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調査(B)

県費負担教職員制度の運用実態に関する調査





1.  教員の人事異動の実態

1-1  異動の基本的な範囲について

 県費負担教職員制度によって、教職員の人事権は都道府県教育委員会と政令指定都市教育委員会が持つものとされている。これによって市町村域を超えた教職員の人事異動が行われているとされているが、その異動範囲の実態を整理する。

一般教員について

異動の基本的な範囲について(一般教員について)


 都道府県に関しては、全県もしくは教育事務所を単位とする異動範囲を設定しているものが多く、教育事務所からの回答でも同様の傾向について確認することができた。単一の市町村を基本的な異動範囲とする回答はわずかであり、何らかの形で広域的な人事が行われていることがわかる。一方、政令指定都市については市域内を基本的な範囲とする回答が多く、都道府県と比較しても若干狭い範囲で教職員の異動が行われている。

校長及び教頭(以下「学校管理職」)について

校長及び教頭(以下「学校管理職」)について


 都道府県・政令指定都市・教育事務所のどの回答の傾向をみても、一般教員と同様に学校管理職に関しても広域な異動範囲を設定するという傾向が見られる。また一般の教員と比較すると、学校管理職の方が異動範囲を若干広域化しているという傾向も確認できる。

1-2  「広域人事」はどの程度重視されているのか

一般教員について

「広域人事」はどの程度重視されているのか(一般教員について)


学校管理職について

「広域人事」はどの程度重視されているのか(学校管理職について)


 広域的な人事異動については、異なる教育条件での経験を重ねるという職能成長上の目的や、へき地等を抱える自治体にあっては教職員への負担を均等にするという目的が挙げられる。調査からは、一般教員・学校管理職のどちらかを問わず、多くの都道府県において「広域人事」が重点項目に位置づけられていることがわかる。一方で政令指定都市の場合は、基本的な異動範囲が市域に限定され、へき地を抱えていないこともあり、都道府県ほど広域人事を重視してはいない。

1-3  「広域人事」の想定する異動範囲

「広域人事」の想定する異動範囲


 1-2で確認したように、広域人事は多くの自治体において重視されているが、その「広域人事」が具体的に想定する異動範囲については若干のばらつきが見られる。また都道府県の回答では、1-1における異動範囲の実態と比較して「広域人事」という方針が想定している異動範囲が広域であるということが示されている。これは、現状での異動範囲が必ずしも都道府県にとって理想通りのものではなく、実態よりも広域な異動が志向されているということである。


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