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大学入学資格検定の在り方に関する大検部会等での主な意見について


2.新試験の科目、水準について

(1) 試験の科目について
 英語について
 新高等学校学習指導要領において必修科目となった英語については、大学入学レベルの教育のことを考えると重要。
 英語については,大学などでも重く扱われているから大検の必修科目に入れることは必要だと思う。
 英語を必修科目とした場合、受験者の年齢の幅が広いので中高年の方は合格できなくなるのではないのか。
 英語などを試験科目とした場合には、受験者の負担を増やさないためにも受検科目の見直しが必要。
 高等学校の立場から見るだけでなく、受験者である勤労青年などの負担を軽減するためにも受験科目の見直しが必要。
 高等学校側の視点からばかり考えてきたが、受験生や保護者の立場からも考慮することが必要。
 学習指導要領の改訂に合わせた科目についての議論に英語を加えるという意見が多数あった。高等学校でも英語教育を重視しているので,英語の追加は望ましい。
  但し、旧課程で教育を受けたものへの対策については,選択にするとか,移行措置をとるとか,年齢に合わせたものにするとか受検者個人にあったシステムを作っていくべきと考える。
 英語など具体的な科目の設定は、受検者が15歳の折の学習指導要領の必修科目を合格要件にすると,ある年齢以上の人たちは,英語や情報といった科目を受検しなくて済むのではないか。
 英語については,選択科目から必修科目にすべきであると思うが、高齢者の受検に配慮し,一定の年齢以上の受検者には,英語を免除するといった措置をとるべきだ。
 外国語については,世代的な配慮は必要であるが,必修科目に加えたい。その際、全体としては、他の科目を削減するなど新たな負担を招くことのないようにすべきである。
 英語については,大学に入学しようとする者に限って必修とする考え方もあると思う。
 選択科目は幅広くした方が良いと思うが,英語は必修にすべきであろう。今後,英語以外の外国語の取扱いについても,検討する必要がある。

 総合的な学習の時間について
 総合的な学習の時間についても試験科目とすべきである。
 学習の評価や受験者への負担の軽減などから、大検においても「総合的な学習」の関連で、就業体験などについてのレポートを提出させ評価した方がよいのではないか。
 総合的な学習の時間は、生徒が多様な課題を自ら見つけて、その課題を解決する能力を育成していくことが特徴であるが、それらの課題を類型化して全国一律の統一試験とすることは困難。
 総合的な学習は,社会の中でのボランティアや職業体験を簡単なレポートにまとめるような形であれば,実施可能であり課すべきであると思う。
 総合的な学習の時間については,ボランティア活動や職業体験等をレポートにして,評価の対象にするといった議論があったが,課題が多岐に渡り評価が極めて難しく,評価に多くの時間を要することが予想されることから、大規模な試験には馴染まないものと考える。また,そうした体験がない者については,大検を受検できないこととなるため,受検科目にすべきではないと考える。
 総合的な学習の時間は試験科目に馴染まないと考えている。
 総合的な学習については,知の総合化の趣旨を生かして,ボランティア体験,職業体験,学校外での経験等をレポートにして,それを評価するのは不可能ではないと考える。

 高等学校の授業でさえ実習が中心である家庭などの実技科目を,高等学校中退者などの大検受検者が独学で学習するのは負担が大きいと思う。
 進学する者と就職する者とでは,学習の仕方が違うので試験を区別する必要もあるのではないか。
 ドイツで実施されており,近年日本でも導入されようとしているデュアルシステムを大検で評価してはどうか。就職を通じた職業歴を単位として認定してはどうか。
 高校中退者のうち,大検受検者は15%から20%くらいしか占めていないのが現状であり、受検率がもう少し高くてもよいのではないか。
 受検したいと思う人を疎外するのではなく,受けやすい試験とする方向でその実施体制や評価の方法などを議論しなければならない。教科の数も精査すべきものは精査してはどうか。
 大検の内容については,高校の総合科目に対応する科目は望ましいと思うが,アメリカのSAT1のような推論能力を測るような仕組みを作ることが必要ではないか。
  また,高等学校を卒業した者が、必ずしも学力や人間性を身に付けているとは限らない。大学で伸びる学生は、就学意欲の高い学生であり、大学も単なる高卒者ではなく意欲的な人材を求める方向にある。今後は、多様な学生に対する履修指導を行う必要があると考えており、多様なバックグランドを持っている大検合格者にも対応できるような体制を考えるべきだと思う。
 高卒資格付与機能を持つ新しい試験の科目をどう考えるかは、二つの立場があると考える。
 1つは、高校の教育課程をできる限りカバーするような教科の数と科目を課すべきだとする意見であり、もう一つは、高卒に必要なミニマムな知識・技能の測定で十分とする意見である。
  ただし、新試験の難易度や科目については、実際のところ大学などに進学する場合は入試、就職については入社試験があり、これらが適切に実施されていれば、言語能力と数学に若干の知識問題を加味していればいいのではないか。
 受検科目については,高校の中核的な科目が必修科目であり,高卒資格を付与するのであれば,最低限のペーパー試験になじむ必修科目を課すべきである。
 新試験の科目については,科目数を減らし,受検者の負担を軽減すべきである。具体的にはペーパー試験での評価になじまない実技系の科目を除いた,高等学校学習指導要領上の必修科目にすべきである。
 受験科目数の負担軽減については、本来3年間通学して学習するものに代わるものであり、楽にすれば良いというものではないが、学力を図るために最低限必要なある一定の科目数は必要である。
 新試験の科目・水準については,現状レベルで良いと思う
 新試験の科目については,受検者が高校在学当時の学習指導要領に準拠し,必修科目を課すことを原則とする。

(2) 試験の水準について
 現状の大検のレベルでも十分高卒と同程度のレベルであり、ハードルを必要以上に高くする必要性は感じられない。
 相当の実力と努力がないと合格できないものにしたらどうか。
 大検は高卒と同程度の学力を認定するための試験と位置付けられており、現状のままでも活用されるのではないか。
 試験を簡単にするなどして規模を大きくしていくと、バイパスとしての面のみが強調される恐れが出てくるのではないか。
 高校中退者が10万人近くいる中で,大検を受検している者は2〜3万人程度で、残りの7万人は何にも手立てがとられていない状況であり,こういった者が受けやすい試験にする必要がある。
  ただし,仮に合格者に高卒資格を与えることで、今より試験のレベルを高くしなければならなくなった結果、バイパスとしてのよさを生かせなくなってしまうことのないようにする必要がある。
  そのためには,受検科目数や受検者の利便性を第一に,何のためにこの試験があるのかということを中心に議論する必要がある。
 高等教育機関における教育も多様化しており,いわゆる導入教育,補習教育によって,大検受検者に限らず高卒者についても大学で対応していかなければいけない時代となっている。
  高等学校でも学力を向上させることが難しい現状で、大検だけをあまり難しくするべきではないと思う。大学としては就学意欲が高ければ大学の教育についていける最低限のレベルであれば良いと考えている。
 試験の水準は,高校進学率が非常に高い状況や教育水準も千差万別であることから、高卒の認定水準をそんなに高くしなくてもいいのではないかと考える。この制度を何に利用するかによって判定のレベルを柔軟に判定できるようにしてはどうだろうか。
  例えば,大学の入学者選抜の資料として活用するのであれば,調査書に利用できるように点数表示したり,トップ何パーセントに位置することを表記したりすればいいと思う。
 新しい試験では、予備校に通わなければ合格できないような試験とすることが無いようにしなければならい。
  現行の水準でも多くの高校の生徒は合格が難しいのではないかと考えられることから水準を維持すれば良いと思う。
 大検の水準については,科目数を減らす措置がとられるならば,安易に下げるべきではなく,現行の水準を維持してよいと考える。
 試験の水準については、高等学校の卒業程度といった出口管理となることであり、現行の大検の水準でいいのではないか。
 水準については,現行の水準を原則とする。なお,高卒資格である以上,現職の高等学校の教員が試験問題の作問を担当し責任をもって担うべきだと考える
 新試験の水準については,大学に入学するためには,大学入試という関門があるので,そんなに難しくする必要はないのではないだろうか。


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