平成14年の答申において指摘した課題との関係

○ 平成14年の本審議会の答申は、将来的な更新制の導入を否定しているものではなく、科学技術や社会の急速な変化等に伴い、再度検討することもあり得ることを示している。近年の学校教育をめぐる状況は、従来とは大きく変化しており、これらの変化の萌芽は、平成14年の答申当時も一部現れていたが、現在、こうした変化が、より明確に、かつ複合的に生じてきており、そのことが学校に対する保護者や国民の信頼を揺るがす主な要因となっている。

○ 平成17年10月の本審議会の答申「新しい時代の義務教育を創造する」においても、これからの学校は保護者や地域住民の意向を十分反映する信頼される学校でなければならず、「教師に対する揺るぎない信頼を確立する」ことが極めて重要であることを指摘している。

○ このような状況を考慮しつつ、これからの社会の進展や国民が求める学校像を展望すると、教員の資質能力を確実に保証するための方策を講ずる必要性は、平成14年の答申時に比べて、格段に高まっているものと考える。

○ 以上のような基本的認識に立ち、今回の更新制と、当時指摘した課題との関係を整理すれば、以下のとおりである。

1.分限制度との関係

○ 分限制度との関係については、資格制度としての教員免許状は、あくまでも個人が身に付けた資質能力を公証するものであり、個人の素質や性格等に起因するような適格性が確保されているかどうかについては、基本的に任用制度により対応すべき問題である。

○ したがって、このような意味での適格性に欠ける者については、現在すべての都道府県・指定都市の教育委員会で進められている指導力不足教員に対する人事管理システムや分限制度等の厳格な運用により、対応することが適当である。

○ 他方、更新の要件を免許更新講習の受講・修了とする場合、それが修了できない者は、その時点で教員として最小限必要な資質能力を有していないこととなり、教員免許状は失効するため、更新制は、結果として、教員として問題のある者は教壇に立つことがないようにするという効果を有している。

2.専門性向上との関係

○ 専門性向上との関係については、基本的に教員としての専門性の向上は、自己研鑽や現職研修により図られるべきである。他方、免許更新講習が、およそ教員として共通に求められる内容を中心に、その時々で教員として必要な資質能力に刷新(リニューアル)するものとして構成されるのであれば、当該講習の受講により、教員としての専門性の向上も期待できるものである。

○ この場合、免許更新講習と現職研修の目的及び内容面での類似性が課題となるが、この点については、免許更新講習はあくまで、その時々で教員として最小限必要な資質能力の保持を直接の目的とするものである。これに対して、現職研修は、更新制の導入により保証される、このような基盤的な資質能力を前提として、個々の教員の能力や適性、経験等に応じた、より多様な研修が行われることにより、専門性の一層の向上を期待するものである。今後、このような観点から、現職研修の体系化の考え方や、個々の研修の見直しを行っていくことが必要である。

3.一般的な任期制を導入していない公務員制度との関係

○ 一般的な任期制を導入していない公務員制度との関係については、更新制はその時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、教員免許状に有効期限を設け、その満了時に、一定の更新要件を課し、これを満たせば、免許状が更新される資格制度上の制度である。特に、今回の更新制は、いわゆる不適格教員の排除を直接の目的とするものではなく、教員として日常の職務を支障なくこなし、自己研鑽に努めている者であれば、通常は更新されることが期待されるものである。

○ これに対して、任期制は、あらかじめ一定の任用期間を定めて職員を採用するという任用上の制度であり、業績評価等に応じて、再度任用することはあり得るものの、一定の要件を満たせば、再任用されることを前提とする制度ではないことから、基本的に今回の更新制とは趣旨・目的を異にするものである。
 したがって、今回の更新制の導入により、任期制を教員についてのみ一般的な制度として導入する結果とはならないものと考える。

4.我が国全体の資格制度との関係

○ 我が国全体の資格制度との関係については、本来、資格制度の在り方は、当該制度の特性や業務の性質等を踏まえて検討されることが基本であると考える。

○ 教員免許状について考えてみると、教育は、その特性上、その成果を客観的かつ短期間に評価することが、他の職業資格に求められる成果と比べてより困難であり、また、教員が心身の発達段階にある子どもに対して強い影響力を有するという側面を有している。
 このため、子どもに対して、その発達段階に即して、国民として必要な知識、思考力等を培うことを職責とする教員の資格を定める教員免許制度においては、当該制度の本来的な在り方として、教員として必要な資質能力の更新を制度的に担保する更新制を導入する必要性が高いと考える。

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