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小規模市町村教育委員会の広域化の取組例

1.教育に関する事務の共同実施の状況

(1) 一部事務組合、広域連合
  合計 学校関係 給食関係 研修センター 社会教育 全部教育事務組合
一部事務組合 177 78 44 15 47 1
広域連合 1 0 0 0 1 0
内訳は各分野ごとの延数であり、合計と一致しない。
文部科学省調べ(平成16年6月1日現在)

(2) 協議会、職員の共同設置、事務委託
  実施団体数 事務内容の例
協議会 393(11.9%) 教員研修、視聴覚教育、障害児に関する就学事務
職員の共同設置 207(6.3%) 指導主事、社会教育主事
事務の委託 91(2.8%) 就学事務
教育委員会の現状に関する調査(平成15年5月1日現在)
(第2回配付資料より再掲)

2.全部事務組合の例 (蒜山教育事務組合)

○概要  教育事務について全部を処理し、小学校2、中学校1、図書室1、郷土館1を共同で設置管理。
(川上村・2,518人、八束村・3,130人(岡山県)により構成)

○経緯等  教育事務所の指導や、県知事からの合併の勧告を受けるなど統合に向けた検討の土壌を有していたほか、中学校の統合により、中学校組合教育委員会の経験も有していたため、事務組合方式を選択。

○効果  事務体制の強化により、専門化した事務分掌を組むことが可能。学校数が複数になったことにより、校長会・教頭会が設置。相互の連絡協調が進み、教育の機会均等に貢献。

○課題  生涯教育等について、両村の行政方針と相違する場合の、連絡調整が困難。
 また、経常的経費以外の特別の費用が必要な場合、両村の意向により差が生じやすい。

3.一部事務組合の例

1 篠山小中学校組合(学校設置関係)

 ○概要  事務の専門化、効率化、学校の施設設備の改善等を図るため、学校を共同で設置。
(愛媛県一本松町、高知県宿毛市により構成)

 ○経緯等  県教育委員会、県知事が主導的役割。元々、消防関係、衛生関係で事務組合を有していたため、一部事務組合方式で設置。

2 大崎地域広域行政事務組合(生涯学習・視聴覚教育関係)

 ○概要  生涯学習センターの管理運営、プラネタリウム館での上映、視聴覚教材の貸出し等を共同実施。
(宮城県内1市11町村により構成)

 ○経緯等  視聴覚教育の円滑、効率的な実施を図るため、既に結成されていた組合の中に、教育委員会を設置。

 ○課題等  範囲が広域にわたるため、施設の所在地の近隣住民の利用が多くなってしまう。

3 南部広域行政組合(教職員研修、視聴覚教育関係)

 ○概要  教育研究所の設置運営(教職員の研修)等を共同実施。
(沖縄県内15市町村、うち6村は離島)

 ○経緯等  視聴覚ライブラリの設置に当たり、衛生関係の施設を共同設置するのと併せて複合事務組合方式としたとの経緯。教職員研修のための教育研究所は、平成6年に共同で設置。

 ○効果  県教委の教育事務所の管轄と、組合の構成市町村の範囲が重なっているため、事務所内の人事と研修の連携が図りやすい。

 ○課題  構成市町村が多数のため、日程調整が困難であり、意志決定に時間がかかる。
 また、構成市町村の教育委員会が、組合の事業内容を十分認識せずに、重複した内容の事業を実施することがあるなど、構成市町村の教育委員会との連携が課題。

4.教育委員会の共同設置の例 (桃生郡河北地区教育委員会)

○概要  河北町・13,439人、北上町・4,408人(宮城県)の2町により、教育委員会を共同設置。
(小学校8、中学校5、幼稚園1、給食センター1、公民館2、運動場2)
(当初は、これに桃生町・8,635人を加えた3町で構成)

○経緯等  3町の町長が主導的役割。当時(昭和43年)、広域化を検討するに当たり、
1 事務委託、協議会方式については、国の助成措置が講じられていなかったこと、
2 一部事務組合方式は、管理者・議会の設置など、組織が複雑となるとともに、特別地方公共団体として独立の法人格を有し、元の構成市町村とは負担金の支払いのみと関係が希薄になることとの検討を経て、それぞれの構成市町村の執行機関としての性格を有する、共同設置方式を選択。

○効果  効果的な事務処理体制の確保、指導行政の充実人事行政の円滑化、研修体制の確立

○課題  範囲が広くなった一方で、そうではない町長部局とは認識に温度差があり、広域化に見合う職員構成の確保が課題。

5.広域化は必要でないと考える理由

 なお、指導主事の配置をはじめ、指導上の課題を有する一方で、広域化を考えていないとしている市町村教育委員会もあり(※)、その主な理由は以下のとおりである。

 指導主事等の配置は課題であるが、広域化による場合には、指導主事の担当地域が広がり、同時に指導体制の弱体化を招くことも危惧されるため、解決策として、広域化は考えていない。

 指導主事等の配置は課題であるが、広域化による場合には、各町村ごとに指導方針や教育環境が異なるため、実際には困難と考える。

 学校教育の観点からは、1町に1小学校、1中学校は小規模であり、広域化も必要と考えるが、生涯学習・生涯スポーツの分野については、町民のニーズに応えるには、現在の教育行政の規模がよいと考える。

教育委員会の現状に関する調査(平成15年7〜8月実施)より


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