(1) 免許状の種類
- 栄養教諭の免許状の種類は,大学院,大学,短期大学等の学校種別,修業年限や修得単位数に応じて多様な教員養成機関から栄養教諭になる途を開くことにより,教員組織全体の活性化を図るとともに,上位の免許状等の取得を目指すことによる現職教員の自発的な研修を促すため,複数の種類の免許状を設けることとし,普通免許状として専修免許状,一種免許状,二種免許状の3種類とすることが必要と考える。
このうち他の教諭等と同様に,一種免許状は普通免許状の中で標準的なものと考える。
栄養教諭の配置についての中間報告における考え方,栄養教諭の職務内容として給食の管理が含まれていることなどの栄養教諭制度の性格等にかんがみ,臨時免許状や特別免許状を設ける必要はないと考える。
(2) 免許状取得のための基礎資格
免許状取得のための基礎資格としては,大学における教員養成の基本原則を踏まえ,専修免許状については修士の学位(大学院修士課程修了程度),一種免許状については学士の学位(大学卒業程度),二種免許状については準学士の称号(短期大学卒業程度)を有することを原則とすることが必要と考える。
(3) 栄養に関する専門性の養成
- 栄養に関する専門性として,免許状の種類にかかわらず食に関する指導を行うための資質能力を身に付けるため,基礎資格として栄養士の免許を取得することが必要と考える。
- さらに,栄養に関する深い専門的知識・技術を養うために,標準的な免許状である一種免許状の取得のためには,管理栄養士養成のための教育課程と同程度の内容・単位数を修得することとすべきである。このため,一種免許状を取得するための基礎資格としては,栄養士の免許に加えて管理栄養士免許を取得するために必要な程度の専門性を有することとすることが適当と考える。また,専修免許状を取得するための基礎資格としては,管理栄養士の免許を有することとすることが適当と考える。
二種免許状の取得のためには,上記のように基礎資格として栄養士の免許の取得を求めることにより,栄養士養成のための教育課程と同程度の内容・単位数を修得することとすべきである。
また,いずれの免許状の取得においても,食に関する課題を踏まえ,栄養教諭としての使命の自覚や,職務内容について理解を深めることが必要と考える。
なお,これらの管理栄養士養成のための教育課程,栄養士養成のための教育課程のうち,教職に関する科目との類似等があるものについては,重複して課すことのないよう配慮することが考えられる。
(4) 「教職に関する科目」の内容と単位数
- 教育の目的・原理,教育の内容・方法,児童生徒の心身の成長・発達等についての深い専門的知識・技術といった教職に関する専門性を修得するための「教職に関する科目」は,養護教諭の養成課程と同程度の内容・単位数を基本として,教職の意義等に関する科目,教育の基礎理論に関する科目,教育課程に関する科目,生徒指導及び教育相談に関する科目,総合演習,栄養教育実習について修得することが必要と考える。
(5) 養成課程
- 大学における開放制の教員養成の基本原則に照らし,栄養教諭の養成においても,文部科学大臣の課程認定を受けた大学の課程において,必要な科目・単位数を修得することを基本とすべきである。
- 一方,現在の管理栄養士,栄養士の養成課程として,大学以外に専門学校等においても,学校栄養職員等として教育現場に優れた者を輩出していることにかんがみ,他の教諭等の養成において指定教員養成機関の制度を設けていることと同様に,専門学校等について文部科学大臣が指定を行い,栄養教諭の養成を行うことができるようにすべきである。
また,専門学校において修得した栄養に関する科目について,栄養教諭の養成を行う大学等が単位認定を行うようなことも考えられる。