新しい時代の義務教育を創造する(答申) はじめに

  • 中央教育審議会は、平成15年5月の「今後の初等中等教育改革の推進方策について」、平成16年3月の「地方分権時代における教育委員会の在り方について」、平成16年10月の「今後の教員養成・免許制度の在り方について」の3つの諮問を受け、義務教育の在り方について審議を進めてきた。
  • また、1.国庫補助負担金、2.税源移譲を含む税源配分、3.地方交付税の在り方を一体的に見直すこととしている「三位一体の改革」において、義務教育費国庫負担金をはじめとする義務教育に係る費用負担の在り方が議論となった。
     中央教育審議会では、平成16年5月に初等中等教育分科会教育行財政部会・教育条件整備に関する作業部会が「義務教育費に係る経費負担の在り方について(中間報告)」において考え方をとりまとめている。
  • その後、平成16年11月の政府・与党合意「三位一体の改革について」において、平成18年度までの三位一体の改革に関して合意がなされており、その中で、「義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持する。その方針の下、費用負担についての地方案を活かす方策を検討し、また教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方について幅広く検討する」こととされ、「こうした問題については、平成17年秋までに中央教育審議会において結論を得る」とされた。
     これを受け、中央教育審議会では、義務教育の在り方について集中的な審議を行うため、平成17年2月、総会直属の部会として義務教育特別部会を設置した。
  • 義務教育特別部会は、平成17年2月28日の第1回以来、これまで8ヶ月の間に41回の会議を開催した。
    その審議経過については、まず、5月23日の総会に、子どもの現状、学力の問題、教育内容、義務教育制度、教師像、学校像、教育委員会の在り方、国と地方の関係、教育費総額とその内容などを中心とする「審議経過報告(その1)」が報告された。
     続いて、合宿集中審議等を経て、7月19日の総会に、義務教育に関する費用負担の在り方を中心とする「審議経過報告(その2)」が報告された。
     また、今回の審議に当たっては、幅広く各界各層の意見を徴するため、有識者、関係団体、関係省庁等からの意見聴取や、地方公聴会(一日中教審)の開催(水戸市及び高知市)、文部科学省ホームページにおける意見募集、「義務教育に関する意識調査」の実施などに積極的に取り組んだ。御協力いただいた方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げたい。
     これらを踏まえ、8月以降、義務教育特別部会及び総会において、更に審議を深め、このほど本答申をとりまとめたものである。
  • 本答申は第1部総論と第2部各論から成っている。総論においては、我々の目指す義務教育の改革の基本的な方向性を述べ、各論においては、この改革の実現のための具体的な改革策を述べるとともに、審議の過程において出された様々な意見についても盛り込んでいる。したがって、第1部、第2部全体を通して我々の考えを御理解いただきたい。
  • 答申をとりまとめるに当たっては、できるだけ簡潔で分かりやすいものを目指した。このため、委員から出された数多くの意見や提言をすべて盛り込むことはしていない。これらの意見、提言については、審議経過報告や議事録もご覧いただき、本答申に至る背景を御理解いただきたい。
  • なお、義務教育の在り方に関する審議事項は極めて広範にわたることから、学習指導要領の見直しを含む教育内容の改善や教育評価については教育課程部会で、教員養成・免許制度の改革については教員養成部会で、また、教職員配置の改善に関しては別途設置された調査研究協力者会議で、それぞれ専門的な検討が行われてきた。本答申では、それらの検討の成果をも踏まえつつ、基本的な方向について提言を行っている。教育内容、教育評価、教員養成・免許制度に関しては、引き続き、関係部会等で審議を深めることとしている。
  • 義務教育は、国民一人一人の幸せな人生の実現の根幹であるとともに、国や社会の発展の基礎である。
     中央教育審議会としては、我が国の将来を見据え、新しい時代の義務教育の在り方について総合的な展望を描くことを目指し、限られた時間の中で全力を尽くして議論を行い、答申をとりまとめた。
     政府においては、義務教育の在り方について中央教育審議会において結論を得るとされた政府・与党合意のとおり、本答申の内容を責任を持って確実に実現していただきたい。
     国民の皆様には、本答申の内容が確実に実現されるかどうかをしっかりと見守っていただきたい。

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