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酸化チタン光触媒を搭載した空気清浄機を用いることで、カビの胞子の縣濁液を噴霧したチャンバー内でパンにカビが生えるのを防げたということだが、通常はカビが菌糸を伸ばしてしまい、簡単に除去できなくなるのではないか。
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空気が非常にきれいになったということのほかに、縣濁液の噴霧という手法を用いたことで、胞子がそれほど強くパンに接触しなかったのではないか。
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実際にカビが生えているパンを用いた実験はしたのか。
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現在行っているところである。効果はありそうである。
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微細レベルで見たときに、酸化チタンの表面ではどのような反応が進行しているのか。
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アルコールからアルデヒド、アルデヒドからカルボン酸へという逐次的な酸化反応である。水中で長時間光をあて続けた場合、ゴキブリのような大きなものが完全に二酸化炭素に分解され、跡形もなくなるという報告もある。カビの胞子であれば比較的短時間で分解されているのではないか。
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用いる空気清浄機によっては、酸化力が弱いためにアルデヒドで反応がとまり、トラブルが起きている。こういった製品に対する規制の方向性はどうなっているのか。
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大気中で使用する場合、水中で使用する場合、抗菌用に用いる場合など、用途に応じて製品規格を定め、標準化するべく経済産業省で取組が進められており、一部には草案もできている。一口に光触媒といっても、作成方法によって月とスッポンほど反応性が異なる。したがって、反応性の十分高いものを使う必要がある。
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光触媒を搭載した空気清浄機付きの収納棚がすでに市販されているが、この場合の効果はどうなのか。
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そのような製品の話は聞いていないが、室内で用いる場合には反応性が弱いかどうかすぐに気が付くはずである。実際、室内灯で作用する光触媒はまだ市販品ではない。
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あらゆる有機物を分解するということであれば、文化財等への適用について注意が必要になるのではないか。
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光触媒反応は酸化チタン光触媒表面のみで進行するものである。すなわち遠隔的に文化財等を守るものであり、文化財等へ影響を及ぼさずにカビを殺すこともできるのではないか。ここが重要な点であると思っている。
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カビに対する殺菌効果が実際に現れ始めるまでの時間は計測しているか。
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簡単な実験であり、そこまで細かく見ていない。1週間で目視による明確な差が出ていることは事実だ。光触媒の量を多くすれば、短時間で処理できることになる。
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カビは有機物の上に生えることが多い。その有機物が文化財だったりするわけだが、それに対する影響はどうか。
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文化財自体に直接触れることなく、遠隔的に周りの空気がきれいになることで殺菌効果を発揮する。無機物であり、触媒自体がカビの発生源になることもない。これらは大きなメリットなのではないか。反応はあくまで触媒表面においてのみ進行するものである。
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カビに影響があって、パンに影響がないのはなぜか。
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空気がきれいになってカビのエサがなくなるのではないか。空気中のカビの胞子も分解している。
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現在、カビが発生した場合には、まず汚染物を隔離することから始めている。隔離先の部屋に光触媒搭載の空気清浄機を設置することは有効なのではないか。
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カビの生育進行を止めるだけでなく、殺菌効果も期待できるだろう。ただし、製品によって性能が大きく異なるので、専門家と相談して十分な反応性のある光触媒を使うように注意していただきたい。 |