中央教育審議会(第134回) 議事録

1.日時

令和5年3月8日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議

3.議題

  1. 次期教育振興基本計画について(答申案)
  2. 第11期中央教育審議会の審議の状況について

4.出席者

委員

渡邉 光一郎会長、荒瀬委員、井坂委員、今村委員、越智委員、加治佐委員、清原委員、熊平委員、後藤委員、小林真由美委員、貞広委員、清水敬介委員、清水信一委員、竹中委員、永田委員、中野委員、萩原委員、堀田委員、湊委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員、渡辺弘司委員、渡邉正樹委員

文部科学省

簗文部科学副大臣、柳事務次官、伯井文部科学審議官、藤江総合教育政策局長、安彦大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、池田高等教育局長、森友総合教育政策局政策課長 神山総合教育政策局生涯学習推進課長 他

5.議事録

【渡邉(光)会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会を開催させていただきます。
 本日は、大変御多忙の中を御出席いただきまして本当にありがとうございます。また、第11期最後の総会となりますが残念ながらハイブリッド型で開催させていただくことになりました。よろしくお願いしたいと思います。
 それから、簗副大臣が後ほどご到着される予定になっております。
 それでは、まず本日の会議開催方式及び資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【川村調整官】  事務局でございます。本日の会議につきまして御説明をさせていただきます。会長から御説明いただきましたとおり、本日も前回と同様、ウェブ会議と対面式を併用した形での会議開催とさせていただきます。
 加えまして、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をユーチューブにて配信しておりますので、御承知おきください。
 本日は各議題の説明の後、質疑、意見交換の時間を設けております。御意見がございます場合は、会場での参加の委員の皆様はネームプレートを立てていただき、ウェブ参加の委員の皆様は、挙手ボタンを押してお知らせくださいますようお願いいたします。御発言は、会長の御指名の後にお願いいたします。ウェブ参加の委員の皆様は、御発言時以外はマイクをオフにしてくださいますようお願いいたします。会場で参加の委員の皆様におかれましては、会長から御指名があった後、事務局がマイクをお持ちいたしますので、机上の端末にお顔を映していただきながら御発言をお願いいたします。
 続きまして、本日の資料でございますが、下にございますとおり資料の1-1から資料の2までとなっております。御不明な点ございましたら、お申しつけください。
 最後に、本日の出席につきまして全29名の委員の皆様のうち、会場参加の方が9名、ウェブ参加の方が15名、合わせて24名の方々に御参加をいただいておりますことを御報告いたします。御公務等の関係で途中退室、途中参加の先生方がおられますので御承知ください。
 以上でございます。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。資料の確認はよろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事について説明させていただきます。まず、議題の1の次期教育振興基本計画について、答申案の説明をさせていただいた後、質疑応答を行います。次に、議題の2でございますが、第11期の中央教育審議会の審議の状況について説明をいただいて、意見交換をしたいと思っております。
 それでは、議題の1に入らせていただきますが、次期教育振興基本計画の答申案につきまして、まず私から簡略に説明させていただいて、その後事務局から説明をお願いしたいと思います。資料は先ほどありましたように資料1-1と1-2が答申案となっておりまして、その後の資料1-3が全文の見え消しのある資料になっておりますが、主に資料1-1の概要版を見ながらお聞きいただければと思います。私が教育振興基本計画部会の部会長を務めていましたので、私から簡単にご説明させていただきます。
 昨年の2月に、中教審総会で大臣から諮問を受けました。それから約1年間、総会のもとに設置しました教育振興基本計画部会を中心としまして、14回議論を行ってまいりました。この間、この総会でも御審議いただきましたが、その後、関係団体のヒアリングやパブリックコメント、ユース政策モニターの活用を含め多くの御意見を反映するよう努めてまいったところであります。
 諮問のありました昨年、令和4年というのは、学制150年の年と重なったわけですが、そのような非常に大きな歴史の節目の年に重要な位置づけとなるこの次期教育振興基本計画について、答申案として本日、皆様にお示しできるようになったということでございます。この後の議題で御報告があると思いますが、生涯学習分科会、初等中等教育分科会、それから大学分科会、それぞれで御審議いただいた集大成の審議がこの教育振興基本計画部会の議論だったのではないかと、感じております。
 答申案の構成自体は前回の説明と変わっておりませんが、5つの基本的な方針と16の教育政策の目標に整理されております。この答申案の中で非常に多くの議論を尽くしてまいりましたのが、ちょうど真ん中に2つある次期計画のコンセプトについてであったのではないかと思います。
 コンセプトの一つ目は、2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成、そしてもう一つが、日本社会に根差したウェルビーイングの向上でございます。諮問を受けた際に、この予測困難な時代における教育の方向性を示すには羅針盤が必要だと申し上げましたが、この2つのコンセプトがこれからの時代の羅針盤になり得るものではないかと感じております。
 併せて不易流行の議論もございました。教育基本法の理念やその目的、目標といったこの理念体系全体が恐らく不易なのだろうと思います。ただ、時代の変化が大変激しいため、教育を取り巻くいろいろな変化もございますのでこうした流行の要素を取り入れていく必要があるということです。とりわけこれから未来のことを考えますと、教育DX等の時代の変化をしっかり見据えていくことが重要だろうということで、今回お示しする答申案になっているのではないかと思います。
 それでは、この答申案についてこれから御審議いただきたいと思いますが、引き続き前回の総会で御報告しました審議経過報告からの修正、追記箇所を中心に事務局から説明をお願いできればと思います。
 それでは藤江局長、よろしいでしょうか。
【藤江総合教育政策局長】  ありがとうございます。それでは今、会長からお話いただきましたように、資料1-3に基づきまして、この答申案の見え消し版でございますが、それに基づきまして説明をさせていただきます。
 会長からも御説明がありましたとおり、前回の総会でも報告した審議経過報告から、関係団体のヒアリング、あるいはパブリックコメント、ユース政策モニターのアンケートの結果等を踏まえまして修正しました箇所を、この資料では赤字になっている部分でございますが、そこを中心に御説明をさせていただきます。
 まず1-3の1ページを御覧ください。ここに答申案全体のエッセンスということで、最終的な答申案でございますので、全体のエッセンスを凝縮する形といたしまして「はじめに」を記載させていただきました。次に3ページを御覧ください。ここでは教育基本法に定められている教育の目標につきまして、前回は要旨のみを記載させていただいていたところでございますが、ここで全て記載する形にさせていただきました。
 次に、10ページのところを御覧いただければと存じます。ウェルビーイングに関する記載についてでございますが、色々御議論いただいたところですが、より分かりやすくなるようにということで記載を修正させていただきました。具体的には獲得的要素、協調的要素、それらを調和的、一体的に育むことで日本発のウェルビーイングの実現を目指すといった記載にしております。
 次に、27ページを御覧ください。ここでは新たな項目としまして私立学校の振興についてということと、その下でございますが、こども政策との連携ということについて記載を追加させていただいております。
 また28ページ、ステークホルダーとの対話等につきまして、本計画の答申案の作成に当たって実施しました事柄といたしまして、関係団体からのヒアリングやパブリックコメントに加え、生徒、学生からのヒアリングですとか、ユース政策モニターとの意見交換やアンケートなどの実施について追記をさせていただいているところでございます。
 次に、57ページでございます。ここでは真ん中あたり、不登校児童生徒への支援につきまして、オンラインの活用などをはじめとした記載を充実したところでございます。
 続きまして、70ページから71ページにかけて、前々回の総会において答申をいただきました教師の在り方の答申等を踏まえて、記載を充実したところでございます。
 以上、変更点を中心に、簡単ではございますが御説明をさせていただきました。本日はこの答申案について御議論いただく予定としておりますが、今後、この答申としてお取りまとめいただきますと、その後は政府としての閣議決定に向けて進めていく段取りとなっております。閣議決定に向けましては、今後予定されている教育未来創造会議の提言などを踏まえまして、計画に反映させていくことを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。それでは御質問、御意見等について伺いたいと思います。要領は先ほど事務局から説明があったとおり、会場の委員の皆さん、ネームプレートを立てていただき、ウェブ参加の方々は、挙手ボタンでお示しいただければと思います。それでは、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
 まず、吉岡委員よりお願いいたします。
【吉岡委員】  ありがとうございます。大変広範な分野に渡るものをよくこれだけまとめていただいたと、委員の方々と事務局の方の努力はいかばかりだったかと思います。その上で、通読してみて感じたこと、むしろこれからの課題かとも思いますが、考えたことを述べさせていただきます。
 一つは、これは意見ですが、28ページ、評価などの指標の問題で、そこのⅢのところ、Ⅲの3つ目の丸のところにも書いてありますが、教育政策分野というのは成果が判明するまで長い時間を要するといった、非常に色々な要素があることが書かれています。教育というのはどの段階でどう捉えるか、非常に難しいことだと思いますので、なかなかそれから数値化できない要素、場合によっては数値化できないところが重要だというところもあると思うので、評価の仕方や指標の立て方については慎重に検討していただきたいのが1点目です。
 それからもう1点は、これはむしろ今後の課題だと思いますが、目標の2のところで文化芸術の話が出てまいります。ここでは伝統や文化の話、それから主としてこの部分は初等教育における文化の問題というか、芸術教育のことが出ていると思いますが、芸術というのは美術にせよ、音楽にせよ、また、演劇、映画にせよ、非常に広い分野にわたっていて、それぞれ非常に長い歴史を持っています。芸術とは何かと、ここで議論するつもりはないですが、人間の潜在的な、あるいは無意識のものまで見つけ出していくような力というのがあって、それは非常に大きな人間の能力の可能性というのを開いていくものだと思います。
 分野としても、ゲームとかアニメとかはもちろんですが、そういういろいろな日本の芸術的な発信というのは、世界に対しても非常に大きな影響力を持っていることもあります。それからさらに重要な、高等教育まで含めて言えば、科学技術のイノベーションとか新しい新製品の開発とか、そういうものに芸術の持っている意味は非常に大きい、美しいものでなければ売れないという非常に単純なことも含めてだと思います。かつて、STEM教育と言われていたのにアーツが入ってSTEAMと言われるようになった、そこにアーツが入っているのも、そういうことと重要に絡んでいると思います。そういう意味では、若干扱いが少ないかという気がいたしました。スポーツは独立した項目が立っていますが、そういう意味でも芸術といいますか、文化芸術の部分はもう少し今後大きく扱っていったほうがいいかと思った次第です。
 それから3番目、これは本当に意見ですが、大学院の進学の問題で日本の研究水準の高度化にとって大学院進学者の拡大は本当に必須のことだと思っています。進学者を増やすためにいろいろな手段を考えなければならないと思いますが、一つは修士号を持っている人、それから博士号を持っている人というのが社会で能力を発揮するチャンス、活躍するチャンス、場というものを広げていくことが非常に重要だろうと思います。
 大学院に行ったら研究者になるしか道がないような、そういうのだと困るわけで、企業やもちろん行政もそうですが、そういう学位を持った人たちの活躍の場を広げる。それは就職の場面もそうですし、それから会社の中でリカレントやリスキリングで例えば学位を取った人たちの評価を高く評価するとか、そういうことがなければ大学院への進学、特に博士課程への進学は伸びていかないかと思いました。これは読んだところの感想です。
 以上3点です。ありがとうございました。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。どれも今回の答申案の中でも非常に重要な視点として議論のあったところを、改めて強調していただいたのではないかと思います。1点目の評価のところも、今回の基本施策の目標や指標の検討にあたり、御指摘のような形で短期ではなかなか成果が数値化できないということもあり、定性的な整理をするといった工夫はしておりますので、今後行政の中でぜひ生かしていただけたらと思います。
 それから文化芸術のところも今の御意見にあったとおり、初等中等から高等教育まで横断的な視点で今回も取り入れているつもりです。また、文化芸術という表現ではなくても、STEAMという表現のAの部分で読むことができるようしておりますので、これも今後の行政に生かしていただけたらと思います。
 それから修士号、博士号のところは、今回非常に重要な点として指標化しました。特に諸外国比較において、日本の弱点はまさにここにあるのではないかと思います。そしてこれは恐らく大学、大学院だけの問題ではなく、社会、それから産業界の問題でもあり、これらの関係性において高めていかなくてはいけない問題だと思いますので、重く受け止めたいと思います。
 事務局から、今の3点について何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、ほかにいかがでしょうか。
 それでは、熊平委員、お願いいたします。
【熊平委員】 ありがとうございます。本当にしっかりとした取りまとめをしていただいて、誠にありがとうございます。
 一つだけ少し気になったことがあり、意見を述べさせていただきたいと思います。ウェルビーイングに関連する記述についてです。
今、世界が共に進めている教育改革が目指すウェルビーイングは、地球に生きる全ての人たちのウェルビーイングを実現していくことを目指す大きな概念だと理解しております。そのために西洋は、東洋や日本からたくさんのことを学んでいると感じることが多いです。3つ事例を挙げさせていただきたいと思います。
一つ目は、世界が、共に取り組んでいるSDGs「持続可能な開発目標」です。SDGsは、世界が目指す調和と協調の好事例だと思います。調和と協調は、日本の特徴的な文化でもありますが、今日では、世界も調和と協調について学んでいると思います。
 また、私の師匠でもありますピーター・センゲ先生は、学習する組織の理論を構築されましたが、理論の背景にはかなり東洋思想が入っています。例えば彼は、「神様は多様性に恋をしている」と多様性について語ります。この発言を聴きながら、本来であれば、この発言は、自然を愛する日本人が述べるべきことだと思いました。
 もう一つの事例は、生きがいという日本固有の概念についてです。働くことや、社会に貢献することに喜びを感じる心を持つことは本当に素晴らしいことです。今日、西洋では、パーパスを大事にすることや、エンゲージメントを高める考え方に、生きがいを発展させています。このような事例を見ますと、西洋と東洋を切り離して考えることが、なかなか難しくなってきているのではないかと思います。
日本においては個別最適という言葉も使われるようになり、多様性を前提にした教育が始まっています。企業においても、ダイバーシティー、エクイティ、インクルージョンの取組が進んでいます。しかし、子どもたちの世界を見ますと、残念ながら違いがいじめの原因になっているのが今の現実でもあります。日本は、多様性を前提とする調和や協調の実現の仕方を西洋に学んでいかなければいけないのではないかと思います。そう考えますと、グローバル社会に生きる子どもたちを育てる教育においては、世界がともに進化していくことが非常に大切だと思います。
日本特有の文化が存在することは事実ですが、日本社会に根差したウェルビーイングという言葉に、世界と共に進化するというニュアンスが入っていないではないかという懸念を覚えましたので、意見を述べさせていただきました。以上でございます。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございます。次期計画のコンセプトに関わる全体感を改めて御指摘いただいたと思います。御指摘のように、OECDとの比較の中で日本がこれからキャッチアップしなければいけない要素、あるいは日本がむしろ強みとしているところの良さをどう調整していくのかということが重要になってくるものと思います。
 SDGsの教育なども、当初は学校教育の中に徐々に根差していき、次第にそれが定着したということだと思いますし、今回のウェルビーイングの考え方も同じではないかと思います。海外との比較の中で調和をとりながら普及させていく、浸透させていくということではないかと思いますが、次期計画のコンセプト全体に関わる御意見だと思いますので、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。事務局、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺(弘)委員】  日本医師会の渡辺です。お願いに近い総論です。このたび大変すばらしい基本計画を作っていただいたと思います。この次期教育振興基本計画に記載された内容が今後全て円滑に実施できるように、文部科学省には強く期待しています。
 今後、実施にあたりこの内容がきちんと達成できるかどうかという評価をぜひしていただきたいと思います。次期の教育振興基本計画に掲げられた項目の全て達成するのは非常に困難だと思いますので、できるもの、できないものを今後評価して、できるだけ多くの項目が達成できるように検討していくような体制をぜひ御考慮いただきたいと希望します。以上です。
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。基本計画部会の中でも、今後のフォローアップ体制をどうしていくのかというような御意見もございました。これは行政が各教育委員会にこの基本計画の考え方をしっかり理解してもらうことから始まって、そのフォローアップの体制の問題になると思いますので、行政において今の御意見を改めて受け止めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。それでは、特に手が挙がっておりませんので、本答申案についての質疑応答はこれまでとさせていただいて、大変貴重な御意見を今日もいただきました。文部科学省においても先ほどから申し上げたように、答申の実施段階でぜひしっかり反映していただければと思います。また、先ほど事務局から説明がございましたが、これが答申としてまとまりましたら、教育未来創造会議の提言も踏まえて、政府の閣議決定に向けて御尽力いただくことになります。今後、文部科学省にてそのような対応があることを前提として次期教育振興基本計画の審議はこれまでとさせていただければと思います。
 それでは、今後、閣議決定に向けた行政の対応があることを含めまして、本答申案につきまして御了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【渡邉(光)会長】  ありがとうございます。それでは、御了承いただきましたので答申という形でまとめさせていただいて、この答申については、後ほど簗副大臣が到着されましたら手交させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に議題の2に入らせていただきます。本日は第11期として最後の総会でございますので、今期の中教審の審議の総括を行いたいと思います。各分科会の審議の状況について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。それから、各分科会長の皆さんには後ほど一言ずつ御発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは最初に、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会、教育振興基本計画部会及び生涯学習分科会について説明をお願いいたします。
【藤江総合教育政策局長】  ありがとうございます。今お示しいただきました3部会、分科会につきまして、私から説明をさせていただきます。
 まず、この資料の2を御覧いただければと思います。その中でまず2ページでございますが、基本計画部会、それから教師の在り方特別部会の審議実績が書かれているものでございます。
 まず、ただいま御審議いただきました次期教育振興基本計画についてでございますが、これを御検討いただいた教育振興基本計画部会、昨年2月の大臣からの諮問を受けまして、本総会の直下の部会として計画部会を設けさせていただいたということで、資料の6ページに委員の名簿をつけさせていただいております。渡邉部会長、それから清原副部会長、永田副部会長、荒瀬副部会長をはじめとした委員の方々に審議いただきまして、先ほど部会長からもお話があったと思いますが14回にわたり検討を行っていただきまして、基本計画案をおまとめいただいたということでございまして、先ほど答申を御了承いただいたということでございます。
 それから2点目でございますが、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方ということで、これは令和3年3月にこれも総会において大臣から諮問ということで、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についてということでの諮問を受けて、これも総会直下の部会として「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会が設けられたわけでございます。
 委員につきましては、9ページの委員の方々でございまして、これも渡邉部会長、それから荒瀬部会長代理をはじめとして、委員の方々に積極的に御議論いただいたということでございまして、この学校教育の中核を担う教師の在り方について包括的な検討を行っていただき、これも令和4年の昨年の12月19日に「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、本総会で答申いただいたところでございます。
 次に、生涯学習分科会の審議の状況について御説明をさせていただきます。これは資料2の10ページからになります。生涯学習分科会につきましては、35ページに委員の名簿をつけさせていただいております。清原分科会長、それから牧野分科副会長はじめ、委員を務めていただきました。第9期の答申あるいは第10期の議論を踏まえながら計10回の審議を行っていただいて、令和4年8月に第11期の議論の整理としておまとめいただきました。これにつきましては、12月の本総会において報告をさせていただいたところでございます。
 この議論の整理をおまとめいただいた後に、この分科会におきましてはその内容を踏まえて、社会教育人材や社会教育施設の振興方策を中心にさらに議論を重ねていただきまして、今後の生涯学習、社会教育の振興方策の重点事項及び具体策という形で御審議をいただいたところでございます。
 なお、資料の10ページにございますが、この黒丸のところでございますが、この第11期議論の整理につきましては、副題として「全ての人のウェルビーイングを実現する、共に学び支え合う生涯学習・社会教育に向けて」という大きな方向性とともに多岐にわたる内容をお示しいただいたということでございまして、その中でこれからの生涯学習、社会教育が果たし得る役割として、従来の基本的な役割に加えて重要になる役割としてウェルビーイングの実現、そして地域コミュニティの基盤としての役割、そしてデジタル社会への対応を含む社会的包摂の実現を図る役割についてお示しいただいたところでございます。
 また振興方策につきましては、この資料の10ページの一番下のところに5点、5項目を並べさせていただいておりますが、こうしたこととともに国及び地方公共団体の果たすべき役割をお示しいただいたところでございます。
 さらにその後、御審議いただきました今後の生涯学習、社会教育の振興方策、重点事項及び具体策というものにつきましては、先ほど御覧いただいた5項目のうち、公民館等の社会教育施設の機能強化、デジタル社会への対応、それから社会教育主事、社会教育士等の社会教育人材の養成と活躍機会の拡充という、これら2項目に関することを中心として、令和5年度以降の工程表を含む今後の道行きについて御審議をいただいたところでございます。この御審議いただきました内容を踏まえまして、文部科学省といたしましては今後の生涯学習、社会教育の振興方策について、実現に向けて歩みが始まったと多くの方々から実感していただけるように、できるところから早期に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、来期において審議することが考えられる事項ということで、11ページの2のところに書かせていただいておりますが、今期の議論の整理を踏まえまして社会教育人材の活躍促進に向けた方策、リカレント教育の推進、地域と学校の連携・協働の推進、国際的な動向への対応を中心に、今後の生涯学習、社会教育の振興方策について引き続き審議することが考えられるかと考えております。
 生涯学習分科会の審議の状況については、以上でございます。ありがとうございます。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。それでは、初等中等教育分科会の報告もお願いいたします。
【安彦大臣官房審議官】  続きまして、初等中等教育分科会の御審議の状況について、初等中等教育担当の審議官をしております安彦、私から御説明させていただきます。
 資料2の36ページを御覧ください。第11期の初等中等教育分科会につきまして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会、これをはじめとしまして教育課程部会、教員養成部会、学校安全部会、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会において、それぞれ御審議いただきました。各部会等におきまして検討いただいた内容、また検討体制につきましては38ページ以降に参考として添付しているとおりでございます。
 まず、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会でございますが、令和3年1月に中央教育審議会において取りまとめられました令和日本型学校教育の構築を目指して、令和答申を踏まえまして、デジタル化などの社会変化が進む次世代の学校教育の在り方について検討するということで、昨年1月に設置されたものでございます。
 この特別部会につきましては、令和答申で掲げられました個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、このため1人1台端末等を円滑に活用した児童生徒への学習指導、生徒指導等の在り方、また教科書、教材、関連ソフトウェアの在り方、学校内外の環境整備の在り方を主な検討課題としまして、3つのワーキンググループを設置して専門的な議論を進めていただいているところでございます。
 このうち、教科書、教材、ソフトウェアの在り方について、本年2月にワーキンググループにおいて審議経過報告を取りまとめさせていただいておりまして、39ページにございますとおり、デジタル教科書について、当面の間は紙の教科書との併用を前提とした上で令和6年度から段階的に導入すること、また、まずは小学校5年生から中学校3年生までを対象とした英語、その次に現場ニーズの高い算数、数学を導入するといったことの方向性を示させていただきました。
 次に、教育課程部会でございますが、36ページの教育課程部会のところ、現行の学習指導要領のフォローアップを行うことを主眼に置きまして、各学校段階での実施状況に加えましてGIGAスクール構想のもとでの取組、またスチーム教育等の教科等横断的な学習、また社会に開かれた教育課程、こういったテーマに議論を重ねていただいたところでございます。本年2月、委員からの主な意見を整理させていただいたところでございます。
 続きまして、教員養成部会でございます。次のページになりますが、教員養成部会では先ほど説明のあった「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における議論を踏まえつつ、特別免許状の授与方針の改正、教職課程の自己点検・評価に関するガイドラインの策定、また教職課程においてICT活用指導力を身につけるための方策等について御議論いただきました。また、大学からの教職課程の設置申請に対しまして、文部科学大臣の諮問に基づいて審査いただきました。
 続きまして、学校安全部会でございます。こちらは42ページ以降に答申の概要をお示ししておりますが、学校安全に関する組織的取組の推進、家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進、学校における安全教育の充実や安全管理の取組の充実について御議論いただきました。令和4年度からの5年間を計画期間とする第3次学校安全の推進に関する計画を、令和4年2月におまとめいただいたところでございます。
 続きまして、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会でございます。こちらは37ページを御覧いただければと思いますが、施設型類型、これは幼稚園、保育所、こども園、施設類型を問わず、また家庭や地域の状況にかかわらず、全ての子供が格差なく質の高い学びへと接続できるよう、5歳児から小学校1年生の2年間、これを架け橋期として焦点を当てまして、幼児教育の質的向上及び小学校教育との円滑な接続について御審議いただきました。44ページ以降に概要を添付しておりますが、本年2月に学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について、幼保小の協働による架け橋期の教育の充実という形で審議まとめを取りまとめていただいているところでございます。
 以上が第11期の初等中等教育分科会における審議の状況でございます。また、同じページの下になりますが、継続して審議・検討する事項としまして、来期につきましては今の特別部会の下に設けられた義務教育の在り方ワーキンググループ及び高等学校教育の在り方ワーキンググループにおいて取りまとめられた論点整理、また先ほど説明のありました「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方に関する答申、こちらを踏まえまして、実効性のある取組の実施等に向けて引き続き必要な検討を行っていただきたいと考えております。
 委員の皆様におかれましては、今後とも御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。以上でございます。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。それでは、引き続き大学分科会について、お願いいたします。
【池田高等教育局長】  大学分科会につきまして、高等教育局長の池田から御説明をさせていただきます。58ページを御覧ください。大学分科会におきましては、分科会本体と6つの部会、特別委員会等を設けて様々な課題について御審議をいただきました。
 まず、大学分科会本体でございますが永田分科会長、それから副分科会長として渡邉会長と村田委員に御参画いただき、審議をしていただきました。11期においては大きく3つのテーマがございまして、1つ目は、これからの時代の地域における大学の在り方についてでございました。地域の活力活性化や18歳人口減少が課題と言われる中で、地域の中核となる大学の実現のため、地域と大学、それぞれの役割を整理した上で大学、国、地方公共団体や産業界等それぞれの視点で求められる具体的な取組等について取りまとめていただきました。
 2つ目につきましては、高等教育の質保証システムの全体的な見直しでございます。このため、大学設置基準、設置認可審査、認証評価制度や情報公表、定員管理の在り方といった各質保証のシステムについて、それぞれ改善、充実の方向性について取りまとめをいただきました。これに関し、大学設置基準の改正におきましても3つのポリシーに基づく学位プログラムの編成や、内部質保証における教育研究活動の不断の見直しが求められることを明確化することや、基幹教員制度や教育課程等の特例を認める制度の新設などについても御審議をいただきました。
 3つ目は、グランドデザイン答申を受けて、大学振興部会で議論した文理横断・文理融合教育の推進や、出口における質保証、学生保護の仕組みの整備について御審議をいただき、具体的な方策などを取りまとめいただきました。
 続いて質保証システム部会、59ページでございます。これは吉岡部会長を中心に御審議をいただいてまいりましたが、先ほど申し上げた、大学設置基準等の具体的な質保証システムの見直しについて、質保証システムの全体の中で高等教育の質を保証するための観点や仕組みについて御審議をいただきました。また、コロナ禍での課題として浮かび上がった学生の学びの保証という観点でも、大学のレジリエンスやオンライン教育の質などについて御審議をいただきました。
 続きまして、大学振興部会でございます。永田部会長を中心に御審議をいただいてきまして、この部会自体、昨年の5月に立ち上げて、グランドデザイン答申において示された改革の実施状況や18歳人口の減、当初よりもかなりのスピードで減少しておりますが、こうしたことも踏まえ、学修者本位の大学教育の実現に向けて文理横断・文理融合教育の推進などについて御審議をいただきました。
 続きまして大学院部会でございますが、湊部会長のもとで鋭意御審議をいただきまして、人文科学・社会科学系における大学院教育改革の方向性について御審議をいただき、昨年8月に中間取りまとめを行っていただきました。
 次に、法科大学院等特別委員会、山本和彦座長や清原委員にも御参画いただきまして、これは60ページでございますが、ここでは、新たな一貫教育制度の着実な実施等について議論を取りまとめていただきました。そのほか認証評価機関の認証に関する審査委員会では、機関からの申請について審査を行っていただきました。
 最後に教育課程等特例制度運営委員会でございますが、これは先ほども申し上げた大学設置基準の改正、昨年9月に行っておりますが、ここで教育課程等に係る特例制度が新設されましたので、この特例について認定を行う委員会を立ち上げて、大学の申請に基づいて審査を行ってきました。
 以上が第11期における大学分科会の審議実績でございますが、来期に継続して審議していただく事項としては62ページでございます。特に急速な少子化の進行等への高等教育がどう対応していくか、この対応方策については先延ばしすることのできない喫緊の課題である認識のもと、地域における質の高い高等教育へのアクセス機会の確保の在り方等について一定の方向性を打ち出していただくべく、御審議をいただく予定でございます。第12期におきましても、今後の高等教育の発展に向けて引き続き御審議いただければと考えております。以上でございます。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。今、御説明がありましたように第11期の締めくくりでもございますので、各分科会を担っていただいた御三名の分科会長より一言ずつお願いできればと思いますが、荒瀬副会長からお願いいたします。
【荒瀬副会長】  ありがとうございます。初等中等教育分科会長を務めました、荒瀬でございます。分科会長代理として堀田委員に、もう大変いろいろな形で支えていただいて、実は今日の午前中に最後の初等中等教育分科会が終わったところでございます。内容としましては先ほど安彦審議官から御説明いただきましたので重複は避けますが、今日の議論の中で、これからの我が国の初等中等教育に関しての期待でありますとか、あるいはいろいろと提言は出ているが、本当にこれが実現するのだろうかといった、そういうやや心配の御指摘もあったところでございます。
 その中で複数の委員から、教育に対するリスペクトの重要性についての御発言がありました。これは、教育そのものに対するリスペクトということでございまして、本当に教育を大切にすることが、もちろん我が国の将来にも深く関わるわけですが、教育振興基本計画部会でまとめていただき、今回、先ほど総会で答申となりました内容の中にあるウェルビーイングに関しても非常に深く関わってまいります。
 個人としての豊かさ、幸福、そういったものと我が国の社会の豊かさ、幸福といったもの、もっと言えば世界の豊かさ、幸福にもつながっていく、そういったところの基本を教育が支えている。それを考えると教育そのものへのリスペクトにおいては、リソースをどのように考えていくのかが非常に大事であるということでございました。
 今後、まだ継続して次期においても議論を重ねていく義務教育と高等学校教育の在り方がございまして、これはさらにより良いものになるよう、様々な観点から議論を続けていくということで初等中等教育分科会は、本日最終回を迎えたということでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。それでは、永田副会長からもお願いいたします。
【永田副会長】 ありがとうございます。グランドデザイン答申が指摘した課題をこの第11期で煮詰めたところです。出口における質保証等、質の保証の問題が一番大きく残っています。大変難しいのは、どの程度学修できたかということについてです。なかなか何を指標にしていいかというのは今回も出きらなかったと思います。定性的なものの言い方はできますが、何かしら定量的な指標を見つけるのが難しいと思います。
 それから大学振興部会で出口における質保証の話をしていた中で、最後に少子化に関わる問題がクローズアップされました。今回話し合ったのは途中でなくなってしまう大学にいる学生さんをどうするのか、何とかしてあげないといけないのではないかというところだったのですが、その先のことにどんどん話は広がっていきました。今後、根本的に大学の設置の問題、それから設置した後にきちんとした大学であるように努力をいかにしたらしていただけるのかという問題です。それから、それでも不調に陥ってしまったときにどのように学生さんを救うのか、こういったかなりシビアな、しかし少子化がものすごい勢いで進んでしまっている現状の中では、もう逃れ得ない課題をこれからの中心課題として話していかないといけないことであろうと思います。
 グローバル化の問題については今、官邸でもいろいろと話が進んでいるようですが、具体的にずっと話されている内容がたくさんあって、少子化の問題のときには必ず留学生の話が出てくるのでグローバル化の問題にマージしていくわけです。これももう一度しっかりと、現実的に何を動かせばいいのかについて話していかないといけないだろうと思います。うまくいったところもありますが、話し合えば話し合うほど難しい問題があるということで、第11期を終えたということです。以上です。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。それでは、清原分科会長、お願いいたします。
【清原委員】  ありがとうございます。生涯学習分科会長を務めさせていただきました、清原慶子です。本日、藤江局長から御説明いただきましたように、この資料2の12ページに紹介されておりますように、昨年8月に『第11期の議論の整理』をさせていただきました。その際の副題には「全ての人のウェルビーイングを実現する、共に学び支えあう生涯学習・社会教育に向けて」ということで、私、そして牧野副分科会長をはじめ、複数の委員の皆様が「教育振興基本計画部会」にも所属していたこと、委員の中にウェルビーイングの専門家もいらしたこともあり、改めてウェルビーイングの概念について学び、そして生涯学習、社会教育の理念として位置づけたところでございます。
 そして、委員の皆様の御専門を報告していただく学びの中で「社会的包摂の実現」、「デジタル社会への対応」ということを強く再確認するとともに、文部科学省だけではなくて総務省、農林水産省、厚生労働省の地域コミュニティの取組の担当の方に御参画いただきまして、改めて地域コミュニティの基盤の中で社会教育、生涯学習が果たす役割への他の政策における期待なども確認をしたところでございます。
 そして2点目に申し上げたいのが、次期教育振興基本計画の目標と基本施策の中における生涯学習、社会教育の位置づけについてです。16の施策の目標の中に、もちろんその7番目として「多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂」や、8番目として、「生涯学び、活躍できる環境整備」、9番目として、「学校・家庭・地域の連携・協働の推進による地域の教育力の向上」、そして10番目に、「地域コミュニティの基盤を支える社会教育の推進」と位置づけられておりますように、明らかに社会教育や生涯学習の使命として位置づけているものもありますが、「豊かな心」ですとか、「健やかな体」ですとか、例えば6番目の「主体的に社会の形成に参画する態度の育成・規範意識の醸成」など、学校教育だけではなくて家庭教育、そして地域の社会教育、生涯学習が一体となって育むべき施策の目標が列挙されることになりました。改めて、初等中等教育、高等教育と生涯学習、社会教育が適切な連携をすることによってお一人一人が生涯にわたって学び続けることができる、そうした条件整備ができるものと確信しているところでございます。
 最後に3点目でございます。本日の資料の13ページ以降に、特に14ページに「ウェルビーイングの実現に向けた生涯学習・社会教育の推進」とあります。そして次のページに、15ページですが、「「地域の学びと実践プラットフォーム」のねらいと効果」と書かれており、これらの基本的な方向に基づいて、実は次のフェーズに、特に藤江局長、里見審議官のコーディネートにより文部科学省の若手の職員が一体となって、今期中にぜひ「工程表」の作成をということで、23ページ以降に令和5年度から令和6年度、7年度以降、こういうことをするという「工程表」までつくり上げてくださいました。
 この「工程表」をつくるというのは、分科会にとっても大きな責任でございます。ただ、これを書けばいいというのではなくて、委員の皆さんもこの年が明けてからこの「工程表」をいかに的確に実現していくか、これらの実現は文部科学省だけではなくて自治体の教育行政、そして民間の皆様のお力によるものですので、ぜひ発信をして、全国的にこの生涯学習、社会教育の担い手を広げていこうというような思いを分科会では共有して、今期を終了したところです。未来に向けて、これからもバトンを渡しながら努めていきたいと思います。
 以上です。どうもありがとうございます。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。それでは、この議題2については次の12期に向けてどう課題を認識していくかという視点になると思いますが、御意見ございましたらお願いします。いかがでしょうか。
 渡辺弘司委員、お願いいたします。
【渡辺(弘)委員】  渡辺です。12期に向けての課題に直接関係しないのですが、よろしいですか。
【渡邉(光)会長】  渡辺委員お願い致します。
【渡辺(弘)委員】  本日が最後回なので。本日午前の初等中等教育分科会のときにも御発言しましたので重複する委員の方もおられると思いますが、運営に関してお願いです。各委員の発言時間を何らかの形でルール化していただければというお願いです。
 毎回、非常に資料が多く、資料説明に結構時間を要するところがございました。ただ、回の途中で事前レクというアイデアを清原委員が出されて、それにより改善されてきてはいましたが十分ではなかったように思います。会の終了時、会長から発言時間が足りなくなって御発言できなくなった委員は、後からメールでと言われるのを大変残念な気持ちで聞いておりました。そのような対応をしなければならないとしても、参加されている委員の方々は会議の中で発言されたいと思われるのではないかと感じていました。
 発言時間にルールを設けるのはなかなか難しいこととは思いますが、できるだけ多くの方が発言していただけるような工夫を、今後、ぜひ御検討いただければありがたいです。内容に直接関係してではないので申し訳ないですが、よろしくお願いします。
【渡邉(光)会長】   どうもありがとうございます。この11期においても今お話にあったように事前説明会を設けるとか、部会運営で議論を深めるようにするとか、いろいろな工夫はして参りましたが、さらに工夫ができるかについて事務局にて御検討をいただければと思います。
 ただ部会でも3時間ぐらいの審議をしてまいりましたので、その時間を延ばすことが逆に委員の御負担になるのではないかという面もありますから、そのあたりのバランスも含めて事務局で工夫できることがあるのかどうか、御検討いただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。堀田委員、お願いいたします。
【堀田委員】  堀田でございます。私は初等中等教育分科会に所属しまして、荒瀬分科会長の辣腕ぶりにいつもすごいなと思っておりました。その下で特別部会や、教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキング、こちらでは座長をやりましたし、義務教育の在り方のワーキングにも所属させていただきました。
 今、初等中等教育はGIGAスクール構想によって、その前提となる学習基盤が大きく変わったタイミングでございます。今期の学習指導要領も、それを予想していたかのようにコンピテンシーベースの非常にすばらしい学習指導要領になっております。しかし学校現場は、やってきた端末をどうやって使いこなせばいいかと、まだ試行錯誤中の部分もございます。実効性を伴って教育効果になっていくまで、まだ数年かかろうかと思いますし、その間にGIGA端末のリプレイスが恐らくやってくると。
 こういう状況の中で、この学習基盤であるところの端末や、あるいはネットワーク、デジタル教科書、デジタル教材等、そういうような学習基盤をきちんと全国全ての学校に保障し続けるというのはなかなか難しいことかと思いますが、公立学校のみならず、私立学校もありますし、これを国として財源の問題等、難しいかと思いますが、いましばらくしっかりとお支えいただきたいと思うところでございます。私からは以上です。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございます。堀田委員には教育DX全般を通じて、この11期においても大変な御活躍をいただきまして、本当にありがとうございました。御指摘のように教育DXについては、まだ第一段階に過ぎないとの御指摘もございました。それを今後さらに充実させていくことと、それから今後のパソコンの保守コスト、校務支援システムに至るまで設置者の負担とのバランスの問題も出てくると思いますので、引き続き御尽力をお願いできればと思います。
 それでは、ほかに御意見はございますでしょうか。それでは今、各分科会長からいただいた御意見、それから今の御意見も含めて、次期の中教審の審議に生かしていただくようお願いしたいと思います。この議題の2についても以上とさせていただきたいと思います。
 それでは、簗副大臣が到着されましたので、答申を簗副大臣にお渡ししたいと思います。報道関係者の方に入っていただいてからお願いいたします。
(プレス入室)
(答申手交)
【簗副大臣】  ただいま、渡邉会長から次期教育振興基本計画について答申をいただきました。本件につきましては令和4年2月の諮問以来、約1年にわたって大変精力的な御審議を賜りました。新型コロナウイルス感染症への配慮が依然として必要な中で、オンラインをうまく活用いただきながら渡邉会長のリーダーシップのもと、次期の時代にふさわしい新しい教育振興基本計画の答申をお取りまとめいただけたものと受け止めております。委員の皆様方が英知を結集され、熱心な御議論のもと、教育段階を横断した充実した内容の答申をおまとめいただきましたことに深く感謝申し上げます。
 コロナ禍の下、約3年が経過し、教育行政も新たな局面を迎えています。グローバルな交流の回復や教育DXのさらなる推進、不登校、いじめ等への対応、部活動の在り方、教師の人材確保や働き方改革、文理横断、文理融合、そして少子化への対応など、様々な課題に待ったなしで取り組んでいく必要があります。
 お取りまとめいただいた答申を踏まえ、政府部内でもさらに検討し、新たな教育振興基本計画として決定していきたいと考えております。併せてまして、全国の教育現場や教育委員会をはじめとする関係者の皆様にしっかりと計画の趣旨が伝わるよう、積極的な周知広報にも取り組み、実効性のある計画としてまいりたいと考えております。
 委員の皆様方におかれましては、引き続きそれぞれの立場から、計画の実行のために変わらぬお力添えをいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。誠にありがとうございました。
【渡邉(光)会長】  それでは、プレスの皆様、ありがとうございました。一旦退出していただきたいと思います。
(プレス退室)
【渡邉(光)会長】  それでは、本日は第11期最後の中教審総会でございますので、副大臣から改めて御挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【簗副大臣】  委員の皆様におかれましては、令和3年3月の第11期中教審発足以来、2年間にわたり精力的な御審議を賜り誠にありがとうございました。
 この2年間は、新型コロナウイルスの感染拡大や国際情勢の不安定化といった出来事が起こりました。また、子供たちの教育ニーズが多様化し、社会の情報化、デジタル化が進む中で学び方や教師の在り方、働き方といった様々な学校現場の課題も浮き彫りになりました。
 委員の皆様におかれましては、こうした課題に真摯に向き合い、この2年間に教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申や次期教育振興基本計画の答申をおまとめいただくなど、我が国の教育の方向性を定める審議をいただいたことに心より感謝申し上げます。
 教育は国の礎であり、成長の原動力です。社会が直面する諸課題を乗り越え、我が国が新たな時代へと歩みを進めるためには、累次にわたる答申をはじめとした皆様からの御提言を踏まえ、教育政策を着実に推進していくことが重要であると考えております。文部科学省としましては中教審での御審議を踏まえ、誰一人取り残さず全ての人の可能性を引き出すための教育の推進にしっかりと取り組んでまいります。
 結びになりますが、コロナ禍において会議の開催について多大なる御協力をいただきました中教審の渡邉会長をはじめ、委員の皆様方の御尽力に対し、改めて心より感謝申し上げまして御礼の御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。最後に本日が締めくくりとなりますので、私からも御挨拶差し上げたいと思います。本日、教育振興基本計画の答申をさせていただいたわけでございますが、私自身がこの11期をもって退任ということになりますので、少しお時間をいただいて御挨拶をさせていただきます。
 私が中教審の委員になりましたのは、平成28年でございました。ちょうど第3期の教育振興基本計画が審議段階に入ったタイミングであり、その後、第10期と11期に中央教育審議会の会長を務めさせていただいたということでございました。
 この期間を振り返ってみますと、日本の教育の歴史を紐解いたとしても非常に大きな節目にあったのではないかと感じておりました。同時に、未来志向の教育改革のステージだったということも強く感じておりました。先ほどの答申の提出のときにも申し上げましたが、ちょうど昨年、令和4年は学制150年の節目だったということでございました。この学制150年について、明治の学制公布のときからちょうど半分の期間というのが終戦後の昭和22年です。ここまでが75年ですから、この期間は日本の教育の近代化、キャッチアップのステージだったと思います。
 それから、この戦後の教育基本法の制定から今日までがその後半の75年になると思いますが、これが近代的で民主的な教育基本法に根差した教育を進めてきた期間ということなると思います。ただ、これも今の世界情勢や、日本の教育を取り巻く環境の中で大きな節目を迎えたという状況だったのではないかと思います。
 この節目のときに、ちょうど教育振興基本計画が検討されたわけですが、諮問を受けた際にも申し上げたとおり、この時代というのは非常に不確実で、世界情勢もこれから変化が激しいときと言えます。したがって、これは答申の中にもあるVUCAの時代であり、この教育というものを船に例えるならば、この船はVUCAの海を行くようなものであります。だから羅針盤が必要であるということをお話しさせていただきました。
 もう一つの視点は先ほど申し上げたように、第3期の教育振興基本計画の全体を眺めたときには、大きな未来志向の教育改革のステージだったということを強く思いました。この第3期の教育振興基本計画の期間中にはいろいろな答申が出されているわけですが、特に永田分科会長を中心にまとめていただいた高等教育のグランドデザイン答申はこの第3期の期間というものが未来志向の教育改革のステージだということを明確に示していただいた答申だったと思います。
 その後、このグランドデザイン答申に基づいて、「教学マネジメント指針」や教育の質保証の問題、それから今後、経営環境が悪化した際に学生をどう保護するのかというような少子化対応の問題なども、未来志向の教育改革という視点にあるものだと思います。
 それから初等中等教育では荒瀬分科会長中心に、今日の11期の審議報告にもありましたように、「令和の日本型学校教育」という全体の体制を整備していただきました。特に教育振興基本計画のもともとの思想の中に入っていた、自立・協働・創造という理念に基づいて個別最適な学び、協働的な学び、そしてこれが深い学びにつながり、さらに創造性につながるような大変重要な検討をいただいたと思います。
 これと働き方改革の答申、そして教師の養成・採用・研修の在り方の答申を含めた3つの答申というのは三位一体の答申だと思います。初等中等教育段階を未来に向けて位置づけた答申だったのではないかと思います。
 それから、清原分科会長にも大変重要な検討をしていただいたと思います。この生涯学習、それから社会教育の振興方策というのは、教育基本法が改正されたときの議論で最も重要な議論だと思いますので、今期それが振興方策という形でまとめられたことは、これからの位置づけとしても非常に大きかったのではないかと思います。
 このように、この期間に答申が幾つも出されましたし、それからいろいろな提言もされました。これは今日の報告にありましたように、まさしくこの期間の集大成がこの教育振興基本計画だったと思います。したがって、先ほどの例えで言うならばVUCAの時代を行く船にこの5つの基本的な方針と、それから16の目的を持った施策が乗せられた、まさしく羅針盤がこの船に乗せられたのだと思います。
 そして当然、この船の向かうポラリスの方向性というのは、教育基本法の理念体系そのものだと思います。このポラリスに向かってこれから船が行くわけですが、そのときに灯台のようにその方向性の光となっているのが今日の答申の中にある2つのコンセプトなのではないかと思います。2040年以降の社会を見据えて持続可能な社会を創っていく人材を育てていく、それからもう一つは日本社会に根差したウェルビーイングという、多様な子供たちがウェルビーイング、幸せになっていくこと、ひいては社会全体が幸せを実現していくこと、こういうコンセプトでまとめてあると思います。こういったポラリス、灯台の光、そして羅針盤と、これが全てそろったのが今回の教育振興基本計画ではないかと思います。
 このメッセージをこれから委員の皆様にもぜひ伝道師になって広げていただきたいと思いますし、文科行政の中でもこれから教育委員会等にぜひ浸透していただきたいと思うのと、それから世界に向けてメッセージをぜひ発信していただきたいと思います。折しもG7の広島サミットに向けて、富山、金沢で教育大臣の会合があるわけですから、こういった機会をぜひ生かしてこのメッセージを世界に発信していただきたいと思います。いずれにしましても、文科省にはこれからも大きな期待をするわけですが、中教審の運営に当たっても大変な御尽力をいただいたと思います。この場を借りて深く感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 それから委員の皆様、副会長、分科会の委員の皆様、大変長きにわたって御審議をいただいたことに本当に感謝を申し上げたいと思いますし、皆さんに敬意を表したいと思います。皆さんは各教育分野で非常に重要な役割を果たしてこられていますから、これからもぜひ御活躍いただきたいと思います。私は皆さんのような立派な方々と、そして文科省の皆さんと、未来に向けた教育改革にとって非常に重要な時期を御一緒できたことを大変誇りに思っております。そういった意味では、皆さんにはますますこれからも御活躍いただきたいということと、御健勝を祈念したいと思います。それから日本の教育がますます発展されることを祈念いたしまして、私の退任の挨拶とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
(拍手)
 それでは、本日の会議は以上とさせていただきます。本当にありがとうございました。
 
―― 了 ――

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