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新たな留学生政策の展開について(答申)
〜 留学生交流の拡大と質の向上を目指して 〜

はじめに

  我が国は昭和58(1983)年にいわゆる「留学生受入れ10万人計画」を策定し,留学生の受入れの拡大と,総合的な留学生政策の実施に取り組んできた。その結果,我が国の大学学部,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校(専修学校専門課程)等(以下,「大学等」という。)で学ぶ留学生の数は,平成15(2003)年5月には109,508人に達し,目標の10万人を超えている。また,大学等への進学などを目指し我が国の日本語教育機関で学ぶ外国人学生の数も大幅に増え,平成14(2002)年7月には39,205人を数えるに至っている。
  一方,我が国から外国に留学する日本人学生の数も着実に増え,平成12(2000)年には主要32か国だけで76,464人に達している。
  留学生交流は,人材の育成を通じた知的国際貢献として位置付けられるとともに,我が国が目指す国際的に開かれた社会の実現にも大きく寄与する事業である。また,我が国と諸外国との間の人的ネットワークの形成や,相互理解と友好関係の深化を促すことにより,ますますグローバル化が進展する世界の安定と平和に資するものである。さらに,我が国の大学等に強く求められている一層の国際化や,国際競争力の強化のためには,諸外国との知的交流の深化にもつながる留学生交流の拡大が極めて重要である。
  このような認識の下,本審議会は,平成14(2002)年11月28日に大学分科会の下に留学生部会を設置し,新たな留学生政策の在り方について鋭意検討を重ねてきた。
  審議を通じて本審議会は,留学生交流の双方向での拡大が時代の要請である中で,日本から諸外国に留学する日本人学生についてはこれまで必ずしも明確な留学生政策に基づく支援策が講じられてこなかったという点に留意した。
  また,留学生の数の拡大はそれ自体望ましいとしながらも,安易な数の拡大が招きかねない大学等の受入れ体制,教育研究内容,学生等の質的低下についても指摘し,必要な施策について意見を交わした。
  さらに,平成16(2004)年4月には,独立行政法人日本学生支援機構が設立され,日本人学生,外国人留学生等を対象とした総合的な支援体制が確立される予定となっていることなども視野に入れて審議を進めてきたところである。
  本審議会は,本年10月,「中間報告」を公表し,各界各層から広く意見を求め,それらを踏まえつつ,更に審議を深めてきた。
  このたび,本審議会は,中長期的な施策の方向性を見据えた上で,我が国への留学生数が少なくとも3万人程度増加することが見込まれる,今後5年程度を目途に,できるだけ早期に実現すべき施策について結論を得たので,ここに答申を行うものである。

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