4.その他の課題

 特別支援学校教諭免許状(仮称)の創設に際し、現に盲・聾・養護学校教諭免許状を有する者については、特別支援学校(仮称)の教員となることができるよう、保有免許の種類等に応じて一定の講習等を受講することとするなど、新たな特別支援教育の円滑な実施のために必要な措置を講ずることが必要である。

 また、特別支援教育に関係する教職員の採用、配置、研修の改善に関し、都道府県教育委員会等においては、採用、配置、研修等を通じて特別支援教育関係教員の専門性の一層の向上に努めることが必要である。今後、少なくとも特別支援学校(仮称)の教員を採用するに当たっては、特別支援学校教諭免許状(仮称)の保有を前提とするとともに、採用後の特別支援学校(仮称)の担当教員に対する現職研修の充実に努めることが重要であり、都道府県教育委員会等において研修等を担当する指導主事等に、専門性の高い者を配置するなど、教育委員会等における特別支援教育担当職員の充実が求められる。
 その際、国立特殊教育総合研究所において実施されている各都道府県における指導的立場に立つ者を対象とした研修も活用することが望まれる。

 さらに、現職研修の充実に関しては、盲・聾・養護学校だけでなく、小・中学校等の教員についても特別支援教育に関する知識の修得が期待されるとともに、特殊学級等の担当教員については、特別支援教育に関する現職研修を一層充実し、特別支援学校教諭免許状(仮称)の取得を促進することが重要である。

 なお、当分の間、特殊教育免許の保有を要しないこととしている教育職員免許法附則第16項について、新たな特別支援学校教諭免許状(仮称)の普及状況等を見極めた上で、当該免許状の保有率向上のための方策とともに、時限を設けて廃止することが適当である。

 このほか、現在、盲・聾・養護学校教諭免許状とは別に設けられている特殊教科の免許状については、制度創設の理念や各々の免許状の活用状況の実態にかんがみると、特定の分野に幅広い人材を得るための方途として、現在でも一定の存在意義を有するものと考えられるため、当面は引き続き存続させることとしつつも、特殊教科の免許状の活用状況、大学における教員養成の原則等を踏まえ、精選を検討する必要がある。

 今後、小・中学校等の特別支援教育にかかわる教員資格の将来的課題として、「特別支援教室(仮称)」の構想を実現するためには、担当教員のより高い専門性が確保されることが必要である。このため、第4章において示した「特別支援教室(仮称)」の実現に向けた現行制度の見直しの成果等も踏まえながら、担当教員の資格の在り方について検討を行うことが必要である。

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