令和6年8月30日(金)15時00分~17時00分
青木委員、秋田委員、糸川委員、植田委員、岡田委員、笹本委員、佐藤委員、長野委員、難波委員、野口委員(議題1で副座長に就任)、萩原委員、原田委員、平野委員(議題1で座長に就任)、帆足委員、増田委員
茂里総合教育政策局長、平野社会教育振興総括官、高木地域学習推進課長、小沢青少年教育室長、葛城青少年教育室長補佐
独立行政法人国立青少年教育振興機構:古川理事長、長谷川理事、伊藤理事、松田理事
【葛城青少年教育室長補佐】 定刻になりましたので、ただいまより第1回国立青少年教育施設の振興方策に関する検討会を開会いたします。
本日は、委員の皆様におかれましては、御多用の中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。私は、地域学習推進課青少年教育室室長補佐の葛城でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、会場とウェブ会議システムのハイブリッド形式での開催となっております。通信環境の状況などにより音声が聞き取りづらいなどの不具合がございましたら、ウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせいただければと思います。また、本日の会議については、「国立青少年教育施設の振興方策に関する検討会の公開について」に基づき、文部科学省のYouTubeチャンネルにてライブ配信を行い、報道関係者や一般の方々の傍聴を受け入れておりますので、御承知おきください。
ウェブ会議システムから御出席いただいている委員の皆様に御案内いたします。会議中、御発言をいただく機会以外には、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、御発言の際には、画面下部にあるリアクションの項目から挙手のアイコンをクリックしてお知らせください。座長より順次指名があります。指名された後、マイクのミュートを解除して御発言いただきますようお願いいたします。なお、御発言後は手を下ろすのアイコンをクリックし、挙手アイコンが表示されていない状態にしていただくよう御協力をいただければと思います。
会場で御参加の委員の皆様におかれましては、御発言の際には席札を縦にしていただき、お知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、主催者を代表して総合教育政策局長の茂里から挨拶をさせていただこうと思っていましたが、参加が遅れておりますので、後ほど御挨拶させていただければと思います。
それでは、委員の紹介をさせていただければと思います。本検討会には有識者として計15名の委員の方に御参加いただいております。事務局より、委員の皆様を御紹介させていただきます。資料1の名簿の順番にお呼びいたしますので、お名前を呼ばれた方は、座ったままで結構ですので、その場で一言御挨拶いただければと思います。
では、まず初めに、國學院大學教授、青木康太朗委員です。
【青木委員】 青木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 オンラインで参加の、兵庫県教育委員会事務局義務教育課課長、秋田大輔委員です。
【秋田委員】 秋田でございます。オンラインで参加しております。どうぞよろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 日本ボーイスカウト東京連盟練馬第6団、糸川愛留委員です。
【糸川委員】 初めまして、糸川愛留と申します。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 特定非営利活動法人日本PFI・PPP協会会長兼理事長、植田和男委員です。
【植田委員】 植田和男です。どうぞよろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 株式会社今治.夢スポーツ代表取締役会長、岡田武史委員です。
【岡田委員】 岡田です。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 オンラインで御参加の、千葉市立白井中学校校長、笹本匡澄委員です。
【笹本委員】 白井中学校の笹本です。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 特定非営利活動法人国際自然大学校理事長、佐藤初雄委員です。
【佐藤委員】 佐藤初雄です。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 栃木県教育委員会事務局生涯学習課課長、長野辰男委員です。
【長野委員】 長野でございます。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻教授、難波悠委員です。
【難波委員】 難波です。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 慶應義塾大学体育研究所教授、野口和行委員です。
【野口委員】 野口と申します。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 独立行政法人国立女性教育会館理事長、萩原なつ子委員です。
【萩原委員】 萩原です。どうぞよろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 大阪体育大学学長、原田宗彦委員です。
【原田委員】 原田です。今、パラリンピックの応援でパリに来ております。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 国立大学法人信州大学理事・副学長、平野吉直委員です。
【平野委員】 平野です。オンラインで参加しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 株式会社オレンジア代表取締役、帆足泰子委員です。
【帆足委員】 帆足と申します。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 鶴見大学短期大学部講師、増田直広委員です。
【増田委員】 増田と申します。急遽オンラインに変更しての参加となります。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 以上、15名の委員の皆様とともに検討会を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
局長が出席しましたので、ここで主催者を代表して挨拶をいただこうと思います。茂里局長、お願いします。
【茂里局長】 遅参いたしまして、申し訳ございません。総合教育政策局長をしています茂里と申します。よろしくお願いします。
会に先立ちまして、一言、事務局を代表しまして、御挨拶させていただければと思います。
まずもって、御多忙の中、また台風の中、足を運んでいただき、またオンラインに参加していただき、誠にありがとうございます。
今御説明はあったかもしれませんけれども、本検討会につきましては、国立青少年教育施設の今後の在り方について御議論いただくことになると思います。先般、中教審のほうでも、社会教育の在り方について諮問されまして、第1回の検討が始まったところでございます。また、高等教育や初等中等教育、こういった教育全般の中でもいろんな諮問、そして答申がなされているという状況でございます。その中で、教育とは何か、社会教育とは何か、そして、その中核となる青少年教育施設の在り方は何か、こういったことを、皆様方、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただければと思っております。
御承知のとおり、令和8年度から始まります第5期の中期目標期間も見据えながら、しっかり我々としても皆様方の御意見を踏まえて、それを形にしていきたいと思っておりますので、これからの御議論、何とぞよろしくお願いいたします。
遅参いたしまして、大変申し訳ございませんでした。今後ともよろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 ありがとうございます。
続きまして、オブザーバーとして本検討会に御参加いただきます国立青少年教育振興機構の皆様を御紹介いたします。
古川理事長です。
【古川理事長】 古川です。どうぞよろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 長谷川理事です。
【長谷川理事】 長谷川と申します。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 伊藤理事です。
【伊藤理事】 伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 松田理事も御出席いただけると聞いておりますが、遅れて参加ということのようです。
また、本日の会議には、局長の茂里のほか3名が文部科学省より出席しておりますので、紹介いたします。
社会教育振興総括官の平野でございます。
【平野社会教育振興総括官】 平野でございます。よろしくお願いします。
【葛城青少年教育室長補佐】 地域学習推進課長の高木でございます。
【高木地域学習推進課長】 高木でございます。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 地域学習推進課青少年教育室長の小沢でございます。
【小沢青少年教育室長】 小沢と申します。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】
まずは、資料の確認からさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。資料は、資料1から資料7までの7点になります。資料に不足などがございましたら、お申しつけいただければと思います。
それでは、議事に移らせていただきます。
まず、議題1として、座長の選任をさせていただきます。
お手元の資料1を御覧ください。
「国立青少年教育施設の振興方策に関する検討会」設置要綱では、検討会には座長及び副座長を置き、座長は有識者の互選によってこれを定めること、また、副座長は座長が指名することを定めております。委員の皆様におかれましては、座長について御推薦がありましたらお願いできればと思います。
【青木委員】 よろしいでしょうか。
すみません、本日はオンライン参加なので大変恐縮ですけれども、平野委員に座長をお願いできればと思っております。平野委員は、これまで青少年教育施設での勤務の御経験もあるということと、また、野外教育学会の会長も現在されており、青少年教育に精通されているということで、平野先生にお願いできればと思っております。
【葛城青少年教育室長補佐】 ありがとうございます。ただいま、青木委員より、平野委員の座長への御推薦をいただきましたが、御異議ありませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【葛城青少年教育室長補佐】 ありがとうございます。御承諾いただきましたので、本検討会の座長は平野委員にお願いしたいと思います。
それでは、平野委員、よろしくお願いいたします。
【平野座長】 改めまして、今、御推挙いただきました平野と申します。検討会座長という大役を仰せつかることになりましたけれども、委員皆様の御協力をいただきまして重責を果たしていきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【葛城青少年教育室長補佐】 ありがとうございました。
それでは、以降の進行は平野座長にお願いしたいと思います。平野座長、よろしくお願いいたします。
【平野座長】 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、設置要綱に基づきまして、副座長を指名させていただきます。副座長につきましては、日本野外教育学会の理事や公益社団法人日本キャンプ協会の常務理事もされております、慶應義塾大学の野口委員にお願いをしたいと思っております。野口委員、よろしくお願いいたします。
【野口副座長】 微力ですが、全力で努めたいと思います。よろしくお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 それでは、野口委員は副座長席に御移動をお願いします。
【平野座長】 座長の平野が、すみません、オンラインで、なかなか進行難しいと思いますけれども、うまく野口委員の御協力をいただきながら進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本検討会の公開について、まず、事務局から説明をお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 会議の公開について御説明いたします。
お手元の資料2を御覧ください。
議事の公開については、会議の円滑な実施に影響が生じるものとして、本検討会において非公開とすることが適当であると認められる案件を検討する場合を除き、原則として公開するということになっております。また、議事録についても公開をするものとする。ただし、公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれ、その他正当な理由があると座長が認めるときは、議事録の全部または一部を非公開とすることができ、議事録を非公開とした場合には、非公開とした部分について議事要旨を作成し、これを公開することとなっています。会議資料の公開についても、会議の円滑な実施に影響が生じるものとして本検討会において非公開とすることが適当であると認める場合を除いて、公開するということになっております。
会議の傍聴については、あらかじめ地域学習推進課青少年教育室の登録を受けなければならず、登録を受けた者は、座長が許可した場合を除き、会議を撮影し、録画し、もしくは録音してはならないこと、本検討会の進行を妨げる行為または他の登録傍聴人の傍聴を妨げる行為をしてはならないことということになっております。この方針に基づいて、本日の会議を公開するとともに、会議終了後には議事録を作成し公開することといたします。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございました。
それでは、早速、議題の2に移りたいと思います。
独立行政法人制度の概要と、文部科学大臣が国立青少年教育振興機構に対して指示をしている中期目標の概略について、事務局より御説明をお願いいたします。
【葛城青少年教育室長補佐】 お手元の資料3を御覧ください。
まず、独立行政法人制度について説明を申し上げます。
各府省の行政における企画立案部門と実施部門を分離して、実施部門に法人格を与えることによって運営の裁量を与え、政策の実施のパフォーマンスを向上させることを目的とする制度になっております。法人の業務運営は、主務大臣が与える目標に基づき各法人の自主性・自立性の下に行われ、事後に主務大臣がその業務実績について評価を行うということになっております。
1ページ目の下の枠囲いの中を御覧いただければと思いますが、独立行政法人通則法においては、「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効果的かつ効率的に行わせるために設立させる法人をいうということが定められております。
次のページにいっていただきまして、独立行政法人の類型ですが、現在の独立行政法人の数は87法人ということになっております。うち文部科学省で所管しているのは22法人です。実施する業務の特性に応じて、中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人の3つの類型に分けられております。国立青少年教育振興機構は、一番上のカテゴリーである中期目標管理法人というところに属しておりまして、中期的な目標・計画に基づいて国民の需要を的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じて公共の利益を増進するということを目的としている法人になります。
3ページ目にいきまして、独立行政法人のPDCAサイクルというところです。真ん中の枠囲いのところですが、主務大臣が目標の指示、法人の業績の評価を実施しております。目標を策定した上で、年度ごとに年度評価というものを行い、目標期間の評価を行った上で、業務・組織の見直しをするというPDCAサイクルになっております。文部科学大臣は法人の長や監事の任命、また、中長期目標の策定と中長期計画の認可、年度評価・中長期目標期間終了時の評価の実施、違法行為や著しく不適切な業務運営の是正・改善などを行うこととされております。
ページをおめくりいただきまして、独立行政法人の財源措置についてです。財産的基礎という部分については、出資者への利益配分がないため、出資者は配当を期待して出資するのではなくて、法人の業務の確実な実施と政策実施機能の最大化のために、財産的基礎を提供することになっております。金銭のほか、金銭以外の土地・建物等の財産を、現物出資を行うことができることになっております。併せまして、運営費交付金として、独立行政法人は一般的に独立採算を前提としていないということから、業務運営を行うための財源措置が必要となっております。業務運営を行うための財源措置である運営費交付金を政府が交付することや、法人は交付金を適切かつ効率的に使用することが、独立行政法人通則法において規定されております。
3つ目の項目として、施設整備費補助金というものがございます。土地や建物などを法人が取得する際に、運営費交付金とは別に措置される補助金となっております。
これが、おおむね独立行政法人制度のあらましということになっております。
併せまして、資料4を御覧ください。
国立青少年教育振興機構が達成すべき業務運営に関する目標です。法人の位置づけ及び役割という部分については、青少年教育指導者、その他青少年教育関係者に対する研修、青少年の団体宿泊訓練その他の青少年に対する研修、青少年教育に関する施設及び団体相互間の連絡及び協力の促進、青少年教育に関する団体に対する助成金の交付などを行うことにより、青少年教育の振興及び健全な青少年の育成を図ることを目的とする独立行政法人であり、我が国の青少年教育のナショナルセンターであるということが定められております。
左下の枠囲い、国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項では、1ポツ目、青少年の自立に向けた健全育成の推進ということで、青少年体験活動等の重要性の普及・啓発に係る国民運動の推進、また、1ポツの(2)では、青少年教育に関するモデル的事業の推進、あと課題を抱える青少年を支援する体験活動事業の推進、グローバル人材の育成を見据えた国際交流の推進というようなことを行っております。
また、2ポツ目として、青少年教育指導者等の養成及び資質の向上というところで、指導者の研修事業の推進など、また、ボランティアの養成というところも行っております。
あとは、3ポツ目ですが、青少年、青少年教育指導者等を対象とする研修に対する支援という部分で、研修の利用者に対する支援の推進を行っているということになります。
4ポツ目で、青少年教育に関する関係団体との連携促進、5ポツ目として、青少年教育に関する調査研究というもの、また、6ポツ目で青少年教育団体が行う活動に対する助成というものを行っております。
右側へいっていただきまして、こちらはいわゆる業務運営の一般的な事項になります。業務運営の効率化であるとか、効果的・効率的な組織の運営、予算執行の効率化というような部分や長期的視野に立った施設設備の整備・管理の実施、人事に関する計画、情報セキュリティーと内部統制の充実・強化などが文部科学大臣によって中期目標として指示されているというような状況になっております。
事務局からの説明は以上になります。
【平野座長】 説明ありがとうございました。ただいま資料3、資料4に基づいて説明をいただきましたけれども、今の説明に関連して、質問の時間を取りたいと思います。御質問がありましたら、会場で御参加の委員の皆様は席札を縦にしてお知らせください。また、ウェブ会議で御参加の委員の皆様は、画面の挙手アイコンを押してお知らせいただければと思います。5分程度、時間を取りたいと思います。何か御質問等御意見ありましたら、どうぞよろしくお願いします。いかがでしょうか。議題2に関連して、何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、また最終的にいろいろ御意見を伺う時間も取りたいと思っていますので、遡っても結構でございます。御意見がありましたら積極的に御発言いただければと思います。
それでは、議題の3でございますが、国立青少年教育振興機構の現状についてということで、国立青少年教育機構から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【古川理事長】 理事長の古川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいまから、国立青少年教育振興機構の概要について御説明をさせていただきます。
お手元に資料の5というのがございますけれども、それを順次おめくりいただいて、よろしくお願いしたいと思います。
まず、当機構、青少年教育の振興及び健全な青少年の育成を図るため、青少年教育政策の実施機関として、全国に28の青少年教育施設を有しております。
スライド2を御覧ください。
説明に当たりまして、まず、機構の取組概要、これを御説明した後、我々の組織について触れまして、最後、財政構造について御説明をさせていただきます。
スライド3でございます。
機構の概要でございます。ただいま申し上げたように、機構が、「青少年一人一人が幸福を追求できる持続可能な社会の実現」というビジョンの下、ナショナルセンターとしまして、全国各地28か所ある青少年教育施設を活用しながら、自然体験活動をはじめ、科学、芸術文化、国際交流といった多様な体験学習の場を提供しております。また、国の政策実現に向けた取組として、SDGsに貢献する取組、国土強靱化への対応、地域貢献等の活動も進めております。
機構の取組としましては、大きく教育事業、研修支援、調査研究、子どもゆめ基金がございます。その概要について、これから説明をさせていただきます。
スライドの4を御覧ください。
機構では、体験活動は子供たちの成長に望ましい影響を与えるという前提で、体験活動を通じた青少年の自立を標榜して取り組んでおります。これまで、当機構の調査研究結果から、体験活動と子供たちの成長の相関関係があることを訴えてまいりました。
なぜそのような関係性が見られるのかについても、引き続き調査研究を進めているところでございますが、次のようなことを考えております。
まず、大切なのは、体験が自然や人、文化と直接触れ合うものであり、そして、こうした体験が子供たちの五感を刺激し、感覚を豊かにし、五感への刺激が心に響き、感情というのが生まれます。その中で、子供たちが感動し、多様な価値観と出会い、体験が記憶となり、経験として蓄積されてまいります。こういうサイクルこそ、感性、心の成長の源泉と言えると思います。私たちは、この感性を育む体験により蓄積された経験が、知識や考え方となって、いわゆる非認知的な能力が生まれるというふうに考えております。これが日常生活へとつながり、人生や社会をよりよく生きる力として発揮されると考えております。だからこそ、豊かな感性の涵養には多くの体験というものが必要でございます。スライド4で示している丸1から丸4というのは、そのサイクルを表しております。この感性のサイクルを何度も何度も経ることで豊かな感性が生まれてくるというふうに考えております。
では、具体的な事業を御紹介させていただきます。スライド5を御覧ください。
機構では、学校をはじめ青少年団体、スポーツ団体、企業等が目的や狙いに応じた主体的、効果的な活動を行うことができるよう、全国の教育施設において広く体験や学習の場の機会を提供し、研修目的達成に向けた、より効果的なプログラムの提案や、教育的指導・助言を行っております。
全国の施設では、登山、ハイキングといった山の活動、カッターやカヌーといった海、川の活動、そり滑りやスキーといった雪の活動など、立地や季節の特色を生かした活動プログラムを提供しております。
主な利用団体とその利用目的について御紹介します。学校団体は、集団宿泊活動、自然体験活動、入学後の学級、学年づくりといったオリエンテーションなどの拠点として利用されております。青少年団体は、特に長期休暇中に自然体験活動を中心とした拠点として利用されております。スポーツ団体におきましては、体育館、グラウンド、武道場といった施設を活用し、スポーツ少年団、部活動、サークル活動に利用されております。また、一般企業では、初任者研修、実技研修、また海外からの技能実習生を対象とした長期語学研修にも利用されております。
スライド6を御覧ください。
機構では、青少年及び青少年教育指導者、そのほか青少年教育関係者を対象とした事業を実施しています。青少年の体験活動の重要性の普及・啓発として、「体験の風をおこそう」運動及び「早寝早起き朝ごはん」国民運動を連動させた取組により、青少年の基本的な生活習慣の確立、それとともに親子、幼児等を対象とした自然体験や読書活動に親しむ機会とその場の提供、体験活動を踏まえた防災学習や環境学習、青少年の自己成長、自己実現を図る取組などにより、体験活動の機会や場の充実を図ってまいりました。また、次代を担う青少年のための専門性の高いモデル的事業を推進するため、各地方施設が地域の実情を踏まえた実践研究事業を実施しております。そのほか、全ての教育施設において、施設の特色を生かし、防災・減災教育、SDGsの目標、ESDの視点等に従った教育テーマを設定し、特色あるプログラム事業として事業を実施しております。さらに、児童養護施設、またひとり親家庭等、子供の貧困に関わる支援、不登校、ひきこもり、ADHD等発達障害や身体障害など、課題を抱える青少年を支援するための事業も実施しております。
スライド7を御覧ください。
青少年に良質な体験活動の機会と場を提供するためには、資質・能力の高い指導者を養成することは必要不可欠でございます。機構では、国公立の青少年教育施設の職員や青少年教育団体等の指導者等を対象とした養成・研修事業を実施しております。その1つとして、官民共同の指導者認定制度であります自然体験活動指導者養成制度、NEAL事業を実施しております。各地域ブロックにおいて、リーダー、インストラクター、コーディネーターと3つの資格の養成事業を実施しております。また、絵本に関する専門的知識や実践力を持った、地域の指導者である絵本専門士の養成講座も実施しています。年間70人程度の絵本専門士を養成し、現在では600人を超える絵本専門士を養成いたしました。
さらに、青少年の体験活動に関わる指導者等の安全管理意識、能力、指導力及び救助技術の向上を目的として、体験活動安全管理研修を、「安全管理担当者編」、「山編」、「水辺編」、「雪編」と、対象を分けて実施しております。
なお、現在、青少年教育指導者の資質・能力を向上することを目的にし、基礎的・専門的研修事業のカリキュラムの作成及び試行事業を、青少年教育を専門としている有識者の協力も得ながら進めているところでございます。
スライド8を御覧ください。
当機構の研究センターは、平成23年2月の国立青少年教育施設の在り方に関する検討会報告「今後の国立青少年教育施設の在り方について」において、「当機構が目指すべき姿」の1つに、ナショナルセンター機能の強化(研究機能、情報発信機能など、青少年教育のシンクタンクとしての機能の充実)が掲げられました。同報告の「早急に取り組むべき事項」にも、国立青少年教育振興機構に、青少年教育に関する研究センターの設置が明記され、現在まで当該業務に取り組んでおります。その取組内容について、スライド8の上段に3点お示しし、下段に調査結果の例を示しております。
まず、機構の各施設が行う教育事業等の効果検証とそのモデル化です。こうした実践研究が、公立施設等への普及に向けた取組という観点からも大変重要です。そのほか、喫緊の課題や、これまで取り組まれていなかった課題にも先鋭的に取り組み、新たな課題や解決方策を見つけ出す役割も担っています。また、全国規模の横断、縦断的な探索的な調査から、現代の青少年の意識や実像の把握、課題の明確化に寄与しております。こうした調査研究結果を、報道発表や資料提供を通じ、国や自治体等に活用いただいたり、講演や講習指導等に招聘いただいたりすることで、施策立案支援の役割も担っております。
ここで、調査研究事例を1つ紹介いたします。
日米中韓の4か国の高校生を対象に毎年実施しているもので、昨年度は「高校生の進路と職業意識に関する調査」をテーマといたしました。他国との比較から、我が国の高校生の姿と課題を明らかにしております。
主に、次の3つを紹介します。他国に比して、進路に係る活動への関心が高く、学習が行われている。職場見学、インターンシップ、ボランティア体験等の実体験は、他国に比べて少ないということもございます。そして、働くことのイメージは、「生活のため」、「社会人としての義務」が他国に比べて高くなっております。
こうした結果からも、体験活動の重要性が推察され、特に体験と職業観、就労観の涵養をどのようにつなげていくかが課題として浮き彫りになり、青少年教育の課題を裏づける結果となっております。このように、青少年教育の実践現場、研究、施策の三位一体の取組を進めています。
スライドの9を御覧ください。
子どもゆめ基金についてでございます。子どもゆめ基金事業は、民間団体が実施する体験活動や読書活動を支援するため、財団法人、NPO法人をはじめ、法人格を有しない団体の活動に助成金を交付する助成事業と、子供の体験活動や読書活動の振興を図るための普及啓発を行っております。
助成の対象となる活動は、子供を対象に実施する自然体験活動、職場体験活動などの体験活動や、読み聞かせなどの読書活動に加え、これらの活動の指導者養成や活動の振興を図るフォーラムです。さらに、活動を補完するためのデジタル教材の開発・普及も対象としています。現在、令和6年度2次募集の審査中でございますが、これまでの2次募集から申請条件を拡大、広報を拡充した成果もありまして、昨年度の2次募集と比較し1.7倍の約1,500件の申請がございました。その結果、1次募集と合わせた今年度の申請件数は約4,500件となりまして、昨年度と比較し660件の増となりました。新しく申請くださる団体が大きく増えました。
スライドの10を御覧ください。
特に、教育的な事業という観点から、ナショナルセンターとしての特徴的な取組として、公立青少年教育施設が都道府県または市町村を主たる対象として地域に根差した事業を実施しているのに対し、当機構では全国規模、または都道府県域を超えた広範囲な規模での事業展開、国際交流事業の実施を行っております。また、専門性の高いモデル的な教育プログラムの開発・分析・普及を行うとともに、日本全国を対象とした青少年教育指導者等の養成・資質向上のための事業を実施しております。
さらに、体験活動等の重要性の普及・啓発に関わる国民運動等の推進の中核的存在を担うとともに、関係機関、団体相互の連携を促進するため、青少年教育指導者等を対象にした全国規模の事業を実施しております。
以上、機構の取組概要について御説明をさせていただきました。
次に、組織の概要について説明をさせていただきます。
スライドの12を御覧ください。
機構の組織は、スライド12のとおり、主に本部と28の教育施設から成り立っております。機構本部も所在している東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターについては、本部職員でありますオリンピックセンター運営部が教育施設としての運営を担っております。常勤職員数は約500名でございます。約半数がプロパー職員、残り半数は国立大学法人や教員をはじめとする地方自治体等からの出向者で構成されております。また、常勤職員のうち、本部に在籍する職員は約2割でございます。
スライド13を御覧ください。
本部と教育施設の関係性としましては、スライド13のとおり、本部においては、中期目標に基づく中期計画、年度計画の策定及び業務実績の自己点検・評価の実施を行っております。また、経営、教育事業、予算、人事、施設管理等、機構の運営に関わる基本的な方針は本部が策定し、教育施設はその方針に従って施設を運営しております。施設運営に当たりましては、効果的、効率的な運営が実現できているか把握するために、本部においては、毎月利用者数や収支状況等の進捗管理を行っております。本部では、このほか全国規模の事業、国際交流事業の実施、青少年教育に関する団体が行う活動に対する助成、各教育施設と連携した調査研究の企画及び実施などを担っております。
スライド14を御覧ください。
各施設の設置年や規模等は、スライド14のとおりでございます。この設置年を御覧いただくとおり、多くの教育施設が老朽化しており、その対策は喫緊の課題となっております。
続きまして、スライド15を御覧ください。
利用者数の推移でございます。平成30年度は、宿泊と宿泊を伴わない日帰りの施設利用を合わせますと、約500万人の利用がございましたが、新型コロナウイルスの影響を受けまして、大きく利用者数は落ち込みました。現在、徐々に回復しつつあるものの、令和5年度約260万人でございました。コロナを機に減少した利用者数や宿泊利用日数の短縮をいかに回復させるかという課題とともに、そもそも青少年人口が減少している中で、いかに利用者数を伸ばしていくかということが、非常に大きな課題でございます。
スライドの16を御覧ください。
スライドの16は、利用状況の内訳でございます。地方施設とオリンピックセンターの利用者数では、オリンピックセンターが全体の約4割の利用者数を占めております。昨年度の宿泊・日帰り別の利用状況は、地方施設において宿泊が約4分の3を占めている一方で、オリンピックセンターでは日帰りが4分の3を占めております。団体種別の利用状況では、地方施設では青少年団体、学校が3分の2を占めているのに対し、オリンピックセンターでは、その割合というのは4分の1強となっております。
続きまして、スライドの17を御覧ください。
スライドの17以降は、当機構におけます財政構造についての説明となります。なお、お時間も限られておりますので、かいつまんで内容を御説明いたします。
スライドの18、機構全体における収支の推移でございます。
当機構における収支の推移を記載したグラフとなってございます。平成18年の法人設立直後におきましては、約127億の事業規模がございました。当時、運営費交付金による収入は約112.8億でございました。しかしながら、その後、効率化係数等予算削減のルールもあり、運営費交付金収益は、令和5年度時点では約75.2億となっております。
一方、利用者からの施設使用料を中心としました事業収入については、平成18年度には約10.5億円、収入における割合としては8.2%だったものが、料金改定等を重ねまして、平成30年度には約18.2億、収入における割合は17.1%と、着実に増収を重ねてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、令和2年度以降、激減することとなり、令和5年度には約13.8億、収入における割合14.0%と、現時点においても完全な回復までには至ってございません。また、支出につきましては、縮減に努めてきておりますけれども、先程お伝えしておりましたとおり、令和元年度末からの新型コロナウイルス感染症の影響による収入減少までは飲み込みきれず、収支均衡が図られてない状況となってございます。
スライドの25を御覧ください。
先程も申し上げました、機構全体におけます収支の推移について御説明申し上げた際、収支の均衡が図れなくなっている旨お伝えしましたけれども、現中期目標期間の開始年度である令和3年度からの欠損金を合計しますと、約13億の累積の赤字が生じる結果となってございます。これらには、利用者が回復し切れていないことにより、収入の減少、社会的な影響によります人件費、水道光熱費、業務委託費などの増加が大きな要因となっております。しかし、このままでは健全な法人経営というものも難しくなっておりますので、対策を講じる必要があり、これは既に着手を始めてございます。
次のスライド26を御覧ください。
収支改善に向けた主な取組でございます。収支改善を図るために、利用者数の増加や収入増のための方策、支出削減の方策が必要となってまいります。本スライドでは、収入増に向けた方策、支出削減の方策について主なものを記載してございます。当法人の施設使用料等の収入のうち、オリンピックセンターにおける収入、これは大きなウエイトを占めてございます。これまでも随時値上げを図ってまいりましたけれども、昨今の物価高騰、人件費の上昇、そして施設の運営コストの増大、これが増えておりますことを踏まえて、改めて値上げを実施する予定でございます。また、地方施設においても収入の増加に取り組んでございます。本年4月からは、これまで施設使用料を徴収してこなかった青少年利用からも、宿泊利用に際して実費の一部負担をお願いするということで徴収を開始いたしました。また、宿泊を伴わない日帰りの施設利用についても、早期に施設使用料を徴収することができるように、ただいま努めております。
しかしながら、収入増加だけで大きく収支改善を図るということも困難でございますので、オリンピックセンターと地方施設の運営に関わる業務委託費や光熱水費等の支出削減についても取り組んでございます。早期に収支の改善に努めるとともに、安定的な財政状況を実現することで、青少年教育を持続的に継続できるよう、発展できるよう取り組んでまいりたいと思ってございます。
以上になります。
【平野座長】 古川理事長、説明ありがとうございました。
ただいまの国立青少年教育振興機構の概要説明に関連して、御質問の時間を10分ほど取りたいと思います。時間の関係で資料全て御説明いただけなかったと思いますけれども、どんな観点からでも結構ですので、御質問をいただければ、御意見も含めいただければと思います。いかがでしょうか。
今回のこの検討会の基本的な、皆様方に御検討いただく際の重要な資料の説明であったかと思いますが、御質問等いかがでしょうか。原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 すみません、ものすごく初歩的なそもそも論の質問なんですが、最初、資料の3で御説明いただいた独立行政法人というのは、一般的に独立採算を前提としていないことから業務運営を行うための財源措置が必要とあるんですけども、今日お話の後半になってくると、どうやって収支改善に向けて稼ぐかという、組織の前提になる議論になってきているんですが、そこの矛盾といいますか、そもそも稼ぐ必要のない、稼がなくてもいい組織が今後稼いでいくにはということで、結構組織風土に大きな改革が必要な感じがするんですけど、その点はいかがでしょうか。
【平野座長】 ありがとうございます。どちらで答えていただけますでしょうか。
【古川理事長】 私のほうから。
【平野座長】 古川理事長、お願いします。
【古川理事長】 御質問ありがとうございます。本当に全くそのとおりでございまして、これまでは、頂いていたお金を配分し、それを使うことで事業が成り立つというようなモデルできておりましたけれども、実は効率化係数がかかり、いずれは独立しなさいというようなシステムできている独立行政法人であり、自己収入を上げていくことというのも、片一方で目標にはあったかと思います。
ただし、学校、教育委員会、そして青少年を対象に行っていくに当たって、私たちも自己収入を上げていく、外部からの資金を集めるというような発想はこれまでなかなかなく、ここへ来て、やはりしっかりとコストダウンと、自己収入等の部分を伸ばしていこうということになりましたが、本分である教育事業をやりつつ、なかなかゴールが今のところ見えておらず、この意識改革というのは急がなければいけないのですけれども、言ったからすぐできるかと言うと、なかなか体質的には難しい状況にあることは事実でございます。そこを早急に、今、この組織風土も変えていかなければならないという状況なのですけれども、施設もだんだんと老朽化する中で、非常に困難な課題でもあるというふうに法人の長としては感じております。
以上です。
【平野座長】 原田委員、よろしいでしょうか。
ほか、委員の皆様、いかがでしょうか。
【萩原委員】 それでは、萩原から。よろしいですか。
【平野座長】 どうぞお願いいたします。
【萩原委員】 同じ文部科学省の所管しております独立行政法人国立女性教育会館も、今、古川理事長からお話あったような状況にあります。先程の原田委員が素朴な疑問というふうにおっしゃったように、独立行政法人の運営費交付金の在り方というのは、多くの方たちが、多分、御存じないんじゃないかなというふうに思っています。国立とつくので、税金がちゃんと投入されているというふうに思われることが結構多いんですが、今お話にあったように、効率化係数、それから予算等のカットというのがずっときていまして、今の青少年センターだと、かなり大きな組織ですので、1%減らされているだけでものすごく大きな金額が減らされていると。国立女性教育会館も、一番小さな独立行政法人ですけども、毎年人件費1人分ぐらいは減っていくわけですので、これを自助努力しようということは、なってはいるんですが、それほど収入が得られるような、そういった事業をしているわけではないので大変難しいところにございます。
ですので、青少年機構さんの大変さというか、それは私たちも同じ状況ですので、ここの検討委員会の中でいろいろ議論していただき、私たちも、ともに、よりよい事業展開できるようにしていければなというふうに思っております。
【平野座長】 萩原委員、御意見ありがとうございます。植田委員、お願いいたします。
【植田委員】 先程この資料5のスライドの14になりますけども、各教育施設の基礎データということで、設置年、規模などが書いてあります。古いものですと、もう60年超えているということで、この28の施設ということが今お話の対象になるんですが、全国の地方自治体における公共施設全般が老朽化問題を抱えています。老朽化問題に対して、今、それの1つの解決策として出ているのが、包括施設管理業務委託です。包括管理業務委託というのは、例えば、1つの自治体であれば、各所管課が保守保全、清掃点検とか、それから修繕とか、所管課ごとにやっているんですけども、それを市の中で取りまとめ課ができまして、そこが各所管課の発注業務を全て一括で行う、それを受け止めた民間企業側が、それを地元の企業に発注する、という構造になります。ここで、1つ出てきている成果なんですけれど、老朽化施設の問題の中で、皆さんが意外に思われるテーマというのが、1つの施設における効率的な運用であるとか効果的な維持管理とかという言葉が一般的にあるんですけど、最近の包括施設管理業務委託という委託の目的が、施設の安心安全の確保と、職員の業務負担軽減という言葉が目的に入ってきているんです。こちらを見ると、お子様とか先生方、まさに今、ほかの全国の地方自治体で起きている、例えば遊具であるとか様々な施設が老朽化していて、ブランコが落ちたり、壁が落ちてきたりということで、お子さんがそこで亡くなったりしている。ですから、今の各教育施設、それが全て、その領域に入ってくる。それを防ぐためには、今やっている管理の仕方では防げないんです。事後保全ではできなくて、予防保全という形で建物を見ていくということが、全国の自治体の中で求められています。こちらの施設に関しても、今申し上げた施設の安心安全と、それから職員の業務負担軽減、そのためにも、管理の仕方を予防保全型に変えていくということをしていかなければなりません。今、国が求めている1つの大きな政策は、全て包括していこうという形なんです。
包括というのは、例えば先程申し上げた所管課の話なんですけれど、極端に言うと、この28の全ての施設を民間の1社に任せるというのが包括になる。そのときに、何が導入されるかというと、包括施設管理もそうなんですけど、いわゆるデジタル化がそこに入って、全てがシステムで、リアルタイムでマネジメントができるというのが、今、一般の地方自治体で導入している包括施設管理業務委託です。
やはり一番心配になるのは、使っているうちに大きな事故になって、それが結局、職員の責任、組織の責任になることです。包括管理業務委託というのは、導入目的として、職員を守るという言葉があるんです。職員を守るために導入するということも大事なキーワードだと思うんです。それは、結果的にはお子さんを守る、使う方を守るという形になります。その意味で、そういう管理方法があるということです。何が実は見えてないかというと、老朽化して、今、各施設が、これは一般の小中学校も全部そうです。40年、50年たつと、今までなかった不具合が右肩上がりで一気に増えてくるんです。そこで今問題になるのが、修繕なら修繕の予算というのが毎年限られているので、修繕できない部分は全部先送りされるんです。先送りされるとさらに老朽化が深刻になって、さっき申し上げている大きなリスクをはらむことになります。ですから、その意味でも、今後のこの機構の経営という観点、特にいわゆる歳出サイドというか、費用サイドの面、それから今申し上げている様々な側面から、そういう各全国の自治体で行われていることも御参考になるかなと思って申し上げました。ちょっと長くなってすみません。
【平野座長】 植田委員、御意見ありがとうございました。佐藤委員、どうぞよろしくお願いします。
【佐藤委員】 佐藤と申します。
今の関連した話の中で、やはりこれから議論を重ねる中での前提として、予算がどんどん減らされていく構図が今後も続いていくのか否かというのを、議論する際にちょっとお聞きをした上で議論をしていかないと、恐らくいい結果が得られないのかなというふうに思いました。今のような、植田委員のおっしゃられたようなことというのは、本当に全国であらゆるところのことが起きてきている現実だと思います。そういう中で、国としても、限られた予算の中でいかにこういった教育活動を継続していくかということの知恵を、恐らくこの委員会に期待をしているのではないかなというふうに思うんですけれども、ただ、繰り返しですが、国のほうの方向性として、予算がもうある程度限られてくるとなると、正直28を全部今までと同じように維持していくというのは難しいですよねというのは、誰が考えてもその方向性にあるんじゃないかというふうに予測はするんですけれども、そのあたりの意向について、もし可能であれば、国のほうの考え方みたいなことがあれば教えていただければありがたいと思います。
以上です。
【平野座長】 佐藤委員の御意見に関連して、いかがでしょうか。
【茂里総合教育政策局長】 よろしいですか。
【平野座長】 茂里局長、よろしくお願いします。
【茂里総合教育政策局長】 最初から、本題に。その結論がこの会議というのが、多分結論だと思います。
ざくっと簡単に申し上げますと、どういう構造になっているかというと、税を頂いて、それを今どうしているかというと、借金を返す。残ったところで予算を組み立てるという、そういう構造で、その方式を見ると、税は増えているかというと、そう増えてない。増えているところもありますけども、その分借金はどんどん増えていると。
そうすると、どうしなきゃいけないかというと、予算を減らすしかないんです。税を上げるという方法もありますけども、税を変えずにそのまま借金を返していくという構造がある以上は、予算をシュリンクしていくということにしか多分ならないです。そのためにある仕組みとしては2つあって、1つは、予算でいうとシーリングということ、もう一つは総定員法というのがありまして、これで公務員の数を減らしていくという、こういう措置を霞が関全体で取っていると、このルールがあります。
そのルールの中で、これからこの施設をどうしていくかというふうに考えると、やっぱり1つは、規模を縮小する、もっと言うと、やめるということもある。それは1つの国の事業の予算の中でも、当然見直しをしていく、縮小する、そしてやめていく事業も中にはあるわけです。でも、この事業は必要だという話であればどうするかというと、予算をしっかりと確保するということと同時に、稼いでもらうという話が必要になってきますし、あるいは寄附を募るということもあろうかと思います。これは、国立青少年教育施設だけじゃなくて、全ての独立行政、もっと言うと国立大学だって当然その対象にはなってございます。
だから、この稼ぐというところに焦点を当てて、これからどうしていくかという御議論をしていただきたいなと思うんですが、その中で、やはり構造上無理だというところは御指摘いただきながら、それはある意味スリム化を図っていくということも必要なのかなというふうに思います。例えば、稼ぐと簡単に言うという話になるかもしれませんが、例えば私立大学とか国立大学の、ちょうど先程申し上げましたけども、中教審で議論がされていますが、その規模感の議論がされています。その規模感の議論の前提は、18歳の日本人人口がこれからどんどん減っていくという前提になっているんですが、ただ一方、この考え方を変えると、世界規模で見ると、学びのニーズというのがどんどん増えていっていると。18歳にこだわらなければ、リカレント、リスキルの問題もあると。だから、稼ごうと思えば、今までのところにとらわれず、目線を変えていくと、稼ぐ方法だってあり得るんだろうと思います。
だから、そういうようなお知恵を拝借できないか、また、スリム化を図っていくお知恵を拝借できないかというのが、我々のほうで、中で考えていても、なかなかいいアイデアが思いつかないというのは正直なところなので、ぜひ皆さん方の知見をお借りしたいというのが、この会議を立ち上げた本音でございます。
大体以上でございます。
【平野座長】 局長、ありがとうございます。
そのほか、皆さん、御質問等ございますでしょうか。帆足委員、お願いします。
【帆足委員】 よろしくお願いします。
稼ぐというところで今お話伺って、ちょっとそれに関連してお聞きしたいんですが、資料の15ページに利用者数の推移というものがありまして、コロナ禍で利用者数がかなり減って、回復基調にあるけれども元には戻ってないというお話だったんですが、コロナ禍以前は、多少の増減はあっても、利用者数自体はそんなに大きく変動はしてないようなんですが、この利用者数があまり変わっていない、コロナ前は利用者数がまあまあいたという状況をどういうふうに分析されているのかということと、逆にコロナ禍で利用が減ったというのはすごく分かるんですけども、コロナが一旦収束をした後で、思ったほど伸びていないという状況はどこに課題があると考えていらっしゃいますでしょうか。お願いします。
【長谷川理事】 いいでしょうか。
【平野座長】 長谷川理事、お願いいたします。
【長谷川理事】 長谷川です。
まず、後者、コロナの影響について、私どものほうでの理解を2つ、3つ申し上げます。
まず、コロナの状況については、皆様、同じように経験していただいているとおり、令和元年度の終わりに大きく感染が広がるということで、学校もそうでしたけれども、閉じられたというところから、コロナの状況を見ながら少しずつ対応も工夫してきているということが、青少年教育施設についても同様でありまして、それがちょっとずつ回復しているというところにつながっています。
一方で、コロナ禍の間にどうなったかといいますと、実体験はできないけれども、代わりに、それに近い内容をオンラインで学習しようとか、別の方法が模索されて、そちらのほうでやってみるということで、それがこの期間の間にだんだん定着して、実際に行かなくてもやれるじゃないかということで、元に戻るスピードが落ちている、あるいは意識も下がっているというのがあります。
それからもう一つ申し添えますと、やはり先程来のお話にも出てまいりましたけれど、私たちの施設の利用者のかなりの割合を学校の子供たちが占めております。ですから、学校という視点で申し上げると、1つ前に申し上げた、オンラインのやり方というのも普及してきたというのと併せて、やはり先生方がとても大変だということがあります。カリキュラムをやりくりしながら、施設での活動の準備もして引率もしてというようなことで、先生方の御負担なども考え合わせると、あるいはカリキュラムの編成も考え合わせると、なかなか施設を利用しなくなったということで、今まで例えば3泊だったものを2泊にするとか、1泊だったものを日帰りにするとかということで、活動はあるけれども、今後はやめようとか、あるいは、今申し上げたように縮小するとかいう要素が相まって、なかなか回復に至らないという状況がございまして、恐らく、ここ数年の状況を見ていますと、少なくとも、コロナ直前の令和元年度とか平成30年度の域に戻るのはあり得ないだろうというふうに分析しております。
以上です。
【平野座長】 長谷川理事、御発言ありがとうございます。
【古川理事長】 もう一つ、追加でよろしいでしょうか。
【平野座長】 はい、古川理事長、お願いします。
【古川理事長】 今、長谷川理事がおっしゃったことはそうなのですけれども、最近よく言われますのが、これまた、私どもの施設のほとんどが、バスを仕立ててこないと来れないところにございますが、バス代も高騰しており、バスの運転手不足や、距離が50キロを超えると2人必要とかいう事情もあり、そうすると学校側の負担も増えるため、よくバス代のことも言われるような現状にございます。
施設はとてもいい立地にあるのですけれども、近隣の駅から歩いて来られるような場所にはございませんので、その辺りもちょっと足かせにはなっているような報告を受けてございます。
【平野座長】 ありがとうございます。
【帆足委員】 すみません、座長。
【平野座長】 帆足委員、どうぞ。
【帆足委員】 すみません、私ばっかり。続けて御質問させていただいてよろしいでしょうか。あと2点ございます。
青少年向けの施設ということで、もちろん子供たち向けにというところが中心かと思いますが、先程茂里様からお話あったように、大人向けだったり、例えばシニア向けだったりとかというところも、これからの時代は考えられるのかなと思っております。大人が自然を楽しいと思えば、必然的に子供も楽しいと思うようになると思いますし、大人向けに企業研修とかされていらっしゃるんですけれども、何かアプローチとかプログラムは考えてこられたかどうかということと、もう1点は、いろんなプログラムを既にやっていらっしゃるなというのは、資料で、今御説明いただいて分かったんですけど、広報的なこと、周知というところで、ちょっと私、知らないものもたくさんあったので、広報的なものはどういうふうに手がけられてこれまで来たのかなというところを教えていただければと思います。
【古川理事長】 よろしいでしょうか。
【平野座長】 ありがとうございます。古川理事長、お願いします。
【古川理事長】 今、シニアの事業はというお話がございました。私どもは青少年対象ということで、30歳までというのがメインのターゲットでございますが、指導者養成というのがございます。特に、自然体験活動の指導者ということで、NEALとか、そういうところにはそういった年齢の高い方も御参加いただいてきたというのが現状でございますが、今様々な御家庭、貧困の御家庭、ハンディキャップの方々、それから定住外国人の方々に何ができるかとか、不登校の子供たち、また通信の高校生、そういう方たちにオフラインの場を提供できないかとか、もっと言えば、外国のいわゆるボーディングスクールみたいなものを持ってこられないかなど、いろんな検討はし始めているというような現状で、おっしゃるとおり、学校を対象とするだけでなく、御家族や、また子供たち一人一人が訪ねてこられるような場所にもなっていかなければいけないだろうというふうにも考えております。
また、広報につきましては、これはなかなかそういった予算が取れないということもございますが、今各施設はじめ、SNSを利用した広報等に取り組んでおります。たまたま子どもゆめ基金に関しましては、2次募集は大変増えたのですけれども、これは広報のほうでお金を使うことによる効果というのは大変大きかったかなというふうには思います。新規の団体を獲得ということができましたけれども、なかなか今の財政状況の中で、どうやって広報活動を進めていくかということは課題だというふうに思っております。
【平野座長】 たくさんの御議論、ありがとうございました。
議事を進めさせていただければと思います。また後ほど皆様方から一言ずつでも、もうちょっと時間かけて様々な御意見をいただきたいと思いますが、非常に基本的な根本的な議論も始まりましたけれども、議題4として、今お話しいただいているような本検討会における論点案が提示されておりますので、まず、この辺についても共通理解を進めていきたいと思います。
今後の検討会の議論に関する論点の案について、事務局から、これから御説明いただきますが、この論点については、いわゆる現状の案という扱いになっていると聞いております。今後のこの検討会の議論を通じて、加筆、それから修正されていくものだということを前提にお聞きいただければと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【小沢青少年教育室長】 事務局のほうから御説明させていただきます。
資料の6でございます。
青少年教育室長の小沢でございます。よろしくお願いします。
まず、1頁目を御覧ください。先程から、青少年教育振興機構の方からも御説明等はあったところで、若干重なっているところもございますけれども、前提となる現状についてお示ししたいと思います。
まず、先程来出ています国立青少年教育施設の利用者の状況についてです。こちらのグラフのほうでも、平成30年度をピークに急激に減少し、令和2年度に大きく100万人を割るような減少をしております。その後令和5年度には263万人と増加に転じておりますけれども、これを見るとピーク時の半分程度というところです。新型コロナウイルスの影響はあるのですが、それからの回復というのが、先程青少年教育振興機構で分析されていたように遅れている状況です。一方で、コロナ前の時代についても、利用者数は横ばいの状況でございます。
また、自然体験の行事に参加した子供の割合、青少年の体験活動への意識調査のデータも示しておりますが、子供たちの自然体験等体験活動については、参加が少なくも機会は減少している認識であり、このような前提からニーズに関してはまだまだあるのではないかということが示されています。また、利用団体のニーズの多様化に対応し切れていない現状もあると思います。
続いて、先程来出ています運営費交付金の推移についてみると減少が続いています。これは機構に限らず、効率化係数の1%減の対応等により起きている現象です。
また、繰越欠損金のお話もございました。こちらについては、年度の収支差額がマイナスということです。第4期中期目標計画期間が令和3年度から始まっており、累積で約13億円ということで、大きな赤字が出ている状況でございます。また、続いて施設の老朽化については、老朽化、メンテナンスのコストの増、それらに取り組む人材の確保といったところの部分について課題があるのではないかという現状です。
続きまして、検討会における論点案について資料の2枚目を御覧いただければと思います。
まず、先程来、独立行政法人制度の話が出ておりましたけれども、独立行政法人では国で政策の立案をしまして、実際の政策執行の部分については独立行政法人に責任をもってやっていただくということで、国が目標設定を行いますが、法人運営への関与というのは、事後チェックという形で、運営の自主性、自律性を重視した制度設計となっているわけです。そのような仕組みの下で、国立青少年教育振興機構で法人化以後、約20年にわたり運営を続けてきているところです。そのような中で、「青少年教育施設を用いて青少年の教育振興等を行っていく事業モデル」という言い方をしますと、この事業モデルについては、政策実現上意義あることは基本的に変わらないものと思っております。
一方で、法人の現状を鑑みますと、機構が実施している事業モデルにおいて課題であるとか問題点といったものが浮き彫りになっていると思っております。また、先程運営費交付金の話も出ましたけれども、この事業モデルに関しますと、機構からの説明では省略された資料5の21ページを御覧いただきますと、財政構造としては、国のほうから運営費交付金、あと利用料といった自主財源により構成されていますが、大体国費としまして、毎年約50億円を措置しているという事業モデルになります。これまでの年数をかけ合わせますと、相当の国費が措置されているものと言えるかと思います。このような観点で、経営に対する見直しは、法人の方で取り組んでいただくことは当然でございますけれども、国の政策推進上も、次の第5期中期目標計画期間の開始も含めて、このような事業モデルについて必要な見直しを行いまして、持続性のある運営がなされるようなものにしていくことが必要と思っております。
それでは、資料の2頁を御覧いただければと思います。教育事業・研修事業というところの部分で言いますと、課題として、資料にも示してあるととおり、国立施設としてどのような必要性があるのかという部分と、ナショナルセンターとして、その他の地方公共団体の施設もはじめ、民間も含めた波及であるとか、あるいは様々な社会課題、変化に対して、どのような貢献ができるかという点。あるいは、教育事業を行っていく上でのコスト負担の在り方というのも課題となっているかと思います。
論点Ⅰ-1としましては、教育プログラムの内容、国立の青少年教育施設として実際にどのような形で教育プログラムとして行っていくべきかという点について、改めてその検証を行う必要があるのではないかというようなところであるとか、また論点のⅠ-2のほうで言いますと、研修支援事業で、昨今の学校の働き方改革の推進に当たって、そのような学校との接続関係といったものについて、どのようにあるべきかという部分も論点としてあろうかと思います。
資料の下段に、議論の視点となるキーワード案ということでお示ししております。幾つか議論のきっかけになると思われるものを示しております。
続きまして、資料の3頁目を御覧ください。論点のⅠ-3のほうでは、都市型青少年施設の役割という部分で、これは具体的にオリセンについてです。今回収益の状況を見ても、オリセンの収益が、かなり法人の事業モデルを支えていたというのが分かりますが、今後どのような位置づけで進めていくのがよいかということです。続いてⅠ-4へいきますと、指導者養成機能の在り方ということで、ナショナルセンターとしてどのような指導者養成を行っていくべきなのか、という部分を論点として挙げても良いのではないかと考えております。
続きまして、論点のⅠ-5では地方教育施設との関係性をどう考えるのかと。いわゆるオリセンと地方のそれぞれの施設、両者の関係性というものに関しては、法人全体で見れば、全体的に最適化されて成果を上げていただく形が必要になるかと思いますが、先程の収益性の部分をどのように確保していくのかというところもございます。
さらに、キーワードのところで言いますと、例えば国際的な、グローバルなところの視点で、全体として少子化の影響を受ける中で、論点としてはあり得るという形で示しております。
これまでは教育等、いわゆる事業そのものについて検証を行うという部分でしたが、論点のⅡでは、その事業の前提となる、例えば施設の維持管理であるとか、事業を支える部分についての検証ということです。資料の4頁を御覧ください。こちらにつきましては、課題としましては、施設の老朽化、インフラメンテナンスに要する人材、こちらにつきましては、国全体としても技術的な職員の確保というのが難しい状況になっているわけですけれども、そのような中で、これだけの施設を持っている法人として、インフラメンテナンスあるいは維持管理業務に関する部分をどのような形で行っていくことが必要なのかといったところや、いわゆる閑散期のところの宿泊稼働率を見ますと、稼働率という点ではまだまだ改善の余地が見える中で、どのように考えるのかという部分がございます。
論点のⅡ-1で、インフラマネジメントの在り方について検証を行うといったところと、論点のⅡ-2ですと、一般的な管理運営業務の効率化ということで、電子化的な話も先程出ていましたけれども、そのような部分であるとか、あるいは外部の資源をうまく活用して、法人内部と役割分担を図っていくとか、そのような点が挙げられると思っております。
議論の視点となるワードとしては、例えば民間活力の導入といったところ、PFI等独立行政法人の中でも進めている法人もありますけれども、このような部分の検討もあるのではないかと考えているところです。
以上の論点案も事務局としてお示しするわけですけれども、本検討会で幅広く、専門的知見であるとか、あるいは参考となる事例の分析であるとか、様々な立場からの御意見等をいただきながら、新たなニーズの発見であるとか強みの創出、あるいは様々な機関との連携協働、手法の工夫などによりまして、法人が行うべき事業が明確になり、かつ持続性のある事業モデルに発展的見直しが行われることが必要と考えております。このことにより国全体の青少年教育の一層の振興につなげればと思っておりますので、ぜひ論点案も含めて、活発な御検討をお願いできればと思います。
説明としては、以上でございます。
【平野座長】 室長、御説明ありがとうございました。
それでは、これより、残された時間、自由討議に移りたいと思います。本日は初回の検討会ということもあり、どうしてもいろいろな説明を事務局のほうからしていただくような時間があり、お一人お一人の御意見を伺うようなことができませんでした。ぜひ、ここからは名簿順に、2分以内をめどに御意見をいただきたいと思っております。座長、副座長は飛ばして名簿順にお願いしたいと思います。
なお、事務局が回答すべき御質問があるような場合には、最後の時間に事務局からまとめて回答をお願いする予定でおります。
それでは、まず、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 ありがとうございます。
ここまでお話を聞いて感じたことを少しお話しできればと思います。
今後、この議論を進めていくに当たっては、やはり青少年教育の振興をどうしていくのかということも見据えながら考えていく必要があるのかなと思っております。今、学校の利用が少なくなっているとか、青少年団体の利用が少なくなっているといった中で、コロナで変わった価値観を踏まえ、体験活動の重要性というものを、改めて子供たちの生活には、子供を育てるためには体験活動が必要なんだということを、普及啓発の観点から発信をしていく必要があるのではないかなと思っています。
利用が減っている理由の1つとして、私がよく聞くのは、子供会やPTAでは一旦やめてしまった事業を復活させるのがすごく難しいということです。コロナで一度なくしたものを復活するのはすごく難しいと聞いています。そういったことも、今回の利用の減少の1つの理由になっていると思います。そのため、機構の役割として、青少年教育の普及啓発や広報といったところに力を入れ、体験活動の重要さを伝えていく中で施設への利用に結びつけていくといったことが大事になってくるのかなと思っています。
併せて、財政的なことも非常に重要な観点だと思っております。今までと同様に運営はできないという中で、いかに利用の中で収益を得ていくのかということを考えていく必要があると思うのですが、ただ利用料を上げていくだけになると、今度は利用のハードルが高くなっていくため、例えば、活動を利用した時にサービスの費用をいただくといったことも考えられるのではないかと思います。例えば、私も国立施設をよく利用しますが、良い部分と悪い部分があると思っています。良い部分というのは、例えば、鍋を借りるとか道具を借りるというのは無償なんですが、無償なものが多い分、こちらから用意していかないといけないものも結構多い。であれば、例えば、食器を借りる、鍋を貸すといった場合も利用料をいただき、そこに、例えば、洗剤とかはこちらで用意しますといったサービスの部分もうまく結びつけていきながら収益を得ていくとか、サービスの向上と併せて収益の向上にも結びつけていけるような改善ということも考えていけるのかなと個人的には感じているところです。なので、そういうことを今後の会議の中で議論を進めていければいいのかなと感じているところです。
私のほうからは以上です。
【平野座長】 秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 失礼します。兵庫県教育委員会の秋田です。よろしくお願いします。
私は、今、県教育委員会の義務教育課におりますので、教育行政として、義務教育段階の子供たちに、教育課程の中でどう体験活動を充実させていくか、また、それに向けてどういった支援ができるかといったようなことを考えているところです。
少し本県の状況を御紹介させていただきますと、本県では小学校、中学校、高等学校それぞれの発達段階に応じた体系的な体験活動、これを兵庫型「体験教育」として実施しております。今回の議論や検討会に大きく関連するであろう取組の1つとしましては、県内の全ての小学校5年生を対象に、4泊5日の宿泊体験活動を自然学校として全県的に実施しています。この自然学校は昭和63年から実施しておりまして、これまで延べ187万人以上が参加しています。例えば新任教員の中で、自然学校を自分で体験した人というと、ほとんどの教員の手が挙がるといった形で、本県の特色ある教育活動の1つとして実施しております。
この自然学校は、やはり子供たちにとっては、日頃経験できないような感動の体験であったり、仲間と4泊5日過ごす中で主体的に判断したり解決したりするといったような、生きる力につながる活動であると思っています。宿泊する実際の施設としては、当然、今日の議論にもなっています国立淡路青少年交流の家など、国公立民間施設、また民宿等も活用して、全県的に実施しております。
ただ、先程の中で、コロナ以降はなかなか利用者が回復してこないといったような話もありましたが、やはりコロナ以降、かなり様々な課題が出てきております。何が課題かといいますと、先程もありましたように、バス代が高騰していることであったり、教員の働き方改革の観点から、なかなか宿泊するということに対していろんな支援が必要になってきたりしています。また、本県では、学校の教職員全体で関わるだけでなく、外部人材等も一緒に補助員として行っております。それがどういった方かというと、大学生や野外活動を経験したような方たちを補助員として行っていますが、その人材がなかなか確保できない。大学生も、今はなかなか大学を休んで自然学校に行けない状況であったり、コロナのときは当然コロナで行けなかったりというように、外部人材を確保できないということもあります。
そういった様々な課題、特に宿泊する教員が課題と考えていることの1つには、子供たちが多様化しており、個別に支援が必要な子供たちがかなり増えてきている。それは、アレルギー対応であったり、また不登校で普段なかなか学校に来られない子であったり、また発達障害等個別に支援が必要であったりと、そういった様々な対応から、教員にとっては負担になっているといったこともあります。そこで、まさに今年、本県としてもどういった課題なのかということを調査していますが、大きくは、1つは、先程の青木委員からもありましたように、先生方は、体験活動の大事さを皆さん分かっておりますので、それをどのように皆さんに周知していくか、その良さを改めて認識してもらうことが大切だと思っていますさせていくか。それと併せて、どういった負担軽減を図るための支援ができれば、野外活動や宿泊活動につなげていけるのか、これを行政としては考えていきたいと思っております。
そういった観点から、今後の討議等についても一緒に参加させていただけたらと思いますので、またどうぞよろしくお願いします。
【平野座長】 糸川委員、お願いいたします。
【糸川委員】 ありがとうございました。
まず、機構の説明を聞いていて、一番最初のビジョンのところで、私はとてもこのビジョンを素敵というか、完全に共感できるところであって、むしろ私がずっと思ってボーイスカウト活動をしてきたところがここに書かれていて、まさにそのとおりでうれしいような気持ちにもなったんですけれども、まず、この機構の目的みたいなところで言えば、彼らの青少年活動で青少年のための育成をいかによくしていって、彼の成長を遂げて、我々の社会につなげていくかみたいな話だと思うんですけど、そこが本質なところであると思うんですけど、実際、金銭的な問題とかが関わってきてうまく回らない中で、例えばオリセンの料金施設料を上げていくとか、そういうところが出ていたと思うんですけど、私たち現場の人間からして、実際に私も幾つか組織を持って自分で運営していたこともあるんですけど、そのときにオリセンの利用というのは一番最初に出てきたところなんで、すばらしい施設だし、整っているし、宿泊もできるしというところだったんですけど、高くて使えなかったんです。あの時点で、去年、一昨年の時点でですけど、我々青少年からしてみて、私、今22歳で大学4年生なんですけど、その時点ですごく高かったんです、我々からしてみると。そこの目的が青少年のためにというところであるのに、我々が使えないこの状況、きついなと思うところが正直あって、施設利用の費用を上げるのはとても単純なことで一番簡単なことだと思うし、お金を集めるには一番よい策なのかなと思うんですけど、我々みたいなこういう状況の人間が多い、多数いる中で、今のこの困窮な状況もある中で、私としては、お金がないというかお金に困っているような人間から取るというよりも、お金持ちから取ればいいんじゃないと、私はすごく思うんです。
何ページかにあった寄附金その他のところが、すごく少ない割合で9億とかだったと思うんですけど、それがどうやって集めているのかなというのもまず気になりますし、もしそれをもう少し増やせるというか、そこの場面で、何かいい策を打っていけるのであれば、日本中、世界中、私たちが想像する以上にお金を持っている方々はたくさんいらっしゃると思うんです。私も何か事業を行う時には、いかに参加者からお金を取らないかということを念頭に考えていて、その理由は、事業の本質的な部分で、彼ら参加者に負担をかけずに一番楽しんでほしいし良い経験をしてほしかったからなんです。そこで思ったのは、お金のある大人から寄附をいただくということだったんです。実際に、参加費よりも寄附金のほうが多くて、赤字予測だったのが大幅に黒字になったこともあったりもしていて、寄附金というところの募金みたいなところは、すごく私は力を感じている部分でもあるんです。
とはいえ、何かを得るには何かを捨てなきゃいけないと思っているので、施設のどうしても利用が減ってきてしまっているところとか、利用が減っていても維持費用とかはかかっている中で、そういうものは取捨選択していく必要があるのかなと思っています。
今回のこの委員会に参加できてとてもうれしいんですが、私がこの会議を通して一番大事にしたいのは、目的、本質のところで、誰のために何を私たちが行うのかといったことを、一番念頭に考えて進めていきたいなというふうに思っております。
以上です。
【平野座長】 植田委員、お願いいたします。
【植田委員】 私は、先程発言させていただいたんで、手短にいきます。
収入サイドのほうは、今、我々地方自治体の中で、Park-PFIという事業手法があります。これは、都市公園の中に民間投資を導入するという形で地方自治体からスタートして、今これは国立公園にも適用されるということで話が進んでいます。これは、いわゆる収入をつくるつくり方の問題で、都市公園でない場所にPark-PFIはもちろん活用できないんですが、それと同じ効果を生み出すような、そういう仕組みというのを考えていいんじゃないかというふうに思っております。いわゆる民間投資、様々な企業がいます。様々な企業が、ここの置かれている場所というものに対して関心を持っていただいて、何らかの新しい事業を行う。結果として、いわゆる土地代、賃料が収入になるということで、ともかく、もし場所が広く使うことになれば相当な収入になっていくかと思います。
もう1つが、28という施設があるんですが、その施設があるところの地方自治体から、積極的な資金支援というのが得られないかということです。ここも当然ロジックが必要で、私が今、全国の実態を見ていて一番大きな課題は、人口流出だと思っているんです。ですから、この施設がある地元の方々と人口流出というものを回避するためには何ができるかということなんです。それは何かというと、要するに30代になったぐらいの御夫婦のお子さんがいて、そういう方々がその地域からどんどん離れていくんです。なぜ離れていくかというと、そこにいる意味がない、自分がここになきゃならないという意義を感じない、つながりを感じないということで、地方の多くの都市から人口流出が起きているわけです。ですから、この施設を活用することによって、地方自治体が最もそれを避けたいところの人口流出というものを、それに対して何らかの影響を与える、すなわち、この地域で住んだ子供たちがここで宿泊することによって、体験することによって、地域のカルチャーなり地域というものに対してのつながりを持つような形で教育がなされていくというと、結果的にはその人たちは、その地域に残るという、全員が残るわけじゃありませんけども、そういうことが実際起きてくるかと思うので、そういう意味で、何らかのロジックで、地方自治体からの資金的な、結果的には支援というのが得られると、事業費になると思いますけども、そんなこともあっていいのかなと思っております。
以上です。
【平野座長】 岡田委員、どうぞよろしくお願いします。
【岡田委員】 我々は、この野外体験教育とかこういうのが非常に大事だと思っているけど、国がそれ以上に大事なものがあると。これが一番大事だと思ったらお金を出すわけで、そう思ってないという中で、もうこれは売上げアップとコストカットではなりかねない、感覚的に聞いていて。もうそれは事業を縮小していく、または完全業務委託で民間に出す、何らかの抜本的な解決策をしないと無理だなというのを直感的に感じました。
以上です。
【平野座長】 笹本委員、お願いいたします。
【笹本委員】 千葉市立白井中学校の笹本でございます。
千葉市のほうは、実は40万平米を超える施設を群馬県のほうに昭和48年から持っていたんですけれども、平成31年に、そちらのほうを町のほうに譲渡いたしまして、令和元年より教育委員会指導の下に、国立の、主に赤城のほうと那須甲子のほうを中学2年生が全員使っているという状況で、こちらのほうに参画しております。
毎年7,000名を超える中学2年生が使っておりますので、生徒たちの声もしくは職員のほうのいろんな声が上がってございますので、また機会を見て、使っている者側としての意見を述べたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【平野座長】 難波委員、お願いいたします。
【難波委員】 私のほうから2点ありまして、まず1つは、そもそもこの青少年教育という文脈の中でこの機構が何をしていくのかというところの方向性をもう少し知りたいなというふうに思っていて、こちらでお持ちになられている、主に青少年自然の家というのも、先程来、立地がというお話があって、立地でアクセスが悪いですと。ただ、その立地を生かして自然を体験する場を提供してきたという価値があるというのは、それはすばらしいことだと思うんですけれど、その一方で、先程プレゼンテーションしていただいた中に、就労体験であったり生活体験といったような部分というのを提供するには、この施設のロケーションというのは全然フィットしない。オリセンは別だと思うんですけれども、その辺りでどういう方向性を見て、誰に何を提供しようとしているのかというところがもう少しクリアにならないと、施設をどうするのかという以前の問題かなというふうに思います。
このパンフレットの中にも、希望していた体験ができなかったというアンケート結果が結構あったというお声があるというふうに書かれていて、それ自体はすごい重たいことが書かれているんだろうなと。なので、単純にそこで利用料金を上げていったら、不満が余計にたまっていくだけになってしまうだろうなというところもあるので、そこをまず1つ、ちゃんと考えるべきだというふうに思いました。場合によっては、ロケーションがすばらしくて、観光とかにも使えるような場所なんであれば、先程もお金持ちの人にお金を落としてもらったらいいというお話ありましたけど、エコツーリズムに使うとか、そういったもっと別の使い方もあるのかもしれないですし、それによってお金を集めるという方法もあるのかなと思いました。その辺が1点目です。
2点目のところが、公共施設マネジメント的な観点で言ったときに、私もこの中の幾つかの施設、国立の施設がある割とすぐ近くに県立の施設とかが、同じような目的で、まさに青年の家とか青少年自然の家というものがあって、結局、利用者を取り合いしてしまっている部分というのが少なからずあるのではないかなというふうに思っていて、その辺りも、先程も包括の話が出ましたが、包括管理するにしても、全国のばらばらにあるところを包括管理するよりは、近くにあるところを包括管理したほうがよほど効率がいいので、あるいは場合によってはどちらかを廃止するとか、役割分担をするというようなことも含めて考えていく必要があるんじゃないかなと。18歳人口ピークよりも半分ぐらいに既になってきていますし、これからどんどん減っていくので、施設の数の適正化というのも、やはりちゃんと考えていく必要があるかなと思っています。
以上です。
【平野座長】 すみません、私、順番を間違えてしまいました。失礼いたしました。佐藤委員、よろしくお願いします。
【佐藤委員】 思わぬ、飛ばされてしまい、どうしようと思っていましたけれども、ありがとうございます。
今いろいろ議論をいただいている中で本当に感じたことは、私自身の団体としては、公立の施設の12施設を、指定管理者制度により青少年教育施設に携わっている団体です。その中で、PFI方式でやっている施設を運営したんですが、そこでは、青少年教育施設だけではなく、保養施設という観点で条例を改定して、平日には学校利用、土日、それから年末年始には、それは区立の施設なんですが、区民の方に利用いただくという形で、施設の持続可能な経営の視点を持って提案をしました。ただし、先程も申し上げたとおり、青少年教育から区民の保養場としてということで条例改正をしていますので、そういう観点から、区民の方々から御理解をいただいて、その施設の運営に携わっています。
恐らく今回の話も、法律改正をするまでぐらいやらないと、岡田委員が言われたように、そもそも青少年教育に体験活動要らないよというその声も聞かれなくはないと思っているんです。ですので、本質的に義務教育と同様に、この体験活動は重要であるということの声を、もっともっと国民の方々に理解をしてもらえるような、つまり、予算が増やせる考え方も1つあるのかなと。ただし、現実的には非常にそこは厳しいと思いますので、いろんな手法を、アイデアを出して縮減をしていく、あるいはその中で持続可能な運営をどうやったらできるかということを検討していくというのが、多分この委員会に求められていることなのかなというふうに思いました。
そこで、事務局の方に1つだけ。私たちの任期が一応令和8年の3月31日というふうにして書いてあるんですが、今回3回ぐらいの会議が設定されていて、ゴールがいつ頃を、そして報告のものがどういうふうにして活用されていくのかどうかということについても、もし最後のほうにでもお時間ありましたら説明をいただけると、議論の仕方が非常に他方にわたっているんで、かなりの議論をしていかなければならない、ないしはこの中の委員を分割して、ここはマネジメント、ここは教育の根本みたいな、そんなやり方もあるのかななんていうふうに思ったものですから、その辺のロードマップを教えていただければと思います。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございます。続けて、すみません、長野委員、お願いいたします。
【長野委員】 長野でございます。
私は、栃木県教育委員会生涯学習課で、社会教育行政に携わっている立場でございます。栃木県では、県立の青少年教育施設、現在は3か所を持っております。ただ、かつては、機構とも同じように昭和30年代、40年代に建てた青年の家とか少年自然の家とかいうものを、古いものがかつてはほかに7か所ございましたので、少子化、利用者が減っていく、建物そのものも古いということで、この先どうするかというのを考えたときに、栃木県では統廃合再編をするという選択をしました。
それで、先程今3つ持っていると言いましたが、平成の時代になって建てた2つはそのまま続けつつ、古かった7つを整理統合して新しく1つ造ると。合計3つ体制にするという方向性を示して、それがようやく新しく1つ造るというものがこの春に完成オープンをして、PFI方式で民間企業に運営を全て任せてやっているという状況でございます。栃木県の事例がこちらの議論で何か御参考になれば幸いかと思います。
そして、この春オープンしたところは民間に任せていますが、平成の時代に建てた2か所は、現職の教員を職員として派遣をしております。そうしますと、学校現場から施設勤務に初めてなった職員は、どういう仕事ぶりをすればいいのかというのは当然戸惑います。そういうときに、機構の指導者研修の場をお借りして学ばせてもらって、職務に当たるということでも大変ありがたい取組をしていただいていると思いますので、そういった面も含めて、機構の施設の存在意義というのは大変大きいかと思います。
ただ、全国28か所をこのまま存続をしていくのかということは大いに議論が必要なのかなと思いますので、皆様方の専門的な御意見をお聞きしながら、私なりの考えも話していければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【平野座長】 萩原委員、よろしくお願いいたします。
【萩原委員】 私、先程ちょっとお話ししましたけど、国立女性教育会館の立場とすると、青少年機構と非常に似たような状況にあります。今回の検討会は、まさに施設の振興方策ということでございますが、先程来言われているように、青少年教育についてどうするのかという機能強化の部分を図っていくために、この施設の在り方、存続意義、どうあるべきなのかというところに多分ポイントが絞られていくのではないかなというふうに思っています。
おいおいだと思いますが、国立女性教育会館は、かつて十数年前にある対象になりまして、施設の運営、宿泊施設、研修施設の運営を独自にしておりましたけれども、ハードがソフトを圧迫しているという検討委員会からの指摘をいただきまして、PFIに変わっております。通常のPFIだと、ゼロからということになりますけど、もうできてしまっているものの運営は生かしました。そして、今年10年目です。あまり期待どおりにはいかなかったというのは、申し上げなければいけません。残念ながら黒字経営にはならなかった。それは、PFIの事業者だけの責任ではもちろんなくて、立地の問題でありますとかコロナ禍でありますとか、先程来言われているような状況の中で、なかなか民間だけの努力だけでは難しい。なおかつ、PFIにしたけれども、毎月毎月進捗状況とかを把握したりとか、どうしたらいいかということは、当然のことながら、国女性教育会館の担当者もそこに関わるということもありまして、人材であるとかそういうところでもかなり圧迫するというところもございます。ですので、施設の在り方を検討する分には、まず、本当の意味で機能強化をどう図っていくのかというところと併せながら、ぜひ検討していただければなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【平野座長】 原田委員、よろしくお願いします。
【原田委員】 今日の議論を聞いていますと、やはり国の事業ですので、経営学でいうタイタニック現象みたいに、急に進路を変えられないなという感想を持ちました。結局は、スケールメリットを昭和の時代には非常に有効に活用できたのが、今スケールデメリットになってきたということで、結論から言うと、全体最適化ではなく個別最適化を目指す戦略が必要だと思います。例えば、少年自然の家的な施設に関しては、例えば沼津の少年自然の家は廃止になりましたけど、その後、公募型プロポーザルを使いながら、今は「イン・ザ・パーク」という民間の宿泊施設になっています。顧客のターゲットは青少年から、ちょっとリッチなファミリーとか高齢者へと大きく広がり、黒字化に転換しているような事例もあります。また、先程の兵庫県の教育委員会の範疇にありますけど、尼崎市の青少年自然の家は、指定管理に経営を委ね、OBS、佐藤委員も御存じのアウトワード・バウンド・スクールが運営を行っています。そこでは、ツリークライミングとかシャワークライミングといった専門性の高いプログラム提供を行っています。大阪体育大学も、そこで200人のキャンプ実習を行っていますが、このような専門的なプログラムの提供があると、その施設を利用する理由が生まれます。よって、そういう専門性の高いところに振っていくのも良いのかなと思いますので、今後、制度的なイノベーションを含めながら、ターゲットを探しながら、個別最適化を目指すような、そういった、一度少年自然の家という固まりをばらばらにして、それぞれの施設に最適な経営を模索するというのも1つの方向かなと思います。
私から以上です。
【平野座長】 帆足委員、お願いいたします。
【帆足委員】 私から、幾つか気になったことをお話しさせていただきます。
先程の質問のところのときにもお話ししたんですけども、機構が何をしているかということをもうちょっと宣伝というか広報というか、それはとても必要なんじゃないかなと思います。それは、現状の活動ももちろんですが、今後この話合いを経て変わっていったとしたら、変わっていった機構が何をしようとしているかというところをもう少しきちっと広報するということは、大変重要であると思っております。
それと、もう何人か先生方がおっしゃっていたんですが、青少年というところにこだわらず、全世代的に大人もシニアも使える施設であるというところにもう少し視点を移してもいいのかなというふうに思っています。もちろん民間の力を入れるというようなこともありかなと思っています。
それと、もう少しソーシャル的な視点があってもいいかなと。今ももちろんやっていらっしゃるんですが、例えば最近であれば、自然災害とか温暖化みたいな問題もありますので、そういったものについて学べるプログラムであったりとか、ボランティアとか社会にどう自分が役立っていっているかということを感じられるような学びが持てるような施設というところも、普通の体験活動だけじゃなくて、何かソーシャル的に意味のある施設であるというところを打ち出していけるといいのかなと。
あと、最後になりますが、これももう何人も先生方がおっしゃっていたんですけれども、選択と集中で、もしかしたら施設の幾つかは整理するというようなことも必要なのではないかなとは思っております。あと、オリセンのような都市型のものと地方の施設というものは、もう絶対利用の意味が違ってくると思いますので、それも分けて議論していく必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
【平野座長】 増田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【増田委員】 ありがとうございます。
収支改善のところは、本当に基本的かつすごく大きな問題ということは認識をしております。もともと民間の関係教育団体で働いていたということもありますので、今後の議論のところでは、民間団体としてはどんな取組をしていたのかなということのお話もできるのかもしれません。
ここでは1回目ということもありますので、ミッションとビジョンに関することで自分自身の専門の環境教育の視点からお話をさせていただくと、昨年度、環境教育等促進法の基本方針の見直しをしていました。環境教育等推進専門家会議というものがつくられていて僕も入らせていただきました。文部科学省と、それから環境省にとっての大きな取組だったんですが、そこの中で、環境教育等を取り巻く現状として、いわゆるSDGsで、社会的公正のこととか、あるいは体験格差が生まれているとか、あるいは若者の参画をもっと促さなくちゃいけないとかということが課題として挙がりました。これはもう本当に青少年教育振興機構とのビジョン、ミッションと重なるところかなと思います。また、過去5年間の環境を取り巻く課題として、2つの大きな課題が上がっていて、それが気候変動、気候危機と、それから生物多様性の損失ということでした。こういったことに対してどのような取組をしていくかということの話合いをしてきたんですが、その中で、生物多様性の損失ということを考えると、いわゆるネイチャーポジティブということとか、話が上がっています。機構の施設はESD活動拠点にはなっていらっしゃるかと思うんですけど、一方で自然共生サイトの状況は、僕も詳しく言うところまで把握できてないんですが、例えば機構の拠点がそういった自然共生サイトとして登録をしていくことによって、生物多様性の損失ということに対しての対応をしていくことができると思います。あるいは環境教育とか協働の取組の推進策のうちの1つとして、幅広い場での取組ということが掲げられている中に、実際に青少年教育施設への支援という言葉も入っています。そういったことを考えていくと、やっぱり青少年教育施設が環境教育の拠点にもなっていくという必要があるんじゃないかと思っています。
その拠点という話でいうと、ESD活動拠点ということも含めて、ESDや環境教育の拠点ということが期待されているのかなと思っていることと、もう1つは、僕自身が1つ取り組んでいる持続可能な地域づくりという観点で言うと、オリセン以外の地方にある拠点が、いわゆる少し離れたところにあるということが、逆にこの持続可能な地域づくりの拠点になっていき得るということもあるんじゃないかなというふうに思っています。
最後に、環境教育等促進法の基本は、協働なんです。その協働ということを考えると、機構だけでやるのではなくて、機構の近くにある自然学校であるとか企業であるとか、いろんなところと協働していくということが、ここで話が上がっていた稼ぐということにもつながっていくということで、協働ありきでいろんな取組をしていくということができると、環境教育等促進法が具体的に実行されている場所が機構の拠点なんだということにもつながっていくのかなと思いました。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございます。野口委員、お願いいたします。
【野口副座長】 ありがとうございます。
皆様の意見を聞いていて、本当に大きな課題があるなと思っていたんですが、青少年教育施設のハードユーザーとして、それからあと、子どもゆめ基金の助成とかそういうことも含めますと、やはり青少年教育の重要性というところと、あとは機構が果たす役割というところと、あとは実際問題施設をどういう運営していくかというところを、ある意味ちょっと切り分けて考えながら、最終的にどうやって整合性を取っていくかというところが、私は重要ではないかなというふうに今考えております。
私、日本キャンプ協会のほうで役員もさせていただいておりますが、都道府県のキャンプ協会、いわゆる草の根の団体の立場から言いますと、こういう全国津々浦々に特色のある青少年施設があるということは、とても豊かな財産だというふうに思っておりまして、スケールの部分はあると思いますが、この資源を有効に生かすために、ぜひ皆様のいろいろな知恵をお借りしながら、今までの地位に安住することなく、力を入れて取り組んでいければというふうに、私個人的には思っております。
特に、国立として、ナショナルセンターとして本当にやらなければいけない青少年教育の課題とは何かというところについては、私、すごくこれから検討する必要があるなというふうに感じております。
以上です。
【平野座長】 最後、ありがとうございました。私の進行のつたなさで、既にお時間になってしまった関係で、原田委員、岡田委員のほうが退席をされました。
私のほうは、皆様方の御意見を聞きながら、1つ出てなかった意見として、例えば機能強化とかナショナルセンターとしてのモデル事業を行うとか、それから非常に専門的な研修をやる場であるというような観点から見たときに、様々な課題があるとは思いますけれども、私自身は、職員の人事というようなことも、きちんと考える必要があるのではないかということを、全体の意見として、聞きながら感じました。
つまり、先程御説明にもありましたが、交流人事そのものを否定するつもりは全くありませんけれども、例えば3年で次に次にと新しい方が来る中では、機能強化のための蓄積というものが非常に失われている。研修事業を本当にモデル的にやるとか、専門的な指導者を育てるときに、単なる場所貸しになっていたりとか、様々な専門家に来てもらって調整役になっているというところがないか。それは、そこで働いていらっしゃる、特にオリセンを除く27の地方の施設が独自でそうした専門的な能力を持っている方たちの集団になっていくということも、今後検討していく必要はないか。例えば、所長次長の人事はどうあるべきか、指導系職員の人事はどうあるべきか、その辺も踏まえながら、今回この検討会では、そうした検討も必要ではないかなというようなことを少し感じました。
たくさんの御意見ありがとうございました。本当に限られた時間で様々な御意見を頂戴しましたが、佐藤委員から少し質問がありましたけれども、最後のところで今後のスケジュールのこともあると思いますので、その辺りで事務局から何か付け加えることがあればお話をいただきたいと思っております。
本日、予定しておりました議題は以上で終了し、スムーズな進行に御協力いただいて、どうもありがとうございました。次回以降、各論の議論が始まります。事務局のほうから、こういった団体はぜひお呼びしてヒアリングすべきじゃないかというような、そういう事例だとか、先行しているような団体等ありましたら、ぜひ事務局のほうまで御連絡をいただければと思います。
最後に、今後の検討会の進め方、スケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。
【高木地域学習推進課長】 すみません。まず、佐藤委員からお話がありました、この検討会をどういう段取りで進めていくのかのスケジュール感でございますけれども、2つ視野を入れていただかなければいけないことがあります。
1つは、設置紙のほうにも、資料1の要項にも書いてありますけども、令和8年度から第5期の中期目標期間が始まります。来年度になりますと、本格的に中期目標の中身の検討ということに入ります。
もう1つが、別途でございますけれども、局長の茂里からもありましたとおり、今年の6月に中央教育審議会に対しまして、今後の社会教育の在り方と推進方策について諮問されているところでございます。中央教育審議会の中で、萩原委員にも委員になっていただきましたけれども、特別部会を設けまして、議論をスタートしているところでございます。その諮問内容の中に、青少年施設などにおける青少年体験活動の推進方策についても審議事項といったことが入っております。そういうことを合わせますと、大体1年前後ぐらいかけて大きな方向性をまとめていただく必要があるのかなというふうに我々どもとしては考えているところでございます。
進め方としましては、室長の小沢から御説明させていただきました資料6のところで幾つか論点を掲げさせていただいているところでございます。論点の数だけでいくと7つあるところでございます。それを1つずつやっていくと、さすがに時間がかかり過ぎるのかなと思っております。幾つかまとめて進めていくのかなと思っているところでございますけど、それにつきましては、また座長とも御相談しながら検討したいなと思っているところでございます。
今後の2回目、3回目につきましては、葛城のほうから御説明させていただきます。
【葛城青少年教育室長補佐】 資料7を御覧ください。
第2回目、3回目の開催について、日程調整の御協力ありがとうございました。皆様からいただいた回答を調整しまして、第2回目については、10月30日水曜日の16時から18時、第3回については12月5日木曜日の16時から18時とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。第4回目以降については、また改めて日程調整させていただければと思います。また、事前に御希望を伺っておりました地方教育施設の視察については、10月3日木曜日を予定しております。今後、会議の出席表及び視察の参加希望については、また改めて御連絡させていただきますので、調整いただければと思います。また、最後に本日の議事録については、後日委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、第1回の検討会を閉じさせていただきます。本日はどうも皆様ありがとうございました。
総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室