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はじめに

 平成18年12月,制定から約60年ぶりに教育基本法が改正され,新しい時代の教育の理念が明示された。
 同時に,改正教育基本法では,第17条において,教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,政府が基本的な計画(教育振興基本計画)を定めることが新たに規定された。

 本改正後,中央教育審議会では,文部科学大臣の審議要請を受け,平成19年2月から,教育振興基本計画特別部会を中心に教育振興基本計画について審議を行ってきた。その間,平成19年11月から12月にかけては,それまでの審議の状況を公表し,これについての国民からの意見を募集した。あわせて,関係団体からのヒアリングや地方での公聴会(徳島県,千葉県)を行うなど,幅広い国民の意見を踏まえた審議に努めてきた。
 また,教育をめぐっては,本中央教育審議会での審議をはじめ,これまでも数多くの議論が行われている。その結果を踏まえ,例えば「経済財政改革の基本方針2007」や他の行政分野の基本法に基づく基本計画等にも教育に関わる記述が盛り込まれており,政府として重要性が確認され,既に取組が開始されているものも多い。
 教育振興基本計画を検討するに当たっては,これらの議論の積み重ねも十分に踏まえつつ,教育を取り巻く諸課題や教育振興に関する諸施策を総合的に捉え直すことによって,政府としての政策の方向を明らかにし,施策をより効果的に実施することを意図して審議を行った。

 今回の答申では,まず,今後の知識基盤社会において,一人一人の充実した人生と我が国社会の持続的な発展を実現するため,改めて「教育立国」を宣言することを求めた。
 その上で,今後10年間を通じて目指すべき教育の姿を提言するとともに,今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき具体的な施策を明らかにした。その際,5年間に達成すべき目標について可能な限り数値を用いて示すとともに,特に重点的に取り組むべき事項を明確にするなど,施策を効果的に推進していくための工夫に意を用いたところである。
 さらに,今回の答申の全体を通じて,国だけでなく,地方公共団体,学校,保護者,地域住民,企業,社会教育団体,民間教育事業者,NPO,メディアなど,社会を構成するすべての主体が,それぞれの立場から責任を持って教育の営みに参画し,相互に連携し,社会全体で教育の向上に取り組むことの重要性を訴えた。

 今後,本答申を踏まえ,政府としての教育振興基本計画が速やかに策定され,教育基本法の理念の実現に向けて着実な歩みが進められることを強く期待する。