令和8年3月24日(火曜日)16時30分から18時00分
文部科学省 ※対面・WEB会議の併用
【井上科学技術・学術総括官】 皆様、失礼いたします。本日はありがとうございます。時間となってまいりましたので、ただいまから第3回日本成長戦略会議人材育成分科会兼第5回人材育成システム改革推進タスクフォースを開催いたします。本分科会は、ウェブ会議方式と対面を併用して開催をさせていただきます。
本日御参加いただいております委員の皆様につきましては、参考資料2の一覧、こちら、一部、資料で御意見提出くださっている先生も含めてございますが、こちらのとおりとなっております。委員の皆様、御多忙の中、御出席ありがとうございます。
また、本日は松本大臣、中村副大臣、小林副大臣、清水政務官、福田政務官と、ほか、本タスクフォースの構成員に加えまして、関係府省から内閣府科学技術・イノベーション推進事務局より井上統括官、経済産業省より菊川イノベーション・環境局長、外務省より花田経済局参事官に御出席をいただいております。なお、松本大臣につきまして、公務により途中退席をさせていただきます。
それでは、冒頭、松本大臣から御挨拶をお願い申し上げます。
【松本文部科学大臣】 どうも皆さん、こんにちは。ただいま御紹介をいただきました、文部科学大臣の松本洋平でございます。お集まりの皆様方におかれましては、大変お忙しい中、日本成長戦略会議人材育成分科会に御参加をいただきまして、誠にありがとうございます。心から感謝を申し上げたいと存じます。オンラインですので、多分立っていると顔が見えないんじゃないかと思いますので、着座で御挨拶をこの先はさせていただきますことをお許しいただきたいと思います。
社会構造や国際情勢など様々な変化の中にある我が国であります。その未来を切り開くのは、いつの時代も人と、そして知の力だと考えております。高市政権では、強い経済の実現に向けまして、17の戦略分野への投資、新技術立国を目指した科学技術研究基盤の強化を掲げているところでありますが、これらの取組においてもいずれも人材の力が不可欠であります。
本分科会におきましては、高校から大学・大学院までを通して一体的に取り組むべき人材育成の課題について御議論をいただいております。高校教育に関しましては、2月に高校教育改革に関する基本方針、いわゆるグランドデザインを発表させていただきました。パイロットケースの創出に向けまして、令和7年補正予算で創設をいたしました高校教育改革促進基金を通じまして、理数系人材育成支援などを行うことにしているところであります。また、大学や高等専門学校における成長分野への学部転換等による理工デジタル系人材の育成に取り組んでおりますほか、前回のリスキリングに関する議論におきましては、大学と産業界が連携したプログラム開発や博士課程につながるプログラムの重要性について貴重な御意見を頂戴したところであります。
高校、大学・大学院、そして社会人と、各段階で人材育成に関する課題は様々あるわけでありますけれども、いずれの段階にありましても、産官学が一体となりまして我が国の成長を支える産業イノベーションを牽引する人材育成に取り組むこと、これが重要であると考えているところであります。
本日は、科学技術人材とその基盤となる大学や研究開発法人の在り方、これをメインにして議論をしていただくことになります。17の戦略分野もぜひ意識をしながら、忌憚のない御意見を頂戴できますように心からお願いを申し上げたいと思います。今後も我が国が持続的に成長・発展していくために求められる人材育成の方策につきまして、関係省庁や関係機関と連携をいたしまして全力で取り組んでまいります。このことをお約束いたしまして、私からの挨拶にさせていただきたいと存じます。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございました。松本大臣は、公務のためにここで退席となります。
【松本文部科学大臣】 じゃ、どうぞよろしくお願いいたします。
【井上科学技術・学術総括官】 では、プレスの皆様、会議室から御退出ということでお願いをいたします。以後は、事前に御案内しておりますYouTube配信のほうで御覧いただければと思います。
それでは、議事に入りたいと思います。議事1、科学技術人材育成についてということでございます。本分科会は、高校から大学・大学院までを通じました人材育成改革について議論を行うとしており、今回はそのうち、科学技術人材育成についてを議題としております。その中で、1点目、産業イノベーションを牽引する科学技術人材育成のための取組、2点目、その基盤となる研究大学群及び国立研究開発法人の機能強化、この2点について御議論をいただきたくお願いを申し上げます。
では、本日の資料について説明をさせていただきたいと思います。西條局長、よろしくお願いします。
【西條科学技術・学術政策局長】 文部科学省科学技術・学術政策局長の西條でございます。着座にて失礼いたします。お手元の資料1に基づきまして、科学技術人材をめぐる現状・課題と基本的な考え方、また、方向性について御説明させていただきたいと思います。
まず、2ページ目を御覧ください。背景といたしまして、科学技術人材をめぐる現状について、データを参考に御説明させていただきたいと思います。2ページ目は、科学技術への投資と研究成果等について示したデータでございます。右上にあります我が国の政府による科学技術関係予算は、近年やや増加傾向にあるものの、他国と比較すると低調な状況にございます。また、左下にありますように、大学等への国内企業からの資金拠出割合、これは他国に比べるとかなり低い状況というところでございます。また、研究成果につきましては、注目度の高い研究成果の世界シェアを示すTOP10%論文の国別ランキングについては、現在では13位まで低迷しているというところでございます。
3ページ目を御覧ください。博士人材、それから研究開発マネジメント人材などを示したデータでございます。研究者数または博士号取得者数は、近年、特に諸外国が大きく伸びる中で、我が国は、博士の取得者につきましては近年ようやく増加傾向にはありますけれども、低調な状況でございます。また、研究者をサポートする、近年はチームとして働くという言い方もしますが、研究開発マネジメント人材も数が少なく、これは既に第1回の会議でも詳細な説明がありましたが、大学における理工系学部への進学者や女性研究者の割合も改善はしているものの、他国と比較するといまだ低い状況にございます。
4ページ目は、企業との関係のデータでございます。大学と企業間の共同研究、また、大学の成果を基に製品化などによる知財収入、また、大学発ベンチャーの数、これは着実に増加傾向にはあるものの、欧米と比べるとまだ低い状態ではございます。人材の流動性については、近年、企業から大学への流入、これは多少増えてはいるものの、逆に大学から企業への移動はかなり少なく、このための制度であるクロスアポイントメントの活用についても、なかなか今の状態では低調という状況でございます。
5ページ目でございます。これらの状況を踏まえまして、まず、基本的な考え方、今後の方向性を示したものでございます。まず、基本的考え方、一番上の1つ目の箱でございます。科学技術・イノベーションは、技術力をはじめとする総合的な国力の源泉でございまして、これらを全て支える国力の基盤、これが人材力だと考えてございます。すなわち、科学技術人材力の抜本的な強化こそ、新技術立国の実現と国力強化に不可欠だという考え方でございます。
最近では先端技術分野での国際競争、これが激化しており、最先端技術とビジネスの近接化といった環境の変化や新たな潮流への対応、これが非常に急務な状況にございます。将来社会を見据えまして、17の戦略分野の取組と連動しつつ、教育改革と一体的に科学技術人材のための人的投資、この抜本的拡充と、これに基づく科学技術・イノベーションによる供給力の強化に総合的に取り組む。その中にあって、大学や国立研究開発法人は、人材の育成・活躍の中心であり、イノベーションの創出を実現する上で要となる存在と考えてございます。
この基本的な考え方を踏まえた科学技術人材育成施策の方向性、2つ目の箱になります。これは以下の2つでございまして、丸1と書いてある1つ目は、新技術の研究及び社会実装を担う人材育成でございます。人的投資の抜本的拡充・強化及び多様な場での活躍促進を通じまして、科学技術人材の育成・確保、また、各教育段階での人材育成、制度・システム改革、これを推進するという方向性でございます。
2つ目は、丸1の人材育成を進める上での基盤となる産業イノベーションを牽引する研究大学群や国立研究開発法人の機能強化、また、人材の育成・活躍の中核である研究大学群の形成と、国立研究開発法人、この体制機能を一体的に強化するということが重要だという、この2つの方向性について、次ページ以降、現在の取組を含め簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず、7ページ目、新技術の研究及び社会実装を担う人材育成の取組でございます。科学技術人材育成のための重要施策として、現在及び今後の取組について、左側の青枠でございます。ここは多様な科学技術人材の育成・活躍促進、また、右側の茶色の枠になりますが、こちらは各教育段階における科学技術人材の育成、下の緑色のところは制度・システムの改革の推進、そして一番下にあります、これらを支える科学技術人材育成の基盤となる施策、これを俯瞰的にまとめたものでございます。これらの施策につきましては、高等教育改革、大学改革や、高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)と一体的に進め、人的投資の抜本的拡充強化とともに、知の価値を最大化すべく、科学技術人材の社会の多様な場での活躍を促進していくというものでございます。
8ページ目を御覧ください。具体的な取組の一つ、一例として、昨年12月の補正予算で創設した産業・科学革新人材事業についてをこちらに御紹介させていただいております。詳細は後ほど御覧いただきたいと思いますけれども、研究開発やこれに連動した人材育成の民間からの投資拡大を図るために、産学共同による研究開発・人材育成に対して支援を行うものでございます。
9ページ目は、既に取り組んでいる例でございますが、先端半導体の分野につきましては、経産省さんや産業界と連携しながら、研究開発、基盤整備、また、人材育成に係る施策を三位一体として取組を進めているところでございまして、これは九州地区での事例を少し示させていただいております。
次に、2つ目の取組でございます、産業イノベーションを牽引する研究大学群や国立研究開発法人の機能強化の方向性でございます。11ページは全体のコンセプトを示したものでございます。強い経済の実現に向けて新技術の研究及び社会実装を担う人材の育成の場、基盤としての研究大学・国研の機能強化も重要な課題でございます。各成長分野において挑戦的な研究を進め、産業イノベーションを牽引する研究大学群は、研究者や技術者をはじめとした科学技術人材を育成するとともに、人材が多様に活躍する場としても大きな役割を果たしております。また、国家的課題への挑戦を担う国立研究開発法人、国研は、人材が結集し、産業界が一体となってイノベーションを創出する場として重要だと考えてございます。将来社会を見据えまして、17の戦略分野の取組と連動しながら、研究大学と国研の両者の存在感を高めていくこと、これが不可欠だと考えてございます。
まず、産業イノベーションを牽引する研究大学群への取組でございますけれども、13ページに全体像を示してございます。文部科学省では、国の社会経済等の発展に直結します我が国の研究力強化のための研究大学群の形成に向けて、現在、上の部分で左側に黄色で示しています世界最高水準の研究大学の実現を目指し、10兆円の大学ファンドの運用益を活用した国際卓越研究大学制度と、右側のピンク色で示してございます魅力ある拠点形成による大学の特色化を支援する、地域の中核・特色のある研究大学制度、J-PEAKSと呼んでおりますが、こちらに取り組んでいるところでございます。14ページに、卓越は東北大学、科学大学、また、J-PEAKSの25校を示してございます。
13ページにもう1回戻っていただきまして、一方で、新技術立国の核となる高い研究力を持つイノベーションの中核となる強い研究大学群、この形成のためには、卓越等の既存の取組に加えまして、この赤字で書いてある、真ん中に示している、高い研究力を持つ大学を、我が国の成長の中心として世界で存在感を示し、将来的には世界と伍する研究大学と発展させるべく、さらなる方策を検討する必要があると考えてございます。
15ページ目にその具体的なイメージを示してございます。大学のガバナンス改革とこれはセットで、これからの産業を担う経済圏・エコシステムや、重要技術分野で示された17の重要分野を中心とした研究開発などをコアとして、民間セクターや国研、国内外の大学と共同しながら、我が国の成長の中心として世界で存在感を示す研究大学群、これを形成するよう、今現在、経産省さんと共に新たな支援に必要な観点などを議論しているところでもございます。これにより研究人材育成の抜本的な強化につなげていきたいと考えてございます。
なお、次のページは17の戦略分野に関しまして、各大学でも取り組まれている例を示させていただいております。後ほど御参照いただければと思います。
次は、技術シーズの徹底した社会の実装のための国研機能強化でございます。18ページにそのイメージを示してございます。重要技術分野の国際競争が激化する中で、国研が持つ技術・施設、それから人材等を核に国内外の多様な主体が戦略的に連携し、日本発の技術シーズの徹底した社会実装、これを加速させて、新技術立国の実現を進めることが不可欠だと考えてございます。
特に危機管理投資、また、成長投資の観点からは、戦略分野や重要技術領域、また、国家安全保障などの国のニーズに基づく分野の研究開発、これを進めるためには、基盤的な研究活動等の安定的な実施に加えまして、産学官の力を最大限に結集し、オープン&クローズ戦略を機能させる新たな協働プラットフォームの構築が鍵となると考えてございます。政府におきましては、各国研の強みを踏まえた明確なミッションを設定し、それを実行する体制・制度・財政措置、これを関係府省が一体となって早急に支援することが重要と考えてございます。
既に一部の国研ではプラットフォームの取組を行っております。その例示として、次のページ以降、20ページ、あと、理研、それからNIMS(物質・材料研究機構)、また、JAXA、QST、こういったものではもう既に取組を行っておりますので、その事例を少し示させていただいております。
また、各国研では研究開発を通じた人材育成も積極的に展開しておりまして、24ページにはその状況について少し示させていただいております。
最後は、26ページでございます。最後に、本日御議論いただきたい論点ということでございます。以上御説明いたしました2つの科学技術人材育成施策の方向性に関しまして、我が国の成長戦略に貢献するという観点から、科学技術人材育成のための施策として特に重点を置くべき点はどこか。また、人材の育成・活躍の中心として研究大学群と国研に注目した際に、これら組織・機関に期待する役割として強調すべき点はどこか。また、そのほか、強い経済に向けた科学技術人材育成施策として、不足している観点はないか。こういったことにつきまして、本日ぜひ御議論・御指摘をいただきたいと考えてございます。
文部科学省からの説明は以上でございます。
【井上科学技術・学術総括官】 続きまして、本日参加くださっております関係府省の方々から5分程度で御説明お願いしたいと思います。
初めに、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の井上統括官、お願いを申し上げます。
【井上内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官】 井上でございます。表紙をめくっていただきまして、第7期科学技術・イノベーション基本計画のポイントでございますが、御案内のとおり、これは5年計画、5年に一度策定しておるものでございますけれども、この4月から始まる基本計画の案でございます。今月中に閣議決定をする予定のものでございます。
左上のところに現状認識があります。科学とビジネスの近接化、そういったことなどの現状認識を踏まえまして、半分から下のところに第7期基本計画の方針とございます。政策の転換と推進システムの刷新とあります。政策の転換につきましては、科学研究と社会実装の一体的推進、また、国家安全保障政策と有機的連携をしていく。また、科学技術外交を国家戦略として位置づけるとしております。
こういった政策転換の下、実際のシステムの刷新は、右のほうにちょっと絵が描いてありますけれども、これは民間の組織も大学の組織も基本的に縦割り・自前主義を脱却していない。これを横割りのレイヤー構造にしていく。こういったことが起こるようにヒト・カネ・モノの流れを変えていくということで、特に人については、研究者も専門人材も組織・分野を超えて活躍をしていただけるような環境を目指したいということでございます。そういったことを念頭に、一番下に6つの柱とあります。こちらに記載の1から6番目のような柱を設定しております。
次のページを御覧ください。最初の柱、科学の再興とあります。この下に科学技術関係の人材の育成について種々記載がございます。まず、国際ネットワークの構築。科学研究に携わる方々は国際ネットワークに入っていることが必要でございますので、国際ネットワークへの送り出し・受入れを進めていく。また、多様な場で活躍する科学技術人材の継続的な輩出とございます。研究者の安定的な雇用、また、URAをはじめとしたマネジメント人材等の高度専門人材の活躍促進、また、博士号取得者2万人を目指す。また、次世代の科学技術人材育成の強化として、大学の成長分野への組織再編、高専の新設などの促進等を記載してございます。
次のページを御覧ください。左側に技術領域の戦略的重点化とあります。世界的にも競争分野では領域を設定していこうということで、これは成長戦略の17分野にも対応してございますが、こういった分野においては関係府省・民間の皆さんと協力して一気通貫の支援をしていきたい。ここの中にはいわゆる研究の基礎から出口までもありますけれども、人材育成もこういった分野で一緒に皆さんで取り組んでまいりたいということでございます。また、右側、科学技術と国家安全保障との有機的連携においても、こういう分野での人材育成の実施が重要ということを記載しております。
そして、6ページ目に飛んでいただきます。ここにさらに、科学の再興のところに先ほど紹介しました施策についてここに詳しく抜粋をしておりますので、こちらは後ほど御参照いただければと思います。
そして最後に、7ページでございます。実は科学技術先端領域における人材育成は悩みがありまして、これは量子分野における取組の例です。量子分野においては、国の戦略で、一番上の四角にありますが、2030年に国内の量子技術の利用者1,000万人の達成を目標などとあります。このためには、量子の実際に研究や実用化を担う専門家も必要でありますが、ユーザーとしての量子技術のリテラシーを学んでいただく必要もあるということで、今、関係省庁と協力して、初等中等教育段階から社会人向けまで様々な教育プログラムを展開しております。
しかし、下のほうに課題とありますけれども、やはり先端分野ですと、体系的に学ぶ研究教育環境が圧倒的に不足しており、なかなか思うようにいかない。また、先端分野ですと、ユースケース、出口のイメージがなかなか分からないということで、民間企業もなかなかこういった人材育成に二の足を踏むケースがありまして、こういったことは今後検討していくべき課題かなと思っております。
以上でございます。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。続きまして、経済産業省イノベーション・環境局、菊川局長。よろしくお願いします。
【菊川経済産業省イノベーション・環境局長】 経産省、菊川でございます。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。冒頭の松本大臣からのお話でもありましたし、先ほど西條局長からの話もありましたとおり、まさに科学技術、そして人材をやっていくということは、新技術立国と非常に不可欠の関係でございます。
資料2ページ目、今日の議論を補完する意味で簡単に説明いたしますが、新技術立国、これは担当が経済産業大臣になっておりまして、経済産業省のほうで中心になって議論させていただいておりますが、文科省からも西條局長はじめ合田局長など多大な御協力をいただいてございます。
赤字で書いていますとおり、「技術で勝ってビジネスも勝つ」ということでございます。論点は5つございまして、官公庁の調達によって市場を創出しようというのが論点1、イノベーションを支えるスタートアップへの支援が論点2。論点3と論点4が、まさに今日の議題とも関わってくる、研究開発法人の技術シーズをどうやって社会実装していくか。そして、高い研究力を持つイノベーションの中核たる大学群をどう形成していくか。ここの2つが今日の議論に非常に関わるところでございます。また、外交の力も借りていくということが論点5でございます。
資料3ページ目、総理もそこははっきりとおっしゃっております。これは総理発言だったり、施政方針演説のところでございますが、勝ち筋となる産業分野において国際競争力強化と人材育成に資する戦略的支援を進めていく新技術立国を実現いたしますということで、ここに人材育成もはっきりと明示されてございます。また、施政方針演説の中でも、大胆な投資促進、国際展開支援、そして人材育成が明確に議論の中に入ってございます。まさに新技術立国は、大学改革を進めるとともに、科学技術研究の基盤強化、そして経済成長、国際的地位確保と、こういったことが掲げられているところでございます。
資料4ページ目、こういったところの大学の経営の在り方を研究するために、文科省と一緒に両省で研究会をやっておりまして、そこでも大きな人材育成についての議論が行われているところでございます。
資料5ページ目、この中身につきましては、先ほど西條局長のほうからお話があったとおり、先ほどの研究会の議論もベースにしていただきながら、また、文科省で進められている科学の再興、こういった議論の中でこういった大学群をどうしていくかという議論が進められているところでございます。
資料6ページ目ここについても先ほどの西條局長の御説明にあったとおりでございます。研究力を有する大学を核に、産業競争力強化に資する大学群としてどうやって一体的に推進していくか、これが一つの大きなテーマになってございます。
資料7ページ目、必要条件でありますが、制度改正に関する論点も大きく掲げております。そこに書いているような、一つ一つは申し上げませんけれども、大きな、ガバナンス、ファイナンス、教育研究環境についても、いろいろと手を講じていく必要があるということが掲げられてございます。
資料8ページがイメージでございます。大学を中心とした経営改革を進めるとともに、それを進めやすくなるような制度環境整備、そしてそれに合わせて支援をどのように図っていくかと。これが一巡となって進めていくのではないかと思っております。
一つの具体例として、資料9ページ目でございます。これも大学の研究会、文科省とやらせていただいている研究会の中で出てきたものが具体的な制度となったものでございます。これを今後具体的に進めていく予定にしておりますが、契約学科制度、こういうものが動き出すことになります。これは経産省と文科省の予算措置も含めて進めていくことになっておりますが、産業界が大学側と一緒になって協力して設置・運営をする学位の授与を伴う教育プログラムということでございます。
契約学科の定義というところに書いてございますが、産業界のリソース、これは資金提供もそうですし、実務家派遣、産業界のいろいろな情報提供、こういうものと大学のリソース、教員や、学生、こういったところを結集させることの一つの在り方として契約学科制度を進めようとしているところでございます。これは春から間もなく公募開始をして先行事例をつくっていこうということで、鋭意準備をしているところでございます。
資料10ページ目をお願いいたします。それを一つのイメージとして掲げてまいりますのがそこのページになります。
資料11ページ目をお願いいたします。これはまさに今日の産業競争力強化にどういった人材をというところについても、こういった様々なパターンがあると思っていますので、これは一つの御参考としてやっております。
資料12ページ目。すみません、そろそろ5分たちますのでもうまとめます。去年年末に決まりました研究開発税制、これは我々も今、法案を出しておりますけれども、これによって戦略技術領域、そこの丸1から丸6までございますが、そこに対して大幅な税制の控除、財政の支援を、これはかつてない前代未聞のサポートをしていくということになってございます。
それと併せて、最後のページですけれども、研究開発税制の中でオープンイノベーション型というものがございまして、産業界が大学側と一緒にやっていただくというところについて、少し大学側にとっても使いにくいというところが幾つかございます。ここについては、手続の合理化とか要件緩和、こういったところを去年の税制改正の中でいろいろと勝ち取ることができまして、非常に実務的なことではありますが、これによって産学連携の研究開発税制を使ってオープンイノベーション型が進むものと思ってございます。今日の議論の参考になればということで御提供でございます。
以上です。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。続きまして、外務省経済局、花田参事官、お願い申し上げます。
【花田外務省経済局参事官】 お時間いただきありがとうございます。早速ですが、資料を基に御説明申し上げます。
まず最初に、2ページ目になります。ここに外務省としての経済外交の3本柱を書かせていただいておりますが、その第1の柱、新規市場・イノベーションの創出を通じて新技術立国の実現に向けて外務省として主体的に取り組んでまいりたいと考えております。
1枚おめくりいただき、政府全体の取組の中では、論点5の外交的な後押しのために、海外の知の取り込み、そして海外市場獲得、この双方を後押ししていきたいと考えます。
ただ、技術立国ないし人材育成といっても、人材育成や技術の成熟段階ですとか企業や事業の規模もまちまちであることから、大きくは2段階の支援があると思われます。一つは、黎明期の人材や技術の言わば苗床を耕していくための支援。その上で、第2段階として、具体的案件の芽を育てていく後押し。こうした2つの段階が大事であると捉えております。
1枚おめくりいただきまして、4ページになります。まず、第1段階の黎明期の苗床を耕す支援といたしまして、こちらにいろいろ書かせていただいています。まず、技術力強化やイノベーションの創出につながるエコシステムの構築として、外交の機会等を活用しております。例えば、AIの分野ではASEANとかインドなどの首脳外交等の機会にAIに関するエコシステムの共創を後押しさせていただいています。
また、国際頭脳循環については、これは後ほど資料が出てきますが、例えば12ページや13ページに、アメリカでも有数の頭脳集積地であるボストンでのネットワークづくりの取組も例示させていただいております。
加えまして、ODAを通じた支援もございます。有償資金協力、無償資金協力や、技術協力はじめ様々な蓄積がございますので、そこで培ったネットワークも積極的に活用させていただいております。こちらについては、15ページから17ページに例示しておりますので、追って御覧いただければと思います。
その上で、次の第2段階として、11ページに飛んでいただけますでしょうか。ここで、具体的案件の支援として、我々どもは様々な取組をさせていただいています。資料には在米国大使館の取組として、ネットワーク構築、共同研究の推進、科学技術外交の推進と、黎明期の段階の支援とも一部重複していますけれども、こうした取組をさせていただいております。
加えまして、紙上に詳細は書いてございませんけれども、例えば、日本国内から海外への流れとして、具体的なプロジェクトを後押しするために、関係省庁とも連携させていただいて、日本国内で様々な企業にヒアリングをさせていただいており、ヒアリングで聞き取った情報を基に、関連の在外公館とも情報共有をして、相手国ないしは機関等への働きかけ、マッチング等もさせていただいております。
さらに、在外公館においても、ほぼ全ての在外公館に日本企業からの相談窓口を設けさせていただいており、概ね年間5万件ぐらいの相談事項や、御要望を承っております。それを踏まえて相手国の政府や関連する民間セクターに対する働きかけを、大使館や、総領事館を通じて行わせていただいているところです。
駆け足になりましたけれども、私からは以上となります。ありがとうございます。
【井上科学技術・学術総括官】 大変ありがとうございました。
委員からの御議論をいただく前にもう1点、参考にしていただけます資料として参考資料5、こちらが3月10日の日本成長戦略会議で示されました戦略17分野におけます人材の課題について記載がありますので、議論の参照にしていただければと思います。
これから意見を各委員の方々からお願いをしたいと思います。恐縮でございますが、意見交換の際、お手元のタブレットのカメラをオンにしていただければと思いますが、事務方が回りますので、適宜フォローさせていただければと思います。
発言の順番としましては、こちらから大竹委員から横のほうにということでお願いをしたいと思いますが、その前に、今日この場にはいらっしゃれなくなった加藤委員から御意見のメモを頂いておりますので、冒頭、私のほうで紹介させていただきました後に、大竹委員から順番にということでお願いを申し上げます。
御意見メモを加藤委員より頂いております。
「技術者と経営者、両方を有する人が絶対的に少ないという点は、経験偏重から来ています。確かに経験は大事ですが、もちろん絶対ではありません。私は研究寄りの開発者で、例えば減速機の油の挙動など、当時はよく分かっていないところを、理論を積み上げて仮説を立てました。その仮説は経験から来る常識と全く反対の説でした。実験すればいいだけなのに、当時の経営者が納得して実験するのに3年かかりました。一事が万事で、このようなことはそこかしこで起こっております。行政は大企業が好き、前例が大好きとかです。
仮説検証を速く回せるかどうか、資本・ヒト・モノ・カネをどこにどう使うかは、確からしい仮説でも実行可能です。技術の流れが速い現在は、仮説を素早く立て実行するという決断ができる人・チームが必要で、仮説を素早く立てる技術者というより専門家が実行する決断に、経営者が必要となります。
向こう100年はこのような人材をどう育てるか、専門家と経営者と行ったり来たりするキャリア形成を促進してはどうでしょうか。例えば専門家から経営者へのキャリアチェンジにはスタートアップへの転籍を奨励するとか、経営者でも新しい事業創造に専門知識の学びを奨励する。例えば事業に失敗したら大学が無償になるとか。転職を促したところで、同じ業界ぐるぐる回っているだけでキャリアアップになっていない、逃げる、転職を増やしているだけに見えます。」
ということで頂いております。
では、大竹委員から5分程度でお願い申し上げます。
【大竹委員】 ありがとうございます。東京科学大学の大竹でございます。配付資料を追加で1枚、差し上げています。今日お話もあって、あるいはこれまでの議論で、随分この科学技術人材育成については、多くの有益な議論が交わされたと思っております。特に今日の資料1のP7の西條局長からの話も含めて、まとまった状態にあるかなと感じておるところでございます。その中で、さらにこうしたアイデアがあるとより育成施策が強化されるかという期待も込めて1枚にまとめてみました。
それを考えるに際して、3つに分けて、1つ目が重要技術、先ほどからお話がある17の戦略分野等と、2つ目が地域も含めて社会を先導する人材の育成、3つ目はあまり議論されていないのかと思いますが、未知の科学技術を拓く人材の育成です。
左から見ていきたいと思います。重要技術を先導するという観点で、ここは17の戦略分野ということもあって、その中で国研・企業・大学・高専、これが連携してというのは本当にそのとおりだと思いますし、今日、菊川局長から契約学科の話もありましたとおりで、ここは進めていけたらと思います。
そこで、下の山のほうに書いてありますけれども、その中でやはり今日お話がありましたとおり、こうした強みを生かしていくような研究大学を整備していくというのは重要だと思いますし、国研の役割として、特にこの重要17と申し上げるのであれば、そこでの人材育成の機能はぜひ拡大していただいた上で、大学あるいは高専と連携していただけるといいなと思っています。
そこで若干懸念点としてあるのが、人材の流動かなと思っております。今日、大学から企業は少ないという御指摘もあったとおりで、そこはやはりどうしても日本でなかなかうまく進んでいない部分であって、そこに施策を打てるとより強化されるかと思います。それから、戦略分野はやはり施設・設備にお金がかかるので、施設整備費の拡充はどうしても必要ですし、これをばらばらっとやるのではなくて、重点的にどこかに配分するというやり方になるのではないかと拝察しています。
社会を先導するという観点では、多方面に輩出。これも先ほどお話があったとおりです。それから、特に自治体の長あるいは教育機関、これが連携して地方創生に寄与する人材を育成していくというのがこれまでの議論でも大切なのだろうと思う中で、理系はやはり博士人材を育成すると、これは大事なことであると思います。そのときに、これは学部・修士も含めてですけれども、リベラルアーツ教育を重視していくというところがみそになるのではないかと。逆に文系のほうは、理系の基盤教育を強化して、結果的に文理の境界を越えた新人材を育成できるチャンスではないかと思っています。第2回のときに理科大の石川学長が理文融合という言い方をおっしゃっていたかもしれませんけれども、せっかくなので、新しい人材を育てるという、分野を転換するというのも一つのやり方ですけれども、新人材という、そういったやり方はあるのではないのかなと理系から見ると特にそう思います。
そういった人材は1大学では育てられないので、もはやもう自前主義から脱却するという決意が必要かなと。これは先ほどの国研を入れるというのもそうなんですけれども、十分な教育メニューをつくるというのを国研と一緒にやる、あるいは地方で組んでやっていくといった教育連携の強化は必要でもあります。その中で、日本の持っている財産としてのキャリア教育は、私はすばらしいと思っていて、そこは尊重してというか強化していったらどうかと思います。
その中で、20年後の17の戦略分野というのがあるとすると、そこを開くような人材としての個人の多様性を持った人材、あるいは、新たな価値を生み出すような複数の専門性を持つ博士、こういったものを育てていくのがこれからの課題になろうかと思います。そのためには、Disciplineの壁を超えた教育体系、あるいは複数の大学の連携、あるいは大学が統合して事に当たるという時代に入っているのではないかと思います。
花田参事官からもお話がありましたけれども、国際頭脳循環は非常にその中で重要で、海外から人を呼んでくる、これはもはや当然かもしれませんけれども、人材育成でも国際頭脳循環を強化していくということが大切になってくるかと思います。
最後に、真ん中の下に3行ありますけれども、研究税制、これは菊川局長がおっしゃっていましたけれども、それも活用していくということと、最後に申し上げたいのは、大学の経営人材を育成するというのも課題であろうと思います。
以上でございます。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 青山学院大学の佐藤です。まずは人材育成のところで、資料の3ページで指摘されているように、博士号の取得者の伸びの低迷というのは、今、少子化なので、そういったところも一因かもしれないですが、研究者育成の観点からみると、研究者の博士号を取得するというインセンティブがやはり弱いのではないかと思います。
例えば、博士号を取得しても給与水準などの処遇が変わらないとか、就職先が見えないとか、そのような安定的なキャリアパスが見通せない状況では、博士課程への進学というのは合理的には選ばれない構造的な問題になっているのではないかと思います。という
アカデミックポストの拡充には限界があるということを踏まえますと、やはり民間企業とか、あるいは官庁において博士人材を積極的に採用するように整備したり、あるいはこれは制度化してしまうようなことも求められるのではないかと思います。
併せて、大学側としても、博士課程の学生のキャリア支援の強化を各大学が取り組むべきだとも思います。具体的には、現在は個々の研究室に依存している博士課程の学生のキャリア支援を全学的な取組にしたりすることにしたり、あるいは提出資料の中にもあったかもしれないですが、共同研究や共同指導を通して企業や官庁と長期的なインターンシップに取り組んでもらいたいと思いました。
2点目としては、研究大学群の形成についてです。限られた人材資源を効率的に活用するためには、中核的な大学を拠点として研究機能を集約するということは一定の合理性を有すると考えます。ただし、他方、研究費の配分などにおいて選択と集中が進み過ぎると、短期的な成果が期待できる一方で、特定分野や一部の研究機関への資源の偏在を招いてしまって、研究の多様性や新規分野の萌芽を損なってしまうリスクを内包化すると考えます。
また、特に地方の国公立大学においては、外部資金の獲得における申請書の作成や採択後の成果報告などの事務負担が大きいことに加えて、人件費抑制の影響によって、限られた教員が教育や学務も担わざるを得ず、研究時間が圧迫されているという指摘がございます。このような状況を踏まえると、研究費は、外部資金の過度な依存を避けて、中長期的な視点からも、基礎研究への安定的な投資をいかに確保するかが課題になっていると考えます。つまり、研究大学群の形成と基礎研究への投資をいかに融合していくのかということが重要ではないかと考えます。
私からは以上になります。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。平松委員、お願いいたします。
【平松委員】 富士通の平松でございます。冒頭に挙げました科学技術人材の現状とか、それから戦略17分野の人材の課題のところを見ましても、やはり日本全体として競争力を上げていくための人材の育成ということがいわゆるこれまで戦略的にできていなかったがゆえに、こういう分野の人材の不足が喫緊の課題であると全ての領域において言われているわけだと思います。これは産官学それぞれがやはり気持ちの上で縦割りになってしまったがゆえに、総合的に戦略的に選択と集中なり、もしくは通常の仕組みを超えた形で連携するところに対しての向き合い方ができていなかったのかなということを思いました。
今回、成長戦略ということで17分野を特定し、かつ人材育成とかテーマごとの分科会も出来て、縦割りを超えて、本当の意味での産官学連携をやっていこうという取組だということで、大変期待をしているところでございます。
これまでも、産学連携というのはずっと言ってきたんですけれども、なかなかうまくいかない。点と点はつながるんだけれども、線や面にならないというところはやはり何らか課題があるのかなと。一つは、やっぱり全てで連携するのはできないので、重点的に取り組む領域を明確にして、そこに対してはもうとにかく集中的にやろうよと。これは先ほどの17分野とか、もしくは経済安全保障に関わるような領域とか、そこはしっかり特定をして、そこに集中的に補助とか、もしくは人材の投入とかということをやっていく必要があるんだろうなということです。
産学で連携をしたいんだけれども、どういうところと連携をしたらどういう機会があるんだろうかということが、まずは探すのが大変だというのもあるかと思いますし、もしくは連携をしたときの、じゃ、お金はどこが出すんだとかそういうことも含めて、大変手間暇がかかるということで、先ほど御説明があった国研の位置づけがそういうことのハブ機能を担っていただければ、多くの企業もそのハブを使って、自社にとってメリットがある、もしくは日本全体の自分たちにとって重要な領域の技術者の育成に貢献できるという機会があれば、そこにぜひ一緒になってやりたいと思っている企業はたくさんあるかと思います。
さらに、やはり大学が研究で、社会実装・ビジネスは企業でという思い込みみたいなものがどうしてもあるんですけれども、ただ、やっぱりこの成長分野に限って言えば、大学から大学院、そして社会実装まで、アカデミアのほうも常にそこまで意識できるわけですから、そこを意識しながら、必ずやっぱり産業界と一緒にならないと本当の意味での社会実装ができる人材が育てられない、供給できないということで連携をすれば、企業側も様々な研究設備とか計算基盤とか様々なリソースを持っています。こういったものを大学の方にも使っていただいて、一緒になって人材育成する。目に見えて産学連携が進んでいっているようなその姿をこの取組の中で、そのハブになっていただくのが国研とか、もしくは文科省、経産省の様々な施策によってそこのつながりが拡充されるということを期待しております。
以上になります。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。石田委員、お願いいたします。
【石田委員】 本日初めて参加をさせていただいております、SPACETIDEの石田と申します。成長戦略会議では航空・宇宙ワーキングに参加させていただいておりまして、ふだんは宇宙業界で国際イベントの主催、起業家の支援、大学・高専等での人材育成をさせていただいているとともに、政府の宇宙戦略基金のプログラムディレクターとしていわゆる運営責任者として全体を見させていただいております。そういう意味で、私は人材育成の専門家というよりは、業界特化の宇宙の専門家ということで、縦軸と横軸の交差点として少し議論に貢献できればと思っております。
宇宙業界は、御案内のとおり、日本は約60年を超える歴史を持っておりますが、まさに国研であるJAXA、その前身の組織を中心として、技術開発の象徴としてずっと活動が行われてきたと思っております。ただ、しかしながら、今日、宇宙領域というのは日本にとってより重要な戦略分野になっており、政府の宇宙基本計画に定められている政策の目標は、安全保障の確保、国土強靱化への貢献、新たな知の探求、産業基盤強化が今、政策目標になっております。そういう意味では宇宙というのは今日議論になっている産業イノベーションのフロンティアであり、デュアルユースのフロンティアであるということで、私は宇宙は知の総合格闘技であると最近言っているんですけれども、それぐらい極めて重要かつ複雑な領域になってきているというのが背景にあります。
そういう中で、求められる科学技術人材の要件等も大分変わってきていまして、大学と国研それぞれに関して意見を申し上げさせていただきます。大学については宇宙は、企業と大学の連携がかなり既に進んでいる分野だと思っております。今、日本には120社の宇宙スタートアップ企業がいますが、半数以上が何らか大学連携あるいは大学の卒業生が起業しているケースが多いというものがございます。
一例を挙げますと、既に上場しているQPS研究所という衛星の開発・運用をしているスタートアップでございますが、これはもともと九州大学の教授を10年務めた八坂教授という方が2005年に創業した企業でございます。創業の目的は、衛星技術開発を学生に継承していくことと、宇宙産業を九州に根づかせることと伺っております。実際、今のCEOを務めているのは八坂教授の教え子である方がCEOを務めておりまして、九州の中小企業、ものづくり企業数十社が支援をして衛星開発を行っており、2023年には無事に上場しております。直近では防衛省の衛星コンステレーション関係にも選ばれているということで、宇宙業界のサクセスストーリーの一つとなっておりますが、まさに大学を起点とした産業化がなされている事例と思っています。
加えて、宇宙戦略基金のほうでもアカデミアの技術開発の支援をやっております。現在までに67の支援テーマを決めておりますが、その中にSX拠点というテーマが、これは文科省さんのテーマとして設定されております。これは宇宙関係の技術開発、アカデミアの技術開発を支援して、人材・技術・資金の交差点になっていただきたい、その先に宇宙のクラスターをつくっていただきたいと、そういう目的でやっているSX拠点です。採択はたしか4つほど採択をしたのですが、大人気のテーマでして、応募は50件以上あったというぐらい極めて政策的にも大変人気なテーマでした。
この二例から考えて思うのが、産業×大学で技術開発を強化するという今日の方針は極めて賛成なのですが、大学が大学として孤立するのではなくて、ほかの大学と連携をしたり、地域の高専と連携をしたり、さらには大企業とか中小企業と連携して、さらにその先には金融機関との連携をすることによってクラスターをつくっていく。これができないと、やはり技術開発が産業イノベーションまで進まずに、あくまで技術開発で終わってしまうと思います。大学の技術開発を起点として周囲のいろいろな方々とつながりながら、産業クラスターになっていくと、これがやはり宇宙の例からの一つの示唆ではないかなと思っております。
国立研究開発法人に関しては、もちろん宇宙の場合はJAXAという中核機関がどしっと構えていただいていて、国研としての一丁目一番地である基盤研究を長年やってきたわけですが、宇宙の安全保障利用、あと宇宙の産業化、これが進む中でJAXAの役割もどんどん広がってきたというのがこの10年の政策的な方向性だったと思っております。
やはり国の宇宙開発プログラムの運用とか受託、これは大型ロケット、大型衛星あるいは月面探査、こういったものをやる活動がどんどん増えてきています。もちろん安全保障も含めて。もう一つが、2024年、JAXA法を改正して、資金供給機能をJAXAが持つということで立ち上げた宇宙戦略基金ですが、私のほうで見させていただいております。これも現在、開発プログラムの件数でいくと約200件もう動いていますので、専任・兼任の方を含めるとJAXAの中で約200人が関わっているという巨大なプロジェクトになっているというところです。
したがいまして、研究開発法人としてはもちろん基盤研究が恐らく安定的に実施されることが一丁目一番地だと思いますが、JAXA自体の役割というのは産業の発展とともに非常に広がってきているというのが今の状況でございます。
そういう観点から、JAXAの強化が大事であるということはもちろん異論はございませんが、宇宙業界全体が技術フロンティアから産業フロンティアに大きく今、転換点に立っているということを考えたときに、改めて日本の宇宙業界全体として、政府、JAXA、産業界、金融機関、アカデミアともう多数のプレーヤーがいますので、改めてこれからの10年20年、個々の役割は何をやるべきなのかということを俯瞰的に見た上で、次の10年20年のJAXAの位置づけ、機能の強化について考える大きな転換点の時期に来ているのではないかなと思っております。
そういう意味では国研の役割は、どの分野、特にディープテック分野では極めて重要な組織であると思いますし、強化の方向性に関してはもちろん異論はないのですが、業界のステージによって求められる機能が変わるんじゃないのかなと思います。17の産業分野がもし全てで議論があるのであれば、17の分野ごとに産業ステージを幾つかに分類をして、その上で国研の機能強化・在り方・位置づけ、そういったものが議論されるといいのかなというのが宇宙業界からの事例としての示唆でございます。
以上でございます。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。川越委員、お願いいたします。
【川越委員】 ありがとうございます。東京大学生産技術研究所の川越至桜でございます。専門は科学技術教育や、STEAM教育という分野横断的な教育の実践研究を行っております。バックグラウンドとしては宇宙物理学でして、とても女性が少ない分野ということで、女子向けの物理教育や天文教育にも取り組んでまいりました。そのような関係で、こちら文部科学省では人材委員会などでも参加させていただいているところでございます。
その上で、私からは、初等中等教育段階からの科学技術人材育成について、私どもの東京大学生産技術研究所での取組を御紹介し、その取組から見えてきた課題について、資料6-2に基づきお話しさせていただきたいと思います。
では、東京大学生産技術研究所ですが、1997年から科学技術人材の育成に向けて、未来社会をデザインできる次世代の育成に取り組んでまいりました。このような取組を組織的・継続的に行っていくために、2011年に次世代育成オフィス、Office for the Next GenerationでONGと呼んでいる組織が設立され、特に初等中等教育を対象とした次世代人材育成を行っております。
その特徴としましては、生産研では、産学連携で研究活動を行っておりますが、産学連携での関係を教育にも生かしていこうということで、様々な企業や研究機関等と連携しながら、次世代のイノベーション人材をつくり出すSTEAM教育、御存じの方も多いかと思いますが、Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsの頭文字を取ったこのような分野横断的な教育活動を創出し、行ってまいりました。
こちらが活動の概要になります。実際の活動としましては、2本柱となっており、研究者や技術者が直接参加して次世代と触れ合いながら行っていく活動と、それをベースにしながら教育コンテンツ化し、ICTなども活用しながら、学校教育で使えるような教材という形で様々な教育機関に提供するといった浸透普及活動になっております。また、この手法を初等中等教育のみならず、高等教育やリカレント教育にも生かしていこうということで行っております。
その中で東京大学全体では、JSTの助成を受けまして、UTokyoGSC-Nextといった取組も行っております。こちらは選抜を行いながら、最後まで進んだ生徒さんは、大学の研究室で実際に研究活動を行うというようなSTEAM型の課題研究を実施するプログラムになっております。こちらのほうは、東京大学内の15の部局、研究科や学部が連携しながら行っております。それに加えて、コンソーシアムとしまして、12の企業、18の教育委員会や5つのNPO団体等、様々な機関と連携しながら行っている取組になります。生徒さんたちは、非常に積極的にいろいろなところで発表し、受賞も多数しております。また、この取組は、科学技術人材育成プログラムなんですけれども、受講生の半数が女子生徒ということで、それが非常に特徴なのではないかと考えております。
また、先ほど少し申し上げたとおり、企業や組織連携における教育活動ということで、様々な企業と連携しながら、企業の持つ様々なコンテンツや本物をうまく教育に生かしながら、本物体験をしてもらう機会であったり、大学や企業の研究者と直接接するという機会を通してキャリアパスを考えてもらうような機会を設けるようなワークショップを実施しております。
また、このような、産学連携で行っていく教育活動というものを進めやすいシステムの構築も目指して、産学連携の取組を改善しているところでございます。
そして、企業のみならず、自治体や教育委員会と連携しながら大学や産学連携で行った教育活動を、今度は広く学校教育にも生かしていこうということで、教員研修も含めまして、いろいろな教育委員会でこのノウハウをお伝えし、学校教育に還元していく取り組みを行っております。そして、次世代のイノベーション人材の育成に向けて取組を行っているところになります。
そして、このような取組をしながら見えてきたところとして、高い意欲・能力をさらに伸ばすための取組に加えて、科学技術人材の裾野拡大に向けた取組、この2つは両輪でやっていく必要があるな実感しております。やはり裾野が広くないと山は高くなっていかないですし、全体的な大きさもなかなか広がっていかないため、この2つは両輪でやる必要があるなと考えております。そういった中で、特に高い意欲・能力をさらに伸ばすためには、大学や高校だけではなく、産学官民連携でネットワークをつくりながら、社会全体でそういった生徒さんを伸ばしていく必要があると考えております。
また、裾野拡大に向けた取組は、やはり学校現場が一番効果的かと思いますので、様々な取組、産学官民連携で行った取組を学校現場で使えるような、教育モデルとして全国展開していくということが必要かと考えています。
また、女子生徒さんを増やしていくという点は、その後、女性研究者の育成にもつながるかと思います。文理融合や社会課題の解決、社会に貢献したいという生徒さん、女子生徒さんが非常に多いというふうにも思っております。そのため、社会課題を科学技術をもって解決するという視点や気づきというものを初等中等教育段階で設けるというところが必要ではないかと考えています。そして、発達段階や興味関心に応じて、体系的な教育機会を整備していくことが必要かと思います。
そのためにも、継続的な人材育成を支える制度・体制の整備が非常に重要になると思います。組織的な体制としては、大学内だけではなく学外の体制の整備であったり、そういったものに取り組める専門人材、コーディネーターであったり、そういった方々を継続的に配置していくということが非常に重要かと思います。また、大学や企業の参画を促す、評価であったり、インセンティブデザインといったところも考えていかなければならない考えております。
また、このような教育活動、人材育成というのは継続的な取組が必要になりますので、それを可能とする助成や支援制度を拡充していくことが必要です。現在もSSHやSTELLAというものは、様々な機関が連携して初等中等教育、特に高校生の育成を行っていくというところになりますが、そういった支援制度など、大学や企業がうまく参画できるようなエコシステムを構築していくことが必要ではないかと考えております。
少し駆け足となりましたけれども、私からは以上になります。ありがとうございました。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 金沢工業大学の高橋真木子と申します。ペーパーはないんですけれども、今までの省庁からの資料に基づいて3点ほど申し上げたいと思います。
一つは、第7期基本計画策定の委員を務めさせていただきました。マクロで見れば研究資金を入れれば研究成果が出るというのは、間違いなく言えることだと思います。私はJ-PEAKSを事業設計から携わりましたが、研究大学群の形成というのは必須のものだと考えます。ただ、その3つの事業、国際卓越とJ-PEAKS、そして、今、新たに提案されているものの区分というのはやはり必要なところかと思っています。3つの自牛が全体として有効に活用できればというのは本当に願うところです。
2点目は、大学と国研です。私、この大学の教員をやる前に理化学研究所、国研と国立大学2つで今でいう研究開発マネジメント人材のような仕事をしておりました、プレーヤーとして。その経験から申し上げますと、政策で見ると国研と大学は同じ研究活動をしていますが、全然実は違う組織の性格を持っています。大学はやはり教育というミッションがあります。学生を育てて、きちんと論文を書かせる、それは公開性が必要ですけれども、研究活動を通じた教育活動です。
一方、国研は、同じ材料の研究をやっていても、いわゆるイノベーションにつながる、そういう研究活動であるという意味では、場合によっては情報管理をしたり、成果を特許に出さないでノウハウで秘匿したり、データ自体も出す、出さないのいわゆるオープン・クローズが可能な場所という意味では全然違う。この2つの組織の性格を使いこなすことが非常に重要になっております。
そういう意味で、お題の大学と国研の連携は必須であり、それをどうやるかですが、人と物です。ここをちゃんと共有して、もっと国研と大学研究者のクロアポや、物理的に近い場所であればもっとフレキシブルに、教育は大学でやるけれど研究は国研でやるというような人がもっと出てきてもいいんじゃないかと思っています。
国研にはやはりとんがった、理化学研究所、NIMSも、AISTにも、研究テーマに即した研究開発マネジメントの経験値と人材が蓄積されている。ぜひその特区的な研究テーマに必要なルールを、オンリーワンかもしれないけれど、作り使う場所とそのテーマというものを与えていただき、それが大学にも横展開されていくというような、そういうとんがった部分はしっかりとんがっていただくというところをぜひ頑張っていただければなと大学人としては思います。今回、経産省の契約学科のような取組もそういう意味では大変面白く、かつ大学がフィールドになるという意味では教育効果も望めると思うので、大変いい取組のパッケージなのではないかというふうに思いました。
3点目です。私自身が理研等でいわゆる研発マネージ人材をもう十数年、やっておりますが、それってどんな仕事なのか?どんな人種なのか。、URAといいますがが、アルファベット読みすると「うら(裏)」と読めます。裏方なんですかという質問もあります。仕事を理解していただくため、よく使う例示は、もし研究者が作家ならURAは編集者です。もし研究者が、いわゆるレアルマドリードのピカピカのサッカープレーヤーであれば、URAというのはチームを支えるデータアナリストだとか、リクルートスタッフだとか、チーム活動を支えるプロフェッショナルです。そういう意味で、URAへの仕事というのはますます大学の事務方の強化と一緒に必要になっています。
例えば、今、川越先生のすばらしい取組を伺いました。先生、宇宙物理の研究に加え、こんなこともこんな時間をかけてなさっているんですかということだと思います。今、ほとんど全ての政策というのが連携を求める中で、連携するための人も必要です。そういう意味で、URAは本当に今後も必要ですし、それ以外のもっと広い研発マネージ人材を投入しないとと考えます。最初の文科省からの御説明で、日本は国際比較で研究支援人材が少ないですねと言われましたけど、残念ながらあの数字は日本の研究環境の劣後を示す指標の、氷山の一角だと思います。なので、URAを増やすということだけではなくて、研究全体をパッケージで上げていくために一つの指標として用いるという考え方があってもいいのではないかというふうに思います。
ぜひ引き続きそこは投入していただく資源等があればいいと思いますし、また、今まで実は蓄積として15年やってきています。今、全く出来ていないゼロの状態ではなくて、100点満点までは行かないけれど20ぐらいまで来ていますという、この現実の状態を褒めるというところでは、定量的な指標も、今後、人材にも入れていくといいのではないかと思っています。
ありがとうございました。以上です。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございました。千葉委員、お願いいたします。
【千葉委員】 東京農工大学の千葉でございます。資料6-3に基づいてお話をさせていただきます。
今日、御提案いただいたこと、まさにそのとおりで、私はそれをどうやったら日本の国民目線につなげることができるか、国民の支持を得ながらもっとそこはしっかりやらなければいけないというような思いにみんながなって、その提案が前に進められるだろうかということを考えています。
1ページ目に、日本が直面する最大のリスク回避ということで、このリスクについてはもう日々、皆様、テレビ等での報道で御存じのことばかりでございます。生産年齢人口が急速に減って6,000万人程度になる、もうこれは経済的に衰退するということにかなり近いものが見えているんです。それから、高度人材の供給力が既に主要国の3分の1とか、それから輸入依存度が非常に高い、要するにこれは地政学リスクも含めて非常に国民的にもリスクが高い状態になっているということです。これ、一たび落ち込み過ぎると、もう回復には30年以上かかる。この問題を先取りして再浮上の道を開かなければいけないというのが、基本的に私の考えでございます。
2ページですけども、国家としての目指すべき姿、ここを明確にする必要がございます。これまでは日本は教育、比較的知識国家という観点で来ましたが、これからは創造国家ということ、これを実現するためには責任と行動を伴うということが重要で、この部分も日本人全部がしっかりと意識しなければいけないことではないかなというふうに思っています。
大学は教育研究機関を越えて未来社会を設計する拠点になるという覚悟が必要であろうと。初等中等教育は、知識ということよりもむしろ才能の発見と育成というような概念をもっと強化すべきだろう。高等教育は融合教育機関、割と固定化しているところからその構造を変えていくというところをかなり決断して進めなければいけないだろうということです。博士人材は国家の知的インフラ、それから社会人教育、リカレント教育等、これはまさに国家競争力そのものであるという意識をもっともっと広い人たちに理解をしてもらう必要があるだろうということです。
3ページを御覧ください。
一つは、説得力があるのは経済的な効果です。既にGDPが人手不足により2.6%程度下がっている。これ、15兆円ぐらいなんですけども、したがって、低く見積もっても10から20兆円以上の経済規模のプラスになることを、今、私たちが語っているということはもう、これは特に経済界の人たちには理解をしていただく必要があるだろうと思っています。それ以上に大事なのが技術輸出力、産業競争力、食料自立技術、人材の国内循環に基づく国家としての自立的存続基盤の確保ということで、これ、まさに今の政権が求めていることでもありますし、これはもう国民的にも必ずこれは実現しなければいけないことだろうというふうに思っております。
こういう話を、私も大学の人間ですけど、大学側の人間が言うと、もっと大学に手厚くしてほしいんだろうというような話になるんですけども、そこに説得力を出すためには、やはり大学側が、かなり改革は進めているんですけどもっとこんなことをしますということを言っていく必要があるだろうというふうに思っています。それが4ページです。
これが、やはり閉じた組織の要素がまだあるので、これを開かれた組織へ、それから失敗を避ける文化から果敢に挑戦する、こういうところにとにかく大学がさま変わりしていくというところに勇気を持って踏み出すことが大事だろうというふうに思っています。
教育、高度な融合教育、これ、今、多くの委員の先生方がおっしゃったとおりでございます。それから、研究についても、もっと社会を見詰めて、社会課題というのを認識した上でどうしていくか、それから教員も固定構造から流動チーム型にするという、これもかなり大きな決断が必要なんです。当然、自由な基礎研究、これが国の基盤強化と進化に不可欠であるということは、これ、当然のことですよね。初めてこういうことをやって基礎研究の重要さも理解されてくるのかなと思っています。国家の知的インフラ改革ということです。
最後のページになりますが、いろいろな表現があると思いますが、「日本が21世紀後半に「尊敬される中心」になるための国家構想」ということで、これはもうまさに日本がこれから、今まで歴史的にもこういう考えを持ってきたはずです。例えばAI・量子とありますけど、大事なのはそれを使って次に何をするかとか、それから自然資本、これ、実は日本はすごく恵まれているんです。ただこれをまだうまく利用していない。これをどう価値に変換するか。こういうことを一つ一つやっていくと、日本は世界をリードする国になっていけると私は思っています。
ですから、技術、その次、価値、その次、秩序、その次、そういうふうに、今、世界で何が起こっているかじゃなくて、その次は何が大事かということを考えていく。これが実現するのはまさに持続的に生み出される人材だと思っております。
以上でございます。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。岩村委員、お願いいたします。
【岩村委員】 ありがとうございます。経団連の岩村でございます。貴重な機会をいただきまして、感謝申し上げます。資料を御用意いたしましたので、6-1を適宜御覧いただきたいと思います。
資料の1ページです。これは経団連の取組の御紹介でございますが、2024年に、経団連は、2040年に向けたビジョンをつくりまして、その中で、目指すべき国家像の一つとして「科学技術立国」を掲げました。それに向けた戦略につき、議論を深めるため、委員会を設置し、教育から産業競争力強化までを一気通貫で議論しております。日本成長戦略会議が立ち上がり、議論が具体化するタイミングをとらえ、「科学技術立国」に向けた議論の要点を2025年12月に緊急提言という形でまとめ、日本成長戦略会議で筒井会長から高市総理に直接提言をしたいたしました。この緊急提言を中心に、人材育成について、今日、2点、御説明をいたします。
資料の2ページ目でございます。
論点1、成長戦略に貢献する観点から、人材育成の施策として重点を置くべき点は科学技術人材を育てるだけでは不十分であり、育成から確保、流動化まで含めた人材戦略として設計すべきと考えてございます。
育成に関しましては、小・中学校の段階から科学に対する関心を涵養しつつ、高校から大学院までは理系・エンジニアリング人材の育成を抜本的に拡充すべきであり、とりわけAI、半導体、バイオ等の成長分野を見据え、理系学部への転換や、それから定員増、高専の新設等を通じ、質と量の両面で人材を厚くしていく必要があるということでございます。
また、理系人材の出口、キャリアとして、若手研究者、また博士人材が魅力的な処遇の下、将来に対する不安なく研究に打ち込める環境が不可欠です。とりわけ政府には、アカデミアにおける若手研究者の処遇改善を期待してございます。当然、企業側でも、魅力あるキャリアパスを提示して理系人材、積極的に採用してまいります。
次に、確保、流動化でございます。産学官については、兼業・副業、またクロスアポイントメントの促進が求められます。その際、アカデミアの報酬、処遇を民間並みに引き上げていくといったことも重要な論点かと思います。
さらに国境を越えた流動化・循環も重要でございまして、既にJ-RISE Initiativeとして、世界トップレベルの研究者の招へいに向けた取組において成果が出始めていると伺ってございますが、成功要因を抽出した上で、政策を総動員し、世界トップレベルの研究者をさらに誘致すべきと考えてございます。こうした取組を通じて高まった人材流動性が多様性を生み、ひいては研究成果が社会実装につながりやすい土壌をつくっていくと考えてございます。
続きまして、資料の4ページ、お願いいたします。
論点2、人材の育成・活躍を中心として、研究大学群と国立研発法人に着目した際に、組織・機関に期待する役割、また強調すべき点はどこかというところでございますがまず、研究大学群につきましては、各大学が世界にその存在を示し、世界中からトップレベルの人材を呼び込む役割を担っていただきたいと考えてございます。世界の知とつながって形成されたエコシステム、これは我が国におけるイノベーションの土壌になり、沖縄科学技術大学院大学(OIST)は参考にすべき成長モデルと考えてございます。これを特殊事例として扱わずに、成功要因を抽出して国内の他の大学へ横展開をするといったことを検討いただければと存じます。
同時に、少なくとも世界と伍していくという評価をする研究大学につきましては、学生・研究者の全員に海外留学・派遣を義務づけるなど、目線をグローバルレベルへ引き上げる仕掛けを期待します。海外への留学・派遣を通じてつくられたネットワークやの人脈は、世界から我が国に人材を呼び込むことにもつながると考えてございます。
研発法人でございますが、国家課題の解決と社会実装の橋渡し役に加えまして、現下の安全保障環境も踏まえて、セキュアな環境の下で研究開発、産学連携を進めるプラットフォーム、いわゆるオフキャンパス機能の提供主体としての役割を期待したいと思います。これらの取組においては、産学共同研究を戦略的に推進する統合研究マネジメント人材の育成、これが重要と考えてございます。
以上、経団連としましては、科学技術人材育成は、科学技術立国を支える中核であるとともに、育成・確保にとどまらず、産学官国内外での循環まで含めた人材戦略へと位置づけることが重要であると考えております。その上で、研究大学群、それから国立研究開発法人が果たすべき役割は極めて大きいと期待しております。また、我々経済界といたしましても、研究開発投資、設備投資に加えまして人的投資、これをさらに拡大してまいる所存でございます。
私からは以上でございます。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございます。
最後に、海外からオンラインで水田委員、御出席くださっております。お願い申し上げます。
【水田委員】 水田です。よろしくお願いします。機会をいただきありがとうございます。
まず初めに、ちょっと簡単に改めまして私の自己紹介ですけれども、20年ぐらい前に、まさに御議論いただいていますようなイノベーションというのをライフワークにしたいなというふうに思いました。当時、日本も技術立国あるいは技術が比較的強い、優位性があるというふうに見られていたんですけれども、IMDとか、いろんなシンクタンクの国際競争力ランキングなるもの等を見ますと、やはり20位、30位というところが目立って、ここに不思議な違和感と興味を持ったんです。調べていくうちに、やはり科学技術とマーケットをつなぐ、そこのブリッジをするところにイノベーションマネジメントなるサブジェクトがあるんだと、そういう専門領域があるということを知りました。ですので、そこを改めまして体系的に学んで、技術開発から生まれた知をマーケットに持っていく仕事を生涯やっていきたいなというふうに思いまして、ここまでキャリアを歩んできています。
新卒でトヨタ自動車に入りまして、研究開発、出口戦略をもっていかにしてやっていくのかということを組織的に学ぶことができました。その後、自動運転、AIロボティクスのベンチャーに行きまして、恐らく当時、日本の公道で初めての自動運転をやったのが約10年前というふうに記憶しています。その後、地方から分離・独立しましたジェットエンジンの部品を作る重工系スタートアップ、いわゆるディープテック、そういったところの会社の役員としてイノベーションをリードしております立場です。
その間、それこそお話にありましたNIMSさんとの共同開発により、また文科省さん、JSTさんからも御支援いただいて、無事にエンジン、海外の民間ジェットエンジンに搭載できる合金のプロセス開発に成功して、今年から量産をするつもりで会社として投資をしていくという、そういう状況でございます。
中身に参りたいと思います。次のページ、お願いします。
私はもうこのスライド1点のみです。「日本CTO必要論」というところで、CTOというのは、先ほど申し上げた、この絵で言うと左下にあります大学や研究機関で培われたそういう知、そことやはり国内外の市場、地域社会をブリッジする、まさに科学技術と市場を対話して経済的価値に発展させていくというポジション、それが最高技術責任者と一般的に企業では言われます。ただ、まだまだこれ、マイナーなまだ言葉でして、CEOとかCFOというのはかなり日本でおいても浸透したかもしれませんが、このような人材というのが非常に重要で、国レベルでも、先ほど先生方からも、どういったプロジェクトに、あるいは選択と集中の問題点もありました。国としてのどういった技術や科学技術に投資をしていくのかという目利き、これは日本国としてのCTO機能というのが必要だろうというふうに思います。
企業経営と一緒で、国家の経営、国家の成長戦略としてどういう方向に成長させていきたいか、そこに出てきたのが17の成長戦略分野だと思いますが、その上で各個別のプロジェクトにおいての目利きというのが非常に必要、大学研究機関においても、当然、金融機関や企業人に対して研究のアピール、優位性をアピールしていく、プレゼンしていく必要がありますのでCTO的要素というのが必要ですし、当然、大きな経済的な価値に変換していく上での企業というのは資本主義の中で大きなエンジンですので、そのエンジンの中で優秀な一流のCTO、先ほどからマーケットもグローバルにというのはありますが、実際、科学技術分野における例えばPhD、分かりやすく言うと、これ、全てではないですが、MBA的要素を持っていて、グローバルに通用して、地域と中央の状況も分かっていて、昨今の話でいくとフィジカルとAIも分かっていて、これ、全部掛け算したら、多分、もうほぼゼロ%に近いかもしれません。ただ、そういう人材というのは必ず育成できますし、おられます。
ですので、そういう理想は、昨今、そういったフィジカルAIにしても、フィジカルとデジタルを両方理解できる者、地方で経済活性するんであれば、やっぱり中央にある大企業の論理と地域の中小企業の論理、やっぱり分かっておかないといけないですし、そういったいろんな意味でのハイブリッド人材、ブリッジできる人材、そういう人材を科学技術の分野からつくっていく、そういった科学技術育成分野での教育において、イノベーションマネジメントの要素を加えていただけると非常にいいのではないかと思います。
2番の四角で、これはもう文科省さんがずっと提言されておられます、そういった科学技術人材の育成の方向性、また国研の機能拡大の在り方、この辺りに私は基本的にも賛成しておりますし、これを、今回、CTOのお話をしましたけれども、この要素を加えていただいて、経済成長に資する科学人材育成の実現につなげていただければなというふうに思います。
以上です。ありがとうございます。
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございました。
本日、たくさん幅広く、また大変重要な御意見いただいたところでございます。時間も過ぎてございますけれども、小林副大臣よりまとめの御発言をお願い申し上げます。
【小林文部科学副大臣】 科学技術を担当しております副大臣の小林茂樹でございます。本日お集まりの先生方、貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございます。
我が国の成長戦略を実行していく上で重要であります科学技術人材の育成、そして基盤となる研究大学群及び国立研究開発法人の機能強化を進めるに当たり、今後の取組を進める上で大変必要な意見を頂戴いたしました。本日の御意見を踏まえまして、文部科学省としては、科学技術人材育成に初等中等教育、高等教育と連動して取り組むとともに、関係省庁や経済団体等とも連携をしながら、研究大学群の形成など、必要な支援策を充実をさせてまいります。
皆様方におかれましては、これからも我が国の人材育成に向けて貴重な御意見を賜りますよう、御協力賜りますようお願いを申し上げまして、簡単ではありますが御礼を申し上げます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
【井上科学技術・学術総括官】 ありがとうございました。
改めまして、委員の皆様、また関係府省の皆様、本当にありがとうございました。副大臣からのコメントも踏まえまして、我々、しっかり検討を進めてまいりたいと思います。
以上で本日の分科会を終了いたします。どうもありがとうございました。
(以上)
大臣官房政策課