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4.その他

(1)  実務実習の受け入れ体制・指導体制の整備等について

  実務実習は、調剤や服薬指導等の薬剤師の業務を学生が実際に体験することにより、医療の現場において薬剤師の果たすべき職責の重要性を認識させ、医療人としての職業倫理や責任感を身につけさせるものである。これを、教養教育や医療薬学教育と有機的に組み合わせて実施することにより、薬学生としての自覚を促すことが重要である。
  実務実習については、「実務実習モデル・コアカリキュラム」を踏まえたカリキュラムを各大学が策定し、医療の担い手としての薬剤師の養成という観点から充実した実務実習が実施される必要がある。特に、医療現場等における医師・歯科医師・看護師を含めたチーム医療に積極的に参加するとともに、医薬品の安全管理・危機管理能力の育成に努めることが必要である。
  「実務実習モデル・コアカリキュラム」では、実務実習の期間は相当程度の期間(おおむね24週間程度)を要するものとなっており、現状の2週間から4週間程度の実務実習の期間が大幅に延長されることとなる。このため、指導体制の整った十分な病院・薬局を確保するための体制を構築する必要がある。
  また、各大学においては、実習先の病院・薬局との十分な連携体制を図り、実務実習を行う学生に対して適切な指導を行うとともに、実習を支援する教員以外の職員の充実に努める必要がある。
  なお、実務実習においては資格を持たない学生が実際に調剤や服薬指導を行うことになるため、医学教育・歯学教育において行われている臨床実習の例も参考にしつつ、有資格者の指導・監督の下に実施されることなど、患者の安全確保に慎重を期すとともに責任体制の明確化を図る必要がある。

(2)  共用試験の実施について

  相当程度の期間の実務実習が行われることから、実習を行う学生の質の確保が重要である。このため、「最終報告」では、実務実習の開始前に、学生の実務実習に必要な基本的な能力(知識・技能・態度)を適切に評価するための共用試験の実施について提言されており、これに沿った具体的な検討が進められるべきである。

(3)  第三者評価について

  本審議会では、平成14年8月5日、「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」の答申を行い、大学に関する第三者評価制度の導入を提言した。これを受け、学校教育法の改正により、認証評価機関による評価制度が確立され、全大学が「大学の教育研究等の総合的な状況」についての評価(いわゆる「機関別評価」)を受けることとなっている。また、同時に専門分野別の第三者評価が導入されたが、その対象は、第三者評価の必要性が特に強い法科大学院等の専門職大学院に限られている。上記答申においては、このように限定を行った理由について、「現在直ちに多くの分野で専門分野別第三者評価が実施できる状況にはない」と述べられている。
  しかしながら、医療人の養成を目的とする分野は、国民の命を預かり、健康を確保するという重大な任務を負う人材を養成することから、その教育研究等の状況に関する社会の関心も高い。今般、特に薬学教育については、修業年限が延長されることに伴い、その趣旨を踏まえた質の高い教育が行われていることを確認していく必要がある。教養教育が十分に行われているか、医療薬学教育を充実させた専門教育が適切に行われているか、実務実習が適切な指導体制の下に「実務実習モデル・コアカリキュラム」を踏まえて行われているか、など、社会からの要請に応えた医療の担い手としての薬剤師の養成のための教育が行われていることについて十分な検証と適正な評価を行うことが求められる。
  このため、薬学教育については、薬学教育の関係者や職能団体、企業の関係者のみならず、薬学関係以外の者の参画も得つつ、早急に第三者評価を実施するための体制が整備される必要があり、その組織、評価の基準、方法等について十分な検討を進めるべきである。




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