中央教育審議会(第126回) 議事録

1.日時

令和2年12月25日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議

3.議題

  1. 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申素案)について
  2. 令和2年度第3次文部科学省関係補正予算案・令和2年度文部科学省関係予算案及び税制改正について

4.出席者

委員

渡邉会長、永田副会長、天笠副会長、明石委員、荒瀬委員、有信委員、今村委員、牛尾委員、加治佐委員、亀山委員、菊川委員、木場委員、清原委員、小林委員、今野委員、志賀委員、竹中委員、中野委員、西橋委員、萩原委員、長谷川委員、東川委員、堀田委員、道永委員、村田委員、吉岡委員

文部科学省

藤原事務次官、丸山文部科学審議官、松尾文部科学審議官、串田総括審議官、原大臣官房会計課長、坂本大臣官房政策課長、氷見谷大臣官房国際課長、浅田総合教育政策局長、髙口大臣官房審議官、佐藤総合教育政策局政策課長、蝦名大臣官房審議官、塩見大臣官房審議官、浅野初等中等教育企画課長、伯井高等教育局長 他

5.議事録

【渡邉会長】
 おはようございます。ただいまから中央教育審議会総会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止が大変重要な時期になっておりますので、前回同様ウェブ会議方式と対面を併用した、いわゆるハイブリッド型で開催させていただきます。
 それでは、まず本日の会議開催方式の詳細と資料につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。

【佐藤総合教育政策局政策課長】
 失礼いたします。事務局から御説明を申し上げます。
 会長から今、お話を賜りましたように、本日も前回と同様に、傍聴者の規模を縮小する等の措置を取った上で、感染症拡大防止の措置を適切に講ずることを前提に、Webexを用いたウェブ会議方式と対面方式を併用して開催させていただいてございます。
 また、こちらも前回と同様でございますが、本日の議題につきましては、内容の御説明の後、委員の皆様方に御議論いただく時間を設けてございますが、講堂での御参加の委員の皆様方におかれましては、御意見がございます場合、従来どおりネームプレートを立てていただきまして、お願い申し上げます。そして、ウェブ参加の委員の皆様方は、挙手ボタンを押していただければと思います。会長の御指名により順次御発言をお願い申し上げます。
 会場で御参加の委員の皆様方におかれましては、御指名があった後、事務局がウェブカメラ用のパソコンとマイクをお持ちいたしますので、そのセットを待って御発言を頂戴できればと思います。また、ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、Webexからの御参加の委員の皆様方におかれましては、御発言時以外はマイク及びカメラをオフの状態にしていただくようお願い申し上げます。
 委員の皆様方には御不便をおかけする点、多々あるかと思いますけれども、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 なお、本日は報道の関係者の皆様方と一般の方向けに、本会議の模様をWebexでライブで配信してございますので、御承知おきくださいませ。
 また、本会議はこれまで同様、基本的にペーパーレスで進めてございます。委員の皆様方におかれましては、お手元にございますタブレットに本日の資料を既に開いておりますので、ここで資料の確認をさせていただければと存じます。
 本日の資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1から資料3まで、加えて参考資料1-1から1-2となってございます。御不明な点等ございましたら、事務局にお申しつけくださいませ。
 なお、資料3につきましては、中央教育審議会運営規則等に基づきまして、前回の総会以降総会を経ないで行われた諮問等について御報告するものでございます。
 参考資料1-1及び1-2につきましては、初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会に設置されました、新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの審議まとめの概要及び本文でございます。今回議題となってございます「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申素案)」にも、当該ワーキンググループの審議まとめの内容を反映しているところが多々ございますことから、参考として御配付をさせていただいてございます。
 最後になりますが、本日御出席いただいております委員の皆様方、全体29名の委員の皆様方がいらっしゃる中で、20名がウェブ参加、そして6名の方が会場参加ということで、合計26名、29名のうち26名の委員の皆様方に本日御出席をいただいており、当然定足数も満たしているということを最後に御報告申し上げます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。資料等の御確認についてはよろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事について御説明させていただきます。今の説明にもありましたが、まず、議題(1)の答申素案「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」についての御説明をいただいて、意見交換を行いたいと考えます。
 次に、議題(2)の令和2年度第3次文部科学省関係補正予算案、そして令和3年度文部科学省関係予算案及び税制改正について御説明いただく予定としております。
 それでは、今申し上げたとおり、最初に議題(1)について、まずは荒瀬初等中等教育分科会長から御説明いただいて、後ほど事務局からも説明を加えていただきたいと思います。それでは、最初に荒瀬分科会長からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。初等中等教育分科会長及び新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の部会長をしております荒瀬でございます。まず私から、これまでの審議の経緯につきまして御報告をさせていただきます。答申素案の詳細につきましては、後ほど事務局から御説明いただきます。
 御承知のとおり、昨年4月に文部科学大臣から、新しい時代の初等中等教育の在り方について諮問を受け、初等中等教育分科会の下に置かれた新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を中心に、教育課程部会や教員養成部会など、関係する部会や有識者会議等において審議を重ねてまいりました。大変熱心に毎回活発な御議論をいただきました。
 前回の中央教育審議会総会でも御報告させていただきましたとおり、本年10月には、初等中等教育分科会におきまして、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(中間まとめ)」を取りまとめました。前回第125回総会では、皆様から貴重な御意見を頂戴したところです。その後、関係部会やワーキンググループでさらに議論を深めていただきました。
 また並行して、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会におきまして、関係団体から中間まとめに対するヒアリングを実施いたしました。ヒアリングでは、都道府県・市町村の首長、教育長、教育委員会関係者、幼稚園から高等学校、特別支援学校までの公立・私立の各学校段階の校長、PTA、教員養成大学、教職員組合などの関係団体、また経済団体など、書面による御意見を含めまして、44団体から御意見を賜りました。
 こうしたヒアリングや関係部会等での議論を踏まえ、今月4日の初等中等教育分科会におきまして、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申素案)」を取りまとめました。答申素案には、冒頭に「はじめに」として、昨年、平成31年でございますが、昨年4月に文部科学大臣の諮問を受けてから答申に至るまでの中央教育審議会における審議の経緯と、答申をまとめるに当たっての大切にしてきた考え方について記しました。
 現時点では御覧の文章となっておりますが、答申素案の副題を「個別最適な学びと協働的な学びの実現」とした趣旨、すなわち、これらの学びの主語が子供であること、よって一人一人の子供を主語にする初等中等教育を実現していこうという考えを、さらに明瞭にできればと思っております。また、答申素案の最後には、初等中等教育分科会におきまして「令和の日本型学校教育」の実現を目指していく上で、引き続き改革に向けた検討が重要であるとの委員からの御指摘を踏まえまして、個別最適な学びと協働的な学びによる「令和の日本型学校教育」を実現するための教員養成・採用・研修の在り方、学校の自主的・自立的な取組を積極的に支援し、社会の変化にスピード感を持って対応するための教育委員会の在り方等を挙げて、今後さらに検討を要する事項として記載しております。
 答申素案の具体的な内容につきましては、この後、塩見審議官から御説明いただきたいと思います。本日の総会でも御意見を頂戴いたしまして、今年度内の答申に向けて、引き続き精力的に審議を進めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。ありがとうございました。

【渡邉会長】
 ありがとうございます。
 それでは引き続き、事務局からの説明をお願いいたします。

【塩見大臣官房審議官】
 失礼いたします。初等中等教育局担当審議官の塩見と申します。私から、今回の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」答申素案につきまして御説明をさせていただきたいと思います。資料1を御覧ください。
 先ほど荒瀬分科会長から審議の経過について御紹介いただきましたとおり、10月の中間まとめの後、関係部会等においてさらに議論いただきまして、今月4日に初等中等教育分科会において答申素案が取りまとめられました。
 資料1の表紙をめくっていただければと思いますが、ここに目次がございます。答申素案では、第1部を総論、第2部を各論としまして、2020年代を通じて実現を目指す学校教育を「令和の日本型学校教育」と名づけ、目指すべき初等中等教育改革の方向性と具体的な方策が示されております。
 それでは、答申素案の概要について、総論部分を中心に御説明いたします。基本的な内容は中間まとめの時点から大きくは変わっておりませんけれども、一部追加された部分などがございます。
 まず、本文の3ページを御覧いただければと思います。1としまして、「急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力」という項目がございますけれども、ここでは、Society5.0の時代の到来、あるいは今般の新型コロナウイルスの感染拡大といった予測困難な時代の中で、我が国の学校教育には、2つ目の丸にございますように、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、その資質・能力を育成するという、新学習指導要領の狙いの実現が、今まさに求められているということを確認いただいております。
 次に、少し飛びまして、15ページを御覧いただければと思います。15ページにおきましては、3の「2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿」ということで、これからの時代の中で求められる資質・能力の育成に向け、知・徳・体を一体で育む日本型学校教育と言われる我が国の学校教育のよさを受け継ぎながら、更に発展させ、学校における働き方改革と、児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークの一体的整備というものを基盤とするGIGAスクール構想の実現を、強力に推進しながら取り組むことが必要であるということが述べられております。
 そして、15ページの一番下の丸になりますけれども、誰一人取り残すことのない、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向け、2020年代を通じて実現を目指す学校教育を「令和の日本型学校教育」と名づけた上で、次の16ページ以降にございますけれども、16ページの「子供の学び」の中で、目指すべき学びの在り方を、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」であるということをお示しいただき、22ページにかけまして、各学校段階ごとの「子供の学び」、「教職員の姿」、「子供の学びや教職員を支える環境」について示していただいております。
 本文の22ページを御覧いただければと存じます。さらに22ページ以降におきましては、「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性ということでございまして、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けた改革の方向性といたしまして、(1)から(6)までございます。
まず1つ目といたしまして、「学校教育の質と多様性、包摂性を高め、教育の機会均等を実現する」こと、2つ目といたしまして、「連携・分担による学校マネジメントを実現する」こと、3つ目といたしまして、「これまでの実践とICTとの最適な組合せを実現する」こと、また4つ目といたしまして、「履修主義・修得主義等を適切に組み合わせる」こと、5つ目といたしまして、「感染症や災害の発生等を乗り越えて学びを保障する」こと、また6つ目といたしまして、「社会構造の変化の中で、持続的で魅力ある学校教育を実現する」こと、これらの観点からの取組が示されております。
 また、ちょっと戻っていただいて恐縮でございますけれども、22ページにおきましては、こうした取組を進めていく上では、学校現場に対して新しい業務を次々と付加するという姿勢であってはならず、学校現場が力を存分に発揮できるよう、学校や教師がすべき業務や役割の範囲や内容等を精選・縮減・重点化するとともに、教職員定数、専門スタッフの拡充等の人的資源、ICT環境や学校施設の整備等の物的資源を十分に供給・支援することが、国に求められる役割であるとされております。
 また、23ページの最初の丸でございますけれども、履修主義か修得主義か、遠隔・オンラインか対面・オフラインかといった二項対立の陥穽に陥ることなく、教育の質の向上のために、発達の段階や学習場面等により、どちらの良さも適切に組み合わせて生かしていくという考え方に立つべきであるとされております。
 続きまして、29ページを御覧いただければと思います。初等中等教育分科会におきまして委員から、総論にICTに関する章を新たに設けるべきではないかという御意見をいただきましたことを受けて、さらに御議論いただき、今回総論の第5章としまして、「『令和の日本型学校教育』の構築に向けたICTの活用に関する基本的な考え方」という章が新しく設けられております。その内容について、少し御説明させていただきます。
 ここに掲げられております内容は、総論部分に既にICTに関する記述が随所にございましたので、それらを網羅する形で、基本的な考え方をお示しするとともに、各論におけるICT活用の取組につながるような記述になっているものでございます。
 まず、29ページから30ページにかけましては、学校教育の基盤的ツールとしてICTが必要不可欠であり、教育が直面する課題の解決にICTが大きな役割を果たし得ること、その一方で、ICTの活用自体が目的化することのないよう留意する必要があること、二項対立に陥ることなく、ICTをこれまでの実践と最適に組み合わせていくことが重要であること、また、健康影響についても留意する必要があること、ICTは学校の組織文化にも大きな影響を与えるものであり、今後様々な観点から、Society5.0時代にふさわしい学校を実現する必要があることなどが示されております。
 次に、(1)の「学校教育の質の向上に向けたICTの活用」におきましては、ICTを主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善に生かしていくことや、端末を日常的に使用し、子供たち自身がICTを文房具として活用することなどを通じて、自由な発想で活用できる環境整備、あるいは授業デザインが重要であることが示されております。
 31ページを御覧いただきたいと思います。(2)の「ICTの活用に向けた教師の資質・能力の向上」でございますけれども、ここでは、養成・研修全体を通じ、ICT活用指導力の養成やデータリテラシーの向上に向けた資質・能力の向上を図る必要があること、教員養成大学・学部や教職大学院が先導的な役割を果たすべきことなどが記述されております。
 本文31ページから32ページにかけて、(3)の「ICT環境整備の在り方」におきましては、クラウドの活用を進めることが重要であること、多様な実態を踏まえつつ高校段階においても1人1台環境を実現するとともに、端末の家庭への持ち帰りを可能とすることが望まれること、教育データの利活用のための環境整備やICT人材の確保、ICT活用による校務の効率化などについて記述されております。
 以上、ここまでの御説明申し上げました内容が、第1部の総論ということになります。この総論における改革の方向性を踏まえまして、先ほど目次でも御覧いただきましたように、学校教育段階別あるいはテーマ別に、今後進めるべき具体的な取組の方策につきまして、33ページ以降の第2部において示されておりますけれども、その詳細につきましては、ここの場では時間の都合もございますので、説明は省略させていただきたいと存じます。
 続きまして、前回10月の総会におきまして委員の皆様からいただきました中間まとめに対する御指摘を踏まえた修正意見につきまして、ポイントを絞って御説明させていただきます。
 まず、本文の15ページを御覧いただければと存じます。総論の3、「2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿」の、2つ目の丸につきまして、学校教育の在り方の見直しは必要ないという誤解を与えることのないようにすべきという御指摘を、前回の総会でいただいたことを踏まえまして、記述を修正させていただいております。
 続いて、各論の御説明に移らせていただきますが、本文の36ページ、各論1の「幼児教育の質の向上」についてという点でございます。こちらの(4)でございますけれども、「幼児教育の質の評価の促進」というところの3つ目の丸でございます。学校評価の実施に当たって、幼稚園等が評価疲れを起こさないように留意すべきという点につきまして、追記されております。
 次に、41ページでございます。41ページの一番下の丸になりますけれども、ここでは小学校から高等学校までを通じたキャリア教育の充実ということにつきまして追記をされております。
 また、少し飛びますが、本文の56ページでございます。一番下の丸でございますけれども、「新時代に対応した高等学校教育等の在り方について」という項目でございますが、こちらでは高等学校段階のみならず、小中学校の各学校段階を通じて、STEAM教育の充実に取り組むことが重要であるという趣旨が追記されております。
 また、個別最適な学びと協働的な学びを実現するための、少人数によるきめ細かな指導体制の整備につきましても御意見いただいていたところでございますけれども、これにつきましては、総論と各論にそれぞれ追記をさせていただいております。総論におきましては本文16ページ、下から2つ目の丸の辺り、22ページ、上から1つ目の丸の辺り、それから31ページ、上から2つ目の丸、急ぎ足で恐縮でございますが、この辺りに記載させていただいております。
 また、各論におきましては、本文の80ページになりますけれども、80ページの7、「新時代の学びを支える環境整備について」の(3)「新時代の学びを支える指導体制等の計画的な整備」の1つ目の丸に、関連の記載をされております。
 答申の素案につきましての説明は以上でございます。引き続き、活発な御議論をお願いできればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。
 荒瀬分科会長からお話がありましたとおり、中教審の検討スタイルというのは、未来志向という視点を持ちながらも、幅広い学校教育を支えていただいている関係者の方々の意見を聴く、そして教育現場との対話を大変重視するという、いわゆるボトムアップ型のスタイルだと思います。そういう意味では、今回も「令和の日本型学校教育」の姿という未来を視座に置きながらも、初等中等教育分科会の下の教育課程部会、教員養成部会、そして両部会をつなぐ特別部会を新たに設けて、あるいはワーキンググループ、さらには有識者会議も設けてという形で、あらゆる関係者との議論やヒアリングを重ねていただきました。しかも、新型コロナ禍にも関わらず、大変横断的な審議を重ねていただいたわけですけれども、荒瀬分科会長をはじめ、審議に加わっていただいた方々に心から感謝を申し上げるとともに、事務局の御労力に対しても感謝を申し上げたいと思います。
 今日はそういう審議を重ねながら、いよいよ答申素案というステージの議論にしていただければと思いますので、さらに御意見・御質問をお願いできればと思います。
 それでは、御意見をいただきたいと思いますが、先ほど事務局から説明あった要領でお願いいたします。繰り返しになりますけれども、講堂で御参加の方については、ネームプレートを立てていただき、ウェブ参加の方については、挙手ボタンを押していただくというスタイルでお願いします。それから、御発言の後にミュートを解除したままにされますと、ハウリングが起きる可能性がありますので、大変申し訳ありませんが、御発言の後にはマイク・カメラをオフにしていただければと思います。
 それでは、御意見・御質問等ある方は、ネームプレートあるいは挙手の表示をお願いしたいと思います。
 清原委員からお願いいたします。

【清原委員】
 ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。
 このたび、本答申素案をまとめるに当たりまして、初等中等教育分科会及び特別部会を進めていただきました荒瀬先生はじめ、委員の皆様、そして各部会、ワーキンググループ、有識者会議の委員の皆様、事務局の皆様に、心から感謝いたします。そして、総会での各委員の意見や、44団体にも及ぶヒアリング対象者の意見、パブリックコメントで寄せられた意見を最大限反映して、何と90ページにも及ぶきめ細かい答申素案がまとまりました。私はこの答申素案の内容について賛同をいたします。
 この間の取組を踏まえて、3つの点について意見を申し上げます。1点目でございますが、本答申素案をまとめる過程で行われてきた「オンライン会議の意義と、今後の活用の継続」についてです。この間、特に3月に一斉休業が始まりまして、臨時休業で、子供たちも教職員も保護者も悩みのふちにあったとき、緊急のオンライン会議を開催して、全国の学校関係者の皆さんへメッセージを発することができました。その後、コロナ禍において頻繁にオンライン会議が開催されたことになります。
 メリットがありました。すなわち、文部科学省よりも遠隔で御活躍いただいている委員の皆様も、これまで以上に頻繁に御参加いただけたので、大変幅広い御意見を伺うことができました。そこで、アフターコロナにおいても適時のオンライン会議や、本日の総会のようなハイブリッド型の会議の開催の有効性を、この答申をまとめるプロセスで確認できたように思います。今後、この答申の内容を全国の教育委員会や学校関係者へ普及・浸透し共有していく際にも、オンライン会議システムの活用が期待されると考えます。
 2点目に申し上げます。本答申素案をまとめる過程で、文部科学省が先取りして進めていただいている施策の有効性と、今後の検討及び検証の必要性です。この間、「学校における働き方改革」の提言を踏まえて、給特法の改正も行われました。また昨年末には、審議のプロセスを経て、答申を出す前でしたが、「GIGAスクール構想」が具体化し、それがコロナ禍で生かされた自治体・地域もあったことは有益だったと思います。
 また、「学級編制の少人数化」についても議論を進めてまいりまして、答申素案にも、何か所にもそのことが反映されています。報道によれば、来年度以降の段階的な学級編制の少人数化を文部科学省、政府が進めるということで、審議の過程で大事なことは、先取りして文部科学省が進めていただく、また政府の機運にしていく。そのことがこのプロセスに見られたことは、大変有意義でございますが、是非それを答申の提出後、答申がさらにプッシュして、着実な推進に向けて検証しつつ、丁寧な実現が図られることを願っています。
 最後に3点目を申し上げます。先ほど荒瀬先生も御紹介された90ページ以降の、「今後さらに検討を要する事項」の指摘の意義についてです。「令和の日本型学校教育」の実現を、このコロナ禍において、子供たちを中心に、またPTAの皆様も巻き込んで、現場では進めてくださっています。教職員の皆様の重要性、学校の重要性が再確認されました。そこで、1点目の「GIGAスクール構想」や「学級編制の少人数化」を踏まえて、「教員養成・採用・研修の在り方を、引き続き検討すべき」という指摘は重要です。私も実は、この意見を申し上げましたら反映していただいて、大変心強く思っています。
 さらに、「教育委員会事務局のさらなる機能強化」、「首長部局との連携の促進」、「外部人材の活用等をはじめとする社会との連携等を含む教育行政の推進体制の在り方」を明示していただきました。私は三鷹市長として、もう退任いたしましたが、在任中は、例えば「教員への1人1台パソコンの実現」や、「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」の開始、また「学校における働き方改革」等を進める過程で、「教育委員会と市長部局が連携する」ということの意義を実感しています。是非「総合教育会議」の活用と活性化で、市長部局と教育委員会が一丸となって、地域の皆様に理解される、応援される「令和の日本型学校教育」が推進されることを心から願っています。
 答申素案に賛成して、意見を申し上げました。以上です。どうもありがとうございます。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。今回の答申素案について御支持をいただく内容で、大変貴重な御意見だったと思います。
 オンライン会議等に関係することについては、事務局から若干補足をしていただきたいと思います。あわせて、少人数学級制については、大変よい方向になっていると思いますが、荒瀬分科会長から、補足していただければと思います。なお、事務局からも、それについての経緯も含めて、説明すべきことがあればお願いいたします。
 それでは、最初に事務局から、オンライン会議方式についてと、少人数学級制のこれまでの経緯について、説明していただければと思います。

【森友財務課長】
 失礼いたします。財務課長の森友と申します。少人数学級に関しましては、中教審の委員の皆様方はじめ、教育関係者の皆様、そして市長会、知事会、町村会といった自治体の方々から、総意を持って推進すべきということをいただきながら、9月の概算要求で事項要求をいたしまして、その後、教育再生実行会議におきましても、少人数学級を進める方向での御議論をいただきましたし、また、中教審におきましても大きな後押しをしていただいたと思っております。
 結果といたしまして、今回の予算案におきまして、既に小学校1年生は40人から35人になっておりますが、その上の部分の小学校2年生から6年生までを35人にするという方向での予算を計上したところでございます。
 また、内容につきまして、全体の予算の中でも、この後御説明があると思いますけれども、この方向性に基づきまして、来年通常国会には、いわゆる義務標準法の改正法案を提出すべく、現在作業を急ピッチで進めているところでございます。
 本当に深く御議論いただいて、個別最適化を進めるための両輪としての1人1台端末、そして少人数学級ということで御議論いただいたことが、大きな後押しだったと考えております。どうもありがとうございました。

【渡邉会長】
 あわせて、会議方式に関して、今後の予定等についてお話しいただければと思います。

【田中教育制度改革室長】
 初等中等教育局教育制度改革室長でございます。清原委員から御指摘いただきましたように、今回、初等中等教育分科会は、4月27日の分科会と特別部会の合同会議に始まりまして、以降、全てオンラインで開催してまいりました。御指摘ございましたとおり、今、手元に正確な数字はございませんけれども、かなり分科会は各地方にお住まいの委員の方がいらっしゃいます。そういった方も含めて、おおむね9割以上の出席状況でありまして、大変活発な御意見をいただきましたこと、私ども事務局としてもありがたく思っております。
 また、不慣れな中で、特に当初、なかなか音声・画像の問題等で委員の皆様に御迷惑をおかけした、また傍聴の皆様にも御不便をおかけしたことにつきましては、事務局としてもおわび申し上げたいと思っているところでございます。
 今後でございますけれども、清原委員から御指摘いただきましたように、この経験で大分技術的なノウハウもたまってきておりますので、是非オンラインと対面のハイブリッド、それもコロナの感染症が収まった後であっても、これを活用していくということについて、是非事務局としても、委員の御指導をいただきながら対応してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。
 荒瀬分科会長から補足すべきことがありましたらお願いいたします。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。まず申し上げたいのは、先ほど清原委員から御紹介のありましたオンラインによる会議というのは、文科省事務局の皆さんの本当に多大な御努力があって実現したということであります。本日も同様です。実は一度、特別部会だったかと思いますけれども、このシステムに少し事故がありまして、使えなくなりました。会議開催の直前にです。その際、事務局のとっさのご判断で、急遽システムを変更して、しかもそれは当然各地にいらっしゃる委員の皆様に迅速に御連絡をなさって、また委員の皆様も御対応くださったということもあるんですけれども、会議が無事に開けました。本当に事務局の献身的な御努力があったことによって、毎回の会議が円滑に開けたということに、心から感謝しております。
 今、会長からおっしゃっていただきました今後の課題といいますか、それも含めて、少人数学級編制についてですけれども、これも会長が先ほど、中教審の議論というのはボトムアップだとおっしゃってくださいましたけれども、まさしく学校現場あるいは教育関係者の非常に強い願いとして、1学級の人数を減らしたいということがあったわけです。それが、このコロナ禍において、本当にきめ細かな指導をしていく、あるいは安全・安心な教室環境を整えていくという点からも、非常に重要であるということで、文部科学省が非常に強くその点を出してくださって、関係の省庁とも協議をしていただいて、国として子供たちの学習をしっかりと支えていこうという方向が出たんだと思っております。
 35人になるということが多いか少ないかという議論はもちろんあるわけですけれども、しかし一歩進んだということは間違いのないことでありまして、こういったことによって、これからの社会を生きていく、そしてこの社会を支えていく子供たちの学びがしっかりと守られていくということが、私は非常によいことだと思っておりますし、これは私のみならず、教育関係者の皆さんはそう思っていらっしゃいますし、こういったことがさらに進んでいくということを期待しているものであります。
 たまたま新学習指導要領の前文の中には、子供たちの学びを支えていく、よりよいものにしていくのは、全ての大人の責任であるといった内容の文言がございますけれども、それが今回実現したのだと思っております。ただ、課題はまだまだいろいろありまして、そういった課題について、とりわけ教員の養成・採用・研修といったことでありますとか、あるいは公立学校の設置者である教育委員会の取組といったことについても、今後見ていく必要があるということで、最後に付け加えさせていただいているということであります。
 ありがとうございました。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、牛尾委員、前回はつながらない状態になり、大変申し訳ございませんでした。ほかの委員の方からもたくさん手が挙がりましたので、牛尾委員に続きまして、志賀委員、小林委員の順でお願いできますでしょうか。まずは牛尾委員からお願いいたします。

【牛尾委員】
 ありがとうございます。明治大学の牛尾と申します。このたび御提示いただきました「令和の日本型学校教育」の答申案を拝読いたしまして、大変網すばらしい内容だと思いました。今までの日本の知・徳・体を中心とした教育から、さらに自立や協働、そして創造性というものを育む教育、また、誰一人取り残さないという理念の下に、ダイバーシティー、多様性、多様な個の力を促進していくような教育を目指していくものであると理解し、今後の日本の教育が目指していく方向性が適格かつ網羅的に示されていると感じました。
 GIGAスクール構想がこれから実現段階に入っていくわけですけれどもこれを実効力のあるものにしていくために、また、今、少人数教育のお話などもありましたが、これを推し進めるためにも教員や教育に関わる人をどれだけ増やせるかということが、大きな鍵となってくると思います。そこで、私からは、教員や教育に携わる方の増員に関する問題と、もう一つ、これからの教員に求められる資質という部分についてお話をさせていただけたらと思います。
 まず、少人数クラスの実現や、ICT教育の本格化に伴う教員の数の拡充についてですが、GIGAスクール構想がスタートし1人1端末という形でICT環境を整えていくわけですが、そういったハード面でのインフラ整備自体は当然意味のあることなのですが、生徒も教員もそれらを十分に使いこなし効果的な教育を行える状態となるまでにはきめ細かな支援体制も不可欠ですし、相応な数の教員も必要であると考えます。肝心なのはICTリテラシーや実践的スキルを要したうえでICTを教育ツールとして活用し個々の生徒の多様性に即した社会課題解決型授業を展開できるような教員をいかにして確保するかという点にあると思います。それには現有の教員だけでなく新たな人材の確保が求められ、こちらの答申案の中でも言われているように、外部の人材をどれだけ活用できるかということが大変重要になってくると思います。
 87ページのところに、社会教育士のことが書かれております。これは生涯学習部門でも議論をしてきたことですけれども、社会教育士の方が、これから社会に開かれた教育を導く担い手として学校教育に入っていくということも有用であると思いますので、社会教育士の方が実際に教育の現場に参画できるようなルートをいかに確保していくかという部分を、まずきちんと整えていくことが必要であろうと思います。
 それともう一つ、私の周りでも、例えば学生でも、民間企業に勤めた後、教育分野に転じたいと思う人も多く見られます。また、定年退職などを機に、教育に関わりたいと思う方ですとか、あるいはロストジェネレーションの方々ですね。就職氷河期に就活をしていた世代の方たちの中にも改めて人材教育の道に進みたいと考える方はたくさんおられます。このような途中から教職を目指す方々に対しては、特別教員免許状の交付制度がありますが、実態としては志を持った人が自分から申請することは難しい状況があります。
 申請にはあらかじめ特定の学校への雇用内定が必要で、申請も雇用する学校側が行うことになっているため、個人が資格や意欲を持っていたとしても自ら応募できない制度になっていたりですとか、教職養成課程の科目要件も大変硬直的でハードルが高い状況にもありますので、その辺りがもう少しスムーズに、今まで教職に関わっていない方が教職に関われるように、免許の制度がより柔軟に運用できるような形に変わっていくことが必要なのではないかと思っています。
 ですので、「今後さらに検討を要する事項」、90ページのところにあるような部分に関わってくるかと思いますけれども、教員の数を増やすという観点から、これまでの教員採用に関わる法制度を見直し、外部人材の教職への参入を促進していく仕組みを構築していくことが必要になってくるだろうというのが1点でございます。
 もう一つ、2点目、教員の資質という部分で、84ページの教員の資質というところで、基本的な考え方がございますけれども、使命感、責任感、教育的愛情、教科や教職に関する専門的知識、実践的な指導力、総合的な人間力、コミュニケーション能力、これはまさに全て大切な能力であることは間違いないんですけれども、これからの教育においては、教員が知識を持って、それを分かりやすく伝えるという部分だけでなく、考えてもらう力を導くといいますか、ファシリテーション能力というものが大変重要になってくると思うんですね。
 ですので、この答申案の中に、是非ファシリテーション能力という言葉も入れていただきたい。これには外の世界とつなぐコーディネーター的な役割ですとか、生徒の自発的な学びをモチベートできるような能力も含まれてくると思いますが、ファシリテーション能力というものが大変重要になると思いますので、その言葉を資質要件の中に加えていただきたいと思いました。
 また、86ページのところに、教員のICTの活用のための、それを養っていくための指導の機会の提供という部分がございますが、これに関して都道府県への働きかけも重要であると書かれております。教員のICTリテラシーの向上は極めて重要ですので、それを支援する教育機会の提供ですとか、メンター制度のようなものも有益であると思います。そこを底上げしていける、そのための都道府県への働きかけというものも、是非積極的にお考えいただけたらと思います。
 以上でございます。

【渡邉会長】
 ありがとうございました。
 それでは次に、志賀委員からお願いしたいと思いますが、今の牛尾委員のご発言に関連して、教育課程部会長の天笠副会長からも手が挙がっておりますので、後ほど、それも併せてお話しいただければと思います。
 それでは、志賀委員、お願いいたします。

【志賀委員】
 ありがとうございます。今週たまたまなんですけれども、経済同友会の教育改革委員会で、Future Eduの代表理事をされている竹村さんの講演を聞いていたんですが、その講演の内容が、米国在住の方ですので、米国における個別最適化教育の実態ということで、本当に教室でどういう個別最適化教育がアメリカで行われているかというのを、ビデオなんかも含めて御説明いただいて、要するに、今までアメリカというのは、シリコンバレーを中心に様々なイノベーションを起こしてきたわけです。
 それが、多様な人材が集まることによってイノベーションを起こしてきたステージから、教育の中からそういう創造的なイノベーションを生み出す人材を育てていこうという試みが、アメリカで既に始まっているということに、いささか驚きを持って講演を聞いたんですけれども、それを聞いた後で、文科省から送っていただいた今回の文章を読ませていただいて、目指す方向は全く同じだなというより、実は非常に書かれている内容に感動したんですが、今の牛尾委員と同じような指摘なんですが、そういう個別最適化をやっているアメリカの学校で、登校してくると、子供たちがそれぞれ自分たちで違う勉強をし始める。そこに対して、集合教育ではなく、先生が本当にファシリテートしていくわけですね。ファシリテートしながら個別最適化の教育を一人一人の子供たちにしていくという。
 これをやろうとすると、学校の教員の先生の数を本当にこれから、やっと35人が認められてきましたけれども、これでも多いだろうなと。相当少人数学級にしていかないと、これを日本で実行するのは難しいだろうなということと、そういうファシリテートしていく能力を持った、資質を持った教員を、どう育てていくかという課題を、実は感じたわけなんですね。
 前回の中間のときにも議論がありましたけれども、私は、こういう新しいビジョンを打ち出したときに、一般の企業であれば、株式市場に公開していったときに、このビジョンを達成するためのリソースというのをどうするんだということ、これはIRの席なんかでも必ず聞かれますので、こういう形でリソースを振り向けて、新しいものを開発していくんだということを言うわけなんですが、私も長年、中教審の委員をやっていて、いろいろな答申をつくるわけですが、そういうものを実行する上でのリソース、人・物・金というリソースが十分でないと、どうしても教育の現場、先生方に全てのしわ寄せがいってしまう。これが今までの実態だったのではないのかなと思います。
 今回、35人学級ということで予算が取れる方向になったら、非常にいい一歩なんですけれども、本当に真剣に個別最適化教育を日本でも進めるんだという決意を持てば、教員の数、あるいはしっかりとICT、前回も課題でありましたけれども、紙の教科書を残して、それを無償化しながら、iPadだとか、いろいろなICTの機材も提供してくる。それがまた古くなってくるから、更新もしなきゃいけない。全ての学校に通信のWi-Fiも含めたものを整備していかなきゃいけない。ここに書かれていることを実行する上においては、今まで以上にたくさんの予算が必要になるんだろうと思うんですね。
 そういう予算の裏付けなく、ここに書かれていることを実行しようとすると、結果的には現場にしわ寄せがいってしまう。22ページに、そういうことにならないようにということが書かれていましたけれども、書かれていることは本当にすばらしいことなので、これを実行するためのリソースをどうやって文科省が手当てするのか、そこについて、是非真剣に議論をしていただければと思います。
 以上です。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございます。これからの実行フェーズに対して、本当に力強いエールを送っていただいたと思います。これは答申ですので、この答申を世に理解していただきながら、実行フェーズに入っていくことが重要であるとの御指摘だと思います。
 それでは、小林委員、お願いいたします。

【小林委員】
 小林です。非常に意欲的な答申案をおつくりいただき、私もこれを支持したいと思います。コロナ禍で、タブレットの配付ですとか、少人数学級の実現への一歩等、これまでやれなかったことがしっかり前進してきているということで、この勢いを止めずに、教育現場の改革を進めていきたいと思います。
 これは牛尾委員、それから志賀委員の御指摘と同じなんですけれども、新しい時代の学校教育を実現していくためには、教員の働き方と、そして教員の確保ということが非常に重要で、それなくして質の向上というのはあり得ないと思います。それを実行することによって、より教員の仕事が魅力的であり、そしてそこに新しい人たちが入ってくるというサイクルをつくることができると思います。
 それを実現するためには、外の力をどれだけ活用できるかというのが大変重要であると思います。地域あるいは産業界または専門家を教育の現場に取り入れるような、開かれた学校をどのように実現していくのかということについて、これから先、また議論していく点もあると思います。
 そして、今回の答申ではあまり触れられていませんんでしたが、職業に対する考え方についても、これだけ変わっていく時代の中で、教育の現場で考えなければいけないことだと思います。一部、STEAM教育のところでは触れられてはおりますけれども、社会における職業観というのが大きく変化しており、これまでの「就会社」という時代ではなく、自分で新しい職業を生み出せるような時代になってきている。それがまさにイノベーションの原点であるわけですので、職業というものに対する柔軟な考え方を育むような機会を、子供たちにどれだけ広げていけるかということについても、今後議論していただけたらいいかと思います。
 その意味では、外との接点をどのようにオープンに広げていくのかという点について、今後また検討していただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。開かれた学校という表現をしていただきました。今回の答申の中にも、そういった趣旨が非常に多く盛り込まれていると思います。STEAM教育を絡めて、とりわけ高校の段階においては、御意見のような職業観が強く反映した内容となっていますが、さらにこれからの議論も必要であるという御意見と受け止めさせていただきました。
 それでは、先ほどの牛尾委員の御指摘との関連もありますので、教育課程部会長の天笠副会長からお願いしたいと思います。その後については、木場委員、永田副会長、菊川委員の順番でお願いできればと思います。
 それでは、天笠副会長からお願いいたします。

【天笠副会長】
 どうもありがとうございます。個別最適な学びということが、教育課程部会の中心的な検討のキーワードになりました。それに向けて、これまでの現場における実践の積み重ねと、今日的に何ゆえに個別最適ということがキーワードたり得ているのか、どうなのかということについての吟味ということです。教育の現場の立場からすると、個に応じる指導、あるいは学習の個別化とか個性化とか、そういう言葉に託してこれまで積み上げてきた教育実践があり、そして、このたびの新しいICTの環境の整備とか、そういう事態を踏まえて、個別最適な学びという言葉を受けて、それを掘り下げていくということで対応しました。
 それから、新しい学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びということで、現在それを、より具体的に展開していこうというところで進行中でありますので、それらのことを融合させながら、個別最適な学びのより具体的な展開ということで議論を進めてきたということであります。
 その際には、今回のタイトルのサブタイトルにもありますように、協働的な学びということと、それから個別最適な学びというのを、往還の関係にしていくことが重要という指摘等々もありました。個別最適な学びと協働的な学び、そのことが今回の令和の教育改革、新しい学びの根幹に当たるという共通理解といいますか、認識に至ったわけです。その際、個別最適な学びと協働的な学びをどう循環させていくか、関係づけていくかというところリソースということが、より大きなテーマになってくるということであります。
 これは現場の認識からすると、ある意味では、学級担任が学級の中で数十人の子供を前提にして、そしてその中で担任の努力によるものとされてきました。一人の学級担任の先生が一つの教室の中で取り組むということを長年やってきたわけですけれども、先ほど来の御指摘にありますように、そのところに多くの関係の方が関わっていく、あるいは多くのリソースをそこに投入するということです。その学級担任の先生のお仕事の重要性というのは今後ともあるわけですけれども、そこにいろいろな人が様々な形で関わりながら、そしてそれをどう実現させていくのかということが大きな課題であります。その一環として、学級担任への働きかけをどう支援していくかということで、様々なリソースの投入ということです。その一環として、例えばICTの関係の機材というのもあるかもしれませんし、あるいは様々な専門性を持った方々がそこに専門スタッフとして関わっていくということがここで挙げられるんじゃないかということです。
 ですから、そういう点では、クラスの数を少なくするというのは、そのうちの一つというんでしょうか。もちろん重要なツールであることはあるんですけれども、専門的なスタッフもより充実させていくということと、さらに、いろいろな機材等々も導入していくという、教育の個別最適な学びを実現させることと、条件を整えていくということが、ある種のようやく平仄を合わせようとしつつある。あるいは教育の質的なものを深めていく、高めていくということと、必要な資源を投入していくということをつなげていくとか、関係づけていくということについて、今回の答申素案というのは、その方向性とか考え方でまとめられつつあるということであります。なおかつ、最後のところにありますように、今後その点、例えば教育委員会ですとか、あるいは教員養成とか、さらにそういうところについて課題を改善していくということが、今申し上げたような、より新しい学びの実現に関わっていくんだと申し上げさせていただきたいと思うわけであります。言うならば、個別最適な学びの実現に、より必要な資源の投入ということを、今回の答申素案でその姿というものを明示させていただいたということであります。
 以上です。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございます。先ほど牛尾委員、志賀委員、小林委員から御意見があった本質的な要素について、部会でも御検討いただいてきたと思います。個別最適化、協働的な学びの上に、どう可能性を引き出していくのか、そして様々なリソースや関係者の力を結集してこれを実現していくということと理解いたしました。ありがとうございました。
 それでは次に、木場委員、お願いいたします。

【木場委員】
 こんにちは。木場でございます。今日は遅刻して参加ということで、失礼いたしました。私からは、ICT教育について一言申し上げたいと思っております。
 昨年の中教審の総会で、PISAの2018年の調査の中の生徒のICT活用調査で、日本の学校の授業でのデジタル機器の使用というのが加盟国中最下位という報告を受けました。さらに、生徒がコンピューターを使って宿題をするといった頻度も最下位と。この報告には、私自身もショックを受けた次第でございます。これから情報化が加速度的に進んでいくSociety5.0の時代に向けまして、本日の答申というのが、ICT教育をまさに本格的に踏み出すという決意が感じられまして、非常に評価できるものだという印象を持っております。
 今年はコロナの影響で、教育現場も全国的に教育の機会を奪われたという特殊な年だったと思います。今年度中にICT端末が1人1台達成ということがなされますと、今回のコロナあるいは自然災害のときに、学習を継続できるようにも持っていける、そのノウハウをこれから蓄積していくことが重要だと思っております。こういった精神的な繋がり、教師やお子さんとのつながりをICTを使って保てることも、非常にいいところだなと感じました。
 私からは、今回は6番の「遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について」、その中の丸8の「ICT人材の確保」について、一言申し上げます。
 この後、1人1台などの環境が整備されますけれども、問題は、環境が整った後に、そのツールを使いこなすことが重要だと思っております。つまり、人の問題というのがこの後非常に大切になってくると感じております。答申では、ICT支援員ですとか、ICT活用教育アドバイザーなどの必要性をうたっていらっしゃいますけれども、具体的にどうやって人材を確保して進めていくのか、ここの具体性が今後の課題になると考えております。
 私は、これまで以上に民間の力を活用することが重要になってくると考えております。ほかの委員の発言にもありましたが、そのように感じております。現在、例えば経団連さんなどをはじめ、経済界の皆さんも、こうしたことに協力の意思を強く示しているようでございますけれども、企業の社会貢献の一環として、是非、未来の子供たちのために協力を促していただきたいと思っております。
 ただ、ICTに精通している人材がいたとしても、どうやって学校に協力すればいいかという道筋といいますか、窓口がなかなかまだはっきりしていないのも課題でございます。こういった中央ですと、直接文科省さんに問合せするということもできると思うのですが、今後は全国展開として、地方の経済団体等が、どこにどう声をかけたら学校現場で役立てるかという道筋をはっきりとさせることが重要だと感じます。窓口といいますと教育委員会になってくるのかなとも思うのですが、今後の課題はこのマッチング事業といいますか、マッチングさせるノウハウをこれから蓄積していくことが非常に重要だと思っております。
 最後になりますけれども、今後の課題というところの事項にもありましたが、教育委員会事務局のさらなる機能強化の中にも、ICT教育のマッチング事業についての強化も必要ですし、それから、自治体間の教育格差のようなものが生まれないように、是非全国の自治体、教育委員会に頑張っていただきたいと思っております。
 ある調査によりますと、今回自治体でオンラインの遠隔授業ができた割合というのが15%だったという結果がありました。この数字を、今回のICT教育が底上げされたことによって、また教育委員会の機能を強化したことによって、何かが起きたときに備えて準備というのを、より進めていただきたいなという印象を持ちました。
 以上、ICTについて発言させていただきました。ありがとうございます。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。2018年のPISAショックから始まったICTに関する、大変貴重な御意見だと思います。文科省にしても産業界にしても、こういった人材をどう確保していくのかについては、大変重要な課題だと思います。今回の答申にも、課題意識として記載されておりますので、今後は具体的な検討が必要だと受け止めさせていただきます。
 それでは、永田副会長、お願いいたします。

【永田副会長】
 ありがとうございます。タイトルから副題まで含めて、大変良くできていると思っておりますので、私が読み取れなかった部分についてのみ発言をさせていただきます。「令和の日本型」と書かれて、すばらしいなという中で、牛尾委員が述べられた日本型の根源である知・徳・体について、とりわけて知の部分は、例えば少人数教育で対応する、あるいはICTの活用を進めると記載されています。大変結構だと思いますが、では知以外の徳と体はどのようにするのか、必ずしも読み取れません。
 日本型教育がシステムとして世界に冠たるものであると、前文にも書いてありますし、私もそう思います。多くの諸外国の初等中等教育の関係者がそう実感しているとも思うのですが、それは維持されていくのか、あるいは改善されなくてもよいのか、改善が必要だとすれば何をどう改善すればよいのか、つまり、「令和の日本型」としてどうしていけばよいかについては、あまり明確に触れられていません。
 2番目は、教師の量と質を確保していかなければならないという点は、全くそのとおりです。その中で、教師に要求されている資質・能力として、84ページにある使命感、責任感、教育的愛情、実践的指導力、コミュニケーション能力などはそのとおりです。しかし、このままの書きぶりでは教師の知のプロフェッショナルとしての側面が十分読み取れないので、もう少しそこを強調して、教師としてのアイデンティティーを高めてさしあげたいと思います。
 なぜなら、教師から知を愛する気持ちが伝わってこなければ、教師が当然に備えている愛情とか人間力も子供たちに伝わらない可能性があります。つまり、教師は知のプロフェッショナルであるという前提があって、さらに、そこに書かれているような、人間として大切な幾つかの能力・資質を持っていないといけない、ということではないかと思います。これらが並べて列で書かれているところが若干気になります。
 今期の大学分科会では、「教育と研究を両輪とする高等教育」という題で議論しており、その中では根本的に大学教員はどうあるべきかという問題が重要な観点になっています。初等中等教育においても、教師を知のプロフェッショナルとして位置づけるべきではないか、ということについて今後議論を深めていただきたいと思います。これからの教育に必要な内容としてICTの資質や能力についてのコメントはたくさん書かれていますので、それを教える教師はどうあるべきなのかという視点が加わるとより良いのではと思います。日本型教育の根幹である世界に冠たる側面と、今後より充実すべき「令和の」という側面がもう少しうまく調和すると良いのではないかと思っております。
 以上です。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。大変本質的なお話をいただいたと思います。中教審らしさというのは、まさしく今の御指摘のような要素をしっかり受け止めることだと思います。特に日本型学校教育の内容について、総論のところでも大変詳しく記載しておりますし、それから一番最後のページにあります、「今後更に検討を要する事項」においても、今回の中で知・徳・体のバランスの取れた資質・能力の育成に向け、引き続き状況を注視し、取組を進めていく必要があるということを書き加えているわけですけれども、今のような御指摘の趣旨をより強く認識する必要があるということだと受け止めさせていただきたいと思います。
 荒瀬分科会長、何か今の件についてありますか。
 なお、オンラインでご参加頂いている方は、御発言終了の後、挙手ボタンを一旦下げていただくようお願いいたします。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。永田先生、ありがとうございました。
 2点御指摘をいただきまして、1つ目の、知・徳・体3つを兼ね合わせた日本型学校教育ということにつきましては、実は初等中等教育分科会の中でも御指摘のあったところでございます。
 一つ、今回の答申の役割ということを考えますと、新しい学習指導要領が始まる、あるいは始まっているという状態の中で、新学習指導要領の理念に基づいた学校教育を進めていくために、さらに必要なことについて、こういった形で述べているという役割を持っているかと思います。
 おっしゃるように、徳・体の部分については、触れられていないとは言えないまでも、十分でないといえば確かにそうですけれども、そちらの方は新学習指導要領というのがまず中心にあるといいますか、軸にあって、それを進めていくための答申であるということを考えていきますと、決して軽く見ているわけではないということです。ただ、今の御指摘は、先ほど申しましたように、初中分科会の中でもいただいた御指摘でもありますので、今後については少し考えさせていただきたいと思っております。
 それから、教師の量と質の、質の部分の中でいうと、知のプロフェッショナルという、これは本当に大事なことの御指摘をいただいたと思います。今回それにつきましては、天笠教育課程部会長を中心とした教育課程部会の議論の中で、先ほど天笠先生から御説明ございましたけれども、個別最適な学びというものは、一体どういうものをやるのかということを、大変丁寧に分かりやすく述べていただいていると思います。こういったところをしっかりと受け止めて、それを実際にやっていけるような教員の質の確保ということ、そのための研修の充実といったものが大事だろうと思っております。
 ありがとうございました。御指摘を重く受け止めさせていただきたいと思います。

【渡邉会長】
 ありがとうございます。
 それでは菊川委員、お願いいたします。

【菊川委員】
 ありがとうございます。俯瞰的で具体的な答申案に敬意を表するところでございます。私からは、冒頭の牛尾委員さんの発言に関連して、1点だけ申し上げさせていただきます。資料としては、最後の89ページ、90ページぐらいの教師の人材確保と今後の検討というところに関する話でございます。
 35人学級とともに、外部人材として、社会的感性を持つ優れた人材の確保が必要だと思っておりまして、下から2番目の丸にも取組例として、受験年齢の緩和、特別免許状、あるいは就職氷河期の方々への対応等々が述べられているわけですけれども、加えて私からは、例えばですが、PTA活動を熱心にリードしているお母さん方、今のお母さん方はほとんど勤めた経験がございまして、やむを得なく専業の主婦になっている方々も多いわけでございまして、こういう女性の再就業支援の一環としても、教員養成大学等の中に社会人が教員の免許を取得するためのリカレントのコース枠を設けられないか、検討いただきたいと思っております。
 今までPTAのお母さん方は、スタッフとして位置づける、あるいは地域人材として位置づけるというコースがほとんどでございましたけれども、そうではなくて、メインストリームとしてそういう方々の経験・能力をしっかり位置づけていくことで、学校も活性化するし、あるいは社会の人材も活性化するのではないかと思っております。
 以上でございます。終わります。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございます。今回の答申素案の中でも外部人材については、多様な知識・経験を有する外部人材という表現をしています。今の御発言のような例も、恐らく多様な知識・経験を有する外部人材の中に含まれるものと思います。貴重な御意見をありがとうございました。
 多くの方の手が挙がっておりますが、時間も少し押しているようですので、少し簡潔に御発言をお願いできればと思います。まずは、堀田委員、その後に、明石委員、有信委員とお願いいたします。
 堀田委員、お願いします。

【堀田委員】
 ありがとうございます。東北大学の堀田でございます。私は、会長に言っていただきましたように、特別部会や初等中等教育分科会でずっと関わってまいりましたので、その立場から考えれば、もちろんこれは大賛成でございます。非常にきちんとまとめていただきまして、荒瀬分科会長及び事務局の方々に感謝申し上げたいと思います。
 その上で1点だけ、ここにはある程度書いてあるんだけれども、この答申が出ることを通じて、世の中のすべての方にさらに御理解いただく必要があるというお話を一つだけします。32ページあたりになるんですが、つまり総論の最後の方なんですけれども、GIGAスクール構想によって整備された情報端末が、今年度中に日本中の義務教育段階の学校には届きます。今、その運用をどうするかということを、設置者である各教育委員会が一生懸命考えていらっしゃるんですね。
 この答申には、クラウドの活用は禁止しないとか、端末の家庭への持ち帰りを可能にすることが望まれるとか書いてあるんですけれども、設置者によっては、一生懸命検討した結果、答申と違う判断をして、持ち帰らせないと決めてしまっているところもあります。
 もう1つ、これから情報端末がたくさん導入されて、利用率がかなり上がることを考えますと、学校までの高速ネットワーク回線の確保というのが非常に重要なんですけれども、これは教育委員会が一生懸命頑張っただけでは実現しなくて、役所の関連部署との調整が非常に重要になりますが、このGIGAスクールのことが、答申にあるように令和の新しい教育環境であるということが役所内に十分に伝わっているかというと、そうでもないところがあって、教育委員会が頑張ってもネットワークは遅いままとなってしまい、情報端末だけたくさん入って、結果としてあまり使い物になりませんというようなことが予測される自治体もございます。
今後、教科書がデジタル化していきますし、学習ログの活用の話もあり、それで個別最適な学びに資するようにICTを用いていこうという話にもなっています。学籍の管理などの情報管理も含めて、教員の働き方改革にもつながっていくわけですけれども、それらもまた、高速ネットワークの整備とクラウド利用という学校の情報基盤の整備が前提となります。このGIGAスクール構想を通して、学校教育の情報基盤を、紙中心の今までの仕組みからデジタルに少しずつシフトしていくということであり、教育環境のデジタルトランスフォーメーションなんだということを押さえておきたいと思います。
 今後は、遠隔教育等によって高大接続がより強固になりますし、生涯学習を支えるICT活用が大切になりますので、これを設置者の教育委員会のみならず、自治体の首長さん以下、関係部署への理解を促すとか、あるいは保護者や世論への理解を促すとか、そういうことの何らかの取組やアピールの仕方を、さらに検討していく必要があると思っております。
 以上でございます。

【渡邉会長】
 GIGAスクール構想の実践ステージに関する大変貴重な御示唆をいただいたと思います。
 今の御指摘は、まさしく今後更に検討を要する事項の中心的な検討事項となっていますが、御指摘のように教育委員会の在り方そのものにも関係しますし、あるいは外部人材の活用も含めて総合的な取組みが行われないと、GIGAスクール構想の目的は達せられないと思います。今回の答申はその第一歩という位置づけになろうかと思います。
 それでは、明石委員、有信委員と、続けてお願いしたいと思います。明石委員、お願いいたします。

【明石委員】
 千葉敬愛短大の明石です。1点だけ申し上げたいと思います。永田副会長とほぼ同じ意見でございます。
 この「令和の日本型学校教育」という答申は、日本だけでなくて、世界にも発信されますよね。そうしますと、昭和と平成の日本型学校教育とどこが違うのかをはっきり明示しないと、世界に伝わっていきにくい。例えば、昭和と平成の日本型学校教育というのは、特別活動があります。学級活動とか、児童会とか、学校行事とかがございまして、この光の面と影の面があるんですよね。同じように、教員でいいますと、一斉指導というのが非常に得意だった。だけれども、そのいいところとまずいところがございますよね。その辺の御指摘をしていただいて、「令和の日本型学校教育」というのを出してくれると、多くの方が理解しやすい。
 今回の答申は非常に抜本的で、非常に大胆な提案をしているんですよね。新しい日本の学校文化を創る方向性だと思っております。そうしますと、天笠副会長が申されましたように、一つは教員の指導力をどうするか。日本の教師は、お手本文化はうまかったんですよ。こういうお手本があれば、一斉指導でできますよと。それを基盤にして、個別最適化された学びがどう大転換できるかというのは、今、暗中模索なんですよね。
 それともう一つは、副題にあります協働的な学び。これも非常にいい御指摘なんです。ですけれども、課題は大きいんですよね。だから、個別最適化された学びと協働的な学びを、どううまく統合するか。これができれば、この答申はもう完成ですよね。そういう意味で、これまでの日本型学校教育と今回の令和はどう違うのかということを、もっと自覚的に書いていただけると、すごくいい答申になると思います。
 以上です。

【渡邉会長】
 ありがとうございました。大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 それでは引き続き、有信委員、お願いいたします。

【有信委員】
 どうもありがとうございます。今回の答申に関しては、基本的に賛成というか、非常によくまとめていただいていると思っています。
 特に、もう大学では遅過ぎる、特定の能力に秀でた若者を育てる前提としては、非常に重要なことが書かれていて、特に学習の個性化だとか、特定分野に特異な才能のある児童生徒が高度な学びの機会に直接アクセスすることができるとか、それぞれ非常に重要なことが書いてありますので、これは是非実現していただければと思います。ただ、志賀委員、それから牛尾委員御指摘のように、リソースの問題が非常に重要で、これはお二方の御主張に全く同感であります。
 それと、もう一つ重要なのは、例えばこういう形で区別をした教育の枠組みを入れようとすると、ほかの箇所にも書かれていますけれども、いじめの問題だとか、そういう派生的な問題につながる可能性もあります。それからもう一つは、発達障害のことが書かれていたと思いますけれども、発達障害の子供たちの中には、特定の分野、特定の能力に極めて秀でた子供たちもいます。
 ですから、これはむしろ、そういう部分を肯定的に取り上げて、この中に特定の才能を伸ばすという方向の中に組み込んでいければと思いますが、さっき言ったように、区別に慣れていない学校教育の中で、これをきちんと生きるようにするには、リソースに加えて、ある種の制度化が必要な気がしています。制度として具体的な組み込みをやることによって、今回の答申がより一層生きると考えています。
 以上です。

【渡邉会長】
 ありがとうございました。今回の答申素案の43ページに、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導について、2Eの児童生徒も含めた記載をしております。今の御指摘のように、これから大学・民間団体とも連携した形でどう取り組んでいくのかというのは、大変大きな御指摘をいただいたと思います。ありがとうございました。
 大分時間が押しておりまして、まだ議題の(2)を残しておりますので、現在手が挙がっている3名の方で終了させていただきたいと思います。大変申し訳ございませんけれども、発言は簡潔にでお願いできればと思います。
 それでは、長谷川委員、萩原委員、今村委員の3名にお願いしたいと思います。まず長谷川委員、お願いいたします。

【長谷川委員】
 ありがとうございます。LITALICOの長谷川です。特別支援教育に関連してですけれども、現在、厚生労働省で雇用と福祉の連携を進めるということで、この連携に関する検討会が、実は先月からスタートしています。さらに、厚労省の審議会において何人かの委員の方から、雇用と福祉の連携だけではなくて、教育との連携も重要ではないかという意見が実際に出されていまして、僕としても学校は、今回の答申にあるように、非常に大きな役割を数多く抱えていると思っていまして、その役割を果たすためには、学校以外の力をどう活用するのかが、皆さん同様に大事だと思っています。
 なので、雇用や福祉というのは厚労省の範疇にもなっていますが、実態としては、特別支援学校の高等部であるとか、高等学校の子供たちの就職には、学校が非常に大きな役割を果たしていると思っていますし、大学からもよく御相談いただくんですけれども、発達障害の学生の就職や福祉との接続においても、非常に大学自体も多くの課題を抱えている状況で、到底学校だけでは対応できる状況じゃないと思っています。
 なので、管轄自体は厚労省が障害者の雇用促進や福祉の人材というリソースを非常に多く抱えていますが、縦割りの弊害を打破していくためにも、国レベルで教育と雇用と福祉の連携を図るために、中央教育審議会と厚労省の審議会との合同会議を開催するのはどうかと御提案させていただきたいと思っています。よって、この答申においても、特別支援教育の在り方の項目の中に、例えば中央教育審議会、労働政策審議会、社会保障審議会の合同会議を開催し、国レベルで教育、雇用、福祉との連携強化を検討するといった文言の追加を検討いただきたいと思っております。
 あわせて、他機関との連携を促進するために、自治体や学校ごとに情報のフォーマットがばらついてしまっていることが非常に問題であると思っていますので、特に学校でつくる個別の教育支援計画や個別の指導計画は、紙だけでしか保存されていなかったり、フォーマットがばらばらであることによって、円滑な連携を阻むものになってしまっていると思いますので、答申の中の特別支援教育の項目に、具体的な内容として、関係機関との連携を円滑に進めるためにも、自治体ごとにまちまちになっている個別の教育支援計画と個別の指導計画の様式を、制度上、全国的に統一するという文言の追加を検討いただければと思っております。
 以上になります。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。特別部会でも積極的な御意見を本当にありがとうございました。事務局から後ほど、全体を通じて補足すべきことがあれば補足していただきたいと思います。引き続き、萩原委員、お願いいたします。

【萩原委員】
 答申、ありがとうございました。3点です。
 まず、個別最適化教育というのは非常に重要であるということで、自分自身も小学生の孫を抱えている立場として、非常に重要だと思っています。そのためには、既に議論がされています学級担任、それから教科別担任の導入ということを、しっかり進めていく必要があるなと思っております。
 それから、先ほど木場委員からもございましたけれども、ICT授業をしていくための端末の配布が自治体によってばらつきがある。これはやはり解消していっていただきたいと思います。例えば23区でいうと、豊島区は7月下旬からスタートして、9月には全員に配付が終わっているという状況になると、配布していない区にしてみれば教育機会の格差が当然出てきますので、その辺りはしっかりと平等にいくようにしていくべきだと思っています。
 3点目、教員の質のところなんですけれども、ここはどうしても担保していかなきゃいけないんですが、例えば文部科学省の別のプログラムとして、2014年度からギャップイヤーを活用した学外学習プログラムの推進というのがあると思います。そのギャップイヤーを活用して、教員になる方たち、なろうという方たちも、いろいろな経験を積む機会にしてはどうでしょうか。教員養成、教育実習というだけではなくて、様々な体験・経験をするということを、一つの条件としていくということがあろうかと思います。
 また、既に教員になっている方が、生涯学習ということでもう一度大学に戻り、そしてしっかりと学んだ上で、また戻っていくということも可能な、そういうシステムを積極的に進めるということが、今後ますます重要になってくるのではないかなということを、答申を読ませていただいて、改めて思ったところです。
お時間がないところ、どうもありがとうございました。以上です。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございます。生涯学習分科会でも御意見をいただいており、併せてありがとうございました。
 それでは今村委員、お願いいたします。

【今村委員】
 カタリバの今村です。先生方がおっしゃっていた教員の質と量の確保という点について、様々な先生方がコメントされていたので、そこに賛同いたしますけれども、同時に、不登校の子供たちの存在についていろいろなところに明記はされているんですけれども、審議のまとめ90ページのところに、さらに追記をしていただきたいなと思っています。
 今回、2020年のコロナ禍の特例措置で、出席の認定が弾力的になったということで、今まで不登校だった子たちが、成績がついたよとか、いろいろな声は聞くんですけれども、それによって今年、不登校の実数のカウントが、もしかしたら増えないかもしれないなと思っています。ということが実態として起きているわけなんですけれども、今回、少人数学級ということが進んだのは、とてもいいことかと思うんですが、学校という枠組みに合う子たちに対しての教員確保という点だけを目指したものになっていいのかと。本当に学校という枠組み自体も疑うときに来ているんじゃないかという中で、審議のまとめのところに、先ほどほかの先生もおっしゃっていたとおり、教職員の量と質を目指した免許法の改正という点についても考えていくべきということを、是非記載していただきたいなと思っています。
 決して、非常勤化すること、兼業で関わる人を増やすことによって、コストカットを目指したものではなくて、多様性を確保し、様々なニーズのある子供たちに応える仕組みを本気で検討していき、誰一人取り残すことのない教育を本当の意味で目指していくということで、義務教育費国庫負担金の使い方が、教員の現状の免許を取得した方々のためだけでいいのか、そうではない多様な人たちが参加できる仕組みにしていくということを強く願います。
 その点について1点書いていただきたいことと、もう一つ、今後という点なので、是非学校の在り方、個別最適な運営、経営形態の多様化という点についても踏み込んで、ここに記載できないかなと思っています。不登校になっている子供たちがこれだけ増えているのであれば、もう学校に当てはめるということは無理だというところを踏まえて、フリースクールとか教育支援センターとの連携も含めて、教職員ではない方々も教育を担っているという前提に立ったときに、どういう運営をしていけばいいのか、どういう方々に国庫を使って教育に伴走していただければいいのかというところを見直すという意味でも、その経営主体がどうあるべきかということについても、今後検討を重ねていくべきだと思っています。
 以上となります。

【渡邉会長】
 いつも特別部会で大変貴重な御意見をいただいておりますが、今もまた実践に裏打ちされた貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
 全体を通して、事務局の方から、補足すべき事項があれば、お願いいたします。

【中野教育人材政策課長】
 教育人材政策課の中野と申します。多くの先生から教師の関係で御意見いただいておりますので、教員養成部会における検討も含めまして、少し補足をさせていただければと思っております。
 牛尾先生ほか多くの方から、教師のファシリテーションの能力ですとか、自発的な学びをモチベートする能力が重要であるという御指摘をいただいたことにつきまして、答申の中では、少し表現が違っておりますが、本文ですとか「はじめに」のところなどで、伴走者としての教師という視点が重要になってくるということで書き込んでいただいているところでございます。
 また、社会教育士のお話もありましたが、ファシリテーション能力ですとか、コーディネーション能力につきまして、社会教育では従来から大変大事だということが言われておりまして、社会教育士の講習等ではその辺りが体系的に学ばれています。社会教育士の方に学校に参画していただくということもありますし、自治体によっては学校の先生自体に社会教育士になっていただくという取組も進んでおりますので、そういったことも進めていきたいと思っております。
 また、ICT活用指導力の関係も、教員養成部会で御議論いただいているところで、今後教職課程におきまして、ICTに特化した科目の新設を含めまして、教職課程全体でICT活用指導力の向上を図っていくという議論が進んでおります。また、それに伴いまして、今後コアカリキュラムの改定も予定をしているところでございますが、その議論の中で、単にICTを使うということではなくて、GIGAスクール構想の背景として、ここで御議論いただいているような、個別最適な学びと協働的な学びを実現する「令和の日本型学校教育」を進めるためのツールとしてあるということが大事ですので、ICT活用指導力の養成の中でも、その背景としての大事な部分をしっかり指導していくというメッセージが大事だということも、御議論いただいているところでございます。
 また、外部人材のお話で、特別免許状を自分から申請できないというお話もありましたが、外部人材の活用といたしまして、特別免許状だけではなく、普通免許状から入っていただくこともございます。例えば教員資格認定試験というものがございますが、こちらを改革いたしまして、従来3次まで6日間を要していた試験を2次までの3日間で取りやすくするといった取組ですとか、またリカレント教育といたしまして、既に免許を持っていただいている民間の方で学校に関わりたいという方に、リカレント教育を受けていただいて入っていただいたり、免許を持っていない方についても、教員資格認定試験等のルート、あるいは、大学に入り直すというルートも含めて、リカレントの取組も進めているところでございますので、そういった様々な取組を通じて、外部人材に入っていただくということも進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。
 今日も大変貴重な多くの意見をいただきまして、本当にありがとうございました。御意見の中にもありましたけれども、今回の答申素案というのは、「令和の日本型学校教育」の構築というものを目指すということでございます。実現すべき姿や、構築に向けた今後の方向性については、第1部の総論の本文にまとめられたとおりだと思います。
 まさに教育振興基本計画で掲げられている自立・協働・創造、個別最適化としての自立ですとか、協働的な学びとしての協働、課題解決型としての創造、そのような考え方をベースに置いていますし、未来志向として人を中心に据えながらも、Society5.0時代からのバックキャスト的な視点を持っているということ。それから、今日大変多くの御意見をいただきました、歴史を積み重ねてきた知・徳・体を一体で育むという、日本型学校教育の役割を継承していくこと。さらに加えて、誰一人取り残さない、持続可能的な社会を目指すSDGsにもつながるような、多様性と包摂を大切にするという視点。こういったものを併せ持つ内容だと思います。
こうした多くの視点を併せ持つということになれば、必ず矛盾が生じ、課題が顕在化するわけですが、これは答申のキーワードである、二項対立の陥穽に陥ることのないという姿勢の下に、解決していく必要があるということだと思います。
 本日も大変貴重な意見をいただきました。今日の御意見も踏まえつつ、今後答申という形でまとめていきたいと思いますので、引き続き御協力をお願いいたします。
 それでは、時間が大変押して申し訳ありませんが、議題の(2)に入らせていただきます。事務局から資料の説明をお願いいたします。

【原大臣官房会計課長】
 事務局をしております大臣官房会計課長の原でございます。資料2-1に基づきまして、まず令和2年度の第3次補正予算案、それから資料2-2に基づきまして、令和3年度の当初予算案の状況について御説明させていただきます。時間も押しておりますので、表面的な説明になってしまうことをお許しいただければと思います。
 まず、資料2-1を御覧ください。今年度はコロナ対策ということで、既に第1次・第2次の補正予算を編成してございます。第1次・第2次補正予算では、学校における消毒液の購入の支援等の感染症対策、それからGIGAスクールといたしまして、小中学校での1人1台端末の整備、それから教員の加配ですとか、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加と。それから、予備費を使いまして、大学生等に向けた学生支援緊急給付金の支給といったことを実施してございます。
 その上に立って、お手元の資料の第3次補正予算案ということでございますけれども、柱は大きく3つあります。最初のローマ数字の1番でございますが、学校における感染症対策支援ということで、引き続き幼稚園から特別支援学校の保健衛生用品等の購入の支援をするということ。それから、感染症の医療人材養成といたしまして、医学部の学生等を対象にした医療人材の養成。それから、東京オリパラに向けた感染症の対策。
 ローマ数字の2番といたしまして、最初はGIGAスクール構想の拡充ということで、今回の補正予算案では高校段階におきまして、低所得世帯等の生徒が使用する端末ですとか、あるいはオンライン学習システムを整備いたします。2番目、スマート専門高校でございますけれども、工業高校等の専門高校において、産業教育装置をデジタル化したものを導入していくといったことの予算を計上してございます。以下、大学・高専におけるデジタルを活用した新たな教育ですとか、省エネ技術等のグリーン社会に向けた研究開発。
 2ページ目に行っていただきまして、国立大学の教育用の設備の整備、それから大学ファンドでございますけれども、最終的には10兆円規模を目指すということでございますが、補正予算案では5,000億円、それから令和3年度の財政投融資として4兆円を準備いたしまして、最終的にはその運用益で、共用の施設の整備ですとか、若手人材の育成をするといったことを目指してございます。それから、若手向けの研究費の拡充ですとか、博士課程後期学生のフェローシップの支援、それから、スパコンの「富岳」の整備ですとか、研究環境のデジタルトランスフォーメーションの推進、宇宙、健康・医療分野の研究開発、イノベーション・エコシステムの強化を行ってまいります。
 2ページ目の一番下でございますけれども、高校生等への修学支援といたしまして、高校生等奨学給付金の上乗せの前倒し支給ですとか、3ページに行っていただきまして、無利子奨学金の拡充、それから大学におけるリカレント教育。以下はスポーツですとか、文化芸術活動、子供の体験みたいなものを含めて活動を支援していくこと。
 それから、ローマ数字の3番につきましては、防災・減災、国土強靱化ということで、様々な施設の整備といったものを計上してございます。
 以上が第3次補正予算案でございますけれども、その次、資料2-2を見ていただければと思います。これが令和3年度の予算案ということで、2ページ目をまず見ていただければと思います。ここに教育関係をまとめてございます。一番左上でございますけれども、先ほどから話が出ておりますが、今回の当初予算では、小学校35人学級を5年かけて計画的に整備するということで、初年度分として、必要な経費を義務教育費国庫負担金に計上してございます。
 その右側に丸数字がございますけれども、それは以下の資料のページ番号を表しておりますので、詳細については丸のついた番号のページを御覧いただければと思います。そのほか、当初予算案におきましては、スクールサポーターですとか、あるいはデジタル教科書といったものを計上させていただいてございます。
 左下には、国立大学の運営費交付金ですとか私学助成、それから高専の運営に必要な経費。右上に行っていただきまして、各学校の施設整備に必要な経費。太い括弧で書いてございますのは、先ほど御説明しました今年度の第3次補正予算案の額を記載させていただいてございます。
 3ページ目を見ていただきまして、リカレント教育、それから特別支援教育。下に行っていただきまして、学びのセーフティネット、あるいは日本語教育・外国人児童生徒への対応といった予算を計上してございます。
さらに、3ページ目の右側に行っていただきまして、スポーツ関係、来年度は東京オリパラがございますので、競技力向上等、それから裾野拡大等のスポーツ施策の総合的な推進。下の方に行っていただきますと、文化の関係でございます。文化芸術活動、それから文化財、文化施設といったところで予算を計上してございます。
 4ページ目に行っていただきまして、科学技術関係でございます。左側の一番上でございますけれども、大学ファンドの創設、先ほど御説明しましたけれども、財投で4兆円、補正予算案で5,000億円からスタートするということでございます。それから、これも先ほど補正のところで説明しました、その下のフェローシップ事業ということで予算を計上してございます。そのちょっと下の創発的研究の推進の補正予算案と併せて、若手博士課程後期学生のフェローシップといったものを拡充していくことを予定してございます。
 下の方でございますけれども、イノベーション・エコシステムの強化、それから研究のデジタル化や大型設備の共用の推進、右側の方に行っていただきますと、AI等、各分野の研究開発の経費といったものを計上してございます。
 駆け足で恐縮ですけれども、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【坂本大臣官房政策課長】
 次に、税制改正要望の結果について御説明いたします。資料2-3を御覧いただければと思います。大臣官房政策課長の坂本です。よろしくお願いいたします。
 もう時間がありませんので、教育の関係だけ御説明いたします。要望6項目が認められましたが、教育の関係は(1)と(3)でございます。資料2ページ目を御覧ください。(1)は、教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の延長でございます。これは、祖父母の方々からお孫さんに対して教育資金を一括贈与された場合に、贈与税が非課税措置になるということについて、時限でございますけれども、適用期限が2年延長されることとなりました。
 ただ、条件の変更が少しございまして、贈与の残額について、これまでは、ポンチ絵の赤の囲みのところですが、贈与から3年以内に祖父母の方が亡くなった場合に、残額を、お孫さんが23歳以上であれば相続財産に加算するという条件があったんですけれども、贈与から3年以内という条件がなくなりまして、祖父母の方が亡くなった場合には、残額を、お孫さんが23歳以上であれば相続財産に加算します。さらに、これは祖父母の方からお孫さんで、1世代飛ばして相続されますので、2割加算をするということでございます。ただ、23歳未満であれば、あるいはお孫さんが在学中であれば、相続財産の加算はなされないということで、この条件は維持したというところでございます。それが1点。
 もう1点は、4ページ目を御覧ください。東日本大震災により被害を受けられた学校法人について、私学共済が特別貸付けを行う際の契約書の印紙税が非課税になると。これは適用期限が5年延長になったということでございます。
 そのほかについては、1ページに戻っていただくと、(2)、(4)は、民間の法人の試験研究費の税の扱いについての特別措置、そして(5)、(6)については、文化の関係、現代美術品の寄託に関する相続税でありますとか、あるいは能楽堂に関する固定資産税等の優遇措置というものが、引き続き認められたということでございます。
 税制改正要望の御説明は以上です。

【渡邉会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問もあろうとは思いますが、時間も押してまいりましたので、もし御質問等がありましたら、後ほど事務局にお願いできればと思います。
 それでは、次回の日程について、事務局より御案内します。

【佐藤総合教育政策局政策課長】
 失礼いたします。次回の御日程でございますけれども、中教審総会、年が明けまして、1月26日火曜日でございますが、15時から17時までの予定で考えてございます。場所につきましてでございますが、今回は外部の会場ということで、大変御迷惑をおかけいたしますけれども、お願い申し上げたく存じます。場所は、TKP赤坂駅カンファレンスセンターという場所でございまして、少し分かりづらいところもありますので、後ほど詳細な場所、アクセス方法など、御連絡を申し上げたく存じます。
 以上でございます。

【渡邉会長】
 ありがとうございました。 
 今年はこれが最後の総会となります。今年の年末年始はお静かにお過ごしいただくことになりますが、皆様におかれましては、よいお年をお迎えいただきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

── 了 ──
 

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