5.オリンピック・パラリンピック等の国際競技大会等の招致・開催等を通じた国際交流・貢献の推進

政策目標:

 国際的な貢献・交流を推進するため、オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会等の国際競技大会等の積極的な招致や円滑な開催、国際的な情報の収集・発信、国際的な人的ネットワークの構築等を行う。

 スポーツを通じた国際的な交流や貢献は、国際相互理解を促進し、国際平和に大きく貢献するなど、スポーツは、我が国の国際的地位の向上にも極めて重要な役割を果たすものである。
 このため、オリンピック競技大会やパラリンピック競技大会等の国際競技大会等の招致・開催を進めることで、こうした国際的な交流の機会を拡充していくとともに、我が国スポーツ界から国際的なスポーツ界で活躍できるような人的ネットワークを築いていくことが必要である。

(1)オリンピック・パラリンピック等の国際競技大会等の招致・開催等

1.施策目標:

 国や独立行政法人、地方公共団体、スポーツ団体等関係機関が連携し、国際競技大会等の積極的な招致及び円滑な開催を支援する。

2.現状と課題:

 国際競技大会等を我が国において招致・開催することは、単に競技力向上のみならず、広く国民・市民のスポーツへの関心を高め、スポーツの振興や地域の活性化につながるものである。
 しかし、国際競技大会等の招致・開催は、中央競技団体や地方公共団体が主体となって進められているほか、大規模な国際競技大会等については、招致・開催するために必要な、関係省庁・地方公共団体・スポーツ界等の連携や、収集した情報の効果的な活用、社会的機運の醸成が必ずしも十分とはいえない状況も見られる。

3.今後の具体的施策展開:

○ 国は、独立行政法人日本スポーツ振興センター、地方公共団体、公益財団法人日本オリンピック委員会(「JOC」)及び中央競技団体等と連携し、大規模な国際競技大会等の招致や、我が国で予定されている国際競技大会等の円滑な開催に向けて、海外への情報発信や社会的機運の醸成、海外からのスポーツ関係者の受入れ等に必要な措置等の支援を行う。
 また、在外公館等においては、国際競技大会等の日本への招致及びスポーツ分野の国際選挙等に関する情報収集活動及び国際プロモーション活動等の支援を行う。

○ 日本スポーツ振興センターは、国内外のスポーツ関係団体との連携による国内外の情報収集・分析及び提供、施設の整備・充実等により大規模な国際競技大会の招致・開催に対し支援する。

○ JOC及び中央競技団体等においては、国際競技大会等の招致や準備運営に関する支援、助言、情報交換・共有の仕組みについて検討を行い、具体化していくことが期待される。

○ JOC及び中央競技団体においては、これらの活動をより円滑に行うため、国際競技連盟等に人材を派遣し、日常からの情報収集・発信に努めることが望ましい。

(2)スポーツに係る国際的な交流及び貢献の推進

1.施策目標:

 国際スポーツ界において活躍できる人材を養成し、情報を収集・発信する体制を整備するとともに、国際的な人的ネットワークを構築し、我が国の貢献度や存在感を高める。

2.現状と課題:

 我が国のスポーツ界は、中央競技団体ごとに国際競技連盟等とつながりがあるものの、日常からの情報の収集・発信や、国際的なスポーツ界への参画が不十分であり、国際競技連盟の動きを察知できないまま、競技ルールの改変等で不利となる事例も見られる。
 また、スポーツ医学・歯学・生理学・心理学・力学等のスポーツ医・科学(「スポーツ医・科学」)、情報分野等における国際的な交流についても、個々の研究者・大学間で相互交流の取組が見られ、国立スポーツ科学センター(「JISS」)と海外の研究機関等との連携も進められてきているものの、いまだ十分とはいえず、国際スポーツ界においてイニシアティブを十分には発揮できていない。  
 他方、我が国は、世界ドーピング防止機構(「WADA」)のアジア代表常任理事国として、アジアで大きな地位を占めてきたところであり、ドーピング防止活動への貢献を通じて、存在感を一層発揮できるよう、優れた実践事業をさらに展開していく必要がある。
 スポーツを通じた国際交流及び貢献については、政府開発援助(「ODA」)等によりスポーツ指導者の派遣や関連器材供与等人的・物的な支援が行われている。
 市民レベルの国際交流については、全国の地方公共団体で1,676件の海外との姉妹自治体交流事業が行われている中、スポーツに関する交流事業は91件となっている。

3.今後の具体的施策展開:

○ JOC及び中央競技団体においては、国際機関や国際競技連盟等に対する、スポーツ指導者、審判員及び専門スタッフ等の人材派遣・国際交流を図ることにより、国際スポーツ界におけるイニシアティブを確立し、競技水準の向上を実現させる好循環を創出するとともに、国際的なスポーツ・コミュニティと安定した関係を築くことができる人的ネットワークの構築に努めることが期待される。国においても、日本スポーツ振興センターと連携しつつ、JOC及び中央競技団体による国際的なネットワーク作りを戦略的に進めていくことが必要である。

○ JISSにおいては、海外の研究機関との連携等を進め、スポーツ医・科学、情報分野における国際ネットワークを構築する。また、日本スポーツ振興センターは、国内外のスポーツに関する情報収集・発信の役割を果たしていくため、国内外の関係機関との連携・ネットワークの構築を進めるとともに、海外拠点の在り方について検討を行う。

○ 国は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構と協力し、WADAの常任理事国として、WADAの理事会・事務局・地域事務所の各レベルにおける連携を維持・強化する。また、国際連合教育科学文化機関(「UNESCO」)の「ドーピングの防止に関する国際規約」締約国として、UNESCOとの連携も維持・強化する。

○ 国は、JOC、日体協及び中央競技団体等と連携し、引き続きODA等を通じたスポーツ指導者の派遣や関連器材供与等スポーツ分野における人的・物的な国際交流及び貢献を推進する。
 JOC、日体協及び中央競技団体等は、これらの活動への協力等を通じて、アスリートやスポーツ指導者等のキャリア形成の充実や、国内外の交流の促進に積極的に取り組むことが期待される。

○ 国は、障害者スポーツを含む市民レベルでのスポーツを通じた国際交流について、ジュニア世代の競技大会や市民レベルのスポーツ大会等への人材の派遣・受入れや海外のスポーツ指導者への研修機会の提供等の取組を通じて、市民レベルでのスポーツを通じた国際交流を図る。地方公共団体においては、海外の都市との姉妹自治体交流事業等のスポーツを通じた国際交流により、地域の活性化を図ることが考えられる。

○ 国は、スポーツ団体や大学等と連携し、訪日外国人への武道等の体験機会を設けるなど、スポーツツーリズムによる国際交流を推進する。

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スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課スポーツ政策企画室

(スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課スポーツ政策企画室)