(5)その他の課題

 このほか,義務教育に係る諸制度について,時間的な制約等から,現時点では十分な審議を行うには至っていないものの,次のような意見があった。これらについても,今後の審議において検討を深める必要があると考える。

  • 保護者の希望を反映させるという観点から,義務教育を就学義務ではなく教育義務としてとらえ直すことも必要なのではないか。
  • 欧米や戦前の日本では,義務教育の例外的措置を認めてきた。このように,学校での指導を原則としつつ,一定の条件付きで,いわゆる「フリースクール」での教育機会も認める,あるいはインターナショナルスクールなどでの就学を可とする方向を模索すべき。ただし,副作用や弊害など二次的効果について配慮することが必要。
  • 義務教育機関としての学校が果たすべき役割を検討して,学校の機能の問い直しをすべき。それなしに,不登校児童生徒を学校に戻すための「教育支援センター」(適応指導教室)を設置したりするような対応だけでは,根本的な問題の解決につながらないのではないか。
  • 就学機会の弾力化については,不登校などを中心に考えると,もっぱら個人の資質能力の向上の観点からのみ考えられがちだが,教育には本来,社会の後継者を育てるという目的もあるはずであり,様々な能力を持った子どもたちが一緒に学ぶことも重要。こうした観点からの就学機会の弾力化の「副作用」についても慎重に考えるべき。
  • 義務教育の内容を「学校」でやる必要があるかという議論があるが,9年間の積み上げの学習のためには,1.専門職としての教師の存在,2.体系的カリキュラムの存在,3.ともに学ぶクラスメートの存在,4.一定基準以上の施設や社会的支援システムの存在などの点で,学校型の組織に優位性がある。学校は人類の知恵の結晶ともいうべきものであり,学びたい人が集まって自由にやるという方式は,短期間の学習には良くても,長期間の積み上げ学習には無理がある。
  • 現行の就学義務の猶予・免除制度のうち,猶予規定は今後も必要と考えるが,免除規定には,教育を受ける権利を放棄させる視点が残っており,障害児教育についても訪問教育などが整備される中で,今後も免除規定を残す必要があるかどうか,検討が必要である。

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