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1.学校と地域における子どものスポーツ機会の充実

政策目標:

 子どものスポーツ機会の充実を目指し、学校や地域等において、すべての子どもがスポーツを楽しむことができる環境の整備を図る。
 そうした取組の結果として、今後10年以内に子どもの体力が昭和60年頃の水準を上回ることができるよう、今後5年間、体力の向上傾向が維持され、確実なものとなることを目標とする。

 子どもにとってスポーツは、生涯にわたってたくましく生きるための健康や体力の基礎を培うとともに、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培うなど人間形成に重要な役割を果たすものである。
 子どもの体力については、文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」によると、平成13年から約10年間にわたり概ね低下傾向に歯止めがかかってきており、子どもの体力向上に関するこれまでの施策は、全体的に効果は出てきているが、体力水準が高かった昭和60年頃と比較すると、基礎的運動能力は依然として低い状況にある。
 また、近年、積極的にスポーツをする子どもとそうでない子どもの二極化が顕著に認められることから、運動習慣が身に付いていない子どもに対する支援の充実等は引き続き大きな課題としてある。
 このため、子どもが積極的にスポーツに取り組む態度を育成することが必要であり、学校の体育に関する活動や地域スポーツを通じて、子どもが十分に体を動かして、スポーツの楽しさや意義・価値を実感することができる環境の整備を図る。
 また、こうした取組の結果として、今後10年以内に子どもの体力が昭和60年頃の水準を上回ることができるよう、今後5年間、体力の向上傾向を維持し、確実なものとする。

(1)幼児期からの子どもの体力向上方策の推進

1.施策目標:

 「全国体力・運動能力等調査」等による検証を行いつつ、子どもが積極的に運動遊び等を通じてスポーツに親しむ習慣や意欲を養い、体力の向上を図る。

2.現状と課題:

 子どもの体力は、文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」によると、平成13年から約10年間にわたり、概ね低下傾向に歯止めがかかってきており、これまでの施策が一定の効果をあげていると言えるが、体力水準が高かった昭和60年頃と比較すると、基礎的運動能力は依然として低い状況にある。また、近年、積極的にスポーツをする子どもとそうでない子どもの二極化が顕著に認められる。中学校女子においては、スポーツをほとんどしない子どもが3割を超えている。
 このような状況において、運動習慣が身に付いていない子どもに対する支援の充実等を学校だけでなく、家庭や地域が一体となって行い、積極的にスポーツに取り組む態度を育成し、ひいては体力を向上させることは、引き続き大きな課題である。
 また、積極的にスポーツをする子どもとそうでない子どもの二極化については、小学校の早い段階からその傾向が認められるとともに、小学校低学年においては、明確な体力の向上傾向は認められないこと等から、幼児期からの積極的な取組が重要となっている。なお、日本学術会議においても幼児の生活全体における身体活動等の促進が提言されている。  
 さらに、障害のある子どものスポーツについて、障害の種類や程度に応じた配慮が求められている。

3.今後の具体的施策展開:

○ 国及び地方公共団体は、各地域の教育委員会や学校等が行う「全国体力・運動能力等調査」等に基づいたすべての子どもの体力向上に向けた取組において検証改善サイクルの確立を促進する。
 その際、子どもの体力の重要性に関し、保護者に対する理解促進が有効であることから、保護者が参加する取組を推進する。
 また、積極的にスポーツを行わない子どもが多くいることから、特にその傾向が中学校段階で顕著となる女子を対象にして、スポーツの楽しさや喜びを味わうことができるようにすることに重点を置く。

○ 国は、幼児期における運動指針をもとに実践研究を実施すること等を通じて、全国的に幼児期からの体力向上に向けた取組を促進するための普及啓発を推進する。

○ 地方公共団体等においては、幼児期における運動指針を踏まえ、地域の実情に応じて、幼児期から体を動かした遊びに取り組む習慣や望ましい生活習慣を身に付けさせるための取組を行うことが期待される。

○ 国及び地方公共団体は、年齢や性別に応じたスポーツの促進や体力向上方策の中で、医学・歯学・生理学・心理学・力学をはじめ経営学や社会学等を含めたスポーツ医・科学(「スポーツ医・科学」)の積極的な活用を図る。

○ 国及び地方公共団体は、地域のスポーツ施設やスポーツ指導者に対する障害者のニーズを把握する。また、障害者スポーツ団体等と連携を図りつつ、地域のスポーツ施設が障害者を受け入れる際に必要な運営上・指導上の留意点に関する手引きや、新しい種目、用品・用具等の開発・実践研究を推進する。

(2)学校の体育に関する活動の充実

1.施策目標:

 教員の指導力の向上やスポーツ指導者の活用等による体育・保健体育の授業の充実、運動部活動の活性化等により、学校の教育活動全体を通じて、児童生徒がスポーツの楽しさや喜びを味わえるようにするとともに、体力の向上を図る。

2.現状と課題:

 学校における体育に関する活動は、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現するための基礎となるものである。
 平成20年及び平成21年に改訂した学習指導要領においては、小学校から高等学校までを見通して発達の段階のまとまりを踏まえた指導内容の系統化や明確化が図られたが、小学校においては、教員の高齢化も進む中で、ほとんどの教員が全教科を指導しており、教員が体育の授業に不安を抱えたり、専門性を重視した指導が十分に実施されていない状況もみられる。中学校においては、武道等が必修化されたことに伴い、安全で円滑な指導を充実させるための取組が求められている。また、高等学校においては、将来にわたって継続的なスポーツライフを営むことができるようにする指導の充実が求められている。
 指導体制の充実を図るためには、専科教員や専門性を有する地域のスポーツ指導者の配置を促進することが有効であるが、全体としてはその活用の実態は十分とは言えない状況にある。
 運動部活動については、例えば中学校での所属率がほぼ横ばいで推移しているが、少子化に伴う運動部活動の所属生徒数の減少等により、チーム競技等においては特に活動に支障をきたしている。また、顧問教員の負担を軽減するためのスポーツ指導者の確保についても課題があり、その形態や運営について一層の工夫が求められている。さらに、種目によっては女子の参加が困難なものもあり、参加機会の充実が求められている。
 なお、体育・保健体育の授業や運動部活動等、学校の体育に関する活動においては、毎年度、重大な事故が報告されており、安全面での更なる配慮・工夫が求められている。
 また、障害のある児童生徒の学校の体育に関する活動については、児童生徒の教育的ニーズに応じた対応が行われてきたところであるが、スポーツ基本法でも、障害の種類や程度に応じた配慮が求められている。
 学校体育施設(※1)については、耐震化率はまだ100%に達しておらず、また、グラウンドの芝生化の整備率は上昇しているものの、依然として低い水準にとどまっているなどの状況にあり、その充実が課題となっている。さらに、学習指導要領の改訂による武道必修化にあたっては、武道場の整備の推進が課題となっている。


※1 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校の体育施設を指す。

3.今後の具体的施策展開:

○ 国は、平成20年及び平成21年に改訂した学習指導要領に基づく発達の段階に応じた指導内容の定着を図る観点から、教員の実技指導研修等を支援するとともに、児童生徒に模範となる実技を視覚的に示すための体育・保健体育の授業のためのデジタル教材の作成・提供等の取組を推進する。
 地方公共団体においては、研修会の開催や実技指導資料等の作成により、教員の指導力向上を図ることが期待される。

○  大学においては、大学の自主性に基づき、教員養成課程において、健康や安全、障害者に配慮した体育の授業や運動部活動の指導・経営・調整に必要な確かな力量等を備えた教員を養成するため、学校現場と連携するとともに、カリキュラムや学習方法の一層の改善を図ることが期待される。

○ 国は、教職員配置について、「義務標準法」(※2)に基づき各学校における学級数等に応じて基礎的な教職員定数を国の標準として定めており、この中で、学級担任以外の教員も配置できるよう、学級数以上の定数が算定されるようになっている。また、平成23年4月の義務標準法改正により、上記の基礎的な定数とは別に措置される、いわゆる加配定数について、新たに小学校における教科の専門的な指導を実施するための加配措置が設けられたところであり、地方公共団体においては、これらの定数も活用し、体育の専科教員の配置を推進しながら、学校の教育活動全体を通じて、体育に関する活動の充実を図ることが期待される。


※2 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年5月1日法律第116号)

○ 国は、地域での教育支援体制を強化するため、地域のスポーツ指導者を活用するなどして、小学校全体の体育の授業等を計画したり、担任とティームティーチングで体育の授業に取り組む人材(小学校体育活動コーディネーター)の派遣体制の整備を支援する。地方公共団体においては、地域のスポーツ指導者等を積極的に活用することが望まれる。

○ 地方公共団体においては、中学校における武道等の必修化に伴い、安全かつ効果的な指導のために、地域の指導者等の積極的な活用等による指導体制の充実や、施設等の整備を図ることが期待される。国においては、武道等の指導の充実を図る取組を支援する。

○ 国は、生徒のスポーツに関する多様なニーズに応えた中学校及び高等学校の運動部活動の充実を促進し、生徒の運動部活動への参加機会を充実させるため、複数校による合同実施やシーズン制等による複数種目実施、総合型地域スポーツクラブ(「総合型クラブ」)との連携等運動部活動における先導的な取組を支援する。これらを通じて、男子と比較して加入率が低い女子の運動部活動への参加機会の向上を図る。

○ 地方公共団体においては、運動部活動の充実のため、児童生徒のスポーツに関する多様なニーズに応える柔軟な運営等を行う取組を一層促進することが期待される。
 また、こうした児童生徒の多様なニーズに応える運動部活動を推進するため、研修等により運動部活動に関する指導力や経営・調整能力の向上を図るとともに、学校と地域のスポーツ指導者との連携を支援することも期待される。その際、総合型クラブ等との連携についても、一層理解の促進を図ることが求められる。さらに、運動部活動の指導に当たる教員の意欲を高める取組を行うことも期待される。

○ 学校体育団体等スポーツ団体においては、主催する大会等について、国や地方公共団体と協議しながら総合型クラブで活動する生徒等の参加を認めたり、地域スポーツクラブの大会との交流大会を実施したりするなど、柔軟な対応が図られるよう検討することが期待される。

○ 国及び地方公共団体は、学校の体育に関する活動を安心して行うことができるよう、スポーツ医・科学を活用したスポーツ事故の防止及びスポーツ障害の予防・早期発見に関する知識の普及啓発や、学校とスポーツドクター等地域の医療機関の専門家等との連携を促進するとともに、安全性の向上や事故防止等についての教員等の研修の充実を図る。その際、マウスガードの着用の効果等の普及啓発を図ることも考えられる。また、学校で保有しているスポーツ用具の定期的な点検・適切な保管管理に関する啓発を図る。

○ 独立行政法人日本スポーツ振興センターは、災害共済給付業務から得られる学校の管理下における災害事例について、医学・歯学等の専門家と連携しつつ、調査・分析を行い、学校関係者等に情報提供を行う。

○ 国は、障害のある児童生徒の学校の体育に関する活動について、障害の種類や程度に応じて参加できるようにするため、適切かつ効果的な指導の在り方について調査し、先導的な取組を検討・推進する。

○ 地方公共団体においては、障害のある児童生徒の学校の体育に関する活動を推進するため、学校と地域のスポーツ関係者等との連携を促進することが期待される。

○ 学校においては、「個別の教育支援計画」を作成するなど、障害のある児童生徒の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行うことが求められる。また、「交流及び共同学習」を行う際は、障害のある児童生徒の実態に応じた配慮を行いつつ、障害の有無にかかわらず、ともに体を動かす喜びを味わうとともに交流を深める取組等を行うことも期待される。

○ 国は、子どもが楽しく安全にスポーツに親しめる環境を創り出すため、地方公共団体が行う学校体育施設の耐震化や、学校の実態に応じたグラウンドの芝生化等の学校体育施設の充実を支援する。

○ 地方公共団体においては、耐震化やグラウンドの芝生化等の学校体育施設の充実に努めることが期待される。

(3)子どもを取り巻く社会のスポーツ環境の充実

1.施策目標:

 地域社会全体が連携・協働して、総合型クラブをはじめとした地域のスポーツ環境の充実により、子どものスポーツ機会を向上させる。

2.現状と課題:

 近年、積極的にスポーツをする子どもとそうでない子どもの二極化が顕著に認められる。中学校女子においては、スポーツをほとんどしない子どもが3割を超えている。
 子ども自身が体を動かすことの楽しさに触れ、進んで体を動かすようになるためには、子どもたちの生活の場である地域におけるスポーツ活動を充実していくことが重要であるが、内閣府の「体力・スポーツに関する世論調査」(平成21年9月)によると、多くの大人が自分の子ども時代と比べて、子どものスポーツ環境は悪くなったと考えている。また、子どもの多くもスポーツ機会が増えることを望んでいる。
 このような中、地域における子どものスポーツ機会の場として、地域スポーツクラブ等での活動が重要であると考えられるが、総合型クラブでは、スポーツ指導者の確保が十分にはできていないとともに、スポーツ指導者の派遣等学校の体育に関する活動との連携も不十分な状況にある。また、スポーツ少年団についても、小学生の加入率は高いが、中学生の加入率は低く、各地域において、子どものスポーツ機会を十分提供できているとは言えない状況にある。
 さらに、障害のある子どものスポーツについて、障害の種類や程度に応じた配慮が求められている。

3.今後の具体的施策展開:

○ 国は、中学校女子をはじめ積極的にスポーツを行わない子どもに対して魅力ある活動を提供し、子どものスポーツ環境の充実を図るため、総合型クラブやスポーツ少年団をはじめとした地域における子どもの多様なスポーツ機会を充実させるための取組を推進する。

○ 国は、運動習慣が身に付いていない子どもやスポーツが苦手な子どもを運動好きにするためのきっかけをもたらすとともに、豊かな人間性・社会性を育むため、スポーツ・レクリエーション活動等の活用を推進する。
 このため、国立青少年教育施設・国立公園・国営公園等におけるハイキング、トレッキング、サイクリングやキャンプ活動等野外活動やスポーツ・レクリエーション活動を推進する。

○ 特に、国及び国立青少年教育施設を設置する独立行政法人国立青少年教育振興機構は、子どもが伸び伸びと、かつ安全に野外活動等を実施できるよう、知識と経験を備えた質の高い指導者の養成に引き続き取り組むとともに、野外活動の重要性を幅広く家庭や社会に伝え、社会全体で野外活動等を推進する機運を高めるための普及啓発等の取組をより一層推進する。

○ 国は、旅行先で気軽に多様なスポーツに親しめるスポーツツーリズムを推進し、子どもにとって居住地域だけでは不足しがちなスポーツ機会を向上させる取組を推進する。

○ 国は、学校の体育に関する活動と地域スポーツの連携促進の観点から、総合型クラブによる学校へのスポーツ指導者派遣のための体制の整備を推進する。

○ 地方公共団体においては、学校、総合型クラブ、スポーツ少年団、学校体育団体、競技団体、野外活動関係団体、スポーツ・レクリエーション活動関係団体、障害者スポーツ団体等が連携して、子どもの多様なスポーツ活動が効率的・効果的に行われるための取組を推進することが期待される。
 具体的には、地域の実情に応じて、子どものスポーツに関する団体等が一堂に会する場を設定し、子どもの指導に関する理念等についての共通理解を促進させるとともに、子どものスポーツへの参加機会の選択肢を充実させるための取組等について協議することも考えられる。

○ 総合型クラブにおいては、子どもと保護者・家族が、異年齢の子どもや多世代の大人とともにスポーツに親しむことができるよう、今後幅広い世代の参加者を確保したクラブ運営が期待される。また、地方公共団体や学校との連絡・協議により、総合型クラブにおいて活躍するスポーツ指導者に対し、学校の体育に関する活動に対する理解の促進を図ることが望まれる。

○ スポーツ少年団においては、子どもにジュニアリーダー・シニアリーダーとして、スポーツとの多様な関わり方の場を提供することや、中学校の部活動との連携等を通じて、中学生や高校生の参加の促進に対する取組を行うことが期待される。

○ スポーツ団体においては、子どもの発達の段階に応じて多様な指導を行うことができるスポーツ指導者の養成及び資質の向上を図るための講習会やスポーツ指導者養成事業等に取り組むことが期待される。

○ 国及び地方公共団体は、地域のスポーツ施設やスポーツ指導者に対する障害者のニーズを把握する。また、障害者スポーツ団体等と連携を図りつつ、地域のスポーツ施設が障害者を受け入れる際に必要な運営上・指導上の留意点に関する手引きや、新しい種目、用品・用具等の開発・実践研究を推進する。

○ 国は、障害者の競技大会への参加や旅行先でもスポーツに親しめる機会を充実するため、民間事業者等と連携し、障害の有無にかかわらず移動・旅行ができる環境整備に取り組む。

お問合せ先

スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課スポーツ政策企画室

(スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課スポーツ政策企画室)

-- 登録:平成24年05月 --