資料1

安全検討会(第1回)の議論の概要

1 検討に当たっての留意点

○ 研修会の意義

  • → 研修会休止中も大学生は冬山に現に行っており、事故も実際に起きている。若い人たちがどのように危険を察知し、その危険をどのようにして回避するかについて、実感することのできる研修会にできないか。(北村委員)
     部内での教育機能が低下しており、それを補完するシステムや組織があってしかるべき。登山を通じて将来の日本を背負う人間を教育・育成するという点で、このような研修会に国が関与する意義は非常に高い。(山本協力者)

○ 研修会の理念

  • → 国が主催する研修は、自己責任の機能する通常の登山とは異なるため、安全を第一に考えるべきではないか。(溝手委員)
     安全確保は当然必要であるが、絶対的な安全を確保してしまうと、研修の教育的効果が低くなり、研修の意義が失われかねない。(村越委員)
     研修会は普通の冬山登山とは別なものと考えるべき。納得できる安全対策を一つずつ積み上げていけば、事故を完全に避けることはできないにせよ、リスクはなるべくゼロに近くなるのではないか。(迫田委員)
     リスクを完全にゼロにはできない中で、どこまでの措置を講じれば、許容できる程度の安全と言えるのかということについて共通の理解が必要。(山本協力者)

2 個別の安全確保対策

○ 研修場所

  • → 30年間同じ場所で研修を実施しており、蓄積したデータがある。新たな場所で一から研修を始めることは大変。従来どおり、前進基地を使った場所での実施で大丈夫ではないか。(尾形委員)

○ 雪庇の把握

  • → 山の下方で気象観測を行うことにより、山の上における積雪状況、雪崩リスク等が予測できるシステムが開発されつつある。(西村委員)

○ ルートの選定

  • → 一般向けGPSでは5メートルレベルの精緻な山稜確定を求められると難しい。特殊なGPSでは精度1メートルのものがあるが、金額が高い。(村越委員)
     自然公園法の問題があるが、山頂や三角点ピークに目立つポールを設置することを検討してはどうか。(尾形委員)
     むやみに先行者のトレイルを追わないよう、各班でうまく議論できる形が望ましい。(尾形委員)

○ 研修時期

  • → ここ10年ぐらい、気象や積雪の状況が随分変わってきている。3月上旬が不安定な時期なのであれば、その時期を避けることも検討する必要がある。(北村委員)

○ 講師

  • → 講師は研修会の要であり、講師に対して雪庇、雪崩などの最新の情報を十分に提供することが重要。(北村委員)

○ 研修生の参加資格

  • → 山岳部、ワンゲル、同好会など研修生のレベルに差がある中で、研修の目的としてどの辺を目指すのかをクリアにした方がよい。(西村委員)
     研修生のレベルに応じた指導を行うことは、研修する側にとって幅広い対応が求められる。(山本協力者)

○ 登山研修所の体制

  • → 雪崩の研究員等を有する研究機関をあわせ持った形が一番よい。(迫田委員)
     各分野の専門家をきめ細かく集めて、教育機関のような形にしていくのがよい。(橋本委員)