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「義務教育に係る諸制度の在り方について」(初等中等教育分科会の審議のまとめ)の概要

 今回の「審議のまとめ」は、初等中等教育分科会における現時点までの審議の概要を取りまとめたものであり、新しい時代にふさわしい義務教育制度の実現に向けて、中央教育審議会において更に検討を進める必要がある。

1 我が国の義務教育制度をめぐる課題

 児童生徒の発達や意識の変化、家庭や地域社会の変化等の中で、義務教育段階の学校教育に様々な課題が生じている。
 こうした課題に対応し、より良い義務教育を実現していくためには、義務教育の目的・目標を改めて明確にした上で、具体的にどのような方策が必要なのかについて十分に検討する必要がある。また、その前提として、国民の教育を受ける権利を国家として保障するための財政基盤の保障が不可欠である。

2 義務教育の目的、目標

(義務教育の目的)

 義務教育の目的については、主に次の2点に関わる意見が多かった。

  • 1国家・社会の形成者としてふさわしい最低限の基盤となる資質の育成。
  • 2国民の教育を受ける権利の最小限の社会的保障。

(義務教育の目標)

 義務教育の目標については、「知・徳・体」それぞれの観点から多様な意見が出された。また、義務教育の目標の在り方について、義務教育の到達目標を明確化すべきとする意見や、現行の学校教育法よりも具体的な規定とすべきとの意見があった。

3 義務教育制度の改革の方向

(1)義務教育修了の考え方

 義務教育段階における評価や修了認定の考え方として、児童生徒に学力を保障するためにはどのような仕組みが望ましいかという観点から、「課程主義」・「修得主義」、「年齢主義」・「履修主義」に関する議論が提起された。

  • 注1 「課程主義」・「修得主義」
     「課程主義」:義務教育制度における「義務」の完了を認定するに当たり、一定の教育課程の習得をもって義務教育は終了したとみなすもの。我が国の明治期から戦前にかけての義務教育は課程主義に属していた。
     「修得主義」:当初は成績の評価・評定と深く関係付けられていた用語で、児童生徒は、所定の教育課程を履修して、目標に関し、一定の成果を上げることを求められているという考え方。
  • 注2 「年齢主義」・「履修主義」
     「年齢主義」:義務教育制度における「義務」の完了を認定するに当たり、年齢に達したならば自動的に義務教育は終了したと認めるもの。現在の学校教育法においては年齢主義が採られている。
     「履修主義」:当初は成績の評価・評定と深く関係付けられていた用語で、児童生徒は、所定の教育課程をその能力に応じて、一定年限の間、履修すればよいのであって、所定の目標を満足させるだけの履修の成果を上げることは求められていないとする考え方。

(2)就学の時期

 就学時期については、主に、1就学年齢を引き下げるべきとする意見、2一定の幅で弾力化すべきとする意見、3就学年齢の変更に慎重な意見があった。

(3)義務教育の年限

 就学年限については、主に、1一定の期間を定めてその中で9年間就学させる仕組みとすべきとの意見、2義務教育期間を延長すべきとの意見、3現行の中学校までの義務教育で良いとする意見があった。

(4)学校の区分、学校間の連携

 学校の区分については、主に、16−3制そのものについて見直すべきとする意見、2その改正は慎重であるべきとする意見があった。また、義務教育としての到達目標をより良く達成するために、小・中、幼・小のカリキュラムを中心とした学校間の連携や、一貫教育を重視すべきとの意見が多かった。

(5)その他の課題

 上記のほか、義務教育を「就学義務」ではなく「教育義務」の観点から捉え直すべきではないかとの意見や、就学義務の猶予・免除規定のうち、免除規定についてはその必要性について改めて検討し直す必要があるのではないかなどの意見があった。


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