令和7年11月25日(火曜日)15時00分~16時10分
Web会議
樫谷隆夫主査、植草茂樹委員、江戸川泰路委員、加用利彦委員、野々村愼一委員、水田健輔委員、山﨑聡一郎委員
村尾国立大学法人支援課長、北野国立大学法人支援課企画官、田畑国立大学法人支援課課長補佐、山田国立大学法人支援課専門官
日本公認会計士協会
【議事1:主査の選出について】
全会一致で樫谷委員を主査に選任することを決定した。
【議事2:改正リース基準の反映に係る論点について】
事務局
資料2に基づいて内容を説明。
委員等
今回の改正リース基準の反映について、大学の事務負担がどれくらい増えるのか事務局としては、何か調査をしているのか。
事務局
この点については、第2回の会計基準等検討会議までには大学に調査を行い、現行基準におけるファイナンス・リース、オペレーティング・リースの件数や簡便法で対応できるリースの件数がいくらあるのかなど各大学の事務負担度を調査したいと考えている。
委員等
この会計基準等検討会議では、国立大学において必ず改訂しなければならない基準と必ずしも改訂しなくてもよい基準を区別したうえで、ステークホルダーへの情報開示の観点で妥当とされる範囲内で必要最小限の改訂とし、極力、大学の事務負担がかからないように配慮をすべきと考える。その観点をもって、委員、事務局には検討をお願いしたい。
事務局
国立大学法人の会計基準は、令和2年度の「戦略的経営実現に向けた検討会議」に基づき、市場から新たな投資を呼び込むために企業会計に近づけ多様なステークホルダーに理解しやすい会計基準を作成すること念頭に順次改訂を実施しているところである。したがって、企業会計と異なる点があれば、その合理的な理由を説明する必要があるが、事務負担の増加という理由では説明困難であると考える。
事務負担増加の調査実施、適用年度の後ろ倒しによって、事務負担増加への手当をしているところであるので、改訂自体は実施する方向で検討いただきたい。
委員等
基準改訂にあたって、事務負担も考慮に入れるべきという点は同意する。改訂にあたっては、企業会計基準や独立法人会計基準が改訂されたことのみを理由とするのではなく、改訂により大学運営上どのようなメリットがあるのかを十分に検討し、説明することが重要である。また同様にデメリットの面も検討が必要で、事務負担もさることながら、例えば運営費交付金の予算要求で不利になるなど、大学運営上配慮が必要な事実がないか確認し、十分に検討、説明したうえで改訂すべきである。
委員等
いくつかの大学にヒアリングしたところでは、大学本部だけではリース契約の全体は把握できておらず、部局で管理している契約を調査しなければならない状況のようである。特に附属病院で管理しているリース契約が多く存在しているのではないかと推測する。したがって、まずは事務局のアンケートにより、リース契約の全体像を把握してほしい。
委員等
例えば、大学債を発行している大学とそうでない大学で改訂基準を適用する、しないの差異を設けることも事務負担軽減の一案と考える。そのように大学間で差異を設けることが可能であるかも含めて、事務局には検討をお願いしたい。
委員等
委員の発言を受けて事務局に確認したいが、国立大学法人会計基準において、大学の規模や属性などの違いによって異なる基準を設けている箇所はあるのか。また、そのような基準の設け方も想定して検討していいのか。
事務局
国立大学法人は適用されるすべての組織が教育・研究という同一の事業をしている点に特徴がある。このため、全国一律で、同一取引には同一の基準が適用されることが基準上求められている。
このような基本的な考え方に基づき、大学の規模や属性などの違いによって導入の有無が左右されるような基準は原則として制定できない。
【議事3:有価証券に係る会計処理について】
事務局
資料3に基づいて内容を説明。
委員等
その他有価証券への区分をより柔軟化する点については、国立大学法人法の改訂に基づく資金運用の規制緩和の実態に合わせるものであるので、特段問題はないと考える。一方で、満期保有目的の債券に係る注解23の「債券を購入した中期目標期間後の中期目標期間において」という要件については、新たな中期目標期間に入り、国の意思が反映された中期計画に基づいて大学が運営されるため、恣意的な売却に該当しないと整理していたのではないかと記憶している。この要件を削除した場合、国立大学法人等では保有目的の変更をせず、随時買い替えが可能となるが、既に注解23では「売却した債券と同じ事業年度に購入した残りの満期保有目的の債券の全て」というように保有目的の変更が残りの債券全てに及ぶ企業会計よりも限定し、規制が緩和されているところ、さらに追加の緩和をすることになり、企業会計に比して過剰な緩和であるとの見方もできるので、注意が必要である。「債券を購入した中期目標期間後の中期目標期間において」という保有期間の制限は、「売却した債券と同じ事業年度に購入した残りの満期保有目的の債券の全て」という保有目的の変更が必要な債券の範囲を限定する緩和策の代わりに認められたものと解釈することもできる。このような、緩和が過剰ではないかという意見があった場合、事務局としてはどのように説明する予定なのか。
事務局
その点は、この基準の基になっている独立行政法人会計基準の平成15年改訂の検討過程を確認した上で次回の検討会議で説明をさせていただきたい。
委員等
現行の注解23において「債券を購入した中期目標期間後の中期目標期間において」という保有期間の制限を設けているのは、国立大学法人等は原則的に債券を長期保有するものと考えられていることが原因ではないのか。
事務局
現在確認できる限りでは、この基準が制定された検討過程においてそのような考え方は見受けられない。
委員等
委員の懸念点を考慮すると、保有期間の制限を解除するのであれば、企業会計に合わせて保有目的の変更の対象とする債券の範囲も拡大するべきではないか、という議論になると考えるが、そのような改訂をした場合、どの程度の影響が出るのか大学に実態調査を行っていただきたい。影響が出ないのであれば改訂をしないという選択肢もあるのではないかと考える。
事務局
保有目的の変更が必要となる債券に関する影響の調査については、現行基準のままであると売買目的有価証券にしか振り替えられないため、評価損益が損益計算書に計上されるという影響も検討することになるが、先に検討した「その他有価証券」への振り替えが可能となった場合は、損益への影響も大きく変化する。調査については、その他有価証券への振り替えが可能であるという前提で確認をするという方針でよいか。
委員等
それでよい。
委員等
余裕金の運用について、大臣承認を受けて高度な運用をする場合は、頻繁に債券の売買もするであろうから、改訂の影響も大きく、そのような高度な運用をしていない大学では基本的に満期保有目的債券を満期前に売却することはないので、大きな影響はないと推察する。
事務局
国立大学法人法第33条の5に基づく業務上の余裕金の運用では、最も高度な運用が可能となる基準4の二を取得している場合金銭信託として運用することとなるため、債券を直接保有して売買することはなく、基本的には満期保有目的の債券に係る会計基準の影響はないと考えている。一方で、第1から第3の基準については、自家運用となるので少なからず影響があると考える。
委員等
満期保有目的の債券について、金利リスクの変動を理由とした債券の買い替えは保有目的の変更を不要とする例外の要件に該当するとの理解でよいか。
事務局
金利リスクの変動によって、含み損が発生するなどの理由から異なる銘柄の債券に買い替えることは例外の要件に当たると考える。
委員等
企業会計では、信用リスクの変動については、保有目的の変更を不要とする例外規程があるが、金利リスクの変動によって買い替える場合は、例外には該当せず、保有目的の変更を必要とする処理が一般的になる。今後、日本の金利は上昇していくことが予想され、金利リスクの変動によって、今まで以上に買い替えが発生することが想定されることから、現行の注解23で金利リスクの変動を例外規程に含めていることには企業会計との差異として重要な意義があると考える。したがって、このような基準となった経緯を確認してほしい。
委員等
実務的な話となるが、「買い替え」とは、売却と購入がどの程度の間隔であることをいうのか。同日でないといけないのか、または一定の期間でよいのか。
事務局
明確な基準はないが、同じ会計期間内で買い替えをした場合という認識である。
【その他】
事務局
今後のスケジュールは、12月25日(火)に第2回を開催し、会計基準の報告書案のとりまとめの議論を考えている。また、次回には、「注解55資本剰余金を減額したコスト等に関する注記」に係る改訂案を追加予定である。併せて、今回依頼を受けた各大学への実態調査の結果も共有する。アンケートの内容については、後日確認をいただく予定である。
高等教育局国立大学法人支援課