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ヒアリングを通じて現場の声を聞くことで、カビの問題が深刻な問題であることがわかった。最終報告までにさらにヒアリングを重ね、より広い分野で起こっている問題の実態を把握し、組織だった対応をしていくことが必要である。短期的には難しい問題が多いが、文部科学省や文化庁がきちんとリーダーシップをとってほしい。厚生労働省でもカビの問題に取り組んでいるが、これといったマニュアルはなく、文部科学省の取組に期待している。
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カビ対策は現状では個別対応になっており、組織対応を可能にするため、人材育成も含めて個人、機関等のさまざまなレベルでカビ対策のネットワークを形成していきたい。また、現場に対して適切なアドバイスや専門家等の紹介を行える相談窓口を設けていきたいが、その際は現在カビ対策に直接的に関わっている人達以外にも幅広く協力いただけるような工夫をしていきたい。さらに、カビ対策に科学技術の視点を採り入れたり、更新を前提に常に現場で役立つようなマニュアルを作成したりしていきたい。以上のような点について、文部科学省全体としてきちんと取り組んでいきたい。
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バブル期にたくさんの施設ができたが、最近は財政的な事情もあり、施設の維持・管理のランニングコストを抑えるため、空調を制限するなど施設の機能を十分に生かせていない面もあるのではないか。
マニュアルは一朝一夕にはできないが、作るからには現場でしっかりと採り入れられるよう技術的な問題点をクリアしておくことが重要である。今後、制御の問題を中心に詰めて基礎を固めていきたい。
また、突発的な事故に対しては事例集が役に立つのではないか。同じパターンでカビ被害が発生することもあり、事故の内容とその処理方法を集積・集約しておくとよいのではないか。
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事例集はQ&A等の形でホームページに掲載することが有効である。
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どこでどのようにして事例の集積を図るかを考えておく必要がある。また、解説は専門家にお願いしなければならず、人の確保も必要である。
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マニュアル作成に関し、東京文化財研究所で手引書を作成した際に要した時間等を教えていただきたい。
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ガイドブックはそれ以前の文化庁における検討を含めると2年以上の歳月を費やしている。チャートも調査研究の期間を含めると同様である。ただし、情報収集とその選別に要する時間が相当程度あり、過去の経緯に詳しい方の協力を得られれば半年から1年である程度のマニュアルを作成することも可能ではないか。
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マニュアルには新しい知見や技術をどんどんと入れていけるようにすることが重要。
施設管理に関しては環境の汚染状況に関する試験方法の統一を図ることが鍵となる。外注されることが多く、従来は医薬品や食品分野で用いられている方法を踏襲して行われているものと考えられるが、より文化財等に適した形にしていくことが重要ではないか。
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内容によってはマニュアル作成に相当の時間がかかることは致し方ないが、これは危機管理の一種であり、きちんとプライオリティをつけて対応することが重要である。そのためには、まずはカビを防ぐ方法を周知していくことが先決であり、テーマを絞ることでマニュアル作成の時間も短縮することができる。
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危機管理という考え方に賛成である。現場ではいかにカビを防ぐか、いかにカビを早期発見するかに努めており、この点に対するアドバイスが出せるとよい。
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研修の効果を高めるには資料や口頭説明だけでなく、実際に物を見せて説明することが重要である。また、予防の重要性を認識させることは難しく、被害の状況をしっかりと周知するなどの工夫が必要である。
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食品分野ではHACCPに予測微生物学が導入されており、将来的にはカビ被害の予防にも活用できるのではないか。
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カビ被害の実態等に関する調査研究は今後のカビ対策の前提となるものであり、しっかりと取り組んでどういうカビによってどういう被害が発生しているのかをきちんと把握してほしい。
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ヒアリングを通じて、十分な現状認識がないまま対策を講じている例もあるものと認識している。カビの被害実態といった情報はなかなか入手しづらいものであるという話もあったが、初動の対策を充実するためにも、できる限り同一の方法で被害実態を把握していくこととしたい。
また、ネットワークをきちんと構築し、試料を専門家に送ればカビの種類の同定及び適切な指示がもらえるような環境を整えていきたい。国全体としてカビ対策の作業がとまることなく回るようにしたい。 |