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資料4



地方視察の概要

 概要
 中央教育審議会教育制度分科会地方教育行政部会における審議の一環として教育委員会等を訪問し、教育委員等と意見交換を行った。

 視察先
 静岡県教育委員会(人口:約378万9千人)
 静岡県静岡市教育委員会(中核市、人口:約70万3千人)
 静岡県岡部町教育委員会(人口:約1万3千人)
 静岡県岡部町立岡部中学校(学級数12学級、生徒数410人、教員数21人)

 視察者
  鳥居泰彦会長、木村孟副会長、田村哲夫委員、吾妻幹廣委員、池端雅世委員、稲田繁夫委員、門川大作委員
   他に、橋本由愛子委員及び松下倶子委員も参加。

 視察日時
 平成16年9月6日(月曜日)

 視察時における主な意見
(1)  静岡県教育委員会
氏名 職業等
委員長 鈴木 壽美子 会社役員
委員長職務代理者 上島 京子 元大学教授(声楽)
委員 柿崎 忠彦 元会社役員
委員 糟谷 勝一 歯科医師
委員 伊藤 鋭一 財団法人理事長
教育長 鈴木 善彦 教員(高校)出身

1  委員会の開催状況等
 月1回、4時間程の定例会を行っている。
 毎年4回、教育長は、様々な教育課題について保護者や地域住民などの県民の意向や要望を幅広く聞くことを目的として、「移動教育長室」を開催している。また、他の教育委員は視察等で保護者との交流の機会を持っている。
2  教育委員会の意義と役割
 教育委員はレイマンと言うが、我々1人1人は親でもあり、教育のプロでもあるとも言えるのではないか。
 会社にも社外取締役を入れる動きがある。レイマンコントロールをなくすことは時代の流れに逆行する。
 教育は長い目で考えるべきものであり、行政内部に必ずしも知事の意向どおりに動かないグループが存在することはいいことではないか。
 教育委員会制度は、戦前の全体主義の考え方の反省にたったものであることを忘れるべきではない。
3  首長と教育委員会との関係
 知事は教育に強い関心、理解を持っている。知事との関係は良好である。
 知事と教育長は月1回以上懇談を行っている。
4  都道府県と市町村との関係
 市町村合併に伴い、教育事務所の在り方の見直しを検討しているが、教育事務所は、引き続き大きな責任を担うものであり、不要なものとは考えていない。
 県と市町村の関係は指導・助言・援助とイコールパートナーの両面がある。機械的に判断してはいけない。大切なのは子どもへの教育そのものである。県として市町村の要望を幅広く受け止めるよう努力している。
 様々な地域で勤務することは、教員の資質向上にとって非常に重要なことである。教職員人事権を中核市に移譲するとしても、市町村間の人事交流は必要なのではないか。
5  学校と教育委員会との関係
 県として、県立学校及び市町村立学校各々、校長の管理運営への支援体制の強化を図っている。
 併せて、教員の横並び意識の打破、校内の情報の共有化を図るなど、学校内部における校長の支援体制も強化している。

  (2)  静岡県静岡市教育委員会
氏名 職業等
委員長 林 のぶ 元教員(義務)
委員長職務代理者 西村 予史男 会社役員
委員 後藤 康雄 会社役員
委員 鈴木 惠子 会社役員
教育長 西条 光洋 教員(義務)出身

1  委員会の開催状況等
 月1回、午前又は午後に定例会を行っている。その他、説明等のため教育委員は平均月に5回程度は教育委員会事務局に来てもらっている。教育委員を時間的に拘束しすぎていることが課題。
 教育委員(又は教育委員会事務局職員)は、市長タウンミーティングに出席し、市民、保護者の意見を汲み取っている。
2  首長と教育委員会との関係
 生涯教育、文化、スポーツは、市長部局にて所管している。これは、教育委員会が学校教育に専念できるようにするためである。
 ただし、教育委員会も連絡窓口を設け、連携を図っている。要は、市長部局との信頼関係の問題と考えている。特に市民からの不満は聞いていない。
3  都道府県と市町村との関係
 市の教育基本方針は、県の教育基本方針に従って作成している。

  (3)  静岡県岡部町教育委員会
氏名 職業等
委員長 増井 隆夫 染色業
委員長職務代理者 加藤 秀宣 僧侶
委員 西脇 多鶴子 元地域安全推進委員
委員 浦山 洋子 元学校法人母の会役員
教育長 榊原 隆一 教員(義務)出身

1  委員会の開催状況等
 月に1回定例会を開催している。
 人口1万3千人程の小規模な町なので、日頃から教育委員は、町長、校長、教職員各々と活発に交流している。
 町全体に学校のことに協力してもらえる風潮がまだ残っている。このぐらいの規模の町が教育に一番適しているのではないか。
2  教育委員会の意義と役割
 レイマンコントロールの考えは大事にすべき。
3  首長と教育委員会との関係
 生涯教育、社会教育、文化、スポーツについては、町長部局と連携を取りながら行っていくべきこと。
4  都道府県と市町村との関係
 町として、小学校2校、中学校1校という規模であることから、人事については、現場1人1人の教職員全てきちんと把握した上で、県への内申を行っている。
 教職員人事権を県から市町村に移譲した方がいいか否かは市町村各々の事情による。
 一般的には、市町村に様々な権限を移譲した方が地域の特色が出ていいと思う。
5  学校と教育委員会との関係
 教育事務所の指導主事の学校訪問は、1校あたり年1回である。
 日頃の学校指導は、校長経験者である教育長自らが行っている。

  (4)  静岡県岡部町立岡部中学校(学校の裁量拡大について)
氏名
校長 長谷川 彌生
教頭 遠藤 久仁雄

 教育活動についての教育委員会の指導・助言は必要。
 全て校長に権限移譲すると言われても、正直それがいいことなのかどうかわからない。権限移譲の移行期間を設けることも必要なのではないか。
 教職員人事権の問題は非常に重く難しい問題である。各学校間のバランス・連結も大切。学校間に競争原理を全て持ち込むのがいいとも思えない。校長による内申を主とする現行制度で十分はないか。
 学校評議員は機能している。
 学校運営協議会については、現在校長が自由にやらせてもらっていることから、導入された場合は少し窮屈に感じるかもしれない。ただ、校長の意見と学校運営協議会の意見が一致した場合は大きな力となる。



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