基本的には一部を除いて、多くの教員は多くの可能性を秘めている、意識改革を図れば。外部評価もありますけれども。外部評価で緊張感が生まれます。そうした中で、教師の意識改革が図れられれば、それだけのことができるので、言葉は悪いですけれども、校長先生の権限も強化するために、FA宣言やいろんなことをやってるんです。
 しかし、基本は、今、自分の学校にいる教師を信頼して、そこと格闘してほしい。だめな先生を外に出して、ええ先生を欲しいと。これではすべての学校がよくなっていくということはできない。もちろん必要最小限の人事はします。校長先生をなめるような教員がおって、なめきられたらだめだと思いますので、やっています。この6年間に、レジュメにも載っていましたが、80人の教員に退職勧奨してやめてもらいました。今年の3月には17人の先生にやめてもらいました。これは外部評価の結果もあります。いろんなことをして、それはやっていきます。
 しかし、基本は先生というのは、だめ、だめ、だめと言うたら、だめになるんでね。私は教師の可能性を信じてますし、教師の異動やなしに、教師の意識改革と指導力の向上、そのシステムをつくっていこうやないかということで、例えばカリキュラム開発支援センターとか、いろんなことをやっています。今年からは全教職員が研修計画をすべてつくって、自主研修計画を校長に提出することにしましたし、校長、教頭の自己評価は、既に試行実施しておりますし、今年からは個々の教員の自己評価システムを導入していこう。そんなこととあわせてやっています。
 ただ、制度に依存したらあきませんよということを、これは私は個々の校長先生に話していることですので、制度改革論議のときにはちょっとなじまないかもしれませんけれども、制度の改革の前に、本当にやるべきことをやって、同時に制度の改革もいろんな新しい制度を導入しております。

○ 鳥居部会長
 佐藤委員、挙手されましたけれども、盛岡の教育委員長として……。

○ 佐藤委員 学校評価につきましては、盛岡市の場合には、内部評価が中心になっておりまして、それの目的は、地域の方々と学校の信頼関係をつくるという、先ほど来お話に出ています情報の共有ということによって、学校そのものが活性化されますし、それから地域の住民の方々の学校に対する認識も深まるということで、一石二鳥の効果があるというふうに私の教育委員会では、それを認知しております。
 また、これを外部に向けて、学校自身が外に向かって評価の結果を提示していくという形に今後発展してまいると思いますけれども、そういう方向でいくことを私どもは期待しております。それがなくても、自ら学校が評価することを客観的な指数に基づいてやることによって、もちろんそれは教育委員会にもレポートされますし、地域の方々にも還元されますから、言ってみますと、情報の共有化が学校の信頼度を高めているということになろうかと思います。
 それから、人事のことにつきましてですけれども、いい校長というのは、一言で言えばどんな教員がスタッフに来ても、それを改めるぐらいの力量があるものなんです。学校がいい悪いではなくて、管理する責任のある校長が学校を経営するために、どのように教員を指導し、援助していくかというその理念にかかわる問題なわけです。ですから、あの教員が欲しいということはあったにしましても、やはり校長が自らの力量を高めて、教員を善導していく。いい方向で活用していくということのほうが際立っているように私は承知しております。

○ 鳥居部会長
 では、稲田委員、それから小川委員。

○ 稲田委員
 今までお話をずっと聞いてきまして、いわゆる裁量権の問題にしても、評価の問題にしても、要はやはり校長、教頭をはじめ、教師の資質がすべてではないかと思うわけです。
 そこで、今日は教育関係者の方がたくさんお見えですけれども、首長さんにしても、お願いしたいのは、少なくとも校長になるような人は、できるだけ外の空気を吸わしていただきたい。いわゆる企業とか、いろんな団体とか、そういうところである一定期間、そういうところの現場に足を踏み入れて勉強されることが非常に大事なのではないかと思っています。
 実は佐賀県の場合、高等学校の、新任教頭に1年間、県内の企業の現場で勉強してもらうという制度を、佐賀県の教育委員会はとられました。これは全部できたとは思いませんけれども、例えば地元銀行、地元新聞社、それからデパート、そういうところに1年間入り込んで、いわゆる社員と同じ体験をしながら勉強してもらうわけです。
 私はそのときに地元の新聞社にいましたが、何も新聞の取材だけではなくて、事業面から、広告取りから、販売、夜中の輪転機、発送、そういうところまで全部見てもらうのです。それから、デパートに行って、食料品売り場から、呉服売り場まで見てもらう。そうすると、売り場によって、ボーナスが違うということなんか、これはもうびっくりするわけです。みんなボーナスは同じ、給料も同じことですから。そういう経験をして、現場の教頭に入ってもらう。そういう人たちが、今、校長としてバリバリやっておられます。研修に行ったのがよかったということで、民間企業へ行った人たちが同期会みたいなものをつくって、いろいろ集まってやっておられるのです。
 私も今、生涯学習センター、女性センターにいて、そして小・中学校の教育現場から教師を預かっていますけれども、ここで3年間ぐらいみっちり、いわゆる社会人としての仕事をさせながら、教育をして、現場の管理者として戻してあげる。こういうことが大事と思います。だから、経営者にしても、教師を預かってみようではないかという気持ち、これが大事ですし、採用枠をある程度増やしても、1回教育以外の現場に出す。これが必要ではないかと思っています。

○ 鳥居部会長
 では、小川委員、どうぞ。時間がだんだんなくなってきましたので、少し短めにお願いいたします。

○ 小川委員
 今まで議論になかった3番目の保護者、地域住民のかかわりでよろしいでしょうか。
 先ほど事務局から資料7で、学校運営協議会制度についての説明があったのですが、中教審でも学校運営協議会の議論をする過程の中で、先ほど池端委員からのお話もあったように、今の学校評議員制度をどう評価するか。ある部分、すごく評判が悪いというか、形骸化しているという意見も一方であるわけです。しかし、今の学校評議員制度という制度のもとでも、それを有効に活用している自治体や学校があるという状況もある中で、学校評議員制度をモデルとした保護者、地域住民の学校参画の在り方を一体どう考えればいいのだろうかということを、正直言って、私自身も非常に悩んでいるところがあります。
 今のような任意設置の学校評議員という形で果たしていいのか、ないしは校長の諮問機関という形でいいのか。もう少し規制を課して必置にして、なおかつ学校運営に対するもっと積極的な参加を保障する、制度みたいな形で工夫できないのか。いや、やはりそうした法制度の規制は問題があるから、各自治体の自主的な取組に任せるべきだ、そういう両方の意見の間で、私自身も非常に悩んでいるのですけれども。
 ただ、今度の学校運営協議会制度が法律で制定されて、私自身はこういう制度は、今の県費負担教職員制度等々のもとでは非常に難しいだろうと思っていたのですが、実はこの制度ができたことによって、幾つかの自治体から、「学校評議員(制度)に自治体として取り組んできたのだけれども、もう一歩きちんと運用できないところがあった。ところが、今度、学校運営協議会というような制度ができて、ある意味では現行制度のもとでも、こういうラジカルな参加形式が法制度でも明示されたことによって、ここまてやっていいのかということがよくわかった。ただ、うちの自治体は、このような学校運営協議会はつくらないけれども、しかし、今の学校評議員制度をベースとしながら、学校運営協議会の趣旨である、いろいろな学校運営への参加を、学校、校長と連携・協力しながら、もっと積極的に保護者・住民が学校運営にかかわっていく仕組みをつくってもよいのだということが分かった」ということを自治体の多くが受けとめ始めているのも事実で、私のところにも、これを契機にして、学校評議員制度をもう少し見直したいので相談にのってほしいというような問い合わせが幾つかきています。

〔茂木副会長退席〕

ある自治体では、例えば、従来の評議員を「地域立学校経営協議会」という組織に再編し、そこの自治体は市単独で非常勤の教員を採用していますけれども、その人事について、学校協議会が参画できるとか、市の教育委員会が特色ある学校づくりのために交付している予算の企画書作成を協議会が校長と一緒になって行うとか、カリキュラムについては総合的な学習を中心に学校協議会が参画していくとか、さらに外部評価の機能もこの協議会に持たせるとか、従来の学校評議員制度をさらに、今度の運営協議会の成立を契機にして、今言ったようなものに組み替えていくというようなことに取り組み始めているわけです。
 多くの自治体は、学校評議員制度ということで、いろいろ試みているのですけれども、どこまで保護者、地域が学校運営に発言していいのかということについて、かなり苦慮しているのも事実でして、今度の学校運営協議会の制度の成立によって、ある程度そのような段階まで踏み出していいのだという発信として受けとめて、今言ったような新たな動きが自治体で始まってきているということを、もう少し真摯に受けとめていいのかなと考えています。
 そういう点で、学校評議会の任意設置とか、また、権限の内容をどうするかということについては、法律で一律に規定するというようなことについては、私自身はかなり慎重なのですけれども、学校評議員制度の見直しとか、改善についての何らかの方向性を、この審議会でも積極的に何か打ち出していいのではないかという感じがしますので、今後、その辺をもう少し議論していただければと思います。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 時間の関係で、最後に出された問題は、今日議論している暇が時間的にありませんが、非常に大事な問題を提起されたと思います。ただ、今回、地方教育行政部会で出そうとしている結論といいましょうか、いずれ中間報告的なものが出てくると思いますが、その中で、今、小川先生が指摘された問題をどのように位置づけるかなかなか難しいと思いますので、また小川先生にも御指導いただいて考えていこうと思います。
 また、海外調査のことも先生にお願いしてありますので、ぜひ見てきていただければと思います。
 時間の関係で、今日はこのあたりで打ち切らざるを得ないのですが、恐れ入りますが、これで終わりとさせていただきます。
 生涯学習局長御就任の田中局長が到着しておられますので……。

○ 田中生涯学習政策局長
 田中でございます。よろしくお願いいたします。

○ 鳥居部会長
 それから、生涯学習政策局の政策課長の久保課長が到着しておられますので、御紹介します。
 あと、後から見えた方はおられませんよね。以上、お二方が後から到着しておられます。
 それでは、本日はここまでにさせていただきまして、今後の予定を事務局からどうぞ。

○ 山田生涯学習企画官
 今後の日程についてでございますが、資料11のとおりでございます。次回は7月17日、2時から4時まで霞が関東京會舘のゴールドスタールーム、35階で開催の予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。

○ 鳥居部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、閉会にさせていただきます。

午後4時5分 閉会

お問合せ先

生涯学習政策局政策課