(2)「特別支援教室(仮称)」の構想について

 協力者会議最終報告においては、「特殊学級や通級指導教室について、その学級編制や指導の実態を踏まえ必要な見直しを行いつつ、障害の多様化を踏まえ柔軟かつ弾力的な対応が可能となるような制度の在り方について具体的に検討していく必要がある」とともに、「制度として全授業時間固定式の学級を維持するのではなく、通常の学級に在籍した上で障害に応じた教科指導や障害に起因する困難の改善・克服のための指導を必要な時間のみ特別の場で行う形態(例えば「特別支援教室(仮称)」)とすることについて具体的な検討が必要」との提言が行われた。

 「特別支援教室(仮称)」の構想が目指すものは、各学校に、障害のある児童生徒の実態に応じて特別支援教育を担当する教員が柔軟に配置されるとともに、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒も含め、障害のある児童生徒が、原則として通常の学級に在籍しながら、特別の場で適切な指導及び必要な支援を受けることができるような弾力的なシステムを構築することであると考えられる。

 この考え方は、小・中学校における特別支援教育を推進する上で、極めて重要であり、また、すでに特殊学級と通常の学級との交流教育という形で弾力的な運用が行われている例があることも踏まえれば、「特別支援教室(仮称)」の構想が目指しているシステムを実現する方向で、制度的見直しを行うことが適当である。

 具体的な「特別支援教室(仮称)」のイメージについては、LD・ADHD・高機能自閉症等を含め、障害のある児童生徒が、原則として通常の学級に在籍し、教員の適切な配慮、ティーム・ティーチング、個別指導や学習内容の習熟に応じた指導などの工夫により通常の学級において教育を受けつつ、必要な時間に特別の指導を受ける教室として、例えば以下のような形態が想定される。いかなる形態の特別支援教室をどのように配置していくかについては、地域の実情、個々の児童生徒の障害の状態、適切な指導及び必要な支援の内容・程度に応じ、柔軟かつ適切に対応することが重要である。

  • 特別支援教室1
     ほとんどの時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態。
  • 特別支援教室2
     比較的多くの時間を通常の学級で指導を受けつつ、障害の状態に応じ、相当程度の時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態。
  • 特別支援教室3
     一部の時間のみ特別支援教室で特別の指導を受ける形態。

 これらの形態は、あくまでも例示としてのイメージであって、当然のことながらこれらの形態の中間的なものやこれらの形態を組み合わせたものなども考えられる。

 なお、設置者である市町村教育委員会においては、各小・中学校の「特別支援教室(仮称)」が有するそれぞれの専門性を前提にしながら、特別支援教育のセンター的機能を有する特別支援学校(仮称)及び関係機関との連携協力を進めるなど、各地域におけるニーズに応じた地域全体における総合的な支援体制を構築することが重要である。

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)