中央教育審議会(第115回) 議事録

1.日時

平成30年1月31日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理
  2. 第3期教育振興基本計画について(答申(素案))
  3. 平成29年度文部科学省補正予算案・平成30年度文部科学関係予算案及び税制改正等について
  4. その他

4.出席者

委員

 北山会長,小川副会長,永田副会長,天笠委員,生重委員,伊藤委員,帯野委員,志賀委員,篠原委員,恒吉委員,寺本委員,中田委員,日比谷委員,宮本委員,村田委員,室伏委員,山野委員,横倉委員,善本委員,米田委員

文部科学省

 小松文部科学審議官,伊藤文部科学審議官,藤原官房長,中川総括審議官,藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官,山下文教施設企画部長,常盤生涯学習政策局長,義本高等教育局長,矢野大臣官房財務課長,岡村大臣官房政策課長,森初等中等教育局初等中等教育企画課長,有松国立教育政策研究所長,神山大臣官房審議官,塩見生涯学習総括官,氷見谷生涯学習政策局政策課長 他

5.議事録

【北山会長】
 皆様,おはようございます。ただいまから中央教育審議会総会を開催いたします。
 まず,文部科学省において人事異動がありましたので,事務局から御紹介をお願いします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 失礼いたします。1月に事務局の異動がございましたので,御紹介させていただきます。
 まず,大臣官房会計課長の矢野でございます。

【矢野大臣官房会計課長】
 どうぞよろしくお願いします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 次に,初等中等教育企画課長の森でございます。

【森初等中等教育企画課長】
 森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは,議事に入ります。
 本日は,まず,議題(1)今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理について,大学分科会の下に設置しております将来構想部会において取りまとめられましたので,御報告をいたします。
 続いて,議題2として,第3期教育振興基本計画の答申(素案)について意見交換を行いたいと思います。いよいよ第2期教育振興基本計画が終わる3月末が迫ってまいりまして,今回御議論いただくのは,新年度の4月から始まる新しい教育振興基本計画でございます。
 最後に,議題3として,平成29年度の文部科学省の補正予算案,それから平成30年度の文部科学省関係の予算案及び税制改正等について御説明がございます。
 なお,本日は,会議の全体について,録音・カメラ撮影などがありますので,御承知おきいただきたいと思います。
 それでは,早速議事に入ります。まず,配付資料について,氷見谷課長から確認をお願いいたします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 本日の配付資料につきまして,お手元の会議次第に記載させていただいておりますとおり,資料1から資料3-3となっております。
 また,山野委員から,本日,資料を頂いておりまして,併せて机上に配付させていただいております。
 これまでの資料と,本日の資料1から3-3につきましては,タブレットにも入っておりますので,こちらも適宜御利用いただければと思います。操作方法等につきまして御質問等ございましたら,近くの事務局にお声掛けいただければと存じます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 山野委員の配付資料は,資料の一番下にカラー刷りで付いている「つなぎびと」,「どうなる地域共生社会」などの3種類の資料です。御確認をお願いいたします。
 配付資料はよろしいでしょうか。
 それでは,議題(1)の高等教育の将来構想についての議論に入ります。
 昨年3月6日の文部科学大臣の諮問を受けて,我が国の高等教育に関する将来構想について,これまで,大学分科会の下に設置された将来構想部会を中心に審議が進められてきたところです。
 今般,この将来構想部会におけるこれまでの議論が,「今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理」として取りまとめられました。まず,文部科学省事務局から,内容について御説明をお願いいたします。

【義本高等教育局長】
 失礼いたします。高等教育局長でございます。
 お手元の資料1-1から1-3までが将来像に関する論点整理の資料でございます。1がその概要,2が本文でございまして,3が関連する資料でございます。今,北山会長からお話がございましたように,昨年3月に諮問を頂き,永田部会長の下に将来構想部会を設けまして,昨年の12月28日に論点をまとめたところでございます。概要を御参照いただきながら,資料1-2の本体を中心に御説明させていただきたいと思います。
 本体をおめくりいただきまして,目次がございますが,六つの構成にしております。社会全体の構造の変化,それを受けた人材の育成の問題,それから高等教育機関の教育研究体制,それから18歳人口の減少を踏まえた規模と配置の問題,それから質の保証,情報公開,それから今後の課題という形で書かせていただきまして,概要にその概略をまとめていただき,キーワードを盛り込んでいますので,適宜御参照いただきたいと存じます。
 2ページを御覧ください。
 「はじめに」について,これは経緯を書いておりまして,グランドデザインの議論をしましたのは,今から十数年前の平成17年に,「我が国の高等教育の将来像」ということについて答申をまとめました。これまで将来の姿につきましては,18歳人口急増期の昭和50年度から5年おきに「高等教育計画」を策定しておりましたが,この17年の答申において,計画を策定し,もろもろの規制をする時代から,将来像を提示して政策を誘導する時代に変化するということで,米印を記載しておりますが,大学の有する七つの機能を示しながら,大学が自ら選択して,緩やかに機能別に分化していくというような将来像を描き,その中での機能強化を進める努力をしてきたところでございます。
 その一方,10年経過いたしまして,次のページからですが,産業,社会構造の変化や18歳人口の大幅な減少が予想される中において,今後の発展のための構造的な問題について議論するということで,昨年の3月に諮問いたしまして,2040年を見据えた我が国の将来像についてという形で,これからの議論について総合的な検討をしていただいたところでございます。
 4ページ以降が,その具体的内容でございます。
1.社会全体の構造の変化の問題について御説明いたします。学術研究や教育の発展やSociety5.0に代表されます第4次産業革命の進展,人生100年時代に代表されます健康長寿社会が進む中において,大きく高等教育は変化しており,18歳で入学する伝統的な学生だけではなくて,多様な年齢層の学生に対するニーズに応えていく必要があります。その上で,グローバル化や地方創生といった変化も踏まえて,特に「多様性」をキーワードにしながら,各種プログラムについて取り組んでいくことについて触れております。
 6ページ以降が,高等教育における人材育成ということで,多様性にも関連いたしますが,18歳で入学する伝統的な学生の教育につきましては,社会が変化しても陳腐化しない普遍的なスキル,リテラシーを磨いていくために,一般教育・共通教育を通じて学部を超えた幅広い分野からの横断的なカリキュラムを履修するとともに,強みを生かして専門分野を持って育成していくという議論を進めていくことに触れているところでございます。
 さらには,社会人への教育で,先端的で実践的な教育の提供や,学問追求と実学の教育双方の高いレベルを求める多様なニーズに対応していく取組を進めていくために,需要に対応できる柔軟性を持ったプログラムの提供や,教員の組織体制の柔軟化の体制作りについて触れさせていただいているところでございます。
 9ページ以降が,その上に立った上での高等教育の教育研究の体制の在り方に触れているところでございまして,先ほど申しましたように,予測困難な時代においても,柔軟かつ迅速に対応できる教育研究体制の構築が必要だということで,その上で「多様性」という言葉をキーワードにして,その中での組織の体制の在り方についての見直しを図っていこうということでございます。
 9ページの上から三つ目の丸にございますように,学内出身者を中心とした自前主義,あるいは18歳で入学してくる学生を中心とした18歳中心主義から脱却して,学部・学科を超えて大学を超えた人的資源を共有し,「多様な教員」による「多様な教育研究分野」を提供するとともに,「多様な学生」を受け入れられる体制,そのための「多様性を受け止めるガバナンス」を中心に検討していくことに触れているところでございます。
 多様な研究分野につきましては,特に学部・学科の枠を超えた柔軟なプログラムを編成していく,学生の視点に立った上での履修の幅を広げていくという観点から,複数の大学での人的・物的なリソースを共有していく。さらには,大学等の連携・連合を円滑に進めていく仕組みが必要だということで,10ページにございます具体的な方策として,学部を超えた学位プログラムを実現していく,大学等の連携・連合の可能性ということで,単位互換の問題から始まりまして,教員の専任制の原則の見直しや,国立大学についての一法人複数大学制の問題,私立大学についても,円滑な連携や統合を進めていけるような仕組みについての提起を触れております。
 教員につきましても,学部・学科の枠を超えて教員が共同して教育プログラムを教えることができるような構築とともに,学外の資源を活用していこうということで,実務家や,多様な視点からの教員,若手や女性も含めた教員を登用できるような在り方について,11ページにございますような形での提言を盛り込んでいるところでございます。
 別添として,ワーキンググループで詳しい論点整理を付けましたので,御参照いただきたいと思います。
 多様な学生につきましても,先ほどもございましたような形での,特に社会人の受入れを進めていくためのリカレント教育や,外国人の留学生を惹(ひ)き付けていくような環境作りということについて触れております。
 12ページの下から,多様性を受け止めるガバナンスということで,高等教育機関につきましては,他の機関や関係する産業界,地域の地方公共団体などのステークホルダーも含めた形での意思疎通を図っていくために,複数の高等教育機関あるいは産業界,地方公共団体との恒常的な連携体制を構築していく,また,地域での大学間の連携を強化するとともに,学内のガバナンスの問題で言えば,学外の理事を少なくとも複数名配置するなど,一定の配置をすることを含めた形での多様性を持った経営ということについて触れているところでございます。
 さらには,13ページ,14ページで,大学以外の短期大学,高等専門学校,専門学校に特有の課題にも,更に今後議論を深めていこうということで触れております。
 15ページ以降が,人口減少を踏まえた大学の規模,配置の問題でございます。ここに触れておりますように,学士課程の進学者の動向については,進学率が増加していくこと,特に女性の進学率が向上していく一方で,全体としての教育の質の問題。それから地域におきましては,私学でも小規模な大学が多いということで,学生確保が難しくなっている大学が出ている。率は違いますが,定員割れの大学が4割に増加しているということも見据えた上で,今後,地域での学生のニーズに応える質の高い教育機会をどう提供し,確保していくのかということがございます。そのための積極的な取組を促していくことに触れているところでございます。
 その上で,16ページ以降でございますが,将来の進学者の推計を行っております。全体としましては,18歳の人口自身が2030年には103万人,2040年には88万人に減少していくという試算をしております。その上で,47都道府県ごとの進学者数や入学者数の将来推計のマッピングを県ごとにさせていただいております。
 資料1-3は新潟県の例ですが,それぞれの大学の配置などを機械的に推計したものでございます。県外からの流入,あるいは県内からの流出なども試算しながら,その進学率を考えた上での推計を出しております。
 このようなことを参考にしながら,今後,地域単位での将来像を描いていくということで,17ページでございますが,国として全体の方向性を示すとともに,地域での将来像を描くといった場合について,その地域の中においての議論をしていくことで,先ほど地域での連携の話がございましたが,地域の高等教育機関が,産業界や地方自治体とともに,将来の姿や,その交流等も含めた形での連携について議論をする場を「地域連携プラットフォーム(仮称)」として提案させていただいて,その具体的な仕組みを今後検討していく必要があるという論点を頂いているところでございます。
 17ページ以降が,大学等の地域配置の問題で,特に都市部への学生の集中を規制する問題についての経緯を踏まえた上ででございますが,昨今議論がございます23区の学部・学科の新増設の議論について整理をし,18ページ以降でございますが,分科会の考え方についての経緯について触れているところでございます。
 その上で,19ページでございますが,地方大学の振興をしっかりやるとともに,東京の国際都市化に対応する場合,あるいは,若者の東京への転入の増加につながらない場合等のように,真にやむを得ない場合について例外扱いすることについて,政府全体の方針を示したところでございます。その点については,大学の教育研究の発展への影響を来すことがないような形で慎重な検討が必要だと触れております。
 その上で,21ページでございますが,教育の質の保証と情報公開の問題でございます。
 進学率が上昇し,大学自身がマス化をしている段階においては,質の保証と機会の均等のバランスをどう取っていくかについては,これは世界的に普遍的な問題だと触れた上で,我が国の場合においても,大衆化に伴う問題を前提とした上で,質の保証についての取組は不十分であるということについて厳しい御指摘を頂いた上で,その例示として,授業外の学修時間が短いことについて海外比較の話を触れているところでございます。
 その上で,改善に積極的に努力している大学がある一方,全体として十分な質の保証について信頼を得ているとは言い難いという評価をした上で,その質の保証についての取組をしっかりやっていくことについては,22ページにございますように,その成果を中心にしっかり情報を公表していくことを併せて考えていく必要があることについて触れております。
 22ページの具体的な方策として,教育課程の改善や,指導方法の改善等における学修の質保証ということで,方法やその教育課程について,例えばシラバスの位置付けについて,もう少し充実を図っていくための取組や,GPA,あるいは,いろいろな取組をしっかり展開していく方策も更に詰めていくべきではないかということとともに,学修成果の可視化と情報公開ということで,三つのポリシーに従い,今,大学に展開していただいていますが,学生の学修に関する行動を把握して,その成果をしっかり把握して公表していくための一定の指針を示すべきということ,あるいは,そういう情報を活用した形での体制作りについて触れていただいております。
 24ページは,6.今後の検討課題でございますが,将来構想部会においては,この論点整理を更に論点として詰めていくために,ここにございますようなポイントについて議論をしているところでございます。
 特に,機能別分化の考え方については,進捗状況,今後の方策の問題,規模の在り方,あるいは大学院教育の問題,財政的な問題も含めて議論を更に進め,今年の秋に答申を出すことにしておりますが,できれば,骨太方針等もございますので,5月の下旬ぐらいを目途に,一定の審議を整理する形で議論を整理し,また,総会にも御報告させていただく機会があるかと思っております。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 冒頭の1月の人事異動でまだ御紹介できておりませんでした,塩見生涯学習総括官です。

【塩見生涯学習総括官】
 生涯学習総括官を拝命しました塩見でございます。引き続きよろしくお願いいたします。

【北山会長】
 よろしくお願いします。
 それでは,今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理に関して,御質問,御意見等はございますでしょうか。
 それでは,中田委員,お願いします。

【中田委員】
 社会人の学び直しに関連して,都市部と地方という地域格差,それから企業規模の格差も一定程度あるかと思います。社会人の学び直しを高等教育に求める場合,学士課程,大学院等のレベルにもよりますが,地方の場合と都市部の場合の状況の違いを視野に入れると,高等教育の対応をおしなべて一様に考えていいのか,それとも,地域の状況の違いに合わせて想定されるのかといった課題があります。それから,学び直しの機会を担保していくということであれば,地域企業との連携,経済界への働き掛け等に関して,どういう施策を展望されているのか,その辺りの情報提供をお願いしたいと思います。

【北山会長】
 その辺りについては,恐らくこれから議論されるだろうと思いますが,いかがでしょうか。

【義本高等教育局長】
 これから将来構想部会でも議論させていただきたいと思いますし,また,この問題について,人生100年構想会議においても,社会人のリカレント教育は重要なテーマでございますので,そこと連携させていただきながら議論をさせていただくことになると思っております。
 お話にございましたように,恐らく都市部と地方では大学の立地も違いますし,法制も違います。それから,ニーズについても,恐らく先端的なスキルを学びたいと言っても,学位を取りたいというのではなくて,むしろ短期的なプログラムで必要なものを早く学びたいというニーズもございましょうし,また,自分の分野を更に深めたいということで,大学院レベルを求めるケースもあれば,あるいは,一定の入門的なことを広げたいということで,もう少しベーシックな部分を求めるケースもありますので,その辺りのニーズを捉えながら考えていかないといけないということがあります。
 それから,大学の立地ということになれば,都市部においては,今,中田委員に御指摘いただきましたように,大きな企業群があり,たくさんの働いている方がいらっしゃるということであれば,いろいろな需要に対応した形で,座学で教えるケースもあれば,オンラインでやっているケースなど,いろいろな展開ができる要素があります。
 一方,地方においては,産業の状況においては,地元と密着していろいろなプログラムを提供している例もありますが,まだまだ十分ではないという状況がございます。一方,最新的な学びたいものがあっても,例えばAIやIoTの技術については,なかなかそこで教えることができる人がいないということがございます。
 ですから,恐らくは座学を中心としたプログラムだけではなくて,遠隔教育やオンライン教育も含めた形で,いろいろなプログラムの提供を柔軟な形で連携していくということが今後求められておりますし,そういう議論が今後必要かと思っております。
 それからもう1点は,今までもそういう履修プログラムはあり,厚生労働省と連携しまして,BPという形での認定制度を作って進めていますが,実際上,本当に学修者のニーズに応えるようなプログラムを提供できているかというと,必ずしもそうでない点がございます。御指摘いただきましたように,今後恐らくは人生100年構想会議での議論になろうかと思っておりますが,大学あるいは教育機関だけではなくて,むしろ産業界とも連携した上で,プログラムの開発や人員の確保などの提供の在り方自体も今後詰めていく必要があると思っております。それから,お金の面においても,公的なお金を付けて体制整備ということも重要でございますが,雇用保険なども活用しながら,学修者の支援も含めて総合的に検討していくことについて,今後,文部科学省も当然関わりますが,政府全体でやっていくことになろうかと思っております。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 では,善本委員,お願いします。

【善本委員】
 ありがとうございます。
 先ほどの御説明の中で,女子については10年間で大幅に進学率が上昇しているという文脈でお話を頂きました。また,教員については,若手や女性の様々な人材登用ということが言及されていたわけですが,ただ一方,諸外国と比較した場合に,日本は,中等教育においては男女等しい教育の機会が世界で最も保証されている。ところが,高等教育になったところで,それはOECD加盟国の中では最低レベルに落ちてしまうという評価があります。そのことを考えたときに,これはもちろん送り出す方の私ども中等教育側にも相当に責任があると考えているわけですが,例えば,世界的に見れば,理系分野も含めて男女が半数に近くなっている現状の中で,まだ「リケジョ」という言葉があるくらい,学部・学科によって女子学生の数に非常に偏りがあったり,例えば東京大学においては,2020年までに女子学生数の割合を30%にするという目標を立てていらっしゃるのですが,達成については非常に厳しい状況であるということもあります。将来像という言葉なので,その点について,課題意識を持っていただくべきと思います。特に多様性をテーマにするとも触れていただいていますので,その原点の部分でもあろうかと思いますので,そこの部分が少し気になると思っております。もちろん中等教育側の責任も感じておりますが。

【北山会長】
 では,志賀委員,お願いします。

【志賀委員】
 大学分科会の席でも申し上げた点なのですが,今,多様な教育に関連して,実社会でIoT,ビッグデータ,AIというものが,どんどん生活の中にも業務の中にも入り込んでくると,理系と文系の垣根がどんどん下がってきているということをどうしても実感します。大学は,理系,文系,人文科学,自然科学等に分かれるのは当然だと思いますが,高校の段階で志望学校によっても,例えば物理を学ばない,数3はやらないなどということがあります。そういうことが結果的にはリカレント教育にも関わってくるのですが,生活レベル,例えばAIのアルゴリズムを当たり前のように使うような時代が当然来るのではないかと思います。そうすると,数学の論理,物理の論理みたいなものは,少なくとも高校のときは,受験科目ではないから捨てるということではなく,学んでいくような姿勢が要るのではないかと思います。どうも日本の理系,文系の分け方が,受験戦争が厳しいということもあって,捨てるものと学ぶものの深さが余りにも違うことが気になっている点であります。

【北山会長】
 では,帯野委員,お願いします。

【帯野委員】
 今回の論点整理の中で,社会をどう取り入れるか,実務家教員というところが大切なところだと思っています。
 今後,実務家教員を大学に取り入れながら,どのように教育の質を担保しつつ,実践的な教育で教育の幅を広げていくかということは,とても重要だと思っておりますし,特に新しく制度化される専門職大学では,それが大きなポイントになると思いますので,更に分科会の方で詰めていただけたらと思っています。
 恐らく,私はこの実務家教員として大学で教えていたと思いますが,私の経験から申しますと,実務家教員は,実践例は提供できるが,それを理論立てて15コマの授業を行うことはできない。教員の方は,理論は提供できるが,なかなか実践例が提供できない。そこで大切なのは,双方のコラボだと思います。学科ごとにそれを分担するのではなく,できれば一つの学科の中でコラボする。私が教えていたときは,教員とペアになって自分の実例を中心に理論展開し,その教員とともにテキストを開発して15コマを進めていました。
 それが良いのかどうか分かりませんが,そういうモデルも研究していただいて,どのように実務家と教員が実際の教室でコラボするかというところを詰めていただけたらと思います。そのためには,教育課程のデザインのところに,実務家,社会人,産業人が必要だと思います。11ページにそのように書いていただいておりますが,カリキュラムの改善のプロセスになっておりますので,カリキュラムを製作するプロセスにも是非多様な産業人等を入れていただくような工夫をしていただけたらと思います。
 一つ質問ですが,学外理事を増やすとございますが,この理事というのは,私立大学の理事会の理事ですか。それとも国立大学のいわゆる役員に当たる理事ということなのでしょうか。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,三人の方からの御質問,御意見について,文部科学省からコメントをお願いします。

【義本高等教育局長】
 善本委員からありましたように,女性の進学率が低い,特に地方においてもそれは顕著であるということもありますし,大学の立地の問題もございますが,今後,進学率の推計をしていく,あるいは,規模を考えていく場合,女性の進学率を意識した上でインディケートして考えていくことになろうかと思っております。
 それから,志賀委員から御指摘いただきました点については,この資料においても,特に,例えば7ページのAIでございますが,第4次産業革命で新たなリテラシーとして,全学的な数理・データサイエンスの教育をしっかり行うことが必要だという形で,これは文理を超えたものとして考えないといけないということでございます。
 施策においても,そういうプログラムを作っていく拠点に全国の6大学を指定してやっております。それから,新しい高校の学習指導要領においても,情報という科目ができて,センター試験の中においても今後取り入れることになろうと思いますが,データ処理や問題解決を前提に置いたようなプログラムになっておりますので,それをしっかり進めていくことが必要だと思っております。
 それから,帯野委員に頂きました実務家の先生方を増やしていくことについての外部性を高めていくと,方向性だけではなくて,むしろそれをより実装していくための御提案だと思っておりますが,理論家の先生と,実務家の先生がコラボレーションして科目を開設する,これは専門職大学院でもやっております。また,そういう取組を広げていくところでもそうでしょうし,また,研修の在り方にしましても,実務家の先生方自身の協力の在り方だけではなくて,むしろ自分の学んだ経験をより理論化,体系化していくことを築くようなプログラムについて,日本ではまだまだ十分ではありませんので,これは人生100年会議の中においても,そういう話は今後出てくると思いますが,そこと連携しながら,将来構想部会でも議論を深めていくことができればと思っております。
 ちなみに,外部理事,学外理事でございますが,これは特に国立と私立の区別をしているわけではなく,経営の母体の方々自身を理事として象徴し,その中においての一定の数については登用するという御提案だと理解しております。

【北山会長】
 よろしいでしょうか。
 それでは,恒吉委員,お願いします。

【恒吉委員】
 すみません,反論したくなって。
 先ほど,委員からも出たのですが,やはり専門性,社会とつながる,産業界と連携とすごく言われていると思いますが,社会とつながること自身は非常に大学が大事なのですが,日本の一つの問題として,早くから専門化し過ぎて,広い土台がなく産業界の方へ向いてしまう。あるいは,大学教育が機能しないということがあると思いますので,余りにも早くから専門化して外を向くという議論だけでなく,広い土台を高等教育の中で同時に作っていくという議論が強調される必要があると思います。もう一つ,私は日本の教育の中で,高等教育がやはり日本の教育のアキレス腱(けん)ではないかと思っていて,かなり危機感を持っています。例えば制度的に,学生がリスクを背負って留学しなくてはいけない。例えば留年をするといったリスクがある場合に,やはりやる人が少なくなってくる,これは当たり前だと思います。あるいは,趣味で何か戻ってきてやって,その後,生かせないというようなことがあると,やる人が少なくなる。要するに,そのリスクの問題,インセンティブの問題が出てきて,そのインセンティブの問題というのは,一つではないと思います。
 今,理系と文系が,人文社会科学が社会と連携することが求められ,大学でももちろんそれをやっていかなければいけない。ただ,例えば既に非常に国際化された領域にいる研究者の場合は,その領域自身が国際的に競争しているので,その必要性が見えるわけです。ところが,割と日本は自己完結的な制度を作っている。そうすると,そういう領域にいない場合には,外の世界が見えないので,頭では分かってもピンと来ないのだと思います。その中で,インセンティブをどうやって作り出していくのか。諸外国では,人文社会科学でも,例えば特定ランクの論文しか評価しないという,非常に実利的な外部動機的なものが使われています。外に出れば日本の今の高等教育の状況の中で,若い人たちが外に出て発言していないというのは,見れば分かると思います。例えば,国際学会に出て,私などは人文社会科学の社会科学の分野のものに出ますが,東アジアのほかの学生がどんどん発言している中で,日本人の若手は,留学生でも,日本から来た人でも,いても発言しない,発表しない,そういう問題が,行けば分かるぐらい今はひどくなっていると思います。
 ですから,そういう危機感を持つというレベルも含めて,インセンティブとリスクの理論が少し強調されると,更に現実的に,一般の人にも分かりやすくなるのかなと思いました。
 すみません,少し長くなりました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 では,室伏委員,お願いします。

【室伏委員】
 ありがとうございます。簡単に申し上げます。
 24ページの一番目の丸の5行目に,「大学院教育の在り方や大学等における研究との関係はこれまでに論点として取り上げられていないが,高等教育の将来像を描く上では必要不可欠な部分であり,今後,検討する必要がある」と述べられております。これは,今後,検討する必要があるということでおさめていただきたくないと思っております。高等教育の将来像を描くという上で極めて必要ですし,科学技術立国を標榜(ひょうぼう)している我が国の基盤を支えて,新たなイノベーションを生み出し,また,新しい産業を創設するといった上でも不可欠なものであると考えております。さらには,大学教員の質の向上や,若手,女性たちの活躍の促進のためにも,大学院教育が非常に重要であると考えますので,この点についての検討は早急に始めていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 宮本委員,お願いします。

【宮本委員】
 9ページから10ページの教育機関における連携について,一つだけ発言させていただきます。
 私が勤務しております放送大学では,専門学校が放送大学と連携してダブルスクールで運営している例がいろいろとあります。つまり,先ほどの実務家教育あるいは実務に特化した教育の分野と,それからいわゆるアカデミック教育の結合,この辺りは一つの教育機関の中でやるのではなく,連携すればいろいろな可能性は開けてくると思っております。
 専門学校の学生さんがアカデミックな教育を受け学位を取得するということを同時にやることによって,将来的にも可能性はより開けてまいりますし,実務家教育に偏らない広い知識や可能性が得られるという意味で,これは大変重要であると同時に,高等教育機関に関しては,日本では従来型で言うと,アカデミック教育や教養教育に偏る,こういう問題を是正するという意味でも,ダブルスクール型の教育というのは非常に有効だと思っております。
 それに代表されるように,これまでの厳しい縛り,つまり,1大学の中で全てを自前でやらなければならないというところをこれから検討されるとここでは書かれておりますが,柔軟にリスクを恐れずに多様な高等教育の可能性を広げる上で,是非ここの辺りは具体化していただきたいと思っております。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,最後に天笠委員,お願いします。

【天笠委員】
 失礼いたします。簡単に三つ申し上げさせていただきます。
 まず一つ,2ページのところに書かれた各種規制の時代から将来像の提示と政策誘導への時代という,この大きな方向性の転換を基本的に支持したいと思います。
 その上で,申し上げさせていただきたいことは,この将来像というものをどのように捉え,あるいは考えて理解したらいいのかということです。大筋で記されているこういう方向なのかということなのですが,ただ,将来像とは,ある意味で,下手をするとワンパターン化するような,お題目のような形の未来像の提示が,以下の政策方向性などについて,逆に非常に柔軟性を欠く,あるいは多様性を欠くことについて気をつけなくてはいけないところがあるのではないかと思っています。言うならば,ある未来という,存在する未来と,創造する未来と言うのでしょうか,作り出していく未来と,それらのバランスが大変必要なのではないかということで,非常にパターン化された固定的な未来像がどんとあって,以下云々(うんぬん)という形のところについては,非常に気をつけなくてはいけないのではないかということが一つであります。
 次に,7ページの前後に,「カリキュラム」という言葉が度々見えてきますが,ここで言うところの「カリキュラム」とは一体何なのかという問いが必要なのではないかと思っております。
 カリキュラムと言うと,単位を集積したものや,科目が集まったものなど,とかくそういうことになりがちですが,ここに言いますように,いろいろな集積すべき知識や,目指す目標,特徴,その総体をカリキュラムと言っているわけで,基本的にはそういう捉え方が大切だと思います。基本的に高等教育におけるカリキュラムについて,内実が豊かになるよう整えていくということが,これらの方向性で大切なのではないかと思います。さらに,もう一段,今度はブレークダウンすると,それは単位の話になり,単位を何単位にするのかなど,そういう世界の話に入っていきますが,その辺りのところで,独自性や方向性を考えたとき,よりそれぞれの高等教育機関での自立性や独自性,裁量というのは,基本的に大切な方向でしっかり担保していくことが,このカリキュラムを捉えた場合に大切なのではないかと思っております。
 最後に三つ目ですが,これはもう既に委員の方から御発言もありましたが,やはり私も実務と学術という,この両方のバランスが一つのポイントになってくる部分ではないかと思っております。それが先ほど申し上げたカリキュラムというところにも反映される,あるいは,それぞれの関係の中で,今お話もありましたように,高等教育機関での連携などの中で,どのように実質化していくか,実務と学術の融合について具体的に展開していくことがポイントになってくるのではないかと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,今,四人の委員の方から,御意見と御質問がありましたので,義本局長からお願いします。

【義本高等教育局長】
 簡潔にお答えさせていただきます。
 恒吉委員から頂いた若者が外に出ないことは中央教育審議会だけではなくて,総合科学技術イノベーション会議など,いろいろな場面において,危機感をもって語られているところでございます。おっしゃるように,なかなか全体としてリスク自身が当事者に見えてこないという点があり,もう少し全面的にメッセージを発していかないといけないという議論も,これは特に若手研究者やドクター自身がかつてに比べて全然外に出ていっていないことには,アカデミックな先生がかなり危機感を抱いていますので,それをやはり推していくような施策については,教育の問題だけではなくて,研究も含めて,また,科学研究費助成事業のいろいろな費目と改革の見直しの中において,むしろ融合分野を作っていく,あるいは,若手の人たち自身が外に飛び出していって,早いうちから国際学会にも参加できるような体制を応援していくようなプログラムを考えておりますので,そういうものを総体として考えていかないといけない。それは意識を共有して考えていく必要があると思っております。
 それから,室伏委員から頂きました大学院教育と研究をしっかり議論,これは当然でございます。大学院部会と連携しながら,その内容についてしっかり盛り込んで,全体としての姿をバランスよく構築していかないといけないと思っております。
 宮本委員から頂いた問題でございます。おっしゃるように,今回のメッセージは,これまでと違って単体の教育機関で考える,あるいは設置者別に考えていくという視点が中心でしたが,むしろキーワードは多様性とシェアリング,科目や教員も含めて,いろいろな形でメニューを考えていく,あるいは広げていくことが不可欠だと考えております。ですから,そういう意味においての単位の互換,交流から始まりまして,いろいろな連携等も含めた形での,よりそれをやりやすい仕組みを求めていくということをしっかり考えていく,そのためのいろいろな規制を柔軟化し,解釈を見直して,やりやすいルールを作っていくことが必要だと思っております。
 一方,質の問題がございます。出口の成果をしっかり可視化して,それを見える形にして,学生にとって在学期間に成長を実感できるようなプログラムを構築していくことがベースでございます。その点においてのルールをしっかり求めて厳格化していくことについては,厳しくやっていく必要があろうかと思っています。その点はまた今後深めていただければと思っているところでございます。
 最後に,天笠委員から頂きました点でございます。将来像については,おっしゃるように,これは永田委員からも繰り返し御意見いただいていますが,なかなか先が見えない変化する中においては,むしろ「多様性」ということをキーワードにして,柔軟にいろいろな変化に対応できるような形での構築あるいは制度をしっかり作っていくこと自身が大事だという点を貫いて議論していこうということで,それは事象としてあるかと思っております。
 それから,カリキュラムについては御指摘のとおりでございまして,総体を捉えるものでございますので,その使い方をしっかり工夫するとともに,どうしてもブレークダウンすると細かい議論になりがちでございますので,それをしない形での意識あるいは用語の使い方を考えていく必要がございます。
 学術と実務のバランス,これは政府全体において貫いているところでございます。それはむしろアカデミックサイドと,外部の上手な関係作りがこれから非常に大事になってまいりますので,それは他において今後議論していきたいと思っております。ありがとうございました。

【北山会長】
 委員の皆さん,よろしいでしょうか。
 それでは,本件についてはここまでとさせていただきます。この高等教育の将来像については,本日の段階では論点整理ということで,引き続き,大学分科会及び将来構想部会を中心に審議を進めていただくことになります。本日,お越しの委員の中に,分科会や部会にそれぞれ分属されている方もおられますが,引き続き,そちらでもよろしくお願いします。
 それでは,続いて,議題(2)に移ります。
 第3期教育振興基本計画ですが,これは平成30年度から開始予定の計画です。本件については,2年前の平成28年4月の文部科学大臣の諮問を受けて,教育振興基本計画部会において審議を進めているところです。去年の9月28日の総会では,その時点までの検討の状況をまとめた審議経過の御報告をさせていただきました。その場で頂いた皆様の御意見や,各分科会,部会での議論,関係団体からのヒアリング,一般からの意見募集などを踏まえて,このたび「第3期教育振興基本計画について(答申(素案))」を作成し,今月22日に,計画部会において議論を行いました。本日はそのときにお示しした素案について,御報告させていただきます。
 詳細につきましては,この後,事務局から御説明いただきますが,この素案では,「審議経過」に記載のある指標について精選を行うとともに,本日の議題(1)である大学分科会将来構想部会の「論点整理」を踏まえた記載を充実させております。
 今後,2月の計画部会で「客観的な根拠を重視した教育政策の推進」や「教育投資の在り方」,すなわち財源などについて審議を深め,部会としての答申を取りまとめた後,総会に付議させていただく予定になっております。
 それでは,常盤局長,お願いできますか。

【常盤生涯学習政策局長】
 それでは,教育振興基本計画について,御説明をさせていただきます。資料は2-1と2-2,それから2-2の別添の3種類ございますので,それに基づいて御説明させていただきます。
 第3期教育振興基本計画の策定の経緯については,今,会長からお話があったところでございます。総会との関係で申しますと,昨年の9月の段階で審議経過を御報告させていただきました。その後,一般からの意見募集等を行って,各方面から様々な御意見を頂きましたので,それを踏まえて記述の見直しを行ったところでございます。
 資料2-1に見直しを行った後の修正が溶け込んだ形での本文を用意してございます。それから,資料2-2におきまして主な変更点,それから別添で,前回お諮りした審議経過報告からの修正について,赤字で修正したものを用意してございます。ここでは資料2-2と別添を用いて御説明させていただきます。
 まず,資料2-2,審議経過からの主な変更点でございます。
 会長からもお話がございましたが,大きく二つございます。一つは,この計画の中で,よりPDCAをしっかりと回すという観点から,測定指標あるいは参考指標を設定してございます。その指標について,数が非常に多く,教育政策の目標の達成状況をより直接的・効果的に測定できるものに精選してはどうかという御意見を各方面から頂きましたので,指標の数を,審議経過の段階では95ございましたが,それを絞り込み54にしております。
 どのような絞り込みをしたかについて,例えば目標14の「家庭の経済状況や地理的条件への対応」というところでは,審議経過の段階では,1の高校進学率や大学進学率の改善,2の中退者の減少,3の理想の子供数を持たない理由として,「子育てや教育にお金がかかりすぎる」と感じる者の割合の低下という指標を考えておりました。答申(素案)ではより直接的・効果的なものに精選し,1と2の二つに絞り込みました。このような形での整理を全体にわたって行っております。
 それからもう一つは,二つ目の丸でございます。高等教育について,先ほど,義本局長から御説明があった論点整理を踏まえて,教育研究の質向上に向けた基盤の確立,あるいは高等教育機関の連携・統合等という審議経過の段階では記載をしていなかった部分を,より充実した形で盛り込んでおります。
 このほか,様々な文言等の整理を行っておりますので,それは次の別添の資料で御説明させていただきます。
 この別添の資料,赤字見え消しの資料でございます。
 まず,表紙に目次がございますので,全体構成のおさらいをさせていただきます。
 全体は大きく二部構成になっております。第1部において,我が国における今後の教育政策の方向性というタイトルを記載してございます。1,教育の普遍的な使命。2,教育をめぐる現状と課題。3,2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項。4,今後の教育政策に関する基本的な方針ということで, 1から5にありますような5本の柱で全体の方針ということで整理をしております。それから5として,今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点を組み立てていこうと考えております。
 それから第2部でございます。今申し上げました五つの基本方針に沿いまして,全体として,次のページまで計21の教育政策の目標と,それに応じた施策群を記載するという形で全体の構成を整理しております。
 内容について順を追って簡潔に御説明をしたいと思います。
 まず,1ページを開きいただいて2ページのところでございます。
 「はじめに」の部分でございます。この「はじめに」のところにおきましては,計画部会において,明治からの教育が日本の発展につながったという点を記載すべきとの御意見があったことから,明治5年の学制から150年目を計画期間中に迎えるということもございますので,我が国の発展の基礎を培った学校教育制度の初めの段階から記すという修正をしております。さらに,昭和,戦後の改革,教育基本法の改正を踏まえて現在に至るまでのことを記載しております。
 次に,4ページからでございます。ここからが第1部でございます。
 4ページの下から次のページにかけまして,今後目指すべき個人や社会の姿を赤で消しておりますが,これは18ページ以降に場所を移しており,削除したわけではございません。
 次に,11ページをお開きいただけますでしょうか。
 11ページ以降に,「教育をめぐる状況変化」ということで記載しております。ここでは,読解力,自己肯定感,体験活動,体力,健康,安全などの内容を充実しております。全体を通じて,この11ページにございますように,本文で細かいデータなどが書いてあったところについては,脚注の方に移動させて,より本文が読みやすい形で整理をしておりますので,これは後でもまた続いてまいります。
 それから,13ページ,14ページでございます。13ページにおいて,特に教師の負担,いわゆる働き方の問題について記載を追加しております。また,14ページのところで高大接続などの課題を追加しております。
 続きまして,18ページ以降でございます。昨年9月の総会においても,より大事な部分が見えるよう,メッセージ性を持たせるようにという御意見を頂いておりましたので,この「2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項」において,記載を充実して整理をしてございます。18ページでは,先ほど申しましたように,4ページに記載していた内容を移動してここに組み込んでおります。
 それから,次の19ページでございます。政府として,現在,人づくり革命,生産性革命ということで取組を進めておりますので,その点を御紹介させていただいた上で, 19ページの中盤からございますが,大きな柱として,人生100年時代を豊かに生きるということ,そして超スマート社会(Society5.0)を生きるということ,そして20ページから,こうした急速な社会変革が進む中で,教育を通じて一人一人の「可能性」と「チャンス」の最大化を進めていくということを重点的な事柄として記載しております。
 次に,23ページ以降でございます。23ページ以降は,先ほど申しましたように,今後の教育政策に関する基本的な方針として,五つの基本的な方針を示しております。24ページ以降で,一つ一つの柱立てに即して,その趣旨を記載しております。1番目の柱については24ページから記載しております。
 そして,27ページです。二つ目の柱で,若干の修文がございますが,前回の総会において,グローバル時代の人材の育成にはリスクに強いタフな精神性が重要という御意見を頂いておりますので,それを反映しております。
 また,28ページの二つ目の丸も前回の総会での学校外での多様な力の育成にも目配りが必要という御意見を踏まえ,記載を追加しております。
 続きまして,33ページになります。33ページの,5番目の柱の基盤整備のところの三つ目の丸でございますが,答申(素案)全体にわたり,「教員」という用語を「教師」に改めております。教員の担う重要な職責に対する,社会の理解醸成という観点から,「教師」という語で表記するという趣旨の修正でございます。
 34ページの三つ目の丸でございます。これも前回の総会で,子供の健康について項目を独立させてはどうかという御意見を頂きましたので,項目を独立させて内容も追記しております。
 次に,38ページでございます。この点については,先ほど会長からもお話しいただきましたように,客観的な根拠を重視した教育政策の推進,教育投資の在り方について,計画部会で更に検討を進める予定でおりますので,この点については,今後,記載をさせていただきたいと考えております。
 39ページからでございます。二部構成の第2部になります。
 このページから41ページに掛けてかなり追記をしておりますが,今回の計画の一つの大きな特徴でございます,より客観的に,そしてロジックモデルを活用しながら全体構造等を体系的に整理するということでございますので,目標,指標,施策群という,この構造の考え方をより分かりやすく再整理をして表現をしたところでございます。
 次に,42ページ以降でございますが,ここからは各目標,指標,施策群を,全体21の目標について,それぞれ内容を整理した箇所でございます。
 先ほど申しましたように,測定指標と参考指標につきましては,より直接的に効果的に測定できるものに精選しております。
 それから47ページでございます。47ページにおいては,総会での御意見を踏まえ,養護教諭をはじめとする教職員の資質・能力の向上について記載しております。
 次に,64ページでございます。64ページの,一番下の丸のところですが,これも総会で,地域学校協働活動は生涯学習の推進とも関連するという御意見を頂きましたので,その点について,再掲という形で追加しております。
 次に,69ページでございます。69ページについては,昨年の12月の総会で御紹介しました新しい経済政策パッケージの中で,教育の無償化,負担軽減に関する閣議決定がございましたので,その内容を追記しております。幼児教育,後期中等教育,高等教育について,それぞれ記載しております。
 次に,75ページでございます。75ページについては,昨年12月の総会で御報告させていただきました学校における働き方改革に関する中間まとめの内容について,総会でも御意見を頂いておりましたので,この点を追記しております。
 次に,77ページでございます。こちらも総会での御意見を踏まえて,測定指標について,教師の「ICT活用力」ではなくて,「ICT活用指導力」という形で,表現を修正しております。
 それから82ページでございます。82ページについては,本日,議題(1)でも御報告させていただきました大学分科会将来構想部会での論点整理を踏まえて,高等教育について記載の充実を図っております。教育研究の質向上に向けた基盤の確立ということで,学長のリーダーシップや,外部人材の活用,情報公開などを進めるとしております。また,運営費交付金や私学助成などについて記載しております。
 それから二つ目の丸,高等教育機関の連携・統合等ということで,各地域の将来推計を踏まえた経営戦略の立案,産業界や地方公共団体との連携,国公私立の枠を超えた連携・統合などを記載しております。
 以上が修正の内容ですが,先ほど申しましたように,38ページの「今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点」の,客観的な根拠を重視した教育政策の推進や教育投資の在り方のところでございますが,この点については,引き続き審議をした上で追記をする予定でございます。
 また,実は昨年9月の総会で,学校保健統計の見直しに関する御意見を頂いておりましたが,これについては「客観的な根拠を重視した教育政策の推進」という,今後追記される部分の中で記載をしていきたいと考えております。
 説明は以上でございますが,本日ここの総会の場で,委員の先生方から御意見を頂きまして,さらに3月開催予定の次回の総会において,今後追記する内容も含めて御議論いただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

【北山会長】
 常盤局長,ありがとうございました。
 それでは,ここで30分ほど御意見,質疑の時間を取りたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは,米田委員,お願いします。

【米田委員】
 ありがとうございます。資料2-1の方で,二,三お話し申し上げたいと思います。
 資料2-1の10ページですが,10ページの真ん中に(2)教育をめぐる状況変化とございます。その下に,(子供・若者をめぐる課題)があって,小・中学校のことが書いてあります。実際,後の方を見ていきますと,幼児教育についても,22ページ,24ページ,28ページ等,結構触れておりますので,教育をめぐる現在の状況あるいは課題等に関連して,幼児教育についても,この段階で一旦触れておく必要がないのかどうかということでございます。検討する余地があるかどうか考えていただければと思います。
 それから次に,51ページですが,目標(7)グローバルに活躍する人材の育成のところの測定指標についてです。一つ目のぽつは,英語力についての部分です。それぞれのレベル相当以上達成した中・高生の割合を50%以上にするということになっておりますが,50%以上というのは,第2期の計画において設定した目標だと捉えております。今,現状を見て,その50%のままでいいと考えてそのままに設定しているのか,それとも前の「生徒の英語力向上推進プラン」,これは2年ほど前に文部科学省の方から出されたものですが,ここでは,第3期をにらんで, 60%を目標にという数値が出ています。現状を踏まえてあえて50%にしたのか,それともここは検討した方がいいのか,ということを後でまた考えていただければと思っています。
 それからもう一つ,62ページ,目標(13)であります。障害者の生涯学習の推進について,これは内容については特に修正はないのですが,私は秋田県の教育長として,秋田県として進めていることを踏まえてお話ししますと,障害者学習支援推進室を設けて,国の方では関係の課あるいは厚生労働省とも連携しながら様々な取組を進めているわけですが,このことは大変重要なことであると考えております。
 秋田県でも国のこのような動きを受けて,知事が本部長を務めております県の生涯学習推進本部の下に,障害者のための生涯学習支援連絡協議会を設置しています。これは教育委員会の関係の課だけではなくて,知事部局の方のスポーツ,あるいは文化,あるいは福祉,あるいは労働等に関わるほかの課も入っておりまして,その中でいろいろ話合いを進めている協議会でございます。現在,しっかりした体制作り,そしてまたお互いの連絡調整をより強化すべく,今,進めているところです。
 昨年11月には,秋田県で,市町村の教育委員会の委員長・教育長会議を毎年開いておりますが,その会議におきまして,障害者の生涯学習支援をテーマに,文部科学省の担当室長にもおいでいただき,説明をしていただきました。そして,それを基に意見交換,また,大臣表彰受賞団体の実践事例の紹介も行いました。
 今回のこの取組については,都道府県あるいは市町村の体制整備や一体となった取組が大変重要であると認識しておりますので,このことも強くメッセージとして国からも伝えていただければ有り難いという,これはお願いでございます。
 以上でございます。

【常盤生涯学習政策局長】
 今頂きました,幼児教育について課題認識のところで記すべきではないかという御意見については,その後の記述との関係性も含めて,記載する方向で考えてみたいと思っております。具体的な内容については,またお諮りをさせていただければと思います。
 それから,障害者の生涯学習については,昨年から文部科学省においても体制を整備いたしまして,その中で障害者の方々について,障害のないいわゆる健常者の方と生涯学習に参加する機会において,やはり恵まれていない状況があるのではないかということ。それからもう一つは,いわゆる特別支援学校の高等部までにおいては,ある種,かなりきめ細かく手厚い教育体制がとられておりますが,そこでせっかく身に付けた能力等が,学校を卒業した以降に,なかなか維持,継続,発展する機会が乏しいのではないかという問題意識がございまして,昨年からこのことに注力をしていこうということで取り組んでおります。その内容についても,この計画の中には可能な限り盛り込ませていただいているところでございますが,今御指摘がございましたように,これは文部科学省だけの世界では実は難しいところがございまして,労働政策や福祉政策との関連もございますので,関係の省庁とも協力しながら進めていければと思っております。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 51ページで御指摘いただきました測定指標,英語の部分について,平成28年度英語教育実施状況調査では,高校3年生のうち,英検準2級以上を取得又は相当の英語力を有する生徒の割合が36.4%,また中学3年生のうち,英検3級以上を取得又は相当の英語力を有する生徒の割合が36.1%ということで,50%を目標とした第2期計画を達成していないという現状がございまして,今の段階では引き続き50%という目標を掲げさせていただいておりますが,ここは御議論を是非よろしくお願いします。

【北山会長】
 それでは,帯野委員,お願いします。

【帯野委員】
 ありがとうございます。
 かねてからグローバル人材教育について申し上げたいと思っておりましたので,これを機会に一言申し上げたいと思います。
 今回の資料でいくと,27ページの(グローバルに活躍する人材の育成)に関連してですが,そもそもグローバル人材,グローバル人材教育という言葉が出たのは,私の記憶では2010年,2011年頃ではないかと思うのですが,中央教育審議会においては7期の初めのところに,グローバル人材,「グローバルリーダーの育成」という言葉が出ておりました。リーダーという表現に対していろいろな意見があったところです。それが今回,グローバルに活躍できる人材と表現が変わったのはとても良かったと思っています。ただ,私としては,活躍できる人材というよりは,もう一歩進んで世界の人とともに生き,共に働く,協働共生できる人材のように発展していければ良いと思います。つまり,活躍できる人材とは世界に出ていって活躍するということです。しかし,これだけICT技術が発達して,日本中どこからでも,どの個人でも世界の人とアクセスして世界の人と接触できますので,そういう意味で,もう一歩進んで「協働共生できる人材」というような言葉が良いのかなと考えています。
 そして,そういう人材をどう育てるかということですが,今のグローバル人材教育の一番の問題は,英語教育が中心になっているということです。ここで幾ら言っても,やはり現場は英語教育が中心です。英語教育は重要なものではありますが,英語力は,グローバルという未知の世界への扉を開けるただのキーと考えています。このことを現場の学ぶ人も,学ばせる人も,今後,改めて十分に認識していただきたいと思います。
 もっと大切なのは,未知の世界をどう歩くのかとその力ですが,今回,困難を乗り切る高い精神性,これが盛り込まれたのは非常に良かったと思っています。これも以前から一度申し上げたかったのですが,ビジネスの世界において,私の経験では,グローバルに生きる力というのは戦う力です。戦うという言葉は文教関係では余り好まれない言葉ですが,命懸けで戦う,その中でこそ初めて本当の理解や友情や愛情が生まれて,それはとても尊いことだと思います。戦うという表現は別として,どのようにその戦いを乗り越えるか,そのたくましさを養う教育,そういうものを中心に, 2010年から,ASEANの台頭や,保護主義化など,世界も随分変わりましたので,グローバル教育について,2030年を目標に考え直しても良い時期になっているのではないかと思います。細かな文言については後で連絡したいと思うのですが,この場を借りて,もう一度グローバル教育,グローバル人材を考えていく必要があるとの思いをお伝えさせていただきます。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 志賀委員,お願いします。

【志賀委員】
 今,正解を記憶する教育から,自分で考え,自分で判断し,自分の言葉で表現するという教育に変わってきて,今,グローバル人材の話が出ましたが,これは本当に,正解でないと自分の意見として言えない,なかなか自分の意見を述べない日本人,会議室で聞き役に回って仕事でも脇役に回るという,このサイクルから,やはり自分で考え,自分で判断する,誤っていてもいいからきちんと自分の意見を言える,そういう人材が今の教育が進んでいると思います。それを非常に期待していて,実際にどれぐらい,間違っていても自分の意見として言える子供たちがどれぐらい増えてくるのか,つまり,知識思考,論理思考から創造思考に移っていく,それがどれぐらい増えてくるのかということを知りたいのですが,42ページにある測定指標でも,世界トップレベルを維持ということでは,これはどうしても知識思考しか見えないので,やはり創造思考,自分の言葉で創造したことで評価される子供たち,そういう指標がセットされるといいなと感じました。
 以上です。

【北山会長】
 天笠委員,お願いします。

【天笠委員】
 失礼します。二つ申し上げます。
 42ページから43ページに掛けて,確かな学力の育成という目標が掲げられ,様々な方策が記されているところについてです。その中に就学前から高等教育までの各段階の連携の推進が記されていまして,基本的にこの方向性を私も大切にしたいという立場ですが,その上で,例えばその中には小中一貫教育の充実化,実施も入っていて,基本的にこの方向は進めるべき施策ではないかと認識しておりますが,その際に,どういう条件を整えていくと一層推進するのかについての研究もまたあるといいかなと思っています。例えばこの点に関して言うならば,教職員の免許状の在り方が小中一貫教育推進に果たして現状プラスに働いているのかどうかという辺りは,かなり検討しなければいけないと常々思っております。免許状の在り方についての検討が,この文脈の中で条件整備の在り方として出てくるという記述の仕方もあり得るのではないかと思うのですが,各目標の記述を見ると,目標は記されているのですが,その実現のための手立て,方策,あるいは条件整備等は,記されているような,記されていないような,めり張りというのでしょうか,輪郭がもう一つ見づらいというのが正直なところで,全ての条件面がきれいというのは,なかなか現実に難しいところがあるかと思うのですが,条件整備への言及ということも一つ必要なのではないかということが,まず一つであります。
 それからもう一つは, 58ページのところに,イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成という目標が掲げられて,基本的にこの方向は私も大切だと思うのですが,そういうイノベーティブな人材を育てるには,学校の組織自体がイノベーティブな状態にあるということが実は大切なのです。かたや今,学校の現状は,働き方改革等で既に指摘されるように,ほとんどもう余力を失っているような状況であって,現状,どう復活するか,再生するかということも実は大変重要な課題ではないかと思います。そうすると,この目標群の中に,学校の再生や復活,あるいは余力を取り戻すなどについて,働き方改革の検討などがいろいろなところで言及されていますので,それを集約するような形の一固まりがあってもいいのかなと思いました。
 以上です。

【北山会長】
 生重委員,お願いします。

【生重委員】
 全体にきめ細やかにいろいろなところの領域にまで及んだまとまりになっていると思います。
 77,78ページのICT活用の基盤整備に関連して,先日,私が住んでおります杉並区で,ICT教育の先進事例を紹介したフォーラムを実施いたしました。そのときに私の関係者で北海道のある港のそばの中学校の校長先生が学びのためにいらっしゃいました。感想として,日本の義務教育は平等ではない。施設や,教員の意識,研修・研究ができる体制など,様々なところで,日本中に今,物すごく格差が生まれようとしていることを,本日改めて実感した。教育委員会に物申しに行って働き掛けても,なかなか自分の町では理解を得られないとおっしゃっていました。これが,その情報が全国に行き渡り,なおかつ,文部科学省がずっと言い続けている教科教育とプログラミング的思考などが真に理解されているのかなど,町の予算によってやれることの限界がすごくあるのだなということを実感いたします。愛媛の過疎地に1年間関わらせていただいたときに,7人,9人しかいない小学校で,タブレットを活用した子供たちの学習の可能性が物すごく広がるということを実感いたしました。さらに,障害のあるお子さんたちが,そういうツールを活用することで,学習の範疇(はんちゅう)が広がっていくという様子も何度か拝見させていただいております。教育は平等であるということを是非全国の様々なところに,この基盤整備ということを念頭に置いた形で,日本中の子供たちが享受できるような体制を敷いていただきたい。先生たちの抵抗感などをどう取り除いていくのかということも意識していただきたいと思います。
 もう1点だけ,先ほど,米田委員が,障害者の生涯学習についてお話しされており,全国でもいろいろなところでおやりになっているかとは思うのですが,実は京都市の特別支援の総合支援学校で,卒業した後に,京都市が廃校になった学校にアトリエや画材など様々な材料費を提供して,アートを製作することに興味のある方たちの活動を後押しなさっている。つい先日,宮崎県に行ったら,まだ私は拝見させていただいていないのですが,障害のある方たちの学校を出た後の場作りをしている,これを,全国に是非いろいろなところで普及させていただきたいと思います。

【北山会長】
 室伏委員,お願いします。

【室伏委員】
 ありがとうございます。簡単にお話しさせていただきたいと思います。
 一つは,先ほどお話がありましたが,人生100年時代の到来や,Society5.0の実現といった社会が変容していくといったことが述べられていますが,その中で具体的にどのようなことを推進すべきかということを,もっと明確化しておくことが必要ではないかと思います。
 常に先を見据えて不断の検討を続けていくことが必要であると思っております。第4期基本計画に向けた検討ということではあるのですが,第3期中にも常に見直しをして,必要があれば変更・改善していくといったことを記載していただきたいと思っています。
 ボーダーレス化が進む中で,教育の在り方は変わっていくものでありますし,それを常に考えていないと,日本がこれから世界を牽引(けんいん)するような国として立っていくことは難しくなるのではないかと思います。新しい時代を見据えた次世代の教育の在り方を根本から見直し,新たに創造していくということが求められていると考えておりますので,そういったことを是非この中に記載していただきたいと思っています。
 あと2点,簡単なことを申し上げますが,一つは,24ページから25ページに,子供の健やかな成長のためにということが書かれておりまして,27ページには,異文化理解という記載もあります。これは先ほどお話がありましたように,多様性ということが非常に重要なので,ただ単に多様性を理解する,異文化を理解するということではなくて,やはり多様性を受け入れて互いに尊重し合う,そういった寛容さが必要だということをもう少し書き込んでいただけると,いわゆる差別や偏見を生まれさせない,民主主義や平和,あるいは格差の解消にも結び付くような成果が上げられるのではないかと思っています。
 あともう一つ, 77ページ,それから59ページを見てみますと,ICT利活用のための基盤の整備について書かれております。ICTを活用する能力を身に付ける,スキルの習得ということは非常に細かく書かれているのですが,情報セキュリティの確保ということは,77ページの初等中等教育の箇所にしか書き込まれておりません。これは今,大学やその他のところでも大きな課題になっておりますので,ほかのところにも記載しておいていただけるとよろしいのではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 山野委員,お願いできますか。

【山野委員】
 ありがとうございます。
 3点ほどですが,まず簡単なことで,初めに見え消しが移動したというお話をされたのですが,3ページのところの消された部分は,39ページに行ったのか,どこへ行ったのかなというのが1点です。
 それから2点目は,天笠委員がおっしゃったことと近いのですが,この指標が,私に関係するところで言うと,53ページや,74ページの,ほかの指標もそうなのですが,これは全てアウトカム指標だと思います。プロセス評価,このアウトカムを出すために何をしてきたのかというような指標があればいいのではないかなと思います。例えば,53ページや74ページのところで,学校がどんどん負担になるので,学校にというよりは,自治体として教育と様々な地域人材や福祉関係と連携する仕組みができていった数や,チーム学校のことが書かれている74ページであれば,学校の中にチーム学校という組織が何らかの形でできていった数みたいなことがあって,それができていくことで子供たちの不登校が減るということになっていくと思うので,そのプロセス評価に当たる指標が入れられないのかなと思いました。
 3点目ですが,3点目は,69ページの家庭の経済状況や地理的条件への対応ということで目標が出されているのですが,先ほどのところでも言おうかなと思っていたのですが,高等教育の中で,例えば離島の問題など,先ほど社会人教育の中で御意見が出ていたと思うのですが,地方の全ての子供たちに教育の機会均等という意味では,そこをどうしていくのかということや,地理的条件への記述が余りなかったように思いました。
 それに関連するところで,82ページの持続的な高等教育のシステム構築の指標にも何か関連してくるのかなという思いと,それから,先ほどから出ているここの指標の中に,例えば,本日,チラシを入れさせてもらったのですが,うちの大学で言えば,コラボレーション教育ということをやっていて,分野をまたがって心理や教育や福祉を一緒に教えて,教員実習だけではなく一緒に実習へ行くというようなことも取り組んでいます。そういった大学間連携や,学内の分野連携,企業との連携などを指標に入れる必要はないのかなと思いました。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 今まで何名かの委員から御意見を頂いた中で,例えばグローバルリーダーといった話もございましたが,例えば,第3期においては,「自立,協働,創造」という理念を第2期から引き継いでいます。当然,このコンセプトには,グローバルという観点も含め,あらゆる多様性を受け入れて協働していくといった意味合いも含まれているということを御理解いただければと思います。
 それから,計画の見直しという点に関して申し上げますと,この計画には,まだこれから記載を充実させていく部分があり,そこには,データやエビデンスをしっかり踏まえて,常にPDCAサイクルを回していくことについても記載される予定です。この計画に基づいて,いろいろな施策が講じられたり,中央教育審議会に諮問がなされたりする部分も出てくるかと思うのですが,いずれにしても,そういったPDCAサイクルに乗せていく仕組みについても盛り込まれていく予定ですので,その点も御理解いただきたいと思います。
 また,これは基本計画ですので,文字通り,教育に関する国全体の方針について記載してあります。つまり,それぞれ個別の項目については,中央教育審議会の各分科会や,文部科学省内で詳しく議論されていますが,それらをこうした形で80ページ程度にまとめ,最終的に閣議決定するとなると,大項目しか書けない部分もありますので,例えば指標についても,絞り込むといった作業を行っています。繰り返しになりますが,基本計画としては,個別の論点を包含するような形で大項目を示して,それに基づいて,中央教育審議会などで各論についての議論を行っていくといった構成,性格の計画であるということを御理解いただきたいと思います。
 それでは,村田委員,お願いします。

【村田委員】
 ありがとうございます。私からは1点だけでございます。
 本日,変更点のところで提示していただきました82ページのところの目標(20)持続的な高等教育システムの構築のところに関してでございます。
 ここには,18歳人口の云々(うんぬん)から,経営悪化が懸念されている。それから,「足腰の強い」大学づくりの推進と書いてございます。さらに,一つ目の丸のところでは,大学等の経営力の強化,さらには,多元的な財政基盤の構築,こういったことが基本的な目標かと思うのですが,それに対して連携・統合は,それをやっていく手段であると位置付けられるかと思います。その参考指標が大学間連携に取り組む大学の割合となっており,これでは今申し上げました経営力の強化,あるいは財政基盤の構築等々にはつながらないと思います。恐らくこの上には測定指標が何かあってだと思うので,少しここに書いている目標と参考指標とが合っていないのかなという印象を受けましたので,是非再考いただければと思います。
 以上です。

【北山会長】
 それでは,日比谷委員,お願いします。

【日比谷委員】
 ありがとうございます。
 資料2-1でいきますと,何人かの方から御意見がありました51ページについて,私も2点申し上げたいと思います。
 まず,帯野委員がおっしゃったとおりに,グローバルにリーダーになる,活躍するというときに,語学力はごく一部であるということは,本当にそのとおりですが,しかしながら,重要でないというわけではないと思います。先ほど,英語力について,中学,高校とも,今の段階で30%台とおっしゃいました。引き上げた方がいいという議論の前に,英語教育には,はっきり言って物すごく膨大なエネルギーを使ってきていると思います。にもかかわらず,この状態であるということには,もっと抜本的な検証が必要だと思いますので,目標値を定める前に,なぜうまくいっていないのか,どこが悪いのかということを真剣に考えるべきだということが1点目です。
 それから2点目は,CEFRにつきまして,注を今度入れていただきましたのは大変結構だと思います。この注に書いてあることは100%正しいのですが,ここで非常に大きく抜け落ちているのは,CEFRの理念だと思います。少しお調べになればすぐ分かりますが,複言語主義,複数の言語主義というのが,ヨーロッパそしてCEFRが高く掲げた理想です。ここでは,「英語をはじめとした」という記載になって,「外国語」となっているのはいいとは思うのですが,英語は大事ですが,これほど英語一辺倒でいいかという視点も是非欲しいところだと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
   横倉委員,お願いします。

【横倉委員】
 ありがとうございます。
 昨年の総会で追加要望を2点させていただきました。特に子供の健康や安全を守るための関係者の連携の推進についてしっかり記載していただきたいというお願いをしましたが,今回,明確に記載していただいたと思っております。
 子供の健康と安全を守るための様々な専門職の連携については,地域での職種連携というような視点が,グローバルな世界で活躍する人にも非常に重要になってくることがあろうかと思います。ありがとうございました。
 また,学校保健統計については,今後,計画の中に記載の方向で検討するということでしたので,よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,善本委員,お願いできますか。

【善本委員】
 私からは,質問です。
 文言の中で,教育の「グローバル化」という言葉が「国際化」と書きかえられているのですが,私の理解では,一般的な使われ方としては,この二つの言葉には意味的な違いがあるのかなと思っていますので,もし差し支えなければ,「グローバル化」を「国際化」と変更された理由が分かれば教えていただければ有り難く思います。
 以上です。

【北山会長】
 それでは,今の善本委員の御質問と,山野委員からの,ページ3についての御質問について,事務局からお願いします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 3ページの部分につきましては,もともと審議経過の段階においてその意義を書いたものでございますので,それが今回,答申という形になりましたので,答申にふさわしい形で2ページから3ページに掛けて書かせていただいているところでございます。
 「国際化」,「グローバル化」の用語の使い方につきましては,これは大学分科会の方で,「グローバル」という言葉について,これを「国際」という形で変えていく必要があるのではないかという委員の御指摘がありましたので,それを踏まえての変更ということでございます。

【北山会長】
 伊藤委員,お願いします。

【伊藤委員】
 ありがとうございます。それでは,質問だけさせていただきます。
 二つほどあります。まず,測定指標についてですが,例えば,53ページにございます測定指標,「地域において子育ての悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合の改善」とありますが,こういう指標については,どのように測定をしようと考えられているのかということを一つ質問したいと思います。
 それから,やはり課題が複雑化,困難化すればするほど,複数の主体が連携・協働して取り組むということはとても重要になってくると思うのですが,そのときによくあるのが,うまく連携・協働ができないと,動きが非常に鈍くなっていく。したがって,推進する部署などを明確にしていくことが必要だと思っています。これは地方公共団体における計画においてもその必要があると思っていますが,この計画は計画として,推進する部署,どこがリードしていくかということをどこかに示されるという予定はあるのかどうか,この2点をお願いします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 まず2点目でございますが,これは最終的には答申の後,閣議決定をし,政府全体の計画ということになりますので,内容が非常に多岐にわたっていることから,それぞれについて,例えばここは文部科学省という形で書くことはなかなか難しいということで,1期,2期の計画においてもやっておりませんので,3期の段階でも,今のところ考えておりません。
 また,質問の最初にございました悩みや不安を相談できる人がいる保護者の割合の改善については,文部科学省の委託調査研究でやらせていただいたものが実例としてございまして,こういった調査を引き続きやっていくことを今の段階では考えております。
 以上でございます。

【北山会長】
 では,常盤局長,お願いします。

【常盤生涯学習政策局長】
 推進する部署の話ですが,一つ一つの項目について,これはどこというのはなかなか難しいと思います。閣議決定をしますが,当然,文部科学省が中心になって行いますので,国について言えば,文部科学省が中心となってやることと,それから,関係の部局があれば,明示できるものは明示するということは工夫をしたいと思います。計画の中に書き込めるかどうかは別として,少なくとも実行場面においては取り組みたいと思います。
 また,地方で言えば,教育委員会が当然中心になると思いますが,関係部局の協力も必要になると思いますので,その辺りは計画自体にはなかなか書けないかもしれませんが,周知をするプロセスの中で理解の共有を図っていければと思います。

【北山会長】
 それでは,この基本計画に関しては,ここで終了にしたいと思います。
 本日頂いた御意見も踏まえて,引き続き,計画部会で審議を進め,3月の初めの総会に,答申案を御報告させていただく予定でございます。
 もし追加で御意見,御質問等がございましたら,文部科学省の事務局までお願いします。
 それでは最後に,議題(3)29年度の文部科学省補正予算案,それから30年度の文部科学省の予算案,税制改正について,御説明いただきます。まず,矢野会計課長からお願いします。

【矢野大臣官房会計課長】
 それでは,資料3-1と資料3-2を御用意ください。
 まず,平成29年度補正予算案,本日から参議院で審議がなされておりますが,待機児童解消に向けた認定こども園の施設整備,安全安心な学校施設の整備,あるいはSNSを活用した相談体制の構築等,総額で2,083億円を計上しているところでございます。
 続きまして,資料3-2をお開きください。
 文部科学省の平成30年度の予算については,5兆3,093億円を総額で計上いたしております。
 2ページをお開きください。
 義務教育国庫負担金について,新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革等の対応関連のため,質の高い英語教育を行う専科指導教員の充実,いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化など,合計1,595人の定数改善を行うこととしております。
 3ページをお開きください。
 専門スタッフ・外部人材の拡充について,教員のサポートを担当するスクール・サポート・スタッフ,あるいは中学校における部活動指導員の配置を支援するなど,教員の業務負担軽減に資する施策を推進します。
 また,学校現場における業務の適正化について,統合型校務支援システムの導入の実証研究事業,あるいは,ICTを活用した教員の業務負担軽減にも取り組みます。
 さらに,教育の情報化について,平成32年度から必須となります小学校におけるプログラミング教育が円滑に実施できるよう,良い指導事例の創出・普及に取り組みます。
 続きまして,4ページをお開きください。
 特別支援教育の生涯学習化について,障害者が,学校卒業後も多様な学習活動を行えるための実践研究を実施するということです。
 また,就学前から卒業後にわたる切れ目のない支援体制を構築する地域を支援する事業の拡充,医療的ケアのための看護師について300人の増員を図るなど,引き続き特別支援教育の充実に取り組みます。
 5ページでございます。
 いじめ・不登校対応等の推進については,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置の充実,いじめなど様々な悩みをSNSで相談できる体制の構築を支援します。
 また,高大接続改革の推進について,平成32年度から実施予定の「大学入学共通テスト」を円滑に実施するためのプレテストを実施することといたしております。
 6ページをお開きください。
 国立大学法人の基盤的経費の充実でございますが,前年同額を確保するとともに,地方創生,イノベーション創出等に資する各大学の取組を「3つの重点支援の枠組み」の深化により一層促進します。
 また,国立大学の機能を最大化するため,国立大学経営改革促進事業を新設します。
 私学助成につきましては,私立大学等経常費補助について,教育の質の保証や経営力強化に向けためり張りある配分をするとともに,自らの特色を生かして改革に取り組む大学等を重点的に支援することといたしております。
 7ページをお開きください。
 私立高等学校等経常費助成費等補助についても,教育の質の向上に取り組む学校への支援などを実施いたします。
 また,高等専門学校の基盤的経費でございますが,理工系大学等との共同教育課程など,高専教育の高度化に資する取組や高専教育システムの海外展開と国際化を一体的に推進する取組を重点的に支援することとしております。
 8ページをお開きください。
 Society5.0の実現に向けた教育人材育成の強化と題しまして,人材育成,交流や新たな共同研究の創出が持続的に展開される拠点を形成し,あらゆるセクターを牽引(けんいん)する博士人材を育成する卓越大学院プログラムの創設や,人生100年時代を見据えたリカレント教育を充実し,社会人のための学び直しのための実践的な教育プログラムを充実するなど,人材養成機能を強化してまいります。
 9ページでございます。
 初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材育成でございますが,日本人としてのアイデンティティー,足元を見つめ直すということで,我が国の伝統文化教育に関する調査研究のほか,小学校英語の早期化・教科化に対応する新教材等の整備など小・中・高を通じた英語教育強化事業を実施するとともに,在外教育施設の教員派遣については,派遣教員数を15人増員いたします。
 また,大学等の留学生交流の充実ですが,学部学位取得型の拡充など,日本人の留学生を増やすための取組を実施するほか,優秀な外国人留学生を確保するため,渡日前から帰国後まで一貫したサポート体制を構築いたします。
 10ページをお開きください。
 学びのセーフティネットの構築でございます。
 まず,幼児教育の無償化については,今回の拡充で,年収約270万から360万未満相当の世帯については,第1子の保護者負担を年額で4万8,000円程度軽減することとしております。
 また,高校生への修学支援ですが,高校生等奨学給付金の非課税世帯における第1子の給付額を増額するという措置をとることとしております。
 また,大学等奨学金事業でございますが,給付型奨学金を着実かつ安定的に実施するということ,また,無利子奨学金については,貸与基準を満たす希望者全員への貸与を引き続き着実に実施しております。また,国立大学・私立大学等の授業料減免についても,免除額を拡充しているところでございます。
 11ページをお開きください。
 学校施設等の整備の推進については,29年度補正予算案において,国,公,私立,認定こども園合わせて約1,000億円を計上したところでございますが,30年度予算案につきましても,国,公,私立,認定こども園について,所要の額を確保しております。
 なお,スポーツ予算については12ページ,文化芸術予算については13ページ,科学技術予算については14から16ページに記載されておりますので,時間の都合もございますので,詳細については割愛させていただきます。
 17ページから19ページ,復興庁所管の東日本大震災復興特別会計のうち文部科学省関係部分を記載しておりますが,18ページの幼児児童生徒の心のケアや教育支援等といたしまして,緊急スクールカウンセラー等の活用事業として約900人,被災児童生徒に対する学習支援等のための教職員加配として870人をそれぞれ計上しているところでございます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 続きまして,文部科学関係税制改正要望事項の結果について,岡村政策課長,お願いします。

【岡村大臣官房政策課長】
 御説明をさせていただきます。資料3-3を御覧ください。今年は9件要望させていただきまして,6件が認められました。2ページ目以降でそれぞれについて御説明いたします。
 (1)でございます。日本学生支援機構に対しまして,法人から寄附がございましたときの税制優遇措置でございます。新たに創設しました給付型の奨学金も指定寄附金の対象とすることが認められました。これにより,民間企業等からの寄附を促進し,高等教育段階における教育費負担軽減を更に進めてまいります。
 2番目でございます。公益法人等に現物寄附を行った場合,みなし譲渡所得税の非課税措置を受けるためには,国税庁長官の承認が必要でございますが,国立大学法人や国立研究開発法人などが,この承認を受けやすくなるよう承認の要件を緩和する特例を設けるとともに,既に特例が適用されている学校法人等も含めまして,特例の対象に株式等を追加することが認められました。
 3番目でございます。3ページを御覧ください。たばこ税の引上げについて,紙巻きたばこ1本当たり3円の引上げが認められました。引き続き,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして,厚生労働省とも連携し,たばこのないオリンピックの実現に努めてまいります。
 4番目でございます。2019年のラグビーワールドカップ大会の開催に向けた税制上の所要の措置につきましては,現行制度の運用で対応するということで認められました。引き続き,大会の円滑な運営に向けて,準備等しっかりと努めてまいります。
 4ページを御覧ください。文化の関係2点でございます。
 まず,5番目,美術品・文化財に係る相続税の納税猶予の特例の創設でございます。文化財保護法の改正を前提にいたしまして,改正法に基づく保存活用計画の認定を受けて,美術館に寄託して公開された美術品については,相続税の納税を猶予する特例の創設が認められました。
 最後,6番目でございます。障害者に対応してバリアフリー対策を行う劇場・音楽堂等に対し,固定資産税等を3分の1減額する特例の創設が認められました。国民の方々が,年齢や障害の有無に関わらず,文化芸術に親しむ機会の整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 本日の議事はこれで終了でございます。
 次回の日程は,3月2日水曜日,10時からを予定しております。よろしくお願いいたします。
 以上で,本日は終了でございます。ありがとうございました。

―了―

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生涯学習政策局政策課

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