地方教育行政部会(第5回) 議事録

1.日時

平成16年6月15日(火曜日) 14時~16時

2.場所

グランドアーク半蔵門 「華」(3F)

3.議題

  1. 「地方分権時代における教育委員会の在り方について」ヒアリング並びに委員 の意見表明及び自由討議
  2. その他

4.出席者

委員

 鳥居部会長、國分副部会長、茂木副会長、浅見委員、山本委員、横山委員、吾妻委員、池端委員、稲田委員、小川委員、片山委員、千代委員、土屋委員、藤田委員、森田委員、森脇委員

文部科学省

 結城文部科学審議官、近藤初等中等教育局長、玉井総括審議官、加茂川私学部長、藤田生涯学習政策局審議官、樋口初等中等教育局審議官、金森初等中等教育局審議官、松元生涯学習総括官、布村生涯学習政策局政策課長、辰野初等中等教育企画課長、山田生涯学習企画官、角田初等中等教育企画課課長補佐(その他関係官)

5.議事録

午後2時00分 開会

○ 鳥居部会長
 それでは、定刻ですので、ただいまから中央教育審議会教育制度分科会地方教育行政部会第5回を開催します。
 今日は、前回に引き続き、教育委員会制度に関するヒアリングということで、岐阜県羽島郡四町教育委員会の小島理生教育長においでいただいております。小島教育長からの御説明の後、当部会の委員の埼玉県松伏町長千代委員、それから福島県石川町教育長の吾妻委員から御意見の発表をお願いしたいと思います。
 小島教育長につきまして簡単に御説明をさせていただきますが、岐阜県羽島郡の郡内の四つの町、川島町、岐南町、笠松町、柳津町の4町の共同設置による教育委員会という形で昭和44年に発足して以来、既に30年以上の歴史を有し、小規模町村における教育行政の在り方を検討する上で非常に有益な事例であると考えまして、小島教育長にお願いした次第です。
 今日、配付資料の資料4に、小島教育長の方法以外にもいろいろなタイプの共同で教育委員会を運営していく方法がありまして、その事例がございます。小島教育長のお話の前に事務局の角田初等中等教育企画課課長補佐から御説明をいただいて、理解をした上でお話を伺ったほうがわかりやすいと思いますので、そのようにさせていただきます。
 では、よろしくお願いします。

○ 角田初等中等教育企画課課長補佐
 それでは、早速でございますが、資料4につきまして簡単に御説明させていただきます。
 資料の1ページ目、2ページ目にかけてですが、「小規模市町村教育委員会の広域化のイメージ」ということで資料があります。市町村教育委員会が共同して事務を行うためには、地方自治法上、五つの方法、一部事務組合、広域連合、機関の共同設置、協議会、事務委託といった方法が可能となってございます。
 まず、1ページ目の上の段ですが、一部事務組合という方法でございます。この事務は、同種の事務を共同で処理するために、市町村が特別地方公共団体であります事務組合を設置するものでございます。
 次に、下の広域連合でございますが、これも同種の事務に限らず広域で処理が必要な事務を処理するために特別地方公共団体として広域連合を設置するものでございます。広域計画の策定でございますとか、あるいは長、議会について間接または直接の選挙が義務づけられる点で一部事務組合と異なっております。
 次のページの一番上でございますが、機関の共同設置でございます。これにつきましては、特別地方公共団体をつくるということではございませんで、それぞれ市町村の中に置かれます機関を共同で設置し、事務を共同処理するものでございます。今回御説明いただきます小島教育長の羽島郡四町教育委員会は、この方法によりまして教育委員会を共同で設置しているものでございます。ちなみに、全国で七つの共同設置教育委員会がございます。
 このほか、下の二つでございますが、協議会につきましては、これは法人格を持たない協議会を設けまして事務を共同処理する方法。次の事務委託でございますが、これは、ある市町村から他の市町村あるいは都道府県に事務を委託いたしまして、事務を行わせるということでございます。
 3ページ以降につきましては、それぞれの方法につきまして具体的な事例をつけさせていただいております。
 また、6ページ以降につきましては、全国の事務組合あるいは広域連合の一覧をつけさせていただいております。
 説明は以上です。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、小島教育長から御説明をお願いいたします。

○ 小島意見発表者
 岐阜県羽島郡四町教育委員会の教育長を務めております小島理生でございます。拝命いたしまして2年余というところでございます。
 初めに、羽島郡について紹介させていただきます。羽島郡は岐阜県の中央南部に位置しておりまして、北は岐阜市と接し、南側は木曽川が流れ、愛知県の県境となっております。平たん地で、比較的小さな郡でありまして、東から川島町、岐南町、笠松町、柳津町の四つの町で構成されております。
 実は、今日は課題をいただいておりますが、初めに、羽島郡の四つの町と教育委員会の現状を聞いていただきたいと思うわけです。
 35年前に四つの町は教育委員会を共同設置としたわけでございますが、近ごろ、東のほうに位置する川島町は、さらにその東側にあります各務原市と合併、調整がうまくいきまして、今年11月、各務原市への編入ということになりました。他の3町は岐阜市との合併協議会を持ち、調整を図ってまいりましたが、3町のうち、一番西側の柳津町は、昨日、岐阜市との合併協議を引き続き進めることを決めました。しかし、残りの笠松町、岐南町は合併協議会から離脱し、それぞれ単独の道を歩むことを先週決めました。四町教育委員会はまさに引き裂かれようとしておるわけでございます。こういう状況の中でお話しすることは大変むなしく、また悲しくも感じておるわけでございます。
 しかし、35年間、共同設置でやってこられた、そのことだけでも、私は、歴代の教育長たちはすごい人たちだなと、心から敬服しているところでございます。実質的にも、学校教育、社会教育ともに、岐阜県としては先進的な事業などを次々と展開され、実績を上げてこられました。そういう歴代の教育長の先見性とか説得力だとか行動力はすごいと感じているわけですが、あわせて教育委員方の理解、御努力、御協力、また各町長や議会の先見性、努力、財政的支援、こういったことにもすごいものがあったと感じているところであります。
 少し前置きが長くなりましたが、これからそれらの一端を紹介しながら、共同設置にしてのメリットなどを話したいと思っております。
 四つの町が教育委員会を共同設置とした背景についてでございますが、資料の1ページの「2」でございます。
 四つの町にはそれぞれに様々な行政課題を抱えていたわけでございますが、教育行政について言えば、大きな課題として、教職員の人事がありました。今でもそうですが、羽島郡を生活の本拠地にしている教職員は10%そこそこだった。安定して勤務し、地域を理解し、根づいてくれる教職員が欲しい、そして優秀な、経験豊かな先生を確保したい、こういうのが共通して四つの町の教育委員会の願いであったわけでございます。
 また、年々、専門化、複雑化する教育行政の事務処理だとか指導行政などの課題に対して、各町の行政職員だけで処理していくことは大変困難なものがあったわけです。
 一方、一般行政につきましても、昭和30年代後半、全国的にもいわゆる昭和の大合併といううねりの中で、当時の羽島郡でも合併、市制施行を模索する動きがありまして、教育行政につきましては、広域化できないかという検討がなされていたわけでございます。
 こうした背景と関係者の熱意によって、資料の1ページの「3」でございます、昭和44年7月25日に岐阜県としましては初めて共同設置の羽島郡教育委員会が発足したわけでございます。
 この共同設置、つまり機関の共同設置という方式は、地方公共団体の執行機関を簡素化し、経費の節減に資しつつ、合理的な行政を確保する、そんなところにねらいがあるわけですが、教育委員会の統合方式としましては、法的な構成が比較的簡単で、むだも少なく、合理的な方法であると今も思っております。
 構成団体の概要につきましては、資料の1ページの「4」のようでございます。昭和44年、共同設置当時と現在と比較して見ていただけるようにしておるわけです。
 続いて、事務局の体制でございます。2ページの「5」になります。
 現在、教育委員会の幹事町は岐南町でございまして、事務所は幹事町の庁舎に隣接した施設に置いております。組織体制は、総務課、学校教育課、社会教育課の3課で、職員は15名でございます。総務課4名は幹事町からの出向職員でございます。学校教育課は3名で、いずれも教員系の割愛職員であります。8小学校、3中学校を管轄しており、教員の人事、研修、指導等に当たっております。学校の予算や施設の改修とか維持・修繕、こういったことについては教育委員会を外れまして、各町の学事担当課が所掌しております。社会教育課は8名で、7名が教員系の割愛職員でございます。1名は嘱託員です。うち4名を各町の公民館に社会教育主事として派遣しております。これだけの体制をつくっていただけたということは当時としてすごいことで、各町の町長あるいは議会の努力と県教育委員会の理解、協力なくしてはできなかったことだと思っております。
 教育委員の選任につきましては、2ページの「6」のようでございます。教育長を除き、各町からの推薦で教育委員4名を選任しております。選任の方法につきましては、関係団体の長が協議により定めた共通の候補者を、それぞれの議会の同意を得た上で幹事町の長が選任しております。歴代を見てみますと、それぞれの町からの教育委員さんは、各町の代表者としてふさわしいといいますか、地域の方も信頼し、一目を置かれるような方で、医師とか、地元企業を支える経営者とか、お寺の住職とか、そういった方が歴任してみえました。
 次に、四町教育委員会の予算でございます。3ページの「8」になります。教育委員会予算は四つの町の負担金で賄われております。負担割合は共同設置規約に定めておりまして、2ページの「7」の表でございます。御覧いただきたいと思います。
 続いて、四町の議会・首長との関係についてお話しさせていただきます。3ページの
  「1」、「2」というところでございます。
 各町の議会や町長とのかかわりについては、教育委員会の円滑な運営と教育行政の向上を目的としまして、羽島郡四町教育委員会運営協議会が設置されております。これは、共同設置規約や条例の制定・改廃、予算決算、教育振興の重要事項について協議していただく会でございます。構成は、関係の町の町長・議長から成りまして、年2回程度開催しております。
 また、共同設置の教育委員会は、地方自治体の執行機関でもありますので、各町の町長や議会に対して、それぞれの町の教育委員会としての任を果たしておるところでございます。例えば、各町の定例議会への出席、学校教育、社会教育等の重要事項の協議や決定、そういったことでございます。
 続いて、教育委員会共同設置の利点、また課題についてお話をしたいと思います。4ページでございます。
 まず、総務関係の利点につきましては、教育長報酬や教育委員報酬等の関係する費用が4分の1の経費で済むということでございます。
 二つ目は、広域的な団体の育成に対応することができる、それに、補助金についても一本化できる、そんなことで経費の削減につながるかと思います。
 さらには、単独では購入が困難な備品もそろえることができて、郡内の教育施設の共有備品として広く活用できる、そんなこともございます。
 次に、総務関係の課題としましては、各町の財政力や担当職員数が異なるために、郡内の各種ソフト・ハード事業の均一的な向上を図ることが困難な面がございます。
 次に、統合の教育委員会として心がけなければならない点として、教育委員会が各町にとって離れた存在にならないよう努めることが重要なことと考えております。
 次に、学校教育の利点あるいは課題についてお話しします。
 利点につきましては、まず、人事を行えるメリットが挙げられます。人事管理が一つの町から四つの町へと広域化することによって、教職員の特性を生かした適材適所への人的配置がしやすくなる。このことは、特色ある学校づくりだとか、学校の活性化に大変大きく貢献していると思っております。
 二つ目の利点は、各学校の指導をきめ細かく行うことができることです。4町内には11校の小中学校がございます。各学校へ教育委員会の訪問を初め、教育委員の訪問など、年に3回から4回ほど訪問して、教育課程の進捗状況の様子あるいは今日的な学校教育の課題、そんなことをつかみ、きめ細かな指導とともに、教育行政に反映させる、そういったきっかけになっているところでございます。
 三つ目の利点は、教育委員会の独自の教員研修だとか事業が展開できるということです。現在、20を超える事業を行っておりますが、共同設置の教育委員会であるがゆえに、効率的に、多面的に、多様に展開できているという思いでいます。4ページから5ページにかけて幾つか紹介させていただきましたが、「豊かな体験活動」推進事業についても御覧いただきたいと思います。その他にも、近年、国際交流、英語活動等にかかわりまして英語活動支援事業、それから、不登校対策としましては、大学生が不登校の児童生徒の家庭を訪れて交流するというような「フレンドリーカウンセラー派遣」事業などができておりますし、また、教職員対象研修事業としましては、教職員にも大変人気がございますが、教職員海外特別研修、また、若い教職員を対象としました民間企業研修などを実施しております。
 何よりも、共同設置した良さには、これらのほかに、学校教育会という先生たちの任意の研究団体のことです。郡内の会員数が270名ほどです。先生たちの研究部会といいますと、大体10ぐらいの部会がどこの市、町でもつくられておるわけですが、そうしますと1部会30名というような程度で、適正な規模で、それぞれが役割を持ったり、あるいは発表が行えたりというような、適正な規模で研修会、研究会が小中合同で実施できるというところにあります。教職員の資質の向上とか指導力のアップ、また、それぞれの学校の特色ある教育活動が、人事異動とあわせて郡内の他校へ広がっていくというようなよさがあるととらえております。
 ただ、学校教育における課題について1点申し上げますと、35年前とは県の人事施策も随分変わってまいりました。隣接する岐阜市の教職員の年齢が高年齢化してきているというようなことを解消する施策が本格化してまいりましたので、隣接する私たちのほうへもそれが波及してきて、腰を落ちつけた教育への取組が課題というようなことになってきております。
 最後に、社会教育の面で利点、課題についてお話ししますと、5ページの中ほどでございます。
 先ほども言いましたように、四町教育委員会に多くの職員が配置できるという点です。社会教育課だけでも事務局に9名もの職員が配置され、そのうち各町の公民館に4人の教員の社会教育主事を置いております。加えて、県派遣の社会教育主事が各4町間の連絡調整に当たるなど、その十分な配置によって、郡全体の社会教育の進展に大きな効果あるいは成果を上げていると思っております。
 2点目で、郡で連合体を組織して研修ができるということです。郡内の四つの町に社会教育におけるPTA、各種スポーツ団体・文化団体等の連合体が組織され、郡単位の大会、研究会、研修会を開催することができます。その結果、郡全体の社会教育のレベルアップに大きな役割を果たしているところでございます。
 3点目は、各町の特色ある生涯学習活動が定着してきたということでございます。共同設置といえども、教育委員会は郡全体の社会教育の方針と重点は立案をいたしますが、各町の実態に即した、特色ある社会教育活動の創造、そんなことを常に優先するように努めております。その上で、社会教育団体の育成や関係職員の研修、その充実と強化、指導力等の向上を図っているところでございます。

〔結城文部科学審議官出席〕

 その結果、社会教育関係者が切磋琢磨し合い、研さんを積んだ職員の創造性や企画力・実践力が高まりまして、共同設置以来、それぞれの4町の公民館がそれぞれに文部大臣表彰を受賞しているというようなことも成果と言えるかと思っております。
 利点の四つ目は、各町に地域のコミュニティ文化が育ち、連帯感が醸成されてきたということが挙げられます。人口や行政規模から見て、人の顔が見える規模の町だからこそ、生涯学習のまちづくりの中で各町ごとに住民へのきめ細かな学習サービス、地域に合った施策が展開できる、そして、郡全体にまで地域の連帯感やコミュニティ文化が生まれてきたと実感しているところでございます。
 最後に、社会教育における課題について2点申し上げますと、一つ目は、連携してきたわけでございますが、各町の町民意識がネックになっている。合併問題もそうだと思っておりますが、行政の中でも教育委員会のみが共同設置である関係から、公民館等の生涯学習施設が他の町の住民に対して学級だとか講座の参加を呼びかけ、広域連携講座を開催したいと思いましても、各町の閉ざされた町民意識が逆に障害になっておる、そんなことがあります。
 2点目は、教育委員会としての性格上の問題があると思いますが、本郡は羽島郡教育委員会ではなくて、四町教育委員会としての位置づけであります。そのために、同じことを四つやるわけでございます。4倍の労力をかけることになります。私はもちろんのこと、教育委員会事務局の社会教育課には5名の職員がおりますが、四つの町の特色を尊重した4倍の対応は大変なものがございます。十分にできない場合もあるというようなわけでございます。
 四町教育委員会の活動について、35年の歩みを踏まえてお話しさせていただきました。御清聴ありがとうございました。

○ 鳥居部会長
 どうもありがとうございました。
 皆様の机の上に資料5が配ってありまして、そこの2ページを御覧いただきますと、県別の町村合併の数字がございます。真ん中辺、21番が岐阜県でして、平成16年が16市80町村、合計で96、今年が20市60町村なのですが、平成16年4月1日現在の「今後の見込み」というところを見ますと、20市6町になることになっています。だから、要するに、町村の数が80からたったの6に激減する、そのうちの二つが、今共同でやっていらっしゃる4町のうちの二つになる可能性があるわけなのですね。

○ 小島意見発表者
 まだどうなるかわかりません。

○ 鳥居部会長
 何かそういうお話を伺うと、寂しいような気もいたします。
 最初に一つだけ確認のために私が御質問させていただきますが、お配りくださいました資料1の4ページの真ん中辺に「学校教育関係の利点について」という場所がありまして、その「1」で、先ほども教員の人事異動がやりやすいという話がありましたが、後のほうでは県の人事のお話も出てまいりまして、要するに、この4町の学校の先生の人事は県の教育委員会がやっているのか、それともこの4町の教育委員会がある程度のことはできるのか、その辺はいかがでしょうか。

○ 小島意見発表者
 もちろん県の広域的な人事施策も含めながら人材をいただいてくるわけでございますが、それを羽島郡四町教育委員会で異動を図っておるということでございます。もちろん、郡内の教職員につきましては独自にやっておるというようなわけでございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御質問がございましたら、どうぞお願いいたします。
 浅見委員、どうぞ。

○ 浅見委員
 今までいろいろ伺ってきた中で、首長と教育委員会との間にいろいろな問題がある、またはそこが非常にうまくいっているところはうまくいっているというようなお話をずっと伺ってきたのですが、小島さんのところは4人首長がいらっしゃるわけですね。こっちとはうまくいって、こっちとはうまくいかないとか、そういうような問題は起きないのでしょうか。

○ 小島意見発表者
 そういうことはございます。近年でいいますと、財政力が大変弱くなりまして、そういったところが大きな原因だろうと思います。なかなか思うように進まない。
 例えば、教育委員会で協議いたしましたことでは、学校も少人数指導というようなことで、それを支える教員が要るということを熱っぽく語る中で、運営協議会では、それでは各町2人ぐらいはどうだろうかと。各町単独で講師を雇うということでございますが、これがついには足並みがそろわなくなった。ある町は2人だけれども、ある町は6名雇うことができるというようなことがあったり、あるいは、このごろでは、教育課題も、家庭教育の充実だというようなことが課題になってまいりました。そうしますと、どうしても各町の民生部とか福祉課というところとタイアップしなければならない。私、教育委員会のほうとしましては、福祉にある研究・研修部分を教育委員会に抱え込めないか、そうすることによって、母子手帳をもらう時点から職員を通じて若い母親、父親たちに研修をさせるということができるのではないか。そういうことが、ADHDだとかLDだとか、あるいは虐待だとかというようなことを未然に防ぐことになっていかないかというようなことを提案しましても、各町の行政組織が違うという面がございます。ですから、なかなかそれが一本化できないというようなこともございます。そういったことで、なかなか思うようにいかないものが幾つかあるというのが現状でございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 どうでしょうか、そのほかに。
 千代委員、どうぞ。

○ 千代委員
 一番最後の課題の中で、四町教育委員会として位置づけられてきたために4倍の労力がいるというのは、今のことに関連してでございますか。

○ 小島意見発表者
 はい。議会もそうでございます。4町の議会に対応しなければなりません。4倍の労力が要るということについては、特に社会教育は、歴史的に合併をする前から公民館を拠点にして地域のコミュニティ文化は醸成されてきておりますので、そういったことを尊重しながら社会教育活動を展開していこうと思いますと、そういう基盤に立たなければならないわけでございます。各町それぞれ特色がありますので、それらに束ねて一様にというようなことができにくいという面があるわけでございます。

○ 鳥居部会長
 稲田委員、どうぞ。

○ 稲田委員
 今のことと関連するかもわかりませんけれども、いわゆる教育長として4人の首長を相手にしなければいけないから、やはり調整能力というか、そういうことも必要になってくるでしょうし、生涯学習そのものにしても、やはりかなりレベルの高いところからいろいろ4町を見ていって、これをまたコントロールタワー的な役割も求められると思うのですけれども、日ごろ一番力を入れておられるといいますか、留意されている点というのはどういうことですか。

○ 小島意見発表者
 各町には社会教育委員とか公民館運営審議委員といって、地域の学識者で組織している団体がございます。ここの御理解を得るということが、各町の首長たちを動かしていくもとにもなっております。こういう人たちにどれほど課題となっておることを具体化し、理解していただいて、力になってもらうか。例えば、合併というようなことを機にしまして、各町にございます、文護審と言っております文化財保護審議委員会。各町にはそれぞれ様々な文化財があるわけでございますが、こうしたものをどうやって町民の方々に啓発していくかというようなことにつきましては、とにかくそれは地域の人たちにとって宝ですので、大事にしなくてはいけない。合併を機にどういう調整案が出たかといいますと、もう一度岐阜市と合併したときに文化財の認定等は見直しをするというような調整案が出たわけです。これに対して、それでいいのか、皆さんが文化財として掘り起こし、啓発してきたことが、岐阜市の物差しに当てはめたときに、それは何の価値もないものだというふうにとらえられたらどうするのだとかというようなことで、私なりの迫り方で文化財の関係者等を啓発いたしまして、それはきちっと地域に残していく形で今後も進めていかなければならないというように持っていったようなことが最近の例としてあるわけです。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 そのほかに御質問はございましょうか。
 どうぞ、吾妻委員。

○ 吾妻委員
 資料の2ページの組織のところですけれども、学校教育課で割愛が3名、社会教育課で割愛5名、合計8名になるわけですね。この8名の割愛の職員の経費といいますか給与といいますか、これはどこから出て、どのぐらいの総額で金額になるかちょっとお聞きしたいことと、それから、4町それぞれの議会と教育長、教育委員長の出席のスケジュールといいますか、その辺はどのようになっているのか。これは、議会は4町ばらばらで行われるわけでしょうから、その辺の日程調整なども含めて2点お伺いしたいと思います。

○ 小島意見発表者
 その事務局職員の組織図の下に予算というのがございます。平成16年度特別会計予算、四町教育委員会は1億6,000万円ほどの今年度予算でやりくりしているわけでございます。ほとんどが人件費でございます。ここから割愛職員の給料等は出ておるわけでございます。
 それから、四つの町の議会対応でございますが、ちょうど今、議会の最中でございます。これは各首長、議会との了解の中で、私が出られない場合は、課長が教育長代行として出るということを認めてもらっておる中で4町の議会をこなしておるようなことでございます。

○ 鳥居部会長
 この後、小島教育長には今日の会の最後までここにおいでくださるというお話でございますので、また後で機会がございましたら、また追加の御質問、御意見等ございましたら、この後随時いただくことにいたしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、お二方の意見表明をお願いしたいと思います。
 最初は埼玉県松伏町長の千代委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 千代委員
 私に与えられた時間は約10分です。その間で概略のみお話しすることになると思います。
 まず、緑の袋を広げていただきたいと思います。なかなか文書に全部まとめることは難しゅうございますので、それの一番上に「松伏町の教育に関する資料」というものがありまして、そのプリントの「1」から「8」までが今回の資料でございます。後ほど見ていただければ結構ですが、「3」、「4」、「5」の『こども・未来・まつぶし』というのは年に数回出しておりまして、この「3」、「4」、「5」、No.6までが最近号でございます。昨年から行いまして、これは保護者だけに配っているのではなしに、町内全戸に配布しているものでございます。
 それから、「6」の「平成15年度 文化のまちづくり事業報告書」は文化庁の支援事業によるものです。
 それから、「7」の「平成14年度 生涯学習まちづくりモデル支援事業実績報告書」というのは文部科学省の支援によるものです。
 こういうような資料を入れておりますので、どうぞ御覧になっていただきたいと思います。
 松伏町は埼玉県90市町村の中の一つでして、県の東の端に位置しており、近隣の大きな市は越谷市です。江戸川を挟んで千葉県野田市ともつながっているところです。人口は3万1,000人を数えている、最近非常に人口が伸びている、田園と都市の共存した町です。
 私もここの町長に就きまして3期12年目になりました。いろいろと教育にも携わってまいりましたけれども、問題点がかなり多うございまして、先日からのこの会議における検討の中でも思い当たるところがたくさんありますが、原理的な考え方で今回はリポートを出しましたので、それを御覧になっていただきたいと思います。

〔布村生涯学習政策局政策課長退席〕

 今年度は非常に合併問題がかまびすしくなっておりまして、来年の3月31日で合併特例法が切れるということから、各市町村も非常に合併に忙しい毎日でして、埼玉県は特に90市町村ありますのが、合併成立後予定では50ぐらいになるのですが、さてどこまで合併が成立するかはまだわかっておりません。松伏町も人口3万ですが、隣の5万8,000人の吉川市と合併いたしまして、これは新設合併、対等合併でございますが、約9万数千人の市になるわけでございます。
 そういうときに当たりまして、このところよく問題にされております教育特区の問題等がまた取り上げられそうであります。教育特区というのは、日本における一つの市場原理を出そうという対策の一つだろうと思っておりますが、ヨーロッパに比べますと、この考え方は非常に遅く、今ごろになって入ってきたわけですが、民間企業が参入されたり、学校選択がされたりしながらやっていきますと、今度は公平性、平等性に欠けるのではないかというような問題も一方では出てきております。今、地域ごとに教育特区が出ますと、今度はそれに対する反論も出てくるだろうと思います。そういう不公平の是正は、やはり国、県、市町村の関与が必要だろう、こういうように思っております。
 そういう意味で、中央集権制度から地方分権制度への移行が急速に進んでおり、また、社会の流れが少子高齢化に移っておりますので、教育の理念や制度等も全く新しい視野でとらえ直す時代になったのではないか、と思っております。
 それで、私としては、基本的には、教育委員制度は残すとしましても、一度この制度の全面的な見直しを図るべきであろうと思います。個々の問題はいろいろ出てまいります。しかし、行政が新しく離合集散が始まり、新しい考えになりますと、地方自治体、都道府県レベルで、また市町村レベルでの教育委員会制度といいますか、それをもう一度見直すことによって、これまでの、教育は教育だけに任すということから、行政のレベルでとらえ直して、住民がそれに対して対応していくというような考え方から、県・市町村における条例化をもう一度やり直してみてはどうかというのが私の考えでございます。
 2ページを御覧になってください。ここでは、市町村数の現状が、現在、平成16年4月1日に、一番下のほうに書いてございますが、3,100まで減っております。まだまだ急速に市町村合併が進んでいきますと、規模が相当大きな市町村合併が成立していくだろうというように予測されております。
 そういう状態になりますと、地方分権が推進してまいりまして、市町村間の活性化が非常に顕著にあらわれてくるであろうと考えられます。当然、都市間の競争や広域による連携も活発になってくるだろうと思っております。
 都道府県と市町村の従来の従属的な構造が改善されまして、都道府県と市町村の役割分担が明確化されてくると思っております。そこから3,200あります現在の市町村の独自政策の推進が容易になってきます。こうなりますと、それぞれの市町村において、教育行政における独自性も主張される時代になってくると考えてよろしいのではないかと思います。
 国の三位一体改革の中で、地方への税源移譲が特におくれておりますけれども、それも急がねばなりません。今、総額裁量制が教育関係では言われておりまして、この総額裁量制が、ひいては一般財源化するとなりますと、教育の独立性、自主性が非常に侵されるような時代が来るのではないか、こう思っております。教育の自主性、独立性を担保するためには、やはり住民による教育の問題としてもう一度教育委員会制度の見直しが必要になってくるだろうと考えているわけです。
 4ページを御覧になっていただきたいと思います。
 それで、一つの考え方なのでございますが、これからの制度の中で一番大きな問題は、小中高の教育だけでなしに、これからは家庭教育とか社会教育とか生涯学習を包括した教育委員会でなければならないとすれば、それをもう少し明確化する必要があろうと思っております。現在見られる家庭の崩壊や学校の治安の悪化ということも、地域との密接な連携が必要でしょうし、首長部局との連携も当然必要になってくるだろう。こういうことをまず考えますと、教育委員会制度をもう一度見直さなければならないという考えで私はおります。
 そのためには、国で教育委員会の在り方の緩やかな指針を示してほしい。教育委員会の政治的中立性・安定性・継続性は担保として、その上で、都道府県・市町村自治体それぞれが教育委員会の見直しを求め、条例を制定していく義務づけをしてはどうかと私自身考えているところです。
 これは、国の指針に基づいてはいますけれども、住民の合意に基づいたそれぞれの条例を、それぞれの都道府県、市町村が制定するということになり、教育の事業がすべて住民の合意の上に成り立っているとそういう認識に立っているものです。
 市町村は、その規模に応じて、都道府県教育委員会との連携を密にして、新たに定めた教育委員会条例に基づいて、権限、機能、運営を明確化する。この点に問題が随分あります。
 政令指定都市については、都道府県教育委員会とは独立した教育行政を推進することが可能であろうと思いますが、中核市は、人事権その他を含めて都道府県教育委員会と共同で教育行政を推進してはどうか。その他の市町村は、都道府県教育委員会との役割分担を明確化して、教育行政を進める、こういうことが考慮されなければと思っております。
 5ページを御覧ください。
 このように条例を新たに制定することで、教育に対する国民の関心を醸成する、これが大変重要なことであろうと思っております。
 今ある教育委員会制度そのものをもう一度見直しすることによって、住民それぞれが教育委員会への関心を高めるチャンスになるのではないかと考えております。
 その結果、教育委員会の重要性が増大し、責任ある教育行政が可能になる、また、条例の制定によりまして、教育委員会の中立性・安定性・継続性が担保される。首長と教育委員会の関係を明確にすることにもなると思っております。

〔森脇委員出席〕

 教育委員の任命についても、当然その中で論議され、制度化されていく必要があるのではないかと思っております。
 そういう条例をもし作るならば、盛り込まれるべき諸問題を、5ページから6ページまでの間に書き記しています。
 特に松伏町のような、現在3万1千人の町でございますと、人事案件については、県の教育委員会の助力なしには対応することが不可能です。同様に10万都市でも難しかろうというのが、私ども埼玉県の市長会、町村長会で話し合われているところでして、中核市ですら人事については非常に難しい問題を含んでいるのではないかと思います。
 それと同時に、市町村教育委員会の所管する分野の中で、特に今問題をはっきりしておかなければならないのは、幼児教育です。これは、今回、次世代支援の条例等も制定される運びになって、全市町村でやっておりますが、次世代支援というのは子育て支援のことです。官と民の幼稚園、官と民の保育園の関係、また、幼稚園と保育園の幼保連携の関係、社会教育、生涯学習、特に生涯学習分野の教育部局と首長部局の関係等も非常に難しい問題が今起きています。こうした問題は、市町村それぞれで、教育委員会で一応のルールを決めておくことが必要になってくると思います。前回までの会議の中でも、首長が非常にすぐれている場合はいいではないか、凡庸な場合はどうなのだという議論がありましたけれども、そういう首長の才能のいかんを問わず、教育はやはり一定の水準を保つためには、教育委員会条例によってあらゆることが担保されていなければならないと思っております。
 同時に、今、幼児教育等において一番問題になっていますのは、教育と福祉の統合システムです。幼保連携も、我が町においては民間で非常に優秀な幼保連携の団体がありまして、全国から毎日のように視察においでになっておられます。これは、官の施設では幼保連携をおやりになりながら、なかなかうまくいっていないことを示す根拠で、そういう面で、示唆に富んだ幼保連携の施設として私どもはとらえているところです。
 もう一つの問題は、教育委員会が首長部局だとか議会とか学校、地域、家庭との連携と協力をもう少し惜しまないでやっていかねばならないのではないか。これも、地域の方や家庭との連携は、ただ教育部局がやるだけでは済まない問題でして、地域、家庭がさらに学校と協力体制を取る。単に保護者会やPTAだけではなくて、地域全体がかかわっていかねばならないというとき、教育委員会条例を新たに設置することによって、それぞれの立場で合意ができていることが今非常に必要になっていると思います。
 教育委員会委員が教育現場におりていく、いわゆる現場主義ですね、こういう教育委員会の態勢に持っていく必要があるのではないかと思っています。
 それから、もう一つ我が町でも問題になっていますのは、都道府県教育委員会と市町村教育委員会の連携・協力面で問題が出ています。特に教員の資質・技量を維持するために、採用の問題でいろいろと問題が出ています。教員の資質がサラリーマン化してきまして、教員の生徒に与える影響が議論される時代になってきました。これを是正するためには、一定期間内に相当の研修を施さなければならない。こういう場合に、やはり教育委員会条例によってしっかりとした対策を練っておくことが必要であろうと思っています。したがって、予算等も当然それぞれの市町村においてつけなければなりません。
 校長の予算の執行についてもしかりでございます。
 それから、教育委員会の委員の待遇も、常勤の委員の設置を含めてやはり見直してみる必要があろうかと思っています。
 もう一つの問題は、教育委員長と教育長の責任分担を明確にすることでして、議会における発言は教育長にほとんど限られていますし、一方、教育委員長としての教育委員会における発言や地域に対する発言の責任がはっきりしていない、これも新たに考えていかねばならない問題と思っています。
 同時に、市町村の教育委員会と首長部局の関連を横断的に行っていかなければならない。生涯学習に至っては、教育委員会だけでは手に余るものがあります。これも条例化して、はっきりとした枠組みをつくっていくこと、どの時代、どの首長においても、横断的な運用がさらにできるような方向へ持っていくべきであろうと考えています。
 同様に、青少年非行、生徒指導上の諸問題も、教育委員会だけでは今や解決のできない問題です。警察や市町村、地域住民との連携は密にしなければならないし、その諸問題を解決する組織を構築する必要が当然あると思っています。
 また、市町村教育委員会は教育委員会において討議され決定した事項を速やかに住民に知らせる、なるべく詳しく説明していくことが、住民が教育に携わる可能性を非常に高めるものであろうと思っています。
 それと同時に、市町村の教育委員会は常に教育現場の状況を把握するため、いわゆる現場主義に立って保護者や地域住民との連携の状況を詳しく知り、また密にしながらやっていく必要があります。
 これからの地方分権の時代においては、地方のことは地方に任せるという考え方に立って、市町村教育委員会条例を新たに起こすことによって、さらに教育に対する意識が住民の中に広がっていくのではないか。いわゆる教育が聖域であってはならない、もっと幅広く住民が意識を変え、広く教育に関心を持ってもらう、共同意識を高めていただくことがこれから必要になるだろうと思っています。
 松伏町のことについてはあまり詳しく申し上げませんけれども、基本的に町の教育そのものは非常にスムーズに、しかも住民の意見を幅広く聞きながら運営はしていますが、基本的には今言ってきたような問題が合意事項になっていることがこれからは必要になってくる。さらに、合併等によって市町村が大きく変革する。この機会に、地方分権の時代を契機にして、もう一度教育委員会制度というものを見直してみる必要があるというのが、市町村と都道府県との関係及び市町村教育委員会の在り方についての課題に対する私の考えです。
 以上でございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 続きまして、吾妻委員お願いいたします。福島県石川町の教育長です。どうぞよろしくお願いします。

○ 吾妻委員
 それでは、本日の資料3になりますが、レジュメを載せておきましたので、それに沿ってお話をさせていただきます。
 本論に入る前に、「はじめに」ということで、最近の教育改革の流れの中でよく使われる用語といいますかキーワードといいますか、それらについて気になっていることを若干申し上げたいと思います。
 例えば、情報公開、説明責任、結果責任、数値目標、IT、特区、効率化、スピード、株式会社による学校、規制緩和などなどよく出てくるわけですが、これらはいずれも重要な意味を持っている大切な事柄であるということはよく承知をしております。しかし、これらの言葉の多くが、教育的というよりは、むしろ経済的な発想に基づいた言葉のニュアンスを強く持っていることが、私としては気になっております。特に、数値目標とか結果責任などの言葉は、これらを必要以上に強調し過ぎる傾向がないか。教育には、当然のこととして、数値であらわせるものとあらわせないものがあるわけで、結果についても、その時点で求められるものと求められないもの、さらには求めてはいけないものもあるわけです。教育改革の流れの中で、目先の成果を性急に求めるようなことがあまりないように、ミクロの視点での点検は大切でありますが、それ以上に、教育をマクロの視点で、息の長い営みとしてのとらえ方、経済的な視点ばかりではなくて、本当の意味での教育的な視点で教育の方向性を考える姿勢を忘れてはならないと私はいつも思っております。
 これは、ノーベル賞受賞の白川英樹さんが国の予算編成のころに述べられたということで新聞に報道された言葉でありますが、「どんな芽が出るかわからない種をまくこと、すぐには実りが期待できない、実るかどうかさえわからない研究のため国が予算を組むことができるかどうかだ」というようなことを目にいたしたわけですが、これは予算の問題だけではなくて、教育の在り方そのものを示唆しているのではないかなと思って、興味深く見たところであります。
 それでは、レジュメの「1」の「教育委員会制度の意義と役割」についてということでお話をしたいと思います。本日のテーマには3番目になるわけですが、若干触れさせていただきたいと思います。
 「(1)」の「教育委員会制度の堅持と充実」ということでありますが、私は、現在の教育委員会制度は、基本的には堅持すべきであり、その上にさらなる充実を図るべきだと考えております。教育という営みの重要性を考えたときに、中立性、安定性、継続性の確保は何よりも優先されるべきものであります。一部で述べられている教育委員会制度の廃止や首長部局への移管は、そのことによって教育行政が活性化されるという保証があるわけではなく、むしろ継続性、安定性の面での危険性も感じます。教育改革を進めるときに、幾つかの選択肢から任意選択とか二者選択の考え方は有効であると言われておりますが、それはレベルの問題を踏まえた上での話であり、教育委員会制度を考えた場合、この制度を置くか、廃止して首長部局に移行するかというようなことの根幹に関する事柄に選択制をとるのはどうしても賛成はできないと思っております。この選択制の考え方は、文化とかスポーツの分野をどうするかとか、大都市と小規模町村の場合どう考えるのかといった、分野や規模のレベルで有効な考え方として用いるべきではないかと考えております。
 「(2)」の「レイマンコントロールの意義の再認識」についてですが、レイマンコントロールについては何度もこの部会で話題になりましたけれども、教育行政が専門家だけの判断に偏することなく、また、住民のニーズを適切に施策に反映させる仕組みであり、地域、住民から見て、教育委員が教育経験者のみに偏った形で構成されているよりは、地域のいろいろな分野といいますか、各界各層からの代表の方々で構成されているほうが広く支持されやすいと考えております。現在の教育委員会制度に対して、会議の形骸化や名誉職化という指摘があるわけですが、そのような姿は確かにあるとは思いますが、その一方で、すばらしい教育委員会もたくさんあるわけで、要は、人格識見すぐれた人材の発掘と登用に最大の努力をすれば解決のできる問題ではないかなと考えております。
 「(3)」の「教育委員会の権限の強化」についてでございますが、去る5月中旬に全国町村の教育長会が埼玉県川口市で行われました。その中での意見の交換で出てまいりました意見をそのままお伝えしたいと思います。ある方からの御意見ですが、「教育委員会が中立という存在、飾り物で何もし得ないという指摘があるが、予算権や提案権がなくなってしまったという問題、やりたくてもやれない状況に置かれてきたのだ」というような意見が強く出されました。それから、「最近、学校あるいは校長にもっと予算権をという意見があるが、それ以前の問題として、教育委員会に予算権がないという問題をどうするのか」、さらに、別な方ですけれども、「教育委員会に立ち直れと言われても、教育委員会に権限がない。人事権は県教委、予算は首長部局。機能強化をどうするかということがこれからの問題だ」というような意見が強く出されました。そのまま生の声でお伝えいたします。
 次に、レジュメの「2」の「首長と教育委員会との関係」についてでございます。
 まずは、「首長の責任と行政の安定性・継続性」ということについて触れてみたいと思います。
 現在、教育改革を強く叫んでおられる首長がたくさんいらっしゃって、皆様それぞれにすばらしい方々で、非常に熱心で、立派な実績を上げられておられます。しかし、気になりますのは、もしも、個性的といいますか、独創的といいますか、そういうやり方をされた方がかわったときに、その後の継続性、安定性はどうなるのかということであります。
 実は、福島県の町で全国初の公募による教育長が誕生したわけですが、―全国初の公募による教育長、全国から公募をして、実際は埼玉県からの方が教育長になられたわけですけれども-このことをおやりになった当時の町長は非常に改革に熱心で、意欲的に助役制度を廃止して新たな職をつくったり、機構改革を県内のほかの市町村に先駆けてたくさん行った方ですが、結果として、この町長が自分の任期の半ばで辞任いたしました。その辞任に伴って、この公募で就任した教育長が進退伺を出して、その取り扱いの関係で現在裁判に発展中であります。全国に先駆けて初めての公募の教育長を誕生させた町長が任期の途中で自ら辞任してしまう。この公募の教育長は一体何だったのかというような声が町民から聞こえるということも聞いております。この間、現在は新しい教育長が就任しておりますが、実際は裁判中でありますし、かなりの混乱、空白がございました。首長の継続性・安定性というようなことでの一つの不安な材料としてお話をしたわけですけれども、いろいろと考えさせられるところであります。
 「(2)」の「首長と教育委員会との連携協力」についてでありますが、「まちづくりは人づくりから、人づくりは町ぐるみで」とよく言われる中で、青少年健全育成事業や生涯学習推進本部の事務局が首長部局に置かれている場合と教育委員会事務局に置かれている場合といろいろあるようですけれども、今後、文化・スポーツ面などにおいて、それぞれの市町村の実態に応じて、どの部局が中心になって実施するのがよいのか、先ほどの二者選択など柔軟な姿勢での対応を検討していかなければいけない内容なのかなと思っておりますが、いずれにしても、これから首長部局と教育委員会部局との連携の在り方についてはいろいろなバリエーションがあるのかなと思っているところであります。
 「(3)」の「首長部局との人事交流と人材育成」ということでありますが、市町村それぞれの内部の体制でいろいろ差異はあると思いますが、一般的に町、村の職員というのは、教育委員会事務局と首長部局との人事交流がごく普通に、頻繁に行われております。教育行政に秀でた職員がなかなか育たない。指導主事の配置も含めて専門職員の育成をどうするかということが今後の教育の活性化にも非常に重要な問題になるのかなと思っております。
 次に、「3」の「市町村と都道府県の関係及び市町村教育委員会の在り方」についてであります。
 「(1)」の、国・都道府県・市町村の役割分担と各自それぞれの独自性についてでありますが、これは、言いかえれば、地方分権と規制緩和の流れに対する全国水準の確保と保証の問題であります。地方分権の考え方は、今さら確認するまでもなく、大切にしていかなければならない、これは当然のことであります。しかし、だからといって、国、都道府県、市町村といういわゆる縦の流れを否定したり、上意下達というような表現でマイナスのイメージとしてのみとらえることはいかがなものかと思っております。教育という営みは、地域の実態を根底に置いてということは当然のことでありますが、それと同時に、国としての教育に対する基本的な理念が確立していなければならないわけで、国は国として、都道府県は都道府県として当然行うべきことがあるわけで、その中で市町村の独自性をどのように高めていくかということになると思っております。
 また、規制緩和についてでありますが、規制というのは、別の言い方をすれば、国や都道府県が保証をするということであって、緩和ということは各自自由にということですから、国の責任で保証することと、各自治体が独自色を出すことの中でのメリットとデメリットをどのようにとらえるのか、緩和の名のもとに特色や独自性を出すことが、自由に、好きなようにということになって、そのことで全国水準の保証が危うくなったり、地域の格差が大きくなったりしたということになってしまえば、何のための地方分権なのかなという不安も持っております。
 「(2)」の「関与と依存とイコールパートナー」についてでありますが、これは、教育行政の流れの中で、都道府県の市町村に対する関与と、市町村の都道府県に対する依存という形で進んできた両者の関係から、イコールパートナーとしての関係へどのように進めていくのかということであります。このことについては、平成10年9月の中教審の答申以来、両者の関係について見直しが行われてまいりました。今回の諮問文の中にも、教育長の任命承認制度や基準設定権の廃止について述べられておりますが、そのほか、学級編制の認可制が事前協議制になったり、地教行法の「指導、助言、援助を行うものとする」ということが、「行うことができる」とするなど、イコールパートナーに向けての見直しが行われてきたわけであります。しかし、これだけでは不十分と考える市町村と、その反対に、これだけでもその対応に不安を抱く市町村があるということも現実でありまして、都道府県の指導性と市町村の自主性の両者のバランスを教育現場の活性化にどのようにつないでいくべきか、大変重要な課題であると思っております。
 次に、「(3)」の「学級編制、教職員の任命権、教職員研修等々」についてでありますが、これは都道府県と市町村教育委員会との関係の中で重要な課題の例として三つを挙げておきました。
 まず、学級編制についてでありますが、義務教育諸学校の学級編制は、現行の標準法によれば、国の示す標準に基づいて各都道府県が策定した基準に従って、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行うとされております。さらに、市町村の教育委員会は、学級編制について、都道府県の教育委員会に協議し、同意を得なければならないというふうにされております。現行の標準法で、義務教育諸学校の学級は40人で編制されるわけですが、都道府県の実態や必要に応じて、40人を下回る学級を編制することができるともされておりまして、現在、全国で、多数の府県で30人や35人での学級編制が行われるようになってきたと思います。この場合、これは国と都道府県の問題ということになるわけですが、都道府県の事情で、学級が増えた分の教員は県単独の採用となるために、財政上の理由から、正式採用の教員ではなくて、臨時採用の講師で対応せざるを得ないというのが実際であります。したがって、30人学級や35人学級の実現によって、学級が増え、教職員が増えるというメリットは当然あるわけですが、その反面、増えた分の講師の指導力の不安というデメリットが伴うわけでありまして、指導の効果を上げるためには、講師の指導力の向上が不可欠だというふうになってきております。この辺で文部科学省も標準法で30人学級について前向きに検討する時期に入っているのかなと私は考えております。
 次に、教職員の任命権、いわゆる人事権についてですが、現在、都道府県にある教職員の人事権を市町村へ移すということに関しては残念ながら簡単に賛成できないという気持ちです。それを可能にするスタッフとノウハウを市町村レベルで備えることは至難のわざだと思っております。現在の都道府県レベルでの相当大がかりで厳正な採用方法であっても、指導力不足の教員、精神的不安定の教員が出てきます。あるいは、教職員の不祥事の問題が全国的に後を絶たないというのが現実だと思います。そうはいわれましても、人事の務めをしっかりとできるだけの力のある大きな市だけでも実施するということは可能だというふうには思っております。しかし、その場合、優秀な教員が都市部に集中して、過疎地や僻地に希望して行く教職員がいなくなってしまうのではないか、点としての都市部に人材が集中して固定してしまえば、周辺部との格差が広がり、都道府県全体の教育力がダウンしてしまうのではないか、そういう危惧を抱いているところでございます。
 次に、教職員研修についてでありますが、教育を活性化させるためには、教職員の資質の向上が大前提でありまして、そのためには教職員研修の充実が何よりも大きな課題であり、不可欠な要件であります。問題は、この教職員研修の内容と方法に加えて、都道府県で行う研修と市町村で行う研修との役割分担の交通整理がいまひとつはっきりしない点があると思っております。この教職員の研修と任命権の絡みの中で、あるべき姿を検討していかなければならないと思っております。
 「(4)」の「市町村の規模の大小と対応の在り方」についてでありますが、一言で市町村と言いましても、人口が30万、50万の大都市から人口数千人の小さな町村まであるわけでして、教育委員会の事務局職員も、数百人、1,000人を超えるところから、わずか数人で対応している町村も存在するというのが現実であります。こうした中で、国や都道府県から各種の権限移譲を強く求める大都市、それから、教育事務所を含めてですが、県の教育委員会の指導・助言がなければ対応のできない町村まで千差万別であります。私が所属する町村教育長会でございますが、現在、全国に約2,500の町村の教育委員会があるわけですが、現在の市町村合併がどんどん進んでまいりますと、相当数が市に昇格となり、町村の数がその分だけ減少するわけであります。しかし、いかに減少しても、残る町村は少なからず存在するわけで、そこの部分の教育も大きな都市の教育と遜色なく大事にしていく考え方をぜひお願いしたい。そうは申しましても、大都市と小さな町村の教育行政を同じレベルで対応を考えていくのは当然無理が伴うわけでして、大都市から小さな町村まで、幾つかのモデルなり制度の多様化を検討して、それぞれの実態に沿って対応できるようにお願いしたいと思っております。今日、最初の御発表をお聞きして、改めて、そういうやり方もあるのだなというのを実感させていただきました。そのほかいろいろなバリエーションをこれから検討していくべきなのかなと思っております。
 最後に一つ、教育は、特に義務教育は、地域の実態に合致した手づくりの教育を行うべきという話は全くそのとおりでありますが、そのことは、将来もその地域に生きていく人間を育てるということとは若干意味合いが違うと思っております。そこに居続ける人間もいれば、広く世界に羽ばたく人も出てくるわけでして、将来どこに行っても、たくましく生きて、活躍のできる、その基礎となる人間力を培うための義務教育でなければならないといつも思っております。生涯を通した教育、生涯を通した学習の基礎の部分の義務教育は、決して不平等や格差があってはならないと思っております。義務教育は、国の責任で全国共通の水準の確保が絶対に必要であるということを心から念じております。
 ありがとうございました。

○ 鳥居部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、30分ほど時間がございますので、質疑応答をお願いしたいと思います。
 小川委員、どうぞ。

○ 小川委員
 単純な質問なのですが、最初の報告への質問にお答えしていただきたいのですが、配付されたレジュメの4ページですけれども、そこに「国は「教育委員会の在り方」のゆるやかな指針を示し」というふうな規定があるのですが、この国が示す「ゆるやかな指針」というイメージが私自身ちょっとよくつかめないので、説明いただけないかなと思います。言っていることは、恐らく、分権推進会議が言っているような、教育委員会制度を設置するかしないかはその市町村の判断でという必置規制とも違うし、教育委員会の存続を前提に、その運用とか組織の在り方を弾力化するというふうなこれまでの議論ともまた違うというふうなことが、この「ゆるかな指針」というふうな文言からは伝わってくるのですが、なかなか具体的なイメージを持てないので、その説明をいただきたいということと、その場合に、今ある地教行法との関係というのは、もしお考えがあればお願いします。

○ 千代委員
 基本的には、地教行法の基本的な精神は踏まえていくべきだろうと私は考えております。したがいまして、国がその考えにのっとって、今問題とされていることについての方向づけだけを示した上で、都道府県、市町村におろすべきであろう、そういうように私は考えていまして、「ゆるやかな指針」といいますと、私自身もあいまいな表現と思っておりますけれども、そのあたりを教育委員会の在り方の国の方針として決めていく、こういうことに私はなるのではないか。どのあたりから都道府県、市町村にゆだねるべきであるかという提言でございます。そのように御理解いただきたい。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、そのほかの御質問あるいは御意見、お三方どなたに対してでも結構ですし、または御自分の御意見でも結構でございます。
 横山委員、どうぞ。

○ 横山委員
 お二方の委員のお話を聞いておりましたら、実は私、えっと思ったことが1点ございまして、それについての意見をお伺いしたいのですが、千代委員も吾妻委員もそうなのですが、実は今、教育委員会をめぐるいろいろな意見の中で、極端に言えば、教育委員会制度そのものを廃止しろという意見がございます。一方で、特に教職員の人事につきましては、都道府県教委から市町村に移譲しろという、これもまた非常に強い声としてあるわけです。今お二方のお話を聞いておりまして、特に千代委員の場合には、それは仮に中核市だって困難だ、まして町村の場合には不可能に近いという話がございました。吾妻委員につきましても、これは物理的にかなり難しいという話があった。ただ、その物理的に難しいのが、理念として、教職員の人事権というのは、任命権も含めてやはり個々の自治体におろすべきだ、設置者のほうにおろすべきだ、こういうことなのか、その辺のところをお伺いしたいのですが。

○ 千代委員
 3万から6~7万の市町村の教育委員会から県の教育委員会への内申という制度があります。地域にある県の教育事務所から県の教育委員会へ内申上げるわけです。埼玉県で言いますと東部教育事務所とか西部教育事務所がありまして、そこへ市町村からそれぞれ教員の配置転換や採用についての内申を行うわけです。その手はずのほとんどが市町村でやっていまして、県教育委員会はその仲立ちをしているというのが現実です。それぞれの教育長たちが市町村ごとに交換要員を出し合いまして一気に決めてしまうというのが、埼玉県で行われているわけですので、まとめ役だけの県教育委員会であっていいのかという問題も含めて検討しなければならないと思っております。
 それでは、県の教育委員会のほうはどうかといいますと、具体的に現場にいって、対応するだけの人的な配置もありませんし、それをやっていますと人事以外の仕事がとてもできなくなるということで、埼玉県教育委員会も人事の問題についてはなるべく市町村におろしていきたいという意向を現在示しているところです。今、研究課題になっております。
 以上でございます。

○ 鳥居部会長
 吾妻委員、いかがですか。

○ 吾妻委員
 まず、採用と人事異動と若干違うわけでして、まず、採用は、先ほど私が発表したとおり、都道府県レベルで相当研究をして、厳正な採用試験をやって採用しているわけですけれども、それでも、先ほどお話ししたように、指導力不足の教員が出てきたり、子どもの前に立つと突然人間性を失うような教員がいるわけですよね。ですから、これを市町村レベルで採用するというのは、私は至難のわざだと思っております。そんな無責任なことを、できますよなんて私は言えない。
 それから、人事異動につきましては、基本的に、ほかの県は微妙に違うかどうかわかりませんが、人事異動に関しては希望人事なのですよね。希望しないところにはやらない、やれないという大前提というのですか、根底にそういうものがあります。ですから、例えば、県庁の職員とか市町村役所の職員は一発で動くと思うのですが、教員の場合には何度か希望を聞いて、こちらで説得をしてというようなやりとりの中で、最終的に本人がオーケーをして人事が成立するというところがあります。こういう中で、例えば県レベルで申し上げますと、ほかの県のことは言えませんから福島県で言いますと、圧倒的に福島市近辺の出身の教職員が多いわけです。周辺部の出身の教職員が非常に少ない。それを自由にさせておくと、僻地とか、出身者の少ないところには教員がいなくなってしまう。逆に福島市近辺はなかなか地元に戻れないという問題がありまして、そこを市町村レベルでやりとりをしなさいといっても、ちょっとできないのですね。ですから、県の教育委員会の、県全体の教育力のアップ、いわゆる広域人事という言葉を使うのですが、県内全体をなるべく広く人を動かす。先ほど希望人事と申し上げましたけれども、最終的には一人一人の教職員を説得して、バランスよく配置させるというようなことをやっております。そういう実態でございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 どうぞ。

○ 千代委員
 ちょっとつけ加えます。特に私は、権限の問題で県の場合と市町村の場合に非常に問題が起こりますのは、先ほど出ました採用人事におきまして、採用した職員の研修が十分行われないままに市町村に配属されていく、この問題が大変大きいのです。県のほうは1年かけて、90日とか研修期間を置くのですが、その前に徹底した研修をやってもらいたいという要望を出しているのですが、採用に関する制約がありまして、例えば採用前に一月研修ができるかというと、臨任になりますとできないとか、いろいろな問題がありますので、法制上の問題で解決しなければいけないのではないか。非常に厳しい採用試験を乗り越えて入ってくるわけですから、学力等についてはある程度の保証はできるでしょうけれども、新しい先生方の人格もしくは教養について、子どもを試験台にして教室でいろいろやられるのは、私は、首長部局としては非常に心配なのです。例えば不登校の問題の中には、教員が嫌なために子どもが出てこないという問題も幾らかあるようです。ましてや小学校ですと、2~3年の担任を持つ場合があり、それだけで子どもにとって大きな障害になります。おいおい教育していくというのですが、採用に関してのもう少し責任のある研修が県もしくは市町村です。大きな、いわゆる政令指定都市等ではそれをやっていますが、4~5万の市町村においてはなかなかそこまでの対応ができないとなると、県教育委員会と市町村教育委員会の役割分担をもっとはっきり決めるべきであろうと思っているのです。

○ 鳥居部会長
 横山委員、よろしいですか。
 東京都はどうですか。

○ 横山委員
 今の点ですか。

○ 鳥居部会長
 今御質問の件ですね。要するに、東京都の教育委員会が各区の教育委員会に先生方を配るわけでしょう。

○ 横山委員
 東京都の教育委員会としましては、先般、教育ビジョンというオール東京都のビジョンを出しましたが、その中で、教職員の人事については、やはり設置者のほうに移していくのが筋だという考え方なのです。それはなぜかといいますと、やはり東京みたいな広域の場合に、明日はこの市、明日はこの市では、教員というのは組織の中の人間ですから、やはり組織に対するロイヤリティーが生まれて初めてそれぞれのところに根づくのだろう。そういったときに、それでは町村は、例えば、東京都の場合、離島がありますから、そういうところで教員が確保できるのか、あるいは少数教員を採用するにして、そこが非常に硬直化してしまう、こういう意見がございます。ただ、その意見は全く受け入れらないわけで、例えば東京都の離島の町村あるいは僻地がありますが、奥多摩のほうの町村、ここの職員というのは都が派遣しているのですかと。みんな自分の努力で採用しているわけですよ。そのほうがはるかに教員の資質は向上するでしょうし、それぞれの町村に対する、地元に対するロイヤリティーが生まれるでしょうから、それがいいのではないかなと。そうすると決めたわけではないですよ。ただ、そういう考え方が非常に強いということは御紹介申し上げておきます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 片山委員、どうぞ。

○ 片山委員
 私はかねて教育委員会制度の問題意識を申し上げてきたと思うのですが、今の教育委員会制度というのは、市町村長、都道府県の場合だったら知事に、教育に非常に造詣が深くて、教育に理解の深い首長という人を得られれば比較的うまくいくのだろうと思うのです。教育長にもちゃんとした人を据えて、教育委員も、名誉職とかおざなりではなくて、本当に見識の深い市井の人を選ぶということでかなりうまくいくと思います。それから、予算提案権は教育委員会にないというお話がありましたけれども、それも教育に理解のある首長がいればそこそこうまくいく。
 ただ、首長というのは教育だけをめぐっては選ばれませんので、別な要素で選ばれると、まるっきり教育に関心がないとか、とんでもない人が出てくる可能性もあるわけで、そういう場合に、教育が不活性になって、教育環境が非常に悪くなるということになってはかなわない。
 今の教育委員会の仕組みというのは、実は、首長に人が得られなかった場合に誰も責任をとらないという、きちっと説明責任を誰も果たさないという仕組みになりかねないわけで、そこら辺がもどかしいところだと思うのです。保護者の人は非常に教育に関心があって、もっと教育水準を高めてもらいたい、教育に投資をしてもらいたいと思っても、首長が予算をつけない、教育に無関心。教育委員会にそのことを訴えても、教育委員会は、もう予算がつきませんからと、こうなって、説明責任をどこに求めていっていいのか。そこで宙に浮いてしまうということになるわけですね。そうならないために、教育についてきちっと説明責任を果たす仕組みにするにはどうすればいいのかというのが今の一番のポイントだろうと思うのです。
 先ほど吾妻さんが言われたことに私は一つ本質的なことをふと言われたと思って聞いていたのですけれども、教育委員会に説明責任とかと求めるけれども、では予算提案権がありますか、教育委員に提案権がありますかという話になると、ないわけですね。だから、教育委員会にしても、自分たちに説明責任を果たせと言われても、何も手足がないのに、権限がないのにどうすればいいのですかというのが、教育委員会の側としての反論としては当然あると思うのですね。
 一つは、教育委員会に予算編成権を与えたらどうかというのは一つあると私は思うのです、これからの制度設計をする場合の選択として。今のように、首長部局の財政課で査定をされて、それから知事部局のほうでつくる予算の中に盛り込まれて出ていくというやり方ではなくて、教育委員会としての予算提案が議会でできる、これは一つあると思うのです。ただ、その場合には、ではどこからその財源を調達してきますかという話に当然なりますから、そうすると、自前で調達してくださいよということになるわけですね、行き着くところは。そうすると、アメリカのように、教育委員会自身がプロパティ・タックスに上乗せをする、教育税をちゃんと取る。そうすると、これだけ使いますから、納税者の皆さん、来年度のプロパティ・タックスはこれだけ税率を上げさせてくださいということを教育委員会が説明責任を果たさなければいけないという、そこまで行き着くわけですね。私はそれも一つの選択肢だろうと思うのです。
 今申し上げたようなことを、吾妻さんはさっき言われたのですけれども、どう思われますか。教育委員会が予算提案権を持つということは、課税権まで踏み込んでいって、納税者に対する説明責任をきちっと果たさなければいけないということに行き着くわけです。今、首長は多かれ少なかれそれをやっているわけです。税率を上げ下げするということはまずあまりありませんけれども、それでも、税を調達して、それから、国にいろいろお願いをしてお金をもらったり、何やかんや調達してかき集めているわけですね。教育委員会は今そういう権限もないかわりに、そういう煩わしさも何もないのですけれども、本当に権限を持とうと思ったら、課税権まで持たなければいけないということになるのですけれども、そういうのは、教育委員会の皆さんとしてはいかがですか。

○ 鳥居部会長
 どうぞ、吾妻委員。

○ 吾妻委員
 先ほど、教育長会の全国大会のときの声としてそのままお話をしたわけですけれども、そこでは、今、知事さんがおっしゃったような、自前でというところまでの意識でお話ししたのではないというふうに私はとっておりますが、財政状況がかなりよかった時代は、予算権がないといっても、それほど意識をしていなかったと思うのですよね。最近の、日に日にといいますか、年々と言ったほうがいいのですか、地方財政がどんどん厳しくなっていく中で、どうしても教育予算が思うように取れないのですね。教育の重要性を幾ら訴えても取れない。教育長が首長に交渉する以前の低いレベルといいますか、事務局同士のレベルであっさり切られてしまうというのが非常に多いです。それも、削られるはずのないものが削られたり。具体的な例で言いますと、地方交付税に当然入っているはずの図書費までゼロ査定を受けたなどという町村の話も結構耳に入ってきております。ですから、そのぐらい地方自治体は財政が厳しいわけでして、そうすると、当然、先ほど御報告したような、これでどうするんだと、一方では、校長にもっと自由に使えるお金をあげなさいという世間の声の中で教育委員会といいますか教育長が板挟みみたいな、そういう意味での発言で、今おっしゃられたようなレベルまではまだまだ行っていないと思います。

○ 鳥居部会長
 今日はちょっと時間の関係で突っ込んだ話はできそうもないのですけれども、初等中等教育分科会の中で義務教育費の国庫負担の審議が行われています。既に報告書が一つ出ておりますが、要するに、簡単に言うと、もし財源を地方に移すとすれば、住民税でやることになるだろう。そうすると、住民税は今かなり傾斜がかかっていますけれども、それをフラットの税率にして住民税にかける。そこまではいいのですけれども、今の片山委員のお話のように、それから今、吾妻委員からもお話がありましたように、もし住民税にかけていったとすると、その住民税は相当都道府県によって差が出てきてしまう。しかも、差が出た上に、あまり出せないという県ほど、その中でまた切ることになりかねないという心配がありますけれども、その辺の感じはどうでしょうか。ちょっとお願いします。

○ 片山委員
 そういう心配はあるのです。ですから、私が先ほど言いましたように、教育に造詣の深い人が出たときには問題はそんなにありませんけれども、教育はあまり大したことないと思う人が出たときには、一般財源にした場合には教育費に回らない可能性があるのですね。今でもそれはありまして、例えば、いみじくもさっき吾妻さんが図書費の話を言われましたけれども、例えば学校図書館の図書費とかは一般財源になって、交付税で措置されたことになっているのですね。それをざっと眺めてみますと、やはりちゃんとそれぐらい使っているところ、それから使っていないところがあるわけです。それを見ると、やはり、交付税だから何に使わなければいけないという義務ではないものの、一定の目安を示されているのに、それを猫ばばしてほかに使っているというところはたくさんあるわけです。私の県は市町村ごとに全部それを並べて、猫ばばしているところは一覧表にして全部わかるようにしていますから、恥ずかしくてできないので、大体うまくいっているのですけれども、よその県へ行きますと、やはりそうでもないですね。これが、義務教育費が一般財源になったときに、私のところなんかはちゃんと使いますけれども、そうでないところはたぶん出てきますね。それをどう評価するか。それはその地域の見識だからしようがない、落ちるところまで落ちて、そこからはい上がるのを待つといういき方と、それではしかし国家としてやはり国民教育をちゃんと責任持って果たせませんねという、そこがポイントだと思うのですね、そこをどう考えるかということだと思うのですね。
 それをめぐって議論があったらいいと私は思うのですけれども、ただ、その場合、やはり凡庸 ―凡庸というと失礼ですけれども、あまり教育に造詣が深くない首長が出ても教育財政はきちっと賄われるというような保証がやはり教育行政システムの中にはビルトインされていないといけないと思うのです。それをどうやってビルトインするか。今の教育委員会のシステムだったら、凡庸な人が出たら、たぶん教育費は減ると思うのです。だから、誰が出てもある程度のところはきちっと担保されるような教育委員会行政組織をつくって、それで比較的財源のところは緩やかにするというのはあると思うのですけれども、今のままだったら、国家的立場から見たらかなり問題あるだろうと思いますね。

○ 鳥居部会長
 時間がなくなってきたのですが、土屋委員、どうぞ。

○ 土屋委員
 事務方にお尋ねしたいのですけれども、文部科学省のホームページを見ていましたら、義務教育はナショナルミニマムと書いてあったのですね。私はナショナルスタンダードではないかと思っているのですけれども。第25条と第26条は違うのではないかと思うのですけれども。結局、今の議論は、国家としての教育をどのように制度化し保障していくかという話と深く関係する問題だろうと思うのですね。ですから、私は、義務教育というのは、都道府県の義務でもないし、市町村の義務でもない、広い意味で国全体の義務だと思っているのですけれども、それは単なるミニマムなのか、ミニマムだと、あとは自己努力しろというのか、ミニマム以上にやりたい人は塾でも行かせたり、そういう努力をしろというのか。ホームページに書いてあるのはどういう意味でしょうか。これは今後の教育論を議論するときに非常に大事な問題だと思うのですけれども。

○ 鳥居部会長
 事務局のどの辺から返事が出てくるのか……。

○ 樋口初等中等教育局担当審議官 ナショナルミニマムのお話が出ましたけれども、御案内のとおり、ナショナルなミニマムスタンダードということで、教育内容行政についても、あるいは教育条件整備行政についても、ミニマムスタンダードはきちんとやりながら、そして実際に教育事業というのは、市町村立学校でありますれば市町村の事業として行われるわけですので、ここで特色ある教育を行っていただくという意味でローカル・オプティマムを働かせる。義務教育についても、これからは共通的なものはきっちり押さえながら、各地で創意工夫を凝らした教育をやっていただく、そういうことを教育内容行政でも条件整備行政でも進めていこうということであろうかと思っております。

○ 土屋委員
 難しいですね。わからない。

○ 鳥居部会長
 では、挙手の順にいきますけれども、森脇委員、藤田委員の順番でお願いいたします。

○ 森脇委員
 私は私立の短期大学の者なので、一度お尋ねしたいと思っていたことがあります。それは、社会教育とくに生涯学習を、それぞれの地域で教育委員会を中心におやりになっていると思うのですが、そのときに、私学との連携を首長や教育委員会がどのようなお考えで進めてられるのかをお尋ねしたいのです。ただ私学から講師の先生を呼ぶというようなレベルではなくて、大学とのコラボレーションによる事業を展開されているのかどうかという実態をお尋ねしたいのです。
 その背景には、私立の短期大学は、地域貢献あるいは地域交流にすごく力を入れようとしているのですけれども、実際には公開講座の開催を一つ取り上げても、短大の方から実施がなかなか難しいという声が聞かれます。それはなぜかといいますと、教育委員会が公民館などでおやりになると、人件費も会場費も非常に安くおやりになる。そうすると、私立の大学がせっかく一生懸命地域への貢献をしようと思っても、すごい赤字になってしまうということがあります。この辺を首長が調整を実際にしておられるのかどうか、こうした大学・教育委員会とのかかわりの実態をお教え願いたいのです。

○ 鳥居部会長
 千代委員、今日お配りになった資料の中に聖徳大学が載っていますよね。今の御質問にちょっと答えていただけますか。

○ 千代委員
 私のところで、松伏町と聖徳大学との間で共同で文化のまちづくり、-私のところは「音楽によるまちづくり」というのを標榜しておりまして、かなりすぐれた音楽ホールを持っておるのですが-それを活用しながら、町民の文化活動についてもっと多様にやっていこうとスタートしたわけです。その後、文科省に続いて文化庁が引き継いで、今年度は生涯学習全国協議会から補助金をいただいて、3年目に入るわけですが、その活動から新しい芽が育ってきました。それぞれ人々がそれぞれの分野においてエキスパートになっていきますと、その人たちが新しい生涯学習を築き上げていく。官ではなしに民間が育て上げるという考えになっていただいてます。こういうことから、大学のすぐれた方々をお呼びし、その知恵や力を活用することができると思っているのです。そういう面では、市町村と大学の関係についても、やはり教育委員会なり首長部局なりが密接な関係を持ってやっていきたい。これも最初は文部科学省からの示唆でして、予算がついているが、やってみる気持ちはないかという提案がありまして、それで聖徳大学を選んだのです。ふだんの聖徳大学の御活躍をよく見せてもらっていましたから、早速対応したわけでして、埼玉県と千葉県という、境界を越えた連携を今もってやっているところです。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、最後になりますけれども、藤田委員、どうぞ。

○ 藤田委員
 時間が限られていますので、今日ではなくて結構なのですが、先ほどから出ていました予算と人事の問題は、やはり今後の教育委員会制度の在り方を考える上でも、きちっと詰めて検討したほうがいいと思うのです。私は、人事については前々から、学校にまでおろすのは問題が大きいと思うのですが、都道府県よりも少し下げて、どのくらいのレベルにまで下げるのがいいのかわからないのですが、案外地方で採用しても、先ほどちょっと横山委員も言われましたように、地域に愛着を持ってやっていく、それなりの先生を採用することも不可能ではない。市役所の職員等がそうであると同じように。そういった意味では、市町村におろしたらいい人材が集まらないかというと、必ずしもそういうことはないのではないかと考えられるわけです。ですから、これも、ただ、どこまで本当にそれが可能かどうかというのはなかなか難しい問題がありますから、就職難のときにはやはりいい人が集まることもあるでしょうし、いろいろありますから、採用と交流の在り方を含めて、もちろん人件費等をその後どういうふうに調整していくかもいろいろ問題はあると思いますが、その辺を一度きちっと検討して、幾つかのオプションが考えられると思うのですけれども、そのシミュレーションを少ししたほうがいいのではないかと思ったことと、2点目は、予算のことなのですが、義務教育費国庫負担制度については別の部会で検討されているようですけれども、私は、基本的にこれは維持しつつ、しかし、プラスアルファを各自治体がどういうふうにやっていくかということについてはいろいろな可能性があるわけですから、そういうプラスアルファについての多様な実践例を紹介するとか、あるいはどういうような可能性がさらに可能なのか。これは、住民税にするにしろ、消費税にするにしろ、自治体レベルにおろしていくということになればなるほど格差が大きくなると思いますから、基本的にやはり国としてのミニマムスタンダードというのはきちっと維持する、その基本は崩さないほうがいいと思っております。
 それから、小島教育長から紹介のあった事例を含めて、実際に小規模でもいろいろなやり方があるということが今回よくわかりましたので、そういったことの可能性と、今日はたぶんきれいなところを随分お話しいただいたと思うのですが、いろいろ難しさももっと具体的にあると思いますので、検討できればと思って話を伺いました。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。

○ 稲田委員
 教員研修の問題で一言申し上げたいと思うのですが、県の研修と市町村の研修という話が出ましたけれども、県だけではだめだと私は思っています。市町村がやはりきちっと配置された教員に対して適切な教育をやっていただきたい。というのが、市町村には歴史と風土と習慣と、いろいろなものがございます。そういうものをきちっと若い先生に教えていただきたいのです。例えば、有田という磁器の本場に来て、磁器と陶器の区別さえわからないような先生では困るわけでして、そういう地域の教育をきちっと先生に市町村の教育委員会がやっていただきたい、そういうことでございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 まだいろいろ御意見がおありと思いますけれども、また次回にお願いしたいと思います。
 資料5、6、7、8について、その中の一番大事なところだけ事務局に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 角田初等中等教育企画課課長補佐
 それでは、簡潔に御説明させていただきます。
 資料5は、市町村合併の状況につきまして最新のデータをおつけしております。2枚目でございますが、これはあくまで見込みでございますけれども、現在、法定協議会がすべて完成した場合という前提でございますが、下にございますように、ほぼ市町村の数、拮抗するような数字になっております。一番右下でございます。見にくい資料で恐縮でございます。ここがポイントでございます。

〔國分副部会長退席〕

 資料6でございますが、これは、都道府県と市町村との関係の中で、とりわけ教育指導に関する点が重要だと考えまして、指導主事についての配置状況をまとめさせていただいております。充て指導主事というものにつきましては、これは指導主事の中で、とりわけ教員をもって充てることができるものということで配置されているものでございまして、1枚目にございますように、ほぼ4,600程度全国で配置されております。2ページが、全国の県ごとの配置状況ということでございます。ちょっと申し上げますと、管理主事でございますが、これは指導を行う者ではございませんで、各都道府県で人事管理を行う職員でございます。4ページ目でございますが、これは指導主事以外に教育指導について工夫を行っている例ということで、教員あるいは校長、教頭、あるいは退職校長によります指導の例をつけさせていただいております。
 次に資料7でございますが、これは、今ございました人事につきましての資料でございます。1枚目、2枚目が県費負担教職員制度の概要と実際の人事の流れでございます。3ページ以降につきましては、今、特区で認められております市町村費による負担教職員の任用事業についての概要と、それぞれの地区における取組でございます。また、7ページ以降につきましては、この部会での議論の中でも中核市あるいは特例市についてのお話が出ておりますけれども、それぞれの違いでございますとか、あるいは平均的な学校数、児童生徒数をまとめたものでございます。9ページ以降、ちょっと見にくい資料で恐縮でございますけれども、各都道府県において大都市が占める割合というのはどの程度かということを県ごとに示したものでございまして、一番わかりやすい例でいきますと、10ページの上から3段目でございますけれども、神奈川県の場合を御覧いただきますと、現在、全県で854万人の人口がいるわけでございますが、政令市を除きますと382万人、44.7%になります。これが、一番右に行きまして、特例市、中核市を全部除いてしまいますと167万人余りということで、全体の2割を切るような人口規模になるという資料でございます。ほかの県も同じように見ていただければと思っております。
 次に資料8でございますが、これは教育委員会制度に関する最近の提言ということで、先般、閣議決定されました骨太の方針、2枚目につきましては、地方分権改革推進会議が3年目の最後の意見ということで出された意見でございまして、ここにございますような「必置規制の弾力化」という点につきまして御提言をいただいているところでございます。4ページ目以降につきましては、今、鳥居会長から御説明のございました、他の部会における国庫負担制度についての中間報告でございます。
 資料9は第4回までの論点ごとの意見でございます。
 以上でございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 資料6、7、8につきましてもまだまだいろいろ御意見がおありだろうと思いますが、またほかの機会にぜひお願いしたいと思います。
 なお、できれば事務局のほうで、何かの形でこの資料を次回の議論に使えるように、このバインダーの中に入れていただくか何かしていただきたいと思います。
 それから、義務教育費国庫負担については、せっかくいい報告書が別の部会から出ていますので、あれをぜひ今度この部会にもお配りいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、今後の日程について、事務局から説明をお願いいたします。

○ 山田生涯学習企画官
 次回でございますが、「資料10」をご覧ください。次回は、7月1日、グランドアーク半蔵門の「華」の2時から4時の開催でございます。

○ 鳥居部会長
 それでは、本日はここまでにさせていただきたいと思います。お忙しいところ御参集賜りましてありがとうございました。

午後4時15分 閉会

お問合せ先

生涯学習政策局政策課