(1) |
教育委員会会議での議論が不活発な理由(教育委員長調査より)
会議で議論があまり活発でない教育委員会が多いといわれるが、それはどのような場合にそうなると思うかと聞いたところ、以下のような結果が得られた。平均値は、「全くそう思わない」を1点、「とてもそう思う」を5点とした平均である。
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全くそう思わない |
あまりそう思わない |
どちらでもない |
ややそう思う |
とてもそう思う |
市町村平均 |
都道府県平均 |
教育長の発言力が強く、意見を言う余地がない場合 |
25.6% |
37.5% |
13.5% |
16.6% |
6.8% |
2.42 |
2.42 |
提案される教育政策に議論の余地がない場合 |
8.3% |
22.7% |
19.4% |
38.2% |
11.3% |
3.21 |
3.68 |
教育委員に教育に対する識見が不足している場合 |
11.8% |
29.8% |
22.9% |
27.9% |
7.6% |
2.90 |
3.17 |
議題が多すぎるため時間が不足する場合 |
16.0% |
43.2% |
21.6% |
17.0% |
2.2% |
2.46 |
2.71 |
議論するための前提となる情報が不足している場合 |
5.7% |
22.2% |
19.2% |
43.5% |
9.4% |
3.29 |
3.46 |
教育委員の考え方が同質的で似通っている場合 |
6.4% |
27.0% |
32.1% |
31.3% |
3.2% |
2.98 |
2.85 |
通達・通知等で国(県)の方針が決まっているために、議論のしようがない場合 |
5.0% |
16.2% |
17.2% |
45.0% |
16.6% |
3.52 |
3.49 |
結果を見ると、「通達・通知等で国(県)の方針が決まっているために、議論のしようがない場合(平均値3.52)」「議論するための前提となる情報が不足している場合(同3.29)」「提案される教育政策に議論の余地がない場合(同3.21)」が委員会会議の不活発となる理由として捉えられている傾向が見られる。特に、「通達・通知等で国(県)の方針が決まっているために、議論のしようがない場合」については、「ややそう思う」と「とてもそう思う」を合わせると6割を越える。これらは形骸化といわれる状況の背後にある制度的な問題として看過することができない。
市町村と都道府県では上位三つが共通している。これは上級行政機関の縛りの問題や事務局の情報提供の情報提供の重要さを示唆している。反対に、教育委員会の問題点としてよく指摘される教育委員の識見不足や議題が多すぎること、そして委員の構成の同質性に関しては、平均値が低いという結果となった。
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(2) |
教育委員会会議が合議体として機能するための要素(教育委員長調査より)
教育委員会会議が合議体として機能し、教育委員会本来の役割を果たすためには、どのような要素が大切であるかを聞いたところ、以下のような結果が得られた。平均値は「全くそう思わない」を1点、「とてもそう思う」を5点とした平均である。
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全くそう思わない |
あまりそう思わない |
どちらでもない |
ややそう思う |
とてもそう思う |
市町村平均 |
都道府県平均 |
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委員の年齢構成の見直し |
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6.3% |
26.9% |
25.3% |
33.4% |
8.1% |
3.10 |
3.19 |
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委員の構成の多様化 |
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6.1% |
26.1% |
23.4% |
31.8% |
12.6% |
3.19 |
3.30 |
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教育政策に委員の発言が反映される実績 |
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0.4% |
7.3% |
19.4% |
45.9% |
27.1% |
3.92 |
3.95 |
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研修を増やし教育識見を高める機会 |
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0.5% |
7.2% |
17.5% |
47.6% |
27.1% |
3.94 |
3.59 |
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委員と教育長との情報交換 |
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0.6% |
6.7% |
16.2% |
43.1% |
33.5% |
4.03 |
4.11 |
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議事内容の事前連絡 |
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0.6% |
7.8% |
15.3% |
47.7% |
28.6% |
3.96 |
3.92 |
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委員数の増加 |
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21.1% |
41.2% |
28.1% |
7.2% |
2.4% |
2.29 |
1.92 |
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委員の一部常勤化 |
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22.8% |
36.1% |
24.2% |
11.2% |
5.7% |
2.41 |
2.16 |
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委員の意欲・使命感と自己啓発 |
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0.5% |
3.5% |
6.9% |
32.3% |
57.0% |
4.42 |
4.53 |
「 委員の意欲・使命感と自己啓発(平均値4.42)」が最も平均値が高く、「教育委員と教育長との情報交換が頻繁になされること(平均値4.03)」「 議事内容についての事前の連絡が十分なされること(同3.96)」「 教育委員の研修を増やし、教育に関する識見を高める機会を増やすこと(同3.94)」「 教育委員の発言が自治体の教育政策に反映されるという実績があること(同3.92)」などの要素が大切であるとされる一方、「 教育委員の数を増やすこと(同2.29)」「 教育委員を一部常勤化すること(同2.41)」は大切であるとは考えられていない。また、教育委員会会議が合議体として機能し、教育委員会本来の役割を果たすために大切であると考えられている要素に関しては、都道府県と市町村の教育委員長の回答傾向は類似していると見てよいであろう。
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会議の活発度との関係では、活発度に関わりなくおおむね必要であるととらえられているが、特徴的なのは、「 委員数の増加」、「 委員の一部常勤化」が必要かどうかの問いに、「活発」のグループの方が「全くそう思わない」と回答する傾向が強いことである。( については「活発」が24.1%、「不活発」が16.8%、 については「活発」が25.7%、「不活発」が18.8%であった。)
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(3) |
議題の次回持ち越しの理由(教育委員長調査より)
議題について結論が出ず、次の会議に持ち越される場合があるとしたとき、どのような場合に起こるかを聞いたところ、以下のような結果が得られた。(複数回答)
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ある |
ない |
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意見が対立している場合 |
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17.9% |
82.1% |
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資料が不足している場合 |
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45.6% |
54.4% |
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時間が不足している場合 |
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25.8% |
74.2% |
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議題に対する準備が不足している場合 |
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40.3% |
59.7% |
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事務局による説明が不十分な場合 |
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19.8% |
80.2% |
どのような場合に議題が次回持ち越しになるかについては、「資料が不足している場合」「議題に対する準備が不足している場合」を選ぶケースが比較的多い。
会議の活発度との関係を見ると、「 資料が不足している場合」、「 時間が不足している場合」、「 事務局による説明が不十分な場合」の3つの場合について統計的に有意な関係があった。いずれも、「活発」のグループの方が「不活発」よりも「ある」と回答するケースが多くなっている。
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