中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教科に関する専門的事項に関する検討委員会技術・情報ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

令和5年5月16日(火曜日)13時30分~15時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 主査等の選任<非公開>
  2. 教科に関する専門的事項に関する検討について(技術・情報)
  3. その他

4.議事録

議事(1)主査等の選任(非公開)

【高橋主査】 それでは、情報技術の教科に関する専門的事項に関するワーキンググループの立ち上げに必要な手続が終了しましたので、これより議事を公開いたします。
 改めまして、主査を務めることになりました、高橋でございます。よろしくお願いいたします。一言御挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
 親会議のほうでも申し上げましたが、教職を取り巻く現状といたしましては、養成、採用、研修、働き方、あらゆることに課題というか、話題になっていることが多くあるのが現状だと思っております。一つ一つ丁寧に解決していくことが重要で、このワーキンググループ、この会議そのものも、そういった丁寧な改善に向かっていくために、非常に重要な会議と感じているところであります。
 特に、この情報と技術に関しては、免許外で指導されている先生の数が、あらゆる教科の中で突出して多い傾向にあると感じておりますので、そういったことをよりよくしていくという観点からも、丁寧に議論を進めていきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
 続いて、主査代理の安藤委員からも一言いただけますでしょうか。

【安藤主査代理】 ありがとうございます。安藤です。
 昨年まで教員養成大学で、技術の教科教育の担当をしておりました。今、高橋委員からあったように、技術科の内容に興味はあるけれども、実際に免許を取得する学生というのが伸びず、非常に課題だと思っております。この会議で、より健全な技術科、及び情報の教員が増えていくということにつながればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋主査】 安藤委員、ありがとうございました。
 続きまして、文部科学省、樫原室長から御挨拶をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】 文部科学省教育人材政策課教員免許・研修企画室長をしております、樫原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 中央教育審議会、初等中等教育分科会教員養成部会、教科に関する専門的事項に関するワーキングの第1回に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 このたびは、本ワーキンググループの委員に御就任いただき、誠にありがとうございますし、また、日頃から我が国における教育の振興に様々なお立場から御尽力いただき、重ねて御礼申し上げます。
 本ワーキンググループは、令和4年12月19日の中教審答申において提言された、教科に関する専門的事項に関する科目の必要な見直しを行うため、5月12日に開催された教科に関する専門的事項に関する検討委員会での議論の結果、検討委員会の下に設置をされることになりました。
 本ワーキンググループでは、技術、情報の専門的事項の科目区分、内容の適切な在り方について御検討をいただくことを予定しております。技術、中学校の技術と高校の情報については、どちらも最近、重要性が言われております、STEM教育、STEAM教育といった分野で大変重要な位置を占める教科である一方、この両方の教科ともに、免許を持った教員の数が少なく、結果として、免許外の教員が発生している事案が非常に多いなど、そういった部分で、免許制度的に課題を抱えているところでございます。
 委員の皆様におかれましては、円滑な教員免許状の取得に向け、活発な御議論を頂戴いただきますようお願いを申し上げて、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋主査】 ありがとうございました。それでは、早速、議事(2)について審議をしたいと思います。
 まずは事務局より、本委員会の設置について、また、検討事項全体についての御説明をお願いいたします。

【樫原教員免許・研修企画室長】 それでは、御説明をさせていただきますので、資料1を御覧ください。画面のほうにも資料1が映っているかと思います。
 まず、教科に関する専門的事項に関するワーキンググループの設置についてということで、これは今年の5月12日、先週の検討委員会において決定をされたところです。
 設置の目的としましては、教科に関する専門的事項に関する検討委員会の設置について、2ポツに基づき、委員会の下に、ワーキンググループを次のように設置するとなっております。
 検討事項につきましては、検討委員会での審議の結果、理科、技術、家庭、情報となりましたが、今回、技術と情報につきましては、内容的に重なる部分も多いことから、これを1つのワーキンググループとして設置をさせていただきました。
 設置期間につきましては、検討事項に関する検討が終了したときに廃止するものとしております。
 委員会への報告については、ワーキンググループの検討状況は適時に委員会へ報告するものとする。委員会からの求めがあったときは、ワーキンググループの検討の経緯を委員会に報告するものとするとされております。
 続きまして、検討事項の基礎的な資料につきまして、資料の3を御覧ください。まず、技術、情報に関する専門的事項に関する検討資料ですが、そもそものきっかけとなりましたのは、令和4年の12月答申における提言でございます。
 この中で、もともとここは小学校などの教科担任制などが書かれている部分なんですけれども、その中に、また、既に小学校や中学校の免許証を有する現職の教師等についても、免許法認定講習や大学での科目等履修等により、複数校種、複数教科の免許状保有を促すことも重要であるということが書かれております。
 その下に、教科に関する専門的で科目についても、学習指導要領等との整合性について改めて確認することも重要である。教育職員免許法施行規則に掲げる事項が多い教科について、中学校二種免許状を取得しようとする場合、同規則で定める最低単位数を超える単位の取得を要するケースが生じている。このため、教科に関する専門的事項に関する科目について、専門的事項の数が多い教科を中心に必要な見直しを行うべきであるということが御提言をいただいたところでございます。
 詳しい背景につきまして、そもそも制度の概要から御説明をさせていただきます。免許状の授与に必要な単位ですけれども、中学校の一種免許状の場合には、最低必要単位数が59、2種免許の場合には最低必要単位数が35、一方で、高校については、二種免がなくて一種免しかございませんので、こちらのほうは59となっております。
 これの内訳ですけれども、次のページを御覧ください。内訳の中に、いわゆる教職系の科目というのもあるんですけれども、教科系の科目も大きく2つに分かれておりまして、イの教科に関する専門的事項と、ロの各教科の指導方法、これを合わせて28ということが中学校、高校においては、24ということが高校となっております。
 指導法の部分については、一種8単位以上ということで、二種は2単位以上となっておりますので、次のページになりますが、差引きで考えると、教科の専門的事項については、一種であれば最大20単位、二種であれば最大10単位の履修が必要となっております。これは免許の取り方によって多少違いは出てくるんですけれども、1ポツ、免許法別表第1というのが、いわゆる大学の教職課程でストレートに取った場合、これも28引く8は20、12引く2は10必要ということです。
 それから、2ポツにあります、免許法別表第4というのは、同一校種の他教科の免許証を取得する場合でして、中学校の普通免許状を有している、ほかの教科の免許を有している人の場合は、教科の専門的事項は20、二種の場合は10必要ということになっております。また、免許法別表第8というのは、隣接校種の免許証を取得する場合ですけれども、これは小学校の場合は、小学校普通免許状プラス3年以上の勤務経験プラス、教科の専門的事項が10、これは、場合によっては軽減される部分がありますけれども、高校についても同じような形で、教科の専門的事項、内容を含むものを含んだ単位数の取得が必要となっております。
 その上で、中学校20、高校10ということを前提とした場合、その内訳なんですけれども、教科に関する専門的事項の科目区分というものがございます。科目区分の数ですけれども、中学校で、少ないものですと3というのがありまして、多いのは4とか5なんですけれども、一番多いものが理科の8で、2番目に多いのが技術の6になっております。これが最低1単位以上履修が必要ということになるんですが、実際には大学の科目の開設というのは、専ら2単位で行われていることが多いので、6としてしまうと2×6で、12ということで、実際には10単位で二種免の場合は足りるところを12単位取らなければならないという問題が発生しているというところでございます。
 続きまして、高校です。高校の場合は、一種しかないので、あまりそういう問題は発生しにくいんですけども、これもかなりばらつきがあって、国語とか公民であれば3で必要なところ、次のページになりますけれども、実は情報というのは6、家庭科も6、福祉は7ということで、このように科目数が多いものがあるということでございます。
 改めまして、今回対象となっている技術、情報の科目区分の改正の変遷というのをこちらのほうにまとめました。技術については、昭和37年当時から、最初からございますが、このときには、1つは設計及び製図というのがあって、その次に、木材加工及び金属加工、そして農業、そして工業というのがございました。そこから、いろいろ改正を経ていますが、基本的な考え方は、平成元年のときに情報基礎というものが追加をされたということで、実は情報基礎というのが、今で言うと、情報とコンピュータという形に変わっていますけれども、その部分が、名前は変わっていますけど、内容的にはほぼ変わらない状態でずっと続いている、30年以上ずっと変わらない状態で続いているところになっております。
 一方で、情報については、これは比較的新しい免許種でございまして、平成12年の7月1日の省令のときに、最初に6区分を定めたところで、ここも基本的には変わらず、ずっと来ているということになっております。
 次のページを御覧ください。それを課程に、こういう教職課程を置いている大学の数はどのようになっているかといいますと、大学のうち、大体500あまりの大学が何らかの形の中学校ないし高校の教職課程を置いていることになっております。この数はあくまで大学単位で数えていますので、1つの大学で、例えば教育学部と工学部と両方で取れるという場合であっても、1とカウントをされているところでございます。
 この課程認定大学数を教科別に見てみると、注目をすべき数字が出てくると思います。これは例えば、多いものですと英語が301、社会科が289、これは大学だけの数字を申し上げましたが、そういった部分で大きくなっているのに対して、保健とか宗教とか外国語、これはいわゆるフランス語とか、そういう外国語とかは少ないですが、技術が63ということで、かなり設置している大学数が少ないということになっております。
 63の内訳ですが、国立の大学が44で、私立の大学が19となっております。私立で、技術の教職課程を設置している大学の数というのは極めて少ないんですけれども、19の地理的な所在の状況を見ますと、例えば、関東圏とか、もしくは関西圏なんかは多いんですけれども、中部圏は全く私立がない。そういうこともあって、実は1大学に技術の教員の全く養成していない県もあれば、1個しか養成大学がないという県も多々あるという状況になっております。
 一方で、情報につきましては、どちらかというとそれほど数は少なくなく、むしろ数学とか理科に比べても、多めの教職課程が設置をされているというところでございます。
 続きましては、教員免許の授与件数ですけれども、大体、中学校で5万件弱、高校で6万件弱の免許が授与されておりますが、これも教科別に見たところ、中学校に関しては、年間、500件程度しか授与がされていない。これは、設置している大学の数の少なさということもありますし、履修している学生の少なさということもあるのかもしれませんけれども、年間で免許を授与している数というのが、そもそも500人しかいない。必要数を単純に教科別で比較することはできませんが、目安として標準授業時数、中学校ですので標準授業時数を基に考えてみると。そうすると、高校というのは大体5,000件免許を授与していると。年間の標準授業時数が、中1、中2、中3は385と、これを基本として考えたときに、例えば多いものですと、保健体育の免許は、国語の免許の大体1.7倍ぐらい出しているけれども、授業時数については、むしろ国語よりも少ない。そういう意味では、総体的には保健体育は多くの免許が出て、必要数に対して比較的多くの免許が出ている。
 そういった考え方をすると、実は技術というのが相対で比べたときに最も低い。どれぐらい低いかというと、国語を標準として考えると、授業時数は国語の0.23倍なんですけれども、実際の免許の授与件数でいうと0.1倍しかない。つまり、国語と比較すると半分の割合しか免許が授与されていない。そういった意味で見ると、理科とか数学とか、まさにSTEM、STEAM系の教科というのは、全体的に免許の授与件数自体が少ないということになっています。そのことでどのような影響があるかということについては、次のページを御覧ください。
 すみません、その前に高校です。高校は、情報の免許授与件数が大体1,200件ということで、これは比較的少なくはないけれども、多くもないという水準になっております。
 教員の採用試験の状況ですけれども、中学校が4.7倍、高校が5.4倍というのが直近の数字になっておりますが、一方で、教科別に見たところ、中学校の技術は2.1倍ということで、そもそもの問題として、中学校の技術に関しては採用の枠も小さいのではないかとよく言われておりますが、採用の枠が小さいこと以上に、そもそも受験者数が十分ではなく、そのことが倍率として2.1倍ということで、一番低い倍率になっているということがございます。
 高校の情報につきましても、高校の情報は4.7倍ということで、高校全体の5.4倍に比べたらやや低いということが実態としてございます。
 続きまして、採用倍率の低さということがどこにつながっていくかという話ですけれど、臨時免許状の授与件数で見ますと、中学校の技術が全教科の中で一番多い。高校については、一番ではないですが、比較的多いという状況になっております。臨時免許状だけではなくて、もう一つ、免許外担任の制度についてですけれども、これも中学校でワーストになっているのが技術で、高校でワーストになっているのは情報です。
 そういうこともあって、基本的に、いかに文部科学省としては、特に免許外の部分を減らして、ちゃんと正規の免許を持った人が学校の教壇に立って指導できるか、そのための養成の在り方がどうなのかというところまで立ち返ったときに、先ほどの教科専門の在り方というところも一つ課題になってくるのではないかと考えております。
 私のほうからは以上ですので、この後、教科調査官のほうより、科目の編成について御説明をさせていただきます。

【渡邊調査官】 中学校技術・家庭科技術分野教科調査官の渡邊です。
 それでは、私からは、学習指導要領の改訂に伴う技術分野の学習内容の変遷を説明させていただきます。今、資料4が出ていますが、そちらを御覧ください。
 技術・家庭科は昭和33年改訂において、生活の向上と技術の発展に資する表現、創造の能力を育成するために始まりました。このときは、技術・家庭科の男子向きとして、いわゆる技術分野の内容が設定され、1年生で設計・製図、木材加工・金属加工栽培、2年生では栽培の代わりに機械、そして3年生では電気、機械と、それまでの学習を生かして、目的を実現する問題解決を行う総合実習が行われていました。また、設計目的に応じて検討を行う考案設計の学習が重視されていました。
 昭和44年改訂では、生活に必要な基礎的な技術を実際に活用する能力の育成を目的として精選が行われ、実際の指導順序と関わりなく、各領域の構造を表すように項目が組織されました。例えば、木材加工や金属加工では、設計から材料、用具、測定、安全、消費的知識、技術と生活までの学習が行われました。
 昭和52年改訂では、男女別学が導入され、男子はAからEの技術に関する9領域から5領域、そして家庭の内容に関連するFから1領域を履修するようになりました。また、学校の裁量により、地域や学校の実態、生徒の必要に応じて、領域や内容を選択し、計画できるようになりました。
 次のページに移ります。平成元年改訂では、男女共修が導入されました。そのため、これまで技術・家庭科の時間は、男子はほぼ技術のみを、女子はほぼ家庭のみを学習していたのが、技術と家庭両方を学習することになりました。その結果、それぞれを学習する時間は半分となりました。木材加工と電気は必修とし、家庭と合わせた11領域の中から7領域を学校で選び、学習をしました。
 また、今後の社会に必要な技術の要素として、新たに情報基礎が追加され、コンピューターの仕組み、その利用方法と簡単なプログラムの作成、いわゆるプログラミング、その利用、日常生活や産業で果たしている情報やコンピューターの役割と影響について学ぶようになりました。ただし、このときは、選択領域の中に入っていたということになります。
 平成10年改訂では、技術分野と家庭分野でそれぞれ目標が設定されます。それまでは技術・家庭科としての目標のみだったのですが、ここから技術分野と家庭分野、それぞれに目標が設定されました。そして、技術とものづくりと情報とコンピューター、2つの内容を学習することになりました。情報に関する内容が必修化されるとともに、AとBそれぞれの内容には、必修の項目と選択の項目が設定されました。
 平成20年改訂では、これまで内容として学習されてきた現代社会で活用されている多様な技術を4つに整理しなおした内容、いわゆる材料と加工、エネルギー変換、生物育成、情報の4つについて、それらを全て必修化としました。あわせて、情報の内容として、プログラミングも必修化されました。また、栽培は、いわゆる畜産や水産を含んだ生物育成という形で拡大され、栽培または飼育を含むようになりました。
 そして、現行である平成29年の改訂です。学習指導要領が資質・能力で示す形に変更されたことから、小学校との学習のつながりに配慮して、示す技術の内容の順番の変更を行うことにしつつ、資質・能力の育成という観点から、各内容の学習過程を示し、生活や社会を支える技術、技術による問題の解決、社会の発展と技術の3つの要素で、それらを構成することとしました。
 また、3年生の技術による問題の解決の中では、統合的な問題を取り扱うとともに、今後の社会の発展を踏まえ、情報の技術では、プログラミングに関する内容を倍増しました。
 以上で、これまでの技術分野の学習内容の変遷の説明を終わります。

【高橋主査】 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、御質問等ございましたらお願いしたいんですが、どなたか質問等ありませんでしょうか、といっても委員の数が少ない感じですね。安藤委員、いかがですか。なければなくても構わないんですが。

【安藤主査代理】 ありがとうございます。
 先ほど御説明いただいた資料のP13で、課程認定の大学の数字が出たと思うんですけれども、これは大学院というのは教職大学院ですか。専門の従来あった大学院もありましたけど、令和4年ということですから。

【樫原教員免許・研修企画室長】 これは全て含みます。ですので、教職大学院も入りますし、例えば工学部の大学院というのも当然含んできます。工学研究科のようなものですね。

【安藤主査代理】 ありがとうございます。分かりました。

【高橋主査】 ありがとうございました。ほかに長谷川委員、いかがでしょうか。質問なので、別になければなくても構わないんですが。

【長谷川委員】 そうですね、こうした状況というのは、教科のいわゆる授業時数の変遷等を見たときに、ある程度予測されておられたのか、技術の先生が足りなくなるのではないかということと養成というのはきっと連動すると思うので、その辺りで打ってこられた取組をお聞かせ願えたらなと思います。

【高橋主査】 このことは少し重要なことだと思いますし、次の議題とも関連が強いと思いますので、次の話題のときに、改めて審議させていただきたいと思っております。
 質問、私からというのもなんですけど、一つ確認なんですけども、資料3のところの、スライドの番号でいうと、3と書いてあるところですけど、下側のところに、イ、ロのところに教科に関する専門的事項と、各教科の指導法というイとロの違いと、渡邊調査官が御説明いただいたことは、どちらかというと、ロの内容に関係するのかななんて思いながら、この辺が親委員会のときでもいろいろ議論が行ったり来たりしたので、改めて樫原さんから説明いただけますでしょうか。

【樫原教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。まず、教科に関する専門的事項のほうですけれども、まず、大前提として、教員養成というのは、大学による養成が原則になっております。もう一つの原則が、開放制の原則がございます。
 そうしたときに、基本的に大学の、特に教科に関する専門的事項というのは、大学教育の科目、いわゆる大学教育でいうと当然系統性があって、学問体系があるんですけれども、その学問系統に合致するような形で学んでいく、深く学んでいくというのが、教科に関する専門的事項でございます。
 一方で、各教科の指導法については、どちらかというと、まさに児童生徒に対してどのように教えるかということを念頭に置いておりますので、基本的には学習指導要領で取り扱う内容を網羅するという部分が中心になって、基本的にはまさに指導要領の話をカバーするという意味で、イとロというのは、どちらかというと教科というか、科目の成り立ちというか、若干そういうところが違うのかなと考えております。

【高橋主査】 ありがとうございます。つまり学習指導要領の内容をしっかり教えるという内容は、どちらかというと、ロに相当する内容で、イの専門的事項というのは、それを大幅に上回るというか、大学教育として学修する内容がイだと。当然、教職科目以外の専門的な学修もしていて、その学部・学科そのものが免許に関係する、きちんと学位に相当する学修をしているかという、この周辺にも様々、専門的な学修を行っているはずだと。だから大学を出ているということが免許の前提になっているというような理解だと思っております。ありがとうございました。
 それでは、特に御質問ないようですので、それでは、事務局の説明を踏まえまして、議事(2)については、資料6の論点例を参考に審議していきたいと思っております。資料6を御覧ください。事務局において、論点例を提示していただきましたが、これについて、私のほうから、まず、説明させていただきたいと思います。
 資料6は、技術についてと情報についてというように2つございます。これ自体は、親委員会のほうでも、ほかの教科共通で、こういったことを議論しようと話題だったことでもございますし、本当に技術科とか情報科で教員を養成するというのは、本当に様々に幅広い問題等ございますが、本ワーキングですので、その中で集中的に審議することが何なのかということを論点例として考えて、提示していただいたんだなと思っております。
 まず、技術科についてでございますが、6個の専門的事項がございます。先ほどの御説明にありましたとおり、木材加工(製図及び実習を含む)、金属加工(製図及び実習を含む)、機械(実習を含む)、電気(実習を含む)、栽培(実習を含む)、情報とコンピューター(実習を含む)ということが書かれております。こういう教科に関する専門的事項に関する科目区分の区分数の在り方、特に中学校に関しては二種免許状がございますので、この科目区分のとおりに単位を取得していくと、二種としての免許の意義があるのかというような御説明もあったかと思います。
 また、科目区分の内容について、ここは今、6個挙げられていますが、専門的事項ですから、学習指導要領とぴったり合うという必要はないと思うんですが、学習指導要領の内容を教えるために、どういう事項を専門的に勉強するかという意味での例示だと思いますので、学習指導要領との関係であるとか、ほかの教科とかではあるんですけども、中高の連続性を考えて、ひょっとしたら技術と情報で連続性を持たせるべき事項があるかもしれませんので、そういうことについてであるとか、最後、3番目のポツですが、教科に関する専門的事項に関する科目区分全般における記述の在り方について、特に括弧書きについて、どう扱っていくのかということは多く考えがあるかなと思います。例えば、外国語、英語とかは当然、話せて当然だと思いますが、そのための実習を含むとか、実際に会って話すということが書かれておりません。実習といった括弧書きが、ある教科、ない教科とかございますので、横にも見ながら、技術の専門として、しっかり専門的な内容が学べるかどうかみたいなことが、一つ話題になるんじゃないかと思っております。
 めくりまして、情報についても、6個の区分がございます。情報社会及び情報倫理、コンピューター及び情報処理(実習を含む)と、情報システム(実習を含む)、情報通信ネットワーク(実習を含む)、マルチメディア表現及び技術(実習を含む)、情報と職業ということになります。こちらも技術科のところで説明させていただいたとおり、科目区分の区分数であるとか、区分の内容についてとか、記述全般についてが論点例になるかなと思っております。
 おおよそ、少し大ざっぱな御説明になりましたが、論点例の説明は以上とさせていただきたいと思います。
 それでは、論点例も参考にしながら、御質問も含めて御意見を伺いたいなと思います。委員の数も多くはございませんので、長谷川先生、さっきの続きも含めて、御質問、御意見等いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【長谷川委員】 慌てちゃいまして、失礼しました。3つの論点例ということで、こういったことについて、しっかり話をしていきたいなということでお話がございましたけれども、私は校長をしておりますけれども、この春の状況ということで少し申し上げると、教育委員会と一緒になって技術の先生を探しました。一旦退職された方にお願いするというような現状も多々ありました。退職された先生はすごくいい授業をなさっていただけるので、ありがたいことではあるのですが。
 こうした状況ですから、先ほど事務局からの御説明にもありましたように、様々な形で多くの方に技術、あるいは情報の免許を取っていただけるという状況をつくっていくというのは大変大切なものだと思います。また、教科に関する専門的事項に関する科目区分数の在り方については本当に奥が深いことですので、今、社会に求められている状況等も含めて、よりよい着地点を求めていくというのは、この会議のもつ意味じゃないかなと感じた次第です。

【高橋主査】 長谷川委員、ありがとうございました。それでは、先ほどの見通しがどうだったのかみたいな質問も含めて、樫原さん、何かあればいただけますか。

【樫原教員免許・研修企画室長】 事務局でございます。私のほうも、今、手元に例えば免許外教科担任などの網羅的な数字を持ち合わせているわけではないんですけれども、私も十数年前に教育課程を担当しておりまして、その中で、技術家庭科の技術も私が担当していたときから、どちらかというと、やはり免許外の教員の割合は比較的高いということは、長年にわたって言われてきました。
 それに当たって、何をしてきて、何をしてこなかったのかということですが、少なくとも何をしてきたかということに関して、特に授与件数の少ない免許を授与する場合、特に1枚目ではなく2枚目として取る場合、もしくは現職教育で取る場合、免許法認定講習という制度がございます。免許法認定講習は教育委員会なり大学なりが設置をしますが、この場合には、補助事業というものを文科省として設けているというところです。、基本的には、費用は、国が100分の100見るという立てつけで事業を実施しており、なるべくそういう免許法認定講習で取ってもらうという観点では、施策は進めてきたところでございます。
 一方で、教職課程という部分について言うならば、まず、そもそもの問題において、教職課程は大学が基本的に申請をして、それを審査して認めるという手はずになっておりますので、それは国立も含めですけれども、大学側からの発意というものがあって、うちで免許を置こうと思っていただけないと、そこはなかなか取れないというところがあり、現状、残念ながら、60あまりの大学しか置いていただけていないというところがございます。
 そして、実は学習指導要領の中身というのも、先ほど調査官のほうからも御説明がありましたように、特に男女共修という形になって、科目の編成も随分変わってきたときに、情報というものが、割合が高くなっていったときに、かなり元年のものと、今の29年改訂のものではかなり中身が変わっている一方で、実は教科の専門性のところについては、30年余りほとんど、これ実は技術だけではなくて、全体を含めてそうなんですけれども、ほとんど見直されてこなかったというところがあります。そういう部分については、なかなか実は、各文部科学省としても学習指導なんかをしている部局においては、しっかり免許外を減らしていきましょうとか、そういったための対策を考えてくださいということとかいろいろなことをやっていきましょうということをやってきました。しかし、肝心の教職課程の構造については、実はこの30年間、ほとんどの手がついてこなかったこともあり、そのことが結果的にこのような状況になってしまったということも言えるのではないかと思っております。

【高橋主査】 ありがとうございました。長谷川委員、何か付け加えることはありますか。接続が切れましたね。では、安藤委員、続けさせていただいてよろしいですか。安藤委員、何か御質問や御意見等ございましたらよろしくお願いします。

【安藤主査代理】 では、発言します。ありがとうございます。僕は前職が教員養成大学で、技術教育担当として20年勤務していました。20年前から、なかなか副免許でも取ってくれる学生がそんなに多くないという状況が続いています。その一つの理由としては、物づくりも好きだし興味もあるんだけれども、時間割が組めなくて、4年間の間には取れないということを理由に諦める学生が多かったなという気がします。また今日の会議に向けて、今年度の状況を確認しましたけど、状況は同様で、依然として授業を取りにくいんだろうなということを改めて思いました。
 その取りにくさは教科の組合せということにもあると思うんですけれども、実習系と実習系を組み合わせるとなおさら取りにくいということで、これはかつて私のゼミにいた学生は、技術の専攻の学生でしたけれども、理科の副免を取りたいというので、1年卒業しないで理科を取って卒業した。それぐらい覚悟を決めないとなかなか難しいという状況は、副免許取得の障壁になっているのだろうなと。
 ところが、技術もそうですけれども、いわゆる手を使う、モータースキルというんですか、運動技能を伴うとなると、親委員会のほうでも一部ありましたけれども、安全を確保するまで、ある程度スキルが上げられるか、担保できるかだとか、体系の中で、少しずつできるようになってくることとか、時間がかかったり、実習というものが避けて通れないというのも、そのとおりだなということでなかなか変えられなかったのではないかなという気がしております。
 科目区分も、専門性の体系でもありますので、これまで変わってこなかったということは、それだけ本質的な要素なんだと思うんです。その一方で、この区分ができた背景を考えると、産業とか製造とか、そういうところがベースになった時代からの流れがあり、現代の学問体系に合わなくなっています。最近の情報系の話との組合せだったり、特に材料と加工とか、エネルギー変換とか、今回の学習指導要領は、そういった形で変わってきているけれども、区分がそのままなので、教員養成大学としても、これは僕の個人的な感想かもしれませんけれども、動きにくかった気がしています。
 例えば、大学の教員公募のときも、課程認定上、機械の区分が不足するけれども、機械だけできるということでは、現在大学にとって必要とされることに対応できませんので、「STEAM教育を含む」という形で、情報とか金属系のことだとか、そういうことも扱える、割とフレキシブルな公募をしたということもあります。大学としても、この内容、専門性の体系の科目区分が細かいため、そこの縛りをなかなか扱いにくいというところはあるんじゃないかなという気がしています。
 すいません。まずは、今のところ、今の議論で思っているところはそうなんですけど、高橋先生にも念のためというか、確認しておきたいのは、これは免許を出しやすくするというのはもちろんそのとおりですし、副免とか免外というものの数も減らしていくということは必要なんですけども、それは、いわゆる質を下げるということにつながってはいけないと思うので、免許を出しやすいということと、質の保証とか、その辺りのことについて、何か現時点で確認できることとかはございますか。

【高橋主査】 質の保障について、まず、樫原さんから難しいですか。私からでもいいですけど。

【樫原教員免許・研修企画室長】 まず一回、主査から。

【高橋主査】 私から、まず、この体系だから今、質が保障されているという事実というかデータがあるのかということを、僕も樫原さんに聞いてみたいところですけども、まず、仮にこの体系で質が保障されていると考えている方が多分多いと思うので、それをいじることによって質が下がるんじゃないのかと、当然その辺が心配になる点かなと思います。
 ただ、私思うんですが、教員養成全般、あるいは、本当に教職として教壇に立つこと全部で考えれば、今回のこの話は最も入り口の話なんだと思っています。これを条件に、カリキュラムとかをつくって、教職課程として申請すると、その後に課程認定の作業で中身をかなり厳しくチェックしておりますので、そこで、まず、質の保障というのが行われていますし、その後、実際に大学でどういう講義が行われているかというのも様々な評価があると思います。安藤委員がおっしゃったとおり、ある意味、実習が当たり前みたいな部分がありますので、仮に実習がなかった、言葉が抜けたとしても、当然、むしろ開放制の中で、工学部とかであれば、実習抜きでこういった専門科目の学習が進んでいくということはないと思いますので、そういう授業のところでそういうことがあると。
 その後、採用試験の段階がございますので、採用試験の段階で、実際に、そういう機械の金属の加工ができるかとか、そういうことのチェックも、やっているかどうかは別ですけども、できなくもないということだと思います。その後、採用された後に、しっかり研修等で、こういったものを定着させていくというような一連の流れの中の、入り口のほうを厳しくして質を保証していくのか、たくさんの人に希望していただいて、切磋琢磨してだんだん質を上げていくのか、その辺りのものの考え方かなと思っています。
 今の時点では、むしろこういったことが参入障壁ではないかということで議題に挙がっていると。ここは、この後の皆さんのお話だと思いますが、私はそういうふうに、何段階も質を保障する仕組みがある中ですので、そういう総合的に考えていくということが大事かなと思っております。
 私からは以上ですが、樫原さん、何かありますか。

【樫原教員免許・研修企画室長】 お答え申し上げます。まず、そもそもの問題として、免許があるということが、実はそもそも免許制度自体が、ある種、教師の質保証のためにある制度だということが大前提にあるわけですので、逆に言うと、免許があるということと免許外ということでいいますと、その段階で、まず、圧倒的な質の保証のされ方というのは異なってきます。特に、先ほどの高橋先生のお話にもありましたけれども、採用のところで、ちゃんと質保証というのがありますけれども、免許がない場合の、先ほどの免許外というのは、人格の部分は別として、教科の専門性については働いていないので、まず、そもそも第一に考えるべきは免許があるかなしかの部分の質保証のところをどう担保するかというのを考えるべきだと考えております。
 その上で、先ほど高橋先生からもお話がありますように、まさに教職課程というのは自由に設置をしていいというわけではなく、まさに課程認定委員会というスキームの中で審査をし、そして、文部科学大臣が設置をしていいよということで設置をするということになりますので、そこの教職課程の質というのは、少なくとも課程認定の審査の過程で基本的には担保すべきものだと考えております。
 一方で、科目区分をつまりどれだけ書き込むことによって、もしくは、どれだけ科目内容を入れることによって質保証をすべきか、ということについては、様々な議論があると考えております。といいますのも、先ほど申し上げましたように、特にここの教科の専門性の科目というのは、大学の学問体系というものを念頭に置いているわけですので、その中で、それは、いろいろこれをやれ、これをやれと書けば書くほど、質が保証できるという意味もありますけれども、一方で、大学の部分の自由度みたいなものも、ある種縛ってしまうおそれがある。教職課程のコアカリキュラムというのもございますが、あくまで教職課程のコアカリキュラムは教職専門の科目についてのみ、基本的には設けていて、教科専門のところではコアカリキュラムというのを設けていないんですが、教科専門で細かく書けば書くほど、特に全然違う学問体系で、同じ教科の免許を出せることになっていますが、むしろ大学教育の本来の教育課程を縛ってしまうというおそれもありますので、そういったところのバランスを考える必要があるのかなと。
 つまり、質保証だけのことを考えれば、いろいろ書くに越したことはないという考え方になるかもしれませんが、一方で、そこの、ある種大学としての自主性ですとか、本来の学問としての学問の系統性とかを維持するためにというところのバランスというのも考える必要があるのかなと考えております。

【高橋主査】 ありがとうございました。安藤委員、いかがでしょうか。

【安藤主査代理】 どうもありがとうございます。

【高橋主査】 ありがとうございました。もちろんここにフォーカスして議論していく必要というのは、私はあると思うんですが、今日は1回目の会議ですので、教職全般の中からここの専門的事項をどう捉えるかというのを確認していくということも、僕は一つ、今日の大事な作業だと思いますので、安藤委員、貴重な御質問ありがとうございました。
 長谷川委員、申し訳ございません。先に進めさせていただきましたけども、改めて何か、途中で難しいかもしれませんが、何かあれば、あるいはここが聞き取れていないということがございましたら、また申し上げていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

【長谷川委員】 私もそういう養成段階の状況につきましては、いろいろと勉強になることばかりですので、お話を拝聴しておりました。私の立場で言うならば、いわゆる採用後の研修のところあたりがポイントになってくるのかなと思っています。
 質と関連するんですけれども、免許を持っている、イコール質が保障されているという考え方の先にある、いわゆる先生として勤務を始めた後のことも非常に大切です。私も広島市や広島県の熱心な技術科の先生たちと一緒に自主的な研修会、あるいは、県単位での研究会などで学ばせてもらっている。そこでつけていく力というのは非常に大きいものもありますから、養成段階プラス、その先を見てやっていくことが大切だなと、お話を伺いながら思っておりました。

【高橋主査】 長谷川委員、ありがとうございました。私から長谷川委員に、感触を伺いたいんですが、親委員会のほうでは、親委員会の委員の先生からは、技術科の先生がいらっしゃらなくて、4校掛け持ちで御指導なさっているというお話がありました。非常に教員の確保に困っているんだというようなことが御発言としてありました。
 今も長谷川委員からもそういった話題があったと思いますが、技術科における教員の充足状況について、改めて長谷川委員の御意見を伺いたいんですが、いかがでしょうか。

【長谷川委員】 分かりました。まず、人数としては、実際に必要な先生の数に対して、確保しにくい状況であるというのが、管理職としての強い印象です。
しかし、それを何とか解決するために、今、お話のあったような工夫をもう随分前から教育委員会ではやっていて、学校を掛け持ちするなどの形で授業を実施する方法は行われているわけですけれども、技術科の授業という面で見ればそれで事足りるわけですけれども、中学校に勤務するということで考えれば一番大切な子供との関わりというのは授業だけに限定されてしまいます。
 休憩時間や教育課程外の時間での子供たちとの関わりも大切です。技術・家庭科の目標を達成し学校生活と連動するには、子供と関わる時間が、掛け持ちということになるとかかわりがもち難いなという印象がございます。学校を掛け持っている先生というのは、本当に細やかに複数の学校の先生になろうと努力をされているので大変です。解消の方向に向けて様々な方法を模索したらいいと、前回の親委員会のときにも感じた次第です。
 
【高橋主査】 ありがとうございました。安藤委員からは、学校に1名いらっしゃっても、なかなか1人なので研修が難しいんじゃないかというお話ございましたけど、今みたいに掛け持ちになると、ますます研修とかをして、質をさらにレベルアップ、先生たちをレベルアップしていくにも、もっと多分困難になるというような状況なのかなと思いました。
 あと、生徒との関係という話もいただいたかなと思います。実際に、先ほどの樫原室長の御説明の中にあったとおり、年間で430枚ですか、県の免許授与、500件弱の免許授与しかありませんので、仮に10年やっても5,000人、免許を持っている先生が生まれないと。20年やって1万人で、そこでやっと中学校ととんとんのおおよその数になると。免許を取った方が全員教員になるわけがないというのは当たり前ですから、そういうふうにして、5割なったとしても40年ですから、やはり構造的に免許が出ている件数が少ないのかなと感じるところではあります。そういったことが少しでも解消できればというところが出発点なのかもしれません。
 今の話で、安藤委員、何かございますか。

【安藤主査代理】 ありがとうございます。大学で企画している教員研修だとか、あとは、教職員支援機構でやっているようなものの技術科の現職向け研修会とか、結構やってはいますけど、なかなか参加者が集まらないなという気がします。いろいろお仕事の調整が難しいという話を聞いたことがありました。
 実際、あと学校に1人ですと、なかなか地域の研究会というんでしょうか、そういうところもあまり活発化せずに、結局は採用時点からなかなかスキルアップとかできなくて、そして、結局のところ、いい授業に結びついていないんじゃないかと、そういうことも考えられますので、まずは、免許をきちんと持っている先生を出すというのが、まず非常に大事であることをよく認識できますけれども、その後のセットなんだろうなというのは、改めて思いました。
 そして、採用、教員養成大学も採用率の数値目標がありますので、できるだけ採用に有利な免許の組合せというようなことも考えて、学生たちにもアプローチしますけれども、なかなか、そうは言っても、国語と英語と数学と技術で組み合わせると採用がいいですよみたいな、例えば話を仮にしたとしても、それを選ぶ側は学生だったりと、いや、それであれば結構ですというような、組合せも本人の志向性というのもありますので、一概に組み合わせるから採用しやすくなるというやり方だけではなくて、学生自身が主体的に技術というものをもっと教えたいと。そのために取りやすくなるというようなことを踏まえて、免許を持っているのが健全だなと思います。

【高橋主査】 ありがとうございました。免許をきちんとまず確保するという点と、質をしっかり確保する、なかなか難しい問題をどう折り合いつけるかというところだと思いました。安藤委員、ずっと技術が話題ですけども、高校の情報について、何か御意見等ございますか。

【安藤主査代理】 これも、情報の高校の先生、どなたかいませんかという問合せが非常に多くて、残念ながら、前任校は情報の免許を出しておりませんでしたので、大学としてどうしようもなかったんですけれども、そうは言っても、もう皆さん御存じのように、全国的に指導する教員の数が不足していることに対して、技術の免許を持っているのだから、じゃあできるというわけでもないですので、技術の中の情報と、高校情報というのは、情報という言葉は似ていますけれども、目指しているところが違いますので、そのまま技術と情報で一緒になんていうことも、難しい話だと思います。
 まず、高校の情報免許を出すというのは、出せる教員養成の大学がどれくらいあるかというのは定かではないですけれども、そこもしっかりと担保していかないと、また、大学の受験ということにも関係してきますので、質の問題にも関わってくるんじゃないかなということを懸念しております。

【高橋主査】 ありがとうございました。こちらには、オブザーバーで田崎調査官がいらっしゃいます。少し伺いたいんですが、高校の情報に関しては、専門教科としての情報というのがあって、教科書とかを見ると、結構大学の一、二年生程度、大学によるとは思うんですけども、かなり高度な内容を、つまり大学で学んだことをそのまま教えるような内容じゃないのかという、場合によっては、かなり高度なことを扱っているような部分もあると思うんですが、両方を教える免許だと考えていますが、そちらの観点も含めて、田崎調査官から何か御意見というか、御説明、御解説があればいただきたいんですけども。

【田崎調査官】 ありがとうございます。高等学校の情報科を担当しております、田崎と申します。
 今、高橋主査からお話がございましたけれども、情報の教員免許は高橋主査の御指摘のとおり、共通教科情報科と、専門教科情報科の両方を担当できる教員免許です。今回、話題になっている教科に関する専門的事項に関する科目区分は、配付資料の学習指導要領解説情報編の専門教科情報科の科目構成と比べながら、御議論いただくのもよいかと思います。専門教科情報科は、職業に関する教科として位置づけられていますので、情報と職業という科目区分があります。現行の学習指導要領における専門教科情報科の内容そのものは、大きく共通的分野、情報システム分野、コンテンツ分野と大きく3つの分野がありますけれども、情報システム分野では、ネットワークシステム、データベース、情報システムのプログラミングという科目がございます。コンテンツ分野では、情報デザイン、コンテンツの制作と発信、メディアとサービスという3つの科目がございます。
 また、共通的分野では、情報セキュリティ、情報テクノロジー、情報の表現と管理、情報産業と社会という科目があります。これらの科目で示されている内容を指導することを踏まえて、教科に関する専門的事項について御議論いただきたいと思います。
 専門教科情報科の内容は高度かと言われますと、情報社会の発展を担う職業人として情報の分野を体系的、系統的に学び身に着けた情報技術をもって新たな価値を創造する問題解決に取り組む点では高度だと言えますが、高校生として学べる範囲で、ということになります。大学では、情報技術そのものだけではなく、関連する理論も含めて学ぶと承知しておりますので、オーバーラップする部分は一部あるかもしれませんが、大学で学ぶ内容そのものを専門教科情報科で、高校生がそのまま学ぶということではないと考えております。以上です。

【高橋主査】 田崎調査官、貴重な御意見ありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。
 大分いろいろな意見、出そろってきているとは思うんですが、この時点で、論点例にあるような区分数とか区分の記述について、最終的には、この辺が論点になるのかなということを、委員の先生方のお話を聞いていて感じました。この時点で、具体的にどうしたらいいですかというと、少し発言が難しいかもしれませんが、改めて今日のところを踏まえて、専門的事項の区分の内容とか項目数について、御意見が伺えればなと思っています。
 安藤委員からは、先ほど区分についてもコメントをいただきましたし、何か、むしろ細かく書かれることが大学としてやりにくいみたいな御発言もありましたけども、改めて、区分の扱いについて、御意見が頂戴できればと思っています。安藤委員から伺っていいですか。

【安藤主査代理】 ありがとうございます。今、お話あったように、1回目ということもあって、これからの議論ということもあるので、あまりはっきりとした感じで申し上げるのは難しいと思いますけれども、区分は、専門性の柱としては、よく吟味されているでしょうし、不易としての部分で大事にしなければいけない部分なんだろうなということがまず前提になった上で、現状として、ここまで細かく内容について規定するのがいいのか、それとも、ある程度、現在の学習指導要領がそうなっているように、例えば、材料と加工というようなくくりの中で、先ほどお話ありましたように、大学としてのポリシーによって、特色ある教員養成、もちろんそれは採用試験に足る質が保障されているのが前提ですけれども、ある程度フレキシビリティーのある教員養成ができてもいいのではないかなという気がしております。
 括弧の中についても、先ほどお話ししましたように、実習が全くないという状況は非常に大きく違和感を抱くわけです。手を動かすという以上、ペンとかコンピューターでのシミュレーションだけではない何らかの実習を入れることを前提なんだとは思いますけれども、わざわざここに書かなくても、先ほどの繰り返しになりますけど、質が保証されるということであれば、括弧書きというのがなくてもきちんと養成できればいいかなと思います。木材加工と金属加工に製図という言葉がわざわざ入っているわけですけれども、技術という教科において、いきなり物をつくるということはあり得ないわけなんです。自分の感性の赴くままつくるということではなくて、役に立つとか、問題を解決するということがある程度前提になると、しっかりと設計が必要だと思うんですよね。ただ、製図となると、製図の図面を書くということの縛りを大きく受けてしまいそうなので、栽培は設計と言わないでしょうけれども、それ以外のところについては、全て設計という基本的なことが入っているほうが、表記としては分かりやすいのかなということを今、思っております。すいません。以上です。

【高橋主査】 ありがとうございました。それでは、長谷川委員、何かございますか。

【長谷川委員】 論点例にあることで言いますと、私も事務局からの御説明を伺う中で、その6つの科目で12単位が必要になってくるというあたりは、何とか検討していけないかなと感じています。木材、金属、機械等と具体的に表現してありますけれども、中学校では材料と加工というように、まとまった形で子供たちは学んでいます。
 学問体系踏み込むのはなかなか言いにくい面もございますけれども、やはり中学校での形が子供たちの現状に沿うものなんだろうなと思います。大学で免許を取得する際の科目区分や安藤先生もおっしゃっていた科目区分の内容の括弧書きのところについては、わたくしも賛同するわけですけれども、今後、そこらはそのあたりをもっと深めていく必要があると思います。

【高橋主査】 ありがとうございました。初回ですので、この後、事務局に議論を整理していただいたりして、また、改めて次、次回以降で検討深めていきたいなと思っております。
 何か事務局から補足の説明ございますか。

【樫原教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。先ほど御質問をいろいろいただいていた中で、私もここはしっかり説明しておくべきだったなという話がございまして、先ほど安藤委員のほうから、実は課程認定の大学、どれぐらいの数があるのかという話が情報でございましたが、資料の10ページのほうに、一応、課程認定大学等数の教科別は書いておりまして、大学でいうと、情報は219で、大学院レベルだと129という数字がございますし、一方で、これに比して、私も改めて見ると少し気になった点としては、13ページの資料で、教科の授業時数というところに関して、情報の実際に出している大学等による直接養成というのはいわゆる教職課程で出しているところですから、これが933ということになっていて、これが実は、大学院はあえて今、置いておいて、情報の大学レベルで考えても、単純に933割る219ということで、5を下回るということなので、純粋に1大学あたりで情報の免許を取っている人がどこまでいるのかということ、これが実は、例えば保健体育とかですと、180に対して8,843とかですので、単純に割り戻すと50弱ということになりますけれども、ここの割合が、どちらかというと、情報というのは小さいということと、もう一つは、情報に関して言うと、直接養成が933に対して、その他というのがありますが、これは、旧令の学歴資格というのはほとんど関係なくて、他教科の免許状取得、つまり、後から取った人というのが、実はこれ333ということで、どの教科よりも割合が大きいということになっております。
 つきましては、高校の情報については、多分、直接養成のことも考えるだけではなくて、免許法認定講習による取得ですとか、その後の現職で取得をした場合とかのことも、ある程度視野に入れて考える必要があるんじゃないかというのが、特に情報という教科の特性ではないかと思っております。
 私のほうから補足は以上です。

【高橋主査】 ありがとうございました。やはり改めて今の樫原室長の御説明を伺いますと、技術とか情報というのは、ほかの教科と免許の状況とか、少し形が違うんだなということを感じました。ありがとうございました。
 大体もういろいろ御意見出てきたかと思いますが、何か追加で安藤委員、長谷川委員、ございますでしょうか。特に。

【長谷川委員】 1つだけ、よろしいでしょうか。

【高橋主査】 はい。

【長谷川委員】 私、最初にお尋ねした、こうした状況の中、どのような取組をしてこられましたかという中に、免許法認定講習のお話をしていただきました。100分の100の補助事業として実施なさっている状況についてお示しいただけたら幸いです。以上です。

【高橋主査】 どうですか、樫原室長。

【樫原教員免許・研修企画室長】 次回までに調べてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【長谷川委員】 お願いします。

【高橋主査】 ありがとうございました。
 それでは、まだ少しお時間には早いところではございますが、おおむね、皆さんの御意見を頂戴できたと思っております。まだ何か決まったわけではないですが、しっかり免許を取った先生、つまり、まず、免許という意味での、しっかり専門性を持った先生が指導していくことの重要性であるとか、その上で、質をきちんと担保できるみたいな、そういったことも重要だとか、そういったことが本日は確認できたんじゃないかなと思っております。
 本日は、審議、ここまでにしたいと思っております。事務局において、今日の、本日の御意見等を取りまとめていただければと思っております。
 それでは、今後のスケジュールについて、事務局から説明お願いできますでしょうか。

【松本教員免許・研修企画室専門官】 それでは、今後のスケジュールにつきまして、資料7のほうを御覧いただきたいと思います。
 今後、6月から7月にかけまして、第2回、第3回のほうのワーキンググループを開催予定でございます。第3回におきましては、教科の専門科目の案をおまとめいただきたいと思っております。各ワーキンググループで審議いただきました案につきましては、その後、親会議であります検討委員会のほうに報告することとしております。
 ワーキンググループの次回以降の日程につきましては、未定でございますので、決まり次第、御連絡のほうさせていただきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

【高橋主査】 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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