中央教育審議会と教育再生実行会議との意見交換会 議事録

1.日時

平成27年5月26日(火曜日)17時40分~19時30分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 中央教育審議会における今後の審議等及び教育再生実行会議の審議状況についての意見交換

4.出席者

委員

(●中央教育審議会)
 北山会長、小川副会長、河田副会長、明石委員、尾上委員、小原委員、帯野委員、亀山委員、菊川委員、五神委員、櫻井委員、志賀委員、篠原委員、竹宮委員、田中委員、田邉委員、永田委員、中根委員、羽入委員、林委員、坂東委員、福田委員、牧野委員
(○教育再生実行会議)
 鎌田座長、佃副座長、漆委員、大竹委員、川合委員、佐々木委員、向井委員、八木委員

文部科学省

 下村文部科学大臣、丹羽文部科学副大臣、赤池文部科学大臣政務官、鈴木文部科学大臣補佐官、山中事務次官、他

5.議事録

●北山会長 
  お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 中教審の会長を仰せつかっております北山でございます。
 本日は「中央教育審議会と教育再生実行会議との意見交換会」にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 僣越ではございますが、私、北山が進行をさせていただきます。何とぞ御協力のほどお願い申し上げます。
 本日は、下村大臣、丹羽副大臣、赤池政務官、鈴木補佐官は遅れて御出席いただける予定でございます。
 なお、本日の会議は全体として報道関係者の方に公開となっております。メディアの方から会議の全体についてのカメラ撮影を行いたい旨の申出がありまして、許可しておりますので、その点、御承知おきいただきたいと思います。
 大臣がお来しになったら御挨拶を頂戴しますが、まず、意見交換に当たって教育再生実行会議の鎌田先生から御挨拶並びに資料2の御説明を頂きたいと思います。
 鎌田先生、お願いいたします。

○鎌田座長 
  ただいま御紹介いただきました、教育再生実行会議の座長を務めさせていただいております早稲田大学の鎌田でございます。
 本日は大変お忙しい中、「中央教育審議会と教育再生実行会議との意見交換会」に多数御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 ただいま北山会長から御紹介がありましたように、資料2を使って教育再生実行会議の審議状況について簡単に御説明をさせていただきます。着席して説明することをお許しください。
 まず、1ページ目を御覧ください。教育再生実行会議は、一昨年1月の閣議決定を受けて同月中に第1回会議が開催され、これまで分科会を含めて約50回、全体会を30回、第1分科会を7回、第2分科会を7回、第3分科会を6回にわたりまして審議を重ねてまいりました。
 その間、この資料にございますように七次にわたる提言を取りまとめました。これらの提言を実現するために、中教審におかれましては、委員の皆様の英知を結集し、多面的かつ専門的な御審議を賜り、スピード感を持って逐次の答申を取りまとめていただきました。この場をおかりいたしまして、最大限の謝意と敬意を表させていただきます。
 また、下村大臣を初め、文部科学省の皆様が、中教審の答申に基づいて法改正、制度改正、予算措置などを次々と実現していただいていることに対しましても、重ねてお礼を申し上げます。
 教育再生実行会議は、1ページの真ん中よりちょっと下に記してございますように、昨年9月から新たに三つの分科会を設置して審議を行ってまいりました。最近の審議状況について、ごく簡単に御説明申し上げます。
 2ページを御覧ください。本年3月4日には「『学び続ける』社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育の在り方について」と題する第六次提言を取りまとめました。担当室から中教審の委員の皆様には既に御説明する機会を頂いたと伺っておりますので詳細は省きますが、早速、「全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方」あるいは「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方」につきまして、大臣より中教審に諮問が行われ、審議が開始されたと伺っているところでございます。
 次に4ページでございますが、本年5月14日には「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について」という第七次提言を取りまとめました。これからの時代の変化を見通した上で、そこに生きる人たちに必要とされる資質・能力を示しています。また、アクティブ・ラーニングの推進やICTの活用など教育内容・教育方法の革新、教師にすぐれた人材が集まるように、教師の養成、採用、研修の全般にわたる改革などを提言いたしております。
 中教審におかれましては、既に次期学習指導要領やこれからの学校教育を担う教員の在り方について、熱心な審議が行われているところでありますが、本提言も是非とも今後の審議の参考にしていただければと考えております。
 このように2つの提言がまとまり、現在、教育再生実行会議に残されている当面の審議テーマは、第3分科会の「教育財源など教育行財政の在り方」ということになります。これまで6回にわたってヒアリングを中心に自由討議を積み重ね、先週から審議の取りまとめに入ってきております。お手元の資料の6ページに、これまでの議論を踏まえた論点メモとして簡単に審議状況を記しておりますが、それについて若干の補足をさせていただきたいと思います。
 まず「1.教育投資の必要性」につきましては、教育投資によって少子化の改善が図られる。また、個人については将来的な収入の増加が見込まれますが、これによって税収の増加という公的利益ももたらされる。あるいは経済の成長という効果も期待できるといった議論。さらに、長期的に見れば、社会保障費などの財政支出の削減が教育投資を上回る効果も期待できるという御指摘も頂いているところでございます。
 「2.今後実施すべき具体的施策」に関しましては、これまで七次にわたる提言で様々な改革案を提言させていただいているところでございますが、これらを実現するためには、それぞれ教育投資の拡充が必要となるわけでございます。そういった教育投資の優先順位というようなものも考慮しなければいけないだろうということで、多くの委員からは、幼児教育の無償化や高等教育の教育費負担軽減の優先順位が高いという意見が出されております。
 「3.財源確保のための方策」につきましては、教育に対する公的な資金をもっと投入すべきであるということが一般的には言えるわけでございます。しかし、現在の財政状況を考えるならば、文部科学省の予算を含めて歳出の見直しも併せて議論しなければ、一方的に増額だけを要求するのも説得力がないだろうという御指摘がございます。あわせて、公的な教育投資だけでなく、民間からの寄附であるとか、あるいは受託研究を増やしていくといった民間資金の受入れの拡充も重要な課題とされるべきであるという指摘がございます。また、何らかの形で国民に対して御負担をお願いする場合の方策といたしましては、所得課税の控除の見直し、あるいは今後生ずるかもしれない消費税の更なる見直しの際には、教育経費をその税収の使途として明確に位置づけることも検討すべきであるといった御指摘がございます。また、一般に教育投資が盛んな国では租税負担率も高いということについての認識を、幅広く持っていただけるようにすべきであるという御意見も出されているところでございます。
 4番目に、そういったことも含めて国民の理解を醸成することが非常に重要なテーマになるという御指摘のあるところです。
 第3分科会におきましては、これから提言の取りまとめの審議に入ってまいりますが、これらの論点につきましては、中教審の皆様の忌憚のない御意見をいただければ、大いにそれらを参考にしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、ただいま御説明申し上げた点も含めまして、今後の教育課題について、更にこのような点について議論を深めるべきであるというような御意見もいただけるならば、教育再生実行会議の委員と中教審の委員との間の共通理解も深まり、円滑な連携につながっていくものと思われますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 少々長くなりましたけれども、教育再生実行会議におけるこれまでの議論と現在の審議状況の概要を御報告申し上げました。

●北山会長 
  鎌田先生、ありがとうございました。
 先ほど、下村大臣、赤池政務官、鈴木補佐官がいらっしゃいましたので、次に、大臣から御挨拶をお願いします。

◎下村大臣  
 教育再生実行会議と中央教育審議会、今回は初めての企画でありますが、意見交換会、大勢の両委員の先生方に御出席いただいたことを感謝申し上げさせていただきたいと思います。
 本日は、それぞれの会議の検討課題について率直かつ直接的に意見交換を行うことによって、教育再生の課題認識を更に深く共有し、今後の審議に生かしていただければと思います。
 教育再生実行会議は、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を実行に移していくための方策を検討するものとして開催され、これまで七次にわたる提言を取りまとめていただきました。中教審は、教育行政の重要な制度改正を中心に審議をしていただいており、その中で、教育再生実行会議の提言についても、提言内容の具体化のための精緻な審議をしていただいているわけでございます。
 先週の定例記者会見で記者から私に対して、教育再生のスピードが速すぎるのではないかとの質問を受けました。私は全くそうは思いませんが、そのような印象を持つ記者がいるとすれば、二つの会議が現在の教育に対する危機感を共有し、スピード感を持って、また、スムーズに連携して精力的に審議して取り組んでいただいている結果ではないかと思います。改めて感謝を申し上げたいと思います。
 これまで両会議では、多くの貴重な提言、答申を取りまとめていただきましたが、その実現を更に加速していくためには、教育財源の確保が大変重要な課題でありまして、先ほど鎌田座長からも話があったと思いますが、第八次提言は、教育再生実行会議に今その取りまとめをしていただいているところでございます。
 一方で、先日、財務省の財政制度等審議会におきまして、教職員の大幅削減の試算が示されました。これは現在の教育制度を前提として機械的に子供の数の減少を当てはめて計算したものにすぎず、私は全くの机上の空論だと思いますが、きょう、ちょっと遅くなりましたのは、今、官邸で経済財政諮問会議が開催されておりまして、私は、我が国の成長のための教育再生、それから、科学技術イノベーション施策の強化ということでプレゼンをしてまいりました。
 きょうの経済財政諮問会議においても、子供の数が減っている、それから、それに沿って統廃合している。ですから当然、教員の数を減らすということが民間有識者の方々からも発言としてありましたし、財務大臣からもありましたが、私は、教育というのは未来に対する先行投資だと、ただの負担、コストではないと。教育へしっかりとした投資をすることをしなければ経済成長もしない。そして、しっかり今、教育に対して投資をするということが、将来の経済成長だけでなく、一方で社会保障や社会治安等の歳出削減にも貢献することであるということを、アメリカのペリー就学前計画で40歳まで追跡調査を行った結果、幼児教育できちんと教育を行うことによって、その後、治安や社会コストそのものの大きな削減にもつながっているというデータや、我が国においては大学生、あるいは大学院生1人当たりの費用便益分析の中で、大学卒業一人当たりの公財政教育支出は254万円かけているが、しかし、結果的にその後、直接本人が得る収入ではなくて、その大学や大学院卒者が社会に対して払う税収、それから、失業等の逸失、失うことがある税収の抑制にもつながる。こういう部分についての便益を計算したところで608万円ぐらいの便益がある。つまり、254万円の税金をかけても、結果的には税金的な形で608万円、2.4倍の社会的効果があるということを考えると、中長期的に見たら、教育というのはまさに日本の活力においてなくてはならないものであるということを、きょうは反論をといいますか、主張してまいりました。
 そういう意味で、きょうの会議においてはフリーディスカッションですから、それぞれ日頃お考えのことについて、是非忌憚のない御意見を出していただければと思いますが、特に本日は教育投資と財源の問題についても御議論をしていただければと思います。これは教育再生実行会議だけでなく、今後、中教審で審議をしていただく予定になっております第3期教育振興基本計画の策定に向けた議論の中でも重要な課題となっているわけでございまして、それぞれのお立場から教育における財源論も含めながら、新しい時代に沿った教育改革をどう進めていくかということで活発な御意見を出していただければ大変有り難いと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

●北山会長 
  下村大臣、ありがとうございました。
 それでは、意見交換の前に、中教審会長である私からも一言御挨拶申し上げます。資料1でございます。
 本日は、この意見交換会に、中教審からは30名のうち23名と、多くの委員が出席しておりますので、活発な意見交換が行われることを期待しております。
 教育改革に対する社会的な関心や期待はますます高まっております。安倍内閣でも、経済再生と並んで教育再生が非常に大きな柱と位置付けられており、中教審と教育再生実行会議には、こうした社会的、国家的な要請に応えるべく、スピード感を持って教育の改革を進めていくことが求められています。
 幸い、下村文科大臣は教育再生担当大臣を兼務しておられ、両会議のメンバーも、鎌田先生や私を含めて数名がオーバーラップしております。中教審と教育再生実行会議において、問題意識や目指すべき方向は軌を一にするものであると理解しておりますので、この両会議が役割分担しつつ相連携することが、スピード感を持って教育改革を実現する鍵だと考えています。
 こうした認識のもとで、資料1でございますが、これまで中教審においては、教育再生実行会議の提言の方向性も踏まえつつ、委員の英知を結集して様々な角度から検討を行い、例えば教育委員会制度の改革や、高大接続改革など、多数の答申を取りまとめてまいりました。
 資料の3枚目に一覧表がございますが、現在は、新しい学習指導要領等の在り方や、チームとしての学校・教職員の在り方、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化、コミュニティ・スクールをはじめとした学校を核とした地域づくりなどにつきまして、審議を行っているところです。
 さらに、今後は第2期教育振興基本計画のフォローアップとともに、平成30年度からの5年間を計画期間とした第3期教育振興基本計画の策定に向けた検討も行っていく予定です。
 こうした中で、先ほど大臣のお話にもございましたが、財政審などでは、少子化見通しを踏まえた機械的な試算に基づき、約4,2000人もの教職員定数を削減するといった議論が出てまいりました。少子化の中にあっても、特別な支援を要する子供たちの増加など、学校現場の課題は複雑化、多層化しています。また、日本の継続的な成長を実現するためには、新しい時代にふさわしい教育を実現するための投資は不可欠です。教育予算の検討に際しては、非常に多忙な学校現場の実情や、人材育成に対する社会的投資の重要性を十分に踏まえた議論をしていただくことを切に望みたいと思います。
 中教審としましては、こうした諸課題につきまして、今後とも教育再生実行会議と相連携しながら、主体的かつスピーディーに審議を進めていきたいと思っております。
 最後になりますが、本日のこの意見交換会を、中教審並びに教育再生実行会議における今後の議論に生かしていくことで、両会議の連携がより効果的になると考えております。皆様の活溌な御議論をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、中教審における今後の審議並びに教育再生実行会議の審議状況に関して、先ほどの鎌田座長の御説明や私からの説明を踏まえて御意見いただきたいと思います。
 その際、大臣からもございましたが、特に教育財源など教育行財政の在り方について、皆様から新しい発想による提案を頂ければと思います。
 本日は30名以上の方がおられますが、皆様全員から御発言いただきたいと思っておりますので、お一人2分程度でお願いいたします。お時間が参りましたら事務局からメモを入れさせていただく場合もございます。
 また、御発言の際には、ネームプレートを立てていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最初に、中教審の副会長をしておられます小川先生からお願いします。

●小川副会長 
  ありがとうございます。
 注文の教育財源などについての新しい発想による発言を期待すると言われたのですが、どうしても私は今、初等中等教育分科会の分科会長として仕事をしておりますので、初等中等教育分科会の分科会長として一言、やはり財政審の問題については発言させていただければと思います。その点は御了承いただければと思います。
 現在、初等中等教育分科会の下にいろいろな部会を設置して、次期学習指導要領の改訂とその改訂の狙いを実現していくために、新しい学校組織体制や教職員の在り方などについて審議を進めています。次期学習指導要領の改訂は、もう皆さん御承知のとおり、次世代を担う子供たちに21世紀型学力を育成するために、アクティブ・ラーニングなどの推進、また、子供の学びや教員の授業、学習指導を大きく変えていくという重要な課題に取り組んでいくものでありまして、私たちとすれば、そうした課題にとって、学校の教職員の組織体制、また、定数の改善の課題は不可分であるという認識のもとで次期学習指導要領の改訂の審議を進めています。
 そういう経緯から、次期学習指導要領の大きな方針を審議している教育課程企画特別部会の第7回の会議が先日5月12日に開催されたわけですが、その教育課程企画特別部会においても、11日の財政審が示した児童生徒数の減少に機械的に対応した教職員定数の削減方針では、これから取り組んでいく新しい教育の実現ができなくなるという非常に強い懸念の意見が多数出されました。
 企画特別部会での意見の詳細については、この後、部会主査の羽入委員が御出席ですので、是非羽入主査から御報告を頂きたいと思うのですが、企画特別部会だけではなくて初等中等教育分科会としても、次期学習指導要領の狙いを実現していくためには、それにふさわしい教職員定数の改善や学校組織体制の構築が不可欠であると認識しております。
 教育再生実行会議が今後予定している教育財政の在り方に関する提言では、教育財源の確保とともに、次期学習指導要領の狙いを実現していくための学校組織体制の構築に関わる教職員定数の改善、配置の見直し等々についても、是非踏み込んだ御検討を頂ければとお願いしたいと思います。
 簡単ですが、分科会長としての教育再生実行会議に対するお願いとさせていただきます。ありがとうございました。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 次は、副会長の河田先生、それから林さん、志賀さん、篠原さんという順番で御発言いただきます。
 では、河田先生、お願いします。

●河田副会長 
  河田です。
 教育再生実行会議は一昨年以来50回開かれたということ、精力的に様々な提言をしていただいていることに敬意を表したいと思います。
 ただ今回は、第八次提言に当たるのでしょうか。財政の問題、教育投資の必要性を論ずるということでありますが、ちょっと遅きに失したのではないか、もっと早くにこの財政問題を取り上げていただければ有り難かった。というのは、国立大学の運営交付金が今年は177億円減っております。私学助成金につきましても約50億円減っているということで、大変な時期かと思いますが、国家の教育支援額は、諸外国に比べて非常に劣っている。よく使われる例で、高等教育費の公財政支出というのがOECD平均は1.1%なのに日本は0.5%で一番駄目であります。台湾は0.95%でありますし、韓国は0.7%、中国ははっきりわかりませんが1.5%を超えている。日本は教育費について、家計の負担が非常に高いということもございますし、奨学金もまだまだ少ないということで、是非これに力を入れていただきたい。
 そして、教育に力を入れるためにはやはりお金が必要だということを声を大に論じていただきたいと心から思っております。是非そういう形で教育再生実行会議から、いい提言をしていただければ有り難いと思っております。
 先ほど、新たな提言を何かしろということでありましたが、私学では、アメリカの中小規模の大学では非営利法人が運営するコモンファンドというものがございます。これをモデルにして、清成忠男先生、法政大学の元総長が理事長になられて大学資産共同運用機構というものが2012年に設立されております。したがって、こういう形で資産運用を安全に、かつ、プロが運営するという方向が市民権を得て、認可され進展していければ、それが私学だけでなくして国公私あわせて、国立大学と公立大学の場合も、うまくそういう資金の運用を非営利の団体ができるような法律的保障ができれば有り難いと考えております。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、林市長、よろしいですか。配付資料がございますね。

●林委員 
  どうもありがとうございます。
 恐縮でございますが、お手元に「横浜市の現状について」という2ページからなる資料をお配りしておりますので、こちらを御覧いただきたいと思います。ちょっと早口になりますが、お許しください。
 財政制度等審議会において、先ほどから話題に出ておりますが、少子化を踏まえた教職員定数の合理化を主張する資料が出されましたが、私ども基礎自治体の教育の現場としては、これは大変なことでございまして、今でも教員が現場で足りない状態で、これ以上減らすというのは大変困ったことでございます。その根拠をざっとお話ししたいと思います。
 まず、表1を御覧ください。学校現場としては相当努力をいたしまして、少子化に向けた学校統合を既にやっております。これは10年間でございますが、小中高、右のほうに合計を書いてございますが、小学校15校、中学校3校、合計18校が統合して減少した学校数です。結果として、10年間で250億円経費削減しておりまして、年間20億円ぐらい財政効果を生んだわけです。
 しかし、グラフ1を御覧ください。実はひとり親の世帯数が年々増加をしております。保護者の方が経済的、時間的に余裕がないために子供に十分関われないような場合には保護者への連絡や家庭訪問は夜間になりますし、教員が学習面のみならず、生活面の支援も行っているような現状です。
 表2を御覧ください。先ほどもお話が出ておりましたが、発達障害に関わる就学・教育相談件数も増加傾向にございます。例えば、授業中に離席して教室を出ていってしまうお子さんを探しに行くなど、学級全体の学習を円滑に進めるのに大変な努力が必要になっているわけです。
 次のページを御覧ください。一番上ですが、表3でございます。横浜市は7万5,000人強の外国人がお住まいで、これはどんどん増加傾向でございまして、日常生活で使う日本語の指導が必要な児童生徒数も当然ながら増加しております。学習する際に使う日本語が習得できていない児童生徒数も合わせると、更に多数となってまいりまして、こうした児童生徒には、授業中の配慮に加えて、別教室で指導を行うことで学力の定着を図っているということがあるわけです。
 表4でございますが、これは横浜市独自の学校だけでは解決困難な課題に対応するための教育、心理、医療、法律等の専門家チームの派遣件数でございます。理不尽な要求などを繰り返す保護者、市民等と学校との課題解決に向けた支援は、この4年間増加しています。専門家チームの派遣に至らないケースもあって、これは非常に厳しいところでございます。こういう状態で教職員は本当に多忙で、その多忙さが多様化しているわけです。
 あとは、日本の学校現場で一番特徴的なのは、部活動やクラブ活動です。そういうものは外国には見られないことです。
 他にも、給食指導であったり、児童生徒の登下校の見守りや地域行事への参画など、非常に忙しいところでございます。
 時間が来ましたので、この表をまた後ほど御覧いただければうれしいと思います。ですから、ここは本当に議論をして、簡単に教職員を減らして合理化するということはとてもできないことだと申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。

●北山会長 
  実態が把握できる貴重な資料をありがとうございました。
 続きまして、志賀委員、篠原委員と続きますのでお願いします。

●志賀委員 
  ありがとうございます。
 経済界の立場でお話をしたいと思うのですが、少子化の中で成長戦略をやっていく、それはGDPを増やしていかなければいけないわけですから、当然一人当たりの生産性を上げていかなければいけない。一人当たりの生産性を上げていくというのは、我々企業もそうですが、教育あるいは人材育成以外にないわけなので、少子化の中で投資額を一定にしてしまうというのは縮小均衡しかないわけで、業績の悪い会社が陥るサイクルですね。つまり、従業員に対して投資をせずにどんどんリストラをして、そして、しぼんでいくという状態です。日本が再興していく上で、もっともっと人に対する投資をしていかなければいけないということだろうと思うのです。
 では、その財源をどうするかですが、やはり私は、卒業された生徒の皆さん方を雇う企業がもっとリターンを上げていくということだろうと思います。今、日本は、これは余り知られていないのですが、例えばマネジャー層になると、シンガポール、タイというアジアの新興国に給料が負けている状態です。あるいは新卒で入ってきても、端数を切りますけれども、高卒だと16万円、大卒で20万円、院卒で22万円、これは数年来ほとんど変わっていないリターンですね。この変わっていないリターンの中で学生の方々はお金を借りたりしながら苦労してやっているわけですから、やはり我々企業側がリターンを上げていくということ、これによって学校を卒業した後に十分な報酬が得られることによって、受益者の方々もお金を負担できるというのが一つ重要なのではないかと思います。
 二つ目は、企業の立場からいいますと、日本はやはり産学連携が少な過ぎる。今もいろいろな新聞に書かれていますように、企業は明らかに開発投資、R&Dの投資を増やしています。自動車のみならず、いろいろな業界が増やしているのですが、そのお金がもっと大学との産学連携ができて大学側の研究と企業の研究が結びつけば、今、税金で負担している研究がもうちょっと結びついてくるところもあるのではないか。ですから、産学連携を強化することによって財源を確保し、それを人材育成に使っていって好循環を生むというのも私は大切なのではないかと思います。

●北山会長 
  ありがとうございました。
 それでは、篠原さん。

●篠原委員 
  私も、福田・麻生内閣のときに教育再生懇談会という組織の委員を務めた経験がございます。その経験からいって、今の実行会議と中教審の関係というのは極めてスムーズに連携する流れができていると私は思っています。これは下村大臣が両方をグリップしているということが一番大きいと思うのですが、ゴルフをやらない人がいたら大変恐縮なのですが、ゴルフで言えば、実行会議にはティーショットを打っていただいて、我々はアプローチとパットできちんとまとめていく。OBだけは是非打たないでほしいと思っていますが、時々セミラフぐらいかなと思うときもありますが、OBにはなっていないのでリカバーができるとういう状況だと思うのです。だから、この連携というのは非常に大事だと思うので、その上に立って2点。
 実行会議というのは一つの省庁だけでは処理し切れないテーマに横串を刺して提言していくというのが大きな役割だろうと思うのです。そういう意味からすると、今、私も注力しているのですが、一つは主権者教育の問題です。これは18歳投票権、18歳選挙権というのが間近に迫ってきていまして、文科省も高校生の副教材を1年生からということで配布するようですが、そういう動きもやりつつ、やはり小中のころから主権者意識をどう養っていくかというところから始めないと、私は効果が余り出てこないのではないかと思っています。小中高の流れをしっかりつくっていく。実行会議で第何次提言に今後なるのか知りませんけれども、是非そういうものも取り上げてほしい。
 それから、こういうものは学校だけではできないのですね。地域や家庭とのコラボによってできる問題です。その意味で、家庭教育という問題も是非真正面から実行会議で取り組んでいただきたいなと。これは、いじめ防止や道徳の「特別の教科」の問題のときに実行会議でも一部取り上げていただいているのですけれども、真正面から家庭教育を取り上げるには至っていません。今、家庭教育の力は随分落ちていると思うのです。ここが担う要素はかなり大きいと思うのです。だから、これをもう一遍、どういうところに問題があり、どうやったら家庭の教育力を向上させることができるのか。これは文科省だけではなかなかできないテーマです。主権者教育も文科省だけではできないテーマです。もしエネルギーが今後にあるならば、そういうテーマを是非取り上げていただきたい。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、次に羽入委員、その後、福田委員と続きます。
 羽入さん、お願いします。

●羽入委員 
  ありがとうございます。
 先ほど、小川副会長にお話いただきましたことに尽きるのですが、企画特別部会の主査をさせていただいている立場から簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 教育財源ということでございます。今、私どもが取り組んでおりますのは、指導要領の根本的な改訂について基本的かつ統合的な議論をしております。その中で教員がどのような活動をしているか。教員には資質の高い人がたくさんいます。そういった資質を十分に生かすということが重要であって、それを妨げることは決してあってはならないと考えております。第七次提言の中には、すぐれた人材が集まる改革が必要だと書いていただいておりますが、実際にいるすぐれた人材がどれだけ生かされるか、その能力を生かすということがまず重要だと思います。
 したがって、そのために、つまり、教育財源を生かすためにも、教員数の減というのはあってはならない、というような議論をしてまいりました。基本的には様々な形での教育のコンテンツの問題、教育の方法論の問題、こういったことを根本的に考えている状況でございます。
 御説明をさせていただきました。ありがとうございます。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 実行会議の皆さんも是非、御発言ください。
 それでは、福田さん。

●福田委員 
  ありがとうございます。
 この場の皆様が義務教育の現場を応援してくださっているようで大変心強く伺っております。確かに子供や保護者のニーズの多様化とか、アクティブ・ラーニングをはじめ、様々な教育の手法の流れ、増加する教育課題、企業や地域、大学との様々な連携等、そういうものがどんどん現場に要求されている中、根本解決と教育の質の確保のためにはどこかで学校制度の在り方とか、学校組織自体の根本改善に向かう必要が出てくるだろうと考えます。そのために、そこを見越してお金をかけるところにはかけないとならないと考えます。いろいろ弊害もあるでしょうが、例えばですが、午前中は学校があって午後は民間とか、行政とかいろいろな関連機関の専門家が責任をもって入るような2部制にする。ですから午前中は学校の教科学習や道徳・特別活動が中心で、午後は、選択制も含めて専門家が指導する外国語やスポーツや芸術教科や教育課題、教育課題には安全教育とか薬物とか情報教育とか消費者教育とか数限りなくありますが、例えばですがそういう分け方で、完全的な分離をして、様々なものの責任を明確にしていくことが必要です。その場合、子供に関わる学校責任は午前中で、午後の部の時間帯は、教員は保護者会や職員会議や研究活動に当てる等、根本的な体制というか構造を改革することを、財源確保ということも含めて考えていくときが来るような気がします。
 教員の大幅削減については現場は悲鳴を上げました。一人当たりの算出は意味がないと思います。ですから、先ほど申し上げたように、教員がますます疲弊をしていって一人が負うものが増えていくのであれば、今、管理職の成り手も本当に少ない中、はっきりとした責任とか管理というものを明確にした組織改編に向けて、かけるべきところにお金をかけていくというか、そのようなところが頂きたいと思います。
 それから、有能な教員がたくさんいると言っていただきましたが、そういう者たちが輝くためには、やはりその裏付けとなる環境整備とか条件設定というものが必要だと思います。どこにかけるかというところを今、考えるときなのではないかと思っています。
 以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 順番が相前後しますが、実行会議の八木先生から挙がりましたので、先にお願いいたします。

○八木委員 
  割って入ったようで恐縮です。先ほど篠原委員から教育再生実行会議の性格についての御指摘があり、私は認識を新たにしたところです。官邸に設置されて、各省庁を横串で刺しているということですね。
 先ほど下村大臣から、教育財源が結果として社会保障費の削減につながっているという御指摘がありました。これはもうデータが出ています。また、林市長から横浜市のいろいろな事例が紹介されたところでもあります。そのように考えますと、教育再生実行会議の第六次提言で、これは別のテーマですが、厚生労働省との協議のテーブルをつくるということを提言いたしました。やはり、各省庁を横串で通して、何を優先順位として上位に置くのかというところが重要になってくると思うのです。そうなってくると、やはり社会保障費との関係で言えば厚労省、あるいは犯罪率も減るということであれば警察関係も視野に入ってくるかと思います。いずれにしても、文部科学省の関係だけですと財源確保のアイデアは限定されると思います。そこで、これは私どもの実行会議として、他の省庁の意見も聞きながら具体的に財源確保の方法を考える必要があるのではないかということです。
 私は、前からこっそり言っているのですが、公の場ではまだ述べたことはないのですが、例えば警察関係で言いますと、パチンコの換金手数料を5%取ることにすれば1兆円確保できる。これは刑法の賭博罪との関係もあるでしょうが、こういったことも含めていろいろな省庁との協議の中でアイデアを出していくということも一つの考えではないかと思っております。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それではお待たせしました。小原先生、帯野先生と続きます。

●小原委員 
  実行会議から新たな科目が提言されております。例えば、小学校の段階では道徳と英語、それから、けさの新聞報道ですが、高等学校も新たな科目が提言されています。その新たな科目というのは、新しい社会に対応するために用意されている科目と理解すると、現在の科目は今の社会に対応しているということになります。そこへ時間割上、新しいものを入れて、更に1週間当たりの総時間数を変えないということは、どこかに無理が出てきます。もし新しい科目を提言するのであれば、それは新陳代謝として何かを捨てて、そこに新たな科目を入れるのか、あるいは現状に加えて新たな科目を入れるのであれば、総時間の枠も併せて提言が必要ではないかと思います。
 実際、私どもでも小学校を抱えていますけれども、新たな英語と道徳をどうやって入れるのか。週25時間の中に入れるというのは、形式上はできますけれども、今後、単なる履修主義から修得主義に変わるときに、時間はやっているけれども何の成果も上がらないというのであれば時間の無駄となります。新しい科目を提言するときは、時間数にも踏み込んで提言をしていただければと思います。
 もう一つ、国際化の流れの中でIB(インターナショナル・バカロレア)が提言されていますけれども、あれは9月始業、6月終業を前提としております。それに対して日本は4月、3月ですから、どうしても半年のずれが出てきます。現在ですと、半年のずれが日本人にとってマイナスとなっています。ですから、もしIBのようなものを提言するのであれば、学年暦、始業の時期に対して学校長に裁量権をいただけると、IB導入も容易に進むのではないかと思います。
 大学は9月入学を打ち上げましたけれども、それは大学の学長に裁量権があるということでやったのですが、そこへ子供たちを送り込む小中高が4月、3月ですから、どうしてもずれがあるということで、結局あの議論は終わってしまいました。もし、小中高もそれに合わせて9月が可能であれば、大学の国際化というものももう少し進んでいくのではないかと思います。
 ですから、新しい提言に対しては、時間枠とか、あるいはもっと基本的な始業、終業の枠も少し踏み込んで提言していただければと思っております。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、帯野さん。その後、田中さん、櫻井さんの順でお願いします。

●帯野委員 
  第七次提言の「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について」というところで、5ページの下のほうに「都道府県・政令指定都市が教員採用選考に当たり活用できる、共同試験の実施を検討」と書かれてあるのに大変興味を持ちました。私としては、教員のレベルを測るという点で一元化した情報が出てくるというのは、大変重要であると思います。
 結果を見ないとわかりませんが、我々が思っているよりも採用時のレベルが低いかもしれない。特に大量採用している大都市圏では、問題があるのかもしれません。そこはまずは現状を分析してからということですが、その上で、我々としてはより多くの、より志の高い人が教員を志望するという環境をつくっていかなければならないわけです。そのためには、例えば給与の改定もありますけれども、それよりも、教員を目指す人が高度専門職業人として、仕事に対する誇りを持てる環境をつくっていくことが必要であると思います。そしてそれはすなわち生涯教師自身が学び続けられる環境づくり、研修であると思うのです。
 この際、初任者研修であるとか、10年研修であるとか、教員免許更新時の講習であるとか、こういう限定的な法定研修というものを考え直して、この提言にもございますが、教員一人一人が生涯研さんを続けられるような教師教育制度というものにドラスチックに考え直してみてはどうでしょうか。
 具体的には、例えば教育委員会が地域の教員養成系の大学と協力をして、時間的な問題を解決するためにICTによる教育であるとか、英語で申しますとアクティブ・ラーニングを取り入れるための今までと違う高度な英語の運用能力の育成法が要りますし、また、かなり英語を取り巻く環境も変わっていて、今や英語を話す世界人口の5%がネーティブ・スピーカーということでありますので、ノンネーティブの教授法を学ぶような専門職の研修と、それから一人一人、算数、国語、理科、社会、英語の専門の、自分の専門性を高められるような個別学習、こういったものを組み合わせたような研修制度を開発する、といったことが考えられます。
 また、何よりもインセンティブです。これも地域の大学と協力をすることによって、その評価を給与に反映するというのが一番即決したインセンティブであると思いますが、それが難しければ、せめて単位取得による検定制度であるとか、こういったものを一例として、地方の教育委員会がそういう知恵を絞れるような環境。そのためには、まずは国として制度をつくる、そのための予算を獲得するということが大切ですので、教育再生実行会議では今後とも研修に対する予算の必要性を力強く訴えていただきたいと思いますし、その中身については中教審でもいろいろ考えていかなければならないと考えております。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、田中さん。

●田中委員 
  ありがとうございます。
 私、地教委の立場から3点ほどお話をさせていただきたいと思います。
 1点目は、授業づくりについてであります。現在の知識基盤社会にあって、思考力、判断力、表現力等の育成に重点を置いた授業づくりの推進というのは大変重要であると受けとめております。その際、教科の壁といいましょうか、専門性が高い中学あるいは高校の授業改革については、一つは教科という縦串に対して横串としてアクティブ・ラーニングを通すという、いわゆるカリキュラムのマネジメントの発想、二つ目は、教科の壁を超えて、教員集団を動かす組織のマネジメントの発想。この二つの発想が大変大事であると考えております。この二つの発想を校長から教員に至るまで浸透させる仕組みづくりというのが改革の成否を握っているのではないかと受けとめているところであります。
 大きな二つ目でありますが、地域とともにある学校づくり。いわゆるコミュニティ・スクールであります。本市におきましては、市川なのですけれども、過去40年間にわたりまして、市独自の市川版のコミュニティ・スクール事業というものを今日まで展開してきております。根底にある哲学は、国と同様、「地域とともにある学校づくり」であります。また、国のコミュニティ・スクールの導入のネックになっておりますのが、教員人事への意見申出の扱いにあると承知をしているところであります。
 したがって、コミュニティ・スクールの全国化をめぐっては、一つは、本市、市川のような、国の制度と類似した独自の取組をどのように扱うかという点。いま一つは、教員人事への意見申出についてどう扱っていくかという点。この2点の扱いが本件に係る検討の論点になってくるのではないかと考えております。
 最後、3点目でありますが、チームとしての学校づくりについて触れさせていただきたいと思います。いじめや不登校など、学校の教育課題が複雑、多様化する中にあって、教員と教員以外の専門スタッフの質と数の充実を通してチームとしての学校力の発揮を目指すという発想、考えは極めて重要であると認識しております。あわせまして、新たな授業づくりを支えるICT機器の整備といった物的な条件整備もまた必要であると考えているところです。そういうようなことを考えますと、財源確保というのは避けて通れないということだと思っております。
 時間が来たので、以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 櫻井さん、お待たせしました。その次は、坂東先生、牧野先生と続きます。

●櫻井委員 
  まず、教育にどれだけのお金がかかるかということですが、日本は世界第3の経済大国でありながら、教育費に使うお金が非常に少ないのは大変恥ずかしいことだと思います。
 八木先生、志賀さん、いろんな方が企業の立場から、若しくは各省庁を横串にした視点から提案なさいました。私は、これを政府全体として、財務省に何が一番大事なのかということをお伝えすることが大事だと思います。また、私、日本人が善意があるのに寄附をすることが余りないということにずっと前から問題意識を持っています。教育のための寄附を無税にする形で、是非国民の未来へのファンドをつくって活用できないか。税制から取り組んでいただくのが大事だと思います。アメリカの大学、ハーバードなどでは兆円単位のお金を寄附で頂いています。ここに東京大学の総長がおられます。東京大学がどのくらいお持ちかわかりませんが、民間の善意を日本の未来のために集める英知を絞っていただきたいと思います。
 もう一つ、そのかわりに、ここで大学の数の話をしてもしようがないわけですが、日本には多くの大学がありすぎて、学生の定員が足りなくてかき集める大学もたくさんあるわけです。お金をきちんと手当てするという前提条件の一つとして、大学の質の問題をもう少し焦点を当てて考えていただきたいと思います。
 また、小中学校などで子供たちの教育をする教師の人材です。これは現場で先生方頑張っておられて優秀な方がたくさんいらっしゃるということも重々承知しておりますが、昔のような本当に教育に愛を込めて、命を込めてというような方が少なくなったということもその反面伺っております。教師の質をどうやって高めていくかということです。昔の師範大学みたいなものが必要なのではないかと思います。この頃は普通の一般課程を出て教師課程をとると教師になれるわけです。やはり教育は特別の職業です。そこの位置付けと内容をきちんとしていくことも大事だと思います。
 第3点は、この場で何回も申し上げたことですが、私も篠原さんと同じで、やはり家庭教育がすごく大事だと思っているのです。家庭教育、それから親の教育をどうしてやっていくのかということも是非もっと取り上げていってほしいと思っております。
 以上です。時間をオーバーいたしましてすみません。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 坂東先生、お待たせしました。

●坂東委員 
  ありがとうございます。
 私も皆様のおっしゃったように、財政的な投入は将来への投資として非常に必要だと思いますが、やはりそれを実現するためには、皆さんに、国民一般の方たちに教育に対する信頼を高めていただかなければいけないのではないかと思います。残念ながら、今の日本は、入学の国であって、卒業の国ではないというように思っております。入学については、いろいろ皆さん御議論なさいまして、いい人をとろうと工夫をなさいますが、卒業については、入った以上は卒業させなければならないということで、その期間でしっかりとした人間力あるいは学力、そうした指導も十分に行われているのか。教育の部分を十分に評価される、信頼されるということをもっと一般の方たちにアピールする。そのためには、これだけのコストがかかるということを理解していただかなければならないのではないかなと思います。  例えば小中教育の場面でも子供たちにしっかりとした、本当にいい学力をつけてもらう、本当にいろいろな意味での人間力を高めるためには、教員にしっかり仕事をしてもらわなければならないわけですが、先ほどもいろんな方がおっしゃっているように、教員には教育以外の業務負担が今大変重くかかっている。OECDの調査でも、日本の教員が一番教育以外の業務負担や時間が多いというデータが出ておりますが、そのためにはサポートする職員、部活を指導する専門家、チーム教育ということもおっしゃいましたが、そのためのコストを払っても教員にしっかり子供たちを教育してもらうことが必要なのですよという説得が必要なのではないかなと思います。
 また、高等教育に関しましても、日本の高等教育進学率はOECD諸国の中ではむしろ低いほうです。大学の進学が18歳の時点でだけではなく、もっと年齢の高い人たちも大学で学ぶということがほかの国ではより一般的に行われている。日本ではそれが非常に少ないのは、親の負担によってのみ教育費の負担が可能になる程度の高い個人負担が必要とされるということで、我々の大学でも貸与型ではなく給付型の奨学金に対する需要が増えておりますが、なかなかそれに応えられないというのが実情です。
 是非個人の寄附だけではなく、企業、法人の免税措置あるいは個人の成人が大学に来る場合には、その教育費は所得税から控除するというような形で、補助金を増やすだけではなしにいろいろな形で教育のコストを社会全体でサポートするということが必要だと思います。その前提としては、是非教育の効果が国民一般の方たちに認めていただくような働きかけというのが必要かと思います。
 どうもありがとうございます。

●北山会長 
 それでは、牧野委員、その後、中根委員、菊川委員、そして向井委員の順でお願いします。

●牧野委員 
  牧野でございます。
 ちょうどこれまで出された御意見と非常に似ているのですが、我々企業側からすれば、幾らでも寄附をできると思うのです。そうなれば多くの問題は解消されるでしょうし、いうならば企業は大学から多くの人材を採用するわけです。今、企業が採用にかけるコストの内訳として、社名を挙げて恐縮ですが例えばリクルートなど人材サービスに関わる会社に多くのお金を払っているわけです。であればその分の費用を、仮に奨学金としてでも活用いただけるのなら、企業としてネガティブに捉える理由はないと思うのです。優秀な人材を育てるためにお金が生かされるのであれば、それが奨学金という形になるのか、大学への寄附になるのか、又は高校への寄附になろうと、我々が何かを申し上げるところではございません。あるいは、例えば高校生においては、企業がインターンシップで夏休みの1週間ないし2週間の間に受け入れて、その中で奨学金を差し上げるということもできると考えています。
 企業の立場として考慮いただきたいのは、審議の中でも何度か出てくる「大学というのは研究機関であり、知識を授けた上で研究に専念してもらうところなのだ」というお話です。そうあるべきは理解するものの、大学卒業後に専門課程の道そのままに進む人はどれほどいるでしょうか。将来社会に出て働くことを見据えた上での講義が設けられ、学ぶべきことを学べる。社会で働くときには何が求められるかということを大学や高校で教えられるようにするためにも、我々は積極的に寄附をしていきたいと思いますし、これは多くの産業界の、特に新興系の産業界が投資を惜しむことはないと私は思います。
 以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 中根先生、お願いします。

●中根委員 
  中根です。ありがとうございます。
 議論をマクロに詰めていくと、教育に惜しみない投資をする国、日本をどうやってつくっていくのかという議論だと思うのです。今年はアイザック・ニュートンが万有引力を発見して350周年目になります。アイザック・ニュートンは3歳のときに両親の愛を失い、その後、おばさんに育てられ、ケンブリッジに入って先生に出会って、22歳で万有引力を発見したのです。これは約20年。日本でも小学校から博士まで行きますと21年。結局、教育の投資というのは投資ではないのだと。相手が人間なので、できる子もいるし、できなくなる子もいるし、大化けする子もいる。やってみないとわからないのだと。アイザック・ニュートンは、初等教育、中等教育があってこそケンブリッジに入れた。だから、グレードスクールありがとうということなのです。ですから、グレードスクールもなければいけないし、その高等教育もなければいけないということなのです。継続して教育にどういうように投資をしていく国を築くのかということであります。
 私が22年勤めましたアメリカの会社では、リサーチ。リサーチというのは、研究は教育によく似ているのです。リサーチに対して利益からお金を配分しないのです。売上げの何%をタックスすると我々は言っていたのですが、タックスなのです。それは成功するかどうかわからないものに対してお金を出すわけですから、ROIなどは計算できない。そこで、財源をどうするか。徹底的に市場原理にして、駄目な者はいなくなるというアメリカ型の市場原理の中でいい研究、いい教育に対して資源を集めるか、若しくは日本型で、やはり世界で一番幸せな生活を送れる国、日本。その中で教育にだけは惜しみない投資をするということにするか。
 私が住んでおりましたテキサスでは、家を買い、土地を買いますと、固定資産税の一部が自動的にエデュケーションタックスと言われまして、そこにお金が行きます。これが一つのアイデアでございます。近くにある小学校の校長先生が私にありがとうと言ってくれました。これが市民との関係だと思います。
 もう一つの提案は、最近はIPOでございますので、エクイティータックスというのを入れたら、先ほどお話がありました何兆円というのは、世の中の金持ちはみんなエクイティーで金持ちなのです。ですから、IPOをして成功した。一生懸命汗を流してもうけたプロフィットから幾らではないのです。市場評価を得て膨らんだエクイティーの何%をエデュケーションタックスとしてずっと提供してくれということであります。
 ありがとうございます。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、菊川委員、お願いします。

●菊川委員 
  学校教育の議論が続いておりますが、生涯学習の観点から1点です。
 社会保障費の伸びが高齢者を中心に課題となっておりますが、子供や青年に頑張れと言うのであれば、高齢者にもやはり頑張れと言わないといけないのではないかと思っております。現行の教育計画の三つの考えは、自立、創造、協働でございます。生涯学習はよく生きがいの学習と言われますが、今、生きがいの学習から生き残りのための学習に変わってきていると思います。健康寿命を延ばすための学習・交流活動の機能をもっと国民の間に見える形にして位置付けて、こういう高齢化の問題が厚生労働省だけではなく、文部科学省においても学習機能、交流機能を育て保障する環境をつくるというとこで高齢者の社会教育費の伸びを減らしていくということを正面から考えるといいのではないかと思っております。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 次は、向井先生、その後、尾上さん、五神先生と続きます。

○向井委員 
  財源という観点から2点、話したいと思います。
 1点目は国民の負担をどうするかという観点。これは意識改革の観点と税金の観点。2点目は問題意識を含めて社会の仕組みを変えていくべきという観点です。
 1点目ですが、教育は未来投資であるという概念を国民皆が共有し、人材育成の財源を持続的に確保する努力をするべきと思います。「国民が国の宝なので、教育に関して税金を払うことは国民としての貢献である」という認識をしないと、なかなか財源は確保できないと思うのです。私が住んでいたアメリカのヒューストンでは、学校区に住民が直接税金を払う仕組みがあります。この税金は子供がいてもいなくても住民全員が払う義務があり、税金全体の中の比率としても高かったように思います。つまり教育税というような区分です。
 2点目は、社会の仕組みを変えていくということが大事と思います。教育再生実行委員会が第六次、第七次で提言したことは、地域に根づいた全員参加型、そして、時代を生き抜くための教育です。つまり、社会で仕事をしていくための実学の教育が大事であることを社会がより認識し、地域が一体となって共に学び、教え会う仕組みができないかと思うのです。実学で役に立ったことを、それを必要な人たちに伝えていくという仕組みです。「国民一人一人が先生であり、生徒である」という考え方です。一方、実学を学んだ人たちの中から、その知識を学問体系として構築していくために学術自体の面白さを追求し研究をしたり、教育体制を構築するために大学で働く必要性も出てくるわけです。大学教育を含む教育体制にめり張りをつけた仕組みを考えていくべきと思うのです。めり張りの一つとして、例えば、「小・中学校は義務教育。高校・大学は高等教育」という分け方をすれば、小・中学校の義務教育は国民全員が教育を受ける義務と権利があるので税金を使っていく。高校・大学の高等教育は、税金だけでなく、学費や企業と連携した財源を充てていくというような仕組みも一案かと思います。
 林市長の現場の問題点に関する情報は、すごく役に立つと思います。例えば日本に居住する外国人がその地域での生活のために第2外国語として日本語を学ぶ場合ですが、アメリカでは教会やボランティアーの人たちが生活に必要なレベルの英語を教えています。このような仕組みが日本でもできないものでしょうか。また、母子・父子家庭の教育に関する援助は、社会保障費からも援助できないものでしょうか。学校の先生がすべて面倒を見る、つまり、すべて教育費で対応していくのは大変なことと思います。全体像を見て税金を配分していくより良い仕組みを考えるべきと思います。小・中学校の義務教育に関しては、地域ぐるみで親と子を一緒に教育していくということも必要かと。つまり、社会の仕組み、問題意識を国民全員が供して、教育の仕組みを変えていくことが大事かと思います。
 以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 尾上先生、お願いします。

●尾上委員
  財源についてのアイデアは余りございませんが、将来に借金とか負担を残さないようにということだけはお願いしたいと思います。
最近、子供たちと議論する機会が多々ありまして、そこで感じたのは時間が余っているということです。部活もやり、塾もやり、あとは何をしているかというと、スマホ、ゲームにすごく時間を使っているというようなデータが出ています。これから普及もだんだん進み、低学年化していく中で、一つは依存という懸念もありますが、その機能を停止したときのパニックになる状態というのがすごく気になります。
そういった意味では、家庭教育というのが出ていましたが、私たち保護者なり社会がしっかりとした方向性を持っていかなければいけないということから、この六次提言にある65%は大学卒業後、今、存在しない職業に就職するということで、どうしたら子供たちに夢を持たせられるのか、どういう夢を持たせたらいいのかということを考え始めたいと思いました。
 基本的な生活習慣を身につけるということは、当然ながら家庭の役割でもありますが、地域とともに育つという形を行っていかないと、先ほどお示しいただいたデータの中にもありますように、父子家庭、母子家庭というひとり親の家庭が多くなっている中では、地域との関わりというのがすごく大事だと感じております。その中で、優秀な教師を集めるということもそうですが、手本となる大人や社会が優良とならないと、まずそこだけでしっかり教えられてもふだんの行動の方が大事だと思いますので、そこをカバーしていくことで、スマホに依存するということ自体を何とか我々保護者なり社会なりがとめていかないといけないと感じております。
 今後、生活習慣を整えることによって食生活もそうですが、健康であることで病気をしないことにより、社会保障にお金がかからないということと、教育の方にお金を回せるということが実現できるのではないかと思います。是非とも、そういった行動を我々大人がしっかりとしていくということが大事かと感じています。
 以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、五神先生、その次、漆先生、川合先生と続きます。

●五神委員 
  この間、教育再生実行会議あるいは中教審で大学改革については熱心に議論いただきました。これは大学に対する期待が大きいということともに、現在の状況では困るというメッセージだと思っておりまして、28年に第3期中期目標期間が始まるということで、改革プランを具体的に実装するという作業を急ピッチで進めているところです。
 国家財政については、経済再生と歳出抑制の両面が論点になっていると思いますけれども、国家財政の財源は赤字国債に依存しているわけですから、その最大のステークホルダーは未来の納税者である若者であるわけです。我々が日々一緒に研究教育をやっている学生さんたちが20年、30年後にどうなるかということを今一度認識すべきだと思います。それを考えますと、若者にイノベーションを生み出す力をつけさせるために何をやっていくべきかということは極めて大事で、そういう教育改革を急ぐ必要があります。
 例えば文理融合あるいは新興分野でまだ成熟していない分野に出ていくようなことを促すという場をつくるということが大事だと思っています。しかしながら、現在の日本の経済活動の主軸となっている産業活動は、やはり大企業を中心とする製造業です。そこにも我々の卒業生がたくさんいます。私は全世代参加と言っていますが、そこにいる人たちとの人的ネットワークを活用しながら、彼らの活力を倍加していくという作業も大学がやるべきことだと思っています。
 R&Dへの投資が回復してきたという状況ではありますが、それでも日本の企業の外国資本比率が高まる中で長期投資が難しくなったということを企業の方から聞きます。今まででしたら企業の中で人材育成も含めて長期投資ができたものができなくなっているということです。企業の中で基礎研究所や中央研究所を持つことができないのです。それの受皿として、国立大学を中心とする研究大学の役割や責任は大きいと思います。そのためには、これまで企業の中でやってきた研究をもっと大学が受け止めなければならないわけです。東京大学も私が総長に就任してから、産学連携研究の中身を調べてみたのですが、必ずしも十分な受皿になっているとは言えません。産学連携の仕組みについて直すべき点が幾つか明らかになっているので、それを早速やりたいと考えています。
 さらに、もっと長期的な視点で申し上げると、日本は基礎研究や基礎科学力が非常に強いということが重要なポイントですが、これについては、いわゆるデュアルサポートをきちんと続けなければなりません。基盤的なものに対する投資というのは、ともすればばらまきと言われてしまいますが、それに対して基盤的な投資の意義付けをもっと積極的に説明する努力が大学には足りていないと思っています。やはり研究というのは、実際にやってみますと、どこから大化けするものが出るのかわからないものです。そういうものに対してきちっと漏れなく支援をし、それを生み出すようにしていくために基盤的な研究費というものが必要で、そこを強化するということを両輪にしてやっていくことが必要です。そのような三本立てのプランを今実装しようとしておりますので、今までの両会議での議論を生かしていきたいと思っています。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 漆先生、お待たせしました。

○漆委員 
  世界各国の教育事情を見まして、教育費割合が国家予算の20%というような国もある中で、日本の教育投資の低さに非常な危機感を持っております。一方、このような会議に出させていただき、また、教育現場におりまして、せっかくの改革が現場におりますときに既存の仕組みやルールがボトルネックになって理念がおりてこない。又は、手段が目的化されてしまうというようなことを感じております。やはりこういうめったにない大きな改革のときには、現場をよくシミュレーションして、何が起きるかということを考えて実行体制を作っていくことがとても大切だと思います。
 ということで、今後の中教審の審議事項の中から幾つか例をとってお話をさせていただきます。四つあります。
 一つは、学習指導要領の改訂についてです。今回の改革では、少子化の中で一人一人の力を伸ばすということで、アクティブ・ラーニング、ITを使ったアダプティブラーニングなどが推進されます。そういう場合に、指定されたカリキュラムで一定時間、一定の教材で学ぶということ自体に無理があると思います。最大限自由度を広げていただければと思います。
 二つ目は、技術革新の速い例えばIT分野などでは、ルールや公平性にこだわらないことが大切かと思います。例えば教員免許がなくても専門の方が一定時間は教えられる特別免許を超えた制度を作るとか。また、例えば電子黒板は一斉授業にはとてもいいものでしたが、タブレット、一人1台の時代にはアプリの方が効率はいいのです。なので、施設・設備は一部の学校に導入していても、途中から新しい技術が入ってきたら速やかに変えていくことが必要だと思います。
 三つ目に、未履修問題を繰り返さないということを申し上げます。今回、高大接続で大学入試改革と新テストの導入があります。これが中等教育現場では最も混乱が生じるのではとおそれていることです。例えば大学入試にない、新テストの中にもない項目がカリキュラムにあると、同じような問題が起きる可能性もあります。こういうところをよく整合性をとって、改革期の生徒が混乱しないようにすることが大切だと思います。特に大学入試では国公立と私立の大学が足並みをそろえてくれませんと、子供たちはありとあらゆるテストに対応しなければいけないし、受けられる学校が限られてしまうのです。是非ここをお願いいたします。
 最後は、チーム学校についてなのですが、一言で申しますと、校長を経営者にという仕組みでコストカットと教育効果を高めることが望まれると思います。校長の採用、育成、処遇、裁量権、任期など、全て見直し、また、校舎の施設設備の建築費なども校長が一括管理することによって大きな改革ができるのではないかと考えます。
 以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、川合先生、お願いします。

○川合委員 
  委員の先生方から総じて同じ方向のまとまった意見が出てきているように思います。今の教育改革に必要なことは、先ほど大臣からも御説明がありましたけれども、先行投資であり、そのためにはグローバル化や、ダイバーシティなど、これまで日本が得意としていた画一的な教育から離脱せざるをえない事態に直面しています。解決に向けて、教育システムそのもの、学校の組織そのものを変えていく時代が来ています。これが一番大事なところになるかと思います。
 人材に関しては、先ほど来、何人かの先生方から、教職員だけではなく教育現場にいろんな力を入れるためにも、資格の考え方を変えたらどうかという御提案がありました。私も常々、高齢化の社会の中で定年後にまだ大いに活力のある方々をうまく教育の現場に入れるような仕組みができないものかと思っております。私ももうすぐ対象者となる年齢ですので、社会のお役に立てたらなと思っております。それは先ほどの漆先生の御発言と同じところです。
 財政のところでございますが、私も民の力の活用ということを申し上げようと思っておりましたら、大企業の経営者の方々から、「それは簡単である」と御発言いただきました。是非実行に移していただき、国もそれを後押しするキャンペーンを張って進めていただきたい。
 税金から国の財源を元に、奨学金制度を支えることは、国の未来に対して国民全体で均等に負担する考え方であり教育の基本概念として意味があります。また、教育を受ける本人や親の負担を軽減化するという意味では、今年度負担も既存の考え方であり、卒業直後の経済的に余裕のない時期を外して本人が負担する工夫も大事です。更に負担の対象者を広げて、既に過去のこういう施策からたくさんの恩恵を受けた受益者が、ここにもたくさんお座りと思います。過去の受益者で返済免除の扱いを受けていた方も多いと察します。国に貢献するであろう人材を支援してきた制度の良いところを更に継続するには、過去の受益者が積極的に奨学金制度を支えることも大事だと思います。奨学金制度に対して寄附をする文化の醸成が大事だろうと。これは櫻井さんが先ほどおっしゃったとおりでございます。このときのリターンとして、やはり教育の質の保証をやりなさいというのは全くごもっともな意見でございまして、私もそれは大賛成でございます。
 ここから先は大学の教育現場にいる者からの小さいお願いなのですが、今、入学定員のコントロールで学生の教育システムの根本が築かれております。しかし、例えば東京大学に入学した学生が全員すばらしい形で卒業しているでしょうか。大学に入学した学生に対して、卒業までの間に質の保証を大学の手で実現するとなると、入学した学生のうち何割かは残念なことになることを覚悟しなければいけません。現在の入学定員コントロールの考え方から、卒業生の質のコントロールに切りかえていただければ、大学卒業者に対する信頼性という観点では、社会的にお応えができるのではないかと思います。
 まとめますと、教育システムの改革を第一に進める必要があります。入学定員制限から卒業生の質のコントロールへの切替えです。その上で社会の要請に応えていく大学や高校の取り組みを整え、そして、そこに向けて民の力を財源という形で入れていただくということがこれから具体的にやるべきことではないかと思います。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 次は竹宮委員、田邉委員、永田委員と続きます。

●竹宮委員 
  私も大学で学長をしておりまして、資源の問題であるとかというのは考えなければならないところにいるわけなのですが、大学の改革に手をつけておりまして、それをやっていく中で一番問題だなと思ったのは、全ての教職員に私の意思が伝わるシステムがないということなのです。つまり、こういった教育改革をしていても、それが国民に伝わっていない、知らされていない。中教審にも今年から初めて参加させていただいて、どこまでどのような改革がされてきたのかをもちろん資料では読むことができますが、流れとかどういう方向に行こうとしているのかというような総括的なものというのがなくて、なかなかそれを把握しづらい状況にあります。こういったことを広報するものというのはないものだろうかというのが一番気になったところです。
 日本の教育が今どんな状態にあって、昔あった教育とは違ってきているということであるとか、そういうことも親である人たちも余りよくわかっていないのではないか。昔はこうだった、でも、今はこうなっていて、そして、これを変えなければならない。一番難しいのは高速道路とかも同じなのですが、きれいにつくったときはよかったけれども、何年もたつとそれが瓦解するという方向に行きます。瓦解するものを途中で止めて補強しながら、不安定な上に新たなものをビルドしていかなければいけないというのは、単純にビルドアップするよりも、お金もかかるし根気も要ると思うのです。そういったことについても、できるならば広報していって、国民がそのような気持ちになるようにしていけば、例えば業界からの寄附であるとかをもっと得られるようになるのではないか。タックスを導入するというのも賛成ですが、そういった形にうまくつくっていければと思います。広報面で何とかそれを全体にわかってもらえればと思います。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 田邉委員、お願いします。

●田邉委員 
  ありがとうございます。
 私からは2点です。まず、1点目は、子供たちの体力について。そして、2点目は、ユニークな人材をどのように評価するかという点でお話しさせていただきます。
 まず、日本における学校体育の在り方は世界でも高く評価されております。この中で我が国が成長発展していくための教育の充実というところを考えると、それらを受ける子供たちの体力を上げるというのも必要かと思います。体力が上がれば集中する時間も長く保つことができるだろうし、体力の向上が教育効果を上げると考えます。
 それと、子供たちの体力については、幼児期のときから、そして、あと小学校のときから体育の専門の教員が必要ではないかと思っております。体育の専門教員がうまく指導することで、もう少し体力の向上というのも望めるのではないかと思います。
 2点目は、ユニークな人材を評価するという点で、私の専門であるスポーツを見てみますと、これは日米の競技者の比較ということで研究のデータの中で、日本人の競技者は個人の上達と他者の比較の両方を統合してスポーツ場面における達成や成功を判断している傾向にある。一方、アメリカの競技者は、個人の上達と他者の比較の二つの基準を明確にして個人の達成や成功を判断しているということもあります。ですので、今後、ユニークな人材をどのように評価していくのかということでは、評価の仕方も考えていく必要があるかと思います。
 以上です。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、永田先生、お願いします。

●永田委員 
  何とか時間に間に合いました。
 具体的な例を言おうかなと思っていました。最初は、寄附も駄目だ、国の財政も駄目だ、でもお金を何とかしなければいけない。まだ出ていないのは、金融関係かなと思うのです。イギリスがいい例で、入学するときに授業料は要らない。就職してから払うシステムで、授業料はすごく上がりましたけれども、文句があってもそういうことも必要。それはとりもなおさず、大学なり教育なりの質の保証が問われているわけです。ちゃんとしたところに就職できないのを育てていれば貸してもらえない。だから、具体例として、そこにうまくそういうシステムを連動させればいいのではないかと思います。
 一方、大学の先生としては、研究教育は自由なものだと思っていると、今のままではうまくいかないので、何とかお金を増やさなくてはいけない。政府にお願いしたいのは、やはり規制緩和というのが絶対必要だということです。特に、国立大学は収益事業というのは基本的にできないので、これを根本的にまず変えていただかないと闘えない。では、初中教育をどうするか。地方再生も含めて、例えばスポーツクラブなり、ものづくりクラブなり。小学校でも中学校でも使って行うというようなことは、実は現在ただでみんなやっているのです。そうではなくて、それをシステマタイズして、立ち上げにはお金を入れて、その後は自力でやるようなシステムを考えたらどうかと思います。
 それを今度は国でやるとするとどうなるかというと、国で丸ごと教育研究を輸出する。直接お金を相手国は払ってくれなくてもいいのです。なぜかというと、例えば日本型の初中教育を実施できる人を養成して海外に出すと、日本型の初中教育を終えた人が高等教育を受けに日本に戻ってくる。サケが川に戻る、こういうことなので、実際、お金自身は相手の国が払ってくれなかったとしても、大きな社会資本的には回っていて、そういうことでも考えないとうまくいかないかなと思います。とにかく今、考えたのは、頼らないで自走式にやれることをどこか考えていかないといけないのではないかなと思って具体例を言ってみました。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、明石委員、お願いします。

●明石委員 
  時間もありませんから2点だけ。
 1点は、財務省の発想がおかしいということを言いたいのです。財務省が優秀な教員がいれば、学級の規模に関係なく教育はうまくいくと言っているのです。これはとんでもないことなのです。確かに優秀な教員がおればうまくいきますが、人数よりも質の問題と言っていますけれども、やはり質よりも人数なのです。例えば附属小学校、中学校とか有名な私立は先生も優秀だけれども、必ずしも全員が優秀ではないのです。だけれども、成績がいいのは、いい子供が集まっているからなのです。だから、いい子供が集まれば40人でもうまくいくのです。それが普通の公立ではなかなかうまくいかない。家庭の問題、地域の問題があるということを是非財務省の方は頭に入れてほしいというのが1点です。
 2点目は、教育タックスです。例えばきょう田中委員が見えていますけれども、市川では市民税の1%を教育の税金に使っていいですよ、社会教育関係で使っていいですよ、と申告するシステムらしいのです。だから、市民税の何%かを教育に限定して使っていいですよとか、そういう仕組みをつくっていかないと、金のない時代ですから、何とか知恵を絞っていきたい。
 以上。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 それでは、佐々木さん、お待たせしました。

○佐々木委員 
  中教審の委員の先生方のお話をもっとお聞きしたいなと思ったのですが、時間が限られておりますので残念です。教育再生実行会議で議論した内容を基に提言させていただいて、それを受けて制度設計をこんなすばらしい先生方にしていただけるということで、本当に身が引き締まる思いですし、心強く思っています。
 私からは、財源に関して1点だけでございます。教育は投資だという考えの中で、教育の生産性についてのお話がございましたけれども、第七次提言の中に小中学校において習熟度別クラスの導入についての文言をやっと入れていただきました。学力差がある子供たちの中で授業を行うのは、先生にとってやはり難しいと思いますし、子供たちにとっても、授業内容が普通に分かる子もいれば、分からない子もいる、また簡単すぎると感じる子も恐らく出てくる訳で、そんな中で生産性を上げることはもちろんそうですが、同時に一人一人の生徒への教育の質を保証することもなかなか難しいですよね。そういうところから、林委員から横浜市の学校の統廃合の話がありましたが、習熟度別クラスにしようと思えば、ある一定の生徒数が必要になりますから、前向きな意味でどんどん統廃合をしてある一定の規模の学校にして、その中でいい意味でライバル、競争しながら、子供たちがそれぞれの能力や個性を生かしていくということをすべきだと思います。
 統廃合するとしたら、例えば4万人の削減、一人あたり500万円として計算したら2,000億円ぐらいになるわけですから、それをインセンティブの原資としてキープするような形でやるべきですし、あと、民間企業の方々から心強いエールがございましたので、今、企業の調子はいいので、どんどん寄附ですとか社会貢献の一環のような様々な形で、学校や子供たちを応援するように、国民のみなさんの意識を向けさせていくことや、そのようなアクションが大切だと先生方のお話を聞いて思いました。
 以上です。ありがとうございます。

●北山会長 
  ありがとうございます。
 財源以外の問題も含めて、いろいろな御意見を頂戴しましてありがとうございました。
 そろそろ時間ですので、ここまでの中教審、実行会議、双方の意見を踏まえ、大臣から御感想を頂戴できればと思います。お願いします。

◎下村大臣 
  きょうはありがとうございました。
 中教審、そして教育再生実行会議の皆様方から貴重な、主に教育財源を中心にそれぞれのお立場からいろいろなお話がございました。
 是非今後、教育再生実行会議や、あるいは中教審の中で、もう既にいろいろなテーマの中でも議論することになっておりますし、教育財源が中心として教育再生実行会議は議論されるわけでありますが、今の延長線上に日本の未来はないと思います。同じように、教育も今の延長線上に子供たちの未来はないということで、きょうも私は先ほど申し上げましたが、遅刻したのは経済財政諮問会議、きょうは朝、グローバルリサーチカウンシルという国際会議が日本で開催されておりまして、そこで特別講演。それから、経済財政諮問会議で話したこと。つまり、最近どこでも必ず話すことがあります。
 それは、先ほども御発言されておられましたが、これからの未来がどうなるかということの中、これはそれぞれの学者が言われているわけでありますが、今年小学校1年生に入ったアメリカの子供が大学を卒業するころには65%が今は存在していない職業につく。実はこれは楽観的だと思っているのです。逆に言えば、今の65%の職業はなくなる。そのときに変わった今の職業と違う職業は65%、本当に15年か25年、あるかどうかわからない。しかし、間違いなくわかるのは、今の職業の65%は多分なくなっているだろうという視点から考える必要があるのではないかが1点。
 もう一つは、今後10年から20年で、違う学者が言われているわけですが、約47%の仕事が自動化になる可能性がある。コンピュータ、ロボット。これはそのとおりだと思います。ですから、47%の職業がなくなる。重なっている部分もあると思います。
 三人目の学者、2030年までには、週15時間程度働けば済むようになる。これも実は楽観的な言い方でされているのであって、それだけクリエイティブな仕事をすれば週15時間程度かもしれませんが、逆に自分は40時間働きたい、もっと働きたいという人がいればいるほど、逆に失業者が50%を超える。つまり、15時間程度でワーク・ライフ・バランスを社会全体でしていかなければ、これは失業者が社会にあふれる。それはそんな先の話ではなくて、15年か20年後にはアメリカだけの話ではなくて、日本でも同じことがあり得ると思うのです。そのときに、今の教育、これは子供たちだけの話ではなくて、我々も15年か20年後、そのときも年金生活で悠々自適の人は別にして、それ以外の人にとっては人ごとではないと思います。そのときに、通用するような教育というのは何なのかという視点から根本的に考えていく必要があるのではないかと思います。
 きょうは経済財政諮問会議でこれからの時代に必要となる資質、能力、真の学ぶ力として主体的に課題を発見し、解決に導く力を小中高、教育発達段階に応じて学校教育などで、例えばこういう視点で子供の教育を考えているか。あるいは創造的な発想力とか直観力とか、そういうクリエイティブですね。こういう視点で学校教育を今までしていないと思う。するためにどういう教育が必要なのか。他者と協同するためのリーダーシップやチームワーク、これをどんなように個人の力ではなくて教育カリキュラムとか、ディプロマポリシーとか、アドミッションポリシーとか、カリキュラムポリシーとか、こういう中でどう位置付けることが必要なのか。コミュニケーション能力とか豊かな感性、優しさ、思いやり、これも個人に附属する能力ではなくて、教育の中でどういうようにそれを育んでいくのか。多様性を尊重する態度。いずれもこういうような能力が今までのもちろん基礎基本や、あるいは技術的な能力は必要ですけれども、プラスアルファ、こういうこれからの時代に必要な資質、能力を育むために、それぞれ発達段階に応じて教育がどうあるべきかということを考えないと、子供が大人になったときに半分が失業してしまうという社会になりかねない。あるいはそういう子供たちの能力、才能、ある意味では武器ですが、武器を身につけるようなことができないまま社会に送り出すということは、子供を不幸にしてしまうことだと思いますが、それが今、先進諸国共通のテーマとして問われているのではないかと思います。
 特に日本はほかに資源があるわけではありませんから人が一番の宝であるわけで、その宝を国がどう応援するかということは、今の申し上げたようなことは個々の努力では無理ですし、家計でも無理ですし、これは社会制度と、それに伴った財源をきちんと確保して、全ての人たちがチャンス、可能性を提供できるような教育をしっかりやっていくということだと思います。これは教育再生実行会議や中教審の先生方は共通認識として多分すんなりと入る話かと思いますが、今のような話をなかなか経済財政諮問会議で話しても全く通用しないという感じを私は持っていまして、是非、これからそれぞれ発信をしていただきながら、またしっかり提言をしていただきながら、それに合った中教審のいろんな御議論をしていただきながら、それを早くしていかなければ、これは文科省だけの問題ではなくて、この国そのものがもう二度とはい上がれないような、そういうパワーのない、そして、一人一人の国民も未来に対して夢も希望も抱いてもそれが実現もできない、そういう絶望的な社会になってしまうかもしれないターニングポイントに今来ているのではないかと思いますので、きょう貴重な御意見を頂きまして、今後、我々もしっかりそれを把握いたします。また、皆さんもそれぞれの会議の中で、またふだんの中で更に発信をしていただきながらムーブメントをつくっていただきますようにお願い申し上げたと思います。
 ありがとうございます。

●北山会長 
  下村大臣、ありがとうございました。
 本日、いろいろな御意見がありましたが、両会議は共に目的を共有していますので、大臣のお話にもありましたように、この国の未来のために、本日集まった三十数人や、両会議それぞれの分科会などのメンバー全員が、思いを一にして、相連携しながらスピード感を持って教育の改革を進めていきたいと思います。文科省、内閣官房の皆さんには、パイプ役としての役目も引き続きお願いしたいと思います。大臣、きょうはありがとうございました。
 それでは、これで閉会といたします。運営に御協力いただきまして、ありがとうございました。

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