地方教育行政部会(第1回) 議事録

1.日時

平成16年3月25日(木曜日) 14時~16時

2.場所

東京會舘 「ロイヤルルーム」(12階)

3.議題

  1. 地方教育行政部会長・副部会長の選任
  2. 地方教育行政部会の会議の公開に関する規則の決定等
  3. 「地方分権時代における教育委員会の在り方について」(諮問)の説明及び自由討議
  4. その他

4.出席者

委員

 鳥居部会長、浅見委員、田村委員、渡久山委員、山本委員、吾妻委員、池端委員、稲田委員、小川委員、片山委員、門川委員、佐藤委員、土屋委員、藤田委員、宮崎委員、森田委員、森脇委員、八代委員

文部科学省

 馳大臣政務官、結城文部科学審議官、矢野文部科学審議官、銭谷生涯学習政策局長、藤田生涯学習政策局審議官、樋口初等中等教育局審議官、松元生涯学習総括官、布村生涯学習政策局政策課長、辰野初等中等教育企画課長、山田生涯学習企画官、角田初等中等教育企画課課長補佐 (その他関係官)

5.議事録

(1)部会長に、鳥居委員が選任された。また、副部会長に國分委員が指名された。

(2)鳥居部会長からあいさつがあった。

(3)地方教育行政部会の会議の公開に関する規則が制定された。

〔馳大臣政務官退席〕

〔報道関係者入場〕

○ 鳥居部会長
 それでは、部会を始めさせていただきたいと思います。
 この部会に付託されました「地方分権時代における教育委員会の在り方について」の諮問、それから関連資料について、事務局から説明をしていただいて始めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○ 角田初等中等教育企画課補佐
 資料に沿いまして、諮問理由及び教育委員会制度の概要につきまして、御説明させていただきます。恐縮でございますが、座ったまま御説明させていただきます。
 まず、諮問及び諮問理由でございますが、お手元の資料4に記載しているとおりでございます。資料の2枚目にございますように、近年の地方分権の進展、さらには市町村合併の進展の中で、教育委員会が教育行政の責任ある担い手として、地域のニーズに応じた教育行政を主体的に企画し実行していくことが期待されていること。また、教育改革を着実に進めていくためには、地方の教育行政体制を分権時代にふさわしいものとしていくことが不可欠であること。また、教育委員会制度について、様々な指摘があること。こういったことから、教育委員会の在り方につきまして御審議をいただくというものでございます。

〔渡久山委員出席〕

 主な検討事項といたしましては、その下にございます。一つ目といたしまして教育委員会制度の意義と役割、二つ目といたしまして首長と教育委員会との関係、三つ目といたしまして市町村と都道府県との関係及び市町村教育委員会の在り方、四つ目といたしまして学校と教育委員会との関係及び学校の自主性・自律性の確立、この4点につきまして御審議をいただきたいと考えております。
 まず一つ目の教育委員会制度の意義と役割についてでございます。
 諮問理由説明の2ページ目にございますが、教育の中立性確保などの教育委員会制度の目的は普遍的に重要なものであり、今日におきましても実現すべきものでございますが、他方、教育委員会制度が発足して半世紀以上が経過し、制度を取り巻く社会状況も著しく変化し、その在り方につきまして、課題も指摘されているところでございます。このため、教育委員会制度について、今日における意義と役割、教育委員会がさらにその機能を高めるよう、教育委員会制度の見直しにつきまして御検討をお願いしております。
 次に、二つ目の首長と教育委員会との関係についてであります。
 近年、生涯学習、文化、スポーツの振興が、地方行政、とりわけ市町村にとりまして大きな課題となっております。また、幼児教育において、幼稚園、保育所を含めた総合的な取組が求められているところであります。このため、首長と教育委員会との役割分担も含めまして、生涯学習、文化、スポーツ、幼児教育等の教育事務の在り方、さらには教育行政における首長と教育委員会との連携の在り方につきまして、御検討をお願いしております。
 次に、三つ目の市町村と都道府県の関係及び市町村教育委員会の在り方についてでございます。
 市町村合併が進展する中、合併を契機に、市町村教育委員会の体制が整備されていくことが期待されますが、それでもなお規模が小さく、単独では十分な体制を整えることができない市町村におきましては、教育行政の広域化を進めていくことが期待されるわけでございます。このため、市町村教育委員会の広域化の推進のための方策、あるいは事務局体制の在り方、さらには教育行政における市町村と都道府県との関係の在り方について御検討をお願いしております。
 次に、四つ目の学校と教育委員会との関係及び学校の自主性・自律性の確立についてであります。
 各学校が自らの判断と責任で、教育活動を展開し、保護者や地域住民の期待にこたえていくためには、各学校が教育活動について説明責任を果たすとともに、自ら継続的に改善していくシステムを構築する必要がございます。このため、学校の自主性・自律性を高めるための学校と教育委員会との関係の在り方や学校評価の在り方につきまして御検討をお願いしております。
 また、学校の自主的・自律的な運営を実現するためには、校内体制を整え、組織的な学校運営が行われることが不可欠であることから、学校の組織及び運営の在り方につきまして、あわせて御検討をお願いしております。
 なお、この四つ目の事項のうち、学校関連の事項、とりわけ学校の組織及び運営の在り方につきましては、初等中等教育分科会におきまして具体的な審議をしていただくことを、先般の総会におきまして御了承いただいているところでございます。このため、今回の諮問につきましては、当分科会及び初等中等教教育分科会、それぞれにおきまして御審議をいただき、必要に応じて合同で御審議いただくことになると考えております。
 以上、諮問理由等につきまして御説明申し上げました。
 続きまして、教育委員会制度の現状や概要、また、教育委員会制度に関する議論や指摘等につきまして、今申し上げました四つの諮問事項に沿った形で御説明させていただきます。資料5を御覧いただきたいと思います。
 まず資料、1ページ目でございます。教育委員会制度の仕組みにつきまして、簡単に御説明させていただきます。教育委員会は、地域の学校教育、社会教育、文化、スポーツ等に関する事務を担当する、首長から独立した執行機関でございます。位置づけといたしましては、いわゆる行政委員会でございまして、地方公共団体に置かれる同種の委員会組織としては、例えば公安委員会でございますとか、人事委員会があるところでございます。
 教育委員会は、教育行政における重要事項や基本方針を決定いたします。その決定に基づきまして、教育長が具体の事務を執行しております。教育委員会は、月1回から2回の定例会のほか、臨時会あるいは非公式の協議会を開催し、議事を行っております。
 教育委員は、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命しております。任期は4年で、再任は可能であります。また、教育長は教育委員のうちから教育委員会が任命することとされております。
 次に、2ページ目でございますが、教育委員会制度の意義について御説明申し上げます。教育委員会制度の意義については、そこにございますように、整理いたしますと三つになると考えております。
 一つ目といたしましては、地方公共団体の長から独立した合議制の執行機関が教育行政の執行に当たることによりまして、個人的な価値判断や特定の党派的・宗派的な影響力から中立性、さらには安定性、継続性の確保を図ること。これが一つ目の意義でございます。
 二つ目といたしましては、様々な分野の知識や経験を持つ委員が、合議によりまして意思決定を行うことにより、地域住民の多様な意向を反映させながら、地域に根差した教育行政を行うことでございます。
 三つ目といたしましては、生涯学習の推進をはじめ、教育、文化、スポーツの振興など、幅広い分野にわたる教育行政を一体的に推進していくことによりまして、地域の人材育成を効果的に実施することであります。
 教育委員会の設置状況でございますが、その下にございます表にありますように、現在、すべての都道府県及び市区町村等に設置されております。また、一部では事務組合、あるいは教育委員会の共同設置など、広域で教育委員会を設置している例も見られるところでございます。
 次のページでございますが、教育委員及び教育長の状況について取りまとめております。教育委員の状況でございますが、在職年数につきましては、都道府県で3.6年、市町村で5.3年と、市町村のほうが都道府県に比べまして長くなっています。また、平均年齢につきましては、都道府県におきましては63歳、市町村におきましては62歳ということでございます。
 職種につきましては、都道府県では会社役員、医師、教員等の割合が多くなっている一方で、市町村におきましては無職の方が一番多くなっているところでございます。
 また、教育委員のうち教員等の教職の経験者が、都道府県では4分の1、市町村では3分の1となっております。
 また、教育長につきましては、在職年数が都道府県で1.6年、市町村が3.7年で、市町村が長くなっております。また、平均年齢ですが、都道府県では約58歳、市町村では約63歳となっております。教育長のうち、行政経験者の割合が都道府県では3分の2、市町村では3分の1と都道府県が多い一方で、逆に教職経験者につきましては都道府県では3分の1、市町村では3分の2と市町村が多くなっております。
 次のページでございますが、首長と教育委員会との関係でございます。関係につきまして、簡単な図をお示しして整理いたしております。教育委員会は行政委員会といたしまして、首長から独立して教育事務を執行する一方で、首長は教育委員の任命権を持つとともに、教育関係の条例、予算の議案提出権など一定の権限を持ち、首長が教育にある程度関与できる仕組みになっているところでございます。
 次のページにおきましては、首長と教育委員会との事務分担を整理しております。教育委員会は、先ほど教育委員会制度の意義のところでも申し上げましたように、学校教育、社会教育、文化、スポーツと広範にわたる事務を所管しており、これらを一体的に処理しております。一方、知事や市町村長は、大学や私立学校に関する事務のほか、教育関係の契約の締結や予算の執行等の事務を所管しているところでございます。
 次のページでございますが、市町村教育委員会の現状及び都道府県と市町村の関係についてでございます。そこにございますように、国におきましては、基本的な教育制度の枠組みの制定、全国的な基準の設定、教育条件整備のための支援、学校教育の適正な実施のための支援措置などを担っているところでございます。
 また、一方、都道府県にあっては、広域的な処理を必要とする教育事業の実施及び施設等機関の設置・運営、市町村における教育事業の適正な実施のための支援措置を担っております。市町村におきましては、学校、公民館等の施設等機関を自ら設置・運営いたしますとともに、社会教育等の教育事業の実施などを担っているところでございます。こういった国、都道府県、市町村がそれぞれの役割を果たしながら教育が実施されているところでございます。
 次の7ページ目のところでございますが、市町村教育委員会の事務局の体制につきまして整理をした資料でございます。市町村教育委員会の事務局の体制につきましては、従来から課題として指摘をされているものでございます。資料にございますように、人口8,000人未満の市町村が3割を超える、さらには3万人未満も含めますと7割を超えるということで、小規模な市町村の割合が全体の中で多くを占める状況にございます。こういった中で、学校教育指導において、基幹的な役割を果たす指導主事を置く市町村の割合が小規模市町村ほど低いものになっております。また、事務局全体の職員数につきましても、人口8,000人未満の市町村で見ると、半数の市町村で6人以下、また、9割近くの市町村では10人以下となっているところでございます。
 次のページでございますが、教育における都道府県と市町村との関係において非常に重要な制度でございます県費負担教職員制度につきまして、御説明を申し上げます。
 この制度は、本来、市町村の職員でございます市町村立小・中学校の教職員の給与費を都道府県が負担するとともに、それらの職員の人事権も都道府県が行使する制度でございます。
 この制度の趣旨・目的につきましては、資料の一番上にございますように、一つ目といたしまして、市町村より財政力が安定している都道府県が教職員の給与費を負担することによりまして、給与水準の確保、ひいては一定水準の教職員の確保を図ること、二つ目といたしましては、市町村を越えて広域で人事を行うことにより、教職員の適正配置、人事交流を図ることができる、こういったことでございます。この制度によりまして、都道府県は市町村の内申をまって教職員の人事を行うこととされております。また、教職員の人事に当たりまして、校長の意見具申があった場合には、必ず内申にその意見を添付することとされているところでございます。
 次のページでございますが、学校と教育委員会との関係でございます。資料の上のところにございますように、学校の権限といたしましては教育課程の編成、入退学の許可、卒業の認定など、児童生徒の教育に直接かかわるもののほか、教職員の服務管理、学校施設の管理などがございます。
 平成10年の当審議会の答申におきましては、学校の自主性・自律性の拡大が指摘をされたところでございます。これを受けて各地方公共団体におきまして、学校の裁量拡大に向けた取組が進められているところであります。具体的には、許可・承認事項を削減するなど、教育委員会の学校への関与を縮減するとともに、学校の判断で執行できるいわゆる校長裁量予算を設けることなどが進められてまいりました。また、国といたしましても、教育課程の基準の大綱化・弾力化や教職員人事における校長の意見反映の制度化を図ってきたところであります。
 また、次のページでございますが、今申し上げました学校裁量拡大に伴いまして、学校が自らの教育活動について、保護者や地域住民に対し説明責任を果たしていくことが重要でございます。このため、小学校等の設置基準を改正いたしまして、平成14年度から学校の自己評価を努力義務化するとともに、学校の情報提供を義務化したところでございます。
 資料の下側にございますように、初年度の実施率でございますが、自己評価が88%、外部評価が44%となっております。また、情報提供につきましては、学校便りの配布が最も多くなっております。また、一方、ホームページの開設につきましては、全体の3分の1の学校が行っているところでございます。
 次に11ページ、学校の組織について御説明申し上げます。一番上の図にございますように、学校の組織は校長、教頭のもとで、各教諭、事務職員、栄養職員等によって構成されているところでございます。学校の組織運営につきましては、近年、改善を図っているところでございまして、平成12年に校長等の資格要件の緩和を行ったところでございます。この制度改正によりまして、これまで全国で58人のいわゆる民間人校長が登用されているところでございます。また、これと同時に、職員会議につきまして、校長を補助する補助機関として位置づけを明確にしたところでございます。
 また、主任制につきましては、昭和50年の省令により制度化いたしまして、現在、教務主任、学年主任、生徒指導主事等が各学校に置かれているところでございます。こういった主任が、校長のもと、担当する校務につきまして、連絡調整・助言指導に当たっているところでございます。
 以上が教育委員会制度の概要及び現状の説明でございますが、次に教育委員会制度の沿革について御説明申し上げます。資料12ページを御覧いただくようお願いいたします。
 教育委員会制度につきましては、戦後間もなくの昭和23年に、当時の占領政策のもとで制定されました教育委員会法によりまして発足をしたものでございます。教育の中央集権から地方分権への転換、さらには行政への民意の反映を象徴するものとして発足をしたものでございます。当時は、教育委員は公選で選ばれることとされ、また、予算案や条例案の提出権を持つなど、強い独立性を持っていたところでございます。
 このような制度のもとで、教育委員会議に党派的な対立が持ち込まれたり、あるいは予算や条例の二元的な制度のもとで、一般行政と教育行政との調和を図る上で問題があったということから、教育委員会法にかわりまして、昭和31年に現行法である地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法が制定されまして、現在の制度となったところでございます。
 この地教行法におきましては、教育委員の公選制が廃止され、議会承認を伴う首長の任命制となる、こういった制度改正とともに、また、教育長の任命につきましては、都道府県の教育長につきましては文部大臣が、市町村の教育長につきましては都道府県教育委員会が承認するという、教育長の任命承認制度が導入されたところでございます。
 その後の経緯につきましては、13ページ以降に詳しく載せておりますので、そちらのほうを御覧いただければと思います。
 教育委員会制度につきましては、昭和60年に、逐次出されております臨時教育審議会の答申におきましても、課題や改善点について指摘がなされているところでございます。これを受けまして、昭和62年に通知を発出し、教育委員会の活性化について、各地方公共団体に対し指導や啓発活動を行っております。
 平成8年以降の地方分権推進委員会におきましては、国全体での地方分権の検討がなされ、それを踏まえまして研究会議や当審議会において検討がなされ、先ほどからたびたび出ております平成10年の答申、「今後の地方教育行政の在り方について」が取りまとめられたところでございます。この答申に基づきまして、教育における団体自治を強化するという観点から、教育長の任命承認制度を廃止するとともに、国や都道府県による指導の規定の見直し、都道府県の基準設定権の廃止などの改正を行ったところでございます。
 次のページでございますが、平成12年の教育改革国民会議の報告におきまして、教育委員会制度につきまして指摘がなされているところでございます。教育長や教育委員への適任者を登用すること、教育委員の構成につきまして、親の参加や年齢、性別などの多様性を担保することなどの指摘がなされております。これを受けまして、住民の意思を教育行政に反映させる教育の住民自治を強化するとの観点から、教育委員の構成の多様化、具体的に申し上げますと、年齢、性別、職業のバランスをとること、さらには保護者を含めることや、会議の公開、相談窓口の明示といった改正を行って、現在に至っているところでございます。
 次のページでございますが、今回の審議の背景の一つでございます市町村合併の状況につきまして御説明申し上げます。
 市町村合併につきましては、現在、急速にその動きが進展しているところでございます。市町村合併特例法等に基づきました協議会につきましては、本年1月1日現在で、資料にございますように、全市町村数の6割弱に当たる1,840の市町村が加入しているところでございます。また、任意の協議会も含めますと、7割に当たる2,224の市町村が加入しているところでございまして、現在、市町村合併の協議が進んでいるところでございます。
 次に、16ページ、17ページにおいて取りまとめております、近年の教育委員会制度に関する指摘について御説明申し上げます。
 まず、経済財政諮問会議における指摘でございますが、経済財政諮問会議におきましては、昨年来、三位一体改革の議論の中で、国から地方へ教育分野の分権を進める上で、分権の受け手となる地方の教育委員会について、きちんと機能するようにすべきだ、こういった指摘がなされているところでございます。
 また、地方分権改革推進会議におきましては、平成13年の中間論点整理におきまして、教育委員会制度が重要であること、小規模市町村の教育委員会に課題があり、広域化を進める必要があること、こういったことが指摘をされております。また、その一方で、その後の審議におきましては、論点といたしまして、教育委員会の必置規制・権限の見直し、教職員人事権の市町村教育委員会への権限移譲等が挙げられているところでございます。この地方分権改革推進会議につきましては、設置期限の7月当初までの間で報告をまとめることが予定されていると聞いているところでございます。
 また、次のページでございますけれども、これも政府の会議でございますが、総合規制改革会議におきまして、昨年末に取りまとめがなされました第3次答申におきまして、教育委員会制度の改革を検討すること、また、構造改革特区におきまして、教育委員会の必置規制を廃止し、市町村長や学校長が教職員に関する人事権や学校の管理運営等に関する一定の権限を持つことが提言されているところでございます。
 また、構造改革特区の第3次提案及び第4次提案におきまして、埼玉県志木市から、教育委員会のいわゆる任意設置化、教育委員会の権限を首長との協議にゆだねること、こういったことが提案されているところでございます。
 また、これらの指摘に先立ちまして、有志の市町村長で構成しております提言・実践首長会、会長は愛知県の犬山市長でございますが、この提言・実践首長会から、首長が教育行政を所管すること、教育委員会にかわって首長の諮問機関として教育審議会を置くことが提案されているところでございます。
 以上、教育委員会の現状及び今回の諮問の背景等について御説明申し上げました。
 また、あわせまして、今月18日に開催されました教育制度分科会における意見の要旨につきまして御説明させていただきます。資料6を御覧いただけますでしょうか。
 分科会におきましては、資料6にございますような意見が出されておりますので、御紹介させていただきます。
 教育委員会が所管する行政分野のうち、どれを首長が自ら所管したいと考えているのか明らかにする必要がある。
 教育員会と首長との関係や、教育行政の広域化について、実際の事例を調べ、メリット、デメリットを明らかにする必要がある。
 最近の教育委員会に対する批判の多くは、制度の問題ではなく運用の問題である。
 等々の意見が分科会におきまして出されたところでございます。あわせて御紹介させていただきました。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 先ほども申し上げましたが、この部会は、資料6にもございます教育制度分科会に属している部会でございます。この部会でこれから御審議いただきますと、それを時々教育制度分科会に上げて、そこで議論をしていただく。さらに、総会にも上げて議論していただく。そこでいただいた意見はまたこの部会に返ってきて、お互いにフィードバックを繰り返しながら議論を進めていく、そういう仕組みで動いていくものでございまして、実は3月18日の教育制度分科会で、この部会をつくることを決めたときに行われた議論が資料6でございます。そのときは正直のところ、あまり時間がありませんでしたので、大した議論を深めることはできませんでしたが、資料6にありますような議論が行われたわけでございます。
 さて、これから本格的な審議をお願いするわけですが、大きな問題で、歴史も長く、いろいろな問題を内包していると思いますので、あらゆる角度から、私たちはこの教育委員会制度を検討する必要があると思います。まず何回か部会をお願いする中で、いわゆる審議会用語で言いますと、論点整理といいますけれども、どういう問題点があるのかということを整理していく作業が必要になると思います。その論点整理のために意見交換を行ったり、必要に応じてヒアリングを行ったり、それから必ずやるとは限らないのですけれども、実地調査をすることも場合によってはある。そして、今、事務局からの説明がありましたように、常に事務局から資料収集努力をしていただいて、資料を部会に提供していただく。そういったことを通じて、論点整理を行って、その論点が整理された段階で、その中の特に重要な問題について、今度は討論を行うというふうにしていきたいと思っております。
 そういう意味では、今日の第1回の会合は、意見を交換し合う形で、どういう問題があるかということを、それぞれのお立場から御披露いただくのがよろしいのではないかと思っておりますので、この後は御自由に御発言いただくという方式で今日は進めますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、特にこちらから御指名申し上げませんけれども、御意見がございましたら、ぜひどうぞお願いしたいと思います。
 現実的な問題、こういう問題があるというのでも結構ですし、そもそものそもそも論ですね。さっきからレイマンコントロールという言葉が出ていますが、たぶんこれはGHQが置いていった言葉だと思うのですけれども、お寺でいえばお坊さんがいて、それに信者がいる。その平信者がレイマンでありますし、トップのエリートリーダーがいるのに対して普通の人がレイマンですから、レイマンがコントロールするのが本当に教育の世界でいいのかどうかという本質論も実は我々は抱えているわけです。時にはピアレビューといって専門家がレビューするほうがいいのだという方針を、中教審では何度か打ち出した問題もあるのです。しかし、教育委員会制度についてはずっとレイマンコントロールという言葉は当たり前みたいに歩いてきましたので、果たしてその辺のところについてどういう御意見がおありなのか、ぜひ伺いたいところでございます。いずれにしても、どんな問題でも結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 どうぞ、片山知事。

○ 片山委員
 私は今、県行政をあずかっていまして、何が一番重要な課題か。課題はいっぱいありますけれども、私は教育が一番重要だと思っているのです。そういう関心を持って、今、県の行政をやっていまして、今日のテーマであります教育委員会制度を地方教育行政の在り方の中で考えた場合に、幾つか気がつく問題があります。
 一つは、教育委員会制度というのがあるものですから、さっきの御説明にもありましたが、私が全体を総括して、条例を出すとか、予算を編成するということでは統括権はあるのですが、実際に教育行政をやるのは教育委員会といういわば独立行政委員会なものですから、自分では直接できない。そういうもどかしさといいますか、そういうものがあります。ただ、それは何が何でも全部首長がやらなきゃいけないというものでもなく、独立行政委員会でちゃんと教育行政をやるということで、それがうまく機能すれば、それはそれでいいと思うのです。
 今、制度上の問題として一つ気になりますのは、いささか中途半端な制度になっているものですから、はざまができてしまうといいますか、ある種のお見合現象があるのです。プロ野球に例えますと、レフトとセンターがどこまで守り合うか。どちらも遠慮するとか、そういう問題が実際にあるのです。遠慮しないで、守備範囲をグッと広げると、逆に権限を侵したとか、二重行政だとか、そういう批判も出てきたりするので、その辺のころ合いかげん、バランスをとるスキルが双方に必要だなというもどかしさが一つはあります。
 ともすれば空白が生じてしまいまして、首長さんは、教育の問題でいろいろ地域に問題があって、保護者とか、住民から言われたときに、「いや、あれは教育委員会の問題です」と言って逃げるわけです。実際また携わっていませんから。今度、教育委員会のほうに不満が出ると、「いや、予算がありません」とか、「首長さんがちゃんと予算をつけてくれませんから」と逃げるようになって、そこに空白が生じてしまう。じゃあ住民や保護者はどこに不満をぶつけたらいいのですかというと、ぶつけ先がないという制度上のはざまが生じているということがあります。
 それから、教育委員会制度の中には、委員さんを任命して、委員がいわば一般行政における首長と同じ役割を果たすことになるのですけれども、そこが選挙ではなくて、首長が議会の同意を得て任命するという選任の仕方、それから非常勤であるということ。そこで正直言うと、非力というか、無力に近いというか。責任を全うする当事者能力にやや欠ける面が、どうしても制度上あるわけです。これは住民から直接選ばれたような、戦後すぐのときの教育委員ですと、住民の信託、負託を受けますから、かなり強い自信が出るのですけれども、今のような選任の仕方ですと、民主主義の不足ということがどうしてもあって、それがパワーにならない、力量不足になってしまう、遠慮がちになってしまう、モチベーションが低いということが、やはり現実にはあります。
 もう一つ制度的な問題でいいますと、財政自主権がない。これはアメリカと典型的に違うのですけれども、アメリカは課税権を持っているわけです、教育委員会自体が。日本の場合には首長にお願いをする。実際には知事部局とか、首長部局の財政当局にお願いをするということで、そこで財政当局、首長に見識があればいいですけれども、そうでない場合には、教育に対してあまり関心が振り向けられない、予算も振り向けられない。それは文部科学省の皆さんは、財務省とのやりとりでよくおわかりだと思うのです。財政当局に見識がなければ、教育の重要な問題が見落とされてしまうという現象が地方にあるわけです。そういう制度的な問題があるので、ここにやはり光を当てなければいけないと思います。
 じゃ制度的な問題だけで、今日のけだるい現状を生んでいるのかというと、それは決してそうではなくて、さっきの論点の中でも、どなたかおっしゃっていたようですけれども、実は運用上の問題があるわけです。首長がちゃんとした見識のある人をできる限り教育委員に任命すれば、かなり解決できる部分はあるのです。私は実は5年前から知事になって、そういう従来の運用が悪いのを、今、直して、自分で言うのも変ですけれども、レベルの高い教育委員会になっているとは思うのです。総じて今まで全国の自治体で見ていますと、教育委員会の委員の任命について、あまりとんちゃくしない。教育をしっかりやろうと思って、責任を持って首長が見識のある人を任命していないという現状にあります。これは制度の問題というよりは、専ら運用上の問題だろうと思います。
 例えば、政治的な事情の中で、あの人をちゃんとした仕事に就けてやらなければいけないとか、もっとひどいのは、選挙に落ちてブラブラしている、かわいそうだから教育委員でもやらせようかとか、そういうことがないわけではないのです。恥ずかしい話、鳥取県でも私が就任する前は、どういう選任の仕方をしていたかというと、当時の知事は議会に丸投げをしていたわけです。議会のあなたらで選んでくださいと。そうすると、議員さんが集まって、あの県会議員は今度、候補者調整でおろして、教育委員にでもしてしまおうかとか、あの町長はこの間選挙で落ちて、ブラブラしているから、かわいそうだから教育委員にしようとか、恥ずかしい話ですけれども、そうやって選ばれた人が教育委員になったりしていて、その人が教育に見識があるとか、情熱があるとか、関係なく選ばれたりするケースがあるわけです。これは全国今でもあると思います。それは専ら制度の問題でなくて、運用する側の運用上の問題だろうと思っています。見識の問題だろうと思っています。
 そこで問題になるのが、実は論点の話になるのですが、首長と教育委員会の在り方というのが出されています。それは一つの大きな論点なのですが、実は首長自体の在り方も論点で、教育行政を本当にしっかりやろうと思ったら、首長の在り方も論じられなければいけないし、それから予算を審議する議会の在り方も論点として出されなければいけないんです。今の教育委員会が非常に負の面が出ていて、運用上問題があるというのは、それは首長の見識の問題であり、また、そういうことを許している議会の見識の問題でもある。首長や議会がもうちょっと見識を持って、教育シフトになるような―これは地方自治自体の問題ですけれども、そこも実は論点にされなければいけない。実態は千差万別ですけれども、総じて教育の問題についてはあまり関心がないです。何が関心があるかというと、公共事業とか、土木建設事業とか、農業などの第一次産業には、非常に鋭敏な感覚を持っている議員さんが多いのが今の実態です。
 私は、鳥取県内に39市町村があって、年に何回も市町村長さんと意見交換会をやるです。そのときに最初、教育の問題を出したら、ほとんどの人は発言しないです。「教育の問題をもっとやりましょう」と言うと、「いや、私は教育はあまり関心がないものですから」とか、「私は苦手なものですから」と言うのです。次に、障害者福祉を言うと、「いや、私は障害者福祉はあまり関心がないものですから」と。「あなた方は何に一番関心があるのですか」と逆に問わなければいけないような……。これも恥ずかしい話ですけれども。
 ですから、重要な教育行政をきちんとやろうと思ったら、制度上の点検も必要ですし、もう一つは教育を取り巻く環境といいますか、背後にある地方自治そのものをビビッドにして、今、日本にとって大切な教育問題を真剣に考えて、そこに人的にも、財政的にも投資をする環境をつくるような、自治制度自体の見直しも必要だろう。これは地方制度調査会とか何とかの話になるのかもしれませんけれども、そっちのほうでもあまりそういうのはやっていませんので、できればいい機会ですから、ここで地方教育行政に光を当てるときに、教育行政の背後にある自治制度自体にももっと光を当てて、こっちから提言をするようなことをされると私はいいのではないかと思います。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、八代委員、どうぞ。

○ 八代委員
 八代でございます。このたび、初めて教育問題のところに入れていただきましたが、素人の考え方として、一つ御質問と、それからコメントを申し上げたいと思います。
 まず事務局に対する質問なのですが、いただいた資料の3ページ、教育委員の状況という中で、これを見ますと、やはりカギとなるのは、教育委員よりも教育長ではないだろうか。年収から見ましても、こちらはフルタイムであって、かつ行政経験も非常に抱負な人がおり、レイマンである教育委員に比べて、はるかにリーダーシップを持てるのではないか。この教育長はどういう形で選ばれるのか。教育委員と同じような任命のされ方をされるのかということと、それから行政経験者の割合が非常に高いのですが、それ以上に教育行政経験者の割合が高いというのはやや奇異でありまして、行政経験と教育行政経験というのはどういう関係になっているのか。行政経験の内訳が教育行政ではなくて、何か別の定義になっているのか、その辺をぜひ後で教えていただきたいと思います。
 それで、今、片山知事がおっしゃったのと、基本的に私も同じと思うのですが、それはどんな制度であったって、見識のある人がリーダーシップを握れば、いい行政ができるのは当たり前のことであって、問題はそういう理想的な状況でなくても、ある程度利用者のニーズに応じた行政が実現できるためには、どういう仕組みがいいかと考えますと、一番インセンティブのある人に権限がおりてくるのが望ましいのではないか。一番インセンティブがあるのは、保護者とか、学生とか、教職員から一番近くにある学校長であるわけでして、今、学校長の権限があまりにも少な過ぎるのではないか。その意味では、県から市へ、あるいは市から学校長へ、なるべく権限をおろしていくことが、コーポーレート・ガバナンスの観点から見ても望ましいのではないかというのが、一つの素人の考え方でございます。
 ただ、なぜそれができないかという、今までの御説明を聞くと、教育の中立性といいますか、チェック・アンド・バランスによって、例えば特定の考え方で教育が侵されてはいけないということからきているかと思いますが、今、チェック・アンド・バランスの仕組みがあまりにも強過ぎて、結果として学校長等のリーダーシップが実現できないのではないか。その意味では、もう少しこのバランスを改善する必要があるのではないかということではないかと思います。
 その意味で、普通の首長、普通の教育委員会のメンバーでも、より利用者のニーズに応じた教育が実現できるように、学校長の権限を増やすとしたら、どういう弊害があるのだろうかという観点を重視して議論したほうがいいのではないかと考えております。
 そんなことをしたら、学校長の能力が不足だという御意見が当然あるかと思いますが、それは今の何も決めなくてもいい学校長をベースにして学校長を選んでいるから、そういうことなわけでして、逆に言えば学校長の責任を強くして、期待を大きくすれば、それにふさわしい人が選ばれる仕組みができてくるのではないかと考えております。そのためには、ここの審議の内容ではないかと思いますが、学校を利用者が選択するといいますか、そういうインセンティブ・メカニズムを別途つくるということで、よりよい消費者主体の教育サービスが実現できるのではないかと考えております。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 今のまず第1の御質問のほうについて、事務局からもし説明があったらお願いいたします。

○ 角田初等中等教育企画課補佐
 今の御質問につきまして、まず1点目につきましては、教育長の選任ということでございますが、これは教育長を教育委員の中から教育委員会が任命するということになっておりまして、通常、教育委員として議会で承認を得た後に、教育委員会で任命するという仕組みになっております。ただ、実際には教育長になるということを含みで、議会のほうで選任されるということが通例ではないかと考えております。
 また一方、二つ目のところでございますが、これは資料がわかりにくい形で恐縮だったのでございますが、行政経験者につきましては、教育委員会の事務局も含めまして、自治体の仕事を以前していた方かどうかということの割合でございまして、教育行政経験者につきましては、そのうち教育委員会事務局の経験があるかどうかという数字でございまして、数字といたしましては、行政経験者の中の割合ということで御理解いただければと思います。

○ 鳥居部会長
 各都道府県によって性格は違うと思いますけれども、私が見てきた幾つかの県では、普通の県立高校の先生が、この間まで県立高校の先生だったのだけれども、今日から県庁で勤めるようになった。県庁に行って教育委員会をやっていたりした先生がまた県立高校に戻ってきたという、行ったり来たりがあるみたいですけれども、八代さんの御質問に答えるためには、そういうときに、どっちにどうカウントされるのかちょっと整理して……。

○ 角田初等中等教育企画課補佐
 今のような場合につきましては、教育行政経験者であるということでカウントしております。今おっしゃったようないわゆる指導主事ということで、学校の現場から教育委員会の事務局で仕事をするというケースがかなりございまして、そういったものにつきましては、今申し上げましたように、教育行政経験者の中に含めてカウントしているところでございます。

○ 鳥居部会長
 指導主事経験者が、おっしゃる教育行政経験者という数字の中にかなり入っている……。

○ 角田初等中等教育企画課補佐
 入っております。

○ 鳥居部会長
 どうぞ。

○ 八代委員
 質問したいのですが、そうなりますと、教育委員会というのはレイマンコントロールと言われながら、その中で最も重要な役割を果たす教育長というのは、実は教育の御専門家であると理解してよろしいのでしょうか。

○ 鳥居部会長
 実態は、今、八代さんがおっしゃったのにかなり近いですか。あまり今日はデフィニットな答えをしないほうがいいのかもしれないけれども。
 渡久山委員。専門家ですから。

○ 渡久山委員
 教育長の任務というのは非常に大きいのです。特に教育経験者なり、教育行政経験者だったら、ほかのレイマンの皆さんは、ほとんど委託というか、皆頼んじゃうのです。例えば県立高校の話がありましたが、卒業式なんか、挨拶に行くのに分担しないで、教育長が行ってくれ、教育長が行ってくれというので、よく行かされるのです。市町村なんかそうですから。これはもちろん、県によって、あるいは市町村によって違いますけれども。そういう意味では、教育長が教育経験者が多くて、負担も大きいし、権限も自ら大きくなってきているというのが実態だと思います。
 ただ、そうでない人がなった場合にどうなのかというと、いろいろな問題もまた起こる可能性もあるのです。だから、全くのレイマンで果たしてできるのだろうかという問題は、またこれは含まれているような気がいたします。ですから、ある程度の経験者というのは、現実の問題として必要ではないかという気がいたします。

○ 鳥居部会長
 「レイマン(layman)」というのを辞書で引くと、一番最後に「素人」と書いてあります。要するに、教育という視点だけに絞ったときの「素人」が、実は教育行政にしてみると、なかなかのプロだということがあり得ますからね。今日は来ていないのですけれども、横山委員が来ておられたらたぶん一言があると思うのですが、今、東京都の教育長ですけれども、たぶん横山さん御自身は先生の経験者でなくて、行政の経験者としてずっとこられて、今、教育長をしていらっしゃいますよね。難しいところですね。
 どうぞ。話を整理するために、田村先生。

○ 田村委員
 その道の職業をしているものですから。レイマンコントロールという言葉の意味ですが、緊張感を持つという役割があるのですね。つまり、裁判員制度と同じで、専門家だけがやっていると変なほうにいくということに対する考え方が、レイマンの道を開いているとお考えいただきたいと思うのです。
 それから、八代委員のお話の中で、私などがちょっと気になるのは、まず教員というのは、基本的に子どもにかかわりたいと思ってその職を選んでいるのです。今、学校選択になると、親とかかわらなければいけない。教員から率直に不満が出るのです。「私は子どもとかかわりたいと思ってこの職を選んだのに、何でこの年になって親とかかわらなきゃいけないのか」なんていう話が出てくるわけです。つまり、理想的にはそうなのだけれども、人数が増えれば増えるほどレベルは下がるのです、一般的に言えば。先ほど片山知事がおっしゃったように、リーダーシップというか、リーダーがとれる人はそんなにたくさんいないというふうに覚悟して制度設計しないと、何でも権限を下におろせばいいのだというと、逆に混乱するという場合があり得ますので、その辺は教育委員会の議論をするときに、非常に重要なポイントではないかという気がいつもしているのです。下げれば下げるほど、人を見つけるのが難しくなるのです。人数が増えれば増えるほど。本当に力のある人は、そんなに世の中にたくさんいない。その人がうまく広く影響が及ぼせるような、しかも民主的な仕組みを維持するというと、透明性を高めるという以外にないのかなと思っているのです。ただ権限を下げればいいだけではどうも解決しないのではないかという気がいつもするのです。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 では、藤田委員、それから宮崎委員、どうぞ。

○ 藤田委員
 先ほどのレイマンということにかかわってですけれども、これは非常に重要なコンセプトですが、日本語訳は「素人」とずっと訳されてきましたので、そういう意味合いが強く出ていますけれども、私はこれは「素人」と訳すべきではなくて、「予断や偏見を廃して事柄に臨む人たち」をレイマンというふうに、当事者として臨む人たちを指すべきだと思いますけれどもね。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございます。
 では、宮崎委員、どうぞ。

○ 宮崎委員
 神奈川県の教育員を務めております。2001年の10月からですので、2年と5ヵ月ほどで、教育委員会の現実の場にいて思うところが多々ある立場から申し上げたいと思います。
 確かに、例えば私たちはかなり活発に議論もしておりますし、先ほどの高校の卒業式などはきちんと分担して行っておりますし、やっているつもりなのですが、理念とか、哲学とか、理想だけではいかない、制度の問題という非常に高い壁がそそり立っているのは、日々感じております。
 片山知事がおっしゃるような、非力な私が一員ではありますけれども、例えば先ほどの御説明の中にもちょっとありましたが、教員、教職員の給料は、都道府県が負担しているわけです。国と都道府県と半分ずつですが、負担しておりまして、市町村立の学校の教職員も都道府県から給料をもらっているということに、校長先生クラスでもあまり気がついていないというところがあるのです。その予算の内訳から見ますと、例えば教育庁の予算の97%―私どもは97%ぐらいが人件費です。どんなに理念、理想があっても、3%で何をやれと言われても、そして必要最低限のやらなければいけない事業がありますと、その上に積み上げる部分というのは本当に手足を縛られているような状況でございまして、手足をもいでおいて、手足を使っていないと言われても非常に困るというところが、まず第1点ございます。
 それから、特に神奈川県の場合などは、横浜とか、川崎とか、政令指定都市を抱えておりますから、アンタッチャブルな教育委員会があるのです。そういう中で、県との関係はどうするか。これは議題の大きな一つにはなっておりますけれども、実際問題として、例えば本当にささやかな例を申し上げたいと思いますが、例えば優良教職員表彰というのがございます。大変優良な教職員をぜひ表彰して褒める。皆さんに知っていただく。大変大切なことだと思いますが、優良教職員というのはどういう資格で選ぶのかといったら、何と勤続年数でございまして、長くいてもらったほうが迷惑な先生もたくさんいると思うのです。
 そういう場合に、例えば駆け出しでも優良なら表彰できるように制度を改革したい。教育委員会としては、そういうことについて理念でディスカッションするのですが、いざ、それを政策につなげようとすると、知事部局のほかの表彰とのバランスから難しい。知事部局からつぶされるのです。ですから、知事部局と教育庁との関係も実際にあるわけでございます。ですから、制度の運用の部分というのは、片山知事がおっしゃったような運用ももちろんなのですが、改善しなければならない部分、それからきちんとルールとして、根本から抜本的に見直していただかなければいけない部分は、絶対にあると思っておりまして、そこはぜひ回避せずに御議論いただきたいと思います。

〔佐藤委員退席〕

○ 鳥居部会長
 今のお話にちょっと関連して、話を整理するために申し上げて、御意見を伺いたいのですけれども、市区町村立の小・中学校の先生は約70万人ですよね。市区町村の公務員は140万人ですから、市区町村公務員の半分が市区町村立小・中学校の先生なのです。その人件費は都道府県から出ているというふうに通常言います。都道府県予算全体から見ると、一体どうなっているのかと考えてみて、今度は都道府県立高等学校の先生は、都道府県の公務員が日本全体で160万人のうちの24万人ですから、約8分の1です。それにプラス、さっきの70万人分が、給料の部分だけは都道府県予算の中に食い込んでいるわけですかね。そこのところはどういうぐあいになっているのですか。
 わかります、言っていること。だって市区町村公務員は日本全体で140万人いて、そのうち半分の70万人が市区町村立小・中学校の先生なのに、その給料を、よく話すと都道府県で持っているのだと言うでしょう。そんな巨額なものを都道府県が出しているのですか。
 すみません、お願いします。

○ 片山委員
 それは出しているのです。出しているのですが、義務教育の県費負担教職員の給料の半分は、国から出ているわけです。義務教育費国庫負担金によりましてね。それで県のお金を半分つけて、出しているのです。都道府県の中でかなりのウエートを占めます。
 ただし、通常どこの県でもそうですが、うちの県もかつてそうだったのですが、だからといって教育費がトップにはなっていないのです。大体どこの県でも土木建設費がトップです。鳥取県なんかも土木建設費が断トツで、その次がかなり離されて教育費だったのです。私、この5年間でガラッと変えまして、今、鳥取県では教育費がトップになりまして、その次が土木建設費になりました。本来、一番大切な仕事に重点的に財政を振り向けようとすると、都道府県の財政の中では、教育費がトップになるはずだと思うのです。それは、さっき部会長がおっしゃられたように、当然、小・中学校の膨大な教職員の給料を、国から半分もらいながら支弁しているわけですから、恐らくは自然体でいくとトップになるはずなのです。
 ところが、今日までずっと教育費がトップになっていないというのは、実は地方財政上の問題、さっき私がちょっと言った見識の問題とか、議会の問題とか、そんな問題があって、なっていないのです。これからだんだん正常になってくるとは思いますけれどもね。正常になってくれば、教育費がトップになります。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 どうぞ、門川委員。

○ 門川委員
 京都市で教育長をしておりますけれども、私は30年間、ずうっと教育委員会にいて、行政マンでした。京都のような政治的な物事の対立の厳しい場にあって実感していますのは、教育委員会制度の政治的中立、そしてレイマンコントロール、この必要性は痛感しています。
 戦後の日本の教育で、最も不幸であったのはイデオロギー対立、政治的対立が、教室にまで持ち込まれた。君が代、日の丸がその典型でしょう。君が代、日の丸絶対反対の首長が321票の差で通るか通らへんかという京都でありました。こういうところに教育委員会という制度があって、首長が代わったらコロッと物事が変わるということでない、政治的中立は確保しておく必要があるわけです。
 もう一つは、レイマンコントロールですけれども、私のところの教育委員にもPTAの現職の会長がおられます。それから、いろいろな民間の方がおられます。非常に活発です。これから開かれた学校づくり、校長が地域の学校評議員に、地域の普通のお父さん、お母さん、地域の人に、学校の考え方を理解してもろて、参画してもろて、仕事をしていく。そういうときに、我々教育委員会の―私も行政職の教育長ですけれども、PTAのお母さんが、私の首根っこを押さえてはるわけです。きちんと説明責任を果たして、合意いただかんことには決裁できないです。この制度は非常に緊張感があります。これは審議会ではありません。尊重しますということで、確認できませんでしたではなしに、これがきちんと機能すればすばらしいものだと思います。
 私は、教育委員会制度があるかないかで、100倍の差があると思います。ただし、その100倍の差がほんまに発揮できているかどうかというのは、皆さんがおっしゃっているとおり、運用の問題。それぞれの教育委員のポリシーの問題であり、首長の任命権の問題であり、議会の問題であり、また、私ども教育委員であり、教育長、教育委員会事務局の問題でありということであろうかと思います。
 それから、予算のことが出たのですけれども、京都市は来年度予算から、こんなことになりました。戦略的予算編成ということで、各局に予算の枠組みを渡す。そして、首長は最後にこれだけの予算を盛るということで、教育委員会が、例えば典型的な例を言いますと、便所清掃費は半額にしよう。校長の権限を拡大して、何に使おうと、学校運営費はいいようにしようとか、あるいは公立幼稚園の予算を減らしまして、私立幼稚園の補助金を増やす。全部これは私の責任でやらにゃいかん。教育委員会の責任でやる。こういうようなことを、今の制度の枠内でも努力してやっていこう。それを市民の政策評価、施策評価と、戦略的予算編成の3点セットでやっていこう。こんなことを始めております。
 もう一つ、私どもは、教育委員は非常に志の高い人で、名誉職的なものになっていただかないように、現場主義を徹底しようということで、できるだけ学校現場に行ってもらう。教職員との懇談に出てもらう。PTAの懇談に出ていただく。社会教育委員の懇談にも出ていただく。そのときの一つのキーワードですけれども、行く学校を教育委員に選んでもらう。行く時期を教育委員に選んでもらう。これも緊張感なのですけれどもね。
 ただし、何校か選んでもろたうちの一つにしてもらう。そうやないと学校に迷惑かけたらあきませんのでね。そんな形で、現場主義に徹していこう。そこで感じておられることを率直に言うてもらって、我々専門家と言えるかどうかわかりませんけれども、行政職の者が生かしていこう。こういう一つの仕組みをうまくつくれば、今の教育委員会制度というのはすばらしいもんやないかと思っています。JR東海が「そうだ。京都へ行こう」と言うてますけれども、私どもは「そうだ。学校へ行こう」という形で、ぜひとも京都の学校に来てほしいなと思っています。
 あと一つ表彰ですけれども、優秀教員を表彰したいということで、去年から始めました。京都市に約7,000~8,000人の教員が幼稚園から高校までいるのですけれども、500人ないし600人を毎年表彰するのです。表彰の選考委員会は、市民代表、PTAの代表も入って選考委員会をつくり、5年目の人、10年目の人、15年目の人。どうしても校長の推薦ですと、ベテランばかりになりますから。5年目の人から枠組みをする。そんな形でやりました。ただ、これは残念なのが、今は分権になっていませんので、何の手当も出せないということで、辛うじて図書券を2万円渡しましたら、それが監査委員会に監査請求されまして。ということで、我々は一応の根拠を持ってやっているわけですけれども、監査委員会は「大丈夫だ」いう判断をいただきましたが、これも裁判に出されるのではないかということもありますけれども。
 もう一つは、これはぜひともお願いしたいのですが、校長、教頭が非常に忙しくなってきていますので、副校長を置こう。校長の権限で副校長を置く。そうすると、教務主任を副校長にすると、ものすごくいいのです。ところが、その人は給料が下がってまいります。主任手当が出ないとか。ということもどんどん始めているのですけれども、今、おかげさんで志の高い人が、給料が下がってもやろうと。こういうのを管理職的な扱いができるようなことにしていける権限を教育委員会に欲しいということを感じています。雑駁なことになりましたけれども。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 土屋委員。それから、稲田委員、小川委員。まず土屋委員からどうぞ。

○ 土屋委員
 私のところは、13万5,000ぐらいの町ですから、全国的に見ると3,200の市町村のうちの人口からいくと182番目の町です。中サイズの市ということだと思いますが、そこで21年市長をやっているわけです。
 今、いろいろなことが言われたのですけれども、あまり結論めいたことを先に言ってはまずいのですけれども、率直に言いまして、やればやるほど市長は忙しい。忙しいから、波がありますね。ですから、制度的な保障みたいなものをある程度していないと、今、京都の教育長さんがおっしゃったのですけれども、また、先ほど八代さんが言われたのですが、首長もいろいろいるわけですから、普通サイズの人が首長になったときに、教育がちゃんとやっていけるような仕組みを考えないと、制度としてはまずいという感じがいたします。
 教育を改革するというグループが首長の中にあって、先ほど資料の中に一定の提言が出ていますけれども、このグループは私もよく知っています。よく知っていて、ディスカッションをしますけれども、また、市長会の中に分権型教育を考える特別委員会が設置をされておりまして、私もその委員の1人ですが、その委員会ができた出発点は、ある市長が、教育委員会制度をなくして、首長の思う存分にやりたい、教育委員会も審議会でいいということを発議をしまして、それを危うく全国市長会で決議をされそうになったのです。私は部会が違ったのですけれども、これはまずい、継続審議にしたほうがいいというので、そのかわりちゃんと専門委員会をつくってやろうというので、今、そこで論議をされている最中なのです。全国市長会の様子を皆さんにまず御報告しておきます。
 また、その中で、いろいろ議論をしてみると、制度が問題ではなくて、片山知事がおっしゃったように、運用が問題というのがいっぱいあるのです。その改革派グループも最初は張り切っていたのだけれども、最近、トーンダウンしてきて、私に言わせれば、そんなことは運用でできるじゃないか、私、本当にね、そういう感じがすごくしています。
 ある市では、社会教育的な営み、生涯学習的な営みのところに、首長の意見が入らないからといって、あれは事務委託という格好をとったのですかね。教育委員会から市長に事務委託をするという一種の奇手、奇策ですけれども、やりました。だけど、これはやり方によりまして、例えば生涯学習的な営みというのは、図書館にしろ、スポーツ関係にしろ、文化施設にしろ、これはみんな設置者は首長なのです。教育委員会は運用に当たっているだけであって、市の施設ですから。市の施設としてつくるわけですから、仕組みを考えればいいわけです。確かに今の教育委員会というのは、学校教育は得意なのですけれども、生涯学習の分野では、局長がいて申しわけないのですが、生涯学習の分野ではなかなか柔軟なやり方がとれない。だからこそ指定管理者制度みたいなものが入っちゃうのですが、非効率なところがたくさんあります。それから、もうちょっと柔軟にやったほうがいいところがたくさんあります。
 武蔵野市の場合には、20年前からそういうことを先取りして、より目的的な組織である財団法人で、武蔵野文化事業団というのをつくりまして、そこで今、6館管理していますけれども、美術館も入れて6館の管理を33人。ですから、今の指定管理者制度よりもうちのほうがよほど効率がいいと思っていますが、そういうやり方でやっています。つまり、運用の問題でできるわけです。もちろん教育長をはじめ、教育の現場からは理事とか、評議員に入っていただいて、そこの財団法人の運営について積極的に意見を言っていただいている。
 学校教育の現場についても同様なことが言えるだろうと思っております。実は今日、私、卒業式がありまして、ある学校の卒業式に出席をしてきたのですけれども、例えば学校教育に選挙で選ばれた首長の意見が反映されないというテーマがあるのですけれども、そんなことはないのです。武蔵野市には18の小・中学校がありますけれども、18の小・中学校の運動会、文化祭、そのほか展覧会―卒業式は1ヵ所しか行かれませんけれども、それ以外のところは全部行きます。研究授業だって行きます。そして、どんどん教室を外に開きなさいと。別に教育の中身に直接指図するわけではありませんけれども、そうすることによって、現場がわかり、予算査定をはじめ、つまり、教育委員会の役人よりも私のほうがよほど現場がわかっている。的確に指示ができるし、的確に予算編成ができる。
 ですから、私の感じでは、20万人ぐらいまでの市なら、こういうやり方ができるのではないか。それは今の制度的な問題点というよりも、運用が悪いのではないかという感じがしています。
 教育委員の皆さんとも年に3回から4回、定期的に意見交換を約2時間ぐらいにわたってやります。私のほうから、教育委員の皆さんに「こういう問題はどうなんですか」と投げかける場合があります。
 それから、小・中学校の校長とも年に1回、宿泊研修をやりまして、私は学校の設置者ですから。私がというか、武蔵野市長たる身分が学校の設置者ですから。私が呼びまして、宿泊研修をやって、4時ごろから夜中の11時ごろまでかんかんがくがくやります。お互いにいい学校をつくっていくにはどうしたらいいかということについて意見交換をいたします。
 ですから、現行の制度でもかなりのことができるはずなのです。むしろ教育委員会制度を撤廃したら、とんでもない市長がたまたま受かっちゃったらえらいことになる、と私は思っております。そのいい例が、最近になって目立ってきた、まあ、土木建設がお金がなくなってできなくなってきたら、教育でもやろうかという、ビ・アンビシャスの市長が出てきましてね。ビ・アンビシャスで、本当に教育のことを徹底的に考えているならいいけれども、中途半端に考えて、何か目先の新しいことばかりやろうとしているように思います。教育はあまりぶれちゃいけないと思います。ナショナル・スタンダードということもあるし、時の連続ということもあるし、そういうことをきちんととらえてやらないと、制度としてはかなり危なっかしいものになるのではないかという気がします。おいおい具体的な議論でまた何かあったら情報提供していきたいと思っております。
 今、むしろ問題なのは、教育委員会が十分機能していないという―教育委員会制度はいいけれども、教育委員会が機能していない。その場合の一つは、人材の問題があるのではないか。幸い武蔵野市の場合には、比較的いろいろな方がおられますので、人材には困らないのですけれども、全国的に見た場合、私どもの姉妹友好都市などを見ると、小さな町村では、人材という点でどうなのかなという感じがいたします。人材といえば、首長もそうだと言われると、若干忸怩たるものがあるのですが。(笑声)
 もう一つは、小・中学校の現場が、教育委員会のほうを見ている。教育委員会は首長のほうを見ないで、都道府県のほうに直結している。都道府県は、東京都みたいなところはまたちょっと別なのでしょうけれども、はしの上げ下ろしまで文部科学省の顔色を見ている。少し誇張的な言い方で恐縮ですけれども。そういう中央直結型の、例えば武蔵野市なら武蔵野市の教育在り方論みたいなことではなくて、何かマニュアルで、何かあれば「東京都はどうですか」、また、何かあれば「文部科学省はどうですか」と。こういうふうなことに対して批判があるのかな、あるいは物足りなさを感じているのかなという気がするのです。
 実際そういう要素もあるけれども、複合的な自治ということを考えていけば、何といっても教育長を任命するのは首長ですし、議会が同意するわけですから、自分の気に入らない教育長とか、教育委員はやめさせればいいわけですから。明快な話で。そういうことをきちんとやることをやっていけば、いろいろなことの活性化につながるのかなという気がいたしております。
 もう一つ、市町村立の小・中学校と、都道府県立の高等学校とはちょっと違った問題があるのではないかという感じがいたしております。今日は横山さんが来ていないので、申しわけないけれども、都立高校なんていうのはひどいことがありますからね。これは横山さんが来たらまた私は申し上げたいけれども。それはなぜかというと、管理が行き届いていないのです。東京都の教育委員会で―都立高校は今、200校ぐらいあるんでしたかな。だから、市町村立で首長がいて、教育長がいて、教育委員会がいて、教育委員会事務局がいて、18校の小・中学校をきちんと管理するのでもなかなか大変ですから。今のような状態だと、方面別教育委員会かなんかつくらなければだめなのではないかという気がします。結局だから、あとは強権的なやり方で、何かやった者は処分するとか、そういう話にどうしてもなりがちです。日常的な指導をしていないから、ある傾向を持った教員の巣窟みたいになっちゃっているんですね。これは恐らく京都でもそういう傾向にあるんじゃないですか、教育長さん。そうでもないですか。

○ 門川委員
 一掃しました。

○ 土屋委員
 しかも、教員というのは一旦雇ったら、なかなか首切れませんから。そういう意味では、一旦そういう教員が出ると、影響が何十年にわたる。ですから、そういう意味で、むしろ制度をいじるとしたら、教員の身分制か何かで10年に一遍ぐらい、再任するかどうか、そのぐらいのことをやるかどうか。こういうことがあるだろうと思っております。大変長くなって……。

〔松元生涯学習総括官退席〕

○ 宮崎委員
 今の土屋さんの御意見にちょっと質問していいですか。

○ 鳥居部会長
 はい。

○ 宮崎委員
 私、教員の話は大賛成なのですが、今の制度ですと、さっき言いましたように、教職員の給料は全部都道府県から出ておりまして、任用は都道府県レベルになるので、処分を出すにしても、任用するにしても、市町村は手が届かないのですね。それについてはどうお考えですか。

〔八代委員退席〕

○ 土屋委員
 実はそれもよくテーマになって、市町村立の学校に勤務する教職員の人事権を市町村に任せろと、こういう意見があるのです。だけど、現場でやっていますと、〈果たしてそれで大丈夫?〉という感じがしますね。というのは、これを地方公務員制度としてやる以上は、例えば教員を特定の為政者の意向で首切ったりそういうわけにいきませんから、当然のことながらある程度身分保障があります。これは一般職でもそうですけれども、あります。仮におかしな教員が出た場合に、それをちゃんと調査しウオッチングして、実際に首を切れるのか。これはすぐ、市長のところに押しかけられます。そういう処分を含めて、採用も含めてということになると、やはりある程度広域採用したほうがいいのではないかという印象です。
 例えば、武蔵野市で教職員を採用しろといったら、おもしろいけれども、結構大変ですね。実際に何かおかしな者が出たら、処分できるのか。今までは都道府県もなかなか、少なくとも東京都の場合にはあまり処分しなかった。最近、処分しています。指導力不足の教員は処分するようになりましたけれどもね。そういう問題があるのだろうと思います。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、時間の関係もありますので、次の方に。稲田委員、どうぞ。

○ 稲田委員
 私は佐賀県で県立の女性センターと生涯学習センターの館長をやっているのですけれども、民間からこの仕事に入って5年になります。今、かなり力を入れてやっているのが、生涯学習にせよ、青少年教育にせよ、いわゆる首長さんに対する啓発です。市町村長ですね。
 というのは、今までも片山知事はじめ、いろいろ出ましたけれども、意欲と認識の持ち方が非常に濃淡があり過ぎると私は思っています。生涯学習一つ論ずるにしても、あれは教育委員会の仕事の一部分だからということで済ましてしまう。
 私が申し上げるのは、生涯学習というのはコスト面を考えて、絶対にもっと力を入れなければいかんのではないかと思うのは、結局、佐賀県のような場合は、高齢化率が全国平均よりもうんと高い。早く進んでいるわけです。したがって、平均寿命は長いけれども、健康寿命からいうとどうなのかなという点がございます。ということは、寝たきりとか、痴呆とか、そういう方が非常に多いわけです。そういうふうに一旦なると、例えば寝たきりになって、老人病院に入ると、いわゆる家族の負担は5~6万円から6~7万円でしょうけれども、市町村が毎月40万から50万出しているわけです。負担しているわけです。そういうふうな人をつくらないための生涯学習、生涯スポーツ、こういったものが、今、絶対に必要になってきているわけです。しかも、昭和21年からのいわゆる団塊の世代が、もうすぐ退職して、地域社会とか、家庭に戻ってくるわけです。この数が1,000万とか、いろいろ言われている。こういう人たちを寝たきりとか、痴呆予備軍にしないためにも、どうすればいいかということを、やはり市町村のトップはもっと真剣に考える必要があります。これは考えようによっては公共事業より、もっともっと大事な問題ではないかと思うのです。
 それと今、青少年期に入って非常に問題行動を起こす子どもが多い。この対策には時間と経費がものすごくかかると思います。したがって、いわゆる乳幼児期の中の親子の取組が必要になってくるわけで、生涯学習と同時にこういう青少年教育と家庭教育の問題をどういうふうにやればいいのか。首長がこういう認識をきちんと持って、教育委員会と連携をとって、首長部局と教育委員会が密接なつながりを持ってやっていく。そうでないと、成果は期待できないと思います。
 こういう問題は、運用という話が出ましたけれども、運用と人材の問題だと思います。幸い市町村合併が進みますと、首長の数も減りますし、議員の数も―東京都よりも多い議員の数があるようなところもあると聞いていますから、議員の数が減るとは限りませんけれども、常識的に言えば減る。それから、教育委員も減るし、厳選されると思うのです。だから、市町村合併を機に、いわゆる人材の一新をしないと……。教育に無関心な首長がおって、教育のことが何もわからん教育委員がおって、これで教育を論じる。しかも、地方の少子高齢化が急激に進んでいる地方の人づくりが果たしてできるのか、そんな感じが私はするわけです。いわゆる、はなわが歌っているような佐賀県にしてはいかんと私は思って言っているわけですけれども、これは緊急を要する喫緊の課題だろうと思っています。

○ 鳥居部会長
 それでは、小川先生、それから吾妻委員、森田委員、森脇委員と、その順でお願いします。
 まず小川先生から。

○ 小川委員
 初回ですので、これからの審議の方向性にかかわって、こういう方向でということの問題提起を含めて、3点ぐらいについてお話しさせていただきたいと思っています。
 一つは、教育委員会制度の在り方の議論ですけれども、基本的には最初、片山知事がおっしゃられたように、今の自治体のいろいろな仕組みの中から教育委員会だけピックアップしていじろうといっても、自治体の教育行政の活性化は生まれてこないと思うのです。首長とか、議会が、教育行政とか、教育政策にどうかかわっていくか、教育委員会と首長と議会との役割分担や連携の在り方について、突っ込んだ議論が必要ではないかと思います。
 といいますのは、仕事柄、全国の教育委員会をいろいろ見てきているわけですけれども、自治体の教育行政がうまく動いているところは、ある傾向があるのです。それは教育委員会と首長さんの連携というか、キャッチボールが非常にうまくいっているところが元気ですね。自治体のいろいろな政策立案とか、行政をするときに、首長さんと教育委員会というのはそれぞれの役割分担を行っているように思います。教育委員会というのは、どちらかというとこれまでの地域の教育行政の「慣行」とか、制度の枠内の中で、いろいろな政策を執行していこうという傾向があるのですが、首長さんは教育委員会よりも住民の要求がストレートに入ってきますので、そうした要求に耳を傾けながら、今の制度の枠とか、今までの「慣行」を度外視して、住民からこういう要求が出ているけれども、こういうことはうちではできないのかという、そうした制度の枠とか慣行を超えた発想でもって地域の教育問題を考えよう、ないしはそれを教育委員会のほうに問題提起するという緊張関係がある自治体というのは、政策革新のダイナミズムが生まれているように思います。つまり、教育委員会はどうしても従来どおりのルール、制度を大切にしながら、その枠内でやろうとする傾向があるのに対し、首長さんというのはそれを超えて自治体の新しい問題に取り組む指向を強くもっています。その両者の役割分担が車の両輪のように動く自治体というのは、おもしろいし、いろいろな取組が可能になっているように思います。
 ただ、多くの首長さんとお話しすると、教育委員会があるから、私は遠慮しますという発想が強いのは事実ですので、そういうことではないのだよという発信を、中教審の審議の中で、連携のノウハウ等を含めてできればと考えます。首長、議会の果たすべき役割を、もう少し大きい声で言っていいのかなという感じがします。それがまず一つです。
 二つ目は、教育委員会制度といっても、都道府県、中核市、特例市、市、町村ということで、同じ市町村といっても、300数十万の横浜市と数百人の村がありますので、それを全て一緒にして、一つの教育委員会制度ということで議論するのは、かなり無理があるのも事実です。実際抱えている問題も違いますし、先ほどお話がありました人材一つとっても、規模の違いでもって、行政的な資源が全然違います。そのような行政的な資源とか、抱えている問題が違う地域の問題を、教育委員会という一言で片づけられないように思います。
 これはどこまで可能かわかりませんけれども、私は、今の地教行法については、ある意味では標準法化するような方向で、見直しが可能な部分があるのではないかと考えています。規模の違いによって、幾つかの教育委員会の運用の仕方とか、教育委員会の組織の仕方等々について、幾つかの選択肢ができるような弾力的な地教行法の規定の在り方が、工夫されていいのではないかと思っています。
 時間がないので、具体的な例は示しませんけれども、例えば教育長と教育委員長という二本立ての仕組みは、果たして小規模の教育委員会において必要なのだろうか。もう少し教育長が名実ともにリーダーシップを発揮できるような仕組みということで、例えば、教育委員長制度を廃止して、教育長が教育委員会を代表できるようなことなどの選択肢を、いろいろな条件の中で選べるようにするために、地教行法の中身をもう少し標準法化して、教育委員会の組織、運営の在り方で、もう少し地域の実情に合わせて弾力的にできるような工夫は検討してみていいのではないかと思います。
 もう一つ、制度の問題ではなくて、運用の問題というのは、私も基本的にそうだと思います。ただ、市町村の教育委員会の教育行政運営をやっていく上で、例えば県費負担教職員制度の問題とか、県と市町村の関係でなかなか窮屈な部分があるのも事実です。私自身は、今の県費負担教職員制度とか、広域人事行政を即座に廃止するという考え方は全くありません。例えば北海道とか、鹿児島のように、離島とか、僻地に勤務している先生方を、全県の大体3分の1ぐらい抱えているようなところでは、広域人事行政とか、県がいろいろ広域人事の配慮をしながら全県的に教員の配置を均等にしていくという仕組みは必要だと思っています。
 ただ、市町村がいろいろな取組をしていくときに、人事のところで幾つかの壁があるのも事実ですので、今の県費負担教職員制度とか、広域人事行政を前提にしながらも、市町村のイニシアチブが人事のところで動けるような仕組みづくりが何か工夫できないか。私が調べた範囲では、都道府県といっても、広域人事の在り方は多様な在り方がありますので、工夫次第ではいろいろな解決策が出てくるような感じがします。そうした行財政のシステムづくりも少し考えながら、市町村の教育委員会がより活性化できるような条件整備の問題も、議論の中で組み込んでいただければと思います。すみません、長くなりました。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、吾妻委員、どうぞ。

○ 吾妻委員
 時間も迫っていますので、細かいことは抜きにして、端的にお話ししたいと思います。
 私は全国の町村の教育委員会の代表のような形でここに出てきているものですから、ただいまの御意見の中にも既にあったわけですけれども、これからのこの会の進め方の中でぜひお願いしておきたいことは、一言で言えば、小さな町、村を忘れないで、審議のときに光を当てていただきたい。今の我が国の繁栄があるのは、明治、昭和の教育の成果だと思いますし、もう一つは、日本全国どこでも同じような教育を日本国民は受けてきた、その成果だと私は思っております。今、町、村は、町村合併でどんどん減っていきます。減っていく中でも、残る町、村はあるわけですので、その辺を、少なくなっていくから見捨てるような、あるいは議論の中から忘れられるようなことのないように、初回ですので、お願いをしておきたいということで、一つ申し上げます。
 二つ目は、先ほどからたくさん議論が出ていますけれども、教育委員会制度の仕組み、それから運営。そのときに、仕組み、制度をどう変えるかということを先に考えるのではなくて、運用面でまだまだ教育委員会が活性化する余地があると思うのです。ですから、初めに制度改革ありきではなくて、今の制度で運営面を突き詰めていけば、どこまで活性化ができるのか、その議論を詰めてから、制度の問題に入っていただきたいと思っております。
 三つ目は、これも先ほどから出ましたお話ですけれども、レイマンは私は大事にしたいという立場です。逆に、極端な例ですが、教育委員を全部教育の専門家だけで構成するようなことがあったとしたら、かえって怖いような気がします。レイマンは素人ではなくて、レイマンは一般常識人だと思います。一般常識人の国民の代表が教育にいろいろと意見を申し上げる機会があるというのは大事にしていかないと、いつの間にか特定の人間だけで教育が動いていってしまう、そういう怖さを感じます。
 以上3点、よろしくお願いいたします。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、森田委員、どうぞ。

○ 森田委員
 お時間も限られておりますので、簡潔に申し上げたいと思いますが、私自身は大学で、広い意味での政治学、もう少し細かく言いますと行政学という、行政の制度とか、運用について研究している者でございます。
 そういう観点から教育委員会の制度を見た場合、そもそも独立行政委員会といいましょうか、こういう仕組みとしての教育委員会というのは一体何なのか。どうしても学者としてそういう問題の立て方をいたします。これは冒頭に片山知事が触れられたところでもあります。19世紀の終わりにアメリカで生まれ、それが戦後、日本に公安委員会であるとか、農業委員会であるとか、幾つかの形でつくられたわけでございます。日本でつくられ、その後で、性質が変わってきているかと思います。そこのところをよく考えていかないと、ある制度が機能しているから、それはそれとして合理的だという考え方もありますけれども、制度の在り方について問題提起されているときに、もう一度そこに立ち返って考えてみる必要があるのではないかと思っております。
 もう一つ申し上げますと、確かに教育委員会制度というのは、一般の方の常識を反映して運営するという意味では、大変デモクラティックな制度と言われておりすが、現代の行政といいますのは、仕事の中身が複雑で高度になってきております。確かに、素人と言ってはいけないのかもしれませんが、一般の方の判断も重要ですけれども、実際細かいことについて、一般の方がそこを一々見て、チェックをすることは非常に難しくなってきております。そのために、事務局に多くのことをお願いして、そして事務局でもって段取りをして、それを最終的に承認するという仕組みになってきているわけでございます。これは別に教育委員会に限らず、首長さん、議会でもそういう形になってきているわけです。
 この事務局、我々の用語で言いますと官僚制と申しますけれども、これがだんだん複雑になり、外から見えなくなってくることについて、外から不信の念が出ている。これは同じことが言えますのは、今の裁判の制度であって、裁判員制度というのは、それに対してもう一度、一般人の常識を反映させようということで、教育委員会につきましても、教育委員会の問題もありますし、先ほど、お帰りになりました八代委員も触れられましたけれども、教育長をはじめとする教育委員会事務局の在り方が問われているということではないかと思います。
 その意味で言いますと、今日おいでになっていらっしゃる方は皆立派な方でいらっしゃいますけれども、いろいろとそこのところについて問題点が指摘されていると思います。したがいまして、その部分について実質的な行政の判断を行っているところを、どのような形で、地域の方あるいは教育の観点から見て望ましいものにしていくのかというのが課題であるわけです。その場合に、教育委員会の中立性とか、あるいは専門性が、こういう機会ですので、もう一度問われる必要があるのではないかと私自身は思っております。
 先ほど、ちゃんと首長さんは教育行政に対して影響力を持っているというお話がございましたけれども、原理的に考えますと、そのことと教育の中立性はなかなか両立しがたいところもないわけではない。これをどう考えていくか。また、本当に民意を反映してということならば、かつてあったように公選制という仕組みが考えられてもいいのではないか。そうした問題点があるかと思います。
 もう一つ申し上げますと、私自身は、95年から、もう10年近くなりますけれども、地方分権に関しまして地方分権推進委員会、そして現在の地方分権改革推進会議にもかかわってきております。地方分権改革推進会議に関しましては、資料の16ページで、分権会議のほうも教育委員会制度を尊重していると書かれておりますけれども、これは中間論点整理であって、その後はかなり強く、必置規制を廃止すべきと主張しているところでございます。
 何を申し上げたいかといいますと、地方分権の場合には、それぞれの地方が自ら望ましい組織、制度を考えていく。これが自己決定の自己組織権になるわけです。その結果はそれぞれの地域が地域で責任を負う。これが地方分権の一つの理念だといたしますと、現在の教育委員会制度といいますのは、地方の裁量の余地をかなり縛っているのではないか。したがって、それを必ずこういう形で置かなければいけないという必置規制の制度は、見直してもいいのではないかということでございます。
 これ以上申し上げませんけれども、小川先生からございましたように、ほかの形態もそれなりの合理的なものがあれば、それを採用する選択の余地もあってもいいのではないか。教育委員会の必置規制反対と言いますと、教育委員会廃止論者と勘違いされますけれども、決してそういうわけではなくて、教育委員会が教育委員会として機能するところは、それを設置されるということを地方が選択されることは何ら差し支えないと思いますし、それを活性化させることも大いに結構であろうと思います。しかしながら、地方の行政の中で、あるいは教育、ほかの分野とも関連して、ほかの形態が望ましい。もちろん一定のミニマムの基準は満たさなければいけないと思いますけれども、ほかの形態が望ましいとお考えになるときには、それを選択できるような仕組みにしていく。それがこれからの日本の地域に応じた形での教育の活性化、あるいは地域社会そのものの活性化にとっても必要ではないかと考えているわけでございます。
 もう少し言いますと、なぜ私がここに座っているのかというと、分権改革推進会議でそういうことを議論させていただいた経緯で、おまえ、ここで発言せよという御趣旨でございましたので、一応言わせていただきました。どうもありがとうございました。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 それでは、森脇委員、どうぞ。
 ちょっと時間が二、三分超過するかと思いますが、お許しいただいて。あと二、三人で終わりにしたいと思います。

○ 森脇委員
 それでは、時間が過ぎておりますので。私は全く教育委員会のほうの専門家でも何でもございませんので、一私立の短期大学の学長をしているわけですけれども、そういう意味では、全く専門外の者といたしまして、ちょっと大学のほうのマネジメントにかかわる者といたしまして、議論をするときにというか、教育委員会の問題が出てきましたときに、私だけでなくて、多くの者がその実態がほとんどわからないというのが現実ではないかと思うのです。
 今お聞きしておりますと、首長さんや国の問題やら、あるいは教育委員会やら、学校そのものの在り方とか、そういうものが複雑に絡んでくるので、教育委員会だけの問題を取り上げて、その制度だけというふうにできないというのは、私もよく理解ができます。
 なぜ教育委員会が問題になって出てきたのかというそこのところにくるのですけれども、恐らくこれは日本の国が教育の深刻な問題を相当抱えておりまして、教育改革をどう推進させていくかというところになるのだと思いますが、その課題を明確にするところは、大学の場合には、今、認証・評価という動きが具体的にも出てきているわけですけれども、小・中・高というところでも、形は違うとしましても、今、自己点検・評価のほうは努力義務ですね。それをいろいろな形で義務化して、そして第三者の―第三者は、学校のことがわかる地域の方を中心にでいいのではないかと思いますが、そういう方の評価を受けたものを公表していただく。これが日本の教育、あるいは地域の教育を我々が考える上で欠かせない点ではないかと思って、感想を一言申し上げたいと思ったのです。
 というのは、首長さんにしても、今、こちらの委員で御参加の方のお話を聞いておりまして、こういう知事や市長さんのいらっしゃるところだったら、どんな学校も幸せだなというふうに、あるいは委員会も機能するなというふうに、切実な感想を持ちました。実はそうじゃないほうが現実の実態としては多いのではないかと思います。あるいは、いろいろな規模もあります。そういうところで、あっちが悪い、こっちが悪いではありませんが、そうではなくて、いかにうまく連携をしていくかといったときに、首長さんというのは設置者だと思うのです。そういうところまでを当然ながら含めた評価になろうかと思うのです。学校というのは校長先生が中心だと思いますが、教員一人一人だって重要な教育機能を担っているわけですが、そこも含めた形でのうまい認証・評価のようなことをしていただいて、それを公開していただく。そちらのところで、我々といいますか、国民がようやくわかってくるのではないか。専門外の者でございますので、そのことを一言発言をさせていただきました。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。

○ 池端委員
 今、森脇委員さんもおっしゃっておりましたが、特に私などはまだ子育て真最中で、現役のおばちゃんという感じなのですが、その中で、私、個人的な話ですけれども、教育委員会というのは、同じような会議ばかりやって、私を引っ張り回すところやと個人的には思っております。どこへ行っても、同じ話をしてはんねんなという、個人的な実感を持っております。
 一般的に考えまして、教育委員会のほうですけれども、一般の我々というのは、教育委員会の中の教育委員長と教育長の区別もままならぬ。また、一体何をしているところなのかわからないというのが現実です。これは一般の保護者、我々のみならず、教師も同じやと思っております。そういう中で、何をしているかわからないところ、どういう形で何かしてはるんだろうという、全く理解不能なところが実はありまして、わかってくると、これは大事な問題なんやということは気がつくんですけれども。
 先ほどからいろいろ話をお伺いしておりますと、やはり首長さんがおられ、議員さんがおられ、やはりしっかり教育の問題にお取り組みいただかなかなくてはならない、問題意識を高めていただかなくてはならないというお話は、ごもっともやな、ありがたいなと思って聞いていたのですけれども、その前に、首長たちを選挙で選ばせていただく一般市民が教育行政に関心を持たなくては、そういう意味合いではおよそ働いてくれないのではないかと思いました。
 ところが、選挙権を持っている我々自身が、全く教育委員会というものがわかっていないという、この大きな食い違いの部分を何とかしていかなくては、こういう問題はいつまでたっても、何が悪いんやという部分が、何と言っていいのかわかりませんが、運営なのか、人材なのか、首長なのか、何なのかという部分よりも、学校に関してもそうですけれども、教育行政にも、一般の我々がいかに興味・関心を持つかというところが問題なのではないかと思っております。
 義務教育費国庫負担金の制度もそうですが、いよいよこうなってくると、やっとえらいことやというて騒いでいるわけですけれども、本当はもっと前から問題意識を持たなくてはならなかったのではないか。ところが、何をしてはるかわからへんものですから、気がついたころには、こうなってしまったという、私たちPTAの中ではそういう意味合いを持っております。教育行政に関しまして、教育委員会に関しまして、興味・関心をまず持っていただくというところを、何らかの形で考えていただくということを前提に、教委制度を見直していただきたい。見直すというか、運用面も含めまして、そのあたりを願い申し上げます。

○ 鳥居部会長
 それでは、まだ御発言のあれがおありかもしれませんが、時間をちょっと超過いたしましたので、このあたりで御発言いただくのは終わりにさせていただきたいと思います。
 今お話を伺いながら、私、実は皆さんのお手元にある資料を見ていたのですが、15番という耳箋がついているのが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律なのです。これがいわゆる地教行法と呼ばれるもので、この第1条から第4条ぐらいのところに、教育委員会の選び方とか、いろいろ書いてあって、文句があったら第7条で、首にできる―請求だけできるのです。3分の1の署名でもって請求はできる。請求が出てきたとき、どうするか、この法律には書いてないです。請求が出てきた人をどうやって解任するかという手続などは、まだまだほかのところを見ないと書いてない。いろいろあります。
 先ほど片山知事のお話にもありました、首長との分担は第23条に書いてありまして、要するに教育委員会の分担事項は、1番から19番まで19項目書いてある。ところが、第24条に、都道府県知事、あるいは市区町村長の分担事項は1番から5番まであっさりと書いてある。見てみると、いろいろと考えるところがおありだと思うのです。
 これをまだ御覧になったことがない方も、今後の審議のためにお手元に持たれたほうがいいと思いますので、事務局におっしゃっていただいて、ここから外してもらって持って帰るとか、何かうまい方法で今日お持ち帰りいただいて、一度お目通しいただいておいてはいかがかと思います。
 そんなことで今日は終わりにさせていただきまして、次回またぜひよろしくお願いしたいと思いますが、事務局から今後の予定について何かありましたらお願いいたします。

○ 山田生涯学習企画官
 では、資料7を御覧いただきたいと存じます。
 今後の日程につきましては、資料7のとおりでございまして、次回は来月、4月13日の火曜日の午後2時から4時までを予定しておりますが、会場等はまだ未定ということでございます。

○ 鳥居部会長
 ありがとうございました。
 お忙しい方ばかりでございますので、またおいでいただくのが本当に心苦しいのですが、ひとつよろしく御協力のほどお願い申し上げます。
 それでは、今日の会合はこれにて終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

午後4時14分 閉会

お問合せ先

生涯学習政策局政策課