「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議(平成27年度)(第1回) 議事要旨

1.日時

平成27年5月25日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館 1320共用会議室

3.出席者

委員

大泉委員、桐淵委員、児玉委員、酒井委員住友委員、
園部委員、美谷島委員、望月委員、山中委員、渡邉委員

文部科学省

和田学校健康教育課長、髙井課長補佐、吉門安全教育調査官 他

4.議事要旨

(1)開会に当たり学校健康教育課長より挨拶を行った。

課長挨拶
文部科学省としては、事故そのものの防止に努めることはもちろんだが、事故の起こってしまった後の対応についてもより一層の充実に資するため、
昨年度とりまとめた実態調査結果や委員の皆様の御意見を踏まえ、今後留意すべき対応策等について、指針を取りまとめていきたい。

(2)議事に先立ち、委員紹介及び座長の選任が行われ、委員が座長に選任された。

(3)座長冒頭発言
 昨年に引き続き座長を務めさせていただく。昨年一年間は、非常に重要な仕事として、調査、ヒアリング、そして皆さんからの意見を頂戴したが、
今年はそれらを踏まえ、今年度末に向けて取り組むべき指針、方向性を出して行きたいと思っている。良い成果を上げたいと考えているので、皆さんの御協力をお願いしたい。

(4)事務局より、参考資料について紹介し、いじめや自殺対策として作成された、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改定版)」や
 「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」も参考にしながら、事故対応の指針について考えていきたいことを説明した。

(5)事務局より、本有識者会議の設置について、設置要綱を基に説明した。

(6)望月委員より、第三者検証委員会の在り方について、良い事例の報告書3例を紹介しながら説明を行い、委員から意見・質問が出された。

【委員】
 5点質問というか意見というか話をしたい。
1)紹介された事例では、なぜ積極的に調査に協力してくれたのか。
2)調査の結果について、被害者やその家族にどのように説明されたのか。
3)報告書はどういう形で共有されていくのか。

4)重い後遺症が残った場合、相当長期に渡りケアが必要になってくるが、この事例の家族についてはその後どうなっているか。
5)今回の事例はいずれも学校以外の事故だが、学校事故と学校以外の事故では、調査の進め方で何か違いはあるのか。

【委員】
学校で起きた事故の報告もいくつかは手元にあるが、合格点がつく報告書はなかったので、今日は紹介できていない。
事故後の対応については、長の性格や個性によるところが大きかったのではないかと思う。
報告については、プライバシーの問題もあるので、事故例として報告するときには、匿名化したり、
時間を経て、どこのいつの事故か分からないようにしたりするとかいろいろ配慮して慎重にしなければいけないと思っている。
後遺症に対する損害関係では、損害を積み上げていくと、今は賠償額が3億円近くになってくる。
大きな行政組織では保険制度を必ずしも使う必要はないかもしれないが、町村レベルになれば、十分な保険をかけておかないと,
行政として成り立たなくなるような局面が生じる可能性もあるかもしれない。

【委員】
金銭的な補償もすごく重要だが、同時に具体的な生活のケアについて、ケースワークというのか福祉医療との連携なども必要になってくるかと思う。
また、学校事故の場合、地域の方や他の保護者の方など、いろんなコミュニティの中で起こっている事故ということで、
その人たちがいろんな形で被害にあわれた方やその家族に対していろんなことを言うケースがあると思う。
同じコミュニティで暮らしている方たちへの対応というのも一つのポイントになってくるように思う。

【委員】
学校の事故後の対応も、卒業するまでの間しっかり面倒を見る学校、自分の学校では面倒を見られないため転校を促す学校など、学校によって相当違いがあるようである。
また、大学の部活動中のけがの事例では、同窓会で募金を集めたり、OB関係を使って就職の世話をしたりということもしている。
配慮の仕方はいろいろなやり方があり、いくつかそういうものを組み合わせていくにより、金銭による補償以外にも工夫があるのではないかと思う。

【委員】
 一つ目の事例では、第三者委員会を立ち上げて検証したとのことだが、第三者委員会は、誰がどのようにして立ち上げたのか。
知らないところでいつの間にか委員会が立ち上がっていることもあるので、この場合の経緯を教えてほしい。

【委員】
 被災児童が死亡し、市長等が弔問しているが、その際に、事故については公正に調査したいという話をされていると聞いている。
それから1か月後には調査委員会が立ち上がっており、実に迅速である。
委員構成は行政側で決めたのだと思うが、弁護士、建築士、直属の関係にはない行政関係者の3名としている。
多数決を取れば、2対1で、行政は少数意見にならざるを得ない人員構成にしている点は褒められることではないか。

【委員】
 新しく学校を作る場合、その学校の立地条件や設計に対するリスクについては、文部科学省はどのように判断して認可をしているのか。
また、事故が起きた場合、民間の危険学プロジェクトでは、再現実験を行っているという話も聞いているが、そういうことをやるのも必要ではないか。

【事務局】
 学校設置については、施設環境という点から施設整備の基準がある。確実に安全な学校を作っていくということを心がけているところだが、.認可をするときの考え方については確認させていただく。

【委員】
 第三者委員会に事故の検証を預けたとしても、検証委員会を作ることが終わりではなく、専門家が出したその結論、報告を、当事者がどう活かすかが大切である。
この有識者会議で出す指針も、検証委員会を作りなさいだけでは機能しない。当事者がしっかりと当事者意識をもって事故を起こして申し訳ないと言うことが必要。
ただ、学校現場で働いている人間には、謝ってしまうことが将来争いになったときに決定的な言質になるのではないかという恐れがあるのではないか。
その問題をクリアする必要はある。

【委員】
 第三者委員会を早く作ることは、行政にとってプラスにはなってもマイナスになることはない。また、謝ることと共感することは性格が異なる。
「私が原因で事故を起こした」と言えば責任があることを前提にしているが、「元気な状態でお子さんを家に帰せなくて本当に残念です」ということは、謝罪ではあるが責任を認めたことにはならない。
こんなことになって申し訳ないと言うことと、それが法律上の責任があるかということとは違うんだということを分けて考えてほしい。

【委員】
 「お子さんの命を救えなかったことを大変残念に思います」の一言を言うことは、法的に裁判で争うような責任問題とは別の次元の話だということはすごく大事である。
当事者が責任をもって痛みを共有する姿勢は、本当は自然なことのはずだが、ここで謝ったら責任を負うことになるのではという恐怖感とかそういう意識が結構あるのだと思う。

【委員】
 事件や事故で子供を亡くしている遺族の方たちにとっては、どんなに時間が過ぎても、もうここまでで終わりという時期は決してやってこない。
加えて、その原因が明らかでなかったり、責任の所在が分からなかったりという場合には、子供を亡くした喪失感に加えて、どこにも持って行きようのない気持ちをずっと抱き続けることになる。
だからこそ、学校事故対応での仕組みや体制作りを行うことが大事である。たまたまうまくいったではなく、必ず報告書を作り何が起きたのか真実を知ること、その後検証を行い、その報告書が生きること、
そして、再発防止の取組に至るまで、誰がどのように行い、被害者はどのように関わるのか、それらの情報を誰がどのように共有するのかということが、しっかりとした仕組みの中で行われるべきではないかと思う。
また、報告書を作るにしても、何のためにそれが必要なのかが大事で、その理念が構築されていれば、人が変わろうが場所が変わろうが、その仕組みや体制は引き継がれていく。

【委員】
きちんと検証を迅速にしていただくことで、事故に関わった個人の人に恨み辛みがいかないように、
養護教諭のこの先生のせいでこうなったとかいうことではなく、学校全体で改革をしていくために、組織として対応していくことが大事だと思う。


(7)事務局より、今後のヒアリング実施予定について説明を行い、委員から意見・質問が出された。

【委員】
今日の会議でも、自殺が起きたときの緊急対応の手引きとか背景調査の指針を示して参考にしようという姿勢を私たちは持っているのだから、いじめの話だから、自殺の話だから関係ないとするのではなくて、一連の学校の事故に関する事後対応としてはどういう課題があるのかは見ておく必要があるのではないか。今提示された5事例と、もう一つでてきた団体合わせて6事例はヒアリングを行うべきだと思うし、今後もまだ話を聞きますよという余地はどこかで残しておいていただきたいというのが私の意見である。 

【委員】
 要望書を出された皆さんにしてみると、一体私たちの要望書はどのように扱われているのか、もしかしたら、このまま棚ざらしにされてしまうのではという思いもお持ちかもしれない。
ですから、今日この会議が終わったら、今年度中にヒアリングは行う、日程調整とか細かいことはまた追って連絡するということをすぐに通知すべきではないかと思う。 

【事務局】
 要望書をいただいた段階で、何月何日までに回答をいただきたいと要望書にも書かれていたので、座長にも相談させていただき回答を行っているところである。
本日、ヒアリング先を提示させていただいているが、委員の皆さんもこれでやろうということになれば、具体的な連絡をこれから行っていくこととなる。

 


 

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