令和6年12月5日(木曜日)16時00分~18時00分
青木委員、糸川委員、植田委員、岡田委員、笹本委員、佐藤委員、長野委員、野口委員(副座長)、萩原委員、原田委員、平野委員(座長)、帆足委員、増田委員
茂里総合教育政策局長、平野社会教育振興総括官、高木地域学習推進課長、小沢青少年教育室長、葛城青少年教育室長補佐
独立行政法人国立青少年教育振興機構:古川理事長、長谷川理事、伊藤理事、松田理事
発表者:兵庫県教育委員会事務局義務教育課副課長 早瀬幸二
【葛城青少年教育室長補佐】 定刻になりましたので、ただいまより第3回国立青少年教育施設の振興方策に関する検討会を開会いたします。委員の皆様におかれましては、御多用の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本日は、会場とウェブ会議システムのハイブリッド形式での開催となっております。通信環境の状況などにより、音声が聞き取りづらいなどの不具合がございましたら、ウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせいただければと思います。また、本日の会議については、文部科学省YouTubeチャンネルにてライブ配信を行い、報道関係者や一般の方々の傍聴を受け入れておりますので、御承知おきください。ウェブ会議システムから御出席いただいている委員の皆様に御案内いたします。会議中、御発言をいただく機会以外にはマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。なお、本日の検討会より、ウェブ会議システムから御出席いただいている委員のみならず、会場で御参加の委員の皆様におかれましても、御発言の際には、お手元のタブレット画面のリアクション項目から挙手のアイコンをクリックしてお知らせいただくことといたしました。座長より順次指名がありますので、指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。なお、発言後は手を下ろすのアイコンをクリックし、挙手アイコンが表示されていない状態にしていただくよう御協力をお願いいたします。
それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。資料は、1-1から5まで全部で6点になります。不足等ございましたらお申し付けください。
それでは、以降の進行は平野座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【平野座長】 本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。まず、本日の出席状況についてですが、秋田委員と難波委員は御欠席となっております。
それでは、議事に入ります。本日は、初めに事務局から、本日の検討会に関する論点と検討の視点を御説明いただきます。その後、議題2として、国立青少年教育振興機構から、地方施設における青少年に対する研修支援についての説明を、そして、議題3として、2名の委員からそれぞれ御発表いただきます。兵庫県の事例発表につきましては、秋田委員が御欠席のため、兵庫県教育委員会事務局義務教育課副課長の早瀬様より御発表をいただきます。なお、御発表に関する質疑や意見交換は、後ほどまとめて時間を取っておりますので、その際にお願いいたします。
それでは最初に、議題1として、第3回の論点と検討の視点等について、事務局からお願いいたします。
【高木地域学習推進課長】 地域学習推進課長の高木でございます。よろしくお願いいたします。
資料1-1を御覧ください。外的要因を含む様々な現状を踏まえ、委員の皆様に御議論いただきたいものとしまして、2ページから4ページにかけて整理しております。まずは、外的要因がいろいろとある中で、青少年教育のナショナルセンターとして国立青少年教育振興機構が有しているオリセン及び地方施設がどういった取組をしていくべきか、国立施設としてやっていかなければいけないことが何なのかということをしっかり御議論いただきたいなと思っているのが、1のところでございます。
前回、御議論いただいたのが、論点1-1教育プログラムの内容でございますけれども、地方施設やオリセンが自ら主催する教育事業についての論点ということで御議論いただければなと思ったところでございます。特に機構においては、青少年教育研究センターといった司令塔機能があることがほかの公立施設と大きく違うのかなといったことや、国際交流の窓口、拠点となる部分があるのではないかなといったことが、特に国立施設としての優位性があるのではないかといったことで御議論いただければなと思っているところでございます。
今回は論点1-2ということで、実際、宿泊も含めて施設を利用いただく方々に対してどういったことがサービスとして提供できるのかといったところを御議論いただければなと思っております。
3ページに行きますと、論点1-3は、オリセンについてなのですけれども、ほかにはないくらいの立地条件に恵まれた施設で、どのようなナショナルセンターとしての中核的な機能を果たしていけるのか、論点1-4は指導者養成についてで、やはりナショナルセンターとしては、全国のいろいろな体験活動をされている方々に対して、更なる体験活動をしっかりできるような指導者養成をやっていくべきではないかといったことを御議論いただければと思っているところでございます。論点1-5としましては、地方に27施設で、オリセンが1施設といったこの体制を有効利用してどういったことができるのかといったことを御議論いただければなと思っているところでございます。
4ページでございますけれども、そういった国立、ナショナルセンターとしてどういったことをやっていくべきかといったことを御議論いただいた上で、現状のインフラの状況、経営の状況も踏まえて経営面も含めた御議論をいただければなと思っているところでございます。どうしても実際の事業のことを議論いただいても、経営面に関わるものに派生する議論は十分あると思います。経営に係ることを御発言いただいても全然構わないのですけれども、できれば論点案に沿って、今回で言えば論点1-2になるのですけれども、できれば事業のこと、どういった事業をしていくべきかといった観点から御意見がいただけるとありがたいと思っているところでございます。
そういった全体像を示した上で、5ページでございますけれども、本日御議論いただきたい点といったことで論点を整理させていただきました。大きく二つあります。上段が、学校に利用していただく場合どういったことができるのかという点です。特に昨今ですと、教師の働き方改革といったことが言われているところでございます。教員の負担軽減につながるようなことも含めてどういった取組ができるのかなといった視点でございます。後でまた、御説明しますけれども、学習指導要領の解説で、例示ではございますけれども、1週間(5日間)程度の集団宿泊活動が望まれるといったことがしっかりと記載されておりますので、そういったことを踏まえて、実際どういったことができるのかといったところを御議論いただければと思います。例えば安全性の確保といった点もありますし、しっかりとした教育的なプログラムの提供といった点もあると思います。また、ユーザーとして、学校、教員が求めるような活動ができているのかといった点についても御意見をいただければなと思っているところでございます。下段でございますけれども、学校以外の利用、例えば企業やほかの青少年教育団体など、多様な方々が利用される場合にどういったものが地方施設として提供できるのか、若しくはそういったニーズをきちんと把握できているのかという視点です。研修のために来ている方々と、研修以外の目的の方々といらっしゃると思います。そういったことも含めて、どういったことができるのか、また、国立施設でなければできないような特色ある研修プログラムを提供できるのかどうかといった点などについても御議論いただければなと思っているところでございます。
6ページ以降は参考資料でございます。6ページは、学習指導要領で体験活動について記載させていただいていますといったことを示しております。こちらは小学校でございますけれども、中学校もほぼ同様な表現で書かれているところでございます。先ほど申した解説の記載については、下の方に参考として書かせていただいているところでございます。
7ページでございます。これは農山漁村体験に限られていますので、地方施設が行っている自然体験全般を示しているわけではないのですけれども、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局と文部科学省が共同で行った調査の結果でございます。農山漁村体験活動は若干対象が違う部分ではあるのですけれども、左下を御覧いただくと、小学校は、コロナ前に比べて活動が若干増えているといった状況に対して、中学校はコロナ前よりも活動が大分減っているといったことや、右側は、宿泊日数でございますけれども、コロナ後、日数に至っては大分減っているといったようなことが見られることを示しているところでございます。
最後、8ページでございます。公立の施設を合わせた青少年教育施設の数でございますけれども、ピーク時に比べまして、公立施設に関しますと6割ほど減っているといった状況でございます。そういった現状も踏まえて、国立施設としてどういったことを行うべきかということを御意見いただければなと思っているところでございます。
説明は割愛させていただきますが、資料1-2が、前回の皆様方の意見をまとめているところでございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【平野座長】 高木課長、御説明ありがとうございました。
それでは、議題2として、国立青少年教育振興機構から、地方施設における青少年に対する研修支援について御説明をお願いいたします。
【松田理事】 それでは、青少年機構から松田でございますけれども、まず、現在の研修支援の概況に関しまして、御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、全体像を少し御説明させていただきます。こちらは、前回の第2回検討会でもお示しさせていただきましたスライドになります。研修支援等は、学校や青少年団体などが集団宿泊活動などのために当機構を利用するものとなりますので、主体は利用団体側ということになってございます。なお、利用団体が掲げている教育的ねらいの達成のために、施設職員が指導や助言を行っているというところでございます。研修支援に関わる業務内容につきましては、機構法におきまして、「施設を研修のための利用に供すること」、そして「指導及び助言を行うこと」と記載されております。各地方施設が立地している環境の特色を活かした活動を展開しておりまして、山型の施設では登山やハイキング、海型の施設ではカヌーやシュノーケリング、雪が降る施設ではスキーや雪上ハイキング、川がある施設では沢登りやラフティングなどを実施しています。また、どの施設も共通して提供している活動として、スポーツ活動や野外炊事、キャンプファイアーなどがあります。主な利用者は、「学校団体」のほかに、学校の部活動・サークル利用、子ども会、PTA、ボーイスカウトやガールスカウトといった「青少年団体」、「官公庁、企業」などがございます。そしてまた、公民館、図書館、福祉団体などの「その他団体」となっているところでございます。
さて、「研修支援」という用語ですが、これは機構発足後から使用されるようになった用語となっております。機構発足前は、各法人は「受入事業」と称しておりました。
次に、研修支援の実態について御説明させていただきたいと思います。
ここからは、地方教育施設における研修支援の利用者数について、細かな数字になりますが、表やグラフを使用しながら御説明させていただきます。総利用者数、宿泊利用者数、日帰り利用者数について、平成24年度、30年度、令和5年度、そして令和6年度は10月末日までの実績と3月までの予約値を合算した数値を記してございます。今年度につきましては、宿泊・日帰りともに、平成24年度比の半分、平成30年度比の6割程度となる見込みとなっております。また、前年比におきましても、現時点で減少しております。なお、例年の傾向から、日帰り利用については今後利用者数が増加する可能性がありますことを申し添えさせていただきます。
次に、平成24年度からの経年変化を見ていただきます。総利用者数、宿泊利用者数ともに、コロナ禍前におきましても低下傾向がございました。新型コロナウイルス感染症の影響を年間を通じて受けました令和2年度の利用者数は非常に減っておりまして、47万5,000人でした。その後利用者数は徐々に回復してまいりましたが、今年度については先ほど御説明した数字になっているというところでございます。
利用者を、「青少年利用」と、企業や官公庁を代表とする「一般利用」とで分けましたグラフがこちらでございます。青少年利用と一般利用の比率につきましては、平成24年度には9%程度あった「一般利用」の比率が近年は6%程度となってございます。宿泊・日帰り別で見てみますと、特に日帰り利用において「一般利用」の占める割合が減少しております。
続いて、団体区分別の利用者数でございます。宿泊利用は、団体属性にかかわらず、団体の減少率以上に人数の減少率が高い状況となっております。日帰り利用者は、宿泊利用者に比べるとその減少率は緩やかな状況となってございます。
続いて、先ほどと同じ観点で、特に「学校団体」について、学校種ごとの実態を御説明させていただきます。学校団体の中でも最も利用の多い小学校については、コロナ禍前の平成30年度と比較すると、宿泊利用で団体数は9割、利用者数は8割程度と高い水準となってございます。一方で中学校と高校につきましては大きく減少しており、例えば高校は、平成30年度と比較した宿泊利用では団体数が5割、利用者数が4割程度となっております。また、大学・短大・高専、専修・専門学校につきましても減少しているという傾向でございます。
続きまして、1団体当たりの実人数の比較となります。「学校団体」については、ほかと比較すると1団体当たりの人数が多く、団体規模が大きい様子がうかがえます。「青少年団体」と「官公庁企業等」は、コロナ禍前の団体規模はほぼ一緒ですが、令和5年度になりますと官公庁企業等の縮小率が大きく、平成30年度と比べると約半分程度の団体規模となっています。日帰り利用の学校団体の規模は、若干ではありますが拡大しております。
次に、「学校団体」について学校種別に見ていきますと、中学校を除いて、どの学校種も1校当たりの実人数は減少傾向にあります。学校団体で規模が大きいのは中学校と高等学校で、次いで小学校となっております。日帰り利用については、どの学校種においても団体規模が拡大している傾向にございます。
一人当たりの宿泊数を比較してみますと、「学校団体」で特に大きく減少しています。もともと泊数が減少傾向にあった学校団体ですが、コロナ禍以降もその傾向は継続しております。一方、「青少年団体」はほぼ横ばい、「官公庁企業等」については泊数が伸びているという現状でございます。 以上でございます。
【長谷川理事】 総務担当理事の長谷川でございます。次の14ページの棒グラフ以降は、私が御説明申し上げます。 まず、14ページは、研修支援の実態の中でも経費のところを用意させていただいております。大きくは、比較のことも考えて、法人全体、真ん中が地方施設、それから東京のオリンピックセンターを並べております。今回テーマになっております地方施設の研修支援については、真ん中の右下に収支が書いてございます。ほとんど運営費交付金が収入源になっており、自己収入は非常に低い率です。一方、支出は、人件費が半分以上を占め、次いで管理費も4割ということで、全体としては、施設の維持管理費に掛かるコストが中心となっております。
続きまして、地方教育施設を取り巻く環境ということで、大きく、自治体の動向、それから近隣の公立施設の現状を列挙させていただきました。まず、自治体の状況でありますが、国立施設の利用を推奨する事例がある一方で、県立や市立等、自治体自体で設置しているところを使うようにと促している事例も見られます。それから、自治体から金銭的援助が出ている事例もございまして、1泊以上の宿泊体験を実施した事業への補助、それから県外からの教育旅行へのバス代の助成等々がございます。
次に、公立施設でございますが、大体7割くらいが100名から300名ですから、国立よりも一回りか二回りくらい小さい定員になっており、また、全体の6割が指定管理者制度を導入しております。参考までに、私たちが承知しておりますリニューアルの情報を③で挙げさせていただきました。このうち、栃木県みかも自然の家は新設です。
続きまして、青少年団体の動向でありますが、子ども会あるいはスポーツ少年団は、ピーク時に比べて会員数や登録者数がそれぞれ大幅に減っているという現状がございます。それから、中教審の答申の中で、学校行事の精選・重点化を図る必要があるという旨の記載があるということも紹介させていただきます。
続きまして、地方教育施設における研修支援の取組と工夫でありますが、幾つかにカテゴリーを分けて書かせていただいております。まず、支援の事例であります。
1つ目は、施設職員が利用者に対し直接指導をすることで、教員など引率者の負担軽減を図る取組です。直接指導する事業につきましては、引率者の負担軽減の側面もありますけれども、引率者がプログラム観察等を通じて学びを深める場にもなるとともに、体験活動の効果の向上にも寄与しております。また、主に大学に通う施設のボランティアが、学校の利用に当たっての運営補助に携わる事例もございます。学校からは、安心して利用できたという声もあり、また、ボランティアにとっては子供と直接関わる機会の創出に寄与しているというところがございます。
続きまして、情報提供やサポート事例でございます。最近は、オンラインを活用して、訪問できない方のためにいろいろ打合せで確認したり、活動の情報をYouTube等で発信したりするなど、ICTを活用するようにも取り組んでおります。
続きまして、3つ目でございます。これは施設外における支援の事例を挙げさせていただきました。大きくは2つでありまして、1つは防災や野外炊事、それからスキーなどのプログラム指導、宿泊学習の事前学習等を学校に出向いてさせていただいております。また、学校以外でも、他施設のイベントや地域の祭りへの出展、体験ブースの展開もしております。
4つ目、その他でございます。多様な利用者に対する支援を3つほど紹介させていただきます。1つ目は、特別な配慮を要する利用者など全ての利用者にとって分かりやすい指導、あるいはユニバーサルデザインに関わる事例、2つ目は、多様な価値観や生き方を踏まえたLGBTQに関する研修、3つ目としては、誰もが理解できる活動プログラムの手順書作成、というようなものに取り組んでおります。
次に、効率化と経費節減の観点で幾つか挙げさせていただきました。まず、オンラインによるミーティング、それから業務の電子化といったICTの活用とか、冷暖房の使用に係るルールの作成、施設所有のバスの利用ルールの見直しなどに取り組んでおります。また、清掃範囲や寝具の使用量の見直し、契約方式の変更等、各種業務委託の契約の見直し等も行っているところでございます。そして今年度から、利用状況に応じて一時休館を一定期間するということを始めました。
最後に、課題認識を御説明申し上げます。ここに5つ挙げております。 1つ目は、利用団体の現状や多様なニーズへの対応ということで、行事の精選に取り組んでいる学校、特別な配慮を要する利用者、体験不足の利用者や引率者等へのそれぞれに応じた支援体制・方法を検討する必要があるということでございます。 次に、機会と場の提供ということで、体験活動の機会の場の減少や青少年教育団体等の変化に応じた日常的な支援体制・方法の在り方を検討する必要があります。3つ目としては、人材の育成、特に小学校、中学校への指導力が大事かと考えております。4つ目は、利用者の利便性向上と業務効率化です。特にDXの導入が私どもは遅れておりますので、これをしっかり進めるというところが大事になっております。最後は、利用者の確保と適切な受益者負担の実現です。もう既に御案内のとおり、利用者が減少傾向にある中で、利用者の確保と適切な受益者負担を図ることが必要になりますので、これも重要な課題と考えております。 以上でございます。ありがとうございました。
【平野座長】 ありがとうございました。
それでは続いて、議題3として、兵庫県教育委員会義務教育課副課長の早瀬様から、豊かな人間性と社会性を育む兵庫型「体験教育」についての御発表です。よろしくお願いいたします。
【早瀬氏】 兵庫県教育委員会の早瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、本県が実施しております、公立の全ての小学5年生が4泊5日の宿泊体験を行う自然学校推進事業について説明をさせていただきます。本日はこのような流れで説明をさせていただきたいと思っております。
兵庫型「体験教育」についてですけれども、先ほど自然学校のことをお話ししましたが、自然学校以外にも、小学校から中学校、高等学校と系統的に行うものをパッケージとして兵庫型「体験教育」といっております。例えば自然や社会、芸術・文化に触れるような日常では経験できないような感動体験であったり、また、地域の人と関わる中での主体性を尊重した体験であったり、ふるさと意識を育むというような、県民の参画と協働により子供の成長を地域社会全体で支える取組の象徴として本県としては推進しているところであります。
先ほど少し申し上げましたけれども、小学校3年生、小学校5年生、中学校1年生、中学校2年生、また、高校生というように系統立てながら様々な体験をこのように行っております。具体的には、小学校3年生対象の環境体験事業では、里山や田畑、水辺などで自然と触れ合う体験型の環境学習になります。この後説明させていただきます小学校5年生の自然学校推進事業は、豊かな自然の中での4泊5日の長期宿泊体験になります。中学校1年生対象のわくわくオーケストラ教室は、全ての中学生が、管弦楽団による生の演奏を聞いたり、曲に合わせて歌ったりする参加型の鑑賞教室です。中学2年生対象の地域に学ぶ「トライやる・ウィーク」は、地域や自然の中で1週間多様な社会体験を行うものです。高校生のふるさと貢献・活性化事業は、クラス単位によるふるさと貢献活動や課題探究活動です。同じく高校生を対象とした高校生就業体験事業は、産業の現場を中心とした学習内容や進路に関連した就業体験を実施しております。 この兵庫型「体験教育」の中で最も歴史が古いのが自然学校になります。この自然学校は、豊かな自然の中で行う4泊5日の宿泊体験を通しまして、自ら考え、主体的に判断・行動し、よりよく問題を解決する力や、生命に対する畏敬の念、感動する心、共に生きる心などを育むことを目的として実施しております。
学習指導要領にもこのように示されておりまして、本県では1週間の宿泊体験を全ての学校で行っているところであります。
この自然学校の経緯について説明をさせていただきます。昭和62年に心豊かな人づくり懇話会が設置され、懇話会での提言から翌年の63年より本事業を開始し、初めは5泊6日の自然学校がスタートしました。平成3年度からは全ての公立小学校で実施しておりまして、平成21年度には3年生の環境体験事業が実施されることになり、自然学校の期間を4泊5日以上と変更しました。コロナ禍においても、期間を短縮したり活動を工夫したりしながら、今年度で37年目を迎えます。これまでに延べ187万7,012人の児童が体験しておりまして、今の親世代の方々も多く自然学校を体験しているという声も聞いております。
この37年の中で、事業充実のために様々な方策を行ってきました。平成9年には自然学校推進事業検討委員会を設置し、新たなプログラムの開発や、ゆとりあるプログラムの設定を行いました。また、平成19年には、検証委員会を設置し、自然学校の一層の充実を図るための6つの方策を策定しました。その後も、検証委員会での検証や30年目の質問紙調査を行うなど、また、指導資料を作成しながら事業の充実のために様々な工夫を行っております。
その中のプログラムを幾つか紹介させていただきたいと思います。隠れ家作りというのがあるのですけれども、それは自然の中で、丸太やロープなどを使ってグループでオリジナルの隠れ家を作る活動です。やり切った後には子供たちの充実した顔、仲間との絆が生まれる活動になります。雲海の早朝登山は、テント泊を行い、その次の日の早朝に雲海を見るというものです。自然の神秘性や美しさ、偉大さに気付くということとともに、自分たちで山を登り切ったというような、達成感も味わうことができます。ほかにも、野外炊飯やツリークライミング、カヌー体験、キャンプファイヤーというように、子供たちはこのような4泊5日のプログラムによる感動体験を通しまして、成功だけではなく、失敗する経験も含めまして、多くのことを学んで成長していっているところです。
これは自然学校30年目の評価検証の際に質問紙調査を行ったときの結果です。左上のグラフにありますように、自然学校に行く前の不安としましては、やはり家族と離れて友達と一緒に過ごすことが最も多かったのですけれども、右上にありますように、そういった子供たちの7割が、一人でいるよりみんなといる方が楽しい気持ちが強くなったと答えております。また、左下のグラフにありますように、友達と過ごすことを期待していた子供も、不安だった子供も、日が経つにつれて楽しいと感じる割合が高く、4泊5日の必要性がうかがえます。最終日に下がっているのは、どうしても時間的に短く、荷物の片付けもあることが影響しているのかとも思います。
また、これは令和5年度に、この後説明させていただきます、県内の中核施設であります兵庫県立南但馬自然学校という施設で、自然学校に参加した子供3,554人に対してアンケートを実施した結果になります。「自分の力で解決やできることが増え、成長を感じた」という質問に肯定的な回答をした子供は94.1%、また、「自然学校の活動の中で、友達と協力することの大切さを学んだ」という項目で肯定的な回答した児童は97%にもなり、主体性を育み、自らの成長を感じたり、絆を深めたりする機会になったことが分かります。
次に、県としてこの自然学校に対してどのような支援をしているのかということなのですけれども、各学校に対して交付金という形でこのようなものを渡しております。例えば技術指導員という方がいらっしゃいますので、その方への謝金であったり、また、子供たちのサポートを行う指導補助員の経費、また、バス代を中心とした交通費、また、消耗品等、しおり等を作成するための活動運営経費、また、要保護・準要保護に関する食事代等の経費といったようなものを県としては支援しているところであります。
具体的には、この表を見ていただけたらと思います。例えば5年生が4クラスで4泊する交付金になりますと、77万2,000円を一つの学校に渡しております。今回4泊5日以外も載せておりますのは、コロナ等でやむを得ず宿泊日数が減った場合にも、このような形で交付しているからです。また、左側にあります環境体験の学級数、それから自然学校の学級数と合わせる形で市町の方に交付しておりまして、その中で市町の方で配分を考えて運用していただいているところです。
続きまして、受け入れ施設についてです。これは令和6年度の宿泊を伴う学校が利用する施設の概要です。実は民営等の利用が増えているのですけれども、これは民宿等に泊まることによっていろいろなプログラムを既に用意してくれているというメリットもあることから、民営等が若干増えている傾向にあります。
県内の施設の中でも先ほど申し上げました兵庫県立南但馬自然学校は、自然学校の中核的な施設として平成6年に開校し、今年で30周年を迎えております。ここでは、自然学校と自然体験の場の提供に加えまして、調査研究開発、情報提供を行ったり、自然学校の指導的役割として指導者研修を行ったりしております。これまで延べ2,078校、75万1,430人が自然学校としてこの南但馬自然学校を利用しています。本県としましては、この南但馬自然学校で調査研究・開発されたものが、他の公立施設や民間施設にも伝わるように情報提供を行ったり、指導者の養成を定期的に行ったりするなど、受入先の施設にとってもメリットになるような支援を行っていきたいと考えております。
この南但馬自然学校の中には、学級単位で宿泊できる生活棟や、また、野外でも活動できる大屋根広場などがあります。また、ほかにも野外炊飯場といったようなものも用意されております。
このように、良いところばかりに見える自然学校なんですけれども、この充実に向けて課題に直面している状況が続いております。まずは今回のコロナ禍におきまして、まず令和2年度は宿泊体験は到底無理だということだったんですけれども、5日間、何とか分割してでもいいので、学校の中で子供たちができる体験を行ってほしいということでお願いをしました。令和3年度から令和4年度にかけては、各地域の感染状況と実態に応じながら宿泊日数を設定するという形で行っております。令和5年度からは基本的には全ての小学校で4泊5日を行うということを原則でしておりますが、コロナの影響等で若干少なかったところもあります。
ほかにも、特別に支援が必要な子供たちが増加していること、また、大学生が補助員をしてくれるのですけれども、そういった人材の確保が難しくなっていること、また、バス代の高騰、そして、宿泊施設が施設閉鎖等によってなかなか確保が難しくなっていること、それから、教員不足によって学校全体での体制をつくることが難しくなっておりまして、教員の負担といったところがあります。このため、人材バンクや宿泊施設の紹介、地域や保護者に自然学校についての周知を行っておるところですが、より工夫した支援が必要であると考えております。
そのため、今年度、兵庫型「体験教育」魅力発信検討会議という会議を設けまして、有識者や学校関係者から意見をいただきながら、実態把握を行うとともに、改善・充実に向けた案を検討しているところです。
これはその一環として実施しましたアンケート結果です。子供たちが「成長を感じた」という項目では、4日目、次いで3日目が多く、また、「希望する日数」では5泊6日以上が最も多く、次いで4泊5日以上が続きます。
続いて保護者アンケートでも、7割の保護者が4泊5日以上を希望しております。
一方、学校アンケートを見てみますと、先生方は、成長に必要だと思う日数は、最も多かったのは2泊3日で、4泊5日となっているんですけれども、適当な宿泊日数については2泊3日が5割と、かなり多いことが分かります。これはやはり先生方がそれを運営する上で負担を感じている部分が多いということが窺えます。
実際にその傾向を見てみますと、これは困難や負担を感じることの結果なんですけれども、先ほど申し上げましたように指導補助員等の確保であったり、また、支援が必要な子供への対応、また、安全面、緊急対応、そして事務的な業務、こういったことに負担を感じている学校が多いことが分かります。
そこで、まず支援策の一つとしまして、自然学校のリーダーバンクというものを創設しました。県内外の教員養成課程を有する大学や野外活動のNPO等の団体にこのようなチラシを配布しまして、リーダーを募集させていただきました。現在100名を超える応募があり、随時、市町教育委員会の方に情報提供を行っております。このほかにも、教員の研修会の実施であったり、外部人材の配置というように県としてできることがないかということを検討しているところになります。
また、先ほどからお伝えしている、この課題を解決するための受け入れ施設への期待としましては、御覧のようなことが考えられるかなと思っております。例えば配慮を要する子供たちへの個別対応や緊急時の対応のために施設や人員を充実していただくこと、また、この人員の確保が難しいので、施設において人員確保をしたり、また、リーダー、指導補助員も、なかなか経験がない方もいらっしゃいますので、そういった方の人材育成、また、施設を探すということが難しくなっておりますので、施設間のネットワークを持っていただいて、少しでも学校にこういった施設があるんだというのを紹介していただけるようなネットワークを充実していただくこと、そして、学校の先生だけがプログラムを考えるのではなく、それを充実させるためのプログラムのコーディネートであったり、また、不安な子供や保護者のためのお試しの宿泊体験といったようなものをしていただけるとありがたいなと思っております。予算的には難しいこともあるかと思うんですけれども、子供たちがすばらしい体験ができるように施設等の充実を期待しているところであります。
最後になりますが、兵庫県ではこの37年間の自然学校の歴史の中で、多くの子供たちに感動体験を生んできました。兵庫県はこれからも魅力ある自然学校を推進していきたいと考えております。
私からの発表は以上になります。御清聴ありがとうございました。
【平野座長】 早瀬様、どうもありがとうございました。
それでは続いて、千葉市立白井中学校の笹本委員から、千葉市における体験学習への取組と課題について御発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【笹本委員】 お願いします。千葉市立白井中学校校長の笹本です。今回は、施設ユーザーからの視点として、本校並びに千葉市における体験学習への取組の課題について提案させていただきます。
まず、千葉市と本校の実態ですが、千葉市は平成4(1992)年に全国で12番目の政令市となり、現在は6つの行政区の中に166校、また、令和6年度の中学校の生徒数は2万2,054名となっています。また、本校は千葉市若葉区に位置し、昭和22年、白井村立白井中学校として創立した長い歴史のある自然豊かな学校となります。生徒数は、昭和60年の525名をピークに、少子化の影響を大きく受け、現在は89名の小規模校として活動しています。
このグラフは、千葉市の中学校の生徒数と2年生の生徒数、本校の生徒数になります。千葉市でも徐々に少子化の流れが来ており、令和に入ってから、市内で約1,000人の生徒が減少しております。
次に、千葉市の体験学習への取組ですが、体験学習推進会議を年2回開催しており、宿泊を伴った体験活動の充実を図っています。主なものとして、小学5年生での移動教室では、平成17年に開設した千葉市の施設である千葉市少年自然の家へ、また、6年生では、県内の施設にて農山村留学を行っていましたが、来年度より修学旅行と名称が変わり、県外の施設に行くようになります。中学校になり、2年生で自然教室を行っています。この後説明しますが、もともと群馬県内の通称高原千葉村で行っていましたが、施設を譲渡したため、令和元年度より国立青少年教育施設を使用することになりました。今年度は、国立赤城青少年交流の家に20校、国立那須甲子青少年自然の家に34校がお世話になっています。また、3年生の修学旅行では、学校ごとに方面が多岐にわたっており、東北から広島まで学校のそれぞれの目的に合わせた活動ができるようになっています。また、これ以外にも小・中特別支援学級の生徒が集まるげんきキャンプや、学校に足が向かなくなった生徒が通っている相談施設が行うジョイントキャンプなど、より多くの生徒にこの体験学習を学ぶ機会が与えられるように取り組んでおります。
先ほど述べましたが、千葉市の体験学習の先駆けとして、昭和48年に群馬県新治村に大きな施設を開設しました。通称高原千葉村といい、実は私も中学2年生のときに参加しており、当時は全中学校4泊5日のとても規模の大きい行事でした。朝昼晩と3食とも野外炊飯をした記憶が残っています。昭和53年に市民ロッジもオープンし、市民が使いやすい体制にもなりました。しかし、施設の老朽化と利用者の低迷、そして少子化による生徒数の減少と維持管理費の増大により、平成31年にみなかみ町へ譲渡されました。
こちらに当時の施設の状況が載せてあります。御覧ください。
高原千葉村の譲渡により、令和元年度から千葉市の方針として国立施設の利用が始まりました。移動距離や体験学習の内容をいろいろ考えた上、国立赤城青少年交流の家と国立那須甲子青少年自然の家で中学2年生の自然教室を行うようになりました。
令和元年度と4年度に生徒の意識調査がこのような形で行われました。質問項目は、文部科学省の効果測定についての評価項目を参考にしました。調査項目は25項目あったのですが、一部抜粋したものを御覧ください。8ページは、赤城を利用した生徒のアンケートになり、約4,400名が回答してくれました。もともと高いポイントであった1の「進んであいさつをすることができる」はもちろんのこと、3「自分の考えや思いを相手に伝えることができる」といった社会性や、5「新しいことに積極的に取り組んだり、失敗を恐れず挑戦したりすることができる」、10「人が嫌がる仕事などをすることができる」といった自己規制について0.3以上上がったことは体験学習の成果として挙げられます。 また、那須甲子を利用した生徒からも、5の自己規制とともに、16「友達の良さを発見することで人間関係が広められる」といった明朗性についても上昇が見られました。数字の大小はありますが、25項目全てで上昇が見られ、国立施設においての体験学習の成果を確認することができました。本当に施設の方々には感謝しております。
次に、令和元年度、4年度に引率した本校を含む学年主任への記述式の回答となります。10ページには良かった点、11ページには要望事項として抜粋いたしました。二重丸は、複数の意見があったものをまとめて載せたものになります。 まず、多くの意見として、設備がきれいで清潔感があり、おおむね使いやすかったとありました。日頃から施設職員のきめ細かな対応が感じ取れました。食事についても、千葉市にはなかったバイキング方式が生徒にはとても好評でした。また、体験活動のプログラムが豊富であり、講師の先生の指導力がとても高い、また、学校職員がサポートすることが少なくてとても助かったといった意見も多くありました。
次に、青い三角が複数回答を表しています。圧倒的に一番多かった要望が、食事や部屋割り、風呂の時間等の連絡が遅いということでした。学校現場では、2週間前にしおりを保護者に配布するように心掛けておりますので、決定の連絡が2週間前や1週間前になると、担当職員の負担が非常に大きくなります。また、野外炊飯についても、4人分、8人分での食材や調味料の配布だったため、奇数人数の班が多い学校はとても苦労したと書いてありました。単純に4人と8人は倍数なので、できれば3人分、4人分、5人分などに分かれていると、食材や調味料の配布がとてもしやすいようです。野外炊飯は秋に自然教室を実施している学校の多くが取り入れているので、是非改善をお願いできればと思っております。
次に、校長会でアンケートを行った結果ですが、まず、保護者からの自然教室における実際の徴収額になります。施設利用やバス代金の値上げで右肩上がりに増えているのが分かります。赤城と那須甲子の金額の差は、那須甲子では基本的にスキー実習を行っているため、高額となっています。ただ、令和6年度に関しては、赤城でも4校ほどスキー実習を取り入れたため、増加の幅が若干大きくなりました。また、那須甲子においても、令和5年度まで使用していたスキー場が廃業となり、遠方のスキー場への変更を余儀なくされ、バス代金の値上げが顕著となっています。また、那須甲子を利用している学校は、福島県の教育力復興事業に申し込んでいる学校もあり、一部補助を受けています。これは現地で使用するバス1台当たり5万円から6万円補助してくれるものであり、これにより、生徒1人当たり1,500円から2,000円程度負担減となっています。それを加味すると、実際の保護者負担は2万8,000円程度まで上がることが考えられます。
千葉市では、学校から現地までの往復バス代については千葉市が負担しております。この表は、令和元年度を100とした場合のバス単価の変化をまとめたものです。令和元年度から令和6年度までにバス単価が赤城で1.7倍、那須甲子で1.6倍となっています。特に令和5年度、6年度の値上がりが顕著であり、高騰している現状が御理解いただけると思います。このバス代金が公費負担でいつまで行われるか分かりませんが、受益者負担となると、保護者負担が非常に大きくなる可能性がありますので、懸念をしております。
14ページは、今年度までの赤城・那須甲子での体験プログラムの参加状況となります。これにはほぼ全ての学校で行っているキャンプファイアーとキャンドルファイアーは含んでおりません。まず、赤城ですが、体験プログラムが豊富で、各学校の評価も高く、特に登山と野外炊飯は人気があります。また、ウォークラリー等施設エリアで行う野外活動や、陶芸やかんな箸作りなどの物作りのプログラムも多くあります。反対に、那須甲子のプログラムは少なく、また、スキー実習を取り入れると1日半スキーになってしまうため、最終日の午前中を使って白川だるまの絵付けを取り入れる学校が多くなっています。内容もすばらしく、また、お土産になるということで参加校が増えています。どちらの施設でも講師の方の指導力は高く、引率職員の負担が少なくなっており、とても助かっています。
体験プログラムについての記述アンケートをまとめたものです。どうしてもトータルの金額で考えてしまうため、活動が制限されてしまう現実があります。秋で計画している学校は、登山と野外炊飯、キャンプファイアーを中心に計画を立てることが多く、その金額の合計を計算しながら、どの体験プログラムができるか検討することが多いようです。また、那須甲子では最終日の2~3時間しか時間が取れないので、人気の白川だるまの絵付けのように短時間で低料金のものがあるとうれしいという声が多かったです。
校長会アンケートより記述の部分を一部抜粋したものになります。義務教育最後の体験学習である修学旅行費が自然教室を上回る勢いで高騰しており、その対応に苦労している学校が多くあります。保護者負担を減らすために、自然教室では金額の高いスキーをやめて秋に変更したり、修学旅行では新幹線を使わずに学校から直接バスで移動したりと、2年、3年の費用をトータルで考える学校が増えています。体験学習の意義はとても高いと考えている校長は多くいるので、やめるとか安易なものに変更するとかではなく、これ以上保護者負担が増えないよう、国や行政の補助の充実が必要であるという意見も多くありました。また、今話題となっているマイナ保険証の利用についても、国の指針ではPDFで対応可能となっていますが、実際、実物でないと対応しない病院もあると聞いております。全ての病院についての調査は難しいですが、せめて各施設の手引に載っている国立施設周辺の病院についての状況の情報提供を望む意見もありました。
現場の視点となると、どうしても費用面の話が中心になってしまい、申し訳ありません。本校の2年生、3年生の体験学習の保護者負担の変化ですが、2年生はスキー実習に使うバス代の高騰で昨年度2万5,000円を超えてしまったため、今年度は体験プログラムをやめて体育館でのレクに変更しました。また、修学旅行に至っては、数年前までは2社、3社と入札に入ってくれていたのですが、コロナ間に旅行業者も人員整理をするなど教育関係から手を引いていく会社が増えております。残念ながら昨年度入札は0社となってしまったため、前年度の旅行会社に直接お願いした経緯があります。今後、旅行会社を通さず、学校独自でホテルや保険、バスや新幹線の手配をしなければならないことが予想されています。
最後に、まとめとして述べさせていただきます。体験学習の意義は高く、特に宿泊を伴う場合においては、生徒同士の絆や教師と生徒のつながりが一層強くなり、学習後の学校生活にプラスの影響を与えてくれています。生徒の事前・事後のアンケートの変容を見ても、自己規制や明朗性、社会性の項目で比較的高い成果を示しており、調査項目全てで上昇していました。国立の施設は、千葉市の施設に比べて設備がきれいで清潔感があり、整っているので、初めてでも使いやすいという声が多く、また、プログラムの内容も充実しておりました。バス代や施設利用の高騰は、2年生の自然教室だけでなく、3年生の修学旅行や小学校の体験学習でも顕著に表れています。もちろん利用者負担の原則は必要ですが、児童生徒のとても有意義な活動と認識していただき、国や行政の補助金を活用しながらより良い運営に期待し、安易な施設利用等の値上げは再検討していただきたいと考えております。また、働き方改革の観点からも、部屋割り等の確定を3週間前にはお願いし、教師側の負担の軽減に努めていただきたいと思います。最後に、多くの国立の施設でバリアフリー化されてはいるものの、一部の部屋が使用できなかったり、動線が不便だったりしておりますので、特別な配慮を要する生徒、特別支援やアレルギー等に対する一層の御配慮をお願いいたします。以上でございます。
【平野座長】 笹本委員、どうもありがとうございました。
それでは、今ありました青少年機構からの説明や、兵庫県、千葉市の取組の御発表に関しての御質問、また、御発表を踏まえた自由討議の時間とさせていただきたいと思います。冒頭、事務局より説明がありましたとおり、御発言の際には、タブレット画面下部にあるリアクションの項目から挙手のアイコンをクリックしてお知らせをいただければと思います。どの観点からでも結構です。本日の説明の研修支援事業に関連して、どうぞ御質問、御意見等いただきたいと思いますがいかがでしょうか。長野委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【長野委員】 栃木県教育委員会の長野でございます。委員の中で自治体に籍を置く者は、あとは私だけなものですから、自治体側の思いといった辺りも含めて少し考えを申し述べさせていただければと思います。
私は生涯学習課に籍を置いておりますので、学校教育というよりは、生涯学習、社会教育の分野を所管する立場でございます。栃木県におきましても、青少年教育施設を持っておりまして、栃木県内の小学生を中心に利用をしているという状況でございます。先ほど機構からも少し触れていただきましたが、栃木県ではこの4月に新築で定員200名の自然の家をオープンさせました。PFI方式で民間の力を借りてオープンさせたというところでございます。ただ、これは純粋な新築ではなくて、子供の数も減少しているというのを踏まえて、老朽化したものを統廃合して新しく造ったというところでございます。今までは、県が直営する施設、あるいは栃木県の外郭団体のような財団法人などの公益法人に指定管理で委託をしているという施設がございましたが、今回は、純粋に民間運営に委ねているところです。やはり運営の仕方が、民間の知恵も入れながらやっていただいているところなのですが、どうしても今までは教員がその施設の現場の指導主事とか社会教育主事とかいう立場で配置されて、教員が小学生たちの受入れに直接当たるという形が大半だったのですが、民間ですから、教員の方とは違う、民間でほかの公的な施設の運営経験のノウハウを持って利用者に相対するということで、新しくそこを利用していただく学校の先生方などの意見は、両方あるかなと聞いております。両方あるかなというのは、もちろん新しい施設なのできれいだし、学校の話もいろいろ聞いて、学校の希望に沿ったような運営のサポートしていただけるという話と、その一方で、やはり施設側の職員の専門的な積極的なプログラムへの関わりというんですかね、言い換えれば、利用当日の現場での指導がちょっと薄いという話です。プログラムメニューは用意しているけれども、やり方を説明された上で、実際には引率の先生が指導をするというのは、やはり教員の働き方改革とか、労働時間が長いとかいろいろな問題の中で、学校で事前の準備とか当日のサポートとかがなかなかやり切れない部分もあって、施設側にある意味、丸抱えとまでは言わないですけれども、専門的な力も利用して施設側でかなり深くやっていただけるという期待を持っていた学校からすれば、そこは残念だという意見も耳にしているところです。国立の施設はスタッフもそろっていて、そして今までも長い時間をかけていろいろな体験メニューとか、あるいは現在もいろいろな体験プログラムの幅広いメニューも用意されて、しかも専門スキルを持ったスタッフが大勢いるということからすると、国立の培ってきたノウハウは是非今後も大いに生かしていただいて、国立の施設に行けば、ある意味、学校はこういうことをやりたいという希望を伝えれば、それに沿ったプログラムで専門的なサポートが得られるというところに期待を大きく持っていただければ、集客にもつながっていくのではないかというふうに、学校向けの研修のところでは思ったりもします。一方で、新しく造った施設は民間運営で、県の方も割と柔らかくお願いした面もあって、体験活動を必ずしもやらなくても、宿泊中心の使い方もある程度オーケーにしたということで、企業研修なども結構多く御利用いただいています。そうすると、企業は、会社の社員に教えたいことを集団生活の場で人間関係もつくりながら教えるということなので、少なくとも体験活動をあまり欲してない、仲間づくりのためのスキルとして使いたいという、一部ではあると思いますが、利用者のニーズがある意味両方あるということは踏まえて、国立として、両方、二兎を追うのもつらいかもしれませんが、その辺りはよく考えた方がいいのかなと思ったところです。
【平野座長】 貴重な御意見ありがとうございました。
それでは続いて、野口委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【野口副座長】 研修支援事業の充実につきまして、機構の方からいろいろお話をいただいたのですが、ちょっとお聞きしたいことがありまして、質問させていただければと思います。研修支援の取組と工夫というところで、こういった事例があるとか、ああいった事例があるといったようなお話がありましたし、白井中学校の笹本委員からは、実際に直接指導をいただいているというようなお話もありましたが、実際のところ、学校利用の団体において、例えば幾つぐらい直接プログラムの指導をしているとか、そういったことがもし分かりましたら教えていただけるといいかなと思います。よろしくお願いいたします。
【平野座長】 機構から、いかがでしょうか。
【秋山教育事業部長】 では、私から。教育事業部長の秋山でございます。御質問ありがとうございました。
正直、今先生から御質問いただきました割合的なものは正確には把握しておりませんが、国立施設の方では、やはり危険度の高いものをまず優先的にというところがあります。例えば、海型の施設におけるカッター活動、カヤック、シュノーケル、こういったところは必ず全団体に指導が付くというところもございますし、先ほど長野先生からもおっしゃっていただいた部分というのは、例えば、野外炊事であったりキャンプファイアーといったところも、施設により、直接最初から最後まで指導というところもあれば、導入指導だけさせていただいて、あとは団体の方でというところもあったり、登山の方も指導があるところ、ないところといったようなところがございます。また、職員の直接指導以外にも、施設によって外部研修指導員といった方を配置させていただいて、職員でちょっと足りないようなところ、そういったところを外部研修指導員が、例えば仲間づくりといったプロジェクトアドベンチャーのようなところは必ず職員、外部研修指導が付いて指導しているというところもございます。概要としましてはこんなところでございます。もし足りなければまた御質問ください。
【平野座長】 ありがとうございます。野口委員、よろしいですか。
【野口副座長】 はい、取りあえず。
【平野座長】 ほかにいかがでしょうか。佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 説明ありがとうございました。兵庫県の早瀬様にお伺いをしたいと思います。本当に我が国で自治体がこれだけ力を入れている事例というのは非常に少ないのではないかなと思います。その中で、37年続けられているというのは本当に頭が下がる思いです。あと、課題として挙げられている、指導者バンクというようなことでありましたけれども、この指導をされる方々、施設側の方、それから教職員、それからリーダーといいますか指導者の方々、この質の部分についてよく聞かれるのは、やはりコロナ禍を経て経験・体験がすごく減っているということで、施設の方にいらっしゃる方々も、若い初めて入られるような方は経験が非常に少ないのではないかなと想像されるんですけれども、そういった質の面での状況をちょっと教えていただければと思います。以上です。
【平野座長】 早瀬様、いかがでしょうか。
【早瀬氏】 その部分については我々も非常に重要なところだと考えております。そこで、先ほど申し上げました県立の南但馬自然学校では指導者養成研修も行っているのですけれども、やはりそれだけでは全てに対応できないというのもあります。また、先ほどおっしゃいましたように、今回のコロナ禍で、リーダーさん、指導員の脈々と大学のゼミとかで受け継がれていた部分が途切れたところもありますので、本当にこれまで自然学校を経験したことがない方が指導補助員になったりすることもあります。
これは今後の我々の取組なんですけれども、バンクに登録をしておられる方に対しての何らか研修の場を設けられないかなと考えております。一方で、大学も様々なところですので、全てに参集型というのは難しいので、まずはオンラインでVODという形で何かそういった取組ができないかなと考えておるところであります。
【佐藤委員】 ありがとうございました。
【平野座長】 今、御意見というか回答で南但馬の方では研修事業をされているというお話がありましたが、その研修事業の対象はどんな方でしょうか。
【早瀬氏】 教員であったり一般の方も含めて募集をしているんですけれども、今年度も私もちょっとのぞかせていただいたんですけれども、やはり教員が主な割合になっているかなと思います。
【平野座長】 ありがとうございます。増田委員、お願いいたします。
【増田委員】 ありがとうございます。それぞれ御説明ありがとうございました。個人的には、兵庫県の自然学校の取組をずっと以前から伺っていたんですが、千葉県でもこういう取組をなさっているんだなということで、こちら、知ることができました。
それで、関連しての質問なんですが、笹本委員にお尋ねできたらと思っていることが一つと、あと、機構にもお尋ねができたらと思っていることがあります。まず、笹本委員にお尋ねなんですが、こちら、自然体験活動の取組をされる中で、先ほど兵庫県の事例の中で、課題として、先ほど佐藤委員からもお話がありました、いわゆる人材のリーダー募集とか、あるいはプログラム面のコーディネートを受入れ側に期待しているというお話がありました。千葉県の方でも自然体験活動されるときに、いわゆる大学生等のそういった自然体験活動を支えるリーダーたちも参画するような形で運営されているのかということと、併せて、プログラム面でのコーディネートということを機構の施設に対して期待する部分はあるのかということをお尋ねしたいというのが一つです。
二つ目の質問が、機構の皆さんへの質問です。つい先週、佐藤委員が代表理事をされている自然体験活動推進協議会のシンポジウムがありまして、そこの中で僕自身が担当させていただいたものの中に自然体験活動の調査がありまして、青木委員と一緒に取組をさせていただきました。その中で自然体験活動の実践団体等にインタビューをするという機会がありまして、そこの中でも機構にもインタビューさせていただきました。幾つかお話をする中で僕が印象に残っていることは、今も話が上がっていたんですが、やはり学校教育、教員の働き方改革に対してどう対応していくかというようなことだったかなと思っているんですが、そういったことに対してシンポジウムでも、そこに対してどう対応するかなということが自然体験活動としても課題なんじゃないかということが挙がっていました。その課題対応の一つの方法として、そういった対応を機構としてどのようにやっていかれているのか、あるいはやっていかれようとしているのかということとか、あとは民間の自然学校等との共同でそういうものに取り組める可能性もあるんじゃないかなとも思っていまして、学校等の受入れのときに、働き方改革の対応とまではいかずとも、例えば学校団体の受入れをする中で地域にある自然学校等との協働を通して、今回で言うところの研修支援に当たっている、なんていうような事例があったら教えていただきたいなと思いました。ちょっと長くなりましたが、以上です。
【平野座長】 それでは、最初の御質問に関連して、千葉市の事例として笹本委員、よろしくお願いいたします。
【笹本委員】 今お話のあった件ですが、千葉県ではなくて千葉市での対応になりますので、政令市代表として今日は話をさせてもらっている次第になります。本市では、先ほど述べましたように、大きな中学生・市民向けの施設が譲渡されてしまいましたので、先ほど話の中にありましたように、平成17年に千葉市の少年自然の家が設備されております。そちらが主に小学校主体、あと、青少年団体主体で使っているところになりますが、そちらでは、いろいろな指導者講習会や体験指導のそういうようなプログラムもたくさんございます。タイミングがちょうどぴったりだったのですが、明日年2回の体験学習推進会議の2回目が行われます。そこには教育委員会の全ての課長が集まる大きな会議になるのですが、そこで毎年この千葉市の少年自然の家のプログラム等の確認とか、今年度の体験学習成果等が、今日のこの会議のような形で明日行われる形になっておりますけれども、同じような形で市の中でもやっておるということが回答という形でお願いしたいと思います。
【平野座長】 ありがとうございます。増田委員、よろしいでしょうか。
【増田委員】 少し関連してなんですが、いわゆる自然体験活動の取組にリーダーというような立場に近いような人たちが参画をするというのはあるのでしょうか。
【笹本委員】 もちろんございますが、ただ、基本的に市の施設になりますので、たくさんの方がいるわけでもなく、やはり中心は教員がサポートしなければなかなか人数をうまく処理できないというところは事実でございます。
【増田委員】 分かりました。ありがとうございます。
【平野座長】 それでは、増田委員の2つ目の御質問ですが、青少年教育振興機構から御回答をよろしくお願いいたします。
【秋山教育事業部長】 ありがとうございます。では、秋山から御説明させていただきます。
まず、先生方のサポートの面ということでよろしかったでしょうか。
【増田委員】 そうですね。働き方改革に何かつながるような取組がありましたら。
【秋山教育支援部長】 機構では、先生方の働き方改革といったときに、やはり聞かせていただいている声としましては、大きく4つぐらいの支援があるかなと思っております。まず、事前の方でいいますと、例えば利用申込みであったり、それの手続きといったところがやはり大変という声がございますので、こういったところの簡便化は図っております。なるべくここら辺の簡素化をしていくということや、やはりコロナ禍といったところで、先生方の学校の経験というのも一旦途切れているというようなところも聞いておりますので、学校の中での引継ぎがないといったところの不安感の軽減といったところは事前打合せを丁寧にやらせていただきながら、施設利用であったり、プログラムの内容、安全管理、特に安全管理を先生方は気にされるということもございますので、こういったところのサポートについてしっかり説明をさせていただきます。ケースによっては、事前に学校の方に職員が出向いて、先生方の中に入ってそこらの辺の説明をさせていただくということをさせていただいている施設もございます。それから、当日の指導負担の軽減ということで、先ほど御説明させていただきました直接指導というところで、職員であったり、外部研修指導員の活用をお勧めしているというところがございます。それから、先ほどのノウハウが途切れているというところで、職員だけではなくて、学校の先生方も含めて効果的な集団宿泊活動をどういうふうにやっていくのかというところのお話などもさせていただく。つまり、ノウハウの伝授的なところもあろうかと思っていますので、施設に来ていただいたところだけではなくて、学校に帰ってどのようにつなげるかといった視点のときには、やはり学校の先生が中心になってくるというところもあろうかと思いますので、そういったところの伝授もさせていただくということがあろうかと思います。それから、利用していただいているときには、配慮をしなければいけない子供たちが増えてきているというところで、そういったところのサポートもございます。なかなか施設設備の部分のサポートというか改修がなかなかできない部分もあろうかと思うのですが、やはりそういったところも、施設の職員がまず、そういった子供たちがいるということをしっかり事前に学ぶということで、研修を内部でしながら、そういった配慮を要する子供たちにはどういうサポートが必要なのかといったところも職員が学んで、当日、学校の団体の対応に当たらせていただくかたちでサポートしてさせていただいているような状況でございます。
【増田委員】 例えば、地域の自然体験活動従事者、自然学校等との協働みたいな形で学校の支援とかを行っているのかということを伺いたかったのですが、先ほど外部指導員の方も関わっていらっしゃるというのがそういう中に入っているという理解でよろしいでしょうか。
【秋山教育事業部長】 はい、そうです。また、私たち青少年機構では、学生のボランティアの育成もしております。この学生は、やはりそういう子供たちに対応するときの子供たちの見取りであったり、接し方、それから、自然体験活動の安全管理の面での学びであったり、学校というところの状況の学びというのを得て、法人ボランティアとして登録をされている学生がおります。この法人ボランティアは、仕組みとしましては、研修支援、団体のサポートもできるということで進めておりますので、教育事業のサポートだけではなくて、施設によっては学校の指導に法人ボランティアが入って支援をさせていただいている施設もございますので、学校の先生方にとっては大変好評だという話も伺っております。こういった事例もございますという紹介でございました。以上でございます。
【増田委員】 ありがとうございます。
【平野座長】 それでは続いて、萩原委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【萩原委員】 御説明ありがとうございました。先ほどの指導者養成研修、これは非常に重要だと思っております。以前、10年間ほど続いた環境教育の指導者を養成するものに関わっていたことがあるのですが、それはやはり高額ということでなくなってしまったものがあります。やはり金額がどうしてもかかると思うのですが、指導者養成研修に関わる学生や先生方への費用負担はどうなっているのかということです。個人負担なのか、それとも、そういった支援があるのかということが1点です。
今やっているのかは確認ができていないですけれども、かつて宮城県庁職員だったときに「少年の船」に団長として参加したことがあります。自然学校に行って体験活動をするプログラムをやっていたのですが、環境教育を行っているNPOと連携ということもやっていたので、事例はあるのではないかと思います。
それから、資金について言うと、例えば文部科学省でトビタテ!留学JAPANをやっていますけれども、あれにもちょっと最初の頃関わっていましたが、企業がかなり資金的支援を行っているようなので、参考にできないかなと思いました。質問としては1点です。よろしくお願いします。
【平野座長】 萩原委員の最初の御質問ですが、例えば施設ボランティアの養成等の経費はどういうことになっているかという質問ですが、いかがでしょうか。ではまず、早瀬様、いかがでしょうか。
【早瀬氏】 費用負担につきましては、教員については出張という形で研修を受けに行っておりますので、教員については県の交通費として負担をしております。受講に際しては、詳細は把握していないのですけれども、恐らく消耗品とか本人に返るもの以外は基本的には無料で行っているのではないかなと考えております。以上です。
【平野座長】 では、国立青少年教育振興機構はいかがでしょうか。
【秋山教育事業部長】 では、秋山からお答えさせていただきます。法人ボランティアの育成でいいますと、こちらの方は、講習費は現在は頂いておりません。参加費という形で保険であったり食事代という形で経費的には大変低く抑えさせていただいております。ちなみに、法人ボランティアとしての登録であったり、資格に最終的に掛かるお金はございません。以上でございます。
【萩原委員】 ありがとうございました。
【平野座長】 それでは続いて、糸川委員、お願いいたします。
【糸川委員】 ありがとうございます。ボーイスカウトの糸川愛留と申します。御説明ありがとうございました。 機構の方にお尋ねしたいことが1点あります。今回の論点の一つとして、活動プログラムや教育プログラムについて触れられていたかと思います。資料の中に、登山、沢登り、キャンプファイアーなどの教育プログラムの概要が記載されていたと思いますが、これらのプログラムの利用者数は把握されているのでしょうか。また、利用された団体のアンケート結果など、具体的な情報の収集状況についても教えていただきたいです。お願いいたします。
【平野座長 】 糸川委員、今の御質問は、まずいろいろなプログラムの参加率のような数字のことと、プログラムごとの評価というような、そういう御質問でよろしいでしょうか。
【糸川委員】 はい、大まかにはその通りです。数字が出ているのかを知りたいと思っております。
【平野座長】 ありがとうございます。では、機構からいかがでしょうか。
【秋山教育事業部長】 秋山からお答えさせていただきます。ありがとうございました。活動ごとの体験をしていただいた方のデータはこちらで全て把握をしております。申し訳ございません、今、手元ですぐ何が何人というのは出ないのですけれども、こちらはシステムで把握をさせていただいております。それから、今期中期目標の中にも、こちら、活動していただいた上での青少年団体からの活動プログラムの有効度、活動していただいてそれがねらいに沿って有効であったかというところを数値的には押さえさせていただいておりまして、これが目標としましては80%以上を確保するというところで、各施設ともプログラム幾つかについてこちらの有効度については入力をしていただいておりますので、こちらの把握もさせていただいております。ちなみに全施設の有効度としましては、目標値80%以上に対しまして、おおむね90%程度を確保しているような状況でございます。以上です。
【平野座長】 糸川委員、よろしいでしょうか。
【糸川委員】 ありがとうございます。校長会や学年主任などのアンケートについては、笹本先生のお話にあったかと思いますが、そういった内容も把握されていらっしゃるのでしょうか。
【平野座長】 今の御質問は、国立青少年教育振興機構として、利用する学校の御意見とかを把握されているかどうかという質問でよろしいでしょうか。
【糸川委員】 左様でございます。
【平野座長】 お願いいたします。
【秋山教育事業部長】 ありがとうございます。利用していただく学校の方全てから、また学校だけではなくて団体の方から、研修制度の利用に関するアンケートを頂いておりまして、こちらで利用いただいうえでの満足度であったり、お気付きの点であったり、来年度は使われますかというようなことも含めて声を集めさせていただいております。 それから、施設によってはということになるんですけれども、やはり利用していただいたときの、学校でいうと管理職の方、校長先生や教頭先生といった方も来られますので、こういった方に直接、施設の所長であったりというところで実際その現場で声を聞くというようなこともしていただいている施設もございます。以上でございます。
【糸川委員】 ありがとうございます。立て続けの質問で申し訳ありません。そこである程度のニーズは把握できているのかと思うのですが、現状、利用者が減っている中で、もちろんコロナの影響もあるかと思いますが、教育プログラムへの参加者数が増えていない点については、やはりニーズが合っていないからこそなのかなと、今すごく思っています。そこまで情報収集をされているのであれば、そこから一歩先に進むことができるのではないかなと思っていて、今こうやって施設の利用料金などをオリンピックセンターも含め、上げていらっしゃる中で、ニーズを集めた後に何らかの改善や行動は起こされているのでしょうか。それとも、会議の中で話し合いが続いている状況なのでしょうか。
【秋山教育事業部長】 ありがとうございます。当然集めさせていただいた団体については、利用していただいている団体の声ということになりますけれども、こういったところの声をやはり全国全施設分を集めさせていただいてこちらの機構の方で分析をして、横展開、全施設にまたこれをフィードバックして好事例を展開するということをさせていただいております。それから、来ていただいていないところは、この声というのが、アンケートというのは当然ないですので、好事例といったものを基に、各施設で学校で使っていただいたプログラムをやっていただいてこういう声があるといったことを広報資料として作って、使っていただいていないところ、例えば校長会であったり、使っていただいている学校がある周辺の地域に広報していくということをさせていただいております。ただ、これが全ての施設で、あらゆる地域に展開できているかというと、そこもちょっと足りないところもあろうかと思いますので、こういったところをこれからも強化していくところが必要かなとは思っております。
【糸川委員】 ありがとうございます。私の確認不足もあるかもしれませんが、今回の資料から読み取れなかった部分が多かったため、質問させていただきました。教員の負担も含めてそこのニーズが分かれば、プログラムはどのようなものが有効であるのかや、既存のプログラムの改善点などもすぐに把握しやすくなるのではないかと考えていて、そこが結果的に、利用者の増加につながり、さらに収入アップにつながれば、良いサイクルを生み出せるのではないかなと感じています。
またもう1点、教員の皆さんの負担を考えるのはもちろんだと思うのですが、その裏で施設側の負担もあるのではないかなと思っています。先日、夜須高原に視察に行かせていただいたときに、かなり少人数の職員の皆様で頑張っていらっしゃるというお話を伺ったので、施設側とのニーズの合致というところも重要ではないかと思いました。以上です。
【平野座長】 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 今日は説明ありがとうございました。施設のリニューアルも少しずつ進展しており、プログラムをかなり緻密にうまく運用されているなということなのですが、母数といいますか、それを受け取るマーケットがかなり縮減しているなという、そういうイメージがありました。新たなマーケットの拡大といいますか、これは多分機構に聞く話だと思うのですが、外国人のターゲットというのはどうなのでしょうか。例えば台湾の中学校・高校の修学旅行とかですね。さっき見ていると雲海なんかが出ていましたけれども、これはなかなか海外では見られない現象なので、非常に興味深いそういう自然現象もあるし、インバウンドといいますか、海外のそういう教育研修プログラムの展開みたいなものは、ちょっとハードルは上がると思うのですが、今後どういうふうにお考えでしょうか。
【平野座長】 国立青少年教育機構から回答よろしくお願いいたします。
【秋山教育事業部長】 ありがとうございます。インバウンドの対応もやはり今後やっていかなければいけないのかなと思っております。今おっしゃっていただいた修学旅行という部分は、確かにあまり積極的に取り組んでいるかというとそうではないところなのかなと思っています。この部分は、今、施設によっては、観光協会と一緒に取り組んで教育旅行的な部分での呼び込みも進めているところもございます。例えば先ほどもちょっとお話が出たと思うのですが、農山漁村と組んで、そういった体験とセットで施設を利用していただくというようなところも実際に国内の学校の事例があるので、そういった事例をうまく観光協会の方と取り組みながら外国の学校の呼び込みというのは考えられるかなと思っております。こちらもまた参考にさせていただきながら、取り組みたいと思っております。ありがとうございます。
【平野座長】 それでよろしいでしょうか。
【古川理事長】 ちょっと追加で。
【平野座長】 古川理事長、お願いいたします。
【古川理事長】 今、本当に教育旅行ということで、中学生をターゲットに、各旅行会社も探究とかそういうことをテーマにしながらやっていらっしゃいます。我々の施設も是非御利用いただけないかというような話で、旅行会社もそこで我々もWin-Winになれるようにするにはどういうことができるだろうか、何がそれをできなくしているのか、そういったことも今話し合うということで、インバウンドもそうなんですけれども、私たちの施設に来ていただくところまでがまた我々だけではできない部分もありますので、そこはいろいろ拡大をしたいということで、旅行会社とも話を今始めているところでございます。
【平野座長】 ありがとうございます。原田委員、よろしいでしょうか。
【原田委員】 はい。
【平野座長】 それでは続いて、植田委員、お願いいたします。
【植田委員】 私どもが今ここで伺っていることというのは、言ってみれば過去のことであって、この過去で行われたことが、将来、今後10年、20年同じことをもしするとすれば、基本的には与えられている施設の状態が過去のものと同じものでなければならないということになるわけですね。テーマとしては今日は地方教育施設ということのお話ですけれども、ここで言われている評価されたことや実際行われたことが将来的に行われていくためには、この老朽化した施設に対して一体どれだけの予算を積み上げれば今のレベルで果たして維持できるかという、そういう政策というか、この目的の実現と予算というのがコインの裏表になっているんですね。ですから、それを切り離した議論というのは、我々のここでの議論としては注意しなければいけないかなと思っています。機構からのスライドの20ページで、これは質問になるのですけれども、地方教育施設における研修支援の取組と工夫ということで、2番目に効率化、経費削減というのが1、2、3と出ているんですね。これを見させていただくと、基本的には、効率化ということは分かるのですけれども、経費節減に関しては、読ませていただくと、要するに、契約をしないように、極端に言うと、(2)の③がありますけれども、業務委託契約の内製化というようなことで、要するに、経費節減というものが、結果的には、先ほどもお話がありましたが、職員のいわゆる勤務状況、雇用の内容を非常に悪化させるような内容にも、読み方としては読めるんですね。また、あるいは、施設運営の見直しによる経費削減で、利用状況に応じた一時休館の実施。これは地方に対してこれはお勧めされているわけですね。これは休館すると、どなたも御存じのように、その施設は一気に老朽化しますから、再開するときには相当な費用が必要になってくるという、やろうとしていることと実際の施設との関係がここもやはり遊離してしまっているかなということなんですね。私の機構への質問は、地方に求められているこの効率化、経費削減というのは、国の教育施設についても同様なことを求められている、国の施設に求められているから地方にも求められている、そういうお考えでこれは作られているのでしょうか。あるいは、地方と国の教育施設の効率化、経費節減の内容は違うのでしょうか。そこを教えていただきたいと思います。
【平野座長】 長谷川理事、お願いします。
【長谷川理事】 長谷川です。すみません、確認なのですけれども、国の施設と地方施設という違いがちょっと分からなかったのですが。
【植田委員】 ここで、効率化、経費節減ということで(1)、(2)、(3)とありますよね。これは機構のお考えとして誰に対して言っているのですか。
【長谷川理事】 機構自身の持っている地方教育施設です。今回の議論の対象になっている施設において、こういう取組をしてコスト削減を図っているという意味でございます。
【植田委員】 分かりました。そういう意味ですね。ごめんなさい。地方教育施設という言葉があったもので少し勘違いしていたのですけれども、ただ、私が申し上げたいことは、ここに書かれていること、今、老朽化した施設であって、その施設に対して職員の方が大変御負担のある仕事をされている中で、さらに契約内容の見直しでコスト削減という形で、あるいは一時休館、こういう考え方が本当に将来の我々が目的としているいわゆる内容を実現できる施設としてそこで存在し得るのかというのは非常に私は懸念するところなんですね。
【平野座長】 伊藤理事、お願いいたします。
【伊藤理事】 財務担当理事の伊藤です。御指摘の契約の見直しですけれども、現状、施設の稼働率と照らして考えてみると、トゥーマッチな契約になっています。稼働率100%を前提とした数量の調達という形になっているものがあって、例えば寝具類契約の使用量の適正化とありますけれども、稼働率が必ずしも高くなっていない状況の中で、100%を前提とした契約をやっているものですから、これを適正な規模に縮小するということです。だから、使っていない部分の契約を見直すということですので、決して必要以上に削減をしているわけではありません。清掃も同じで、稼働率との関係で、1年を通してあまり使用されてないところについてはそこの部分の清掃の契約を見直そうというものであります。また、内製化で非常勤職員の業務化と書いてありますけれども、これは昨今の物価高、人件費の高騰で、清掃業務について調達方式でやると実は金額が上がってしまうというような契約になってしまう可能性がある一方で、清掃というのは必ずしも専門的な知識がいる業務というわけではない中で、これは実は非常勤職員として人を雇って実施した場合の方が安く済むという実例がございます。そういう実例があるものですから、決して職員に対して更なる負担を求めているというわけではなくて、よりどちらの方が効率的、質を落とさない一方で安価にできるのかという比較衡量した上で実施をしておるものでございます。決して運営上必要となっているものについて更に削減するとか、職員に対して更なる負担を求めるとか、そのような契約内容にはなっていないということであります。
また、一時休館を今回試行的に実施しますけれども、一定の期間丸々全部休館するというわけではなくて、利用者が一定数以上確保できる見込みのところにつきましては、利用調整をやった上で開館するという取扱いもやっておりますので、施設を丸々休館して、特段の維持管理も行わずに施設を老朽化とか悪くしてしまうというような取組は決して行っておりませんので、その点については御安心いただければと思っています。あくまでもトゥーマッチの部分を効率化しているというところで御理解をいただければと思っております。
【植田委員】 ありがとうございます。
【平野座長】 今の議論は非常に重要な観点でもありますので、今後、論点2-1や論点2-2のところでもまた皆様の御意見を伺っていきたいと思います。ありがとうございました。続いて、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】 ありがとうございます。本日はそれぞれの団体から御説明いただき、ありがとうございました。特に、兵庫県の自然学校の事例については学校の体験活動の推進において先進的な取組であり、また、モデル的な取組と思っています。その中で、先ほど早瀬様から御説明いただいた中でもう少し聞きたいと思った点が、資料の15ページになるのですが、受入れ施設のところです。兵庫県では兵庫県下の様々な施設で自然学校を受け入れてプログラムをされているというところですが、私が説明の聞き方を間違えていたら申し訳ないのですが、民営等のところの学校の数が多い、こっちの方に最近流れているところもあるというお話でしたが、その際にプログラムの用意があるということを御説明されていたと思います。やはり民営でやっているところは自分のところに是非来てもらいたいので様々な工夫をされていると思うのですが、そういったところで何か工夫されている点とか、学校にとってこういうところがいいからこっちを選んでいるところもあるのではないかみたいなことがあれば教えていただければと思い、質問させていただきました。よろしくお願いします。
【平野座長】 早瀬様、よろしくお願いします。
【早瀬氏】 ありがとうございます。恐らく県立施設とかでもプログラムはあるのですけれども、一つは民営施設で先生方が助かっていると声を聞くのは、食事の準備であったり、そういった生活に関すること、お茶の準備であったりとかいうのは、私も引率していたことがあるのですけれども、お茶一つとっても、やかんを給湯室に持っていって大量に作って、それをまた子供たちの水筒に入れてあげてといったようなこともやったりしますので、そういった部分の負担は軽いかなと思います。また、プログラム化されていますので、リーダーや指導員をたくさん採らなくても、そこの施設の方がプログラムを進めてくださるので、先生方は指導補助というふうな役割になることも多々あります。プログラムによっては、施設によっては先生方が中心になって進めるというところもありますので、その辺りのところが助かっている部分もありますし、一方で先生方自身が、やはり子供たちにこういう力を付けるんだという意味であれば、別の人にお願いしっ放しというのは今後の課題かなと考えているところです 以上になります。
【青木委員】 ありがとうございます。直接指導をすごく工夫されてやっているということであれば、これから国立施設が直接指導を職員がやっていくとなれば、勤務のこととかもいろいろ配慮しなければいけないこともあろうかと思うので、そういったところの参考事例が今後出てくればいいなと思ったところです。ありがとうございます。
【平野座長】 それでは続いて、帆足委員、お願いいたします。
【帆足委員】 本日は御説明ありがとうございました。兵庫県と千葉市の取組をお聞きして、自然体験のニーズもまだまだありますし、青少年機構、国立の施設のスタッフの皆さんの力といいますか、プロとしての力というのも民間にまだまだ引けをとらないところもあるというようなことは分かりました。ただ、先ほど糸川さんもおっしゃっていましたけれども、先生方の負担をいかに減らすかというところが、恐らくこれから肝になっていくと思うので、やはりニーズをもっときちんと把握して、それに対するプログラムを提供していけば、少子化とはいえ、まだ利用者を増やせる余地はあるのかなというちょっとした期待はありました。
それで質問ですが、今後どうするかというところで、先ほどインバウンドとか海外の教育施設の誘致みたいな話もあったのですが、冒頭に国の施設としてどうあるべきかというお話が、文科省の高木さんから最初にあったと思います。国の施設としてインバウンドとか海外の教育施設を受け入れるということは、今後のこの議論の中であり得る話なのでしょうか。それとも、それはなしでしょうか。そこだけはっきりお聞かせいただきたいなと思いました。
【平野座長】 いかがでしょうか。
【小沢青少年教室室長】 では、私から。
【平野座長】 小沢室長、お願いいたします。
【小沢青少年教育室長】 ありがとうございます。基本的には、これは法律で青少年の教育のためということになっておりますけれども、一方で青少年教育の利用に供さないときには一般にも利用を供することができるといったところもございます。ですので、こちらもやはりなかなか経営的に厳しく、いろいろなものの物価も値上がりしている中で、どうやって持続可能性ある運営をしていくかというのが本当にこの検討会の大きなテーマだと思うのですけれども、そういった中でいろいろな、インバウンドや一般企業の研修なども取り入れて、かつその財源を青少年教育の支援に充てていくというようなサイクルが出来ていくと望ましいのかなとは思います。ですので、必ずしもそういったところについて全く考えていないわけではないので、そこはバランスと考え方の話かなということで、まさしくこの検討会で御議論いただきたいなと思っております。以上でございます。
【帆足委員】 分かりました。ありがとうございました。
【平野座長】 ほかいかがでしょうか。植田委員、お願いいたします。
【植田委員】 今のお話なんですけれども、我々の話す土台として、今のインバウンドといった場合に、この間伺った施設は、例えばトイレの状態がとても外国の方に使っていただけるような状況ではないわけですし、時間の流れの中で老朽化したそれを学校側が使っている、いろいろな自治体が使っている、そのときには見えない、見てみなくてもいい部分っていっぱいあると思うんです。でも、現実それがお金を払って使おうといったときに、何でそこに行かなくければいけないのって、1回使ったら二度と行かない、あるいは悪評が立つ。例えば海外から来ていただいてですね。ですから、どのように活用するかというところの基本的な考え方、あるいは提案なり企画というのは、現実の施設の状態というのを踏まえて話をしないと多分空砲に終わってしまうという可能性があるので。たまたま私もこの間施設に行かせていただいて、たった37年でここまで劣化している。しかも、漏水なんかは手に負えない状態。それであれば、とてもそういう外国の方に来ていただける環境ではない。かつ、御案内のとおり、子供が、トイレが使えないからといって、二度とその学校は使わないという話も出てきているわけですよね。ですから、その構造の絡みをやっぱり理解しておかないと。さらに、そこは先ほど申し上げたコインの表と裏で、何かするんだったら予算が必要なので。節減じゃなくて、新たな予算が必要なんです。ということはやはり現実あるかなと思います。
【平野座長】 ほぼお約束の時間になりましたので、非常にたくさんの御意見を本日はありがとうございました。まだ委員の皆様方、言い足りないものもあるかもしれませんが、今後、各論の議論をしていく中でまた改めて御発言をいただければと思います。
それでは、これにて本日予定していました議題を終了させていただきます。スムーズな進行に御協力いただきまして、ありがとうございました。
最後に、今後の検討会の進め方について事務局から説明を申し上げます。
【葛城青少年教育室長補佐】 本日はありがとうございました。資料5として、1月以降の日程をお示しさせていただいております。次回第4回は2月4日火曜日16時から18時の予定となっております。追って、第6回目以降の日程についても調整させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、本日の議事録については、後日委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。以上です。
【平野座長】 それでは、以上をもちまして第3回の検討会を終了させていただきます。本日はありがとうございました。
総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室