中央教育審議会(第128回) 議事録

1.日時

令和3年3月12日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議

3.議題

  1. 会長の選任等について
  2. 中央教育審議会運営規則等の制定について
  3. 第10期中央教育審議会の審議状況及び最近の動向について
  4. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について(諮問)
  5. 第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(諮問)

4.出席者

委員

荒瀬委員、井坂委員、今村委員、内田委員、越智委員、加治佐委員、清原委員、熊平委員、後藤委員、小林(い)委員、小林(真)委員、貞広委員、清水(敬)委員、清水(信)委員、竹中委員、永田委員、中野委員、萩原委員、日比谷委員、堀田委員、湊委員、村岡委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員、渡邉(光)委員、渡辺(弘)委員、渡邉(正)委員

文部科学省

萩生田文部科学大臣、丹羽文部科学副大臣、鰐淵文部科学大臣政務官、藤原事務次官、丸山文部科学審議官、松尾文部科学審議官、串田総括審議官、山﨑大臣官房文教施設企画・防災部長、氷見谷大臣官房国際課長、義本総合教育政策局長、髙口大臣官房審議官、佐藤総合教育政策局政策課長、瀧本初等中等教育局長、蝦名大臣官房審議官、塩見大臣官房審議官、浅野初等中等教育企画課長、伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官、浅田国立教育政策研究所長、池田教育再生実行会議担当室長 他

5.議事録

・新しい会長について、渡邉光一郎委員がふさわしい旨発言があり、了承された。
・副会長については渡邉会長から永田委員、荒瀬委員の指名があった。
 
※ 事務局から説明の後、資料2‐2から2‐4のとおり、中央教育審議会運営規則及び中央教育審議会の会議の公開に関する規則が了承されるとともに、中央教育審議会の会議の運営について申合せがなされた。
 
【渡邉(光)会長】  それでは、第11期中央教育審議会の発足に当たりまして、丹羽副大臣から御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【丹羽副大臣】  文部科学副大臣の丹羽秀樹でございます。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、第11期中央教育審議会の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。これから約2年間、どうかよろしくお願い申し上げます。
 今期の中央教育審議会最初の総会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。中央教育審議会は、教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に関する重要項目等を御審議いただく審議会でございます。これまでも我が国の教育につきまして、社会の変化に応じた様々な御提言を頂いてまいりました。
 具体的には、人工知能やビッグデータ等の先端技術が高度化し、あらゆる産業や社会生活に取り入れられたSociety 5.0時代が到来しつつある中で、社会の在り方そのものが、これまでと劇的に変わる状況が生じつつあるという認識の下、これまでも中央教育審議会においては様々な答申を取りまとめていただきましたが、全世界に大きな変化をもたらした今般の新型コロナウイルス感染症の流行により、未来は常に予測困難であるということを私たちは改めて認識させられました。
こういった認識を前提といたしまして、前期の中央教育審議会におきましては、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学び」を実現する「令和の日本型学校教育」について答申を取りまとめていただき、文部科学省といたしましても、従前から推進してまいりましたGIGAスクール構想を大幅に前倒しするとともに、約40年ぶりの改正となる小学校35人学級の本年4月からの段階的実施に向けて、令和3年度政府予算及び関連法案を今国会に提出しているところであります。
 また、「令和の日本型学校教育」の実現にとって、子供たちの学びを導く教師の役割は極めて重要であり、時代の変化に応じた高い資質能力を身につけた教師を確保し、教師が生き生きと活躍できる環境を整備する必要があります。
 さらに、東日本大震災という未曽有の国難から昨日で10年が経ちましたが、自然災害の多い我が国において、安全で安心な学校施設の整備や、主体的に行動する態度を育成する安全教育の推進は不断の見直しを行うべき重要な課題であり続けます。
 そこで、今期の中央教育審議会においては、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、及び第3次学校安全の推進に関する計画の策定について御審議いただくべく、後ほど諮問させていただくことを考えております。これらはいずれも、我が国の教育や子供たちの未来、ひいては我が国の未来を左右する重要な課題でございます。
 また、これらにとどまらず、委員の皆様方におかれましては、今期の中央教育審議会において、生涯学習、初等中等教育、高等教育をはじめとする教育政策の重要課題について積極的な御議論を賜りますようお願い申し上げます。
 これから約2年間、実り多い御審議をいただくことをお願いし、また期待させていただきまして、私の御挨拶と代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  丹羽副大臣、本当に温かいお言葉、そして、力強いお言葉をありがとうございました。
 それでは、第11期の中教審をスタートするに当たりまして、私からも一言御挨拶申し上げたいと思います。
 改めまして、この中央教育審議会におきまして、前期に引き続き会長に選任されました渡邉でございます。第11期の中央教育審議会を皆様とともに、豊かな人間性と創造性を備えた未来の人づくりのためにしっかりと推進してまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 前期第10期の中教審におきましては、教育を取り巻く環境が大きく変化する中に、コロナ禍が加わりまして、運営も困難な時期がございました。その中にあって、「令和の日本型学校教育」の構築という日本の教育が歴史の中で積み重ねて築いてきたものと、未来志向で新たに変革していくものとの調和を図るという、教育関係者の羅針盤になり得るような重要な答申を取りまとめることができたと思います。
 また、それぞれの分科会におかれましても、教育振興基本計画に基づく調和の取れた議論を重ねられ、未来志向の改革を目指す御検討をいただけたものと考えております。これはひとえに第10期を担っていただいた委員の皆様方と、文部科学省の皆様方の御尽力の賜物だと思います。この場を借りまして御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 さて、本日、私たちは第11期の中教審をスタートさせるわけでございますが、コロナ禍は10年早く未来を連れてきたと言われております。その未来社会として、Society 5.0時代が想定されていますが、このSociety 5.0の実現には、人を中心に据えて多様な人々の創造力で社会課題の解決や価値創造を目指すものでございます。同時に持続性のある社会を目指すものでもあります。したがって、誰一人取り残さないという理念を含むSDGsの達成や、OECDのwell-beingの実現にもつながっていくものでなくてはならないと考えます。多様性と包摂性を前提とし、全ての人がそうした時代を生き抜くために必要な力を身につけ、活躍できるようにする上で、これからの教育が果たす役割はますます大きくなっていきます。そして、その在り方を議論するに当たっては、未来の課題について検討し、それをバックキャスト的に課題解決していこうという、未来志向型の視点が極めて重要であると考えております。
 また、具体的な課題といたしましては、各分科会におきまして、今期から引き続く課題も多く存在しております。例えば、本日議論を行う予定でございます「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方などはまさに喫緊の課題であると考えております。そうした課題の検討も含め、今期中教審の議論においては、引き続き、未来志向型の視点は重要でありますし、同時に中央教育審議会らしく、常に教育現場の声に耳を傾けながら議論を進める、いわゆるボトムアップ型の視点も大切にしてまいりたいと思います。
 ただ、今回の諮問理由にありましたように、教育の本質的目標、目的を継承しつつも、社会の在り方自体が劇的に変化する中では、必要な改革に躊躇なく取り組む必要もございます。以前、「変化は摩擦を生み、摩擦は進歩を生む」という言葉を紹介させていただきましたが、そんな思いで臨みたいと考えております。
 様々な課題を抱える中ではありますが、先ほど副会長に御就任いただきました永田先生、荒瀬先生、それから今回新たに任命されました14名の委員の方を合わせまして、29名の委員の皆様方、そして、文科省の皆様方とともに審議をしっかりと前に進めていきたい所存でございますので、どうか協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 以上、第11期のスタートに当たっての私からの挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、先ほど申し上げましたように、本日は第11期として最初の総会となりますので、前期であります第10期における中央教育審議会の審議状況等について事務局から説明をお願いします。
 それでは、お願いいたします。
 
【義本総合教育政策局長】  総合教育政策局長の義本でございます。
 資料3-1から3-4に従いまして、第10期、前期の中央教育審議会の審議状況、最近の施策の動向について御説明させていただきたいと存じます。
 まず、資料3-1を御覧いただきたいと存じます。第10期中央教育審議会における主な答申、報告等についてでございます。
 第10期における主な答申としましては、「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」がございます。また、答申以外の報告等につきましては、主なものを1ページの下部から3ページにかけて記載しているところでございます。
 続きまして、各分科会の審議の状況について御説明したいと存じます。
 資料3-2、生涯学習分科会の審議の状況について御説明したいと存じます。
 まず、1ページ目でございますけれども、前期となる第10期生涯学習分科会においては、第9期答申を踏まえつつ、人生100年時代やSociety 5.0及び期中に発生いたしました新型コロナウイルス感染症など、社会の変化を踏まえた今後の生涯学習・社会教育の在り方や具体的な推進方策につきまして、第101回から約110回の計10回にわたりまして、先進的取組のヒアリングを含め審議を行い、「議論の整理」としてまとめたところでございます。
 2ページ、2つ目のポツでございますけれども、「議論の整理」は、「多様な主体の協働とICTの活用で、つながる生涯学習・社会教育~命を守り、誰一人として取り残さない社会の実現へ~」というものを副題として設定いたしました。学びをより豊かなものにするために、ICTの活用や、デジタル・ディバイドの解消が重要であるということ。また、生涯学習・社会教育による学びや人のつながり、ICTの活用などは、感染症災害から身を守り、命を守ることに直結するという「命を守る生涯学習・社会教育」という視点を打ち出しました。
 今後の方策につきましては、「学びの活動をコーディネートする人材の育成・活用」、「新しい技術を活用した『つながり』の拡大」、「学びと活動の循環・拡大」、「個人の成長と社会の発展につながるリカレント教育の推進」、「各地の優れた取組の支援と全国展開」の5点につきまして御提言を頂きました。
 また、これらの議論の整理を踏まえ、実際の生涯学習・社会教育の現場で生かしていただくため、参考となる例を分かりやすく示した事例・施策集を作成しまして、令和2年10月にホームページで公開いたしました。
 最後に3ページ目、今期の審議事項につきましては、委員の先生方に御意見を頂いて、検討を進める予定でありますけれども、簡単に御説明したいと存じます。
 検討事項の案の一つとしまして、第10期の議論の整理を踏まえ、「命を守る」生涯学習・社会教育の視点により、社会的包摂を実現していくため、今後のデジタル化を前提とする社会において、成人が「市民」として必要となるリテラシー・スキル向上に資する取組の推進方策等について検討することなどが考えられます。
 生涯学習分科会の審議の状況についての御報告は以上でございます。
 続きまして、資料3-3、初等中等教育分科会の審議の状況について御説明いたします。
 まず、1ページ目、第10期初等中等教育分科会におきましては、主として、平成31年4月の諮問、「新しい時代の初等中等教育の在り方について」、各部会等においてそれぞれ御審議いただき、本年1月の第127回中央教育審議会総会において答申を頂きました。
 新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会では、諮問事項全体について横断的な御検討をいただきました。
 教育課程部会では、諮問事項のうち教育課程に係るものにつきまして御審議をいただきました。新学習指導要領に示された資質・能力の育成を着実に進めるため、新たに学校における基盤的なツールとなるICTも最大限活用しながら、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実を図っていくこと等について御議論いただきまして、本年1月に取りまとめをいただいたところです。
 教員養成部会では、諮問事項のうち、Society 5.0時代における教師の在り方等について御審議をいただきました。特に教師のICT活用指導力の向上方策の在り方、義務教育9年間を見通した養成・採用・研修等について御議論いただき、昨年7月に取りまとめいただきました。
 また、大学からの教職課程の設置申請について審査いただいたところです。
 また、後ほど諮問事項の説明の中で触れますけれども、教員免許更新制や研修をめぐる包括的な検証も進めていただいたところでございます。
 新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループでは、諮問事項のうち、新時代に対応した高等学校教育の在り方について御審議いただき、昨年11月に取りまとめをいただきました。
 2ページですけれども、第11期につきましては、本年1月に取りまとめいただきました答申において、今後更に検討を要するとされました事項を中心に、「令和の日本型学校教育」の実現に向け、引き続き御審議をいただきたいと思っております。
 また、「第2次学校安全の推進に関する計画」に基づくこれまでの取組状況を踏まえ、計画策定後の社会の状況の変化等に基づく改善策や、学校安全に係る取組の全国的な質の向上等、次期計画に盛り込むべき事項について御審議いただければと考えております。
 続いて、資料3-4、大学分科会の審議の状況について御説明いたします。
 まず、1ページですけれども、大学分科会では5つの部会等を設けて、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」に基づき、高等教育に関する様々な課題について御審議いただきました。
 まず、大学分科会では、大学の教育研究機能の強化に向け幅広い観点から御審議いただき、「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について」を取りまとめいただきました。
 2点目としまして、地域連携プラットフォームの構築について、各地域の高等教育機関、地方公共団体、産業界等が一体となって、恒常的な議論の場を構築し、地域の課題解決に向けた連携協力を促進するためのガイドラインについて御審議いただきました。
 3点目としまして、大学等連携推進法人等について、大学等の緊密な連携を効果的に推進するための制度の在り方や、大学等連携推進法人の社員である大学の設置者が設置する大学間における教学上の特例措置について御審議いただきました。
 2ページですけれども、魅力ある地方大学の在り方につきまして、閣議決定文書や内閣官房の検討会議の取りまとめを踏まえ、高等教育行政に関する専門的見地から御審議いただき、「魅力ある地方大学の実現に資する地方国立大学の特例的な定員増について」を取りまとめいただきました。
 3ページですが、教学マネジメント特別委員会では、3つのポリシーに基づいた教学マネジメントを確立するために必要と考えられる取組や、学修成果の可視化と情報公表の在り方について御審議いただき、「教学マネジメント指針」を取りまとめていただきました。
 5ページですけれども、第11期に継続して審議する事項といたしまして、大きく5点整理しておりますけれども、特に1点目の魅力ある地方大学の在り方については、この実現のための様々な支援方策等について御審議いただく予定でございます。
 また、2点目、質保証システムの見直しにつきましては、具体的な質保証システムの見直しや、ニューノーマルにおける授業内容・授業方法の進展に対応した質保証の在り方などについて御審議いただく予定としております。
 説明は以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 意見交換につきましては最後にまとめて行うこととしたいと存じます。
 ただいま萩生田大臣が御到着されましたので、次の議事に移らせていただきたいと思います。
 議題の4と5にありますとおり、本日は「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」及び「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について」の2つの諮問を予定してございます。
 まず、「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」、大臣より諮問いただきたく存じます。
 それでは、大臣、よろしくお願い申し上げます。
 
【萩生田大臣】  第11期の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま会長よりお話のありました2つの諮問事項のうち、まず、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」に関しまして、その要点を御説明申し上げます。
 本年1月にいただいた答申では、2020年代を通じて実現を目指す「令和の日本型学校教育」の在り方を、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」としていただきました。
 その上で、理想的な教師の姿として、学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて学び続け、子供一人一人の学びを最大限に引き出すこと、主体的な学びを支援する伴走者としての役割を果たしていることなどを示していただきました。今後、「令和の日本型学校教育」を実現できるかどうかは、時代の変化に応じた高い資質能力を身につけた教師を確保し、教師が生き生きと活躍できる環境を整備できるかどうかにかかっています。
 一方で、現在教師を取り巻く環境については、教師の長時間勤務、一部の学校における教師不足、教員採用選考試験の採用倍率の低下など厳しい状況にあります。こうした背景もあり、魅力的な職業としての社会的認識も必ずしも十分ではありません。このような現状に対応しつつ、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として、「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教師を確保するため、教師の養成・採用・研修等の在り方について、既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところまで遡って検討を行い、必要な変革を行うことで、教師の魅力の一層の向上を図っていくことが必要となっています。このため、次の事項を中心に御審議をお願いいたします。
 第一に、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師像と教師に求められる資質能力について、全ての教師に求められる基本的な資質能力を具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、多様で質の高い教職員集団の姿を明らかにしていただくとともに、優れた人材を確保できるような教師の採用等の在り方や、採用後の育成、キャリアパス、教職員集団を率いる管理職の在り方について御検討をお願いします。
 第三に、教員免許制度についても、第一の検討事項を踏まえた教職課程の見直しとともに、学校外で勤務してきた者などへの教員免許や免許状の区分などの在り方について御検討をお願いします。その際、教員免許更新制については、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるような、抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいと思います。
 第四に、多様化した教職員集団の中核となる教師を養成する教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化について、学生へのインセンティブの在り方も含めて御検討をお願いいたします。
 第五に、教師が自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができる環境整備について御検討をお願いいたします。
 以上が中心的に御審議をお願いしたい事項でありますが、このほかにも「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方に関し、必要な事項について御検討をお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  萩生田大臣、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、第3次学校安全の推進に関する計画の策定についても、大臣より諮問いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 
【萩生田大臣】  次に、「第3次学校安全の推進に関する計画の策定」に係る諮問の要点について御説明申し上げます。
 児童生徒等が生き生きと学び、自己実現に向かうために安全で安心な環境であり続けることが必要であり、また、児童生徒等はその生涯にわたり、安全な生活を送るための基礎的な素養を身につけていくことが求められます。
学校保健安全法において、国は、各学校における安全に係る取組を総合的かつ計画的に推進するため、「学校安全の推進に関する計画」を策定することとされており、この計画は、国と地方公共団体が相互に連携を図り、各学校において安全に係る取組が確実かつ効果的に実施されるようにするための重要な指針となるものです。
 現行計画に基づく取組の結果、先進的な取組が進められた地域や学校がある一方、いまだ十分とは言えない地域や学校も見られます。また、現行計画策定以降、安全に関する新たな課題も生じており、これまでの状況を踏まえた計画の見直しが必要です。
このため、「第3次学校安全の推進に関する計画の策定」については、次の事項を中心に御審議をお願いいたします。
 まず、現行計画に基づくこれまでの取組状況を踏まえ、計画策定後の社会の状況の変化等に基づき、今後改善すべき点や新たに追加すべき点について御検討をお願いします。特に甚大な被害をもたらした東日本大震災から10年を迎え、東日本大震災の教訓及び近年の災害の激甚化を踏まえた防災教育の充実は喫緊の課題です。
 2点目に、学校安全に係る取組の全国的な質の向上に向けた方策について、御検討をお願いいたします。
 3点目に、安全教育や安全管理に関して、教員養成段階で身につけるべきことや、教員研修の在り方について御検討をお願いします。
 このほか、今後の学校安全の推進を図る上で必要な取組について御検討をお願いします。
 諮問事項については、今後十分な御審議をいただいた上で、令和3年度中を目途に答申のお取りまとめをお願いします。
 以上です。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 それでは、諮問文の手交を行いたいと存じますので、報道関係者各位におかれましては、御入室をお願いします。

(報道関係者入室)
(諮問文手交)

 
【佐藤総合教育政策局政策課長】  それでは、報道関係者の皆様はここで御退室をお願い申し上げます。

(報道関係者退室)

 
【佐藤総合教育政策局政策課長】  それでは、大臣は御予定がございまして、ここで退室をされます。お忙しいところ、本当にありがとうございました。
 
【渡邉(光)会長】  それでは、先ほど諮問をいただきました「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方につきまして、この諮問を踏まえて、私から特別部会の設置について御提案させていただきたいと思います。
 「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について検討を行うため、お手元の資料4-3にございますとおり、総会直属の部会といたしまして、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会を設置しまして、専門的な観点から調査、審議を行うことが適当であると考えております。
 委員の皆様いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございます。御了承いただけたものといたします。特別部会を設置させていただきたいと思います。
 なお、中央教育審議会令第6条第2項におきまして、部会に属すべき委員等は会長が指名することとされておりますので、人選につきましては、私のほうで進めさせていただきたいと存じます。
 引き続きまして、事務局から両諮問に関する補足の説明を頂きたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 
【義本総合教育政策局長】  失礼いたします。それでは、2つの諮問につきまして、まず資料4-1から4-5までを使いまして、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」の諮問について、補足的な説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、資料の御紹介をさせていただきますと、4-1が諮問文本体、それから、4-2がその概要をまとめたものでございます。大臣からお話しさせていただきましたように、諮問につきましては、この下段にございますように、5点検討事項として提示させていただいております。4-3が先ほど会長からお話のございました特別部会の設置についての紙でございます。4-4が5つの観点に関する詳しいデータ等の資料でございます。それから、4-5は、そのエッセンスをまとめたものでございます。
 この4-5を中心に御説明させていただきたいと存じます。
 資料4-5の2ページを御覧いただきたいと思います。これは概要でございますけれども、資料の上段にありますように、中央教育審議会から令和3年1月にいただきました「令和の日本型学校教育」の構築についての答申において、2020年代を通じて実現を目指す「令和の日本型学校教育」の在り方を、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」としていただいたところでございます。
 3ページを御覧いただきたいと存じます。その「個別最適な学び」を進められるようにするためには、教師がこれまで以上に子供の成長やつまずき、悩みなどの理解に努め、個々の興味・関心・意欲等を踏まえて、きめ細かく指導・支援することなどが求められます。
 また、「協働的な学び」においては、一人一人のよい点や可能性を生かすことで、異なる考え方が組み合わさり、よりよい学びを生み出すような授業を設計していくことが重要でございます。
 再び2ページの諮問の概要を御覧いただきたいと存じます。上から2つ目の箱にありますように、この中において、答申では、「令和の日本型学校教育」において実現すべき教師をめぐる理想的な姿を、学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて学び続け、子供一人一人の学びを最大限に引き出すこと、主体的な学びを支援する伴走者としての役割を果たしていることなどを示していただいたところでございます。
 4ページを御覧ください。このように学びの在り方が変わる中で、教師に求められる役割も改めて考えていかなければなりません。このため、先の答申でも、今後更に検討を要する事項としまして、「『令和の日本型学校教育』を実現するための教職員の養成・採用・研修等の在り方」が明記されたところでございます。
 5ページから8ページは、教師をめぐる文部科学省の最近の動きでございます。先の答申と時期を同じくしまして、文部科学省においても、萩生田大臣を本部長とする教師の人材確保・質向上に関する検討体制を整えまして、また、現在国会に提出している、小学校35人学級を実現するための、いわゆる義務標準法改正案においても、教員免許制度等の在り方に係る検討規定を盛り込んでいるところでございます。
 さらに、先の検討本部では、35人学級を担う教師の確保や社会人等の多様な人材の活用などの「当面の取組」をまとめたプランを公表したところでございます。
 10ページ以降、教師を取り巻く状況をまとめておりますが、10ページから12ページは教師の長時間勤務の実態、13ページから15ページは教員採用選考試験における採用倍率低下の状況、16ページから18ページは学校に配置すべき教師数に一時的に欠員が生じる、いわゆる教師不足の発生とその要因などについて整理したものでございます。
 「令和の日本型学校教育」を担う教師をめぐる理想的な姿を実現いただくためには、このような現状も踏まえる必要がございます。社会の在り方や学びの在り方が大きく変化する中で、新たな時代における教師の養成・採用・研修等の在り方についても、既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところにまで遡って検討を行い、必要な変革を行うことで、教師の魅力の一層の向上を図っていくことが必要でございます。そのため、このたび、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方全般にわたって、包括的に諮問し、5つの事項を中心に御審議をお願いしたいと思っております。
 検討事項の1つ目は、教師に求められる資質能力の再定義でございます。
 20ページ、21ページにありますように、教師に求められる資質能力は過去の中央教育審議会等でも提言を頂きまして、22ページの下段にも記載がありますように、「令和の日本型学校教育」の構築についての答申では、ファシリテーション能力やICT活用指導力なども挙げられました。
 他方、23ページ、24ページにもありますように、各地域では、平成29年度から教育委員会と大学等との協働により、キャリアステージごとの育成を目指す資質能力の指標を定め、これに基づく体系的な研修が行われております。
このような状況を踏まえ、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師像と教師に求められる資質能力について、全ての教師に求められる基本的な資質能力を具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 検討事項の2つ目は、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方でございます。
26ページにありますように、教員採用選考試験での採用者のうち、民間企業等の勤務経験者は数%でございまして、27ページにある特別免許状の授与件数を見ましても、社会人等の知識経験を有する人材が学校現場で十分に活躍できていない状況でございます。多様性や柔軟性を備えた教職員集団であることは、子供の教育の充実にもつながると考えられます。
 さらに、28ページを御覧になって分かりますように、校務分掌の形で、法令や答申等で求められている特定分野の担当者も多岐にわたっており、新たな専門性を身につけるなど、教師個人の強みや適性等に合った配置や育成が求められております。
こうした多様で質の高い教職員集団の姿を明らかにしていただくとともに、優れた人材を確保できるような教師の採用等の在り方や採用後の強みを伸ばす育成、キャリアパス、教職員集団を率いる管理職の在り方につきまして御検討お願いいたします。
 この検討課題の1つ目と2つ目を中心に御審議をいただく新たな教師の在り方をベースにした上で、この趣旨を検討事項の3つ目から5つ目の各検討課題に落とし込み、専門的な御議論をお願いしたいと思っております。
 検討事項の3つ目は、教員免許制度の在り方についてでございます。
30ページから32ページでは、教員免許制度の概要を紹介しております。次の33ページ、34ページに示したように、教員免許制度はこれまで累次の制度改善を重ねてきましたけれども、今回の包括的諮問では検討事項の1つ目、2つ目を中心に、教師の基本的な在り方から御議論をいただきたいと思っておりますので、教員免許制度も部分的な改善にとどまらない新たな教師の在り方を踏まえた教職課程の見直しや、学校外で勤務した者などへの教員免許や免許状の区分などの在り方について御検討をお願いしたいと存じます。
 その際、教員免許更新制につきましては、35ページ、36ページにございますように、前期の中央教育審議会から包括的な検証が継続課題になっております。この議論の中では、35ページの2.にありますような課題が指摘され、36ページの2.にある、①講師の資質能力の確保、②教師や管理職等の負担の軽減、③教師の確保を妨げないこと、の3つが並立できるような抜本的な検討が必要であることにつきまして、見解の一致が前期の審議会で得られたところでございます。
 今後、1.にある残された論点を含めて検証を完了させ、見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいと存じます。
 検討事項の4つ目は、教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化についてでございます。
 38ページから43ページまでは、教員養成大学・学部や教職大学院に関する基本的な制度や教員就職率等のデータをまとめております。新たな教師の在り方を踏まえ、多様化した教職員集団を構築する中で、中核となる教師を養成する教員養成大学・学部、教職大学院の果たすべき役割は引き続き大きいと考えておりまして、これらの機能強化・高度化につきまして、教育内容、方法や組織の在り方の見直し、学生へのインセンティブの在り方も含めて御検討をお願いしたいと存じます。
 最後に検討事項の5つ目でございますが、教師を支える環境整備についてでございます。
 45ページにあるように、学校における働き方改革につきましては、令和元年の、いわゆる給特法改正によりまして、①在校等時間の上限指針の策定、②1年単位の変形労働時間制の選択的導入を行ったほか、教育委員会からの要望を踏まえた各種取組を推進しています。今後、令和4年度を目途に勤務実態調査を行い、給特法等の法制的な枠組みを含め、必要な検討を実施することとしておりますけれども、このような状況を踏まえ、多様な教師の働き方などを含め、教師が自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことのできる環境整備についても御検討をお願いしたいと存じます。
 補足説明は以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 では、事務局から、もう一つの「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について」の説明もお願いいたします。
 
【義本総合教育政策局長】  2つ目の第3次学校安全の推進に関する計画の策定につきまして、補足的な説明をさせていただきたいと存じます。
 お手元にお配りしております資料5-1から5-4まででございます。これらを使いまして、補足説明をさせていただきます。
 まず、資料5-1は諮問文と諮問理由でございます。諮問の概要は、資料5-2でございますので、これを御覧いただきたいと存じます。
 学校保健安全法第3条におきまして、国は、学校安全の推進に関する計画を策定することとされております。現在の第2次の計画は、平成29年度から令和3年度までとなっておりまして、令和4年度以降の次の計画の策定が求められております。
 第3次の計画策定に向けた主な論点としましては、1つ目は、現行計画期間中の取組状況の検証及び社会の変化に基づく改善策についてでございます。
 まず、東日本大震災の教訓及び近年の災害の激甚化を踏まえた防災教育の充実についての検討が必要でございます。
また、昨年度においても、児童等が殺傷される事件や、複数の園児が亡くなった交通事故が起こるなど、児童生徒等が登下校中に事件、事故に巻き込まれる事案が発生しております。防犯・交通安全についての一層の充実や、学校、家庭、地域、関係機関・団体と連携した対策を行うことが喫緊の課題となっております。
 さらには、SNSを契機とした児童の連れ去り事件も近年頻発していることを踏まえ、これら犯罪被害への対応や、新たな危機事象に対する対応も必要でございます。
 さらに、今年度は新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、マスク着用による熱中症リスクの増加など、新たな安全上の課題も懸念されておりまして、新型コロナウイルス感染症対策と安全対策の両立の在り方についても検討が必要でございます。
 2つ目の論点は、学校安全に係る取組の全国的な質の向上についてでございます。学校現場における学校安全の取組の質を全国的に高め、実効的で持続的なものとしていくためにはコミュニティ・スクールの活用など、学校における組織体制の在り方や、関係機関との連携について検討が必要でございます。
 3つ目の論点は、安全教育、安全管理に関し、教員養成段階で身につけておくべきことや、教員研修の在り方についてでございます。
 平成29年、30年に改定された学習指導要領において示された、カリキュラム・マネジメントの考え方に基づく体系的な安全教育及び安全で安心な生活や社会を実現するために主体的に行動する態度の育成など、学校安全教育の充実の在り方についての検討が必要でございます。
 また、学校安全教育の充実に当たっては、昨年度に東日本大震災による津波被害に係る大川小学校事故訴訟の最高裁判決も出たところですが、教職員が自然災害等の安全に関する知見や、指導すべき内容を明確に把握しておくことが重要であり、教員養成や教員研修における学校安全の在り方について検討が必要でございます。
 以上の3つの論点について総合的に御審議、御議論いただければと存じます。
 最後に参考ですが、資料5-3は現行の第2次計画の概要でございます。また、資料5-4は独立行政法人日本スポーツ振興センターによります、災害共済給付における負傷等発生件数と発生率の推移ですが、年々減少傾向にあるものの、依然として負傷等が多数発生している状況でございます。また、学校安全計画の策定率はほぼ100%になっておりますけれども、質の向上が今後の課題と認識しております。5-4の2ページ目には、学校における安全の取組の全体像を掲げているところでございます。
 補足説明は以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 2つ目の内容につきましても、ちょうど東日本大震災から10年目を迎えての第3次計画策定ということでございますので、時期的にも大変重要な視点になるのではないかと思います。ありがとうございました。
 今回は第11期のスタートということで、新任の委員の方が14名いらっしゃいますので、できれば新任の方については、11期を始めるに当たっての抱負も含めてお話をいただきたいと思います。
 会場に新任の方もいらっしゃいますので、まず口火を切っていただいて、それから、諮問が2つ出ておりますので、直ちにこの内容についての議論というのは難しいかもしれませんが、何かお考え等があれば、付言していただいたり、今事務局から説明のあった内容について確認したい事項等があれば、それについての御発言をお願いできればと思います。
 それでは、会場においでいただいている清水委員、吉田委員、渡邉委員からまず皮切りに御発言をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。では、まず清水委員からお願いできればと思います。
 
【清水(信)委員】  ただいま御紹介いただきました、武蔵野東学園の清水と申します。本日初めて参加させていただいて、11期の向かう方向をしっかりと把握させていただきました。
 その中で、私は武蔵野東学園に奉職した後、今現在、全国高等専修学校協会の会長を務めさせていただいています。後期中等教育機関の中では高等学校でなく高等専修学校という学種に携わってきていて、日頃感じていることと、令和の時代の教師の研修だとか育成というところと相通ずるところもあると思うのでお話しさせていただきたいのですが、昨日、都内の中学校で進路講話をしました。そして、「高等学校って知っている人」と、全員手を挙げます。「高等専修学校って知っている人」、ほとんど手を挙げません。これが現状なんです。何が言いたいかというと、後期中等教育機関は非常に多様化をしていて、中学生の進路の方向性はたくさんあるんですけど、中学の先生方は大学の教職課程で専修学校の設置基準は一切学んでいないんです。私もそうでした。ですので、いざ進路指導のときに、高等専修学校という職業教育をやっている学校群があるんだということをなかなか御存じじゃない先生がいるという現実を改善していかないといけないと思っています。
 そのためには、大学の教職課程の科目の中に専修学校の設置基準を入れ込んでいただくとか、あと、各都道府県の教育委員会の研修の中で入れていただくとか、そんな工夫が必要じゃないかなと思っています。そうするとミスマッチが減って、なおかつ不登校であるとか、いろいろな諸問題の問題解決にもなっていく。
 あと一つ、教員免許で、是非皆さんに知っておいていただきたいのは、御存じの先生方ばかりだと思いますけれども、高等専修学校の教員の資格は学位規程なんです。教員免許は要らないんです。しかし、第1条の高等専門学校も学位規程になっているんです。我々、高等専修学校は4年生大学を卒業して学士の資格があると教員資格が発生します。どちらかというと、その中には実務家教員的な分類に入る先生方も教壇に立っているということです。
 その辺も今後の議論の中で精査をしていただき、なおかつ、中学生や、また、その保護者、中学校の先生方、また、高校の先生方にもしっかりと専修学校制度を分かっていただけるようなことが私は必要なのかなと。そうすると、進路の選択肢がしっかりと広く、そして情報が広くわたって、ミスマッチが減っていくんじゃないかなと日頃感じておりますので、最初のこの会でふさわしい意見かどうか分かりませんけれども、ちょっと発言させていただきました。
 よろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 高校では普通課が7割を占めているという状況の中で、「令和の日本型学校教育」の答申においては、多様性という視点が非常に重要であるという取りまとめがなされました。まさにこれからの教育では多様性というものがより重視される方向に向かうのだと思います。貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、吉田委員から御発言いただければと思います。
 
【吉田委員】  ありがとうございます。このような機会を頂きまして感謝しております。
 今回、諮問の内容を見させていただいているわけですけれども、「令和の日本型学校教育」というのは、本当に先が長いものであって、この場だけでは済まされないことだと思います。
 御承知のように昨年のコロナ禍によって、3月2日から学校が閉校された中で、4月から新たな学年が始まり、子供たちは最初、大変苦しんだと思います。そういう中で、一部の学校ではオンライン学習ができたということもありますけれども、一昨年、GIGAスクールの構想が発表され、そして、コロナによってオンライン学習が始まり、そうしたら突然、オンライン学習が当たり前のような時代が来てしまいました。
 実際にオンラインという問題で考えても、例えば大学入試のCBTの問題を一つ取ってもなかなか実現できる問題ではない。そういう中で、先ほど、資料4-5の21ページ、「教師に求められる資質能力に関する記述」の中にありましたが、平成27年の12月の中教審の答申で、アクティブ・ラーニングとかICTの活用といったことも既に言われておりました。ただ、それが実際に各学校にICT機器というか、端末が先生方の手元にもなかった状態の中で、急に変わって、それを研修しろというのは非常に難しいことだと思っています。
 ですから、そういう意味では、できれば今回のいろいろな答申につきましては、今の目先だけではなく、先のことを考え、かつ、子供たちのICTの中でのSNSの利用法もそうだと思いますけれども、起こり得るものをきちっとしっかりと最初から押さえて、そして、そういう良い答申を出せるような会にしていただければと願っておりますので、よろしくお願いいたします。
 今後ともお世話になりますが、よろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 恐らく吉田委員の関係されている先にも、今お話のあったような好事例がいろいろと存在していると思いますし、それが今回の教師の資質能力の向上や、教員免許の考え方の重要なヒントになると思います。ありがとうございました。
 それでは、渡邉正樹委員からお願いいたします。
 
【渡邉(正)委員】  東京学芸大学の渡邉正樹です。私は2月まで初等中等教育分科会に臨時委員として参加させていただきました。今回、第11期の中教審の委員としてこのような場に参加させていただくということで、非常に責任を重く感じております。
 今回、第3次学校安全の推進に関する計画の策定についての諮問が大臣のほうからございましたけれども、私は第1次、第2次の計画にも関わっておりました。今日の資料を拝見しますと、例えば災害共済給付における負傷疾病発生件数などはどんどん減少しているということで、非常に改善が見られるということだと思うんですが、ただ、この日本の状況、特に諮問の中にもあるように、東日本大震災の発災から10年ということで、大きな事故や災害が発生したときでも、子供たちや先生方の命を守ることができるかどうかということが非常に重要かと思いますので、単に件数だけで見るということではなく、どんな場合であっても命を守れる、そういう安全でなければいけないと考えております。
 また、マニュアルや学校安全計画の策定状況も数値は99.9%と非常に良いんですけれども、本来これは学校保健安全法では学校に義務づけられているものであって、全て100%でなければいけないんです。ということは、やっていない学校もあることになります。やはり第2次の計画のときも学校差ということが一つ課題に挙がっていました。これはまだまだ改善が十分行えていないことがあるかと思いますので、そこは何とかもっと上げて、全ての学校が100%になっていただかなければと考えております。
 また、マニュアルや学校安全計画ができたとしても、問題はその質といいますか、例えばそれがマニュアルであれば、それは実効性を持つものなのかどうかということがあるかと思います。これについては、文科省も様々な取組をされていますので、そういったことが徐々に効果を上げていくのではないかなと思っておりますけれども、今回の計画の中でもまた質の向上ということも検討していただければと思っております。
 そして、1つ諮問の最後のところに教員養成、教員研修のことが挙がっておりましたけれども、ずっと課題となっているのが、中核となる教員ということがあるのですが、これがかなり曖昧な位置づけになっている部分があるかと思います。その点をしっかり改善していくことによって、学校の体制づくりというのも更に進むのではないかと考えています。
 以上です。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 次に、渡辺弘司委員にも御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 
【渡辺(弘)委員】  渡辺弘司でございます。ありがとうございます。
 私は日本学校保健会と日本医師会から出させていただいております。小児科の医者でございまして、学校医と学校産業医を25年以上やってきておりますので、そちらの視点から意見を述べたいと思います。今回初めて参加させていただいたので、まず質問が1つございまして、それから意見を述べたいと思います。
 10期の答申を読んだんですけど、網羅的に書かれていて、これが全て達成できたらすばらしいと思うんですが、10期の答申に対して、文科省がどのような行動をとって、どういう成果が上がったかというのは中教審の途中で報告があるのでしょうか。例えば今回、11期で何か答申を出した場合に、それは聞いておくという内容になるのか、それとも、実際にどう動かれるかという経緯を知りたいので、10期の答申案に対して、どのように文科省が評価されて、何をどうされたかというのを経過中に教えていただけるとありがたいです。
 今回の諮問に対して感じたことを述べますと、最初の教職員に関しましては、先ほど資料4-2の説明のときに、1と2、例えば教師に求められる資質能力の再定義と多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方を先行して議論をし、3、4、5に落とし込むという御説明だったと思うんですが、教職員の就業、例えば教職員になりたいという方がなぜ少なくなっているのか、世間一般にブラック企業と言われていないか、なぜそのように人気がないのかという視点と、もう一つは、産業医をやっておりまして、やはり職場環境として非常にハードだと思います。そういう視点で、受皿を作らないと幾ら理想論を述べても先へ進まないということを考えれば、1、2と並行して5も考えるべきじゃないかなと思います。
 それから、今回のもう一つの諮問が学校安全ということになりますけれども、学校安全と学校保健というのはあまりきれいに分けられないんじゃないかと思うんです。例えば新型コロナとかデジタルデバイスの話が先ほどございましたけれども、そういう環境の変化に対して子供がどういう状態になるかということを評価しつつ、その評価の在り方も考えていかなければ、新しいことを導入しても、それがどういう障害があって、どういうふうに発展するかということにつながらないのではないかなと思います。
 さらに、例えば命を守るということを、自分の命を守ると固定的に考えずに当然他人の命、それから、将来の自身の子供、そういう意識を持って、その延長に命の大切さを自覚することが、例えば出生前診断とか、性教育とかにつながるのではないか。ということを考えれば、あまり学校安全だけに限定せずに議論をしていただけるとありがたいと思います。
 今後はそういう医療者の面でも御意見を述べたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 最初の質問でございますが、事務局からもし説明があればお願いしたいと思いますけれども、基本的には我々は、第3期の教育振興基本計画に基づいて審議し、PDCAを回す中で、どう実現されていくのかということを見るのが基本だと思います。ただ、行政としては毎年の予算もございますから、予算折衝の中で実現できるものから実現しているというのが現状だと思います。
 もし事務局から説明事項があればお願いいたします。
 
【義本総合教育政策局長】  総合教育政策局長でございます。渡辺弘司委員から御指摘があった10期の答申、資料4-5の3ページに大まかなポイントを書いておりますけれども、ここに書かれた事柄につきましては予算措置として対応していくことから、全部ではございませんが、令和3年度予算の中に盛り込んで進めていこうという事柄ですとか、あるいは省令や運用の改善を図るということも考えて進めていくということ、これは逐次進めていることでございますので、会長からお話がございましたように、どこかの時点でそれを整理して、どういう形で対応するかについて御報告させていただく機会をいただければと思っているところでございます。
 それから、渡辺弘司委員から、特に諮問の5つの事柄につきまして、いわゆる教員の環境整備の問題についても併せて御議論すべきではないかというお話をいただきました。その点につきましては資料4-5の45ページ、特に公立学校を中心とした働き方改革につきましては、いわゆる勤務制度に係る給特法の改正や、学校、教育委員会の要望に応えた形で様々な取組を推進しております。この審議をいただく際にはそういった事柄につきましても状況を御報告させていただき、御議論いただく機会を持てるように、事務局としても資料の用意や御議論の整理をさせていただきたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。引き続きいろいろな御意見を頂ければと思います。
 それでは、清水敬介委員より御発言をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 
【清水(敬)委員】  日本PTAの清水です。御指名ありがとうございます。
 私は日本PTAという立場で委員をさせていただいております。小中の子供たちの保護者代表という立場でこの中教審の委員を務めさせていただくわけでありますけれども、私のほうからは、今回、第11期で本日諮問をされました2つのところ、まずは「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方というところでございますけれども、本日の資料の中にもありますように、先生をめぐる理想的な姿というところで、当然、働き方改革の実現とか、いろいろなところを解消していきながら、先生方が魅力ある仕事であることを再認識していただくことで、また、子供たちが先生方を見て、「僕たちもこんな先生になりたいな」とか、「学校の先生っていいな」と思ってもらえるような先生になっていただくように、是非そのような形の研修等々も含めて、魅力ある先生になることで、これから先、将来、子供たちがたくさん教師になりたいという声が上がることを切に願いますし、是非私としてもこのような内容についてしっかりと議論していきたいと思っております。
 また、もう一つの第3次学校安全の推進に関する計画の策定というところになりますけれども、ここも資料にありますように、特に先進的な取組がされている学校がある一方、まだまだ不十分なところも、非常にいろいろな意味で全国的に格差があると思います。安全面に関するところ、安全教育に関して言えば、学校だけではなくて地域との連携というところも、さらにしっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思います。当然、昨日の大震災から10年というところで、確かに直近であれば、あのように報道がされることで、子供たちも非常に認識するんですけれども、なかなか日頃、ついついこういったことがないというか、少し時間が空いてしまうと薄れていくところがあると思いますので、常日頃から安全教育を徹底していくというのをさらに強化するべきではないかなと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございます。
 PTAの御関係から、非常に貴重な視点を持たれていると思います。これからの検討の中で、安全確保の面でも地域や保護者との関係が非常に重要な要素になると思いますし、これからチーム学校をどのように形成していくのかという点でも、その関係は非常に強くなると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、せっかくの機会でございますので、新任の委員の方には是非一言ずつお話を頂きたいと思います。私から指名させていただきますが、次に井坂委員、いかがでしょうか。
 
【井坂委員】  神奈川県で県立学校の校長をしています井坂でございます。よろしくお願いします。
 まず初めに校長としても、また、私自身、実は職として教員研修に携わるような経験からも、今回の諮問が、まさに「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方ということで、学校教育を実践する教員に焦点を当てられることに対しましては、非常に心強く、また、ありがたく思っている次第でございます。
 今日の諮問やお話の中でもありましたとおり、教員は教科指導はもとより、生徒指導、生徒支援、進路指導、教育相談、あるいはクラスとか、教員組織の分掌とか、学年団におけるマネジメント能力も求められております。全ての教員にとっては、今後もこういった幅広い力がベースになることだとは思いますが、御指摘のとおり、今後は全ての教師に求められている基本的な資質能力と、専門に特化したような資質能力というものが一定程度分けて考えることも必要になっていると思っております。
 また、諮問の中にも書かれておりましたけれども、教員自身のキャリアパス、教員のキャリアプランとしても、一般的に今までは優れた教師がそのまま学校の管理職になっていくという、既に設置者によってはそうじゃないことを実践しているところもあるかと思いますけれども、例えば優れた教科指導力やICT能力等を存分に発揮できるような、専門職的な教員の中でも位置づけが明確になることも今後は必要になってくるものかと現場でも考えております。
 また、経験の浅い教師に対しましては、管理職含め、先輩教師が様々な支援、OJTの視点から仕事を一緒にすることによって、見守っていくことによって明らかに職としてのスキルアップ、成長が現場では行われております。そんな意味では、これも諮問文の中にありましたとおり、校長をはじめとした管理職が、学校組織マネジメントという言葉もだんだんと現場でも定着してきておりますけれども、さらに一層、今まで以上に人材育成という観点でのマネジメントを図れるような、そんな在り方についても検討していくことが必要かと思っております。
 これも諮問文の中にありましたとおり、教師という仕事の社会的役割が重要であるということは、誰しも認識していらっしゃると思うんですけれども、それが実際に、なかなか先生の成り手がいないということで、重要だけれども魅力的な職業としてはどうかという部分が大きな課題かと思っております。
 教師が献身的な仕事であることは間違いないと思いますが、さらに、ここに書かれておりましたけれども、創造的で魅力ある仕事になるように、働き方改革という分脈の中でうまく落とし込められるような議論ができればありがたいと思っておりますし、今後は現場の校長として、なるべく具体的な話をする機会があればありがたいと思っております。よろしくお願いします。
 以上でございます。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 諮問事項のポイントを整理していただいたような御発言、ありがとうございました。資質能力の向上と多様な専門性についてどうバランスを取ってマネジメントしていくのかということは本質的なことだと考えます。ありがとうございました。
 それでは、引き続き内田委員からも御発言をお願いできますでしょうか。
 
【内田委員】  皆さんこんにちは。京都大学の内田と申します。
 私の専門は心理学の中でも、特に社会心理学や比較文化を専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私はこれまで、特にwell-being、幸福や健康ということに着目して研究を実施してきました。特に教育現場や学校の果たす役割というのは、子供の学力ということもさることながら、やはり学校という場でいかに幸せに生きていくことができるのか、また、現在の幸せだけではなくて、将来のwell-beingにつながっていくのかどうかというところが、非常に大きな意識として共有されてきているのではないかと思っています。
 特にwell-beingというのは、個人が幸せになるための資質ということを考えるだけではなくて、お互いに幸福感というのは場の中で伝播するものであるというと考えられます。子供たちの幸福やwell-beingというものを考えたときに、当然のこととして、やはり学校を作っておられる先生方のwell-beingというのも子供に伝播していく非常に重要な要素として考えたほうがよいのではないかと思っています。
 先ほどの議論の中にもありましたが、例えば先生が非常に疲れた状態になっているということは、子供たちにとっても、それが影響していくことではないかなと考えています。また、地域社会の中のwell-beingが、子供たちが暮らす中でも十分にいろいろな形で伝播していくことになるだろうと思っています。
 そうした中で、学校という場が地域やそこで働く先生方、ないしは事務職の方々、あるいはそこで大きく育っていく子供たちにとってのwell-beingを醸成する場として、どのように検討していくかという視点を持って今回のことを考えてみたときに、確かに教員の立場であるとか、研修の制度は非常に重要な問題として上がってくるだろうと認識いたしました。
 また、私自身、国際比較を行ってきたので、今回の件に関しても国際的な動向や情勢というものとある程度比較・参照しながら、日本の教育の価値や、強みや弱みみたいなものを検討していく視点も重要になるのではないかと思いました。
 以上、私の観点から、今後こちらの審議会で検討していきたいなと思っておりますので、どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございます。
 ちょうどOECDのwell-beingの考え方等が示され、PISA調査の中では日本の児童生徒の幸福感というのは非常に低く出てしまうという問題も指摘されているところであります。お話にありましたように、well-beingの観点というのは、今後日本全体の課題としても捉えていく必要があると思います。そういった課題の下で、教師の在り方等を検討できればと思いました。ありがとうございました。
 
【内田委員】  ありがとうございます。
 
【渡邉(光)会長】  それでは、引き続きまして、越智委員からも御発言いただけますでしょうか。
 
【越智委員】  こんにちは。広島大学の学長の越智です。地方国立大学の長として参加していると理解しております。
 私自身は大学教育に関して少しお話をさせていただこうと思っておりました。一つはオンライン授業の在り方、それともう一つは、コロナ禍で留学生が来ることができない、これをどういうふうにして、国際的な獲得競争が起こっている中でオンライン授業によって獲得していくかということをお話しさせていただこうかと思っていました。今日の話は、大臣から諮問がありました、「令和の日本型学校教育」を担う教師の要請・採用・研修の在り方ということで、皆さん、御意見を述べているんですけれども、大学が大学としてきちっとやっていくためには、やはり初等中等教育がしっかりしていなければならないということはもちろんのことなんです。
 私自身、先ほど義本局長のお話を聞かせていただいた上でちょっと思うのは、やはり私自身も教師の理想像と現実像には少しギャップがあるのではないかと感じられました。理想的には、ICTも1人ずつの個性にも心情的に中に深く入っていけるような教師というのが理想的なのですが、その上に、また知識を積み上げて、そして、考える力をいかに醸成するかとか、いろいろな役割が望まれています。その上に加えて、課外活動で土日も出ざるを得ないという中で、教員にどれぐらいのタスクを求めていくのか、本当に理想像というのに近づけていく必要はありますが、現実的にどのレベルの理想を求めるのかというところを、実際やっていく必要があるのではないかと思うので、私自身は教科をどのぐらいのタイムスパンでやっていって、それをもう一回PDCAサイクルを回すときにやっていくのかということが重要ではないかと思っております。
 広島大学は1874年に教育の大学としてスタートしておりまして、多くの教育学部の教員もおりますので、話を聞きながらまとめて、また積極的に参加したいと思っております。
 ありがとうございます。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 今回の諮問事項については、教員養成が非常に重要な視点として入っておりますので、お話にありました、大学から見た教員養成や機能強化の視点でまた御発言を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次に熊平委員、御発言いただけますでしょうか。
 
【熊平委員】  熊平です。初めまして、どうぞよろしくお願いいたします。教員養成について幾つか発言させていただきたいと思います。
 専門は企業の組織および人材開発、リーダーシップ養成です。10年前から教員養成に関わらせて頂いております。企業では、新人と20年のベテランの社員が同じことを求められることはあり得ませんが、教師という仕事においてはそれが求められ、新任教員は、大変チャレンジングなスタートを切らなければならない職務であると実感いたしました。先生になられた方たちが困らない状態にするための教員養成はどうあるべきかということをしっかりと考えていく必要があると思います。
 次に、先ほどからのお話にも出ておりましたが、OECDが提唱しております「学びの羅針盤2030」では、生徒のエージェンシーという言葉も用いられ、生徒の主体性を育むことがとても重要な時代になりました。また、自立的学習者としての生徒像も明確に打ち出されています。子どもたちの主体性と多様性を尊重する敎育への転換には、従来の先生が全ての生徒を指導・管理していくという概念から、子供たちが自立的に学ぶ力を育んでいくというある意味真逆のアプローチへのシフトが必要になります。この大きな転換を、1人の先生の力で実行に移すことは困難であり、学校全体で取り組んでいく必要があります。このようなものの見方のシフトも教員養成の重要なテーマであると考えます。
 3番目に、今日、学校教育に求められる学習内容は、これまでの敎育の枠組みを超えた内容が多くなっております。敎育を終え社会に出た後に、社会人の多くは、企業の中で問題解決力を磨きます。しかし、先生になられる方は、学校を卒業して、また学校に戻るので、企業で働く社会人のように、新たな学びを得る経験がない状態で、子どもたちに新しい学習内容を教えなければならない状況にあります。そのことを踏まえて、先生方の成長を支援することも、大変重要であると思います。
 スクールリーダーについても少し触れさせていただきたいのです。海外では何年か学校で教員としての経験を積み、大学院で学ぶことで、スクールリーダーの資格を得ることができ、30代でも校長になれるという話を聞きます。日本でも、ICTや、時代の求める新しい要請に対応できるように、若いスクールリーダーが育つ環境を整えると良いのではないかと思います。
 最近、学校の先生方と話しますと、優秀で頑張っている先生ほど疲れている様子が伺えます。また、校長先生の在り方でかなり先生方のモチベーションが変わるという様子も見てまいりました。スクールリーダーの養成は、教員のやりがいと成長において、重要な鍵を握ると思います。
 最後ですが、それに絡みまして、例えばハーバード教育大学院ではハーバード・ビジネス・スクールと一緒に新しい時代のスクールリーダーの養成を企画し、敎育プログラム開発を行っています。企業のリーダーシップ養成は、スクールリーダーの教育との親和性が高いです。 幅広い知見を使いながら、新しい時代のスクールリーダーの養成に取り組むとよいのではないかと思います。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 海外の企業の事例をご紹介いただき、これを我が国の教育制度にどう反映するかというお話を頂戴いたしました。大変に参考になるお話でした。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、後藤委員、お願いできますでしょうか。
 
【後藤委員】  今回初めて参加させていただきます、奈良高専の後藤と申します。
 私は家政系の学部出身で、その後、教員養成大学に16年間勤務しております。それから、今、高等専門学校の校長5年目でございます。
 高専は複線型の高等教育機関として、15歳から5年一貫のエンジニア養成を行っております。中学校卒業生の大体1%が入学してまいりまして、卒業後ほとんどがエンジニアになります。日本の工学系人材のおよそ1割、10人に1人が高専卒です。
 教員養成大学に勤務しておりましたときの経験を含めて、いろいろ役目をさせていただこうと思いますが、学校教育の課題は、教育制度や学校の施設設備整備であったり、教育組織であったり教育課程、それから、教育手法といろいろありますが、最も大切なのは諮問1と関連した質の高い教員の確保ということと、チームで動く教員組織ということにあるかと思います。明確な持論は今のところありませんが信頼できる統計データと経験を生かして、現場の声を基に意見を述べていきたいと思います。免許更新の講師の経験もございまして、この研修で教員の資質を高められるのかという疑問を持っておりました。
 諮問2と関係しまして、学校安全の推進ですが、安全・安心は人の活動、学校だけではなくて、全てで必要なものだと思います。そして、安全・安心というのは一方的に与えられるものではなく、自らつくり出すものであることを是非学んでほしいと思っております。
 最後になりますが、高専校長として教員を見ていますと、非常に繁忙で深刻な状況になっています。そのことは教育の質や学校の安全に直結すると思います。働き方改革は喫緊の課題であると思っております。
 何とぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 実体験に基づく貴重な御意見を頂きました。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、小林真由美委員、お願いいたします。
 
【小林(真)委員】  よろしくお願いいたします。福井で中学校の校長しております小林です。よろしくお願いします。できるだけ現場の声をお伝えしていきたいなと思っております。
 最初の諮問につきましては、本当に直接教員に関わってくることなので、お話ししたいことは、実は本当にたくさんあるんですけど、今回は時間がないので、2つ目の諮問について、少しだけ学校の中の取組を紹介させてください。
 例えば、今年なんですけど、学校安全とは少し論点がずれますが、今年度、本校ではこういうコロナ禍にありまして、いろいろな制限を受けましたので、総合の中で「感染症対策を通して社会と関わる」というテーマを設けました。そして、学校全体でいろいろ、総合の時間使って感染症対策について調べてきたりしたのですけれど、それと教科も関連させて、例えば家庭科ではマスク作りをしたり、道徳でコロナの記事を扱ったり、美術でソーシャルディスタンスのデザインを作ったり、音楽では癒やしの音楽をホームページから配信しようみたいなこともやってきました。ですので、安全教育の観点でも、総合を柱として教科の中で安全教育を洗い出して、おっしゃられたように、カリキュラム・マネジメントに取り組んでいくということは一つじゃないかなと思います。
 それからもう一つ、本校で行った安全教育の例を一つ挙げさせていただきますと、この夏に公民館の方が学校にお見えになりまして、もし公民館が避難所となったとき、中学生はどのように避難所で貢献をしたらいいのかということを、モデルを使って体験してみるという授業をしてくださいました。理論より体験というのは子供たちにとって、本当に自分たちがやらなければいけないという状況を作っていただいたので、非常に効果があったなと思っております。こうしたことはやっぱり学校の教員だけではなくて、その地域の方々の協力が大きいなと思いました。
 安全教育は子供たちが、自分が守ってもらうというのではなくて、自らが自分を守り、さらに自分が地域とか社会を守る、そんな気持ちを抱いていけるようにしていくことが大事かなと思います。そういうことを皆様と一緒にまた、考えていけたらありがたいなと思います。
 どうぞよろしくお願いします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 第3次学校安全の推進に関する計画の策定に向けて、新たな要素となる部分について御意見をいただきました。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、貞廣委員、御発言をお願いできますでしょうか。
 
【貞廣委員】  御指名いただきましてありがとうございます。千葉大学教育学部の貞廣と申します。
 私は教育制度、政策、教育財政の研究者であると同時に、現時点で大学の学部での教員養成、また、教職大学院での現職教員の職能開発に関わっている当事者でもございます。本審議会には両者を架橋する意見を申し上げることで関わっていくことが求められているのだろうと考えております。その上で、今日いただきました諮問に関わる御説明を受けまして、現時点での感想的な意見を2点だけ申し上げたいと思います。
 1点目は、今後、教員養成を変える必要があるのであれば、各大学での教員養成の工夫や多様性を認め、そのイノベーションを支援していこうとする方向性が必要であろうと考えます。私見でございますが、これまでの教員養成の質保証は、学ぶ内容の追加と共通化、厳格化の歴史であると捉えています。特に近年では、コアカリキュラムが足かせとなり、各大学では独自の工夫が難しい状況になっております。もちろん、大学独自の科目の設定は制度上可能ですが、各大学の現行のリソースでは、コアカリキュラムに対応することで精いっぱいという状況にあります。
 これは学生にとっても同様で、私どもとしては特に多様な経験を積んでほしいと思っている教員養成課程の学生は、留学等の多様な活動を経験することが、かなりカリキュラムがきついということがあって、難しいような状況にあります。こうした状況を、もちろん質保証にも目配りをしつつ、見直していくことが必要であろうと存じます。
 2点目は、諮問にございました、養成・採用・研修と連動させて、待遇についても大きな柱として検討する必要があると考えます。検討事項マル5がそれに相当するのかと思いますけれども、これをしっかりと捉えていくことが必要であると思います。
 なお、ここで申し上げています待遇というのは、給与もさることながら、例えば大学院や教職大学院などで学校の先生方が学びを継続する、それを支援していくような仕組みを充実させるということを指します。
 学校の先生方というのは御承知のとおり、子供に与え続けたり、支援し続けたりする存在であるわけですけれども、与え続けるだけではリソースは枯渇します。先生方が自らにインプットできるような機会が今よりも拡大する必要があると考えております。
 以上、2点でございます。今後ともお世話になりますが、よろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 過去のいろいろな答申を踏まえて、質保証の向上が図られてきましたが、教員養成の多様化が次代の変化に対応できているのかということについては、御指摘の要素も大変大きな問題だと考えております。今回の諮問内容の中にもそういった趣旨が入っていると思いますので、今後とも御発言をお願いできればと思います。
 それでは、新任の委員の最後になりますが、湊委員、御発言をお願いできますでしょうか。
 
【湊委員】  湊でございます。
 
【渡邉(光)会長】  よろしくお願いいたします。
 
【湊委員】  ありがとうございます。
 最後になりましたが、私は第10期には大学院部会で臨時委員を2年間務めさせていただきました。特に大きな日本の大学院制度の問題として、御存じのようにここ数年間、国内ほぼ全ての大学で大学院、博士後期課程の進学率がどんどん下がってきているということがありました。これは先進国の中で日本だけです。完全に逆行した現象なので、これには各界で非常に懸念が生じている。これは日本の将来の国際競争力であるとか、研究力に大きな影響を与えるのではないかということで、2年間、博士課程の進学率をどのように担保するかという観点での議論をかなり進めてまいりました。もちろんそれは大学院における学位プログラムから始まって、生活支援、奨学金の問題、出口対策等々多くの課題を含みますが、基本的には外形的な要素からしか攻めることができなかったという問題もあります。ただ、幸いなことに、次年度、令和3年度からの文科省の予算でもかなり大型の大学院の生活支援、奨学資金に関わる予算をつけていただきまして、今後どうなるか、少し様子を見ることになるんだろうと思います。
 私自身は、大臣から先ほどあった御諮問の内容についてはあまり造詣もございませんので、大きな貢献ができるとは思わないんですけれども、できれば、引き続き日本の高等教育、特に大学院を中心とする高等教育のところで、もう少し中身の問題について議論したい。どうしても、日本の大学院制度は戦後に、アメリカからすっぽりと外形上輸入しただけであり、アメリカのやり方に従ってやってきた。だから、形はそれなりに整っているんだけれども、学位プログラムとか、学位の質保証とか、学位の社会的な定着ということを考えると、まだ非常に遅れている。そういうことで、もう少し中身の議論をして、例えば先ほど一部にも先生方のリカレント教育について、学校の先生も与えるだけでは、いつかは枯渇してくる、やはりどこかでもう一回ブースティングして、いろいろな補強をして、それでまた現場へ出るというプロセスも必要になる、という話がありましたが、その通りだろうと思います。そういう観点で、少し高等教育の立場から、今日、大臣が諮問されたことも含めて、議論に参加できればありがたいと思っております。
 以上です。
 
【渡邉(光)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、一通り新任の委員の方々の御発言を頂きました。残り時間の関係もございますので、今、大学分科会の関係に言及された部分も踏まえまして、最後に永田副会長と荒瀬副会長から御発言をいただければと思います。
 最初に永田副会長、よろしくお願いいたします。
 
【永田副会長】  いろいろな御意見がある中で、特に「令和の日本型学校教育」について聞きながら考えていたのは、最後に湊先生が述べられたように、小中高大と進んでいく中で、最終的にオリジナリティーを本来発揮すべき大学院に人が少ないのはどうしてか、ということです。それは、前も申し上げましたが、小学校、中学校、高校で教えている先生が、かつては専門を1つは必ず学んでいたと思うのですが、今先生がそれらを自由に使われているのか疑問に思います。型どおりの授業をやっていくことではなく、先生が個性を持って、大学で学んだ学問をうまく消化して教えるようなことが現場でなされているのか。毎日それどころじゃないということはよく分かりますが。
 例えば、自分が中学、高校の先生であるとすると、理科を一生懸命教えて、毎日、土日も含めてサッカーの顧問をしているのではないかなとか思いながら聞いていました。そうした中でも、現場の先生が学問の匂いを少しでもさせるような小学校、中学校、高校になるといいなと思いました。もちろんシステムとしてそれを保証するものは必要となります。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 それでは、荒瀬副会長、よろしくお願いいたします。
 
【荒瀬副会長】  荒瀬でございます。よろしくお願いいたします。
 前期10期で「令和の日本型学校教育」につきまして議論いただきました委員の皆様、本当にありがとうございました。この答申に基づいて、いよいよ具体的に学校教育をどう進めるかということが非常に重要になってきています。それに関わって今期の答申であろうと思っております。
 教員の専門性といったこととか、あるいは教員の働き方改革であるとか、非常に重要なことが幾つもあると思います。学校で子供たちと一緒にいろいろなことをやって、子供たちが成長していく姿を見ていることが面白くて仕方がないといったことに力と時間を注げるような学校の在り方というのを、どうしたら実現できるのかということを、この答申に基づいて考えていければと思っている次第です。
 学校教育には課題はたくさんありますけれども、この間の答申で、ぜひともこうなったらいい、こうなってほしいという姿が幾つも書かれていましたけれども、私、実際に初中分科会で議論しておりましたときに、まさに「I Have a Dream」という形で書かれているんだと思いまして、そういう発言もしたことがあります。見果てぬ夢ではなくて、非常に課題はあって大変なんだけれども、しかし、実現していこうという具体的な目標であるという位置づけで、実現していくように議論していければと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 
【渡邉(光)会長】  ありがとうございました。
 それでは、冒頭申し上げたように、これから、諮問事項が中心となるとは思いますが、皆様と一緒にこの第11期を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の会議は以上で終了とさせていただきますが、次回の総会の日程等につきましては、今後、特別部会での審議との関係もございますので、事務局から追って連絡させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。以上とさせていただきます。
 
―― 了 ――
 

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