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白いカビの写真を拝見したが、単一もしくは数種類のカビのように見える。それが何かを調査して、カビの性質を確認しておくことが重要。
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古墳内の温度は年間どのような感じか。
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最近は17度から20度くらいで変化している。地表に比べて4ヶ月遅れており、4月、5月が一番低く、10月くらいが一番高い。ただし、以前は最低温度が14、15度であり、全体的に温度は高くなっている。
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福岡県装飾古墳保存連絡協議会を結成され、マニュアル作りに取り組んでいらっしゃるとのことだが、何が一番の課題となっているか。
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保存施設を持つ古墳の場合は入室時の方法をどうするかが一番の課題となっている。一方、保存施設がない古墳の場合はそもそもカビ被害をどう防ぐかが一番の課題となっている。また、カビ対策を定期的に講じるほうがいいのか、カビが生えてから対策を講じるほうがいいのか、意見が割れている。
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カビが発生した場合は、直ちに専門家に相談した方がよい。石室周辺に鋼土を埋めているとのことだが、地元のものなのか。
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地元の石灰岩地帯で採れる、密度の大きい粘土状の赤土を用いている。
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白カビという言葉を用いているようだが、どのようなカビなのか。
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見た目から用いている用語であり、詳しい菌種は分からない。
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一度枯れたあとで何度でも生えたということから、土壌中から供給された窒素源、炭素源を栄養としていたものと考えられる。また、きれいなコロニーを形成していたことから、貧栄養下でも生育できる数種類の菌なのではないかと考えられる。菌種を同定することは微生物制御に欠かせないため、しっかりとした調査が必要。
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調査時の報告書を持っていないため、経験でお話するが、九州の装飾古墳におけるカビの生え方には大きなコロニーを形成する場合とポイントで生える場合の2種類がある。後者はさまざまな種類のカビがあるが、前者は大体フザリウムとトリコデルマが多い。
対策としては、石の上に直接顔料がのっており、筆等で触れないことからホルマリン3パーセントを加えたアルコール水の噴霧を行っている。王塚古墳の場合は大規模な散布は行わなかったが、漏水対策を含めた保存整備がしっかりと行われており、前室における環境管理で今後の微生物制御をある程度行えると考えたからである。今後、大規模なカビ被害が発生した場合は、改めてきちんとした調査を行う必要があるだろう。
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前室を清潔に保つなどの取組が重要。エアシャワーを設置すれば高レベルの微生物制御が可能になる。 |