2.LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する指導及び支援の必要性

 協力者会議最終報告においては、通常の学級に在籍しているLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒について、これらの定義と判断基準(試案)等を示しつつ、適切な指導及び必要な支援を行うための小・中学校の体制整備の具体的在り方が提言された。

 これを受け、文部科学省においては、平成16年1月に「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」を公表し、すべての教育委員会及び小・中学校に配布するとともに、平成15年度から開始された全都道府県教育委員会に対する委嘱事業(後述)などを通じ、教育委員会に「専門家チーム」を設置することや、すべての小・中学校において「特別支援教育コーディネーター」(後述)を指名すること等を内容とする推進体制が整備されることを目指している。

 通常の学級に在籍しているこれらの児童生徒への指導及び支援は、学校教育における喫緊の課題となっており、引き続き小・中学校の体制整備を推進することが必要である。その際、厚生労働省における発達障害者支援施策との連携を図るとともに、小・中学校の教職員や保護者に対する理解と啓発を一層推進することが重要である。また、医師をはじめとする専門家の絶対数が不足していることから、その養成・確保の方策についても検討されることを期待したい。

 LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒の状態像は様々であり、周囲の環境によって変化することも多いため、個別的かつ弾力的な指導及び支援が必要となる。このため、各学校における教育課程の実施の形態についても、通常の学級における教員の適切な配慮、ティーム・ティーチングの活用、個別指導や学習内容の習熟の程度に応じた指導の工夫などに加え、必要に応じて、通常の学級を離れた特別の場での指導及び支援を受けられるようにすることが有効である。

 このため、後述のとおり、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する特別の場での指導及び支援を制度的に位置付けることを含めて、現行制度の見直しを行うことが必要である。その際、特別の教育課程を編成して指導することが適当な者の範囲・要件や、その具体的な指導内容・方法について国立特殊教育総合研究所における研究等を推進しつつ、検討を進める必要がある。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)