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学校の自主性・自律性確立のために教育委員会は何をしなければならないか
児童生徒・保護者・地域社会のニーズに的確に答える教育活動を展開していくためには、組織改革等により、学校が自主性・自律性を確立するとともに、学校の裁量権の拡大と責任体制を明確にする制度設計が必要です。
そして、自主性・自律性に基づいた学校運営をしていくためには、教育委員会の学校に対するバックアップ(支援)機能の強化が必須であり、そのための新たな教育委員会の体制づくりと、学校が組織として機能するシステムづくりが必要となります。そして、教育委員会が、学校において「人」・「物」・「金」・「情報」に関する業務を一手に引き受けている学校で唯一の行政職員である学校事務職員を活用することで、学校の自主性・自律性確立の近道だと確信しています。
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2. |
全国的な教育水準の確保について
もとより義務教育は、国が全国的な教育水準の維持・向上を保障する責務を負っているものであり、教育の地方分権は、義務教育の実施主体である市町村や学校に、出来るだけ権限を委ねていこうというのが目的のはずです。
そして教育現場において、全国的な教育水準の確保の基盤となっているのが、教育を支援している「学校事務」です。本会は、「教育委員会が行う事務」と「学校が行う事務」を総称して「学校事務」と捉えています。学校がある限り「学校事務」は存在し、しかもそれは全国共通の水準に達していなければなりません。
今後、地方分権、学校の自主性・自律性が推進されればされるほど、学校裁量は拡大され、「学校事務」を確立しそれに安定性を与えることは必要なことです。国レベルで「学校事務」の全国的水準を確保することが、国の役割分担において重要な課題となります。
地方分権の進展による地方に応じた創意工夫は、それを支える組織体制が整備されて初めて実現されるものです。「学校事務」の安定はナショナル・スタンダードです。その意味で、文部科学省・都道府県教育委員会・市町村教育委員会・学校が互いの役割分担を見直し、整理し、より現場に近いところに権限の委譲・裁量の拡大をはかる仕組みづくりが今こそ求められています。
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3. |
保護者・地域住民の教育への参画について
「小学校設置基準」等は、情報の積極的な提供を義務化し、学校の自己点検・自己評価と結果の公表を学校の努力義務としました。早急に、全ての学校が実施するよう仕組みを講じる必要があります。
学校の自己評価は教育活動そのものの評価に重点が置かれ、ともすれば学校経営評価になっていない弱点があります。今後は組織マネジメントの視点から、学校経営評価をする必要がありますし、総合的な学校評価を第3者に委ねることも必要です。
平成16年9月から制度化された「学校運営協議会」は、全ての県で実施が予定されています。学校・家庭・地域が積極的に学校運営に参画する体制が期待されます。しかし、「学校運営協議会」が円滑に運営されるためには、機能させるスタッフが学校側にいなければなりません。客観的、具体的、継続的な評価とフィードバックを実施、推進していくためには、行政職員として学校に配置されている学校事務職員を活用すべきです。
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制度改善と運用改善について
平成10年の中教審答申においても、制度の改善にあたっては法改正や条例・規則改正を伴うものと現行法の中で運用によって改善可能なものとが指摘をされています。国において制度化すべきものについては法律改正や省令の改正等早急に制度化すべきです。一方、学校予算に伴う校長への裁量権拡大や学校の特色づくり推進など学校予算の配当方式等の改善については、市町村教育委員会の運用によって改善が可能です。各市町村教育委員会が積極的に改善する措置を講じるなど促進の手立てが必要です。
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