令和7年3月5日(水曜日)15時00分~17時00分
青木委員、秋田委員、糸川委員、植田委員、岡田委員、笹本委員、佐藤委員、長野委員、難波委員、野口委員(副座長)、萩原委員、原田委員、平野委員(座長)、帆足委員、増田委員
茂里局長、平野社会教育振興総括官、高木地域学習推進課長、小沢青少年教育室長、葛城青少年教育室長補佐
独立行政法人国立青少年教育振興機構:古川理事長、長谷川理事、伊藤理事
【葛城補佐】 定刻になりましたので、ただいまより第5回国立青少年教育施設の振興方策に関する検討会を開会いたします。本日は委員の皆様におかれましては、御多用の中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日は、会場とウェブ会議システムのハイブリッド形式での開催となっております。通信環境の状況などにより、音声が聞き取りづらいなどの不具合がございましたら、ウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせいただければと思います。
また、本日の会議については、文部科学省のYouTubeチャンネルにてライブ配信を行い、報道関係者や一般の方々の傍聴を受け入れておりますので、御承知おきください。
ウェブ会議システムから御出席いただいている委員の皆様に御案内いたします。会議中、御発言をいただく機会以外には、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
御参加の委員の皆様におかれましては、御発言の際には、画面下部にあるリアクション項目から挙手のアイコンをクリックしてお知らせください。座長より順次指名があります。指名された後、御発言いただきますようお願いいたします。なお、御発言後は「手をおろす」のアイコンをクリックし、挙手アイコンが表示されていない状態にしていただくよう御協力いただければと思います。
それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。資料は1-1から4までの計6点になります。不足等ございましたら、お申しつけください。
それでは、以降の進行は平野座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【平野座長】 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。本日の出席状況ですが、岡田委員、そして笹本委員が御欠席となっております。
それでは議事に入ります。
本日は、初めに事務局から、本日の検討会に関する論点と検討の視点を御説明いただきます。議題1は、国立青少年教育振興機構から国立青少年教育施設のインフラの現状についての説明を、そして議題2として難波委員から御発表を行っていただきます。御発表に関する質疑や意見交換は、後ほどまとめてお時間をとっておりますので、その際にお願いをいたします。
まずは、第5回の論点と検討の視点について、事務局からお願いいたします。
【高木課長】 御説明させていただきます。資料1-1でございます。今までの本会議におきまして、事業の在り方について御議論いただいたところでございますけれども、4ページ、今回からは施設の維持管理について御議論いただければと思っているところでございます。
5ページでございます。国立の青少年教育施設は大分老朽化していますので、そういったことにつきまして、この後、機構から話もあると思いますけれども、老朽化した施設をどう維持するのか、維持管理に必要な人的リソースをどうするのか、また、インフラマネジメントのコストをどう確保していくのかといったことと、そのメンテナンスサイクルについて、いろいろと御検討いただくところがあるのかなと思っているところでございます。
検討の視点としては、全国で28施設運営しており、そういった設備の状態について正確な把握でありましたりとか、インフラマネジメントサイクルに係る企画立案を行っていくための体制がどうなのかといったことでありましたりとか、その維持管理に関する計画について現状を踏まえて妥当なものになっているのかといったことでありましたりとか、現状、不具合が生じてから修繕を行うような「事後保全」が中心になっていると思っておりますが、不具合が発生する前に対策を講じる「予防保全」ということができるのか、できないのかといったこと「予防保全」に必要な経費をどのように確保していくのか、といったこともいろいろとあるのかなと思っているところでございます。そういったことに関する法人全体の計画の策定というのも必要ではないかと考えているところでございます。
6ページでございます。自治体で実施されています公立の青少年教育施設の民間活力が導入されたことによる工夫について、御参考までに資料として整理させていただきました。上段が、栃木県立みかも自然の家でございます。栃木県の県立青少年教育施設9施設を運営しておったのですけれど、それを3施設に統廃合し、そのうち1施設を新設しましょうということになっておりまして、新設したのが、みかも自然の家になるところでございます。BTO方式による18年間のPFI事業といったことで、令和6年から運営開始をしているところでございまして、工夫されているものとして3つ掲げさせていただいています。学校利用だけでなくて個人とか家族、企業等の利用も可能とする形での利用対象の拡大、あと、県内の小中学生が学校利用で行う場合は宿泊料を無料とする一方で、県内外の利用だったりとか年齢などに応じまして一般利用については金額を設定することでありますとか、繁忙期、閑散期によって料金を変えることなどの利用料金の見直しでありましたりとか、あと、予約方法の柔軟化といったことでホームページでありましたりとか、外部予約サイトからの申込みも対応できるようなことをするような工夫を行っていると伺っているところでございます。
下段が、東京都の高尾の森わくわくビレッジでございますけれども、都立の青年の家は、7施設あったところなのですけれど、それをユースプラザという名前で2か所に集約した形になったところでございます。そのうちの一つ、多摩地域におきまして、閉校となった都立高校の跡地を改修して活用されているところでございます。PFI事業で行われておりまして、1期目がRO方式で10年、2期目がO方式で10年、3期目がO方式で10年を予定しているところでございまして、平成17年4月から運営開始をしているところでございます。工夫されている点が3つありまして、誰にでも開かれた施設ということで、学校とか青少年団体ということに限定せずに個人とか家族等の利用も可能とすることと、あと、施設の設置目的以外の利用者についても受け入れて施設を有効活用していくことを掲げられていることでありましたりとか、リーズナブルな利用料金ということで年齢による料金設定でありましたりとか時間外利用、施設の設置目的以外の利用につきましては割増し料金を設定することと、予約段階で学校利用と一般利用とでは予約開始時期での差別化を図っているといったことでございます。最後に3つ目の工夫として、柔軟な予約方法でございますけれども、令和5年度から外部予約サイトの宿泊申込みも対応するような工夫をされていると伺っているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
【平野座長】 ありがとうございました。では、議題1として、国立青少年教育振興機構から国立青少年教育施設のインフラの現状についての御説明です。よろしくお願いいたします。
【伊藤理事】 財務担当理事の伊藤です。資料は2-1、こちらが先ほど文部科学省から御提示のありました本日の論点でありますけれども、インフラの現状についての説明資料になります。併せて資料の2-2として、委員の皆様方からあらかじめ資料の提出の御依頼がありましたので、それも含めまして参考資料という形で資料を御用意してございます。したがいまして資料の2-1に基づきまして、機構が設置する青少年教育施設の現状について、これから御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料2ページでございます。各施設の築年数の状況でございます。図の1を御覧いただきたいと思います。建物の築年数、これ、機構全体の建物でございますけれども、それの状況でありまして、色分けをしておりますけれども、その下のところに築年数という形で60年以上、それぞれ、その後10年刻みで色分けをしてございます。おおむね50年以上たっている建物から、10年刻みで大体4分の1ずつ構成をされているということでありまして、かなり古くなってきている実態でございます。
この内訳として図の2を御覧いただきたいんですけれども、私ども、大別しますと施設は3種類ございます。一番左が、かつて青年の家と称していたもので、真ん中が少年自然の家でございます。一番右がオリセンでございます。それぞれの築年数の特色を申し上げますと、当然、施設の設置年度と連動してきておりまして、青年の家が一番古くて昭和34年から51年にかけて設置をされておりますので、ここが一番古くなってございまして、建物の築年数で申し上げますと50年以上経過しているものが6割で、半分以上超えている状況になります。次いで少年自然の家が昭和50年以降、設置をされてきておりますので、40年から50年たっているものが半分になってきている状況です。オリセンは昭和40年に設置をされてございますけれども、平成に入ってから一度建て替えをしてございますので、ここが実は一番新しい形になっているということでございますので、本日は老朽化の対策ということで、ここをしっかりやっていく必要があろうかと思っておりますので、地方施設、両方の家になりますけれども、ここを中心に現状を御説明させていただきたいと思います。
資料3ページになりますけれども、この資料は施設ごとの築年数の構成を表したもの、事実上これは施設の設置年度と考えてもらえばいいんですけれども、それの時期を示してございます。こちらは御参考いただければと思います。
次に資料の4ページ、先ほど申し上げました建物の維持管理の体制の資料になります。本部、オリセン、地方施設でそれぞれ施設と管理をやっていくわけになりますけれども、オリセンにつきましては設置場所が本部と同じ場所ですので、本部で維持管理の業務を行ってございます。
本部の体制ですけれども管理職含めて5名体制でございまして、それぞれ担当が4名張りついておりますけれども、建築、電気、機械、この専門的な業務につきましては技術系職員を配置してございますけれども、国立大学からの人事交流者、これを充てている状況になります。
一方、地方施設につきましては管理職含めておおむね4名程度で各施設とも対応してございますけれども、担当者につきましては、こちらもおおむね大学からの交流人事でございますけれども技術系の職員は配置できていないと、総務管理系の国立大学の職員に交流人事として来ていただいている形になります。
本部と地方施設の役割分担、一番下の段でございますけれども、金額の多寡で分けてございます。修繕費が100万以上となる場合は本部が執行いたしまして、これは地方施設の分についても執行している形になります。100万未満につきましては地方施設に予算措置をして、それぞれの施設で執行している形になります。当然のことながら、本部が執行する地方施設の部分の修繕につきましても、地方施設から要望を受けながら措置をしていることになります。
次に、資料の5ページを御覧いただきたいと思います。こちらは施設の維持管理、整備に当たっての基本的な考え方を示した資料になります。この資料で参考資料という形で載せているのは、出典は公立の学校施設、これにつきまして文部科学省が施設を長寿命化させるということのイメージ図、これを参考として掲げさせていただいてございます。こちらの中身を見ていきますと竣工してから徐々に年数が経っていって70年から80年間、建物を使っていこうというライフサイクルを公立学校施設では示されてございまして、竣工してから当然、経年による機能、性能が劣化をしていくと。そういう中で日常的な点検、修繕、これをしっかりやっていくと。
これに併せまして一定期間ごと、これはこの場合で申し上げますと80年のサイクルの中で3回来るわけですけれども、20年置きになりますけれども予防保全的な改修として大規模改造、大規模改修をやっていく形になってございます。大規模改修、大規模改造というのは原状回復という形の性格を持っていて、経年による劣化、これを回復させる形で行うもの。併せまして真ん中のところの改修につきましては、原状回復に加えて機能向上の、そのような要素も盛り込まれていて、真ん中の長寿命化改修という枠の中の一番下のポツを御覧いただければと思いますけれども、多様な学習内容・学習形態への対応ということで、学習指導要領も10年置きに改定されますので、建物を80年間使うといったときに真ん中の40年程度のところでは、その当時の教育の内容ですとか方法に合わせたような形に施設の機能強化を図っていくようなことが示されていることになります。
いずれにいたしましても、予防保全的な改修として一定期間ごとに修繕とは別に整備を実施していくのが公立学校施設の考え方でございまして、我々、青少年教育施設におきましても、これと同じような考え方で維持管理整備を進めていくべきではないかと考えてございます。すなわち日常的な修繕、これと一定期間ごとの予防保全的な大規模改修を、組み合わせて実施していくことが必要になってくると考えてございます。
次に、6ページを御覧いただきたいと思います。まずは点検修繕のところでございますけれども、私どもの施設がどのような状況になっているのかということにつきまして、劣化度調査、地方の全施設を対象として昨年の1月から2月にかけて実施をいたしました。こちらにつきましてはAからDの4段階で建物の状況、施設設備の状況を評価する形にしてございまして、その評価の内容ですが、下にありますけれどもAからDに分かれていまして、Dが早期に対応が必要と、一番劣化が進んでいる評価ということになります。
これを、真ん中左側のグラフを御覧いただければと思いますけれども、建築、電気、機械というインフラの各部位というか、箇所で見ていきますと、赤の早期に対応が必要というD評価の割合、数が多くなっているのが、建築のところが中心になっている状況が見てとれると思います。これは後ほど理由については御説明申し上げますけれども、そのような状況になっておりまして、D評価になっているのは全項目の8%ということになってございます。
それで、このDの評価の修繕に必要な金額というものを試算いたしますと、右側の中ほどでございますが約23億円必要になってくるということになります。しかしながら我々、直近3年間で見ると赤字が出ている状況でありますので、そういう中で予算をうまくやりくりしながら、限られた予算ではありますけれども優先順位をつけながら、こういった修繕の対応が必要になってくる状況になります。
修繕費の状況が次のページの7ページになります。私どもの修繕費の措置状況でございますけれども、令和に入ってからで申し上げますと、おおむね1億円から2億円の間で推移をしてございます。先ほど申し上げましたとおり、新型コロナの影響もありまして利用者数が落ち込んだことが要因ではございますけれども、非常に厳しい財務状況になってございますので、ここ10年程度、推移を見てみますと残念ながら修繕費、これを確保できる金額というのが下がってきているようなことになります。
修繕費の内訳なんですけれども、青色と黄色で分けてございますが、表の左下のところを御覧いただきたいと思います。建築と設備でそれぞれ分けてございまして、先ほど劣化度調査で3分類ありましたけれども、建築と電気と機械のうち、電気と機械を設備で一まとまりにしてありますけれども、建物のうち、建築部分と設備で分けてございます。それで、この表を見てもらえば分かるとおり黄色の箇所が多くなっていて、設備の整備を優先的に進めてきたわけでございます。
これはどういうことかと申し上げますと、右側の枠の中の2つ目の丸でございますけれども、設備の修繕の占める割合が高くなっているんですが、これは設備の耐用年数が短いので故障する頻度が建築に比べて高くなっているので、その対応が必要なってくると。これを故障したまま放置してしまうと、特に電気設備なんかは利用ができなくなってしまうことに直結してしまいますし、また、利用者の利便性が低下してしまうので、ここを優先的に対応していかざるを得ないということで、ここを中心に予算措置をしてきた、その結果、修繕ができなかった建築のところというのが劣化度調査でどうしても残ってしまってきているというのが先ほどの実態という形になります。
したがいまして、私どもとしてはD評価の部分をも含めて修繕をしっかりやっていかなければいけないんですけれども、自己収入で賄うとすれば残念ながら赤字でございますので、施設利用料収入の増収策を講じていく必要があるのではないかと考えてございます。
そのシミュレーションをしているのが次の資料8ページでございます。施設利用料収入ですけれども、当たり前のごとく、その内訳は利用者掛ける料金単価になってきますので、それぞれ上げていくことが考えられるわけでございますけれども、まず、地方施設の利用者の状況でございます。
資料編の6ページを御覧いただきたいんですけれども、左側に総利用者数(宿泊プラス日帰り)とありまして、利用料金というのは、大半は宿泊料金ですので本来であれば日帰りというのは省くべきなんですが、表の大きさからいって左側で申し上げますと、コロナの影響で、令和元年の年度の最後の時期からこの影響が出てきているわけですけれども、一番影響が出てきたのは令和2年ですけれどもコロナの影響で利用者がかなりぐっと落ち込みました。その後徐々に戻ってきておりまして、令和5年のところでは160万人ぐらいまで戻ってきております。
これは数字を見ると、コロナ前が平成30年だとすると平成30年度比でいくと67%戻ってきた形になります。しかしながら今年度の実績、プラスあと1か月、予約増の見込みですけれども、令和6年度の直近の数字で申し上げますと残念ながら140万人程度ということで、昨年度と比較すると1割落ちていて、平成30年度比でいくと60%という形になってございます。来年度の予約の数字を申し上げますと、さらに1割ぐらい減ってくる状況になってございまして、なかなか非常に厳しい状況であります。
こういう状況の中で、先ほどの料金のシミュレーションをするとすれば、我々、利用者の増に向けて取り組む必要があるとは思っておりますが、最近のトレンドは残念ながら右肩下がりという状況の中で、これをまず下げ止めることが大事になってくると思っておりますので、シミュレーション上は直近の令和6年度の数字を仮定として、使いたいと思ってございます。
説明資料の8ページに戻っていただいて、2つ目の丸のところでございますけれども、文末、今回の試算に当たっては、令和6年度の宿泊者数71万人をまず仮で使用させていただきたいと思います。そうなってくると修繕費が、先ほどのD判定の部分の総額が23億円です。これを仮に3年間で実施するとしたときに、先ほどの71万人で割りますと値上げの額が、単純な試算でいくと1,100円という形になります。
左下の参考のところを御覧いただきたいんですけれども、現状、利用が最も多い小学生から高校生の区分、600円を宿泊費1泊当たり頂いてございますけれども、これを先ほどの単純計算した1,100円を足し上げますと、おおむね3倍という形になってしまいますので、さすがにこれでは利用者の負担が大き過ぎるのではないかと考えてございます。したがいまして何らかの対策、これをしないと、破綻してしまうんじゃないかということであります。
そういう観点からいろいろ考えてみたところ、別のシミュレーションをしてございますけれども、これが次の9ページであります。私どもの施設の利用状況、これを踏まえた形で再度シミュレーションし直してみたというのがこの9ページでございます。まず、私どもの地方施設の稼働率、これを資料編の4ページに掲げておりますので、こちらも御覧いただければと思います。
左と右でグラフ分かれていますけれども、これは27施設プラスオリセン合わせた28施設を計上してございますけれども、それぞれの表の一番右のところに稼働率というのが書いてございます。宿泊室の稼働率で申し上げますと、一番高いところが中央左側の中ほどぐらいなんですけれども、中央が67.0%ということでございますので、仮にこの数字を基に30%の宿泊定員を見直すとした場合、当然、建物を使う部分の面積も30%縮減できるという、こういう単純な仮説の下にシミュレーションし直しますと、ざっくり申し上げますと修繕費が30%、単純計算ですけれども削減できるのではないかという形でシミュレーションして値上げ額を試算いたしますと、1人当たり1泊当たり760円の値上げという形になってくるということになります。
こちらは、あくまでも単純計算した数字ですので、実際のところはそもそも、こういう形でやるのかということも含めて精査が必要になってくると思っておりまして、9ページの右下のところ、基本的な考え方という形にしておりますけれども、あくまでも単純にこのシミュレーションというのは施設利用料の値上げのみ、これを試算しているわけでありまして、我々として取り組むべきところについては利用者を増やすという取組、これをしっかりやっていくこととともに、効率的な運営、経営努力をしっかり行うことによって支出削減、これの徹底を図っていくことも当然必要になってくるだろうと思っております。
あと併せて、施設利用料収入以外の収入をどういうふうに確保していくのかということも課題になってくると思っておりまして、そちらについても取組を進めていく必要があろうかと思っておりますけれども、あくまでも単純にシミュレーションすると、先ほどのような値上げ幅になってくるということになります。
それで私ども、なかなか厳しい財務状況でありまして、過去3年間は赤字と申し上げましたけれども、今年度、まだ年度途中ではありますけれども、現状を申し上げますと収支均衡できる見込みになってございます。しかしながら昨今の状況を見てみますと、例えば公務員の給与、これにつきましては人事院勧告がありますけれども、私ども、人事院勧告に沿ったような形で職員の給与というものを改定していくことをある程度、考えてございますけれども、その影響額というのが今年度は1.2億円ぐらいになるだろうと試算をしてございます。
あと、併せまして独立行政法人の運営費交付金につきましては、毎年一定程度、削減ということになるわけでございまして、その影響額が我々の予算規模からすると0.7億ということになりますので、人勧の実施プラス運営費交付金の毎年度の削減、これで2億円ぐらい必要になってくると。2億円の経営努力というのは、なかなか我々、非常に厳しいところもありまして、努力すべきだと思っておりますけれども、そういった要素も考慮しながら修繕費というものを捻出していく必要があろうかと思ってございます。
次に、10ページになります。先ほどまでは修繕の話を申し上げましたけれども、冒頭お話し申し上げましたとおり、日常的な点検修繕に加えて一定期間ごとに予防保全的な大規模改修、これをしっかりやっていくことが大事だろうと思ってございまして、こちらの状況について10ページで御説明をしたいと思います。
また参考で今回、ライフサイクルのイメージという形で、先ほども御説明申し上げましたイメージに近いものを載せてございますけれども、こちらは国立大学の施設のライフサイクルのイメージ、これも国が示しているものでございます。国立大学につきましては80年から100年を使っていく前提の下で、大規模改修を20年から25年ごとに3回繰り返していく、その中で日常的な点検修繕、これをしっかりやっていく形で示されてございます。
私ども、これをベースにして取組を進めていきたいと思ってございますけれども、まず、現状を申し上げますと、大規模改修につきましては築50年たっているものも多々ありますけれども、これまで実施できていないのが実態でございます。この実態を踏まえて令和2年度に機構におきましてインフラ長寿命化計画、これを策定いたしてございますけれども、30年間の計画の中で総事業費、総額が約780億円必要になってくる試算になってございます。30年間の計画のうち、直近10年間の中では約300億円かけて大規模改修等をやっていく形になってございまして、これを単年に直すと30億円、先ほどシミュレーションで申し上げましたけれども、宿泊定員の見直しを仮に入れたとしても経費3割削減という形になるだけで、単年21億円が必要になってくる状況になります。
それは私ども、施設整備の予算がどういうふうになっているのかということで、修繕は先ほど運営費交付金で見ていただきましたけれども、こういった大規模なものになってくると通例は補助金で実施をすることになります。ですので、私どもに対する国からの施設整備補助金の状況というのが一つポイントになってくるわけでございますけれども、こちらの状況を記載したものが資料編の11ページになります。
11ページを御覧いただけると過去、おおむね10年程度の補助金額と、その整備内容を書いてございますけれども、金額だけ申し上げますと直近今年度の金額が最も高くて14億、15億近くの金額、これを頂戴していることになります。
しかしながら内容を御覧いただきますと下の段のところで、特に令和に入ってからはライフラインの機能強化整備という表記がありますけれども、こちらにつきましては、私どもの地方施設は広域避難所として指定されているものが大半でございまして、避難所としての機能強化、これをしっかりやるためにライフライン、電源、熱源、水源ですけれども、その確保のための設備整備の費用という形になってございまして、残念ながら大規模改修というところにお金が回るような状況になっていないのが実態になります。
したがいまして、大規模改修を一定期間ごとに予防保全的な観点から実施をしていくとすれば、一定程度の費用というものを国費で措置をしていただきたいと思ってございますけれども、具体的にどのような形で進めていくのかということにつきましては、我々としては文部科学省と相談しながら進めていきたいと考えてございます。
以上で、本日のテーマになっているインフラの状況と我々の基本的な考え方というものを御説明させていただきました。以上でございます。
【平野座長】 御説明ありがとうございました。
続いて、議題2として難波委員からの御発表です。難波委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【難波委員】 東洋大学の難波と申します。よろしくお願いします。今、機構からも御説明をいただいたのですけれども、このシステムのコストというところを考えたときに、どのようにコストを削減していくのかとか、人の手当てをどうしていくのかとか、いろいろな課題がある中で、私なりに少し論点を検討したいと思ってこの資料を作成しています。
先ほどのお話にもありましたけれども、施設自体はかなり老朽化が進んでいる状況です。以前も、視察に行かれた委員の方々からも、なかなか維持管理が行き届いていない状況で、それによって劣化が進んでいる状況にあることが指摘をされていました。そのまま放っておいたら、もう施設自体が駄目になって使えなくなってしまう、逆にどんどん投資をしていくとしたとしても、財政自体が、今そこまで予算の確保ができない、補助金を確保するのが難しい状況にある、あるいは利用者の方に負担をお願いしなければいけない状態になるところかと思います。
これまで、各施設の目的というような話が前回までの議論の中でされてきていました。ですので、そういったところを考えたときに、先ほども幾ら宿泊者当たりに上げるべきなのかというようなお話も出ていましたが、もう少し受益と負担の関係の見直しということも必要でしょうし、先ほど文科省からも御説明のあった、PFIなりPPPの手法というものを考えていく必要もあるのではないかというようなことを考えています。
そのときに必ずしも、単純に施設自体の利用者に負担を上げてもらうだけではなくて、実際の利用のされ方を考えてみると、それによって運用の仕方をもう少し変えていくこともできるのではないかということも少し考えています。ここの下にパイチャートを幾つか載せているのですが、建物の施設の性質に応じて運用費、運営費がどれぐらいかかってくるのかというのは、その施設によっても変わってくる部分というのは当然あるので、そういったところも併せて将来的には見直していく必要があるのではないかなと思っています。
ここについてはあまり説明をしませんが、これ以降に幾つかグラフをつけているので、それについての説明をしています。ここで一つ話題として挙げているのは、公共ROAとここでは書いているのですが、施設がどれぐらい利用されているのか、それにどんなコストがかかっているのかというところを見たいということで、このような分析をしています。この分析自体で、どこかの特定の施設について何かの結論をここで言いたいわけではありません。あくまで、この施設の規模、あるいは利用度に対し、どれぐらいコストがかかっているのか、それがほかと比べて目立って数値が低いとかというようなときに、そもそもこの施設自体をどうしたら良いのか、あるいは、この施設の形態をどうしたら良いのかということを考える必要があるのではないかと思っています。
すみません、ここでお断りなのですが、色をオレンジとブルーで塗り分けたつもりだったのですが、塗り分けたときに間違っている色があるみたいで、交流の家と自然の家が必ずしも正確に塗り分けられていないので、この塗り分けに関しては無視していただければと思います。
このページは合計利用者で次のページは宿泊利用者として見ていただければと思います。ここで左上の象限にあるところは利用度が低くてコストがかかっているところになってきます。次のスライドでいうと、左の上側は宿泊利用者の数が非常に少なくて、かつコストがかかっているところになってきます。
そうすると、例えばここですと、宿泊の施設をそこまでして、ここで維持する必要があるのだろうか、先ほど宿泊の定員を減らしたらどうかというお話でしたけれども、私は全然施設そのものを知らずに言いますけれども、例えば沖縄とかっていったようなところだと、ここで本当に国立の施設として宿泊機能を提供する必要があるのかどうかというようなことも併せて考えていくべきなのではないのかなと思います。
ただなのですけれども、宿泊の利用者が少なくて、かつコストがかかっているような場合であっても、施設の利用度と宿泊利用者の割合と見直してみると、それでもここの施設に行ったら宿泊をしているよという人たちの割合が高い施設というのもあって、そこは泊まってまで行く必要があると考えられているのかもしれない、そこは言い切ることはできないのですけれども、逆に言うと、ここでまた沖縄を挙げてしまうのですが、ここでもなかなか利用度自体もあまり高くないですし、かつ、宿泊をする人の割合も低いとなってくると、ここでは宿泊をあえて提供する必要はないのではないかいうようなことになってくるのかなと思います。
なので、こういったところと周辺の施設の環境とかを比べてみた上で、それぞれの施設において、どんな機能をちゃんと提供をしていくべきなのかというのは分析をしていく必要があるのではないかと思います。
ここから少し話題を変えるのですけれども、最近のインフラあるいは公共施設のマネジメントという話をするときに、全国的なトレンド、国、地方自治体に限らず進んでいるものとして、包括管理委託というようなものが全国では採用されるようになってきています。国ではインフラ等の群マネとかという言葉を使ったり、あるいは広域化であったり、他分野を合わせたような管理委託というようなことが進むようになってきてはいます。自治体によっては小規模な自治体が集まって、10幾つの自治体で一緒になって公共施設を一緒に管理をしていこうというようなことをやり始めているところも出てきています。そういったことをやることによって、それなりのスケールメリットが出てくることもあって事業者も参入しやすくなるとか、人を充てやすくなるということで効率化が図られている事例というのもあります。そういったことを導入することも考えられるのではないかというのは、以前の会議の中でもお話として出ていたとは思います。
ただ一方で、全国に点在している施設なので、そこで果たしてどの程度のスケールメリットが出るのかというところは、この施設に当てはめたときには少し疑問が残るところかなとは思います。ただ、こういったことを導入することによって、先ほども施設の屋上防水が剥がれているとか、そういったようなところの写真が出ていましたけれども、日常的に点検をしたりする人を充てることができれば、例えばよく言われているのが屋上防水とかが傷む理由が、雨樋が落ち葉で詰まっていて、それを放置しているから、それで傷んでいくみたいなことが言われたりもしますけれども、そういったところに実際、職員の方の手が回っていないのが実態なんだろうなというところで、それを誰かにお願いできるのであれば、そこには、もしかしたら予防保全以前に傷むことを予防していくこともできていくのかなとは思います。ただ、なかなか難しいだろうなというのは思っていて書いています。
もう一つよく言われるメリットがこういった、それぞれの施設の状況というのを一つの会社とか、一つのグループの人たちが見ることによってデータベース化が進んだり、データが整備されることによって、あるいは先ほども計画全体としての計画が必要なんじゃないかという話が出ていましたけれども、そういったことをやっていただくことができることによって、予防的な措置を打ちやすくなるメリットはあるかもしれないと思っています。
また、話を変えますが、これまで前回の議論だったかと思いますけれども、もう少しお金を取れるところからちゃんとお金を取っていったらいいんじゃないかというお話も出ていたかなと思います。先ほども宿泊の利用者から1泊当たり幾ら上げるのかという話もあったと思いますが、自治体が持っているような公共施設の中でも最近は受益者負担をもっと上げていこうという議論がここ10年、15年ぐらい、かなり進んできています。
どんな形で見直すかというのは、ここに、ごく当たり前のことを書いているんですけれども、選択的でかつ、収益につながるようなものというのは、もう受益者負担でやっていただいて、それこそ小学生、中学生のための体験の提供といったような公益につながるもの、あるいはもう義務教育の中で必需的にやっていくようなものだというようなものは、低廉な価格で提供をしていくのがふさわしいだろうなと思っています。なので、もう少しターゲット別、参加者別のプログラムというものを準備して、それに応じた負担というのをしていただくことが必要なのではないかなと思っています。
ここで地域特性を生かしたパッケージと書いていますけれども、単純に自然の家というようなだけではなくて、例えばここで例として挙げてみたのですが、若狭湾のあるところ、今は海を体験するのがメインで、そこに少しだけ食文化を体験しようといったようなプログラムもちょろちょろっと含まれてはいるようなのですけれども、これは国の日本遺産プレミアムに指定をされている日本で唯一の地域だというようなところをもう少し押し出して、単純に自然環境を楽しむだけではなくて、歴史もあるし、食もあるし、文化もあるよというようなところを押し出して、そこを体験してもらう場としてのプログラムを国の、必ずしも青少年だけではなくて大人も対象にしていく部分もあるかもしれないですけれども、パッケージ化して売り出していく、そんなこともしていいのではないか、そこでお金を稼いでそれを小中学生の教育、高校生の教育に充てていくようなこともできるのだと思います。
いろいろコストを下げる、あるいは収入を増やすというお話をしたのですけれども、とはいえ、もう物理的に減らしていかないと恐らく難しいところも議論としては出てくるだろうなと思っています。そういったものをしていくときに、ここで挙げている民間による活用事例というのは、もう公共施設としての機能は一旦おしまいにして、あるいは公共施設としては、そんなに積極的にはやらないものとして、民間の人に民間の活動として頑張ってやってもらうようなものを幾つか挙げています。
左側は自治体の事例ですけれども、青少年の家みたいなところの閉鎖した施設を民間型にリノベーションをして使っています。もともとの公共施設だったときは数百円とか数千円で人が泊まれていたものが、今はグランピング施設になっていて高い部屋では5万円とか取っています。それでもそれなりに利用者がいる状態になっています。なので、部分的にもう施設を閉鎖してしまって、自然環境が良い場所なのであれば、そういったものを利用することによって利用者の別のターゲットを見つけてお金を稼ぐことも可能性としては出てくるんではないかと思います。
右下のところに書いていますが、仙酔島の国民宿舎の跡地とか、そういったような場所であっても興味、関心を持って活用をしたいような声が上がっているようなものもあるので、もう場合によっては、そういったダウンサイジングをすることによってお金を稼いでいくことも考えていく必要があるのかなと思っています。
まとめというわけではないですけれども、なかなか管理者の視点だけで施設が今、どんな状況かというようなことも考えるだけではなくて、もう少し利用者であったり、その周辺の市場環境、あるいは似たようなサービスを提供している事業者の環境というのを見た上で、この施設がどうあるべきなのか、ここでこの機能を国立の施設として提供をし続けなければいけない理由がどこにあるのかというところを改めて見直して、機能あるいは施設の規模というのを考えていく必要があるのではないかと思っています。
恐らくこれで最後のページです。以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございます。
【平野座長】 難波委員、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの青少年教育振興機構、そして難波委員からの御説明、御発表を踏まえ、御質問、御意見など自由討議の時間とさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 まず、資料2-2の利用者の数が減っている6ページのグラフを見てみると、最盛期には300万人近くあったのが今は160万人くらいですか。この減り方、回帰直線を引くと、コロナのあるなしに関わらず、真っすぐ直接的に減っていますよね。これがディスティニーというか、この施設の運命なんだなという、そんな感じがしました。コロナあるなし関係なく、多分、世の中の需要に応えてないんだなという感じがしました。
今、難波先生のお話を聞いていて本当に思うのは、結論から言うと多分、青少年教育施設というアイデンティティを変えていかないと、一直線に、直接的にさらに落ち込んでいくなという感じがしました。多分その原因は幾つかあるのですけれど、プロダクトアウトといいますか、我々がこれを提供するんだと、そういうアイデンティティの下でやってきたというのは、間違いではないのですが、それが世の中の需要と今、合わなくなっているということで、マーケットインの思想をやっていくと。全てもうマーケティングにかかってくるのかなと。
よくSTPってありますよね。セグメンティング、ターゲティング、プライシングというのがあるのですけれど、これをぐるぐる回す。これ、実は東洋大学の中村先生が昔、DMOの本を書いたときに言っていたんですけれども、STPは順序立ててやるんじゃなく、PTSでもTSPでも、とにかくこの3つをかなり自由自在に動かさないとできないということで、難波先生が最後に示した沼津少年自然の家が廃止されたときに、民間事業者が入ってきて、こういう球体テントを入れて、これまで子供の青少年教育施設だったというアイデンティティを根底から崩して、非常にお金を持っている人を泊める、ちょっとリッチな施設に変えた途端、大成功したのです。高速道路からのサービスエリアから近い利点はあったのですが、見事によみがえったという、非常にいい事例になっているわけです。
なので、私からの意見というのはマーケティングの視点から、この施設は何を提供するのかという施設の見直しと、もう1点、ツーリズムですね。観光の視点を入れていかないと人が集まらないということなので、多分この施設それぞれに非常に特異な観光資源を持っていると思うんですね。あと、スポーツ合宿とかトレーニング施設とか、スポーツツーリズム的な視点を入れれば、私は救済できるかなという気持ちも持っています。
さらに、ターゲットも日本だけでなく、アジアの子供たちを呼び込んでいくような教育施設というのもありだろうし、なので、全部の施設を一斉に同じことやるのではなくセグメント化しながら、幾つかの施設ごとに何か特徴のあるものを探っていけば、まだまだ建物100年もつということですので、あと半世紀ぐらいは戦っていけるのかなという、そんな予感がしました。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
帆足委員、お願いいたします。
【帆足委員】 難波先生の御指摘がすごく面白くて、この公共ROAの考え方などはこれからの議論に役に立つのかなと思いました。そして今、原田先生がおっしゃっていたことに私も同意見でして、同意見だということを踏まえて機構にお聞きしたいんですが、難波先生の公共ROAなどを踏まえた御提案というか、御意見を聞いてたので、機構としてもうこれは既に取り組んでいますよとか、これはやりたいんだけど現実的にちょっと難しいんだよねとか、もっとこういう視点も私たちやっていますとか、何か現状で、もし御意見があればぜひお聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
【平野座長】 伊藤理事お願いいたします。
【伊藤理事】 先ほどROAという考え方そのものというわけではないわけですけれども、私どもも現状の青少年教育事業を前提とするわけですけれども、それを前提とすれば例えば利用者の人数、また、地方施設の料金設定というのは先ほど申し上げましたけれども年齢区分に応じて設定をしてございますので、料金単価の高いところがどれぐらいの構成比率を占めているのか、そういう稼働率とセットになったような利用状況、これと、これまでの現状と今後の見通しですね。これが一つあります。
それに加えまして、先ほど自己収入と申し上げましたけれども、地方施設はどれぐらい収入を上げられるのかといったときに見ると、これは利用料金になりますので先ほどの利用者数と絡むんですけれども、自己収入比率というのが当然出せるだろうと。これは支出に対する自己収入比率という形になりますけれども、そうなると青少年教育の世界とはちょっと違う表現を申し上げますと、要するに稼げる施設かどうかということを見ていくことが当然一つあると思っていまして。自己収入比率がどういう状況になっているのか、これは対支出ですのでコストカットがうまくできているのか、効率的な運営ができるのかという要素も当然含んでいると思います。
そういうようなものと、今後の収入とも直結するような利用者の人数がどういうふうになるのか。全体で見れば先ほど申し上げましたとおり、コロナ前へと比べて6割程度までしか戻ってきていない。先ほど原田先生からお話あったとおり、我々もこれ、平成の最後の20年後半から直線を引いてみると上値抵抗線みたいな感じになっているのが分かっていますので、そういう状況の中で、どうやってこれを下げ止めて、できれば回復させていくのか、そういうことも当然考えていく必要があろうかと思っております。
そういうような取組もやりながら、どの施設がどういうふうにやれば最大のパフォーマンスを上げられるのかといったところは、一つの大きなメルクマールになるんだろうなと思っていまして、それをある程度、見ながら今後の各施設の特色、また運営方法、運営方針といったものを当然定めていく、整理して取り組んでいくことになってくると思っております。
今回インフラの状況ですけれども、運営も含めて考えてみますと地方施設だけではなくて本部も一緒になりながら、どういう地方施設の将来像を考えていくのか。それはその事業の中身に加えて、当然のことながら収支も考えていく必要があろうかと思っておりますので、そういったところをそれぞれで知恵を出しながら、地方施設にだけ考えてもらうのではなくて、本部になってサポートしながらしっかりやっていくことが大事だろうなと思っておりまして、そういった取組をしっかり現状分析、また今後の推移の推計、こういったこともしながら、うまい形で機構全体の運営ができていければなと思っています。
以上です。
【平野座長】 それでは野口委員、お願いいたします。
【野口副座長】 今日はオンラインで申し訳ございません。機構の方に質問なのですけれども、先ほど伺ったところ、インフラマネジメントを行っている職員の方が管理職の方も含めて5名で28の施設を見ていらっしゃるところを伺っているのですが、その辺りでしっかりと適切なインフラマネジメントが行えるのかどうか、みたいなところについて伺いたいなと思って質問しましたので、よろしくお願いいたします。
【平野座長】 いかがでしょうか。
伊藤理事、お願いいたします。
【伊藤理事】 御指摘ありがとうございます。まさにその点については大きな課題の一つだと考えてございまして、本部でも5名で技術系職員はおりますけれども、残念ながら技術系職員はプロパーでは必ずしもないことに加えて、地方施設につきましては技術系職員すらいない状況になっていて、ここも担当しているのが担当者は大学からの交流人事という形になっておりまして、まず我々として多くの施設を抱える中で維持管理ができる体制になっているのかと言われたら、ここは本当に喫緊の課題だと思ってございます。来年度、機構独自で技術系の職員を本部で1名雇いますけれども、ある意味、頑張って何とかやろうとはしておるんですが、正直なところ、ある意味、焼石に水みたいなところがあって、ここは民間のノウハウもしっかり借りられないのかなと思っているところではございます。
一方で、そのための経費をどのように捻出してくるのか。これもまた問題になってくると思っておりまして、そのための収支、これをしっかり確立させていくことが、課題として戻ってくるのかなと思っております。正直、今回のテーマをいただいて、資料を作成して説明ラインを私が考えましたけれども、こういう体制の中で現状把握と今後どうしていくのかということについて、率直に申し上げまして本当に苦労しました。相当時間かけてやったんですけど、それでもまだまだ不十分だと思っておりますけれども、民間へのアウトソーシング、なかなか我々の体制だけでできなければ当然、アウトソーシング考えていくべきだと思っておりますけれども、そういったことも考えてはいるんですけれども、費用の経費の捻出も含めてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
そういう点でPFIの関係も私ども、まだ緒に就いた段階ですけれども、簡易サウンディングという形で調査も行ってございます。そういった内容については、まだこの会議で申し上げられる状況にはございませんけれども、少しずつ改善できればなという形で取組を進めている状況でございます。
以上です。
【平野座長】 今、帆足委員からの御質問のところで、本部が各施設に任せないで一体となって一緒に支援していくというお話と、野口委員からの御質問の中でのお答えを考えると、今日資料でいただいているインフラ劣化度調査は、ある意味、専門家でない職員が目視で実施した評価ということで、これを基にいろいろお話もいただいたんですが、その現状把握として本当にこれは、過小評価、過大評価になってないかどうか、見逃しがないかどうかという検討が必要ではないかなということを考えております。ぜひまたその点について、早急にどうあるべきかというのも検討いただきたいと思いました。
ほかいかがでしょうか。植田委員、お願いいたします。
【植田委員】 最初に機構から御説明いただいた内容についての意見、確認と、それから今後の在り方についての私の考えを説明したいと思うんですが、今日、まず最初に伺って一つ、ここは課題かなと思ったのが、スライド4ページで御説明いただいているんですけども、インフラマネジメントに係る体制というところで、また私が誤解しておれば御説明いただきたいんですが、本部の建設担当、電気担当、機械担当は国立大学からの人事交流者でということですかね。それから地方も、これも人事交流でやっているということですかね。
人事交流という意味は、人事交流で来られた方々というのは交流という言葉であると、それはまた戻る意味を持つと思うんですね。ということは組織に対する帰属意識というか、自分の組織を守る、愛する、あるいは維持するという、そういうのは、永続的にそこで仕事するんであれば自然に生まれ、それが業務に反映されるということなのですけれども、交流で戻るとなると、そこは一定の期間、自分が果たすべき役割を終えたらもう戻るという感覚になりますから、おのずとその施設に対する対応、あるいは組織への対応というのは、これは違っているというのはやむを得ないと思うんですね。ですから、ここにそもそも私はもう課題があるのかなと思っています。
施設全体が持っている極めて重要な目的、これを永続的にやっていくことが今、我々の中で語られているわけですけれども、その体制としては、これは決して交流人事ではなくて、そこは社員というか、職員というかがまず前提でなきゃならないかなと思います。
その次にステップとして、今、雇用という話がありましたが、中の人間で今後新たな体制を対応していくのか、それとももっと外のサービスを活用していくのかというのは次の判断だと思うんですけど、ここの部分が非常にこれまでの対応ということで一つ課題があったのではないかなというのを聞いていて伺いました。
それからスライドの5ですけれども、これはもう私が申し上げることもないんですけども、文部科学省ということで長寿命化のお話もあるんですが、ここで大規模改造費ということで、それから長寿命化改修費ということで、そこで予防保全的な改修という言葉があるんですが、これはもちろん間違っていないんですけれども、実は日常業務において今、ほとんど全国の国や地方自治体の維持管理業務というのは事後保全でやっているわけですね、日常的にも。その日常的なものを予防保全に切り替えるのが今、恐らく一番大きな日本の中での公共施設でありインフラであり、テーマになっていると思うんですね。ですから日常の中での予防保全への転換ということがなされないと、この予防保全的な改修のところの費用が極めて大きな費用になってしまうということがありますので、そこはそういう体制としては、事後保全の今の管理体制を予防保全の管理体制に変える、これは日常的な話として変えるという、そういう視点で体制として組まなくちゃいけないと思います。そこでまた、さっきの話なんですけど、中でそういう人を持つのか、それとも外へ出すのかという議論があると思うんですね。
それから6ですが、今、座長から御指摘があったことなんですが、今、機構から御説明いただいたことというのはこれ、Dに関してお話をしていただいたんですが、これは地方自治体の場合もそうなんですけれども、修繕費というのは毎年出てくるんですね。今のこの赤の修繕費というのは、どういうふうに位置づけるかというのが実はあるんですけれども、まず、この内容として先ほど申し上げたように、座長から指摘からあった技術者でない職員が見ている点において、これは非常に残念なんですけれども恐らく修繕でなければならない状況というところを専門家が見ればもっともっと幅広くなるかなと。ただ、それは別に幅広くなるということでもあるんですけど、実はこのDではなくてCの広範囲に不具合というのがありますね。これ、広範囲に不具合といった場合に、これを今、修繕対象にするのかどうかというのが判断としてあると思うんですよね。これ、なぜかというと今、広範囲に不具合というのを今の段階で直しておけば費用は例えば100で終わりますけども、これをこの赤の修繕のところまでぐっと我慢して我慢していくと、それはどんどん劣化が進んでいきますから、結果的に修繕費は200とか300になっているんですよ。これはもうそういう事実としてそうなってきますから、ですから、この表の見方を見るときに実はそういう見方で見ると、一つは数字としてこの数字が毎年起きてくる数字だという意味を持つということと、それから今、申し上げた修繕費を縮減していく意味からすると実はこの赤だけではなくて、このCの部分、この部分も実は対象にして、ぜひこれは検討していかなくちゃいけないかなと思います。
今、いろいろ計算をしていただいた結果として、御発言、御説明いただいたんですが、私はこの機構が持っている団体の目的というのは極めて重要だと思っております。日本の、これは将来を考えたとき、機構の施設が果たす役割というのは一つ大きな意味で体験というのがあるわけですけれども、その体験というものの様々なバリエーションはこれからいっぱい出てくると思うんですね。その体験という環境を残すことは極めて重要であって、それが一義的なものだとするならば、それを永続的にするんだというのであれば、そこをどうやって維持し、管理するかということになると思うんですね。
そうなると今までの話で我々が見えてきたことは、施設を体験というその本来の目的のために維持するための費用としては圧倒的に足らないと、こう言わざるを得ないんですね。だとすると、そこの体験という目的を、ある意味で遜色、失わしめるような新たな事業展開というものではなくて、あくまでも体験を守ると。ただ、28施設は維持できないわけですから。だとすると全国27、東京に本部があって28か所にあるとすれば、前回も申し上げたかもしれませんが体験をできる場所を残しつつ、今後の予算の中で十分対応できるような環境をつくるということになると、数字として27を守ることではなくて目的を達する、守るためには、例えば27を12にするとか、これは当然今後の議論になりますけれども、それは今、北海道、東北、沖縄まであるところの場所をバランスよく残すと、そこに皆さんに行っていただくと。当然、利用率が高まるようなことになるわけですけれども、そういうことが、これは一つのソリューションというんですかね、ではないかなと思いました。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございます。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 難波先生の委員の非常に資料が面白く見させていただきまして、ありがとうございます。こういう見方ってすごく大切だなと思いました。
これは本省なのか、機構なのか、これから先、プランというのを、ある施設をセグメント化して民営化するとか、そういったプランを誰がいつ頃までに達成をするのかという議論は、どこがやるんですかねというのを教えていただければと思います。
【平野座長】 高木課長、お願いします。
【高木課長】 失礼いたします。今、中期目標期間の4年目でございまして、来年度いっぱいということになります。中期目標をどう設定するのかというのは、この会議でなく、別のところで総務省等と調整しながらやっていくことになります。
その中で、そこまでのことを議論するかどうかというのが大きなテーマなんですけど、そこをどうしていくのかというのは正直、定まっていません。今後よく総務省や財務省を含めて事務的にどの時期までどういうことをしていかなきゃいけないのかなというのは整理していくことかなと思っているところでございます。
ただ、民間活力の導入という部分に関しますと、現状でもやれるものというところもあると思いますので、そういったところに関しますと機構と相談しながら、文科省としてやれること、機構としてやれることは整理していくのかなと思っております。先ほど伊藤理事からもありましたとおり、簡易的な調査というのを始めつつありますので、そういったことも踏まえながら我々も、機構と一緒に検討できればなと思っているところでございます。
【平野座長】 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 ありがとうございます。この委員会があと2回か3回か分かりませんけれども、我々委員の立場でどこまで突っ込んで発言していいのかというのは正直あったりして、先ほどの難波委員の何かキーワードであまり出すと良くないかもしれないんですけど、沖縄とかという施設のキーワードが出たときに、ここの在り方というのは原田委員が言われたセグメント化して、ここをよりリゾート化するような施設の運営の在り方もあるかもしれませんけれども、それを決めるためのプランというんですかね。そういったときに、そういう具体的な施設の在り方について、この委員会の委員として発言をしていいものかどうかというのは非常に微妙なことかなと思います。
ただ、具体的に例えばとした議論がないと、これは思いっ切り民間に出しましょうとかいう議論にもならないのかなという気がしないでもないんですね。ですので、あと1回、2回ぐらいの中で、これにターゲットを当てた27プラス、オリセンの施設もありますけれども、これらを具体的にこういった施設はそろそろ民間でお願いしたほうがいいんじゃないかというような、それは最終的に本省さんがやる話かもしれませんけれども、何かそういうのを案として具体例を出すと、より具体的なイメージができやすいのかなと聞いていて思いました。
以上です。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
植田委員、お願いします。
【植田委員】 一つ言い忘れたので、それから今のお話から関連なんですけど、先ほどのお話で気をつけなきゃいけないかなと思っているのは、私、前回申し上げたんですけども、例えば小学生数でいくと1959年に約1,300万人の小学生がいたのが、2023年では約600万人になっているんですね。数が減っているわけです。ですから数が減れば当然利用者数も減るということで求められている体験、それから様々な、そこにある今、機構さんがおやりになっていることの持っている目的の重要性、そこに参加する人たちというのは、私は基本的には変わってないと思うんですね。ただ、需要という意味が、そこの目的ということではなくて別の意味で需要を残しているからという形での議論というのはちょっと違うんじゃないかなというのが一つですね。
それからもう一つは、機構としてこの事業を継続するのに、まずはどういう計画、これは予算との関係も含めて、規模であるとか、議論がまずあって、ここではこうだねという議論があって、例えばそれがたまたま、先ほど私が申し上げた12だとした場合に、そこはまず一つ、機構の将来として我々が聞きたい、そして、そのためにも我々の意見を出したいところであって、その辺が決まった上で対象にならなかった施設があるとした場合は、それをどう活用するかというのは次の議論だと思うんですね。それをごちゃまぜにしてはいけないと、まず目的を達成するための、それの予算との関係の規模がどれだけであって、足らないとするならば、それに対してどう対応するかというところでの議論があっていいのかなと思います。
気を付けなくちゃいけないのは、27をそのまま維持するためには、そこに商業的な目的をどう組み入れるかという議論がもちろんあっていいんですけれども、あるいはコストを削減するには先ほど話があった施設管理の在り方をどうするかって議論があるんですが、そこが目的というところを達成するところの本来の業務というものをどうやって維持するかと、継続するかというところの議論に実は混同されてしまうことはあってはならないのかなと思いました。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
難波委員、お願いします。
【難波委員】 今、植田委員がおっしゃられたこと、まさにすごく大事なところで、今日ちょうど午前中、都内の自治体の公共施設マネジメントの委員会に参加していたんですけれども、そこでも話をしていた、その自治体はもう、あくまでちゃんと機能に着目をして、施設ありきでこれを縮小すべきかどうかとか、これを維持すべきかどうかってなるとどうしても維持をしていく前提に走っていくことになってしまうから、そこで行われている機能が何で、それがどれぐらい使われていて、それを提供できるのは誰なのかというのをちゃんと分解をして考えていく必要があると思っています。
国立青少年教育施設といっても体験を提供する、その中には、もしかしたらパッケージ、宿泊を体験させるということも必要なのかもしれないですけれども、だからといって宿泊施設を国立施設として提供しなければいけないかといったら、それは必ずしもそうではないというところもちゃんと考えていく必要があるのかなとは思っています。
もう少し解像度を上げた議論をしていかないと、何を国として絶対にやらなきゃいけなくて、そこに施設が果たして必要なのか、その施設はここじゃなきゃいけないのかとか民間施設じゃ駄目なのかとか、そういうことはもう少し議論すべきかなとは思っています。
【平野座長】 ありがとうございます。
増田委員、どうぞお願いします。
【増田委員】 ありがとうございます。以前、自分が民間の環境教育の団体で働いていた視点でお話をさせていただくと、100人ちょっとくらいの団体でありましたがそこにも施設部というのがあって、施設担当者がいて、ということで施設の修繕であるとか、そういうもろもろの業務を担当していたこともありました。
そういった専門家というものを配置することなのか、あるいは各施設の地域にも業者がいらっしゃるので、そういう方たちの視点をうまく取り入れつつ、今の職員の皆さんの確認に加えて、よく長寿命化なんかのときには建築家なんかの方たちにチェックしてもらったりというのがあるかと思いますけど、そういったことなんかを積極的にやっていかれることの対応ができるのかなと思いました。
あと、自分たちの施設のところでも新たな建物をつくったときに、多分、利用者数が大きく変化したなという実感があるんですけど、修繕に加えて、もう少し突っ込んだ大規模修繕というんでしょうか、この場合、先ほどのお話にあったもので、そこの利用者層なんかを視野に入れた形でのそういった修繕、あるいは大規模な手を入れていくことによっての利用者層、また今の形から変えていくこともできるんじゃないかなとも思いました。
一方で、機構の特性からいうと青少年教育ということが大きな柱になっていますので、学校教育との連携、協働というのは外せないんだろうなと思っています。そんな視点でいうと、GIGAスクールを含めたICT教育との絡みの修繕というか、施設整備ということもますます必要になってくるんじゃないかなと思っている中で、ここから質問なんですけど、今、具体的にGIGAスクールであるとかICT教育の関係で施設を使いたいという方の利用というのは、どれぐらいあるものなのか、あるいは、そこの部分で機構としてはどのようにそこを増やしていきたいとか、このような対応をしていきたいとかということの考えがあれば聞きたいなとも思っているところです。
付け加えて、以前自分たちでやっていた活動としては、自然体験活動とICT教育を掛け合わせていくことによって子供の感性と思考力を育んでいくなんていうプログラムをやっていたんですけど、そういったことができるのも機構の強みになるんじゃないかなと思っているので、それに関連してお伺いしたいなと思いました。
以上です。
【平野座長】 今の増田委員の御質問に関して、機構はいかがでしょうか。
伊藤理事、お願いします。
【伊藤理事】 御指摘のGIGAスクールとの関係というのは何とも私自身も理解しているわけじゃないんですけれども、当然、学校の校外学習の観点で私どもの施設を利用するときに、ネット環境というのは大事になってくるだろうとは思っています。
地方施設のネット環境はどうなのかと言われたら、これは残念ながら貧弱な形になっていて、大容量のデータの送受信というのは、なかなか難しい状況になっているのも事実であります。こちらにつきましてはインフラという回線整備というのもあるでしょうけども、ランニングコストとしての利用料金等もかかってくる中で、非常に修繕も正直できていない状況の中で経費を捻出するのが難しい状況になっています。
実はこれはオリセンでも課題になっているところでありまして、我々としては利用者の利便性の向上、もっと言うと、それぞれの施設の機能をしっかり発揮していく上で必要なことだと思ってございますけれども、こちらにつきましても、いずれにしても必要となる経費、予算の確保というのがまず大事になってくるわけでございますけれども、現状の機構の財務状況からすると、残念ながらそこに最優先という形で順位づけするのは非常に困難な状況になっておりまして、まずは職員の給与をしっかり守っていくところをやらざるを得ないのが我々の実態でございます。
先ほどの劣化度調査のC判定ですとか、そういったところも我々としてはしっかりやっていくべきだとは思っておりますけれども、残念ながら予算の確保というのは十分ではなく、そもそもD判定のところすらできていないので、まずはD判定からやると。
日常的な点検整備、それから修繕についても予防保全ということはまさにそのとおりでございまして、トータルで見ればC評価、場合によってはB評価、何らかの不具合が起こっているということですから、そういったところ、専門家の方々に見ていただいてやっていくことは、考え方としてはすごく大事なことだと思っておりますけれども、残念ながら今、そこに充てられる経費がないところで、本当に我々としては非常に苦渋ではありますけれども、そこに手をつけていないということなので、しっかり財務の改善、経営改善、これの取組をしっかり進めながら、少しでも先ほど御指摘もあったようなことを着実に実施できるような形で、地方施設だけではなくて全体の機構の運営ということに努めていきたいと思っています。
【平野座長】 青木委員、どうぞお願いいたします。
【青木委員】 ありがとうございます。すみません本日は所用のため大学からの参加ということで申し訳ございません。
まず、機構の皆様に御説明いただきましてありがとうございました。質問ですけれども、先ほど資料で8ページ、9ページで、修繕のお金を見込んだ場合にどれぐらいの利用料の値上げという話がシミュレーションとして出ていましたが、具体的にいつぐらいから、この金額を上げるみたいな話は決まっていたりするのでしょうか。
【平野座長】 いかがでしょうか。
伊藤理事、お願いします。
【伊藤理事】 まず、これまでの実態を申し上げますと、地方施設の宿泊料金につきましては今年度から、先ほどここの資料に掲載している金額を徴収させていただいている状況でございます。あくまでも先ほどは単純なシミュレーションでございますので、直ちにその金額、シミュレーションの結果というのを実行に移せるかについてはしっかり検討していく必要があろうかと思っておりますし、また、この影響が利用者数に反映されるわけですし、また、利用者の推移を見ますと残念ながら利用者が、数字が今後なかなか見込むことも厳しい状況もございますので、安易な値上げをしてしまうと利用者離れが起こってしまうことも考慮しながら対応していく必要があろうかなと思ってございます。
【青木委員】 ありがとうございます。それを踏まえてのコメントなのですが、先ほどシミュレーションしていただいたものについては、そういった利用料金が上がったときの反映が想定されていないので、多分、上がったときには、さらに利用者の数が減ってくると、さらに値上げ分ということを今後検討していかないといけないので、そういった値上げをしたことによる影響も踏まえた上で考えていくということが、まず必要になってくるのかなと感じたところです。
併せて原田先生からも御指摘のあったとおり、なかなか右肩下がりで今後はそこもさらに減っていくことが予想される中で、アイデンティティをどう考えていくのかということは非常に重要な観点かなと思っています。その中で、国立というか、青少年教育施設自体が年に1回使う施設、学校利用とか団体利用が1回の利用ということが主たるものなので、それ以上に利用を広げていこうと思えば、複数回の利用を目指していくことはとても大事な観点になってくると思っています。
今、少子化という話が出てきますが、たとえ少子化であったとしても、いろんなところから何度も子供たちが来てもらえるのであれば、それは利用者数の増加にもつなげることもできると思いますので、今後利用者の方に利用料の値上げで負担を上げていくに当たってはサービスの向上というところ、そこをどう目指していくのかということも同時に議論を図っていかなければ、良いサイクルになっていかないかなと思います。その辺りも、今後御検討いただいた内容があればお教えいただければと思っております。
以上です。
【平野座長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
原田委員、お願いします。
【原田委員】 もし御意見がなければ、これも経営的な視点からなんですけど、せっかく27もたくさん施設があるので非常にスケールメリットを生かした何か経営ができないかなということで、今、流行りではないんですけど、サブスクリプションのような、一定の金額を払えばどこでも使えますというのがあるじゃないですか。これだけのスケールメリットがあれば、かなり話題性を呼ぶのかなと思いました。多分ファミリー中心、あるいは企業研修などが中心だと思うんですけど、例えば大企業とか、それこそ民間事業者と組んでサブスクリプションみたいな制度の導入なんかも、一度御検討いただければ一つの解決策になるのかなと思いました。
【平野座長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
帆足委員、お願いいたします。
【帆足委員】 質問ではないのですけれども、先生方のお話、御意見を本日いろいろ聞いて少し感じたことをお話ししたいと思っているのですが、この検討委員会、当初から国としてどうあるべきか、この施設をどうするべきかというところが議題としてあったと思っています。難波先生もおっしゃっていたのですけれども、国として青少年教育施設の中で何を提供するのかというところは、もしかしたらもう1回、みんなで意見を統一したほうがいいのかなと思いました。
体験ということが恐らく変わらずテーマになってくると思うのですけれども、どんな体験をこの施設から提案していくのか、もしかしたらそれは、これだけ28ありますので地域ごとに、難波先生がおっしゃっていた「地域の特性を生かした体験」みたいなところをもっと引き立てていくと、施設をあちこち回ると日本が見えてくるみたいなことになってくると思いますし、いろんな民間の施設も同じような自然体験の提案をされている中で、国としてどんな体験を提案するのかということについては共通認識を皆さんで持ちたいなと思っています。そうすることで、もしかしたら、こことここは重なっているねとか、ここはもしかしたら要らないかもしれないねとか、単純にこの施設を減らそうとかじゃなくて、何か建設的にどう集約していくかというのが見えてくるのかなと思いました。
あと最初に御説明いただいた栃木県と高尾の森のお話もすごく参考になりまして、これも6施設から3施設に統合したとか、7施設から2施設に集約したとかという話があったかと思います。どんな理由で集約したか、どんな理由でこの施設はやめて、こっちは残そうとしたのかというところはもう少し聞きたいな、参考にしたいなというところです。
あと、料金面も学校、小中学校は無料にするところもあれば、予約開始時期を変えるとか、そういうインセンティブみたいなものをつけるとか、いろんなやり方をしているので参考にしたいです。私は必ずしも無料にする必要はないと思っているんですよ。国がやるからといって無料にする必要ないと思っているんですが、無料にしたことでこんないいことがあったとか、予約時期を変えたことでこんないいことがあったとか、もしくはもうこんな課題が出てきてしまったとか、利用を始めてから、新しく施設が変わってから、どういう結果が出ているのかというのは参考にしたいなと思いました。
以上です。
【平野座長】 植田委員、お願いします。
【植田委員】 私が福岡の施設に行かせていただいて、ここでの議論でどうしても皆さん中で欠けているというか、共通の基盤になれないところは、例えばトイレは和式なんですね。和式を一つ洋式にするのに25万かかるんです。私が訪れたところでも71の和式トイレがありました。25を洋式に変えると1,800万円かかるんですね。それから2段ベッド。2段ベッドのところに新たなお客さんも来ていただくというのは、これは2段ベッドも当然、ホテルの2段ベッドじゃないわけですね。ですから、これ、現地に行っていただいて2段ベッドを、要するに今の小学生、中学生であるがゆえに和式で何とか対応し、2段ベッドで対応しというところでやっているわけですけれども、その今の状態を実は大きく変える費用というのがないと、すなわち現状維持の施設のままでもう今の修繕の話をしていますけど、これ、どんどん、どんどん劣化していきます。この和式のトイレも2段ベッドも、という中での費用というのが必要だということ。そして、そういう環境だということを踏まえて我々が将来のこの27施設について考えないと、どうしても先ほどお話があった、例えばその企業が活用するようなこととか、以前お話あった海外との観光客が活用するとかという議論にはなり得ないんですね。
ですから、そこはできるだけ、そういう現状の機構の今の施設の地方の施設の在り方、現状というのを共通の基盤として我々の中で持ちたいなというのは思います。
以上です。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。難波委員、お願いします。
【難波委員】 青木先生がおっしゃったことで、どきっとしたんですけど、リピーターを獲得することをもし考えたときに、多分多くの国民の人は仮にこの施設を使っても一生に1回しか使ってない人が大半だとすると、ですよ、体験として提供されているプログラム自体が1回きりでいいプログラムしか体験として提供されていないんじゃないかと思います。そうするとリピーターは多分よっぽどそれが気に入らない限りは絶対に来ないだろうと思って、果たしてそれの体制がソフト面で整っているのかというところに今、疑問を感じてしまったところがあります。
その点でいうと原田先生おっしゃるように、サブスクでいろんなところを回ってもらったほうが、1回きりでもう27か所回ってもらったほうがいいのかもしれないなというような部分。なので、どんな体験を提供しますかってときにはターゲット、その人たちが一見さんなのか、リピーターなのか、それに対して、そこに合ったサービスが提供されているのかって併せて考えていかないといけないんだなって改めて思いました。
【平野座長】 ありがとうございます。
古川理事長、お願いします。
【古川理事長】 御意見ありがとうございます。ただ、これまでこういった国立青少年教育施設というものは個人では使えない施設という御認識で、学校から泊まりに行く場所であるようなことで使われてきました。それを今、そうでなくて空いていたら、どなたでも家族でも来られますと変えておりまして、そういう意味でそういった主催事業を打つと、また来年も来たいとか、例えば登山一つとっても今、親も経験をしてないので、ぜひ親子でやりたいみたいな御意見もよく頂いております。そういった形で何かこういう施設の使われ方も変わってきているかなと思います。昔、この体験をしたということは、結構一人一人のお子さんの心には強く残っているというようなことは耳にするところではございます。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
高木課長、お願いします。
【高木課長】 御議論ありがとうございます。おっしゃるとおり少子化はすごく進んでいて、第一次ベビーブーマーの今、4分の1しか出生数ないですし、第二次ベビーブーマーと比べても3分の1以下という形になっています。今までの国立青少年教育施設というのはおっしゃったとおり、学校利用がメインターゲットとしてやられてきていますので、それが年1回に1泊なり、2泊なりという形で、かつ宿泊訓練という形なので10人部屋なんかがフォーマットといったところでございます。
まさに青木先生がおっしゃったとおり、複数回利用ができるような新たな方向性ということを模索しなきゃいけないですし、動きつつあるんですけれども、原田先生がおっしゃったとおり、建物自体がそういうフォーマットになっていないのは事実です。そのためにはしかるべき予算が必要だと、施設整備費補助金が必要だというのは重々承知しています。
ソフトとしてというか、そもそも国立青少年教育機構として何を今後提供していくのかということを、我々どもとしては事業で御議論いただこうと思っていろいろとやってきたと思いますが、生煮えの部分があるのかなと思っています。次回、もう1回、維持管理の話をさせていただいた上で、事業としてソフトとしての部分、ナショナルセンターとして何をしなきゃいけないのかといったことを、事務局として今までの議論の整理をしたものを次々回くらいに提案させていただきまして、それで、それをもんでいただくような感じの議論の進め方をしていこうかなと思っていますので、なかなかうまく我々で会議の取り回しがうまくいってなくて申し訳ないですけど、そんな感じで考えていますので、ぜひ、それに向けて忌憚のない御意見を頂ければと思っているところではございます。
以上でございます。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 ありがとうございます。今後の施設の価値をどう生み出していくのかという観点なんですが、私も施設職員の経験がありますので、青少年教育施設は団体が研修する場として設置されたので、団体が主となる活動の場の提供がメインだと思うのですが、これからの時代に合わせて考えていった場合に施設側から価値を提供していくということを考えていかなければ、なかなか利用者は来てもらえない。特に、自分たちで活動できる能力のある人たちだけではないので、例えば近くに山があるから登ってくださいと言っても、十勝岳はなかなか素人では登れません。そういったところに、指導者というか、職員の方が一緒に行って自然のすばらしさや価値を伝えていくみたいなことをしていくことがサービスや質の向上につながってくると思います。
これまでのように場があって環境があって、そこを提供するだけが、なかなかサービスとしては伝わってきませんので、自然環境を生かしながらどう価値を生み出していくのかということが施設にこれから求められていくと思います。そういったところも今後の議論の中に、青少年機構の検討の中で考えていただければありがたいと思います。
以上です。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
野口委員、お願いします。
【野口副座長】 ありがとうございます。これからのことを考えるに当たって、新しいターゲットとかということを考えるのもとても重要なんですが、数が少なくなったとはいえ、草の根で活動している青少年団体のことをしっかり考えていかなければならないというのは、私としてはすごく思うことで、しがない小さな青少年団体を運営していると、施設に行ってこういうことがしたいといったときに、きめ細かく対応していただけるのはすごく団体としてありがたいことなんですね。ただ、それが全ての施設でできているかというと、それはなかなか難しいところもあって、そういったところもターゲットとかプログラムの提供だけではなくて、利用団体のニーズにどうやって応えていくかということも、ぜひこれからの視点では考えていただければいいかなと思っております。
以上です。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
増田委員、お願いします。
【増田委員】 以前発言したか忘れてしまったんですが、先ほど来のお話を伺っていると、機構としてどう新しい価値をつくっていくかということのお話が上がっているかなと思っているんですが、今、全国の国立公園等でインタープリテーション全体計画が進んでいますけど、その考え方なんか、すごく機構のこれからの価値を考えていくに当たって役に立つんじゃないかなと思っています。
その地域の資源を、地域のステークホルダーの皆さんと一緒にストーリーをつくっていくという、そういうワークショップを各地で行っていますけど、そういったものを、もしかしたら機構だけじゃなくて地域にいらっしゃる関係者の方たちと一緒につくっていくとか、あるいは本部は本部で、本部に関わる話をつくっていくとかということもできるのかなと思いました。
以上です。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。
植田委員、お願いします。
【植田委員】 次回、もしお願いできましたら、27施設の施設が置かれている環境、例えばそれを地図で示すとか、そこを我々が理解していないと、実は都道府県の例えば県庁所在地からもうかなり離れた自然の中にある施設ですから、今、おっしゃられた地域との関係とかいったときにそういうことって非常に関わってくると思うので、皆さんの中で、それぞれの27施設が一体、場所が例えば飛行場からとか、あるいは高速道路からとか鉄道からどういう距離感があってそこにあるかというの、知っておいていただいたほうがいいのかなと思います。
【平野座長】 今の御意見について、また御参考にさせていただいて、準備できるかどうか検討させていただければと思います。
ほかいかがでしょうか。
それでは、私から1点質問です。先ほど資料編で、11ページで施設整備費補助金による整備の実績ということで御説明いただきました。これは運営費交付金とは別に補助金がついて様々な整備ができてきているという理解でよろしいでしょうか。
【高木課長】 こちらの11ページの施設整備補助金というのは、運営費交付金の別建てです。別建てではあるのでのすけれども、補正予算で措置しておりますので、補正予算の規模というのは、そのときの補正予算の編成の状況次第になりますので、言い方は悪いですが、根っこがしっかりあるお金じゃないですけれども、たまたま今年度でいうと15億つけさせていただいたようなものでございます。
【平野座長】 そのことと、前に伺った国土強靱化計画によって、毎年毎年、施設のインフラに関連して整備をしているお話も聞いたと思うんですが、そのこととこれはまた別ということでしょうか。これが入っているということでしょうか。
【高木課長】 10ページを御覧いただければ分かるとおり、ライフライン機能強化整備というのは、これ全部、国土強靱化です。ですので、令和2年度以降はほとんど国土強靱化のお金と思っていただいて構わないです。
【平野座長】 分かりました。そこら辺が分からなかったので。そうするとこういう経費はあるけれども、いつ、どこにどれぐらい確保できるかということが非常に不透明なまま来ているということで、なかなか言い方悪いかもしれませんけれども、当てにできない経費だという理解でよろしいですね。
【高木課長】 申し訳ありません。
【平野座長】 ほかよろしいでしょうか。
幾つか非常に意味のある御意見をいただきました。ありがとうございました。ちょうど時間になりましたので、これにて本日予定していた議題は終了いたしました。スムーズな進行に御協力いただきまして、ありがとうございます。
それでは、最後に今後の検討会の進め方について事務局から説明をお願いいたします。
【葛城補佐】 資料4を御覧ください。第6回目以降の日程については、現在調整中とさせていただいております。日程調整が整い次第、速やかに委員の皆様には改めて御連絡をさせていただこうと思っております。
また、本日の議事録については、後日委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
以上です。
【平野座長】 本日はどうもありがとうございました。
総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室