中央教育審議会(第144回) 議事録

1.日時

令和8年8月21日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※ハイブリッド会議

3.議題

  1. 第5期教育振興基本計画の策定について(諮問)
  2. 第4次学校安全の推進に関する計画の策定について(諮問)
  3. 地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方について(審議経過報告)

4.出席者

委員

橋本会長、吉岡副会長、貞広副会長、秋田委員、安孫子委員、伊藤委員、岩本委員、清原委員、桑原委員、田中委員、都竹委員、戸ヶ﨑委員、冨永委員、萩原委員、浜田委員、廣津留委員、藤田委員、古沢委員、堀田委員、森委員、両角委員、山口委員、吉田委員、渡辺委員、和田委員

文部科学省

松本文部科学大臣、福田文部科学大臣政務官、矢野事務次官、望月文部科学審議官、今井大臣官房総括審議官、淵上総合教育政策局長、茂里初等中等教育局長、合田高等教育局長、塩見国立教育政策研究所長、神山大臣官房審議官、小幡社会教育振興総括官、田中総合教育政策局政策課長、山田初等中等教育局企画課長、春山高等教育局企画課長、森友高等教育局私学部長 他

5.議事録

中央教育審議会総会(第144回)
令和8年8月21日
 
 
【橋本会長】  それでは、ただいまから、中央教育審議会総会を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本日、松本洋平文部科学大臣、福田かおる文部科学大臣政務官に御出席いただいております。
 会議はウェブ会議と対面を併用して開催させていただきます。
 まず、前回の総会以降、文部科学省において人事異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【田中政策課長】  事務局総合教育政策局政策課長の田中でございます。この夏で人事異動がございましたけれども、対象者が多いところから局長級以上のみ御紹介をさせていただきます。
 まず、文部科学事務次官の矢野でございます。
【矢野文部科学事務次官】  どうぞよろしくお願いします。
【田中政策課長】  総括審議官の今井でございます。
【今井総括審議官】  よろしくお願いいたします。
【田中政策課長】  総合教育政策局長の淵上でございます。
【淵上総合教育政策局長】  よろしくお願いいたします。
【田中政策課長】  初等中等教育局長の茂里でございます。
【茂里初等中等教育局長】  よろしくお願いいたします。
【田中政策課長】  国立教育政策研究所長の塩見でございます。
【塩見国立教育政策研究所長】  よろしくお願いいたします。
【田中政策課長】  なお、文部科学審議官の望月につきましては、本日、用務がありますため、遅れての参加となります。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の会議開催方式及び配付資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【田中政策課長】  本日も対面、オンラインのハイブリッドでの会議開催とさせていただきまして、ユーチューブにて配信もしておりますので、御承知おきいただければと思います。各議題の質疑、意見交換の際、御意見がございます場合には、会場で参加の委員の皆様、ウェブ参加の委員の皆様、共に挙手ボタンを端末のほうで押していただければと思います。対面の場合に、名札を立てるというやり方をすることもありますが、今回は、会場にいらっしゃる委員の皆様も端末からの挙手ボタンでお願い申し上げます。
 御発言につきましては、会長の御指名の後にお願いいたします。会場で参加の委員の皆様は、会長から御指名があった後、事務局がマイクをお持ちしますので、机上の端末にお顔を映しながら御発言をお願いいたします。
 続きまして、本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1から資料5まででございます。不足や御不明の点等ございましたら、事務局までお申しつけください。なお、資料5は、中央教育審議会運営規則等に基づき、総会を経ないで行われた諮問について御報告をするものです。
 最後に、本日の御出席につきまして、全体29名の委員の皆様のうち、17名の方に会場での参加、8名の方にウェブ参加いただきまして、合計25名の委員の皆様に御出席いただいておりますことを御報告申し上げます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
【橋本会長】  それでは、本日の議事について御説明いたします。議題1として、第5期教育振興基本計画の策定について(諮問)、議題2として、第4次学校安全の推進に関する計画の策定について(諮問)、議題3として、地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方について(審議経過報告)でございます。それぞれ説明の後に意見交換を行います。
 それでは、議題のほうに入りたいと思います。まず、議題1の第5期教育振興基本計画の策定について、及び議題2、第4次学校安全の推進に関する計画の策定について、大臣よりまとめて諮問いただきたく存じます。大臣、よろしくお願いいたします。
【松本文部科学大臣】  どうも皆さん、こんにちは。ただいま御紹介をいただきました、文部科学大臣の松本洋平です。
 初めに、令和8年熊本地震、そして令和8年8月千葉豪雨におきまして、お亡くなりになられた方に対しまして、心から哀悼の意を表しますとともに、被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 文部科学省といたしましては、被災をされました、熊本県及び千葉県をはじめとする自治体への支援に全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
 まずは、中教審の皆様方には日頃から我が国の教育行政に対しまして、大変活発な御議論をいただき、そして貴重な御提言をいただいておりますことに対し心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。この後、すいません、今日はハイブリッドということなので、私が立っていると多分、向こう側からの見え方が、顔が見えなくなっちゃうと思うので、この後座ってお話をさせていただきますことをお許しいただきたいと思います。
 本日でありますけれども、諮問が2件ございます。諮問の1つ目は、第5期教育振興基本計画の策定について、そして、2つ目は、第4次学校安全の推進に関する計画の策定についてであります。まず、1つ目の第5期教育振興基本計画の策定に係る諮問の要点について、御説明を申し上げます。教育振興基本計画は、教育基本法第17条に基づきまして策定をされる我が国の教育政策の基本的な方向性や方針、講ずべき施策などについて総合的に示す計画であります。現行の第4期計画の策定から3年が経過をする中で、我が国を取り巻く社会のありようが加速度的に変容をし、先行き不透明なAI時代を迎える中で、2040年以降の社会を捉え直し、教育政策全体について総合的に検討することが必要であります。
 御審議いただきます主要な事項といたしまして、第1に、教育基本法の基本理念、現行計画の成果と課題に加えまして、AIなどの技術革新の進展、予測を上回る人口減少、少子高齢化の進行、社会産業構造の変容、我が国社会の多様化等の社会情勢の変化を踏まえた今後の教育政策に関する基本的な方向性について。第2に、ただいま申し上げました基本的な方向性を踏まえたあらゆる教育段階における今後5年間の教育政策の基本的な方針と主な施策について。第3に、現行計画及びその点検結果も踏まえつつ、多様な教育データをより有効な政策の評価、改善に活用するための方策や、国、地方及び関係機関の連携、協働の在り方、人的、物的資源の確保の在り方など、教育振興基本計画の実効性の確保、向上についてを中心に御検討をいただき、総合的かつ体系的にお示しいただきますようお願いを申し上げます。なお、御審議いただく際には、他の政策分野や、既に進められております中央教育審議会における御審議との関連にも留意をいたしまして、御検討をお願いしたいと存じます。
 以上が中心的に御議論をお願いしたい事項ではありますが、このほかにも必要な事項について御検討をいただき、令和9年度冬を目途に答申をおまとめいただければと考えております。
 次に、第4次学校の安全の推進に関する計画の策定に係る諮問の要点について御説明を申し上げます。学校は、人と人との触れ合いにより人格の形成がなされる場であり、児童生徒等が生き生きと学び、自己実現に向かうために学校は安全で安心な環境であり続けることが必要であります。また、児童生徒等はその生涯にわたり、安全な生活を送るための基礎的な素養を身につけていくことが求められております。学校保健安全法において、国は各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため、学校安全の推進に関する計画を策定することとされております。この計画は、国と地方公共団体が相互に連携を図り、各学校において安全に係る取組が確実かつ効果的に実施されるようにするために重要な指針となるものであります。現行計画に基づく取組では、先進的な取組が進められた地域や学校がある一方で、いまだ取組が十分とは言えない地域や学校も見られるところであります。また、現行計画策定以降、安全に関する新たな課題も生じており、こうした状況を踏まえた計画の見直しが必要であります。このため、第4次学校安全の推進に関する計画の策定については、次の事項を中心に御審議をお願いしたいと存じます。
 まず、現行計画に基づく、これまでの取組状況を踏まえ、近年の災害の激甚化やSNSに起因する犯罪被害、熊などの鳥獣被害の恐れ、このほか、子供や学校をめぐる事件事故、火災の発生などの計画策定後の社会の状況の変化などに基づき、今後、改善すべき点や新たに追加すべき点について御検討をお願いいたします。特に東日本大震災、能登半島地震、熊本地震及び近年の災害の激甚化を踏まえた地域と連携した実践的な防災教育の充実は喫緊の課題であると考えております。
 2点目といたしまして、教育活動全体を通じた安全教育の取組の推進と、全国的な質の向上に向けた方策について御検討をお願いいたします。
 3点目として、子供や学校をめぐって、過去に発生した事件事故、火災などを踏まえ、安全教育や安全管理を適切に行うための組織体制の整備や、教職員の資質能力の向上方策について御検討をお願いいたします。また、このほか、今後の学校安全の推進を図る上で必要な取組について御検討をお願いいたします。
 諮問事項については、今後、十分な御審議をいただいた上で、令和8年度中を目途に答申の取りまとめをお願いいたします。
 諮問の内容としては、以上となります。いずれの諮問に関しましても、中央教育審議会の先生方の忌憚のない活発な御議論をよろしくお願いを申し上げます。
 私からは以上となります。どうぞよろしくお願いをいたします。
【橋本会長】  松本大臣、ありがとうございました。
 それでは、諮問を頂戴したいと思います。
【松本文部科学大臣】  よろしくお願いいたします。
(諮問文手交)
【松本文部科学大臣】  では、どうぞよろしくお願いいたします。
【橋本会長】  ありがとうございました。公務の関係で、松本大臣はここで御退出されます。
【松本文部科学大臣】  どうぞよろしくお願いいたします。
【橋本会長】  続きまして、議題1、第5期教育振興基本計画の策定について、事務局より諮問に関する説明をお願いいたします。
【淵上総合教育政策局長】  総合教育政策局長の淵上でございます。私のほうから諮問に関する要点について御説明させていただきます。
 まず、第5期教育振興基本計画の策定に係る諮問について、諮問の背景や検討いただきたい観点を御説明させていただきます。資料1-1が諮問の本文、資料1-2が諮問の概要になります。これらに基づきまして、御説明をさせていただきます。
 資料1-2の2枚目を御覧いただければと思います。教育振興基本計画は教育基本法第17条第1項に基づき策定をされます我が国の教育政策の基本的な方向性や方針、講ずべき施策などについて総合的に示す計画でございます。平成20年度に第1期計画を策定して以来、5年ごとに計画を策定しており、現在は第4期計画の4年目を迎えている状況でございます。
 1枚目にお戻りいただければと存じます。我が国を取り巻く社会の状況は、生成AIなどの技術革新の急速な進展や予測を上回る人口減少、少子高齢化の進行、社会産業構造の変容、我が国社会の多様化、国際情勢の不安定化などが複層的に進んでいる状況にあります。従来から言われてきましたVUCAの時代に加えまして、BANIの時代とも御指摘されますように、これまで以上に流動性が高まっている状況にあり、これからの我が国を担う子供たちは激しい変化がとどまることのない時代を生きることになります。
 第5期計画の策定に当たっては、AI時代への対応をはじめ、特に現行の第4期計画策定以降の情勢変化に着目して、2040年以降の社会を捉え直し、教育政策を総合的に検討することが必要でございます。その上で、第5期計画に求められることを検討すべき観点として大きく5つに整理をしてございます。
 中段の部分でございます。まずは、初めに、生成AIなどの技術革新は急速に進展し、社会全体に大きな変化をもたらしております。特にAIは人間の能力を補助、拡張し、可能性を広げる一方で、思考や判断をAIに過度に依存することへの懸念や情報の真偽を見極めることの難しさなど、新たな課題を投げかけております。こうしたAI時代において、AI等を適切に活用するリテラシーや好奇心や意欲など、人としての価値を発揮するための基盤となる人間力の育成が求められています。AI等の活用による教育の質の向上、デジタルとリアルの最適な組合せについても重要な観点でございます。
 2つ目に、人口減少、少子高齢化の進行は我が国の最も重要な課題の一つであり、地域コミュニティの維持や教育機会の確保といった課題が顕在化し、持続的な発展に大きな影響を与えつつあります。その中で、地域における教育の維持、活性化や教育へのアクセス確保を図ることが重要でございます。
 3つ目に、こうした技術革新の進展や人口動態の推移に伴う社会産業構造の変容により、理工・デジタル分野の人材やエッセンシャルワーカーの不足が指摘されるなど、現在の学びの構造のままでは、人材の需要と供給に乖離が生じるおそれがあります。そのため、社会や産業の持続的な発展を支え、牽引する人材の育成に向け、探究・文理横断の学びや越境体験の推進、高校から大学・大学院まで一貫した人材育成方針の具体化が求められております。また、生涯にわたり学び続ける社会を実現する観点から、リ・スキリングなど社会人の学び直しも重要でございます。
 4つ目に、不登校児童生徒や特別な支援を要する児童生徒の増加、在留外国人の増加など、教育現場は変化に直面をしています。その中で誰1人取り残されず、一人一人の可能性が開花する教育の実現に向け、質の高い教職員を確保し続けるなどの環境整備が求められます。学校教育、社会教育を通じた多様性を包摂し、互いに尊重し合う教育環境、学習機会の確保や民主的かつ公正な社会を築くための教育の在り方も重要な観点です。
 最後に、世界に目を向けますと、国際情勢の混迷が深まる一方で、2030年以降のポストSDGsを見据え、SWGsという新たな概念が議論されており、ウェルビーイングの重要性がより一層高まっております。こうした状況を踏まえ、教育を通じて調和と協調を重視する日本社会に根差したウェルビーイングのさらなる向上を図ることが求められます。
 以上のような背景、観点等を踏まえ、大臣から諮問させていただいた3つの事項、すなわち、今後の教育政策に関する基本的な方向性、今後5年間の教育政策の基本的な方針と主な施策、計画の実効性の確保・向上について、これらを中心に御審議をいただきまして、令和9年度の冬を目途に答申を取りまとめいただければと考えております。
 私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 それでは、今、諮問を受けたばかりではございますけれども、第5期教育振興基本計画の策定に関しまして、私のほうから提案をさせていただきたいと思います。第5期計画の策定につきましては、部会の設置を提案させていただきたいと思います。お手元の資料1-3を御覧いただきたいと思います。資料にございますとおり、教育振興基本計画部会を総会直属の位置づけとして設置をいたしまして、審議を行うことが適当であると考えます。委員の皆様、いかがでございましょうか。御了解いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【橋本会長】  ありがとうございます。特に御異論がないものと思われますので、この部会にて、第5期教育振興基本計画の策定に向けた審議をさせていただきたいと思います。
 なお、中央教育審議会令第6条の第2項において、部会に属すべき委員等は会長が指名するということになっておりますので、人選につきましては、私のほうで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、諮問につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。なお、多くの委員の皆様から御意見をいただきたいと考えておりますので、時間の都合上、恐れ入りますが、1人2分程度を目安に簡潔にお願いできたらと思います。なお、本日オンラインで御参加の戸ヶ﨑委員から資料の御提供がありましたので、資料4として配付されております。各議題に係る内容となってございますので、各議題における意見交換の際に適宜御参照いただければと思います。
 それでは、御意見のある方から挙手をお願いしたいと思います。それでは、山口委員、手が挙がっています。よろしくお願いします。
【山口委員】  私でよろしいですか。2点、意見を申し上げたいと思います。
 今回の教育振興基本計画については、不確実性が高く、激しい変化が続く時代を前提としている点に強く共感をしております。ただ、そうした時代認識を前提といたしますと、計画そのもののつくり方、仕上がりのイメージもこれまでとは異なる視点が必要だと思っておりまして、すなわち、変化が激しい時代であれば、細部まであらかじめ決めるのではなくて、時代の変化に合わせられる柔軟性を持たせることが大切だと思っております。計画というのは一旦決めますと、多くの人の行動を知らず知らずに縛ってしまう傾向があります。時代が変わっていくのに、書き物として残った計画に縛られ過ぎて、現場の問題意識や創意工夫が生かされなくなることは往々にして起こり得ると思います。ぜひ計画策定後も計画の精神がしっかり生かされるように、柔軟性を持って実際にワークする計画とすること、つまり、毎回申し上げておりますが、細部まで決め切るのではなくて、柔軟性が大切だと思っております。まさに幅広い教育の場面に関係する非常に重要な計画であるからこそ、ここを大事にしていただきたいと思います。
 もう1点は、諮問事項の3点目、実効性の確保・向上ですけれども、人的、物的資源の確保の在り方が記載されておりますけれども、この問題については、往々にしてこれまでの流れだと、教員の処遇改善、教員の確保などが取り上げられると思っています。これはこれでとても大切なことなのでありますが、学校の中にいる人だけではなくて、外部人材の活用や外部との連携を前提とする人的資源の確保が重要ではないかと私は思っております。変化が激しく、不確実性な時代だからこそ、その変化の中で闘っている外部の力を教育現場に生かしていくということが必要になると私は思いますので、ぜひ計画の策定に当たっては、こうした観点からも検討いただきたいと思っております。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、渡辺委員、お手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
【渡辺委員】  日本学校保健会、日本医師会の渡辺でございます。資料1-2に記載がございますけども、我が国を取り巻く社会の状況の中に、「これからの我が国を担う子供たちは、激しい変化が止まることのない時代を生きることとなる」とあります。これを踏まえ、諮問事項の3つの柱のひとつ「実効性の確保・向上」の中に、激しい変化に適応できる学校保健の在り方、健康教育といった視点をぜひ加えていただきたいと思っております。
 また、諮問の本文のほうに記載がありますけれども、VUCAに加えまして、BANIの時代と評されるように、子供たちの環境は目まぐるしく変動しております。その中で基盤となる人間力を育成するという方針には賛同いたします。現在行われている学習指導要領改訂の体育・保健体育のワーキングで述べさせていただきましたけど、全ての科目に関して、自ら考え、想定外の事態に対応できる能力を身につけていただくことが必要と思います。教育振興基本計画部会では、ぜひ具体的に能力を身につけられる教育体制をお示しいただきたいと思います。
 また、記載内容を見ますと、児童以降の教育に重点が置かれているような印象があります。AIやデジタル機器の対応は、幼児期からの対応が必要ではないかと思っております。文科省は幼稚園も管轄されていると思いますので、児童以前の対応も検討内容に含めていただきたいと思います。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、オンラインで御参加ですが、秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】  ありがとうございます。学習院大学の秋田喜代美でございます。第5次の基本計画の5点について、全体として、大いに賛同するものです。特に5点目のウェルビーイングということについて、ウェルビーイングはOECD等ではエージェンシーとコンピテンシーとウェルビーイングが3つどもえで実現されることの必要性を言っております。この意味で、こども基本法ができて初めての第5次の基本計画でございますので、子供の声や、それから生涯学習の学習者本人の声を入れながらの計画ということをお考えいただきたいと思います。
 そして、乳幼児から人生100年時代におきまして、生涯にわたり全ての学習者の学ぶ権利を保障するという視点で、自身が主体的に自ら学びの場に参画していくという発想が重要ではないかと思います。それは個人だけではなく、コーエジェンシー、コレクティブエージェンシーというように共同で、また、地域コミュニティで、集団として、学校地域文化の中で主体的な参画をしていくことが重要であります。これはOECDのPISA2022でも、ウェルビーイングのバランスの中で、一番日本はストレスとかレジリエンスが一番低いというバランスの悪さが指摘されているところでございます。VUCAからBANIの時代において、改めてこうした力に力点を入れていくことが、人格教育全体の中でも、特に2040年に向けて、大事なのではないかと思います。
 また、第2点目としては、その後の防災教育とも関係してくるんですけれども、いわゆる防災や、それから環境教育というだけではなくて、気候変動というものは世界的な問題になっております。気候変動と教育ということについて、私どもが地球規模でウェルビーイングを考えていくような視点が重要ではないかと思います。いわゆる熱中症対策とか安全対策という対策だけではなく、私どもが気候変動について教育を受け、知り、そして、どのように市民として、それぞれの年代がこの課題に関与していくのかということの教育が、今後、持続可能な社会と持続可能な地球を考え、安全を考えていく上で重要ではないかと考えます。
 そして、第3点目には、公教育の中で、政府予算の中で公教育の占める、大学教育も含めて費用比率が、最もOECDの中で低いほうにある国が日本でございます。高等教育の負担も高く、また、教育政策への未来投資としての資源というものも、もっと増やしていただくことが計画として重要になってくるのではないかと判断をいたします。特に教員の中で、養成だけではなく大学まで、大学院までを一貫して行っていくという専門家養成が重要かと考えております。
 以上、3点をお話しさせていただきました。以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、同じくオンライン御参加ですが、貞広委員、お願いいたします。
【貞広副会長】  ありがとうございます。千葉大学の貞広と申します。本日はオンラインで失礼いたします。私も3点お話をさせていただきたいと思います。
 1点目は計画のたてつけに関してです。これは先ほどの山口委員の意見と重なるところですけれども、今まで5年ごとに計画をつくってきたわけですけれども、これだけ変化の激しい中では、計画は5年ももたないのではないかというのが想定されます。柔軟性という言葉を山口委員はおっしゃっていましたけれども、柔軟性に加えて変化を吸収できるような想定の計画が必要かと思います。また、場合によっては、全体の計画を大きく見直すということはなかったとしても、下位計画のあたりは5年の間でも微修正をしていくということが必要なのではないかということです。
 2点目は、教育行政の標準化、デジタル化に関してです。これまで教育行政というのは地方分権で行われてきて、それぞれの地域の裁量に大きく委ねられてきたわけですけれども、地域によっては、もろもろのリソースが足りなかったりする中で、なかなか分権を生かせない部分も出てきているやに見ております。もちろん分権ということも大事ですし、とりわけ教育課程については、学校の裁量がこれまで以上に拡大していく方向性が重要かと思います。一方で、体力がない自治体さんの教育行政を支えていくために、広域化、標準化、そしてデジタル化ということも想定して考えていくべきだと思います。これによって、どこに生まれて育っても、子供たちの健やかな学びが確実に、着実に保障されるようになるということです。
 3点目はちょっと蛇足ですけれども、教育は手間がかかり、リソースもお金もかかるものです。教育は負担の問題ではなく、ぜひ未来への投資という思考をより広く、皆さんで共有できるような、そういう計画になればと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、同じくオンライン御参加ですが、堀田委員、お願いいたします。
【堀田委員】  東京学芸大学の堀田でございます。オンラインから失礼いたします。
 先ほどの諮問の資料の中の第5期の教育振興基本計画に求められることのうち、検討すべき観点のマル1番に、生成AI等の技術革新の急速な進展への対応がございました。現在進んでおります学習指導要領の改訂の検討におきましても、このことは非常に重要な観点となっておりまして、そして、生成AI等の情報技術については、情報技術の特性の理解を早い時期から、小学生の段階から無理のない形で教育課程にしっかりと埋め込んで取り組んでいく必要があるという認識の下、中教審の教育課程企画特別部会を中心に、小学校段階では、情報の領域という時間を取る、中学校段階では情報技術科という新教科を設立するという形で検討が進んでまいりました。私ども、この検討に深く関わってきたんですが、これらの教育内容をどういう教育内容にするかということについては、教育課程課さんや、あるいはデジタル学習基盤担当の参事官のところで精緻に検討が進められてきているところでございます。
 課題は、これらが確実に実施されるということだと思います。確実に実施されなければ、場合によってはそういう情報技術の仕組みがよく分からないまま、しかし、利用は進むということになって、場合によっては適切ではない活用、学習の妨げになるような活用が広がってしまう可能性がございますので、そういう意味で、新しい教育課程が確実に実施されるための体制の確保が重要となります。全国の児童生徒や先生たちがいつでも用いることができるような質の高い教材を例えば国が主導して開発し普及させるとか、あるいは各地区での教員研修を充実させるための方策とか、これもオンラインで結構できることもあるのではないかと思います。
 また、人員、指導体制の充実のための人員配置等、これが非常に重要になります。加えて、教員養成課程の改善が急ぎで求められることかと思います。これらは国としてしっかり力を入れていただかなければいけない部分であり、また、確実で継続的な予算の確保が求められますので、次回の教育振興基本計画には、私はそういうところを求めたいと思います。
 私からの意見は以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】  失礼します。大阪教育大学の藤田です。私からは先ほど御説明いただいた資料1-2の中の諮問事項の中に、実効性の確保・向上のために多様な教育データをより有効な政策の評価改善に活用するための方策、国、地方及び関係機関の連携協働の在り方について御審議いただくことが求められているところですが、そこで、子供たちの安全安心の推進を目指した取組に携わっている者として、日本社会に根差したウェルビーイングに含まれる安全安心な環境の構築を一層充実していくために、後ほど審議いただく第4次学校安全の推進に関する計画の策定と関係いたしますが、国立、公立、私立の学校に加えて在外日本人学校等を含む全ての学校の子供たちまた教職員を対象に含め、共助から協働の視点を基盤とする命を守る安全安心な環境の共創を目指すための人員配置、施設設備、並びに組織体制の構築と充実の方向性についても、ぜひ第5期教育振興基本計画の中に含めて御検討いただきたいと思っております。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして、廣津留委員お願いいたします。
【廣津留委員】  ありがとうございます。バイオリニストの廣津留すみれです。
 私からは、検討すべき観点のマル1の生成AIのところについて1点申し上げたいところなんですけれども、計画の概要の中に、「AI時代を迎える中で」と大きくリードにもありますけれども、これからAIの使い方にフォーカスが行きがちかと思いますけれども、この中にございます、デジタルとリアルを最適に組み合わせる観点も重要という点に、私は強く賛同いたします。
 対面でしか得られない教育価値、これを明確にこれから見極める必要があるかと思います。知識の詰め込みですとか一方的な講義でしたら、AIとかデジタルで個別最適化をして、オンライン化して、が自然な流れだと思うんですけれども、あえて同じ時間、空間に学生が集まるからこそ成り立つ授業内容ですとか、それを徹底的に見極めて、そこに資源をあえて投入すべきかと思います。それは、逆にAIで効率化をすることによって教員の働き方改革にもつながるかと思いますし、SNS時代ですので、エコーチェンバーなどの問題もありますので、若い世代が多様な意見にちゃんと触れることができる場所、それをあえて対面でつくっていくということも大切だと思います。
 なので、1点目としては、AIで効率化すべきものと、そこでリソースの余剰ができたら、その資源をどこに再投資するかというところ、対面価値への再投資を考えていただきたいというのが一つと、2点目としては、逆に今、何がわざわざ対面で顔を合わせて学ぶ必要があるのか、それがどういう、どこにその価値があるのかというのをぜひ併せて御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、安孫子委員、お願いいたします。
【安孫子委員】  ありがとうございます。1点、意見を述べさせていただきたいと思います。
 先日、私が関わっている大学で、近隣の高校生による探究型学習の発表を聞く機会がありました。高校生が自主的にテーマを設定して、自分たちで一生懸命調査をし、考え、発表する学習がもう既に実践されているということをとても心強く感じました。一方で、幾つか考えさせられることがありました。一つは、現場の先生方も重要な課題として認識されておられましたが、探究という学習と、これまでの教科の学びをどのようにつないでいくのかという課題と、生徒自身がテーマを決めるからこそ、先生方がどのような問いかけやフィードバックをすれば、その問いをさらに深めることができるのか、教える側にも、これまでとは少し違った力が求められている課題を感じました。
 そして、もう一つ、高校で始まったこうした探究の学びを大学がどのように受け取り、そして、その先の仕事、さらに人生へどうつないでいくのかという課題が非常に大きくあると感じました。今回の資料には、自らの問いを立てて、学びを深める力という大変重要な言葉があります。私はその問いを立てるためには、その前にもう一つ大切な学びが必要なのではないかと感じています。それは自分を知ること、そして社会を知ることです。自分は何に関心があるのか、何を大切にしたいのか、どのように生きていきたいのか、そうしたことを少し立ち止まって内省する時間、これが非常に重要だと感じます。さらに同時に、社会で今、何が起きているのか、どのような人が困っているのか、これから社会はどのように変わっていくのか、自分の身の回りだけではなく、広く社会を知り考える時間、これをどう捻出していくのかというのがとても大事だなと感じました。
 私はこうした2つの学びをこれからの時代の新たな教養として、もう一度大切に位置づけてもよいのではないかと思っています。私の娘は不登校を経験し、乗り越え、今、不登校支援事業を行っています。その子供たちが社会のレールに戻ってくるきっかけの多くが今の自分より少しだけ先を見て描く、学校と自分の関係性を少し客観的に見る、そこから学校に行こうという気持ちの変化が起きるという事実を何件かのケースを通して聞いております。自分を知り、社会を知る、その2つが交わるところから自分自身の問いが生まれる。そして、その問いを高校で探究し、大学では専門知や様々な人との対話、社会との接点を通じてさらに深め、社会に出てから仕事や生活の中で実践していく、その過程で、学びが高校、大学、就職と途切れるのではなく、一人一人の人間の人生を通じてつながっていくことが、最終的にはその人自身のウェルビーイングにもつながっていくのではないかと感じます。
 第5期の教育振興基本計画を考える際に、探究という新しい学びをさらに推進するとともに、その前提となる教養、これをどう育てていくのか、そして高校から大学、社会、さらに人生とその学びをどうつなげていくのか、そうした少し長い時間軸でぜひ議論していただければと感じております。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  ありがとうございます。私からは3点あります。
 1点目が、今回の教育計画をつくっていくに当たっての、事前に参考の事例だとか情報で、こういったところをそろえた上で始められるといいかなと思ったところがあります。その一つは海外での、世界の教育政策の動向だとか、他の国ではどういう方向でやっているのかとか、世界にあるグッドプラクティスだとか、そういったところも我々知った上でどう考えていくのかというところが一つ大事だと思いますし、もう一つは異業種や異分野、特に変化の激しい業界だとかそういったところでの計画の作り方とか、どういった形でやっているのかというところも学びながら今回の計画をというのが1点目です。
 2点目は、こういった総合的な計画をつくる意義というところでいくと、恐らく一つ一つ分野の細かいところの議論ではなく、一つ一つの分野の間、狭間に落ちていて、今まで焦点が当たっていなかったけども大事なものというのを拾い上げてアジェンダ設定していくというのが、こういったところで大事な観点かと思います。その意味で見ると、今回、例えば観点の3つ目で社会産業構造の変容のところで、高校から大学、大学院等までの一貫したと、これは非常にすばらしい動きで、こういったような接続の部分と、もう一つここでさらにもう一歩進めたいところは、義務教育と高校の接続の部分、高校入試改革や、もっと言うと、学習指導要領改訂だとかを含めて、大学からのつながりをちゃんと義務教育まで落としていく一貫したところを、今回の計画では見落とさずにしっかりと議論していただけるといいなと思うのが2点目です。
 3点目が実効性の確保のところですけども、今までのボトルネックを見ていると、一つ大きいのは教育行政の実行能力の部分というところですので、今回、教育行政自体の組織能力の抜本的なアップデートだとか機能強化というところを、AIなんかも徹底的に活用しながら、教育行政自体ができていないのに、学校にやれやれと言っても大した力にならないですし、政策立案だとか予算確保の能力だって抜本的に上げていかないと対応できませんので、こういった教育行政自体をどうアップデートしていくのかというところも、実効性の確保のところで今回しっかりと入れていただけるといいのかなと思います。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、桑原委員お願いいたします。
【桑原委員】  桑原です。基礎自治体の政治行政の現場に15年携わりまして、キャリアが一巡したと捉えまして、今まさに学び直しをしているところです。
 私からは2点です。既にお話にも出ましたように、人口減少が進む中では学校の統廃合や再編が今後さらに進むということを前提に、計画を設計する必要があると考えております。自治体の現場では、学校施設の維持、教職員や専門人材の確保、設備更新、通学手段の確保など、現在の学校体系をそのまま維持するコストが大きくなっており、自治体単独では負担し切れないケースが今後増えてくると思います。したがって、単に学校を残すか、統廃合するかという施設配置の議論だけでなくて、小学校、中学校、高校、大学の再編に伴って、地域全体の教育機能やカリキュラムをどのように組み直すのかというところまで踏み込んで考える必要があると思います。例えば、小中一貫、中高一貫など学校段階を超えた教育、また、複数校での授業、教員、教材の共有、高校と大学・企業との連携、オンラインを活用した遠隔授業などを組み合わせることで、学校数が減少しても教育の選択肢や質を維持するということは可能だと思います。その意味では、学校種ごとに固定的な制度をつくるのではなくて、人口動態や学校再編の状況に応じて、自治体や地域が小中高大を横断して、カリキュラムや教育プログラムを調整、再設計できる仕組みを用意するということが重要ではないかと思うに至っております。
 2点目ですが、今回の諮問事項で特に重要だと感じますのが3点目の実効性の確保です。教育が高度化、個別化すればするほど、良質な教育コンテンツをつくるコストも、それを提供する人材を確保するコストも高くなります。その結果、資金力のある地域や家庭だけが高度な教育を受けられるということになれば、教育の格差を拡大することにもなりかねません。したがいまして、これからは教育の質を高めることと同時に、教育を「受けるコスト」と「提供するコスト」の双方を下げるということが政策上の重要なテーマとなるのではないかと思います。生成AIやデジタル技術も活用しながら、質の高い教育コンテンツや人材を学校、自治体の境界を越えて共有して、学校の統廃合が進む地域でも、住んでいる場所や家庭の状況に関わらず、質の高い教育へのアクセスができる仕組みをつくるということが計画の実効性を高めるという上で非常に重要なのではないかと考えております。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、都竹委員お願いいたします。
【都竹委員】  都竹でございます。3点申し上げたいと思います。
 第5期を取り巻く状況、自分なりに数字を調べてみますと、第4期の最初である令和5年の小学生の数は605万人、9年度が548万人、9%、57万人減っています。それから5期は令和10年が528万人、期間末が恐らく444万人、84万人減の16%減という数字です。とてつもない数字の減少でありまして、教育人口の崖を下り落ちる、教育人口の崖に直面する第5期じゃないかと感じました。
 今、桑原委員もおっしゃったんですが、統廃合がいろいろ問題になってきます。しかし、統廃合による最適化だけでは、教育人口の崖というのに合わせた教育体制というのは取れないんじゃないかと。子供の数を減らす分、何かを減らしていくということだけでは対応ができないと思っております。したがって、従来の児童数比例を基本とした配置、財政措置ということだけではなくて、小規模校、中山間地域で学校が担う機能は何かということに着目した人員とか財政の仕組み、これを第5期計画中に検討していく必要があると思っております。これが1点目です。
 2点目、AIです。何名かの委員の方もおっしゃいましたけども、AIの進化が想像をはるかに超えておりまして、私自身も実際使っておりまして、ここ数か月だけでもとんでもない変化になっている。何十年もかけて我々が培ってきた能力をはるかに超える状態の答えをすぐ出せるようになっている。そういった中で子供たちは学びを深めていく5期になるということになります。5期が始まる時点ですらどこまで進化しているか分かりませんが、リアルの体験というのは、AIについてこれないということだけははっきりしておりまして、実体験とか自然体験、それから地域での活動、何よりも人と関わるということについての価値が高まります。そこをしっかりと組み合わせる教育というものを考えていく必要があると考えております。
 3点目、多様性の包摂です。不登校だけではなくて、発達上の特性、医療的ケア、あるいは家庭環境、貧困、ヤングケアラー、いろんな問題があるわけでありますけども、これはとても学校教育の範囲だけで解決できることではないと思っておりまして、教育委員会と首長部局がふだんからしっかりと連携する体制を今まで以上に取る必要があると思っております。総合教育会議の枠組みをはるかに超えた連携体制づくりというのが求められるのではないかと思います。また、多様性の包摂というのは支援が必要な子供だけの問題ではありません。全ての子供に異なる身体的、あるいは認知特性、感覚的な特性があることを前提にしながら、子供を学校に合わせるのではなくて、学校とか学び方を子供に合わせていくと。困難を補うだけではなくて、得意なこととか独自の感覚を学びに生かしていく発想、ここを5期の中でしっかりと確立していく必要があるのではないかと思っております。そのためにも医療福祉の知見を教育現場に取り込んでいく教育手法を第5期の大きなテーマにする必要があるのではないかと考えております。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございます。それでは、続きまして、和田委員お願いいたします。
【和田委員】  ありがとうございます。金沢大学の和田でございます。AIの目覚ましい進展を遂げる中で、記載されているようにAI活用のリテラシー、あるいは自ら問いを立てて継続して考えられる力、あるいは、人でしかなし得ない価値を創造する人材をどう育んでいけるかが大きなポイントと感じています。その上で3つほど述べたいと思います。
 まず、2040年以降の社会についての共通認識、あるいは目合わせがあると良いと感じています。もちろん変化があまりに早いために予測がつきにくい部分もございます。社会や産業構造の変化、求められる人材像など、教育施策に検討するに資する目合わせからバックキャストするということも重要ではないかなと感じています。
 2つ目は、初等中等教育から高等教育への一貫性についても重要だと感じています。知の総和答申でも、教育の質の向上はまさに重要な要素だと思います。その中でも大学院教育の充実の重要性というのは論をまちません。そのためにも初等中等教育からのわくわくする気持ち、心、あるいは科学の面白さ、楽しさ、これをどう伝えて一貫して高等教育につなげていくかというのは重要な論点だと感じています。その際、リアルな体験が大切だと思います。諮問の概要にもございます、他者との対話を通じた合意形成、あるいは失敗も含めた経験などをいかに入れ込むかなども意識したいと思っています。その際に、社会や人に対する複眼的な視点、多面的に捉える知恵なども一層重要になってまいりますので、これが成長につながっていくのではないかと感じています。
 3つ目は、生涯にわたり自ら学び続けることに加えて、教育にも携わる機会があることではないかと思っています。人口減少が進む中での教育を考える上で、学校はもとより、地域社会、産業界との連携、国際頭脳循環の総和が重要になってまいります。地域や産業界をはじめ、各界の方が教育に携わることも重要と感じます。まさにこれは社会教育とも密接に関連をしてまいります。このことは一旦社会に出た方がいつでも生涯にわたり、自らも学び続けることにもつながっていくのではないかと感じます。教育現場と周囲が一体となって教育ができる仕組みの全体像が求められているのではないかと感じています。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、森委員、お願いいたします。
【森委員】  桐蔭横浜大学の森でございます。私も3点ございますので、お伝えをいたします。
 まず、総じて、マル1からマル5に強く賛同いたします。特にマル1のところでございますが、生成AI、非常に大きな問題でございまして、テクノロジーと教育はいつもレースをしているという話がございます。これは2023年に単独で女性として初めてノーベル経済学賞を受賞いたしましたコールディン氏の、大変有名な論文でございますけれども、今こそ社会格差が非常に大きくなるという危機感がございます。ただ、マル1のところに書かれているのは割とマイルドな形ですので、私としましては、もう少し危機感を持った文章が必要ではないかと思っております。
 2点目でございます。BANIという言葉も出ておりますけれども、BANIに必要なのは対応力と言われています。つまり何が重要なのかということは、その時々の状況によって違ってまいりますので、常に対応していかなければならない。これはイコール、学び続けなければいけないというメッセージになるということです。多くの委員からも意見が出ておりますけれども、人の成長というのは全く速度が違うので、必要になったら、学びたくなったらいつでも学べるという状況を小中高大、そして社会としてどうやってつくっていくかということは非常に重要です。ぜひ学び続けることの大事さを、このメッセージの中に入れていただきたいと思っております。
 最後、3点目でございます。大学分科会に参加している立場から申し上げますと、大学に関しましては、リカレントといったような非常に大きな課題がございます。先ほどの2点目の継続になりますけれども、大学卒業してから大学にみんな戻ってこないということです。まさにBANIの時代に対応力が必要ですが、そのときに大学が必要とされていない、この状況を打破していかなければいけないと思っております。その中で、2002年以降、全ての大学が受審する認証評価について、今、抜本的な改革に取り組んでおります。教育、研究、社会貢献という3つの大きな柱がある大学ではございますけれども、特に人材育成という社会的機能に特化した認証評価になるということで、今、議論を進めております。そういたしますと、小中高大と学び続ける人を育てていくという観点が大きな柱となりますので、ぜひその辺りも含めて、社会に出た後も学び続ける、BANIに対応できる対応力をどうつけていくかという議論をしていただきたいと、このように思っているということでございます。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、オンラインで参加の萩原委員、お願いいたします。
【萩原委員】  出雲市から参加しております、特に誰1人取り残されず、全ての人々の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進、ここが非常に重要だと思っております。その中で、先ほど貞広委員がおっしゃっていたように、地方分権時代において、教育の格差ということの、地域においての格差ということをしっかり視点に入れていく必要があるだろうと思っております。
 また、もう一つ、先ほどおっしゃっていましたように児童以前、つまり、幼稚園、保育園、そういったところからの切れ目のない支援というか、教育というか、これも必要だろうと思っております。そういう中で、公正な社会といったときに、今回、今日はこれから午後、出雲市の教職員向けに研修をするわけですけども、幼稚園、保育園の先生、そして、小中の先生が参加されております。この中で、ジェンダーリテラシーの視点から考える子供たちの未来というタイトルでお話をさせていただくんですけども、その中で、こういった激しい変化の中で、先生自身も今、委員の先生方がおっしゃったように、対応力をしっかり身につけるためにも、学び続けられるような環境も提供していくことが重要なんじゃないかなと思いますので、そのような視点をぜひ入れていただきたいなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。同じく、オンラインで御参加の伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございました。まず、AIのことは皆様、御指摘のとおりだと思います。今、生成AIに、例えば算数の問題、小学校3年生の問題について、初級、中級、上級、それぞれつくってくださいというと、どんどん問題が作成されてきて、それを自分で答えて、さらにはそれを採点もしてくれるというような形になっていくわけですから、教員の在り方というのも、また、さらには指導要領における小学校3年生の枠といったようなものも大きくAIを活用する家庭、または生徒たちにとってははみ出ていくものであって、そのような教育格差もどんどん出ていく中においてどうやって、伸びる生徒は伸ばすし、取り残されがちな人たちをどうやって支えていくかというのが極めて重要だと考えているところであります。あくまでも、AIの発展に対する教員の、また、指導要領の在り方というのが、発展についていけるというか、対応していけるのかということが今一番問われているんだと思います。
 2つ目は、皆様、まだこのことについてお話しされていないですけども、例えば高校無償化も踏まえた政策、いわゆる様々な教育に対する、教育資金の援助といった政策に対する様々な学校のあるべき姿、バランスというものをいよいよ考えるときになってきているんじゃないかと思います。今朝のNHKニュースでも、私立高校に対する公立高校が今、非常に人気が落ちているということを特集されていましたけども、公立高校の役割、私立高校の役割、または機能的に、それら公立、私立といった違いを超えて、どういう機能を必要としているのかというようなことを再設計しながら、そのような枠組みの中で、そもそも高校無償化というものが教育に及ぼす影響は何なのかといったようなことも含めて、教育を専門とする皆さんと一緒に議論していくべきではないかと考えております。
 これに関しては、実は日本の大学が、4年制の大学において、8割が私立学校に通っているという、ほかの国と比べて非常に特殊な状況、ヨーロッパではほぼ全てが国立、また、公立の大学に通っている。アメリカにおいても7割が州立といった公立大学に通っているという制度設計がされている中において、日本だけ8割の人たちが私立大学に通っているという形になるわけですから、そもそもどうしてそういう設計がなされてきたのか、その設計の在り方に対して、国の様々な大学に対する補助というのはどうあるべきなのかといったようなことも、教育全体の在り方を考えながら設計していかなければいけないのではないかと思っているところです。
 3つ目は、それぞれの家庭に対する教育資金の援助の在り方であります。今、全員無償化というようなことがあるわけですけども、資金に余裕ある家庭はその援助が必要ないということを考えると、マイナンバーカードなどを活用して、実際に援助が必要な家庭だけに援助、または生徒や学生に直接援助が行く、または援助された学生も将来、それなりの収入を得たときは、そういう学生は後で奨学金を返していくといったような形で、マイナンバーカードを使った、それぞれの要は、国民の資金及び収入の把握とそれに基づく弱者の徹底的な支援、そういうものを進めていくべきだと思っていますので、そういった意味で資金援助の在り方というものに関しては、時間があれば議論していただければと思うところでございます。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、吉田委員お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。時間がないところ申し訳ございません。1-2の資料で、非常に今回の教育振興基本計画についても、諮問の内容というのはすばらしいものだと思っているのですが、基本的には諮問事項の最後にありますように、基本計画の実効性がいかに確保され、向上するかというのが一番大事だと思っています。
 そういう意味では、短い期間でこれを決めなくてはならないわけですけども、諮問事項の2つ目にある基本的な方針と主な施策で、基本的な方向性を踏まえた生涯を通じたあらゆる教育段階における今後5年間の教育政策の目指すべき基本的な方針と主な施策についてとあるわけです。幼児教育から高等教育まで全てということで考えたときに、高校以下に関しましては、現在進行形で今、教育課程の改定が行われているところでございます。その辺と10年から始まる基本計画、当然ダブってくるわけですので、その整合性というものをしっかりと今から保てるのかどうか、その辺の部分も確認しなくてはいけないのではないかと思っています。
 それから、検討すべき観点の中の3番にあります探究、文理、横断、実践的な学び、これなども教育課程と全部絡んでくると思いますので、ぜひその部分は理解していただきたいのと、あと留学などの越境体験、特に海外留学は、円安の時代になってくると、理想を述べていても実際できないという状況になってきますので、そうすると、ここでまた費用的な問題等も出てくるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、オンラインで御参加の吉岡副会長、お願いします。
【吉岡副会長】  JASSOの吉岡です。皆様の御意見と重なるところが多いので、1点だけ申し上げたいと思います。
 初等中等教育についても、それから高等教育についても、それぞれの分科会等を中心に様々な議論がこれまでも積み重ねられてきました。例えば、探究という仕組みが積極的に評価されるようになってきて、それが実装されてくるということもありました。また、大学分科会のほうで言いますと、学部から大学院への5年一貫教育のような、そういう制度というものが考えられるようになってきます。ただ、これから重要になってくる一つとして、これまで高大接続という言葉で繰り返し言われてきた問題がまだ十分に検討されていないのではないかという気がいたします。
 高校までの教育のシステムから大学につながっていくところ、往々にして、この議論はいつも入学試験の在り方とか選抜の問題のほうに収れんしていくところがあって、実際に学んでいる生徒、学生それぞれの中での一貫した継続性という、学修者本位の観点からどのようにつなげていくのかということをもう一度、考えていく必要があるだろうと思います。分科会が分かれているということもありますし、文部科学省の制度的な分かれ方というのもあると思いますけれども、ここのところで議論していくのであれば、振興基本計画部会でその辺のところにももう少し焦点を合わせる必要があるのかなと思っているところです。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、古沢委員、お願いします。
【古沢委員】  ありがとうございます。私も5点の項目はいずれも非常に重要で、方向性としては深く論議していくテーマばかりだと思います。
 その中で、特に地域の教育の維持というのは、公立高校を中心に切実な問題があると思っていまして、先ほど御指摘もあったところですが、高校無償化の影響を検証することは必要であると思っております。マル4、不登校の大幅増加に代表される多様性の対応というのも非常に重要だと思います。様々な状況に置かれている子供が増える中で学習機会の確保、より柔軟な教育の仕組みが求められると思います。それから、前後しましたが、マル3の高校から大学、大学院等まで一貫した人材育成方策の具体化とありますけれど、この中で、初等中等教育から高校までも含めて、さらに大学までの接続がこのままでよいのかという視点も入れていただければなと思っております。その際、海外の教育の動向というのを踏まえることも大切であると思います。
 5番のウェルビーイングに関係すると思うんですけど、次の諮問で、学校の安全確保についても論議はされると思うんですけど、安全というのは当然、学校教育の大前提になることは言うまでもないのですが、各学校段階で探究学習が推進される中、ますます、安全に配慮される場面が増えてくると思うんですけど、一方で、学校現場の人員体制は必ずしも整っていないケースもあって、ぜひ地域と連携して安全に特色ある活動ができるような様々な支援が必要であると思います。安全確保は最優先なんですけれど、そのため、過度に教育活動が抑制的にならないような配慮も提示することが求められると思います。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、両角委員、お願いいたします。
【両角委員】  ありがとうございます。東京大学の両角です。私も今までの皆様の意見ともほとんど重なっているところもあるのですが、この方向性に賛同しています。特に生成AIの急速な変化にどう対応していくかというのは中心的なところになると思いますし、技術的な進歩だけではなく、実際に経験することの重要性ですとか、生成AIでは分からないとか自分自身が何者なのかということを知る重要性とか、その辺りがより議論されるといいなと思って聞いておりました。
 あと2点、細かいところであるのですけど、5番目のウェルビーイングの重要性の高まりということで、これはそのとおりだと思うのですが、日本社会に根差したウェルビーイングを基本とし、というところだけでいいのかしらというのは気になりました。日本社会に根差したところを考えていくにしても、国際的な環境でのいろんな影響が日本社会にも来ますし、そもそものプラネットというか、地球環境自体がかなり厳しくなっているところで、日本社会に根差したウェルビーイングを考えていく上でも、もう少しグローバルな視点といったものが強調されてもいいのではないかなというようなことも少し感じました。
 最後の点ですけれど、皆さんもおっしゃっていたように、今後の実効性の確保といったところがとても大事で、そのための資源も大事だと思うのですが、それをするために諮問事項の最初に書いてあるところとも関係すると思うのですが、現行計画に限らず、これまでの政策を検証した上で次にいくといったところが弱いのではないかという印象を持っていまして、それをすることで実効性のあるものにしていければいいのではないかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 大変たくさんの貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。時間の関係もございますので、議題1の意見交換につきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。
 続きまして、議題2、第4次学校安全の推進に関する計画の策定について、事務局から御説明をお願いいたします。
【淵上総合教育政策局長】  総合教育政策局長の淵上でございます。2つ目の諮問の件でございますが、お手元にお配りをしております資料は、資料の2-1から2-4まででございます。御審議のため、これらを使いまして補足説明をさせていただきます。
 まず、資料2-4を御覧いただきまして、背景といたしまして、最近発生をしております校外活動中を含めた事故事案等に関連した対応策について御説明をさせていただきます。2-4の3ページ目を御覧いただきますと、校外活動における安全確保ですが、本年3月16日に沖縄県名護市の辺野古沖で発生をいたしました研修旅行中の重大な事故を踏まえまして、4月7日に、活動の安全確保等を徹底するため、通知を発送いたしました。校外活動に当たりましては、事前の準備の段階から事故防止に向け、十分な計画、検討をお願いするとともに、フォローアップを通して、設置者、設置校における管理体制について改めて見直す契機としていただいております。
 4ページ目、部活動を含む移動時の安全確保でございます。本年5月6日に発生いたしましたバス事故を受けまして、国土交通省との間で連絡会議を立ち上げ、部活動を含む学校教育などに関する移動時の安全確保に向けて、6月30日に学校教育等に関する移動の安全確保のための対策を取りまとめました。ガバナンスの徹底など、児童生徒の安全が確保されるよう、対応の徹底をお願いしております。
 7ページ目、防火防災でございますけれども、6月19日、東京都北区の小学校におきまして、複数の児童や教員が負傷する火災が発生をいたしました。このことを受けまして、全国の学校における防火防災について再確認し、児童生徒等の安全確保を徹底するよう求める通知を発送いたしました。火災の防止を含めた安全管理が徹底されるよう、地域の消防署等と連携しながら取組を進めていただいているところでございます。
 8ページ目、クマ被害防止でございますが、資料のとおり、昨年度は全国でクマの出没や被害者、死亡者がいずれも過去最多になっております。今年の春先も引き続きクマ被害が発生をしておりまして、9ページのように、クマ出没時を想定した登下校時における子供たちの安全確保に必要な携帯品に対する経費の補助について再周知をする、児童生徒や保護者向けにも周知をするなど、被害防止に向けた取組をお願いしております。
 次に、以上を踏まえまして、諮問文と諮問理由についてでございます。資料は2-1、2-2でございますけれども、2-2の諮問の概要資料を御覧いただければと存じます。学校保健安全法第3条におきまして、国は学校安全の推進に関する計画を策定するということとされております。第4次の計画の策定に向けた主な論点として、1つ目は現行計画期間中の取組状況の検証、及び近年の災害の激甚化やSNSに起因する犯罪被害、クマ等の鳥獣被害のおそれ、子供や学校をめぐる事件・事故、火災の発生等の社会の状況変化を踏まえた対応についてでございます。
 まず、東日本大震災、能登半島地震、熊本地震及び近年の災害の激甚化などを踏まえました、地域と連携した実践的な防災教育の充実について、検討が必要でございます。また、先ほど御説明したような児童生徒等が被害を受ける事件・事故や、クマなどの鳥獣による被害のおそれも懸念されております。学校内外における事件・事故防止等の安全確保策や自転車等に関する交通安全教育の一層の充実が必要でございます。SNSに起因する犯罪被害や性被害、性暴力への対策など、現代的な課題への対応も必要でございまして、特に性犯罪、性暴力対策については、児童生徒が性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないための生命(いのち)の安全教育の全国の学校での実施が求められます。さらに、学校の働き方改革への対応、校務DXや先端技術の活用などによる効果的な安全教育、安全管理の在り方についても検討が必要だと考えているところでございます。
 2つ目の論点といたしましては、教育活動全体を通じて安全教育の取組の推進と、全国的な質の向上についてでございます。まず、安全教育におきましては、災害安全、生活安全、交通安全の3領域や、現代的課題への対応を含めた安全教育の教育活動全体を通じた効果的な実施が求められ、安全に関する資質能力の評価や取組の改善方策等が課題となっております。また、指導時間の確保や全国的な取組の質向上のための学校安全計画の位置づけや、その内容の在り方に加えて、実践的な教育内容充実のための学校と関係機関の連携強化の方策について検討が必要であり、これらについて、次期学習指導要領等に向けた議論も踏まえた安全教育推進のための具体的方策について検討が必要だと考えております。
 3つ目の論点は、子供や学校をめぐって過去に発生した事件・事故、火災等を踏まえ、安全教育や安全管理を適切に行うための組織体制の整備や、教職員の資質能力の向上についてでございます。過去に発生した痛ましい事件・事故等の教訓を踏まえながら、児童生徒等の安全を着実に守るため、実効性のある危機管理マニュアルの整備、運用などによる校外学習、部活動なども含めた全ての教育活動における学校安全の確保の徹底、学校安全の中核を担う教職員の配置など、学校における組織体制の整備、コミュニティ・スクールの仕組みの活用やセーフティープロモーションスクールの考え方を取り入れた取組の充実など、学校と家庭・地域、警察・消防等の関係機関との連携による持続的な学校安全の確保方策について検討が必要でございます。また、教員養成の在り方等に関する議論も踏まえた教職員の資質・能力の向上方策の充実についても検討が必要でございます。
 以上の3つの論点について総合的に御審議、御議論賜れればと存じております。どうぞよろしくお願いいたします。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等ございましたらよろしくお願い申し上げます。それでは、渡辺委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
【渡辺委員】  渡辺でございます。2点、希望でございます。
 一つは、SNSに起因する犯罪被害への対応では情報リテラシーの向上が重要と思っております。その観点での具体的な議論をお願いしたいと思っております。
 もう一つでございますけども、学校安全計画に関して、新たに災害が発生したり、事故が発生しますとそれに対する対策を示す必要があるということは理解しておりますが、その都度、対応策を加筆していきますと、現場で対応し切れない膨大な計画になってしまうリスクということも当然考える必要があろうかと思います。検討部会では、ぜひこれまでの対応を整理した上で、現場で必要な、もしくは現場で対応可能な計画を立案していただきたいと希望しております。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。続きまして、清原委員、よろしくお願います。
【清原委員】  ありがとうございます。杏林大学客員教授、前東京都三鷹市長の清原です。第4期の学校安全計画の策定に向けまして、1点のみ、意見を申し上げます。
 これから学校安全計画を改定される過程においても、そして、それを踏まえて実行に移す段階においても、国では、文部科学省を中心としつつ、他の府省庁との連携を、そして地方自治体においては、教育委員会と市長部局をはじめ、警察署、消防署、そして、家庭を含む地域住民の皆様との強力な連携が必要であるということを明示して推進をしていただければと思います。
 ここで、「令和8年熊本地震」及び「令和8年千葉豪雨」による犠牲者の皆様に哀悼の意を表し、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。これらの災害の発生は夏休み期間中でありましたが、前例の少ない大きな災害であり、もし学期中の災害であれば、まさにいずれも災害時の適切な対応が困難な事案であったと思います。
 学校安全の確保については、校長をリーダーシップとする学校の自主的、主体的な対応が必要ですが、最近増加している山火事を含めて、自然災害への対応については、市長部局の災害対策本部との密接な情報共有と具体的な対応が求められます。これは日常的な風通しのよい関係がなければ、いざというときに機能しません。また、先ほど渡辺委員も提起されましたが、今後、AIやSNSに関連する安全確保が課題となる中、例えば、現在、こども家庭庁が事務局を務めており、文部科学省をはじめ、警察庁、法務省等と連携している「青少年インターネット環境の整備に関する検討会」などは重要なパートナーになるのではないかと思います。
 学校安全計画においては、このように、国においては今まで以上に各府省庁の連携を、そして自治体においては、市長部局と教育委員会のみならず、関係機関、さらには家庭を含む地域住民との連携協働を前提とした計画策定、そして、具体的な手引きやマニュアルづくりが必要と思います。教員の過剰な負担を防ぎつつも、地域全体が学校安全を推進していくという機運を、さらにさらに発信していくような計画になることを願っています。
 以上です。ありがとうございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】  大阪教育大学の藤田です。私のほうから1点お願いしたいのが、先ほど御説明いただきました概要の資料、2-3の推進方策1の学校安全に関する組織的取組の推進の枠の最後のところ、教員養成における学校安全の学習の充実に関わりまして、第4次学校安全の推進に関わる計画の策定においても、ぜひ教員免許法の中の学校安全等の位置づけについて、引き続き審議、検討いただきたいと思っております。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、都竹委員、お願いいたします。
【都竹委員】  飛騨市長の都竹でございます。防災減災の観点も含めまして、1点申し上げたいと思うんですが、学校安全と言いますと、学校とか地域、行政が児童生徒を守るという構図が基本だと思いますけれども、もちろんそれが最優先であることは変わりないわけでありますが、一方で、とりわけ中学生、高校生になりますと、守られる側だけではなくて、防災減災の1人のプレーヤーとして位置づけていく必要があるということを思っております。
 諮問文のほうにも、安全で安心な社会づくりに参加し、貢献する資質能力を育てることの重要性ということを示していただいているわけであります。当市におきましても、中学生が積極的に防災の活動に参画しておりまして、防災マイプロというような形でやっておりますが、非常に地域の方々も頼りにされている。しかも、それが実は最大の防災教育になっているという現場を日々見ておるわけであります。地域は人口減少、高齢化が進んでおりまして、消防団とか自主防災組織もなかなか担い手、あるいは維持が難しくなっている中で、特に中高生が中心に、防災減災の活動に当たるということは本当に大きな力になるということになると思います。
 したがいまして、発災時の自らの命を守るだけではなくて、ふだんから年少の子供さんへの声かけをしたり、高齢者の避難の補助をしたり、避難所の情報伝達、物資配布なんかを手伝う、そういったことを年齢とか能力に応じて力をつけさせていくということが非常に重要ではないかなと思いまして、防災教育を自分たちの学校、地域をどう守るかという観点に広げて、そういったことを行動できる力を育てる教育ということを広げていく中で、学校安全の新しい姿というのを打ち出していくことが必要なのではないかと。それを4次の計画の中で議論する一つの論点にしていただければということを思う次第でございます。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】  既に触れられておりますけれども、学校安全についても学校だけでなく、自治体や地域コミュニティと一体となった体制をつくるということが重要だと感じます。例えば、教職員向けの安全教育や研修についても学校内部の研修だけで完結させるのではなく、必要に応じて自治体職員、地域住民、防災、防犯関係者などが参加できるものにする。平時から一緒に学び、一緒に訓練することで、実際の危機発生時にも連携しやすくなります。
 また、計画をつくった後に地域へ説明するということではなく、企画段階から自治体、地域コミュニティが参加するということも重要かと思います。学校が持つ情報、市町村が持つ情報、都道府県や国が持つ広域的な情報、そして地域住民だからこそ把握している情報を組み合わせて、地域ごとのリスクを整理する仕組みが必要かと思います。災害等は行政区域でとどまるものではなく、特に地方では生活圏や通学圏が複数自治体にまたがることがあります。市町村間の連携、必要に応じて県境を越えた連携につきましても、今回の計画の中で意識していただければと思います。全国共通の安全基準を高めるということは重要ですが、それと同時に、「全国共通の基準+地域固有のリスクへの対応」という2層構造で、学校安全を考えていくということが実効性につながるのではないかと思っております。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、安孫子委員、お願いいたします。
【安孫子委員】  ありがとうございます。施策の基本的な方向性として、危機管理のマニュアルを見直すサイクルについて触れられていますが、マニュアルを見直した後の運用方法が重要です。混乱する現場で、瞬時に検索ができる仕組みがあってこそ、そのマニュアルは活かされます。企業では、アプリ開発を行い、従業員一人一人が運用できるツールとして渡しますが、使えるマニュアルになるように工夫をお願いしたいと思います。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 議題2につきましても、大変貴重な御意見ありがとうございました。それでは、議題2の意見交換につきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。
 続きまして、議題3に入りたいと思います。地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育館についての審議経過報告につきまして、事務局から御説明いただきます。その後、社会教育の在り方に関する特別部会の部会長であります清原委員よりコメントいただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
【淵上総合教育政策局長】  総合教育政策局長の淵上でございます。議題の地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方の審議経過報告につきまして、まず、私から概要を御説明申し上げ、詳細は後ほど担当官より御説明をさせていただきます。
 本件は、中教審、生涯学習分科会の社会教育の在り方に関する特別部会において精力的に御審議をいただいてきたものでございます。背景といたしましては、少子高齢化や都市部への人口流出、デジタル化の進展などにより、地域コミュニティにおける人と人とのつながりの希薄化が進む一方で、防災、防犯、子育て支援、単身高齢者の孤立、外国人などとの共生など、地域が直面する課題はますます多様化、複雑化しております。
 このような状況を踏まえ、報告では、今後の目指すべき社会教育の在り方として、現在の地域社会や地域住民にとって真に必要なものに見直していくため、地域コミュニティの基盤を醸成し、様々な地域課題を根本的に解決するための手段として、地域の課題解決や未然防止に資する教育活動となることが求められることから、地域課題の解決に資する社会教育となること。それから中段のマル2に外国人の増加、障害者の社会参画の推進の必要性の高まりなどを受けまして、これらの人々を含む全ての住民が地域社会に参画できる共生社会を実現するため、学校に限らない様々な学びの支援を行っていく必要があることから、子供から高齢者まで全世代・全住民を対象とする社会教育となることの2つの方向性が示されているところでございます。
 また、これを実現する方策として、社会教育士の位置づけの見直しや養成課程の改善、公民館をはじめとする社会教育施設、団体の機能強化、学校や地域運営組織、NPO、民間企業等との連携強化、そして国、地方公共団体における支援体制の充実など、多岐にわたる方策が盛り込まれております。
 詳細はこの後、担当課より資料に沿って御説明申し上げます。委員の皆様方におかれました忌憚のない御意見を賜れば幸いでございます。
 私からは以上でございます。
【小幡社会教育振興総括官】  続きまして、社会教育振興総括官の小幡でございます。今、局長からも説明ありましたが、私からは資料の3-2に審議経過報告の本文ございますが、37ページのすごく充実したものでございますけども、時間の関係で、3-1で説明を簡潔にさせていただきます。
 現状と課題については、今、局長からありましたとおりでございます。また、2番目、地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方ということで、今後の目指すべき社会教育の姿ということで、地域課題の解決に資する社会教育、2番目として、子供・若者や現役世代、障害者や外国人等を含めた全世代・全住民を対象とする社会教育であるべきであるということでございます。
 また、求められる役割と期待される効果ということで、1つ目で、子供・若者も含めた地域における人とのつながりを基盤としたウェルビーイングを実現すること、2番として、防災や子供の健全育成等の地域の課題に共助で対応できる地域コミュニティを構築すること。3として、高齢者、障害者、外国人等を含む全ての人たちが尊重され参画する共生社会を実現することとしております。
 また、一番下にありますように基本的な方向性といたしましては、社会教育人材の質的・量的な拡充ということで、社会教育主事でございますとか、令和2年から始まりました社会教育士、こういった社会教育の専門性を有する社会教育人材を拡充していくこと。2番といたしまして、これまで担ってきた社会教育施設、さらには関係団体に加えまして、教育委員以外の様々な施設や団体、さらには子供や若者も含めた多様な主体と連携・協働を進めて拡大していくこと。3として、継続的な学び、連携を支える社会教育、人材ネットワークの構築をしていくと、そういった形でまとめていただいております。
 2ページを御覧ください。3として社会教育の推進に向けた施策でございます。こちらで包括的な施策をまとめていただいております。1として、社会教育人材でございます。(1)社会教育士の在り方ということで、令和2年から始まった制度でございますが、現在1万2,000人ということで、まだまだ不足しているという状況でございます。これは幅広い分野の方になっていただくために、認知や信頼性の向上を図るなど、そういった見直しを進めていく必要があるということ。(2)として、社会教育主事、社会教育委員になりますが、社会教育主事を地域全体の学びのオーガナイザーという形で位置づける、また、防災、福祉の関係部局との連携を進めていくと。また、社会教育主事、特に市町村の配置の低下傾向がございますので、配置の促進、好事例の周知なども図るということ。また、社会教育委員の役割強化、改善を進めていくということとなっております。(3)社会教育主事、社会教育士の養成の改善ということで、幅広い人材に目指していただくような形で、講習、養成課程を見直していくこと、オンラインや夜間・休日開催など受講機会の拡充、受講資格の見直しなど、多様な分野で活躍できる社会教育主事、社会教育士の養成を推進していくこととなっております。(4)といたしましては、社会教育人材ネットワークの構築、実践の共有、情報交換など、社会教育人材ネットワークをはじめとする活躍を支援していくということ。(5)といたしましては、社会教育の裾野を広げるための方策ということで、きっかけとなるような導入的講習の充実、さらには履修機会の確保、優良事例の周知などを進めていくとなっております。
 2番といたしましては、地域における社会教育活動の推進体制の充実でございます。(1)は社会教育施設・団体でございます。公民館、青少年教育施設、図書館、博物館、社会教育関係団体、それぞれ強みを生かしながら連携・協働し、地域課題の解決を進めていくということとなっております。また、(2)では、社会教育と連携してきた施設団体等ということで、学校といたしましては、特にコミュニティ・スクール、地域学校協働活動が一体的に取り組んでいくということですとか、最近、RMOということで地域運営組織というのが注目されていますけども、そういった組織と社会教育との連携を進めること。こうしたように、多様な主体が社会教育の視点を共有しながら、地域課題の解決に取り組む体制を充実していくとなっております。(3)といたしましては、今後、社会教育との連携が期待される施設・団体等ということで、首長部局、地域づくりですとか福祉、防災、共生社会、そういった関連する部局との連携、また、社会福祉法人等の連携といったことがまとめていただいております。
 最後、3番、国、地方公共団体における推進、支援体制の充実といたしまして、最初に国でございますけども、今、申し上げていたようなことについて、国として、しっかりネットワークの整備の支援をするですとか、研修機会の確保、関係省庁や大学等と連携すること、そうした形で社会教育人材の育成、活躍を支援し、社会教育の裾野の拡大を推進していくとなっております。(2)として地方公共団体でございますが、社会教育主事の配置促進、職員の資質向上、またはネットワークの構築、また、さらには首長部局や民間企業、NPOとの連携、こういったことを推進していくという形でまとめていただいております。
 大変駆け足で恐縮ですが、私からは以上でございます。
【清原委員】  ありがとうございます。生涯学習分科会の中に設置して検討してまいりました「社会教育の在り方に関する特別部会」の部会長を務めております清原です。この間、熱心に審議に御参画いただいている委員の皆様、会議の運営を支えてくださっている事務局の皆様に感謝申し上げます。
 私からは、資料3-1、審議経過報告概要版に基づいて、特に本日委員の皆様と共有させていただきたい4点について申し上げます。
 1点目、審議経過報告概要版の2、地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方に示されておりますように、社会教育の意義は、本日諮問されました第5次教育振興基本計画及び第4次学校安全計画の目指す方向性と密接に関連しています。加えて、現在、総合的な地域の活性化、地方創生を目指す地域未来戦略の指針などとも密接に関連しています。例えば、今後の目指すべき社会教育の姿についての「1.地域課題の解決に資する社会教育」でございますが、まさに近年、激甚化する災害の多発や少子長寿化の進展など、社会環境は大きく変化しています。子育て支援や孤独・孤立、防災、外国人等との共生など、地域の課題は多様化、複雑化しており、もはや行政のみでは対応に限界が生じているとも言われています。だからこそ、対話を通じて、「人づくり、つながりづくり、地域づくり」を進め、住民同士の助け合いである共助の基盤をつくる社会教育が必要不可欠になっています。この共助の精神と関係性の構築が多様な人々が参画し、尊重される共生社会の実現へと直結してまいります。
 「2.子供・若者や現役世代の全住民を対象とする社会教育」については、特に2023年4月の『こども基本法』の施行以降、各自治体においては、本日も都竹市長や桑原前町長に御紹介いただきましたように、子供や若者の意見表明の機会の整備や地域活動への参画を積極的に促す動きが広がり、子供・若者の参画を通じて、地域活性化を図る好事例が増加しています。「独立行政法人国立青少年教育振興機構」において進めている自然体験についても、実は子供を対象とした社会教育としてその価値が再評価されています。また、コミュニティ・スクールにおいて、社会教育人材が活躍し、地域課題の解決に取り組む体制が充実してきていることは、「学校教育と社会教育の連携が生み出した地域コミュニティの多世代交流の可視化」と言えます。そこで、「地域コミュニティの基盤を支える社会教育の機能」を十分に生かすためには、次期教育振興基本計画においても、その意義が明確に位置づけられることになると思いますし、今、学習指導要領の改訂の中で重要な理念となっている「多様性の包摂」を具体化するためにも、社会教育の役割が重要性を増していると認識できます。
 2点目に、次の項目にあります、「これからの社会教育に求められる役割と期待される効果」として、3つの項目の1点目の「ウェルビーイングの実現」に関して、その意義の重要性を申し上げたいと思います。日本社会におけるウェルビーイングの実現にとって、社会教育の取組は極めて重要です。現在、人と人とのつながりの希薄化が進むと言われる中にあって、周囲との良好な関係性を基盤とする日本社会のウェルビーイングの実現のために、改めて、個人だけではなく、他者や社会との調和や関係性を重んじる日本ならではのウェルビーイング、そしてグローバルに発信できるウェルビーイングの取組において、社会教育の役割を再確認したいと思います。
 3点目に、「社会教育の効果を発揮するための基本的な方向性」の1点目に、「社会教育人材の量的・質的な拡充」が掲げられています。また、2ページ目の具体的な施策の冒頭に、「社会教育人材を中核とした社会教育の推進」が明示されています。そうなのです。「社会教育の推進の原動力は人材である」ことを審議経過で強く共有してきました。実際に地域課題の解決を牽引する「社会教育士」の増加を認識し、認知度を高めて地位を明確に確保することの必要性を確認しました。社会教育人材の活躍を支える養成研修体制の整備については、「社会教育主事・社会教育士養成等の改善、充実に関するワーキンググループ」における検討等を通じて一定の方向性が示されています。早期に大学に御協力をいただき、自治体との連携の中で、養成課程及び研修課程の整備が図られる必要があります。加えて、社会教育人材の継続的な学びや連携を支える「ネットワークの構築」が重要です。既に県単位でスタートしている取組事例があり、その拡充が期待されます。
 4点目に、「地域における社会教育推進体制の充実及び国、地方公共団体における推進支援体制の充実の方向性」については、特に、「3つの次元での連携・融合」が重要と考えます。第1に、「学校教育と社会教育の連携・融合」です。近年コミュニティ・スクール、学校運営協議会制度の導入が着実に進んでいます。学校運営協議会や、これを通じた地域学校協働活動において、社会教育士の活躍が顕著となっています。学校教育において、多様で豊かな学びの場を提供しています。
 第2に、「国レベルにおける府省庁の連携」の重要性です。地域社会、地域コミュニティの課題に対応するため、既に国においては、文部科学省のみならず、内閣府、総務省、厚生労働省、農林水産省、こども家庭庁など、各府省庁の連携が進められており、今後ますます不可欠と言えます。具体的な事例を御紹介します。令和8年2026年5月28日に発出された「総務省地域力創造グループ地域振興室長、同人材力活性化連携交流室長」と、「文部科学省総合教育政策局地域学習推進課長」の連名による通知、『地域づくりに資する関連施策の一体的推進について』は、非常に大きな意味を持っています。この通知は、持続可能な活力ある地域社会の実現に向けては、地域住民を核としつつ、行政、企業、大学、NPOなど様々な主体がそれぞれの得意分野を生かしながら、相互に連携、協働して取り組むことが重要であることから、2つの省が連携して発出されたものです。特に地域運営組織(RMO)などの取組と社会教育は高い親和性を有しています。この通知により、国として、地域コミュニティ施策と社会教育を一体的に推進していく姿勢が明確に示され、これを受けた自治体からも反応が大きく出ています。
 第3に、「自治体における教育委員会と市長部局の連携」です。若者の地元定着や防災などでの共助体制の強化を図るためには、市長部局と教育委員会、そして関係機関との連携が必要です。社会教育主事や社会教育士が地域全体の「学びのオーガナイザー」として、福祉や防災などの各分野の施策と、NPO等民間公益団体との連携を含めて有効な実践をつくり出していくことが、人材の活躍の場を広げ、社会教育の裾野を大きく拡大していくことになります。あえて言うならば、「一般行政の社会教育化」が有意義になってきています。
 最後に、今後の審議の展望について申し上げます。これまでお話ししました「地域コミュニティの基盤を支える社会教育」の意義が真に実現し、推進されるためには、「確固たる制度的な裏づけ」が必要です。本日の総会での委員の皆様の御意見を力に、私といたしましては、『社会教育法』の適切な改正も視野に入れながら、「地域コミュニティの基盤を支える社会教育の在り方と推進体制」についての適切な答申案の提案に向けて、生涯学習分科会及び「社会教育の在り方に関する特別部会」において、皆様とともに、いましばらく審議を深めてまいりたいと考えています。皆様、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問ございましたら、よろしくお願い申し上げます。それでは、オンラインで御参加の秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】  学習院大学の秋田でございます。
 このたびは大変大部で、かっちりとしたおまとめの中間の御報告をいただきまして、誠にありがとうございます。完全に賛同いたします。
 特にお願いをしたいところとして、1点は、人口減少で過疎になってきますと、地域コミュニティをつくっていくには、乳幼児の子育てネットワークから順につないで、いろいろな世代の人が関わり合っていくということが非常に重要になってございます。ここでは学校のコミュニティ・スクール等が中心と書かれてございますが、先ほど清原委員からもありましたように、文部科学省とこども家庭庁や内閣府も含め、様々な省庁の連携のもので、これが園や学校というような形の視点を入れていただきたいと考えるというところが1点目でございます。また、それは幼稚園だけではなくて、保育所や認定こども園も入るからでございます。
 そして、2点目でございますが、専門家としての社会教育士や、様々な連携が重要であると思いますが、その専門家の研修についてでございます。私はこれからの学校図書館と図書館の在り方についての取りまとめの座長をさせていただきました。その中で分かってきたこととしましては、障害者や、それから外国籍をはじめ、多様な人にコミュニティに参画してもらうためには、そうした専門家人材が共生社会に応じた専門性というものを研修の中で得ることが、単に資格と一般的知識だけではなくて、地域ニーズに応じてこれから必要になってくると思います。この辺りについての、より専門性のある地域に応じた研修体制を各自治体のほうでお考えをいただきたいと考えるところでございます。これからは集い、語り、学ぶ、そうした地域の居場所が様々なコミュニティの中でつくられていく。それが、学校図書館や公立図書館、公民館等もそうですし、博物館もそうですけれども、それが生涯を学んでいく場になると同時に、先ほど清原委員も言われました若者の居場所づくり等ともつながってくるというような視点で、コミュニティづくりをしていくことが重要かと思います。
 以上になります。
【橋本会長】  ありがとうございました。それでは、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  山口県立大学の田中でございます。とても幅広い内容で大変な審議過程を経られたと思います。この中で、社会教育士の養成の改善ということがありますけれども、量、質ともに今から需要が高まるであろう社会教育士がしっかり機能していただくためには、ただ、実践方法や具体的な方法について、「こんなことを学びましょう」、「学び直しましょう」というだけではなくて、社会教育主事や社会教育士さんのやりがい等を支援する必要があると思います。そのために、レジリエンスという観点が非常に重要になってきます。エンパワーメントしていくためにも、社会教育史が有する能力を高めるような研修や振り返りということも検討していかないと、せっかく養成しても地域で機能していただけないということでは、とてももったいないと思いますので、養成課程に関する教育内容検討や改善の内容についても、時間があればしっかり議論いただけたらと考える次第でございます。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございます。続きまして、渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】  渡辺でございます。秋田委員の御意見とちょっと似ているところがございます。社会教育というのは、いわゆる学問だけに限らないと思っております。そういう意味で、各種団体や市長部局との連携は非常に重要だと私も思います。
 その際、国レベルで文部科学省以外の他の省庁との連携がなければ、自治体レベルでは縦割り行政をなかなか改善できないところがあるのではないかと思っております。子供の教育は学校だけで終わることはなく、家庭や社会でも必要だと思いますし、社会教育の対象は成人だけではなくて子供にも及んでいると思います。学校で学ぶだけが学習ではないので、先ほど秋田委員もおっしゃいましたし、それから清原委員は学校安全のところでもおっしゃいましたけども、この分野においても、こども家庭庁の連携をぜひ進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
【橋本会長】  ありがとうございます。それでは、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  ありがとうございます。この方向性、非常に賛同します。特に基本的な方向性の1つ目、一丁目一番地というところで、社会教育の本当に核は人材だと。その人材の育成というところが今回、非常に柱になるんだというところも強く共感をするところです。
 その上で、そのためにというところで、ぜひひとつお願いしたいのは、社会教育人材の育成体系を示してほしいというか、社会教育人材の人材ビジョンというか、全体の体系というところを示していく必要があると思います。養成課程と講習というのは本当に入り口に立つ一つでしかないというところですので、ただ、その上でも3点ありまして、1つ目は、養成課程と講習、ここをまさに抜本的な質と量の改善、向上というところは、その中でも一丁目一番地になるところかなと思います。
 2点目は、体系といったときに養成課程だとか講習を取って、社会教育士になるのは入り口ですので、その後の上位の研修とか発展型の講習だとか、そこら辺が今、全く見えないというところで、ネットワークでやるのは大事なんですけど、ネットワークに加えて、そこら辺の上位のところをしっかりと、どう本当の意味でプロフェッショナルを育成していくのか、この国で社会教育のプロフェッショナルというと語弊があるかもしれないですけど、そういうところをしっかりとデザインしていくというところが2点目です。
 3点目は、そういった講習だとかの学びをコーディネート、ファシリテート、マネジメントする側の質の向上、育成というところにもっと投資をすべきだと思います。今見ていても、講習がただの講義型の組み合わせでやっているところがまだまだ多いと。知識はとても重要ですけど、知識だけであれば、これだけでは社会教育の推進はできませんので、社会教育の講習こそが学びの、これからの時代の学びの本当にモデルになるようなクオリティでのオーガナイズをできるようにしていかないと、遅れている部分がまだまだ社会教育の分野でもありますので、ここは抜本的にさらに質を上げていくというところを、うまく計画だとか今後進めていただけるといいなと思います。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。桑原委員、お願いします。
【桑原委員】  大変すばらしい内容で議論されていると感じました。地域コミュニティの風土や在り方自体を変えるという視点も必要なのではないかと申し上げたいと思います。地域によっては長年の慣習や年功序列的な考え方、特定の方への依存などが残っており、それ自体が新しい人の参加を難しくしている場合もあります。これまで企業や行政では、男女共同参画やダイバーシティーの推進を通じて、多様な人が参画できる組織づくりを進めてきました。地域コミュニティにおいても同様に、年齢、性別、職業、居住歴などに関わらず、新しい人が入り、意見を言い、意思決定にも参画できる環境をつくることが大切だと思います。
 そのため、これからの社会教育人材には地域の中の様々な人や活動をつなぐコーディネーターとしての能力も求められるのではないかと思います。地域には見守り、防災、祭り、文化活動、スポーツ、清掃活動など、長年住民の善意や責任感によって支えられてきた活動があります。こうした活動は必ずしも社会教育という名前ではありませんけれども、実際は地域の学びやつながりを支える大切な社会的資産と思います。
 担い手不足の対応として有償化するということも必要と思います。この辺につきましては、総務省の集落支援員の制度がもう少しうまく使えないかと思いますし、一方で、全てを金銭的な報酬へと置き換えるということで、これまでのボランタリーな文化や相互扶助の精神が損なわれないかという点については、慎重な検討が必要のように思います。この両者をどう組み合わせるかが今後の社会教育政策では非常に重要になると考えております。
 以上です。
【橋本会長】  ありがとうございました。
 議題3につきましても、たくさん意見をいただきまして、ありがとうございます。時間の関係もございますので、議題3の意見交換はここまでとしたいと思います。
 以上で、3つの議題全てにおいて、大変たくさん意見ありがとうございました。
 これで本日の会議を終了させていただきたいと思います。長時間、皆様ありがとうございました。
 
── 了 ──

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