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奉仕活動・体験活動の意義、目的等について |
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奉仕活動や体験活動は、人間社会の仕組みや人間と自然のかかわり、人間とは、自然とは何かについての知識・認識を体験的に深めることと考えれば、社会人として、人間として学ぶべき義務の一つとして捉えることもできる。 |
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体験活動は誰のためではなく自分のためにするもの。人は自分が「世話をする」側にまわることで、活力が生じる。他人に貢献するというかかわりを通して、輝くことができる。こうした体験を子どもも大人もできるように教育の中に新しい仕掛け、仕組みを作らなければならない。 |
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奉仕活動や体験活動を通じて、みんなで地域を支えているという意識を育て、コミュニティを再構築するという視点も重要。 |
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一般的に、ボランティアとは、 自発性、自主性、 公共性、福祉性、 無償性が特色としてあげられ、特に が大切にされている。奉仕活動については 〜 を含むが特に が大切にされている。ニュアンスは人により違いがあるが、奉仕か、ボランティアかという言葉の問題にこだわるより実際の体験を通じて成果をあげていくことの方が重要。 |
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今回の審議を通じて、「新しい公共」のために私生活主義を克服すべきというメッセージを発することは意味がある。ただし、その場合、奉仕活動等への参加者にインセンティブは与えるが、不参加者にペナルティは科さないことが大事。 |
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子どもの体験活動を意味のあるものにするためにも、大人の奉仕活動を重視することが重要。学校教育での取組を社会人までつなげていくことが大事。教員も地域の一員として地域活動に参加すべき。縦割りではなく、関係省庁とも連携して日本全体でのボランティアプロジェクトを推進すべき。 |
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日本の新しい社会を作っていくために、国民一人一人が奉仕活動や体験活動に取り組むことを奨励するような社会的仕組みを作っていくことが重要。活動に直接参加することが基本であるが、それができない場合には、例えば活動の経費を拠出することも一つの方法であっていいという考え方を提言することも重要。 |
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上記のような取組を促進するために、地域の体験活動の推進のための基金を活用するなど、皆が寄付をすることを促進することなども考えられる。 |
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大人が社会的責任を果たすためには、納税するのみならず、地域活動に汗を流すことも必要だという意識を作る必要がある。そのために、社会貢献が目に見える形になるように、例えば、確定申告の際に社会貢献的活動への寄付のリストを記述する欄を必ず設けるなど、税制の面でも意識付けのシステムが必要。
18歳以降の問題については、大人への準備期間として位置付け、活動の幅広いメニューを提示した上で実施することが必要。あわせて、進学や就職の際に評価するなどのインセンティブを明確化すべき。 |
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自分に少し不利になっても大事なことはやるべきだということ、このことに学校、社会、家庭含めた社会全体で取り組むことについての重要性を強調すべき。 |
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民間には地域に密着し、地域に精通した保護司の人たち、子育て援助を行っている更生保護婦人会、BBS(Big
Brothersand Sistersmovement)のボランティアの人たちなど協力できる用意のある人材がすでにたくさんいる。このような人々と連携し、協力することも考えるべき。 |
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ボランティア活動、奉仕活動など色々な言い方があるが、結局は子どもたちにとっては、子どもたちが社会の中で自分はどのような存在か、ということを学ぶための体験学習であり、その意味ではコミュニティ体験学習ということができる。自分が社会の中でどのような存在か、ということを知るためのコミュニティの中での体験の内容としては、ソーシャルサービス体験と産業体験が有意義。 |
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子どもの頃から様々な体験を通して社会性や社会規範意識を身に付けさせるとともに、他人の役に立つということ、自分と公との関係がどのようなものであるかということ、更にそれらを自分で判断する自立した判断力を体系的に育てていくことが重要。 |
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学校内外における様々な体験活動を促進していくための方策について |
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【学校教育としての体験活動の在り方】 |
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教育活動として奉仕活動や体験活動が大きな成果をあげることはすでに実証されており、学校において全ての子どもたちに体験させることが必要。 |
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学校における体験活動は、体験活動のきっかけを与えるとともに、教科の学習等を通じて学んだことを身をもって理解することを重視すべき。 |
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体験活動を通じて、一人一人が人間的に成長したり、将来の生き方や社会のためにできることを考えたりできるよう、教科教育と適切に組み合わせ、体系的に実施していくことが必要。 |
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学校の教育活動の中に体験活動を入れることは大事なことであり、指導計画にきちんと位置付けをした上で、 教科学習のプロセスの中に位置付ける、 総合的な学習の時間の中に位置付ける、 部活動として実施するなどのさまざまな方法が考えられる。教科等の学習と体験活動を分けて、片方が増えれば片方が減るという考え方ではなく、体験活動を教科等の学習にからませていくことが大切であり、「時間がない」という声への回答にもなる。 |
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地域の活動をカリキュラムの中に取り込み、教科等の一環として位置付けて実施することも可能。学校がカリキュラムに基づき、しっかりやっていくのを地域社会がサポートしていくことが大事。また、その場合の活動は、教科等の活動であり、奉仕活動でもあるといった場合もある。 |
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体験から何を得たのか、また、自分が何者なのかを知るための振り返りは、初等中等教育でしっかりとやることが大事。その際、教員に加え、その体験活動に関わってきた外部の関係者の意見や感想等も参考にすることが大切。 |
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学校外活動が単位認定されることとなった場合の評価方法について、子どもによって得るものは異なることや、成果についても将来開花する性質のものであることから、安易に点数で評価することは適当ではなく、例えばグループで何を感じたかを話し合わせるというような形で振り返らせるなど、活動を踏まえた工夫を行うべき。 |
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【学校外の任意の体験活動の在り方】 |
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学校教育での活動と学校外での活動とでは、体験の意義が違う部分があるが、自分の責任で主体的に行動する姿勢を持つ人を育てることが、共通の目標。学校教育において体験活動を重視することとあわせて、学校外での活動の充実を図ることが必要。 |
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活動へのインセンティブが重要であり、高校での単位認定や、入試や就職の際の評価などを促進することが必要。 |
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学校外で任意に行う活動は、教育にとらわれない、自由、自発の活動であり、生の社会の体験をする場であるべき。 |
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自発的に活動先を見つけて活動を行ったことについても社会的に評価するべき。子どもたちがそれぞれ自分の「学習歴」をつくり、積み上げていき、そのファイルである生涯学習パスポートを自分が何者であるかを知るために使ったり、また学校や就職などでの評価にも役立てることも有効。 |
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【子どもの自主性や自発性を育むための工夫・配慮】 |
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「助け合い」は小さいうちから実際に体験することによって身に付いていくもの。まずボランティア体験学習において体験させることを通じて自主性を育てるべき。その際、子どもの興味、関心を引き出し、自発性を高める工夫をする。多様なプログラム開発を行い、選択肢を用意し、動機付けをしていくことが必要。 |
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子どもたちに自発的に何をやりたいかを考えさせるなど活動の企画・立案に参加させたり、自発的に行う活動を支援することが重要。また、活動に当たり、子どもの希望を早い段階から聴取し、学校、地域、行政が連携・調整し、なるべく子どもの希望を取り入れることが重要。 |
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活動を行うにあたって困難に遭遇した際にも、自分達で考え、解決するように指導することが重要。 |
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活動を行うにあたって、子どもの意識を高めるための機会や場を工夫することも有意義。 |
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アメリカのボランティアを表彰する制度のように、地道な取組を表彰し、世の中に知らせていくことも有意義。 |
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【発達段階を踏まえた体系的な指導を行うための工夫・配慮】 |
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各教育レベルごとに、活動の意義や目的を整理した上で、小・中・高それぞれの取組に継続性をもたせ、途中で断絶がないようにすべき。それによって、それぞれの段階に応じたメニューを組むことや地域全体の取組にしていくことが可能となる。 |
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教える側が内容を決めて取り組ませることが有意義な時期と、自主性・能動性を重視すべき時期とがある。小学校中学年程度まではとにかく取り組ませることも有意義だと思うが、思春期以降は自主性を尊重しつつ働きかけていくことが重要。そのためには色々な選択肢を用意することが必要。 |
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活動の期間について、工夫することが必要。連続して5日程度実施した方がよいものもある。 |
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【地域の特色を生かし、地域に根ざした活動にするための工夫・配慮】 |
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学校で全員が体験することを契機として、地域の中の様々な団体や人を掘り起こし、地域に総合的な受け皿を作ることが可能になるのではないか。 |
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学校を単位として、例えば、子どもが地域の高齢者施設のある高齢者の世話を継続的に行っていくという閉じられた親密な関係を体験する中で、自分が頼りにされている感覚やコミュニティの一員という感覚を育むこともできるのではないか。 |
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私立学校に通学している子どもも捉えることを考えると、地域を中心とした推進体制の整備を考えるべき。 |
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異年齢間の交流や、保護者も巻き込んだ活動などに地域ぐるみで取り組むことが重要。 |
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具体の成功事例を集め、それを普及していくことが大事。地域の実験の成功例の積み上げをどのように首都圏など都市部での制度設計に活かすかを考えるべき。 |
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自らの地域がどういうところか、どんな産業で成り立っているのかを知ることは重要。そのためにも、家業や地域産業の手伝いを体験活動の一つとして積極的に位置づけるような工夫も必要。 |
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社会公共施設や、まちの産業を教材にして、総合的な学習の時間の中で学校外で学習することも有意義。社会的な生活の中で嫌なものを見せないのではなく、きちんと教えていくことも必要。 |
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【教員の力量の向上】 |
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体験活動などの実践に当たり、教員の資質の向上が必要。また、教員の中には奉仕活動等を体験したことがない人もいるため、外部の専門的な機関との連携も考えるべき。 |
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体験活動の推進には、まず学校の教員の理解が重要であり、地域の行事に積極的に参加するなど、交流を深め、教員の意識を変えていく必要がある。 |
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現場では、体験活動を通じ子ども自体は変化していくのに、教員はあまり変化していかないという声がある。教員も子どもと一緒に体験すべき。教員も含めた実際の体験の在り方、組立方を考えることが必要。 |
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教員の社会体験研修の機会を拡充することや体験活動の実践に当たって教員の様々な相談に応じることができる体制の整備が必要。 |
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【多様な指導者の確保の在り方】 |
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教育ボランティアの役割が重要。社会の様々な人々が学校に来て、子どもたちがそれらの人に接する中で多くのことを学ぶことができる。地域のマイスター的な人を招いて、指導してもらうことも有意義。 |
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社会の第一線で活躍していた高齢者をはじめ、高い能力を持った多様な人材の教育の場への参画を促進することが重要。教職員定数を活用して学校現場の実情に応じて非常勤講師を採用することが可能となる制度改善も行われたことから、この制度などを活用して地域の人材を社会人特別非常勤講師として積極的に登用すべき。NPOを組織し、例えば退職した中間管理職等そこに登録した人の中から特別非常勤講師を選ぶ、などの仕組みを考えることも有意義。 |
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例えば、県民カレッジ等の修了者について、その学習成果を活用する観点から、体験活動の指導者やコーディネーターとして活用することも考えられる。 |
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【活動を進める際の受け皿づくり】 |
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活動の受け入れ先の開発が必要。学校段階の体験活動は、奉仕というよりも体験学習として、受け入れ側に負担が重い場合がある。その負担をどうするか、検討が必要。 |
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NPOやボランティア団体を育成・充実させ、受け皿とすることが重要。 |
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インターンシップ制度の活用も有意義。 |
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社会福祉分野以外の分野の開発が必要。 |
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アメリカにおいては、公の機関は飛び込みでのボランティアの受入体制が整っていると聞く。日本においても、公的機関でそのような体制を整備する必要がある。また、社会教育施設についても、ボランティアを受け入れ、学習する機会を提供するのも業務の一つであるという考え方にしていく必要がある。 |
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子どもたちには、社会の色々な面を全て見せる必要があり、例えば、様々な民間の事業体が子どもに体験活動をさせるための事業を始める、NPOが子どもに体験学習をさせる事業を始める、行政が色々企画立案する、等様々な分野で受け皿があっていい。 |
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都市部では、経済団体が非常に熱心。協力してくれる企業、NPOをリスト化して小・中学校に紹介すればかなりのサポートになる。 |
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都市部では学校の余裕教室を高齢者の活動に提供しており、学校内で自然に交流できる環境がすでにできている。また、大都市では、一人暮らしの高齢者や、夫婦だけの家に子どもが定期的に訪問するなどの活動も広まっている。 |
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【活動時の安全確保】 |
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活動を実施する際には、事故に備えての保険などの対応が必要。 |
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【学校・家庭・地域・行政の連携による推進体制づくり】 |
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知事部局と教育委員会をはじめ行政部内での積極的な連携が必要。 |
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学校と教育委員会、社会福祉協議会等関係団体との密接な連携が重要。 |
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グローバル化が進む中で、企業には社会貢献に対する意識が強くなってきており、資金を出すだけでなく、ボランティア休暇を制度化するなど、様々な方法でかかわるようになっている。人々が能動的に社会とかかわり、生涯学び続けていくことは、企業にとっても重要なことで、その取組を促進することが必要。 |
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全ての学校の全ての子どもを受け入れてもらうためには各学校の教員の力だけでは困難。受入先と派遣のマッチングなどについて、地域の教員を含め皆で調整を行う作業が必要になる。これにはかなり専門的な力が必要であり、大きな課題。 |
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地域に指導者の人材バンクやサポートセンターを作り、小・中・高、団体、企業間のコーディネートを推進すべき。また、子どもたちの自発的な活動を教育委員会などのレベルでもフォローすることが必要。 |
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今後、学校と地域との連携を考える際は、必要に応じ受け皿となる組織を新たに地域に作るなどしながら、学校の教員もそこに参加するような形で関わるのがよいのではないか。また、学校には地域と継続的に連携するための担当者が必要。 |
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受け入れ側、送り出し側双方にコーディネーターを置くことが必要。 |
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プログラムづくりやコーディネーターの養成が大事。全部の学校で取り組むとなると地域の中で受入先の開発が必要。できるだけ多くの人に協力してもらえる仕組みを作るべき。いい体験はできるだけ小グループで行うことが大切。 |
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ウェブ上にマッチングするためのエリア別、種類別の情報サイトを作るなど、学校と地域との連携や活動のハウツーを提供できる仕組みが必要。 |
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【財政的な支援の必要性】 |
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現在、小学校から中学校まで1100万人の子どもたちがおり、この子たち一人一人が充実した体験活動を行うことができるような予算の手当が必要。 |
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活動を行う上では、必要経費、保険、謝金等必要な経費を確保する必要がある。 |
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学校内外における奉仕活動・体験活動を円滑に実施していくためには、実際の活動だけでなく、学校や地域の連携のための体制づくりについても財政的な裏付けが必要。 |
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アメリカではインターンシップに熱心に取り組む学校には多額の補助金を出したり、インターンシップの最大の雇用者は連邦政府であるなど、行政の関与が大きい。日本においても、パブリックセクターがもっと乗り出すべきではないか。 |