令和5年度国立大学法人会計基準等検討会議(第2回) 議事要旨

1.日時

令和5年12月25日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 中央合同庁舎7号館東14階 高等教育局会議室 ※WEB併用

3.議題

  1. 国立大学法人会計基準の改訂について
  2. 国立大学法人等の事業報告書について
  3. その他

4.出席者

委員

樫谷隆夫主査、植草茂樹委員、江戸川泰路委員、金子靖委員、加用利彦委員、野々村愼一委員、水田健輔委員
(有識者)木村彰吾名古屋大学理事・副学長

文部科学省

伊藤文部科学戦略官、井上国立大学法人支援課長、柳澤大学研究基盤整備課長、山田国立大学法人支援課専門官、東條国立大学法人支援課専門官、齊藤大学研究力強化室室長補佐

オブザーバー

日本公認会計士協会
 

5.議事要旨

【議事1(1):大学運営基金に関する会計処理について】
(事務局)
資料1-1に基づいて内容を説明。
なお、前回(令和5年度第1回国立大学法人会計基準等検討会議)において、「有価証券を長期的に保有して果実を事業に充てる場合は、現物寄附であっても運用基金に入れられる仕組みとしたく検討する」と事務局より説明した点について、株式による自家運用が法令上認められていないこととの整合がとれないため、寄附で受け取った株式を資金運用目的である大学運営基金に直接繰り入れることはできない旨、説明した。
 
(委員等)
法令等に大学運営基金という特別な制度と位置付けて、その特別な制度に関する会計処理を国立大学法人会計基準に定める、という建付けにすべき。
 
(事務局)
国立大学法人会計基準も告示という法体系の一部である。運営方針会議は予算や決算の作成に関する事項の決議を行う。決算の承認は文部科学大臣である。
 
(委員等)
運営方針会議は、指名委員会等設置会社の指名委員会や株主総会などの一部機能を有するものと理解した。運営方針会議で予算や決算が決議され、業務執行を役員会が担うのであれば、基金への繰入は役員会の決議では不十分であり、運営方針会議の決議が必要と考える。
 
(事務局)
法令に記載している決議事項以外で運営方針会議が何を決議するのかは、立法趣旨をふまえて、大学の判断で行う部分もあると考えられるが、基金の繰入について運営方針会議への事後報告では不十分であれば、事前関与も検討する。
 
(委員等)
基金と目的積立金の差は何か。
 
(事務局)
目的積立金はその使途を中期計画に記載する。基金にはそのような仕組みは導入しない予定であり、使途が中期計画で明確に定められているかどうかという点が異なる。
 
(委員等)
基金は取崩を原則想定していないため、必ず取り崩す目的積立金とは明らかに違うと考えている。
余裕金の運用認定を取得し、運営方針会議を置いた大学は必ず基金を設置しないといけないのか。またこれらの条件を満たさない大学は引き続き寄附金債務での資金運用は可能か。
 
(事務局)
大学運営基金を設置できる要件を満たしたとしても、基金の設置は任意である。また、運営方針会議を設置していない大学が寄附金債務を原資に資金運用することは、引き続き可能である。
 
(委員等)
借入金で設備投資した場合、減価償却費分が赤字になり、借入の返済も毎期生じる。このような場合でも説明が尽くせるようであれば基金への繰入も可能ということか。
 
(事務局)
その通りである。資金繰りに問題が無いことを注記で適切に説明して頂く必要がある。
 
(委員等)
土地や建物の現物寄附は基金には繰り入れられないのか。
 
(事務局)
土地や建物は直接的に資金運用にあてられず、基金には繰り入れられない。
 
(委員等)
附属明細書の案に「名称」を記載する欄があるが、どのように区分するのか。
 
(事務局)
大学として基金の内訳を設ける場合は名称を付すこともできることを意図しており、目的ごとに名称を付すことを強制するものではない。
 
(委員等)
資料1-1の11ページのなお書き(なお、欠損填補のための資本性の財源の取崩充当は、資本取引・損益取引区分の原則の違反には当たらないと整理されている。利益剰余金がマイナスということは資本の部の一部が欠損している状態であり、それを事実として認識することは資本と利益の混同には当たらないと考えられるためである。)については、適切な手続を経たうえで充当することができるものであり、当然に認められるものではないため、削除すべき。
 
(委員等)
企業会計から見ると異例な処理であるが、大学が基金をもって自律的に運用する取組と理解した。運営方針会議で繰入や取崩を決めるという点についても、会議が設置されればよいというのではなく、実質的に適切な人材が確保できるかどうかが課題だと思う。
 
(委員等)
注解1の冒頭について「業務上の余裕金を財源とする資金運用を行う場合、当該運用の資金は国立大学法人等の財産的基礎を構成するものと考えられる」という表現は、通常の資金運用でも財産的基礎になるように読めることから、「所要の決議を経て資金運用管理委員会の方針に基づき中長期に運用し、原則取り崩さない性質のものであれば財産的基礎を構成し得る」等、条件を丁寧に記載してほしい。
 
(事務局)
承知した。
 
(委員等)
大学運営基金は損失の処理にも充てることとされているが、準用通則法における利益処分の内容に関する例外であり、会計基準だけ処理を定めることは難しいのではないか。
 
(事務局)
現時点では告示である会計基準で定めることとしているが、改めて省内の法令担当と協議する。
 
(事務局)
運営方針会議の法令上の決議事項は決まっているため、運営方針会議の決議とするかどうか等、基準の表現は引き続き調整させて頂きたい。
 
【議事1(2):国際卓越研究大学への助成金に関する会計処理について】
(事務局)
資料1-2に基づいて内容を説明。
 
(委員等)
国際卓越研究大学研究等体制強化助成の詳細な執行状況は、財務諸表ではなく国際卓越研究大学の制度の中で、年度報告等で提出させるのか。
 
(事務局)
その通りである。
 
(委員等)
国際卓越研究大学研究等体制強化計画には複数の計画やプロジェクトが入っていると思うが、それぞれの増減明細ではなく、体制強化助成の総額の増減で良いか。
 
(事務局)
その通りである。
 
(委員等)
注解の案に「体制強化計画は須らく中期計画の範囲内」とあるが、体制強化計画が確定すれば中期計画も変更するのか。
 
(事務局)
その通りである。
 
【議事1(3):新株予約権に関する会計処理について】
(事務局)
資料1-3に基づいて内容を説明。
 
(委員等)
ライセンスの対価として新株予約権を受け取る大学は、そもそも、当該新株予約権の本源的価値がゼロであることを確認したうえで引き受けるべき。一般的には、権利行使価格を発行会社の普通株式の株価と同額に設定するが、ベンチャー企業は不適切な金額設定の新株予約権を発行し、大学が引き受けてしまう可能性がある。大学も権利行使価格を低くしたいというニーズがあり、著しく権利行使価格が低いケースも考えられる。このような場合に「本源的価値を算定できないので備忘価額で処理する」と大学が判断すると誤った処理となるため、基準第1項の但書は削除すべきである。
また、注解2の「新株予約権の発行会社の株価が不明であるなど、本源的価値による評価が困難であると認められる場合の取得原価は備忘価額とすることとする。」も同様の理由で削除すべきである。
そのほか、注解3の「当該株式会社の株価の評価は困難であることから」は「当該株式会社の新株予約権の評価は困難であることから」に変更すべきであり、「備忘価額をもって取得原価としていたとしても」は、期末評価に関連しない記載であり削除すべきである。
 
(委員等)
大学に株価を確認させるか、一律に備忘価額とするかの違いであり、結果的には備忘価額となるのではないか。ベンチャーの株価の評価は曖昧な印象がある。原則と例外を入れ替え、原則を備忘価額とし、明らかに本源的価値がプラスであるときにのみ本源的価値とするのはどうか。
 
(委員等)
無償で取得した新株予約権の取得原価について、原則を備忘価額とするのは適当ではない。
大学は発行会社側に普通株式の時価を権利行使価格に採用していることを確認してくれればよい。監査人側は発行会社側の株価評価が正しいかどうか見るというよりは、大学が確認したことを確かめられれば良い。監査人が「会社の株価評価を批判的に検討しなければならない」というのであれば大学の負担が大きいが、大学は会社作成の資本政策表や株価算定表で株価評価を見せてもらうという確認で十分ではないか。
 
(委員等)
私も、無償で取得した新株予約権の取得原価について、原則を備忘価額とするのは適当ではないと考える。
 
(事務局)
通常、株価と行使価額を同額に設定するので結果的に備忘価額となることが一般的と考えられるが、会計基準で原則を備忘価額としてしまうのではなく、大学に権利行使価格の根拠を確認させるプロセスを経た方が良いと現時点では考えている。
 
(委員等)
大学が企業から新株予約権を受け取った後、当該企業が非上場のまま増資等を行うと最新の発行価格が分かる場合もあるが、このような場合は当該最新の発行価格を基に本源的価値を算定し、新株予約権の評価替えを行うのか。
 
(事務局)
あくまで企業が上場したあとは、本源的価値を貸借対照表価額とすることを求めるものであり、非上場の間に追加の株式発行等を行ったとしても取得原価評価とする。
 
【議事2:事業報告書について】
(事務局)
資料2-1、2-2に基づいて内容を説明。特段の質疑応答は無く終了。
 
以上

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課

(高等教育局国立大学法人支援課)