4.高等教育財政

(1)高等教育に対する公財政支出の対GDP比

(ア)国際比較

(ア)国際比較のグラフ

(注)デンマーク、ギリシャ、ポーランド、ポルトガル、トルコ、アイスランド、スロバキア共和国は教育機関への家計支出に対する公的補助を含まない。

(出典)OECD「図表でみる教育」(2004年版)

(イ)主要国との内訳の比較

(イ)主要国との内訳の比較のグラフ

(注)制度が異なるため厳密な比較は困難であるが、パーミルレベルでの推計を基に比較している。
英国の場合、学生納付金が低額に抑えられているため、日本との比較には詳細な分析が必要。

(出典)(OECD「図表でみる教育」(2002年版)に合わせて、公表データより文部科学省作成)

(2)公財政支出

(ア)文部科学省一般会計予算の構成(2004年度)

区分 2004年度予算額 前年度予算額 増減額 増減額
伸率
文部科学省一般会計 6兆599億円 6兆3,220億円 マイナス2,621億円 マイナス4.1%
文化庁 1,016億円 1,003億円 13億円 1.3%

(注)2004年度予算額にはNTT無利子貸付償還時補助金等(235億円)を含む。

(ア)文部科学省一般会計予算の構成(2004年度) 主要事項別のグラフ

(ア)文部科学省一般会計予算の構成(2004年度) 使途別のグラフ

(文部科学省作成)

(イ)国立大学法人予算の構成(2004年度)

(イ)国立大学法人予算の構成(2004年度) 収入のグラフ

(イ)国立大学法人予算の構成(2004年度) 支出のグラフ

(注)大学共同利用機関法人を含む93法人に対する予算である。

(文部科学省作成)

(ウ)私立大学等における経常的経費と経常費補助金額の推移

(単位:億円・%)

区分 1994年度 1995年度 1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度
経常的経費 22,039 23,173 23,785 24,306 24,915 25,188 25,242 25,828 26,230 26,604  
経常費補助金 総額 2,733.5 2,803.5 2,875.5 2,950.5 2,950.5 3,006.5 3,070.5 3,142.5 3,197.5 3,217.5 3,262.5
(対前年度伸率) (2.9) (2.6) (2.6) (2.6) (0) (1.9) (2.1) (2.3) (1.8) (0.6) (1.4)
対前年度伸額 78 70 72 75 0 56 64 72 55 20 45
うち特別補助 475 545 603 669 695 751 815 887 972 1,012 1,064
(総額に占める割合) (17.4) (19.4) (21.0) (22.7) (23.6) (25.0) (26.5) (28.2) (30.4) (31.5) (32.6)
補助割合
(補助金額/経常的経費)
12.4 12.1 12.1 12.1 11.8 11.9 12.2 12.2 12.2 12.1  

(注)2002年度から特別補助に私立大学教育研究高度化推進特別補助を含む。

(ウ)私立大学等における経常的経費と経常費補助金額の推移のグラフ

(文部科学省作成)

(3)私費負担と学生支援

(ア)大学の学生納付金の国際比較

(ア)大学の学生納付金の国際比較のグラフ

(注)

○ 日本の金額は初年度納付金額。
国立大学については「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」の標準額。
公立大学、私立大学については文部科学省調べ。

○ イギリスでは1998年度に授業料支払いの制度が改革され、それまでの政府負担から学生個人の負担(専攻によらず一律)へと変わった。
2002年は43%の学生が免除、15%の学生が減額となった。
減免措置相当分は政府補助金により補填(てん)される。

○ フランスの金額は一つの学位・免状を取得する者の国民教育省令で定める年間学籍登録料。
このほか、学生は毎年保健所管省令で定める健康保険料などを納める。
二つ以上の学位・免状の取得を目指す場合は、このほかに一つの学位・免状ごとに定められた額を納める。

○ ドイツの金額は学生全員から徴収される公共交通機関利用のための学生パス代及び学生福祉会経費などの合計。
州立大学は入学料、授業料を徴収しない。

○ アメリカの金額は総合大学・4年制大学の平均額。
州立大学の金額は州内学生の全学年についての全国平均額。
州立大学の場合、州内学生と州外学生とでは納付額が異なり、州外学生はこの金額より高くなる。
私立大学の金額は全学年についての全国平均額。

○ 日本は2004年、イギリス、フランス、ドイツは2003年、アメリカは2001年の値である。

(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」(平成17年版)

(イ)家庭の年間収入階層別学生数の割合の推移(国公私立別)

(イ)家庭の年間収入階層別学生数の割合の推移(国公私立別) 国立大学のグラフ

(イ)家庭の年間収入階層別学生数の割合の推移(国公私立別) 公立大学のグラフ

(イ)家庭の年間収入階層別学生数の割合の推移(国公私立別) 私立大学のグラフ

(文部科学省「学生生活調査」より文部科学省作成)

(ウ)日本学生支援機構の事業規模(当初予算)の推移

○ 貸与総額

(単位:億円)

区分 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度
無利子奨学金 2,121 2,198 2,286 2,214 2,385 2,504
有利子奨学金 1,660 1,953 2,446 2,952 3,405 4,316
総事業費 3,781 4,151 4,732 5,166 5,790 6,820

○ 貸与人数

(単位:人)

区分 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度
無利子奨学金 401,096 414,864 421,583 405,439 426,578 438,338
有利子奨学金 244,440 276,090 331,090 392,233 439,596 526,785
総事業費 645,536 690,954 752,673 797,672 866,174 965,123

(注)2003年度以前は日本育英会の事業規模を示す。

(文部科学省作成)

(4)国公私を通じた競争的・重点的支援

(ア)競争的資金の推移

(ア)競争的資金の推移のグラフ

(注)文部科学省のその他の競争的資金は未来開拓学術研究費補助金(2004年度終了)、独創的革新技術開発研究提案公募制度/革新技術開発研究事業(2000年度~)、大学発ベンチャー創出推進のための事業(2002年度~)、先端計測分析技術・機器開発(2004年度~)を指す。文部科学省以外の競争的資金は総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の競争的資金を指す。

(文部科学省作成)

(イ)日本と米国における政府負担研究費(2003年度)

(イ)日本と米国における政府負担研究費(2003年度)のグラフ

(第37回総合科学技術会議(平成16年5月26日)資料より抜粋)

(ウ)21世紀COEプログラム

[趣旨]

  第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進する。

[概要]

○ 主として研究上の能力の高い大学の研究教育拠点に対し、高度な人材育成機能も加味した、重点的支援を実施。

○ 各大学の個性や特色に応じ、各学問分野の世界的な拠点が形成されるとともに、各大学が全学的視野に立って戦略的な研究教育体制の構築に取り組むなど、大学全体の活性化につながることも期待。

○ 基本的な仕組みの概要は以下のとおり。

  • 対象:大学院(博士課程)レベルの専攻等を対象(複数の専攻等の組み合わせや附置研究所等にも配慮)。
  • 申請:学長を中心とした検討体制の下、いかにして世界的な研究教育拠点に育成するかという大学としての戦略に基づき、学長から申請。
  • 審査:日本学術振興会を中心に運営される「21世紀COEプログラム委員会」(委員長:江崎玲於奈 芝浦工業大学長)において、研究教育活動実績や当該大学の将来構想を中心に、公平・公正な第三者評価を実施。
  • 審査の視点:1.研究教育活動実績や将来性、2.拠点形成計画の内容、3.大学としての将来構想等を基に、能力の高さについて評価。
  • 年次計画等:1件当たり年間1~5億円程度を原則として5年間継続的に交付。事業開始2年経過後に中間評価、期間終了時に事後評価を実施。
〔参考:これまでの採択実績〕
14年度公募 【生命科学】、【化学、材料科学】、【情報、電気、電子】、【人文科学】、【学際、複合、新領域】 (実績)
・申請163大学464件
・採択50大学113件
15年度公募 【医学系】、【数学、物理学、地球科学】、【機械、土木、建築、その他工学】、【社会科学】、【学際、複合、新領域】 (実績)
・申請225大学611件
・採択56大学133件
16年度公募 【革新的な学術分野】 (実績)
・申請186大学320件
・採択24大学28件

(文部科学省作成)

(エ)特色ある大学教育支援プログラム

[目的]

  大学教育の改善に関する種々の特色ある優れた取組を選定し、社会に広く情報提供することや、財政支援を行うことにより、高等教育の活性化を促進することを目的とする。

[概要]

○ 対象

  各大学・短期大学の教育目的に沿った特色ある組織的なものであって、実績を挙げている取組。

○ 募集テーマ等

大学教育の工夫改善について5テーマ例を提示。
各大学・短期大学は、1件を学長から応募する。
実績
平成15年度 応募664件、選定80件
平成16年度 応募534件、選定58件

○ 選定

  文部科学省外の「特色ある大学教育支援プログラム実施委員会」(委員長:絹川正吉国際基督教大学長、財団法人大学基準協会を中心に運営)において公正に審査(原則として、申請件数の1割程度で選定)。

○ 社会への情報提供

  選定された取組を基に、事例集の作成やフォーラムの開催等により、広く社会に情報提供。

○ 財政支援

  国公私共通の補助金である大学改革推進等補助金により支援を実施。

(オ)現代的教育ニーズ取組支援プログラム

[目的]

  各種審議会からの提言等、社会的要請の強い政策課題に対応した取組の中から、特に優れた取組を選定し、財政支援を行うことで、高等教育の更なる活性化が促進されることを目的とする。

[概要]

○ 対象

  国公私立大学、短期大学(テーマによっては大学院や高等専門学校を含む。)が、テーマの目的等に沿って確実な計画の下に新たな大学教育改革を図る、我が国の大学教育改革に資する教育プロジェクト。

○ 募集テーマ等
  • 社会的要請の強い政策課題について6テーマを設定。
    各大学等は、原則1件を学長から申請する。
  • 平成16年度の募集テーマ
    ・地域活性化への貢献
    ・知的財産関連教育の推進
    ・仕事で英語が使える日本人の育成
    ・他大学との統合・連携による教育機能の強化
    ・人材交流による産学連携教育
    ・ITを活用した実践的遠隔教育(e-Learning)
  • 実績 平成16年度 申請559件、採択86件
○ 選定

  有識者・専門家等で構成される「現代的教育ニーズ取組選定委員会」(委員長:荻上紘一大学評価・学位授与機構教授)において公正に審査(申請件数の2割以内又は70~80件程度の選定)。

○ 社会への情報提供

  選定された取組は、事例集等の作成により、社会に情報提供。

○ 財政支援

  国公私共通の補助金である大学改革推進等補助金により支援を実施。

(注)このほかにも法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム、海外先進教育研究実践支援プログラム等がある。

(文部科学省作成)

(5)私立学校関係税制の概要

○ 学校法人に対する優遇措置

  学校法人 普通法人
法人税 非課税(収益事業を除く。) 課税
【収益事業】
税率 22%
みなし寄附金の繰り入れ率 50%
(当該金額が年200万円未満の場合は200万円)
税率 30%
その他非課税となる税目
【その他の国税】
所得税、登録免許税
【地方税】
住民税、事業税、事業所税(収益事業に係るものを除く。)
不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、都市計画税(目的外不動産を除く。)

(注)平成14年4月1日より、私立大学における受託研究収入は、原則として収益事業の範囲から除かれることとされた。

○ 学校法人に対する寄附に係る優遇措置

  寄附者
寄附の受け手 個人 法人
国・地方公共団体(国公立学校) (所得税控除額)
=寄附金額(総所得金額の25%(平成17年度より30%)が上限)-1万円
寄附金額の全額が損金算入できる。
学校法人(私立学校) 受配者指定寄附金 同上 同上
特定公益増進法人 同上 下記の損金算入限度額と同額の損金算入が別枠で認められる。
その他の法人等 所得控除は認められない。 (損金算入限度額)
=資本金×0.125%+当該年度所得×1.25%

(注)受配者指定寄附金とは、日本私立学校振興・共済事業団を通して行われるものである。

(文部科学省作成)

(6)大学への民間投資の海外流出傾向

(6)大学への民間投資の海外流出傾向のグラフ

(出典)総務省統計局「科学技術研究調査報告」

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)