2.特別支援学校教諭免許状(仮称)の在り方

(1)特別支援学校教諭免許状(仮称)の対象範囲

 特別支援学校教諭免許状(仮称)は、学校種に対応した免許状として、特別支援学校(仮称)の教員が有するものとしつつ、小・中学校における特殊学級や通級による指導を担当する教員や、LD・ADHD・高機能自閉症等の幼児児童生徒に対する特別な指導を担当する教員の専門性向上にも資するものとして位置付けることが適当である。

(2)障害種別ごとの専門性の確保の在り方

 特別支援学校教諭免許状(仮称)において担保することが求められる資質能力としては、新たな特別支援教育の理念や、様々な障害種別に共通する基本的な知識等が想定されていることから、従来の特殊教育免許に比して修得すべき内容が増加することとなるが、基礎となる小・中学校等の免許状に加えてこの免許状を取得することが必要であることを踏まえ、大学における教職課程の編成に当たり工夫が求められる。

 具体的には、現在の特殊教育免許状取得に必要な単位数から若干増える単位数を設定し、例えば、特別支援教育に関する基本的な事項について、各障害種別で重複する部分はできる限りまとめることとして、各障害種別の教育の概要や小・中学校等における特別支援教育の概要も含めて概論としておさえつつ、教育課程や各障害種別ごとの指導法の基礎を別途修得することとし、その上で選択的に特定の障害種別についての指導法等を重点的に修得することとするのが適切である。

(3)特別支援学校教諭免許状(仮称)の種類・内容

 現行の教員免許制度の趣旨を踏まえて、特別支援教育担当教員の資質の維持・向上を図るためには、普通免許状、臨時免許状の2種類を設け、大学における養成を原則とする普通免許状を中心とするべきである。

 普通免許状の種類としては、修業年限や修得単位数に応じて大学等から多様な人材を得ることにより教員組織全体の活性化を図るとともに、上位の免許状等の取得を目指すことによる現職教員の自発的な研修を促すため、他の教員の場合と同様、専修免許状、一種免許状、二種免許状の3種類を設けることとし、各免許状には以下のような内容が考慮されるべきである。

1 一種免許状

 特別支援教育を担当する教員の標準的な免許状として、すべての障害種別に共通する基礎的知識・指導方法や、複数の障害のある児童生徒等の心理、生理及び病理や、教育課程及び指導法の基礎を身に付け、その上で、例えば視覚障害や聴覚障害など特別支援学校(仮称)の対象となる5種類の障害種別(盲・聾・知的障害・肢体不自由・病弱)から1障害種別を選択するか、又は、大学の履修設定に応じて、選択した1障害種別に加えその他の障害種別(言語障害、情緒障害、LD・ADHD・高機能自閉症等を含む)についても選択して、一定の専門的な知識、指導方法等を身に付ける。

2 専修免許状

 特定の障害種別に対するより深い専門的知識、指導方法等に加え、重度・重複化への対応、地域の小・中学校等における特別支援教育を視野に入れたコーディネートや、特別支援学校(仮称)のセンター的機能を総合的にコーディネートするために必要な知識や技能を身に付ける。

3 二種免許状

 一種免許状の取得を原則としつつ、特別支援教育についての専門性のある教員を少しでも多く確保するため、すべての障害種別に共通する最小限必要な基礎的・基本的知識や、各障害種別に対応した指導方法の基礎を身に付ける。
 この免許状は、特別支援教育担当教員を確保するための経過措置として、新たな特別支援学校(仮称)の教員の免許状取得率向上を図るために取得すべき免許状として捉える。

 上記1~3の免許状については、大学における4年間の養成を経た一種免許状を標準とするが、特別支援教育に関する一層の専門性を確保するためには、専修免許状の取得が望ましい。また、二種免許状については、その取得後、特別支援教育を担当する教員が有することが原則である一種免許状の取得を目指すものとする。

 また、これらの免許状については、小・中学校における特殊学級や通級による指導を担当する教員や、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する特別な指導を担当する教員が取得することを目指すものとしても期待する。

(4)特別支援学校(仮称)教員の養成カリキュラムの在り方

 現在の「特殊教育に関する科目」を、「特別支援教育に関する科目(仮称)」とし、「特別支援教育の基礎理論」、「障害のある幼児児童生徒の心理、生理及び病理」、「障害のある幼児児童生徒の教育課程及び指導法」、「障害のある幼児児童生徒についての教育実習」について、必要単位数を修得することが必要と考える。(具体的には、別紙 特別支援学校教諭一種免許状(仮称)授与に必要な科目と最低修得単位数(案)の内容を参照。)

 なお、特別支援教育を推進するために必要となる、個別の教育支援計画を策定するために必要な資質能力、特別支援学校(仮称)のセンター的機能、特別支援教育コーディネーターの役割等、教員がチームとして障害のある個々の幼児児童生徒に対応していくために必要な知識、福祉・医療・労働などの関係機関等との連絡・調整のための必要な知識等については、上記の「特別支援教育の基礎理論」においてその基礎となる知識等を修得するとともに、指導的立場や特別支援教育コーディネーターとなる者等が、専修免許状取得の際に更にそれらの知識等を深める学修を積むことや、現職研修を積極的に実施することが必要である。

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