中央教育審議会(第135回) 議事録

1.日時

令和5年3月15日(水曜日)13時00分~14時30分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議

3.議題

  1. 会長の選任等について
  2. 中央教育審議会運営規則等の制定について
  3. 第11期中央教育審議会の審議状況及び第12期の審議事項について

4.出席者

委員

荒瀬委員、秋田委員、安孫子委員、石崎委員、内田委員、大字委員、金田委員、清原委員、後藤委員、清水委員、戸ヶ﨑委員、永田委員、奈須委員、萩原委員、橋本委員、浜委員、日比谷委員、平井委員、堀田委員、吉岡委員、吉田委員、渡辺委員

文部科学省

簗文部科学副大臣、伊藤文部科学大臣政務官、柳事務次官、望月大臣官房長、里見大臣官房審議官(総合教育政策局担当)、水田文部科学戦略官、伊藤文部科学戦略官、森友総合教育政策局政策課長 他

5.議事録

・新しい会長について、荒瀬克己委員がふさわしい旨発言があり、了承された。
・副会長については、荒瀬会長から永田委員、橋本委員の指名があった。

※事務局から説明の後、資料2-2から2-4のとおり、中央教育審議会運営規則及び中央教育審議会の公開に関する規則が了承されるとともに、中央教育審議会の会議の運営について申合せがなされた。

【荒瀬会長】  それでは、第12期中央教育審議会の発足に当たり、簗副大臣から御挨拶をお願いいたします。
【簗副大臣】  文部科学副大臣の簗和生でございます。第12期の中央教育審議会、最初の総会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 まずは、新たに会長に選任をされました荒瀬会長をはじめ、委員の皆様方に対しまして、大変御多用のところ、委員をお引受けいただきましたことに、心から御礼を申し上げる次第でございます。これからの約2年間、どうぞ活発な御議論をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 中央教育審議会は、教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした、豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に関する重要事項等を御審議いただく審議会であり、これまでも我が国の教育について、社会の変化に応じた様々な御提言をいただいてまいりました。
 前期第11期の期間中には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、国際情勢の不安定化といった事態が生じました。また、少子化、人口減少、地球規模の課題、格差の固定化といった様々な社会課題が存在しております。
 こうした中で、将来にわたって持続可能な社会をつくっていく上で、教育の果たす役割がますます重要になっていると考えております。
 このような認識を前提として、前期の中教審においては、教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申や、次期教育振興基本計画についての答申をお取りまとめいただくなど、これからの教育政策の方向性を定める重要な御審議をいただいたものと考えております。
 今期第12期の中教審においては、これまでお示しいただいた方向性やビジョンを実現に移していく局面にあると考えております。
 個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実に向けた学校教育やそのための環境整備の在り方、少子化の進行等への高等教育の対応方策、人生100年時代における生涯学習、社会教育の振興方策といった、初等中等教育、高等教育、生涯学習、社会教育の教育政策の重要課題について、積極的な御議論を賜りたいと考えております。
 これから約2年間、実り多き御審議をいただくことを心から御期待申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。それでは続きまして、伊藤大臣政務官から御挨拶をお願いいたします。
【伊藤政務官】  政務官の伊藤孝江です。委員の皆様におかれましては、第12期中央教育審議会委員をお引き受けくださり、誠にありがとうございます。
 新たに御就任をくださった10名の委員の皆様、そしてまた引き続きお請けいただいた先生方におかれましても、これから本当に大変にお世話になりますが、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、これからの未来を担う子供・若者や現場の先生方のために、充実した御議論をいただくことを御期待申し上げます。
 私も委員の皆様方の意見をしっかりと受け止めさせていただきながら、教育の政策づくりに全力で取組を進めてまいります。これから2年間どうかよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。それでは少し時間を頂戴いたしまして、私からも御挨拶を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 改めまして、会長に選任いただきました荒瀬克己でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、渡邉光一郎前会長にはおよそ及ぶべくもなく、大変微力でございますが、第12期中央教育審議会をしっかりと前に進めていくべく努力をさせていただきたいと思っております。本当によろしくお願いいたします。
 副会長には永田委員、そして橋本委員に御就任いただきました。お二人のお力添えを心から期待しております。よろしくお願いいたします。
 先ほども御挨拶の中でございましたが、第11期の2年間には、コロナ禍に加え、国際情勢の不安定化、また我が国を含め大きな自然災害が続きました。
 この間、中央教育審議会では、本日の資料にもありますとおり、生涯学習分科会、初等中等教育分科会、そして大学分科会において、また総会の下に設置された特別部会並びに各分科会に設置された部会等において、真摯な審議が重ねられてまいりました。
 昨年12月19日の教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申や、先週3月8日の、今後5年間の教育政策の方向性を示す次期教育振興基本計画についての答申は、11期中教審の大きな成果として、記憶に新しいところでございます。
 それらの審議に加わり、私も、教育の担う役割の重要性と期待について、改めて認識をした次第でございます。
 例えば、次期教育振興基本計画についての答申におきましては、コンセプトの柱の1つとして、日本社会に根差したウェルビーイングの向上があります。
 個人の幸福とともに社会の幸福、子供一人一人の幸福とともに教職員の幸福、それらが社会全体の幸福につながっていく。今、社会は予測困難な時代にありますが、誰一人取り残されることなく、全ての人がそうした時代を生き抜くために必要な力を身につけ、それぞれが幸福に、豊かに生きていく。その基本を教育が支えていて、今後も支え続けるのだということを強く感じております。
 前期を引き継いで、今期におきましては、先ほど簗副大臣のお話の中にもございましたが、答申の実現が問われることになります。
 令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方は、まさに実効性のある取組の実施が求められております。
 10年、20年先の未来を見据え、同時に現在の教育現場の声にしっかり耳を傾け、当事者に寄り添い、丁寧に考える姿勢を大切にし続けてまいりたいと思っております。
 先週開催されました第11期中央教育審議会最後の総会におきまして、初等中等教育分科会の石崎委員の「教育へのリスペクト」というご発言を御紹介いたしました。
 幸せに、豊かに生きるための力を、多様な人々が学び合って、養っていく機会としての教育、学校関係者を含め、社会全体が、人が育つための教育に対し敬意を払うとともに、一層豊かなものになるよう、必要な手だてを講じることがとても大事であるということだろうと思って、お聞きしました。
 様々な課題のある中でございますが、教育政策を通して、教育へのリスペクトが確かなものになるよう、委員の皆様、そして文部科学省の皆様と御一緒に誠実に審議してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それではここで、副大臣は公務のため退出されます。簗副大臣、どうもありがとうございました。
【荒瀬会長】  では恐縮でございますが、プレスの方もここで御退室いただきますようお願いいたします。
【荒瀬会長】  本日は、第12期としての最初の総会でありますので、前期である第11期の中央教育審議会の審議状況及び第12期の審議事項について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【里見審議官】  それでは私から御説明を申し上げます。資料の3を御覧ください。
 まず、(1)最近の主な答申でございます。この答申と申しますのは、文部科学大臣の諮問をさせていただきまして、それを受けて、審議会として答申という形でまとめていただくというものでございまして、基本的に大局的な御見地から大きな方向性をいただくというものでございます。
 そのため、第11期に限らず、これまでの流れを御理解いただくために、9期から含めて御紹介をさせていただきます。
 まず、一番初めの項目でございます。こちら高等教育関係でございます。
 平成30年11月、第9期でございますが、この中教審におきまして、2040年に向けた高等教育のグランドデザインについての答申をいただいております。
 この2040年といいますのは、SDGsなどで国連で目標とされている年であるわけですが、非常に大局的な、長期を見据えた御提言をいただいているところでございます。
 その中で教育の質の保証、あるいは高等教育全体の規模などについても御提言をいただきまして、現在の高等教育政策の基本とさせていただいているものでございます。
 この答申を踏まえまして、既に国立大学の一法人複数大学制、あるいは大学と連携法人制度、こういったような制度の導入も進んでいるところでございます。
 2つ目でございます。これは初等中等教育関係でございます。
 平成31年1月、第9期になりますけれども、学校の働き方改革に関する答申をいただいております。
 また3つ目、これも初等中等教育関係でございますが、昨年あるいは4年12月、第11期に、教師の養成・採用・研修等の在り方につきましても答申をいただいております。
 教師の人材確保、そして資質能力の向上、働き方改革、免許・採用・研修等の在り方など、教師にまつわりまして幅広く御提言をいただいたと認識しております。
 これらを受けまして、例えば教員の勤務時間管理、学校・教師が担うべき業務とそれ以外の明確化、あるいは教員免許更新制の見直しと教育研修の充実、こういったようなものが順次進んできているところでございます。
 続いて2ページを御覧いただきますと、こちらも初等中等教育関係でございます。こちらが、先ほど会長からも御紹介ありました令和の日本型教育に関わる答申でございます。令和3年1月、第10期の中教審でお取りまとめをいただきました。
 初等中等教育の在り方全体につきまして総合的に御検討いただき、それを新たな令和の日本型学校教育という形で打ち出していただきまして、個別最適な学び、協働的な学び、これを一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びというキーワードをいただきながら、実現を進めていく方向性を打ち出していただいたものでございます。
 そして、2ページの下のほうでございますが、第11期でございます。先ほどこちらも会長から御紹介ございました教育振興基本計画につきましてお取りまとめをいただきました。
 持続可能な社会の創り手の育成、そして日本社会に根差したウェルビーイングの向上、この2つが基本コンセプトでございまして、5つの基本的な方針、16の教育政策の目標、基本施策、指標を御提言いただいております。
 今後の5年間の羅針盤ということで、前会長からも位置づけていただいておりますが、現在政府として、閣議決定に向けまして、さらに検討を進めているところでございます。
 3ページ上段を御覧ください。3ページでございますが、学校安全の推進に関する計画、令和4年度からの5年間を計画とする第3次の計画の策定につきまして御答申をいただきました。
 以上が主な答申でございます。
 続きまして、(2)からが第11期における報告等となってございます。
 この報告につきましては、特に諮問などはございませんけれども、先ほども申し上げました答申、あるいは社会状況の変化などを踏まえまして、少し論点を絞って御検討、整理をしていただきまして、取りまとめをいただいた内容となっているものでございます。
 この内容につきましては、3ページからも簡単には御紹介しておりますが、少し分かりやすくまとめました7ページ以降を御覧いただければと存じます。
 まず、生涯学習分科会でございます。こちらでは、「全ての人のウェルビーイングを実現する、共に学び、支え合う生涯学習・社会教育に向けて」を副題とした御提言をいただいたところでございます。
 この中で、これまで果たしてきた基本的な役割に加えまして、ウェルビーイングの実現、地域コミュニティの基盤としての役割、デジタル社会への対応含む社会的包摂の実現を図る役割、これを生涯学習・社会教育が果たし得る役割として、お示しをいただいております。
 なお、資料に記載しておりますような5つの方向性以外の中でも、特にその公民館等の社会教育施設の機能強化、そしてデジタル社会への対応、2つ目の社会教育主事、社会教育士の社会教育人材の養成と活躍機会の拡充、ここを中心に、令和5年度以降の工程表を含む今後の道行きについても御審議をいただいたところでございます。
 引き続きまして、ページ飛びますが、9ページを御覧ください。初等中等教育分科会でございます。
 こちらは先ほどの、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会をはじめといたしまして、各部会で御審議をいただいたところでございます。
 この特別部会におきましては、令和の日本型学校教育答申を踏まえまして、具体的には、1人1台端末等を活用した児童・生徒への学習指導、生徒指導等の在り方、教科書・教材関連ソフトウエアの在り方、そして学校内外の環境整備の在り方を主な検討課題といたしまして、3つのワーキンググループで議論を進めていただいております。
 このうち教科書・教材・ソフトウエアの在り方につきましては、本年2月に御審議経過報告をいただきました。また、義務教育の在り方、高等学校教育の在り方につきましても、それぞれワーキンググループで論点整理をまとめていただいたところでございます。
 10ページ御覧ください。教育課程部会でございます。
 こちらは、現行の学習指導要領のフォローアップを行うことを主眼に、GIGAスクール構想のもとでの取組やSTEAM教育等の教科等、横断的な学習などをテーマに御議論いただき、本年2月に意見を御整理いただいております。
 また、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会におきましては、幼児期及び幼保小接続期の教育につきまして報告をいただいております。
 続きまして11ページでございます。大学分科会でございます。
 こちらでは、これからの時代の地域における大学の在り方につきまして、地域の中核となる大学の実現のために求められる具体的な取組をお取りまとめいただいております。
 また、質保証システムの全体的な見直しのための改善、充実の方向性もいただいております。
 さらに、大学振興部会で議論した文理横断・文理融合教育の推進、出口における質保証、学生保護の仕組みの整備など、学習者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策をお取りまとめいただいております。
 こういった御審議を踏まえまして、大学設置基準の抜本的な改正などが進んでいるところでございます。
 12ページでございます。大学院部会でございますが、こちらでは、人文科学・社会科学系における大学院教育の改革の方向性におきまして、中間取りまとめを行っていただいております。
 また、法科大学院等特別委員会で、新たな一貫教育制度の着実な実施につきまして、議論を取りまとめていただいております。
 そして、その結果といたしまして、15ページを御覧いただきたいと存じます。
 以上第11期までの審議を踏まえまして、今期、第12期におきまして審議をいただきたいと考えている事項でございます。
 まず、生涯学習分科会でございますけれども、先ほどの振興方策の具体化を踏まえまして、社会教育人材の活躍推進促進に向けた方策、リカレント教育の推進、地域と学校の連携・協働の推進、国際的な動向への対応を中心に、御審議をいただきたいと考えております。
 次に、初等中等教育分科会でございますが、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実に向けた学校教育や、そのための環境整備の在り方につきまして、特別部会の下に設けられました、義務教育及び高等学校教育の在り方ワーキンググループで取りまとめられた論点整理に基づき、検討を行っていただきたいと考えております。
 そして、教師の養成・採用・研修等の在り方に関する答申を踏まえた実効性ある取組などについて検討を行っていただきたいと考えているところでございます。
 最後に、大学分科会でございますが、急速な少子化の進行等への高等教育の対応方策、大学院制度と教育の在り方、法科大学院等の教育の改善・充実などに御審議いただきたいと考えておりますが、特に1点目の急速な少子化への対応につきましては、先延ばしにすることのできない喫緊の課題であり、地域における質の高い高等教育へのアクセス機会の確保の在り方などについて、一定の方向性を打ち出していただくべく、御審議をお願いしたいと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。第11期中教審の状況及び第12期中教審で議論すべき事項につきまして、御説明いただきました。
 それではこの後は、ただいま御説明がありました事項を踏まえて御意見をいただく場とさせていただきたいと思います。
 私のほうから御指名させていただきますので、オンラインの先生方からまずお話をしていただき、その後、会場の先生方、最後に副会長のお二人からお話しいただければと思っております。
 なお、新しく委員になられた方からの御意見をなるべくお聞かせいただきたいということもございまして、継続の先生方におかれましては、大変恐縮ですが、簡潔にコメントをいただけますと幸いでございます。
 それではまず、オンラインで御参加の委員から御指名させていただきます。まず、秋田委員お願いいたします。
【秋田委員】  秋田でございます。このたび新たに委員を拝命いたしました、学習院大学の秋田喜代美でございます。オンラインで失礼を申し上げます。
 学校教育や幼児教育、教員研修や読書等を専門とする研究者でございます。これまで初等教育分科会では、教育課程並びに教員養成部会等で仕事をさせていただいてまいりました。
 第12期はまさに、ウィズコロナからポストコロナのこれからの教育の在り方の具体的施策や展望を示していく、極めて重要な、これからの公教育の分岐点になる時期ではないかと考えております。
 そして、私自身は、個人的には、学校教育を支える専門家としての教師の在り方を国の教育の柱である最重要課題の1つだと考えております。
 先ほどからお話がございました、令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修の在り方の答申が、単なる紙の答申で終わることなく、100万人の教師たちや、それからこれから教師になる人たちが、日本の教育への希望と信頼を持って、そして安心しウェルビーイングを保証していける施策というものを具体的にどのようにしていくことができるのかということの検討を、大学の教職課程等々の連携の下に考えていくことが今期において極めて重要であろうと考えております。
 まさに、子供も教師も、そしてそれを支えてくださる保護者や地域の方も、共に主体的・対話的で関わって深く学んでいける、そういう教育の在り方を考えていくことが重要だと私は考えております。
 また、この審議会への要望として、1点ございます。
 教育と福祉の連携ということを、ぜひ省庁を超えて、議論する場や機会を持っていただきたいと考えております。
 本年4月よりこども家庭庁ができ、こども家庭審議会が立ち上がりますが、不登校やいじめ、また子供の居場所や学童クラブ等の問題などは、省庁が連携していくことが子供の幸せのために重要であろうと考えております。
 そして、子供の意見表明権や、声を大事にして、ウェルビーイングを実現する教育と福祉を考えていかねばならない時期に来ているのではないかと思います。
 子供中心、まさに荒瀬会長が言われる、子供が学びの主人公となるような、そうした園や学校の在り方を、ぜひこの審議会の中で議論させていただければと思っております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。秋田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、奈須委員お願いいたします。
【奈須委員】  上智大学の奈須でございます。専門は教育心理学と、それを基礎とした授業づくり、カリキュラム開発になります。
 初等中等教育分科会で教育課程部会を中心にお世話になるかと思います。
 その教育課程をめぐっては、現行の学習指導要領がかなり大きな改革を実施しました。社会に開かれた教育課程という理念のもと、内容中心から資質・能力を基盤としたものへと、学力論の拡張ということがあったかと思います。
 また、深い学び、これ文部科学省での英訳はオーセンティック・ラーニングです。それによってOECDがいう精緻化された知識、知識相互が意味的に豊かで緊密な関連を持ち、未知の問題場面にも自在に転移可能な知識へと、その質を上げていこうという動きがあるかと思います。
 こういった動きは世界的な潮流ですけれども、難しいというよりは従来の常識に反することが多いので、理解が難しい面が多いかと思います。
 しかし今回も日本の学校や先生方は実に優秀で、前向きに取り組んでくださって、少しずつですけれども、理解も深まっているし実践も進んできているように思います。
 また、続いた令和答申では今度は多様性と包摂性という、これも世界的な潮流ですが、その中で個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実という考え方が打ち出されました。
 こちらは教育方法ですけれども、これは我が国にも実は膨大な実践資産が既にあります。それらを今日的な文脈の中にしっかり位置づけていくということが大事かと思いますし、GIGAスクール構想によって整備されたICT環境を、これがとても強力ですけれども、それをここにどう生かしていくかということが大きな課題になってくるかなと存じます。
 今後に残された教育課程の課題としてはいろいろありますけど、カリキュラム・オーバーロード、教育内容の過積載ということがあるかと思います。これも世界的な難題になっています。
 この教科は、こういうものなのだとか、昔からそうやってきたのだといったようなことに安住することなく、子供の現在と未来にとって、それぞれがどんな意味があるのかということをしっかりと吟味し直していく、なかなか厳しい作業にはなると思いますが、ここに踏み込んでいくということが今期大きな課題になってくるかなと思います。
 またこれは教師の働き方改革、ワークオーバーロードの解消という観点からも、このカリキュラム・オーバーロードの解消というのは、喫緊な課題になってくるかなと思います。
 これらについて、いい形での議論ができればありがたいなと思いますし、私も微力ながらそこに参画させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。奈須委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 では続きまして、内田委員お願いいたします。
【内田委員】  皆様、改めましてこんにちは。京都大学の内田と申します。どうぞよろしくお願いします。
 前期、1つ前の中央教育審議会から、こちら参画させていただいております。前回も生涯学習分科会、それから教育振興基本計画部会でもお世話になってまいりました。
 私の専門は社会心理学、文化心理学で、特にウェルビーイングというものと、日本社会であるとか文化の比較ということを通して、どのように測定をしたり、あるいはウェルビーイングという概念について、どのように教育現場で生かしていくのかということについて考えてまいりました。
 引き続き拝命いただきましたこちらの中央教育審議会におきましても、教育の場づくりということを中心に考えていければと思っております。
 具体的に言うと、教育の受け手というのが中心になりながら、地域の人々やあるいは教育者であるとか、様々な人たちを巻き込んで、教育という現場自体が活力を持って、ウェルビーイングを進めていくことを通じて、日本社会全体が豊かなものになっていく、そういう構造をつくることが大切なのではないかと思っております。
 こうしたことに関して、特にエビデンスをしっかり解析していくことや、あるいはその概念的な整理をしていくという観点からも、この委員の中で、いろいろな発言などもさせていただければ、またいろいろ学ばせていただければと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。内田委員、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、金田委員お願いいたします。
【金田委員】  日本PTA全国協議会で本年度より会長を務めさせていただいております金田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日はオンラインで失礼いたします。
 日本PTAということで、御存じのとおり、保護者と、そして先生の団体と、集まった団体であるということで、約800万人の会員規模であります日本最大の社会教育団体ということで、日本PTAとしては、この学校教育、家庭教育、そして社会教育にまたがっている唯一無二の団体であるという自負の中から、幅広い意見をきちんと集約をしながら、その中でも特に保護者目線というところに関して非常に重要視をさせていただきながら、今年度、皆様の中で一緒に御意見を、お話をさせていただきたいなと思っております。
 PTAの中で今、ネガティブな意見や報道もありはしますが、実際には多くのところで、皆様が、保護者の中で、一人一人が役割を担いながら、実際今行っているというところでありますので、変わるべきところは変わりながら、きちんと今後のPTAの役割というところをしっかり果たしていきたいと思っています。
 そして今後の令和の日本型学校教育の中でも、親の学びということはどうしても一番重要なところかなと思います。今回のいろいろな審議事項の中でも、親がきちんと学ばなければ結局、子供たちにそれが還元されていかないというところで、この親の学び、家庭教育の重要性というところがPTAでは非常に重要だと思っておりますので、PTAはその役割に非常に、そこは特化しているというところでありますので、そこは今後もやっていきたい。
 そして今、先ほど言ったように、800万人という規模の会員さんがおりますので、そこの意見を集約をした上で、きちんと提言ができるようにしていきたいと思っております。
 また、今回の審議事項の予定の中で、教員の養成や採用という部分というところに関しては、保護者としても非常に心配もしていますし、非常に気にしているところだというところもありますので、こちらPTAとして、そして保護者として何ができるかというようなところもきちんと皆さん方と討議しながらやっていきたいと思っております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございます。金田委員、よろしくお願いいたします。
 続きまして、清水委員お願いいたします。
【清水委員】  ありがとうございます。引き続きこちらの委員として意見を言わせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は学校法人武蔵野東学園で、日々子供たちと相対している人間でございます。
 本学園は現在、幼稚園が2園、小学校、中学校、そして高等専修学校、これは学校教育法124条の学校でありますが、さらにアメリカ・ボストンにあるボストン東スクールから成る学園で、日本だけでは現在、約1,600人の3歳から18歳までの園児・児童・生徒が学んでおります。
 園児・児童・生徒のうちの1,600人弱のうち、約3割が発達障害、主に自閉症スペクトラムの子供たちが一緒に学んでいるわけですけども、学園開園して58年、一貫して障害のある子とない子、共に学ぶインクルーシブ教育を58年間展開してまいりました。3歳の生活自立から18歳の社会自立まで一貫した教育を行っております。
 これから目指している共生社会の実現に向けて、本学園の取組がお役に立てばと思っていますし、また共生社会が実現することを切に願っております。
 また、私は現在、全国高等専修学校協会の会長を務めさせていただいております。高等専修学校、なかなか一般の方にまだ認知をいただけてないというところで、日々、認知度の向上と、また1条校ではないということで振興に努めております。どうぞよろしくお願いします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。清水委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 では、浜委員お願いいたします。
【浜委員】  東京都教育委員会教育長、全国都道府県教育委員会連合会会長の浜佳葉子でございます。前期に引き続き委員を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 当教育委員会は、約100万人の子供たちとその学びを支える約6万人の教職員を擁しております。非常に大きな組織となっておりますが、直面する課題は全国の皆さん、ほかの教育委員会の皆さんと同様でございます。引き続き皆様方の御協力をいただきながら取り組んでまいりたいと思っております。
 教育振興基本計画に関しましては、先ほど御説明がありましたように第11期で答申がなされたわけでございますが、都の教育委員会でも都の教育振興基本計画であります東京都教育ビジョン第4次に基づきまして、着実に施策を進めているところでございます。
 教員の採用、働き方改革につきましては、東京都におきましても、今年の4月採用分の候補者選考で、全体で2.1倍、分野によってはさらに低い区分もございまして、大変厳しい状況でございます。
 教職の魅力のPRや外部人材の活用、働き方改革の取組など、考えられることできることは何でもやっていこうと力を入れているところではございますが、さらなる取組も必要と考えております。
 ぜひ皆様と、都道府県教育委員会の代表という立場で、意見交換、議論を交わしながら、今後できるだけ多くの方に教職という創造的で魅力あふれる仕事を、志していただいて、誇りを持って働いていただくことができるように工夫をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。浜委員、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 では日比谷委員、お願いいたします。
【日比谷委員】  ありがとうございます。日比谷潤子でございます。
 私は国際基督教大学の学長をしておりました2015年の2月に、中央教育審議会の委員になりました。数えてみますとこれから9年目に入るということで、新しい方にできるだけお時間差し上げないといけないので、もう1分で終えることにいたします。
 この間、先ほど御説明ございましたけれども、大学分科会に所属し、グランドデザイン答申をまず出しました。
 その後、これは御説明の中にはございませんでしたけれども、そこで積み残しになっていたことというので、教学マネジメント指針をつくる特別委員会の座長をいたしまして、それがちょうどコロナになる直前にまとまったという状況でございましたが、大変に委員各位の御協力により活発な議論ができまして、なかなかよいものができたと今でも私は自負をしております。
 コロナになりまして、発足が遅れてしまいましたけど、その後、質保証のシステム部会、そこで設置基準改正等の方向性もつけまして、今、新しい形でこれから動こうとしているところでございます。
 今期が終わりますとちょうど丸10年ということになりますので、大学分科会の一つの集大成として、このコロナ後の時代の新しい高等教育の在り方、また、3年前に学長任期満了と同時に退任をいたしまして、現在は学校法人聖心女子学院の常務理事をしておりますが、小中高インターナショナルスクールを経営する法人でございまして、初等中等教育にも最近は関わっておりますので、その面ではぜひ、その部会の先生方からいろいろ教えていただければと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。日比谷委員、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 では平井委員、お願いいたします。
【平井委員】 全日本中学校長会で会長を務めております平井邦明でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 3年間のコロナ禍の中で、GIGAスクール構想の推進による1人1台端末の導入など、中学校現場は大きく変化をしました。今後も、これを武器に、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を学校現場でも図っていかなくてはいけないと考えているところです。
 第12期における審議事項予定の中にもありますが、教師の養成・採用・研修の一体的改善に向けた取組については、学校現場におきましても、まさに令和5年度から新たな研修制度がスタートするところです。
 研修というと、どうしても教師は受け身になるということが起きがちですが、主体的に教師が学び、一人一人が自らの専門性を向上していくことができるという点で、新たな研修制度には期待をしているところですし、このように答申が出されたことを受けて、学校としてもしっかりと進めていかなければいけないと考えています。
 教師の学びを変えていくということが、直接、子供たちの学びにつながってくると考えておりますので、何よりそこを大切に進め、実効性ある取組とするために、いろいろと考えていきたいと思っています。
 また、全日本中学校長会は全国約9,000の公立中学校の校長の集まりです。先ほど荒瀬会長の御挨拶にもありましたが、ぜひ学校の実態、全国の学校の実態を踏まえた形で様々に御議論いただき、学校のプラスになる提言を出していくという会議にしていただければと思っております。
 どうぞよろしくお願いします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。平井委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 では村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  ありがとうございます。私も前期から引き継いで委員を引き受けさせていただきました。
 特に、大学分科会の中で大学院部会での議論がありました、大学院の役割のところで少しいろいろなことを一緒に考えさせていただけたかなと思ってございます。
 恐らく、今の日本の状況を考えましたときに、例えばウェルビーイングの話もそうですが、イノベーションを起こす力が日本の学生には少し、他大学、他の国の比べて足らないのかなという印象をどうしても持たざるを得ません。
 それでは、恐らく、これは小学校、中学校、高校、大学一貫して、飛び抜けた人材、飛び抜けたというよりも、人と違ったことをやるのが当たり前なのだという同質性圧力をどう変えていくかということが極めて重要なのかなと思います。
 そういう意味では、ますます大学等、それから小中高との間の連携が、これまで以上に重要になってくるのではないかと考えます。
 特に、理系人材の育成を今文部科学省がなされようとされておりますが、それには高校での理系の学生を増やすことも重要だと思いますので、ぜひこの中央教育審議会では、初等中等教育と大学教育のかけ橋ができれば、より日本の教育にとって豊かなものになるのかな、そんなことを考えて、今後とも皆様と一緒にできればと思ってございます。
 よろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。村田委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、渡辺委員お願いいたします。
【渡辺委員】  日本学校保健会並びに日本医師会からまいりました渡辺でございます。このたびは中央教育審議会委員として、前期に引き続き審議に参加させていただけることになり光栄に存じております。文部科学大臣をはじめ関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 私は、基本的には小児科の開業医でありまして、また長年学校医も務め、さらに20年近く、医師会において学校保健に携わってまいりました。従いまして、引き続き立場としては、医療者としての視点での意見を申し上げてまいりたいと考えております。
 前期中教審では、健康教育の重要性、特に、健康リテラシーの向上、教職員の健康管理体制の充実と、休職率や精神疾患罹患率の改善、GIGAスクール構想によるデジタルデバイスの導入などによる心身への影響、特別支援教育の充実、さらに現在の学校における健康診断の意義と、今後の在り方などに関して提言させていただきました。
 今後、こども家庭庁に、厚労省と文科省の業務の一部が移管しますが、幼稚園はそのまま文科省に残ります。また小児保健全般は厚労省、学校保健は文部科学省に分かれたままであります。
 3者の連携を十分にしていただくように要望するとともに、医師会としても3者をつなぎ、幼児保健、学校保健が一体化した形で、健康管理できるように努力したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。渡辺委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、会場で御参加いただいている委員の皆様から御挨拶をいただきたいと思います。安孫子委員からお願いいたします。
【安孫子委員】  ありがとうございます。「お値段以上のニトリ」からまいりました安孫子でございます。本当に皆様に愛されまして、ニトリ、今年1,000店・1兆円という規模になろうとしているところでございます。
 このVUCAの時代に、本当に想像以上に厳しいビジネス近況の中で、多分どの企業も、これまでどおりの会社と社員のエンゲージメントを結ぶのが大変難しく、人的資源の活用法について苦慮している最中と思います。
 リソースが潤沢にあった時代から、限られたリソースを競い獲得する時代になり、我が社も社内の学び直しを強化しているところです。
 今、ニトリでは、年間162回の研修、そして延べ1万1,000人の受講者が学ぶマスの教育と、50に及ぶ部署のそれぞれの専門分野の教育、この2つが相まって人材強化を行っています。
 そのかいあって、私どもニトリの労働生産性は2,271万円と、日本企業の平均の約2.7倍というところになっています。
 先週リリースしました新しいデジタル教育は、今最もホットな教育テーマであり、文系理系関係なく、全ての店長までの社員100%がデータを使い、問題発見をし、問題解決をしていく訓練をするものです。
 私自身も高校時代、サイン・コサインで離脱しまして、数学から随分遠ざかっていたものですが、改めて仕事の中で統計学がこんなに活用できるのかということを学んだり、自分の知識の中でエクセルの関数がまだまだ不足しているということを学んで、本当にわくわくしたところです。
 学校教育がその先の仕事につながり、さらに世の中に貢献する喜びにつながる、そんなパスになれば本当にすばらしいことだと思っています。
 これまでの2年間、教育未来創造会議や、または教育振興計画部会を通して、企業教育は日本の教育の縮図だなと感じております。
 企業の立場で、この日本の教育の中枢で、ぜひ労働生産性を上げられる、そんなお役に立てられれば大変に光栄と思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。安孫子委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、石崎委員お願いいたします。
【石崎委員】  全国高等学校長協会の石崎でございます。東京都立桜修館中等教育学校の校長をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 昨日、少し前に退職した元校長先生とお話しする機会がありました。振り返ってみると、私たちが教員になった時は、ちょうどバブル経済が始まった頃でした。民間企業に就職した同級生たちは教員の給与の二、三倍の収入があって、新入社員の娘の収入が、長く教員を続けてきた父親の収入を上回るというような話が聞かれるような時代でした。
 その頃、教員を志した人たちは、民間企業に就職できなかったわけではなくて、次の世代を育てるという教育の崇高な使命に自分の力を役立てたいと考えたからなのではないかと話していました。
 現代でもそれは似ていて、昨年ある大学の先生から伺ったお話では、今一番優秀な学生は海外で高額な収入を得られるコンサルタントを目指す、そういう人が増えてきたそうです。でもそんな中でも、崇高な使命感を持って教育を志したり、同じような意味で、大学に残って基礎研究を続けたりする人が少なからずいるのだろうと思います。
 昔と今で何が変わったのだろうかと思うと、先ほど会長もお話しされていましたが、私たちの社会の中で、教育へのリスペクト、教育を最も大切にするという価値観が、少なくなってきたのではないのかなと思います。
 私たちが子供の頃には、日本には資源がなくて、人材こそが日本の資源で、教育こそ最も大切なものだという話をいろいろなところで聞かされたものです。次の世代を育てるという崇高な使命を持った教育というものへのリスペクトこそ、私たちがこれから社会の中で改めて共有していかなければならないものではないかと思います。
 昨今、教員不足へのいろいろな方策として、処遇の改善や働き方改革などが言われております。
 もちろんそうしたことはとても大切なことで、やりがい搾取と言われるようなことが起こってはならないわけですが、しかし、教員になった人の喜びは何かと思うと、それは収入などよりも、立派に成長した子供の姿を見るというのが原点ではないかなと思います。
 例えば、結婚式に呼んでくれたり、就職しました、子供が生まれました、今こんなことして幸せに暮らしていますというように、折に触れて報告してくれること、そういったことは、教員にとってこんな嬉しいことはありません。
 そしてそうした一人一人の成長した姿、まさにこれがウェルビーイングなのかもしれませんけれども、そうした姿が集まって、次の世代、社会が形成されていくのではないかと思います。
 コロナが収まりつつあって、海外の学校と交流する機会も増えてきたのですが、海外の学校を訪れると、施設や設備の立派さや、それから何にも増して目を輝かせて学ぶ生徒の姿に驚かされます。
 お話を伺うと、教育にかける予算もかなり多く、教育を大切にする様子というのに圧倒されることもあります。
 まとまりのない話になってしまいましたが、この会議に高等学校の現場の声を届けさせていただくことで、教育を最も大切にするという教育へのリスペクトというものが少しでも社会の中で共有され、一人も取り残されることのない教育が実現するよう、微力ながら力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。石崎委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 初等中等教育分科会での「教育へのリスペクト」のご発言もありがとうございました。
 では大字委員お願いいたします。
【大字委員】  皆さんこんにちは。全国連合小学校長会の大字でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 月曜日、本校では校庭に全校児童を集めて全校朝会をするのですが、そのときにみんなに、3学期もあと2週間だ、もうすぐ春休みが来るねという話をしました。
 するとその日の休み時間に、1人の児童が校長室にとことこと入ってきて、校長先生、春休みになってほしくないなというのです。
 どうしてかと聞くと、「私ね、学校が大好きなの。学校が楽しくて楽しくて仕方がないんだ」と。しかし「でも春休みになると、学校に通いたいから嫌なの」と。
 「そっか、ありがとう、そうだね」と言ったら、にこっと笑いながら校長室から出ていったのですが、私はとても嬉しかったのです、そんなこと言ってもらって。校長として。
 この話を担任にしました。あなたのクラスの子がこんなことを言っていたよと。担任も本当に嬉しそうでした。
 私たちの教師という仕事は、日々こういう喜びにあふれている。なかなか普通では味わえない感動の日々なのかなと思っています。
 もっともっと子供の笑顔が輝くような、そのような学校をつくっていきたいと思いますし、全国全ての学校が、そのような学校になるといいなと思って、今のこの全連小の活動を続けています。
 しかしそのためには、子供の一番間近で、子供の成長や笑顔を支えている先生方が、やりがいを持って、誇りを持って、元気に日々教育活動を行わないとそのような学校はできないし、子供の笑顔には近づかないのかなと思っています。
 ぜひ中央教育審議会の議論では、先生たちが元気になるような、先生たちを支えるような、そしてそれが子供の笑顔につながるような議論を進めていただけると、現場の校長としては、こんなにありがたいことはありません。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。大字委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 では続きまして、清原委員お願いいたします。
【清原委員】  ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。私は引き続き委員を拝命いたしまして、大きな責任感を感じています。
 私は研究者として、教育者としてのみならず、三鷹市長として、保護者の皆様、そして市民の皆様の御理解をいただき、教育委員会、そして学校と連携して、「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を進めてきた経験等を生かしながら、使命を果たしていきたいと思っています。
 今期は、副大臣も会長もおっしゃいましたように、前期の複数の答申を踏まえて、その具体的な推進、実現を図っていく、そういう大切な時期だと認識しています。
 また私は、生涯学習分科会に所属する委員として、人生100年時代といわれる長寿社会における生涯学習、社会教育の振興について、第11期の最後に共有しております生涯学習、そして社会教育の振興方策の具体化、特に工程表も共有しておりますので、その推進を重要な課題として位置づけて、委員の皆様と一緒に取り組んでいきたいと決意しています。
 なお今年は、先ほど秋田委員もおっしゃいましたように、4月1日にこども家庭庁が設立され、そしてこども基本法が施行されます。
 次期教育振興基本計画部会で検討するに当たりましては、子供・若者の声を聞くプロセスを踏みました。このことが、今後は学校教育においても、生涯学習、社会教育においても求められることになると思います。
 私、実は今朝、地元の小学校の1年生を対象に、スクールボランティアとして、始業前の10分間、2冊の絵本の読み聞かせをさせていただいてきました。
 1年生の最後の学期の最後の本の読み聞かせだったのですが、登校直後ざわついていたこどもたちが、本を読み始めると、次第に集中して、だんだんのめり込んでいって、そして最後に、「清原さん、アンコール、また来ていいよ」と言ってくれました。
 先ほど大字委員がおっしゃいましたように、こういう子供たちと触れ合う中で、苦労も多いけれども、初等中等教育の教員というのは、高等教育の教員同様に、やりがいを感じていらっしゃるのだろうな、もちろん苦労も多いけれどもと実感したところです。
 このように、先ほど会長も冒頭の御挨拶で、現場の実態に即して、そして子供たちを含む当事者の声も聞きながら、審議会を前へ進めていきたいとおっしゃいました。私もそのように再確認をさせていただきながら、現場の実情に即して、そして保護者や教育関係者の実感に適合的な審議が進みますように、誠心誠意努力をしていきたいと思います。
 委員の皆様、そして事務局の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。清原委員、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 さてここで、政務官は公務のため、御退室されます。伊藤政務官どうもありがとうございました。
【荒瀬会長】  では、委員からの御発言を続けたいと思います。後藤委員、お願いいたします。
【後藤委員】  失礼いたします。2期目の委員を務めさせていただきます後藤です。
 大学教員から国立高等専門学校機構に移り、高専校長、学生支援の担当理事、高専生に活躍の場を提供する全国高専連合会会長を務めてきました。高専ロボコンは、皆様方よく御存じのことと思います。
 高専は15歳から五年一貫の工学系専門教育機関です。中学校卒業生の約1%が入学し、卒業後は、約6割が就職、約4割が進学します。高専出身のほとんどは技術者・研究者になり、日本のエンジニアのおよそ1割が高専卒です。
 社会実装力が強みで、学部出身の人たちと協働してイノベーションを引き起こし、新たな価値を創造することを期待しています。
 教員養成大学での勤務経験もございまして、現場の立場から、学校教育全般についていろいろ意見を述べさせていただこうと思います。
 教育は国家100年の計で、国の未来でございます。一人一人の可能性を引き出し、人生や社会をよりよくするためのものです。
 次期教育振興基本計画答申の「はじめに」にも記されておりますように、教育改革は不易と流行です。本質的に継承すべきことと、加えるべき新たな要素は何かを示すことです。
 そのためには、信頼できる統計データとその分析が必要です。教育の方向性を示すとき、この視点に立った説明が少し足りないかなと感じております。
 学校教育の根幹を担うのは、質の高い教職員集団で、教育投資の在り方を考える上で重要です。
 高専校長として現場を見てきましたが、業務が多様化し、教職員は極めて繁忙になっています。子供たちと向き合う時間が十分なく、放置すると、教育の質や学校の安全に影を落とすことになると思います。
 学校における働き方改革は喫緊の課題で、教育DXなど、あらゆる観点からいち早く取り組むべきことです。
 今期も何とぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。後藤委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 では、戸ヶ﨑委員お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  戸田市教育委員会教育長の戸ヶ﨑でございます。
 午前中は、3年ぶりに、卒業式に出席して祝辞を述べてきました。大変感動した、その余韻がまだ残っているところでございます。
 先ほど来、御挨拶の中や、また御意見の中で述べられておりましたけれども、この第11期、今までのこの11期に非常に重要な様々な答申が出されて、この12期というのは、まさにそれを実行・実現する大事な使命を負っているのかなと思っています。
 その実行の際に、私は教育委員会の立場として意見を申し上げておきますけれども、特に学校間、また自治体間の格差といったものについて、大変危惧をしているところでございます。
 というのは、GIGAスクール構想の取組にしても、また個別最適な学び、協同的な学びの一体化、そういったことに対してもまた、昨今の働き方改革、こういうことについても、その進捗についても、この格差というものがクローズアップされてきているのかなと感じているところであります。
 また最近、全国の教育関係者の方々とお話をする機会、たくさんありますが、その中で、よく共通に課題として挙げられているのが、それぞれ学校単位には大変優れた取組というのが存在しているのだと。ただ、それが同じ自治体間の中ですら広がっていかないというこのことについて、共通の課題として今クローズアップされているということがありまして、繰り返しいろいろなところで私も申し上げていますが、一言で言うと政策波及、この言葉が非常に重要なのかなと思っています。点の取組がいかに線になって、面まではなかなかいかないにしても、横展開していくということが非常に重要だろうと思っています。
 そう考えると、これまで取組の事例集のようなものというのは盛んに出されていたわけですが、この事例書の段階だけでは、一言でいうと広報にすぎないのではないかなと思っています。
 それはそれで重要だと思いますが、伝えてもなかなか伝わっていないということについて、もっと認識していくべきなのかなと。
 他人事ではなくて、それならばうちでもできるのだという、こういうような、腹落ちというか、今風の言葉でいうとアーキテクチャーというか、そういったものをいかにお互いで共有するかということが大事なのかなと。
 そういうことで考えると、今後は、大切なことというのは、そういった格差が生じてしまう要因というものをカスタマイズしながら、カテゴライズして、さらにその横展開のボトルネックになっているものが必ずやあると思うので、そこのところを分析していく、そういう必要性もあるのかなと考えています。
 このことは、常々私が思っているのは、生徒理解にも通じることなのではないかなと、通底していることかなと思っていまして、社会学や福祉学のほうでよく言われているそのビジビリティーという、日本語でいうと可視性という、見ることが可能になる可視性という言葉があるわけですけれども、どうも例えば子供がトラブルを起こしたときに、目に見える部分、目が行く部分というのは表層的な、言動というところにはつい目がいってしまうわけですが、大事なことというのは、大人が勝手にそうやって子供を仕向けて行動変容を求めていってしまうのではなくて、その子供のその背景、困っているところなど、そういったものをいかに見抜いていくか、一言で言えば寄り添うということが非常に重要なのかなと思っています。
 そういった観点で考えていくと、いろいろ自治体、学校、困っていることというのはたくさんあるわけで、そういったものにうまくいってないようなことに対して、どう支援できるのかということを知恵を出して寄り添って考えていくという、そういう仕掛けづくりということが、今後、こういう中教審の場でも議論できるといいのかなと思っています。
 将来に向けて、優れた教育の種、これを全国にまきたいと常々私は思っていますので、年だけは取っていますが、何分新入りでございますので、また御指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。以上です。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。戸ヶ﨑委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、萩原委員お願いいたします。
【萩原委員】  国立女性教育会館理事長の萩原と申します。前期に引き続きまして拝命いたしました。よろしくお願いいたします。
 私は昨年の3月までは立教大学におりまして、大学教員として現場におりました。専門は環境社会学、ジェンダー研究、市民活動論です。生涯学習分科会に所属をさせていただいております。
 まず、国立女性教育会館理事長の立場として、ジェンダー平等について触れておきます。誰一人取り残さないという非常に重要なスローガンを掲げているSDGsですが、前文には、女性、女子のエンパワーメントなくして17目標達成なしと書かれております。グローバルにジェンダー平等というのは非常に重要になっております。特に学校教育におきましても重要になっておりますので、この点については引き続きしっかりと発言をしていきたいなと思っております。特にウェルビーイングな状態とは何なのだろうかといったときに、一人一人が自分の能力を生かして、自分が生かされている、きちんと活躍できるんだということが思える環境であるというようなことも言われておりますので、まさに性別にとらわれず、一人一人が自分の未来や希望が持てるような、そういった学校教育、社会教育、現場、そういったものについて、経験や現場視点を基に発言していきたいと思います。
 それから、日本NPOセンターの代表理事という立場から、申し上げておきますと、教育については学校あるいは行政だけでは難しい部分がたくさんあるかと思います。そういったときにNPOの存在というのがますます重要性を増しておりますので、連携・協働ということも1つのキーワードになっておりますので、そちらもまた現場の視点を反映できるようにしていきたいと思っております。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。萩原委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、古沢委員お願いいたします。
【古沢委員】  新たに拝命いたしました、読売新聞編集委員の古沢と申します。よろしくお願いいたします。
 前期まで大学分科会、それと教師の在り方特別部会に参加させていただいておりました。
 私は、25年前に、当時の文部省を記者として担当しまして、有馬大臣の時の学習指導要領改訂や大学改革などを取材しました。
 その後も断続的にではありますが、教育分野を担当する機会が多く、特にこの数年は再び現場に戻って、主に教育に関する記事を書いております。
 それで20年前と比べて、学校教育の現状はよりよくなった点も本当に多いと思いますが、積み残されている課題もまた少なくないのかと思っています。
 社会や子供を取り巻く環境が大きく変わる中、何を大事にして何を大きく組み替えていくべきなのか、微力ではありますが、学校の外から見た多様な視点を意識して考えていきたいと思っています。
 喫緊の課題は皆様おっしゃっているように、小学校を中心に教員希望者が激減している問題で、日本の教育の屋台骨が揺らぐような事態になりかけているのではないかと危惧しております。
 また、次期学習指導要領改訂に向けて、現場の教員の負担も考えつつ、探究的な学習も充実させながら、学ぶべき知識の量をどう考えるのかということも課題になってくるのではないかと思います。
 それと現場の取材を通して感じていることですが、各県ごとに行われる高校入試は設置者である都道府県に委ねられているところが大きいのですが、中学校教育への影響も非常に大きく、中学での学習評価の問題、内申書の問題と併せて現状を把握して、望ましい在り方について考えていくことが必要ではないかと思っています。
 大学については、大学入試の在り方を引き続き問い直す視点が重要だと考えていますが、少子化が加速して厳しい時代を迎えるからこそ、学生が本当に成長できる質の高い教育が求められていて、地域の大学に対する期待や役割も増していると実感しています。
 会議での皆様の御発言を聞きながら、勉強していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。古沢委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 今、時計を見ますと、終了予定時間まであと5分程度となっております。1回目から大変申し訳ありませんが、若干延長をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、堀田委員お願いいたします。
【堀田委員】  堀田でございます。東北大学と東京学芸大学の2つの肩書を持っております。
 第9期から臨時委員で関わらせていただいておりまして、前期の第11期から正委員として関わっており、主に初等中等教育分科会で働かせていただいてきました。
 専門は教育の情報化で、最近の話題でいえばGIGAスクール構想なわけですけれども、これは様々な情報がこれからデジタル優位で社会に提供されていく、そういう時代に入っています。また、データドリブンでいろいろ意思決定をしていくという、そういう時代になっています。
 ツールとしてICTを使いこなすというのは、人々の素養としてこれからさらに大事になることです。私も今日、朝からいろいろな新聞記事をネットで見てまいりましたが、ネットで見れるということのメリットは広く享受されていますし、一方で、記事がきちんと紙で提供されて、人が自宅まで届けてくれるということのありがたさも再確認するわけでございます。
 このように当面は紙とデジタル共存する社会の中で、どちらをどういうときにどのように使うかは利用者本人が決める時代だと考えていますし、そういう意味では、大人の私たちがそうであるように、子供たちも自分の学びに必要な情報を、どういうデバイスからどのように取り寄せて、どのように判断して、どのメディアを選択して使うかということもまた、これからの学ぶスキルの1つであろうかと思います。
 そういう状況をこの第12期、あるいは第13期だともう多分、学習指導要領の具体の話になるのかと思いますが、先ほど戸ヶ﨑委員もおっしゃったように、GIGAスクールの端末等をどのように、安定的に、きちんと供給しておくかというようなこと、あるいはデジタル教科書やデジタルコンテンツなど、そういう子供たちの学びの基盤になるようなことをどうやって安定的に供給し、先生方が安心して学習指導に取り組めるようにしておくのかというのは非常に重要なことかと考えております。
 そういう観点から今期も関わらせていただきたいと思います。どうも、今後ともよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。堀田委員、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは吉岡委員、お願いいたします。
【吉岡委員】  日本学生支援機構の吉岡です。中教審にはグランドデザイン答申に臨時委員としてその審議に関わらせていただいて以来でございます。
 グランドデザイン答申の時、2040年の18歳人口88万人と推定して議論をしたことを覚えておりますけれども、昨年、つまり2040年に18歳になる子供たちの出生者数は80万人を切ったということで、これは非常に衝撃的なことだったと思います。
 第一次ベビーブームが270万人でしたから、その3分の1以下になっているということは非常に大きなことだと思います。
 今後、少数の子供たち、だんだん大きくなっていくわけですが、その子供たちの幼児期から小中高大そして大学院、あるいは社会人になっても、丁寧な教育を行っていくことがとても必要で、しかも全体として質を上げていくということが今後の課題だろうと思います。
 しかもその場合に、多様性を確保しながら全体を上げていくことが課題だと思っています。
 グランドデザイン答申の時には、学修者本位の教育ということを強調いたしました。この考え方は、もちろん大学だけではなくて、小中高の教育にも同じように使われていったと思っていますが、一人一人の学生・生徒の可能性をどうやって引き出していくか、そしてそれを育てていくかという、そういう観点が非常に重要だろうと思っています。
 ここでの議論が、次の世代の豊かでしかも自由な成長というものを保証できるような、そういう議論ができたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。吉岡委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、吉田委員お願いいたします。
【吉田委員】  私立中高の吉田でございます。今期もよろしくお願い申し上げます。
 先ほど会長たちのお話の中にありました、今期は今までの答申の実現ということが大切なことになると思います。下世話な言い方ですが、どれを取っても結局は、人・物・お金、これをきちんとつけてもらえるかどうかというのが大きいのではないかと思います。
 教育再生実行会議も本当に理想論をたくさん出していただいて、やったのですが、それをやるためにどうしたらいいか。
 今回、今、現実に、このコロナという未知の、非日常が来たことによって、GIGAスクールだけはなんとかぐんと落し込んできました。
 ただ落し込んできましたが、今度その使い道云々ということでいろいろ問題になっており、これからのこの令和の日本型教育を担っていく教員をたくさんつくっていかなければいけない。それとともに、その人たちが働き方改革も必要になる。
 そして部活動の外注というか指導員云々という話もありますが、この部活動一つとっても、では中体連、高体連は学校の先生ではなくて指導員が引率してきても、試合参加として認めるのか、それから社会スポーツのように学校スポーツがなれるのかどうか。そういった具体のことが、もう少し話をしていかなければいけないのではないかなと。
 それを机上ではもう来年中にはできるような話になっていますが、私はかなりそこは難しいのではないかと思っています。
 それから、先ほど安孫子委員からのお話で、文理融合というお言葉がありましたが、村田学長先生が先ほど高大連携、中等教育での理数系教育の必要性というものが、かなり大きくクローズアップされていると思います。
 これは未来創造会議でも、理工系大学校を増やせというようなことになっていますが、私はどちらかというと、理工系大学を一気に急につくるなんてことは今無理ではないかと。
 それよりも、安孫子委員がおっしゃっていた文理融合のSTEAM、リベラルアーツ的な、STEAMの大学のようなものをつくっていただければ、高校以下の教育課程も今の物、化、生、地、数1、数2、細かく分かれた授業を全部取って、理工系の大学に進んでいくというのは負担がかなり大きいのではないかなと。
 ですから、その辺がもう大学で、その4年間が本当に必要なのか。例えば半年はギャップイヤーのようにして、基礎的なことをやってそして入れていくのか、そういうこともまた考えていかなければいけないのではないかと思っていますので、今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。吉田委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、副会長のお二人にも御発言いただきたいと思います。まず、橋本副会長お願いいたします。
【橋本副会長】 橋本でございます。住友生命保険の会長を務めております。またこれまで2年間、渡邉光一郎前中教審会長とともに、経団連で教育大学改革推進委員会の委員長を務めておりました。
 今回、副会長に指名いただきまして、大変光栄に存じますとともに、荒瀬会長のもと、皆様とともに建設的で有意義な議論ができますよう、貢献してまいりたいと考えております。
 少子高齢化とグローバル化が進んでいるとよく言われているわけですけども、それに加えまして、昨今では気候変動や環境問題、あるいは社会的には格差拡大など、様々な課題に直面する中で、私ども民間企業に限らず、日本全体として、国際競争力を維持して、そして成長軌道に乗せていくためには、また価値観が非常に多様化する中で、個人が主体的な学びを通して、幸福、ウェルビーイングを実現し、社会全体の豊かさにつなげるためにも、教育の果たすべき役割といいますのは、もうどんどん重要になっていると思っています。
 経済界の視点で申し上げますと、今盛んに言われておりますデジタルトランスフォーメーション、あるいはグリーントランスフォーメーションなど、非常に技術革新が進展する中で、それぞれが、働き手として活躍をし続ける、あるいは自分のキャリアを自立的に形成していくためには、学校教育だけではなくて、社会人になった後も学び直しを通じ、日常のスキルや専門性をどんどん更新していかないとついていけない、こういう時代になったと感じております。
 そういう意味で現在言われております社会人のリカレント教育を含みます生涯学習や社会学習、そしてそれに加えて、仕事と学びをどう好循環させていくかということが、大変大事な課題になっていると思っています。
 この点に関しましては、私も大変強い問題意識と課題を持っておりますので、ぜひ議論に加わっていきたいと思います。
 そのような視点も含めまして、第11期におかれましては、様々な視点で、非常に精力的な議論を行っていただいたと思っています。
 新しく出ました5年間の教育行政の羅針盤となる次期教育振興基本計画や、教師の養成・採用・研修等の在り方など、多くの答申報告を取りまとめいただいたとも考えております。
 教育振興基本計画につきましては、経団連からも意見を出させていただきましたが、もう少し数値目標の設定などあってもよかったかと思っておりますが、全体としては、この時代に合った、未来志向の非常にいい計画を取りまとめいただいたと考えております。
 今期におきましては、先ほどもいろいろお話が出ておりましたけども、この計画を実効性を持ってどう進捗させていくかということが大変大事かと思います。
 そしてまた、さらに環境が目まぐるしく変わってきますので、この不確実な時代において、教育を取り巻く様々な環境変化に、あるいはその新しい課題にいかに向き合っていくか、皆さんと共にさらに議論を深めていただければと考えております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、永田副会長お願いいたします。
【永田副会長】  失礼いたします。いろいろな御意見ありましたが、小中高大院、あるいは社会人教育、生涯教育合わせて、基本中の基本は少子化対策だと思います。
 今ここで議論できませんが、お話をしておくと、国の力というのは、人の数とそれぞれの人の能力にかけ算をした総和です。
 これをこれ以上下げてはいけなくて、我が国全体の活力を上げていかなければいけないときに、どのような切り口でこれを増やしていくのかということを真剣に考えなければいけなくて、それぞれの人の能力が十分出せるように導いていかなければいけないだろうし、教育を受ける数も、何とかしなければいけないだろう。
 ここが言いたいことの一番です。もう一つ、教育が尊敬されなければいけないということです。もっと尊敬されなければいけないのは、我々日本でありまして、恥ずかしい出来事がたくさん起こっています。
 回るおすし屋さんで、何であれが起こるのだろうか。それは家庭教育が悪いのだ、いやそれは家庭教育を支えている御両親たちがどのような教育を受けたかだというと、鶏と卵の話になりますが、結局、小中高大といろいろなところで、何か劣化しているのかもしれません。
 だとすれば、それを、根源的なものの一つとして考えないと、尊敬される教育どころか、尊敬されたアウトカムができないという大問題が生じるので、真摯に教育の価値、それから教育のこれからの意義を真剣に考えながら、喫緊の課題にも対応していかないといけない。それが中央教育審議会だろうと思っております。
 ぜひとも一緒に御議論させていただいて、本当に、世論が喜ぶ、受け入れるアイデアを出していって、日本を元気にしたいと思います。ありがとうございました。
【荒瀬会長】  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど申しましたが、時間を延長してしまいまして、本当に申し訳ございませんでした。本日は多様な角度からすばらしい御意見を頂戴したと思っております。
 それではこれで会議を終了いたします。次回以降の日程につきましては、追って事務局から御連絡をいただくようにいたします。
 本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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