学校安全の推進に関する有識者会議(令和7年度)第1回 議事録

1.日時

令和7年7月7日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

対面・WEB会議の併用

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 令和7年度学校安全関係予算の概要説明について
  3. 今年度の検討事項について

4.議事録

【岩倉室長】  ただいまから令和7年度第1回学校安全の推進に関する有識者会議を開催いたします。
 本日は、多忙の中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室長の岩倉と申します。座長を決定するまでの間、進行役を務めさせていただきます。
 本会議につきましては、学校安全に係る基本的な方向性と具体的な方策を示す第3次学校安全の推進に関する計画に基づき、安全で安心な学校環境の整備、組織的な取組等、一層充実していくため、学校安全の推進の在り方について検討を行うものでございます。
 なお、会議につきましては、対面とウェブ会議のハイブリッド方式で開催させていただきます。
 開会に当たりまして、文部科学省総合教育局の茂里局長より一言御挨拶を申し上げます。
【茂里局長】  本日は、御多忙のところ、第7年度第1回会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。皆様方には、昨年度に引き続きまして、本会議の委員をお引き受けいただきましたこと、改めてこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。
 また、新たに国分寺市立第十小学校の坂井由利子校長先生、順天中学校・高等学校、長塚篤夫校長先生、桃山学院大学の村上佳司教授に各委員に加わっていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 今さら申し上げるまでもございませんが、文科省では令和4年3月に閣議決定されました第3次学校安全の推進に関する計画を着実に推進するために、令和4年度より本会議を設置し、皆様方から御意見をいただきながら具体的な施策を展開してまいったところでございます。
 令和5年度には学校事故対応に関する指針の改訂や、学校における安全点検要領を作成するとともに、昨年、令和6年度でございますが、学校安全の取組を組織として、実効的かつ持続的に推進するため、様々な提言を盛り込んだ審議のまとめを取りまとめていただいたところでございます。
 今年度もこの会議には学校安全に関する恒常的なアドバイザリーボードとして、いろいろな御意見をいただき、また広く御議論をいただければと思ってございます。
 実は先般、通常国会が閉会いたしましたが、国会の中では様々な子供たちの学校安全のための議論がなされました。文科省に対する宿題もたくさんいただいたところでございます。
 また、今年に入ってから様々な、これまでもあまり想定もしにくかったような事件や事故が多発してございます。そういった中で、ぜひ皆様方の御知見を賜りながら、文科省としても、必要な予算、必要な制度の改善、こういったことに取り組んでまいりたいと思います。
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【岩倉室長】  茂里局長、ありがとうございました。それでは、事務局から本日の配付資料の確認と出席委員の紹介をお願いいたします。
【合田補佐】  配付資料でございますけれども、議事次第に書いてございますように、資料1-1から1-2、資料2-1、2-2、資料3-1から資料3-3、参考資料1がございます。もし過不足等がございましたら、挙手機能等を使ってお知らせいただければと思います。
 また、出席委員は委員の名簿のとおりでございますけれども、本日、欠席となってございますのは、大木委員と神内委員でございます。また、桜井委員と𠮷門委員におかれましては対面参加、その他の委員におかれましてはオンライン参加となってございます。そのほか、村上委員におかれましては、本日所用により途中からの参加となってございます。
 以上でございます。
【岩倉室長】  配付資料等に不備はございませんでしょうか。
 何かございましたら、Zoomの挙手機能で事務局までお知らせをお願いいたします。
 ここで、今年度、委員に加わっていただきました3名の委員から一言ずつ御挨拶をいただきたいと思います。
 坂井委員、長塚委員の順にお願いしたいと思います。なお、村上委員につきましては、16時30分頃の参加後に御挨拶をいただく予定でございます。
 それでは、坂井委員から御挨拶をお願いいたします。
【坂井委員】  はじめまして、坂井でございます。国分寺市立第十小学校の校長をしております。学校現場で安全のことに関して、皆様の御意見を伺いながら、実際に現場でどういうふうにしていくか、あるいはどういうふうにしたら普及できるかといった視点での参加ができたらと思っております。勉強させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【岩倉室長】  それでは、長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  長塚でございます。日本私立中学高等学校連合会を通じまして、今回こちらの委員に就かせていただきました。ご案内の通り私立の小学校数は大変少なく、中学校も1割未満です。高校は3分の1強、私学の生徒がおりますが、全体として公立学校と違った状況もございますので、いろいろと私学の立場から意見を述べさせていただくのがいいのかなと思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【岩倉室長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の1つ目の議事は、座長の選任等についてで、ございます。今後の議事の進行のための座長を決定したいと考えております。
 事務局といたしましては、これまでも中央教育審議会の学校安全部会をはじめ、様々な会議におきまして、座長の御経験のある渡邉正樹委員に昨年度に引き続きまして本会議の座長をお願いしたいと存じますが、皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【岩倉室長】  ありがとうございました。
 それでは、今後の議事につきましては、渡邉座長にお願いできればと存じます。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】  ただいま座長を拝命いたしました渡邉でございます。
 それでは、座長就任に当たり、私から一言御挨拶申し上げます。
 令和4年3月に第3次学校安全の推進に関する計画が閣議決定されてから令和6年度まで、有識者会議では、学校事故対応に関する指針の改訂、安全点検要領の作成、そして学校安全を推進するための組織体制の検討を進めてまいりました。
 また、この会議と並行して、実践的な防災教育の手引作成や現代的課題である性犯罪・性暴力対策の1つとして、生命(いのち)の安全教育に関する取組も進められてきました。
 第3次計画もあと2年足らずとなりましたが、計画の中に示された方策によって、安全・安心な学校づくり、社会づくりを進めていくため、今年度も本会議で引き続き学校安全の課題について取り組みたいと思います。
 昨年度に引き続き御参加いただく皆様に加えて、本年度から新たに加わっていただく委員の皆さんもいらっしゃいます。皆さん、学校安全の分野において優れた知見をお持ちの方たちであり、大変心強く思っております。皆さんの英知を結集し、今後の学校安全の充実のために、闊達な御意見、議論が行われることを期待して私の挨拶と代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、議事の1を続けます。本会議の運営に当たって公開等のルールを会議として定めておく必要がございます。これについて資料1-2を用意いたしました。内容について事務局から御説明をお願いいたします。
【岩倉室長】  事務局でございます。資料1-2を御覧いただければと思います。学校安全の推進に関する有識者会議の運営についてということでございまして、これは当該有識者会議を適切かつ円滑に進めるために、以下の事項を当該有識者会議においてお諮りをして定めるものとなります。
 まず、第一条の議事に関することでございますが、座長は、有識者会議の議長となり、議事を運営すること。また、座長に事故がある場合には、有識者会議の委員の中から座長があらかじめ指名をする者が、その職務代理をすることを規定してございます。
 次に、第二条でございますが、ワーキンググループに関することということで、ワーキンググループの委員及び主査は、座長が指名すること、また、主査は、ワーキンググループの会議の議長となり、議事を運営すること、主査に事故がある場合には、当該ワーキンググループの委員の中から主査があらかじめ指名する者が、その職務を代行すること、座長は、ワーキンググループの会議に参加することができることなどを規定してございます。
 次に、三条でございます。会議の公開に関することでございますが、有識者会議では原則として公開することといたしまして、ただし、児童生徒の事故事案等については、被害者等の個人情報の保護の必要があるという場合には、座長が判断し、非公開とすることができることを規定してございます。
 また、ワーキンググループの会議につきまして、構成員の自由な意見交換の確保ですとか、児童生徒の事故事案に係る非公表の情報を含めた検討を行う必要がありますので、非公開とし、検討状況を有識者会議で報告することを規定してございます。
 次に、第四条でございますが、会議の傍聴に関することでございます。有識者会議の傍聴につきましては、あらかじめ当省の安全教育推進室の登録を受けること、登録を受けた者が撮影や登録を行う場合には、座長の許可を受けること、それから座長及び事務局の指示に従っていただくことなどについて規定をしてございます。
 裏面でございますけれども、第五条の会議資料の公開でございますが、会議資料は、原則として公開をしまして、ただし、座長が非公表と判断した場合には、全部または一部を非公開とすることができることを規定してございます。
 第六条の議事録概要の公開についてでございますけれども、これにつきましては、先ほどの第五条の会議資料と同様の取扱いを規定してございます。
 最後に第七条の雑則でございますが、上記に定めるもののほか、有識者会議の議事の手続その他有識者会議の運営に関し必要な事項につきましては、座長が有識者会議に諮って定めることが規定されてございます。
 資料の説明は以上でございます。御審議をお願いいたします。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 ただいま資料1-2の本会議の運営につきまして決定したいと思いますけど、皆様、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【渡邉座長】  ありがとうございます。では、原案のとおり決定いたします。
 今後はこのルールにのっとり会議を運営していただくということにいたします。
 なお、資料1-2の第一条の2においてあらかじめ代理を定めるとしておりますが、座長の代理については藤田委員にお願いしたいと思います。藤田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、議事の2に参ります。議事の2は、令和7年度の本有識者会議の検討スケジュール及び学校安全関係予算の概要説明です。
 それでは、議事の2について事務局から御説明をお願いいたします。
【合田補佐】  事務局でございます。議事の2について御説明申し上げます。
 まず、資料2-1を御覧ください。今年度の本有識者会議の全体的な検討スケジュールについてでございます。
 今年度は、今回の第1回の後、10月頃に第2回、12月頃に第3回、年明け2月頃に第4回を予定しております。
 また、主なテーマについては、第3次学校安全の推進に関する計画に記載されている学校事故予防に向けたデータの活用と施策の検証、危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策、学校における安全教育の取組のさらなる充実としまして、それぞれ当課の調査研究事業と絡めながら検討を進めたいと考えております。
 より詳細につきましては、また議事の3で御説明いたしますけれども、既に検討の材料が一定そろっておりますデータの活用に関するところにつきましては、第2回、第3回を中心に協議、また、これから先進事例等の情報収集から進めていきます危機管理マニュアルと安全教育の関係につきましては、第2回については、進捗の報告、第3回と第4回で協議という形としたいと考えております。
 そのほか、こちら記載はしてございませんけれども、第3次計画の進捗状況に関する令和6年度分のフォローアップにつきましては、例年と同様、第2回または第3回のいずれかの辺りで議題として入れ込みたいと考えております。
 こちらにつきましては、来年度予定されております第4次計画の検討における論点整理に向けた参考にもしていくものと考えております。
 資料の2-1、全体スケジュールの説明は以上でございます。
 続きまして、資料2-2を御確認いただければと思います。続けまして、今年度の学校安全の関係予算の概要について一通り御説明をいたします。
 まず、令和7年度学校安全推進事業のポンチ絵でございますけれども、当課が実施いたします関連事業がそれぞれぶら下がる形でパッケージとして整理されているもので、計約3億円を計上してございます。
 具体的には、1.学校安全教室の推進、2.学校安全総合支援事業、3.学校安全の推進に関する調査研究の3つの取組によって構成されております。
 最後の3つ目の調査研究につきましては、本日の議事3におきまして、事業の進め方を中心に改めて御説明をして、委員の皆様から御意見をいただければと思いますので、この場では学校安全の教室と総合支援事業について詳しく御説明をさせていただきます。
 なお、登下校の見守り関係の事業につきましては、予算の整理上、本事業のポンチ絵にぶら下がる形ではなくて、別の事業にぶら下がる形になっておりますことから、本ポンチ絵上は記載がございませんけれども、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業において約2.4億円、また、令和6年度補正予算とありますが、通学時における安全対策の強化の推進において約1億円を計上しているところでございまして、後ほど個別のポンチ絵に基づきまして詳細を説明します。
 続いて個別の事業の説明に入ります。まず、学校安全教室の推進でございます。こちらは教職員等を対象に各都道府県等が実施する学校安全の様々な研修の実施を支援するものでございます。
 具体的には、教職員に対して、交通安全教室、防犯教室、防災教室のほか、心肺蘇生法講習会、学校事故対応に関する講習会などを実施し、教職員の指導力向上を通じて、児童生徒等の事故の減少を目指すものでございます。
 続いて、学校安全総合支援事業について御説明します。こちらはセーフティプロモーションスクールの考え方を取り入れた学校安全の推進を全国的に進めていくことを目指しまして、大きく3つの項目に分かれて事業を推進しています。
 まず、資料真ん中左、学校安全推進体制の構築につきましては、都道府県と教育委員会の委託事業として、各地域で計画に基づくいわゆるモデル的な取組を実施していただくとともに、その事例、成果等を共有し、地域全体での学校安全の底上げと裾野の拡大を目指すものでございます。
 次に、資料真ん中の右、学校安全に係る専門性向上支援事業でございます。こちらは民間企業への委託事業として、全ての学校種を対象に、学校安全に係る研修の実施、専門家の派遣など様々な支援を行い、全国の学校安全の推進を図るものでございます。
 具体的には、特に専門性を必要とする危機管理マニュアルの見直しや地域と連携した学校安全体制の構築、事故防止のための安全点検の高度化などを推進するために、専門のアドバイザー派遣や専門的なセミナー、研修等を実施していく予定でございます。
 最後、3項目目、資料下の学校安全のモデル的取組に対する実態調査では、セーフティプロモーションスクールの認証校などや、これまでの総合支援事業のモデル校などの取組から優良事例を抽出した上で、専門家等の意見もいただきながら、共通点、成果、課題などを整理・分析していくことを目指すというものでございまして、本年度、この有識者会議で議論する安全教育のテーマとも絡めながら事業を進めていく予定のものでございます。
 議事3におきましてまた詳細を御説明したいと思います。
 続いて、次のポンチ絵、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業でございます。本事業は、地域の方々と連携を図りながら、登下校等の見守りを実施し、交通安全、防犯の観点から児童生徒等を守っていくための支援を行っております。
 具体的には、スクールガード・リーダーの謝金、防犯に必要な装備品の配備、スクールガードの育成講習会などについて、各自治体へ補助を行っております。これにより、見守りの目を増やすとともに、スクールガード等による見守りの充実を図り、地域全体で見守り体制の強化を図っているところでございます。
 最後、令和6年度の補正予算事業、通学時における安全対策の強化の推進についてでございます。こちら、昨今の登下校の安全に関する情勢の変化を踏まえ実施するものでございますけれども、まず、1.として、令和8年度に施行予定の16歳以上への自転車の青切符制度の導入など、最近の道交法の改正の動きなどを踏まえ、主に自転車等を対象とした交通安全教育のための動画教材等を作成することとしておりまして、本年度内に検討を進め、完成後、全国へ普及を図ることを予定しております。
 こちらにつきましては、本有識者会議の委員でもございます小川先生と𠮷門先生に本事業を実施する上での検討会議にも参画いただきまして、専門的な見地から指導・助言をいただく予定でございます。
 成果物につきましては、いずれかのタイミングで本有識者会議にも報告させていただければと考えております。
 また、2.といたしまして、昨今の地域の高齢化や学校統廃合等の動きを踏まえ、通学時における子供の安全を確保するための新たな施策の検討として、地域の見守り活動体制と組み合わせたスクールバスの試行的な運行を行うことを通して、通学時における児童生徒の安全確保の分析・検証を行う調査研究事業を実施することとしております。
 今年度の予算事業に関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 ただいま事務局より今年度の検討のスケジュールと学校安全関係の予算について御説明をいただきました。今年度は主に3つのテーマについて調査研究事業を活用しながら、事例の収集やあるいは分析を行うということをこの有識者会議で検討していくということになると思います。
 それぞれの調査研究事業を活用しながらどのように本事業を進めていくかつきましては、この後の議事の3で御説明いただきますので、この場では、今の御説明につきましては、今年度の予算概要、そして全体などについて、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
 御意見、御質問のある方は、オンラインの委員の方は挙手機能をお使いいただき、会場の委員の方は直接手を挙げていただければこちらで分かりますので。いかがでしょう。
 桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】  本年度もお世話になります桐淵です。よろしくお願いいたします。
 ただいまの御説明に対して、確認の意味でお願いします。まず、1ページ目の1.、事業内容の1.に小学校新1年生向けリーフレットというのがありますが、これはもう内容が出来上がっているのでしょうか。これから作成するということなのでしょうか。
【渡邉座長】  御説明お願いします。
【合田補佐】  こちらにつきましては、年度初めに配布をしてございますので、既に出来上がったものを配布済みでございます。
【桐淵委員】  分かりました。ありがとうございます。と申しますのは、昨年でしょうか、小学館が雑誌『幼稚園』の付録で、紙で組み立てるAEDを付録につけたらすごく話題になって売り切れたという話がありまして、お子さんと御家族が一緒に安全に関わる話合いができるような、そういうふうな、家族で使える、また先生とも話題になるようなリーフレットの内容だったらいいなと思いまして、ちょっと聞いてみたということです。
 続けてもう1点よろしいでしょうか。
【渡邉座長】  お願いします。
【桐淵委員】  同じ資料の2ページに、中段右側に心肺蘇生法実技講習会というのがありまして、これについては以前も申し上げましたが、閣議決定である「第3次学校安全の推進に関する計画」の中に、BLS、ベーシック・ライフ・サポート、1次救命について「措置」という文言が使われています。また、同じページの脚注には「処置」が使われています。2種類の表記がありますが、通常は「処置」という言葉の中にけがや病気の手当てという意味が一義的に含まれていますので、一次救命といった場合、我々は通常、「処置」という文言を使っています。
 私の解釈ですが、子供が倒れたり人が倒れたりしたときに、直接心肺蘇生やAEDを使って救命処置を行うだけでなく、周辺ではたくさんの活動が必要になってきます。救急車を誘導したり、傷病者が人目にさらされないよう隠してあげたり、もちろん救命処置を交代する人員も必要となります。周辺の活動、支援する活動を全部含めて、私は「救命活動」と呼んでいるのですが、「措置」という文言は、そういう広い意味、直接のBLSだけではない、それを支える周りの支援ということも含めて使っていると私は解釈していますが、それでよろしいでしょうか。医療の世界では「一時救命措置」とは言わないので、狭い意味でのBLSは「処置」という言葉を使ったほうがいいと思います。整理という意味で、意見も兼ねて、私の考えでよろしいかどうかということだけ確認をお願いします。
【渡邉座長】  御意見ということでよろしいですかね。また後で確認していただくと。
【桐淵委員】  ええ、意見です。
【渡邉座長】  これにつきまして文科省のほうから何かございますか。
【岩倉室長】  御意見ありがとうございます。ちょっとこの点につきましては、確認をさせていただければと思いますので、また後日、確認し次第、御回答したいと思います。よろしくお願いいたします。
【桐淵委員】  ありがとうございます。
【渡邉座長】  それ以外には何かございますか、この今の議事に関して。
 特にございませんようでしたら、先に進めさせていただきます。
 それでは、次の議事に入ります。議事の3は、今年度3つのテーマで実施する調査研究事業について、事業の進め方を中心に事務局からそれぞれ御説明いただき、その後に各委員から御意見をいただきたいと思います。
 まず、1.、学校事故の予防に向けたデータの活用と施策の検証について、事務局から御説明をお願いいたします。
【合田補佐】  資料の3-1を御覧いただければと思います。学校事故の予防に向けたデータの活用と施策の検証についてでございますけれども、まず、大きな方針でございますけれども、真ん中の左の辺り、事業内容のところにございますとおり、学校事故対応に関する指針に基づく基本調査結果及び詳細調査報告書の分析結果を整理し、学校における事故の再発防止に関する留意点等をまとめるということを目指したいと考えております。
 なお、本検討については、当課の調査研究事業とリンクする形で進めることとしておりまして、こちら委託業者といたしまして、NTTデータ経営研究所様が委託業者となっていただくということになっております。
 本日担当者の方々にも同席をいただいておりますので、本有識者会議の議論を着実にフィードバックしていければと考えているところでございます。
 続いて具体的な検討の進め方ですけれども、真ん中のオレンジの色の枠のとおり、大きく2つに分けて、1つ目は、まず改訂された事故対応指針に基づきまして、令和6年度分から文部科学省に報告が上げられるようになった全国の基本調査の結果につきまして、調査票の項目別に集計し、事故の傾向や事故誘引等を分析したいと考えております。その上で特に深掘りが必要な件につきましては、関係者の同意も得ながら個別のヒアリングも実施したいと考えております。
 なお、この調査については、今年度以降は毎年度実施する予定としてございまして、今回初めて分析の仕組みを構築していくものということになります。
 さらに、オレンジの枠の右側、詳細調査報告書につきましては、令和2年3月に旧事故対応指針に基づきました平成28年から令和元年の上半期までの3年半分につきまして横断整理を行っていましたところ、今回も同様の手法で令和元年下半期から令和6年度までの5年半分について横断整理を行おうというものでございます。
 なお、こちらにつきましては、取り扱う案件について基本的に関係者の了承が必要と認識をしておりますので、その辺りを進めながら、取り扱う対象を確定した上で、随時ヒアリングなども実施していきたいと考えております。
 次、一番下の成果物のイメージについてですけれども、基本調査、詳細調査のデータ的な分析はもちろんのこと、これを踏まえた場面ごとの再発防止の留意点なども含めて資料として取りまとめたいと考えております。
 また、その際、各自治体や学校現場に浸透する活用しやすい形式となるよう、単なる参考資料集ではなく、解説を付しながら留意点等を説明することや、発信方法の工夫についてもよく検討していきたいと考えております。
 また、成果物の活用イメージですけれども、まずは国から都道府県教育委員会等に対して通知でフィードバックをしつつ、研修等の場でも生かしていくことを考えております。
 また、令和5年度に策定しております安全点検要領については、ウェブ形式で随時更新が可能でございますので、有用な事例が得られれば、こちらへの随時追加なども考えていきたいと思っております。
 また、各自治体、設置者におきましても、今回取りまとめる結果をベースに、各学校現場への周知、また、自治体主体の研修会等での活用といったことも促していければと考えております。
 最後、資料真ん中右の事業の流れでございますけれども、今回は取り扱うデータなどは既に比較的明確になっておりますので、10月の第2回の段階で各調査の分析結果と再発防止策等のサンプルの提示まではいければと考えております。
 また、12月の第3回には成果物の案の形で提示して協議まで実施できればと考えております。
 また、ほかのテーマも共通でございますけれども、正式に行います有識者会議の場以外でも、途中途中で一部有識者の方から御助言をいただく機会を設けつつ進めたいと考えております。どなたに意見を聞くかにつきましては、座長とも相談の上、また個別に各委員に御相談に上がりますので、よろしくお願いします。
 続いて2ページ目、3ページ目につきましては、それぞれ基本調査の報告書の分析項目や、前回の詳細調査の横断整理で取り扱ったm-SHELLモデルの分析内容を整理したものですけれども、この後の議論における参考としていただければと思います。
 特に今後の調査の進め方や成果物のイメージ、活用方法などにつきまして、事業開始前のこの段階で皆様から様々、大所高所から御意見をいただければと存じますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【渡邉座長】  御説明ありがとうございました。この1つ目のテーマについては、学校事故対応に関する指針に基づいて国へ報告された基本調査結果と詳細調査報告書の分析結果を整理するとともに、再発防止に関する留意点等をまとめていくということだと思います。この事業の進め方や成果物のイメージなど、御説明いただいた資料に載っておりますけれど、こういったことを併せて皆様のほうから御質問、御意見をいただければと思います。
 いかがでしょうか。
 それでは、北村委員、お願いいたします。
【北村委員】  産業技術総合研究所の北村と申します。御説明ありがとうございました。2点伺いたいことがありまして、1点目は、先ほど御紹介いただいた詳細調査報告書の分析に関しては、過去やられた令和元年からのデータで分析したのと同じような方法で分析されるということだったのですけれども、そのときの分析結果から具体的に出てきた予防に対しての施策につながるような結果とか、そういうのはどういうものがあったのかというのを具体的に教えていただきたいなと思っています。
 これはやっぱりこの分析方法で何かいい結果が出ているのであれば、もちろんこの方法でもう1回、新しいデータでやってみましょうということでいいかなと思うのですけど、そこであまり具体的な方策が得られてない場合にもう1回やると、またちょっとよくない結果が出ちゃうともったいないなと思うので、ちょっとそれをお聞きしたいなと思いました、というのが1点目です。
 もう1点が、今回の分析結果を最終的に啓発資料というか、現場でも使えるような資料をということだったと思うのですけれども、これ災害共済給付のデータなんかを使って分析して、現場で使えるような資料を作るということはこれまでも日本スポーツ振興センターのほうでかなりやられていて、いろいろなリーフレットやハンドブックとかもかなり作られていて、あちらも全て成功しているわけではなくて、なかなか普及がうまくいってないとか、いろいろな課題なんかも出ているところなので、それとの違いをどう出すのかとか、違いを出さずに、うまく日本スポーツ振興センターとも連携しながら、現場で本当に活用されるようなものを作っていくのかとかという方針を決めないでやると似たような資料が増えるだけになってしまうなと思うので、その辺りの方針の検討が必要かなと思いました。
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございます。御質問の最初が質問で、2つ目は御意見と受け取っていいのですか。
【北村委員】  2つ目ももし何か方針があるのであれば教えていただきたいなと思います。
【渡邉座長】  分かりました。それでは、文科省のほうから御説明お願いしたいのですが、いかがでしょう。
【岩倉室長】  文部科学省でございます。御質問ありがとうございます。横断整理につきましては、前回、先生方にお願いをして実施したものでございまして、m-SHELLモデルという形で、それぞれ事故の要因、そういったそれぞれの要素がございますけれども、そういった手法を踏まえて、分析を横断的に実施していただいているところでございます。
 基本的には、それぞれの事故をこの手法によって横断的にそれぞれ分析をしていただいたという形で、それでその分析した内容を参考にしていただくというものでございますので、特に具体的といいますか、これを踏まえて参考にしていただくという形で分析をされておりますので、実際に一言で言うのはなかなか難しいわけですけれども、それぞれの事例をm-SHELLモデルで分析をして、それぞれの要因ごとに記載をしたという形になっていますので。
 ただ、これからいろいろな事故が起きたとき、これを参考にどのような形で再発防止に役立てるかというのは、これを参考にしていただければ、参考になる事項も載ってございますし、あと、具体的に事故が起きた際にどのような形で会議を立ち上げて、どういったメンバーを検討していたかというのも、これを参考にしていただければ分かるようになってございますので、事故が起きた際の対応について、それぞれの事象ごとにどういった形でどのように対応したかというのは非常に参考になるものとして分析がなされているという形になってございますので、1つの成果を得たということでは考えているところでございます。
 ちょっと具体的な部分、なかなか一言で申せないものですから、このような回答とさせていただきます。
 以上です。
【渡邉座長】  北村委員、よろしいでしょうか。
【北村委員】  そうですね、ちょっと何というか、いまいち分からなかったのですけども、ぜひやっぱり前回やったものをしっかり検証して、整理したものがどう使われたのかとか、その情報で本当に十分だったのかという検証はやっぱりすべきじゃないかなと思いますね。やっぱり不十分な情報のままで使われてないのをもう1回繰り返しても、結局あんまり有用な情報にならないと思うので、具体的に前回のものがどうだったのかという評価というか、検証が必要かなと思いました。
【渡邉座長】  私のほうから言うのも何なのですけど、以前の横断的調査のことについて、私も少し関わったのですけれど、そもそもその成果を活用するというところまではいかなかったのです。当時はまだこういう報告書自体がきちっと提出されていないということもあったような状況だったのですね。
 ですから、まずは分析をしてということなのですけど、報告書に割と違いがあるというか、まちまちなところもありましたし、そもそもこれを生かして成果を活用していこうというところまではいかなかったものですから、今回はそこまで目指していくということだと思います。もちろん前回の報告書というのがどういう問題点があるか見直すことは必要だと思いますけれど、その先までは前回はまだ行ってなかったということで御理解いただければと思います。
【北村委員】  分かりました。ありがとうございます。そういう意味では分析のときに報告書側のほうに少し足りてない情報があるとかという課題が既に分かっているものがあるのであれば、報告書のときにこういうのを書いてくださいみたいなフィードバックとかが入るといいのかなと思ったので、その辺りも含めて。
【渡邉座長】  例えば表記の仕方についてなどの整理は入っているのですよ。ただ、それを活用するイメージというのが前はあまりなかったものですから、多分恐らくそれほど普及もしてなかったかなという気がします。ありがとうございます。
【北村委員】  分かりました。ありがとうございました。
【渡邉座長】  それでは、次、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  大阪教育大学、藤田です。2点、確認させていただきたい点があるのですが、1つは、基本調査については、配付された資料で確認した際に、都道府県教育委員会から提出があった、令和6年4月から1年間の内で提出があった資料のみを分析対象とするということで、あくまで教育委員会から提出されたものを基本調査の対象とするということを確認したいと思います。
 それともう一つ、詳細調査のほうについて、資料の2のほうで、詳細調査についてはいろいろと課題があるかと思うのですが、関係者の了承を得た事故という表現があるのですが、これは都道府県教育委員会を通じて文科省へ、関係者というのは、当然被害を受けた関係者という分類も入るかと思うのですが、その辺り、関係者の了承を得た事故という範疇というのはどの辺りまでを含むという想定をしておられるのかというのを確認させていただきたいと思います。
【渡邉座長】  これについてはいかがでしょうか。
【合田補佐】  まず1つ目でございますけれども、基本調査の結果につきましては、改訂事故対応指針になりましてから1年間分まとめて出すようにしてくださいとお願いをしてございまして、昨年度末から各都道府県教育委員会等に依頼をしまして提出をしていただいております。それに今、一応一通りまとまって出てきているようでございますので、それをベースに進めていくというところでございます。
 もう一つ、詳細調査の関係者の了承のところでございますけれども、もちろん事故に遭った方ですとか、保護者の方ですとか、そういった方の了承について、都道府県教育委員会等などを通じて了承いただいた上で最終的なものにしていくということを想定してございます。
【藤田委員】  ということは、もし了承を得られなかった場合は分析対象から除外するということなのですね。
【合田補佐】  そのとおりでございます。
【藤田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡邉座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、首藤委員、お願いします。
【首藤委員】  ありがとうございます。社会安全研究所の首藤でございます。
 私からは3点、意見を申し述べたいと思います。まず1点目は、先ほど北村先生も御指摘されていたm-SHELLモデルによる分析に関してなのですけれども、すいません、過去の横断調査でm-SHELLモデルを使ってはと言った犯人は私でございまして、その責任も兼ねて申しますけれども、m-SHELLモデルというのは、分析手法ではなくて、要因の分類手法にすぎません。
 ですので、要因をきちんと取り上げた上で、それを一応分類整理した上で、各整理の区分、例えば「スモールm」であるとか、中央のLであるとか、あるいはソフトウエアのSであるとか、その分類ごとに内訳をしっかりと見て、その類型の中でどういった要因が特に多いのかとか、どういった要因が重大な事故を招きやすいのかとか、そういったことを詳細に分析していく必要があると思います。m-SHELLモデルで分析をするという考え方はちょっと間違っていて、あくまでも分類整理のための観点だと考えていただいてこのモデルを使っていただければと思っております。
 その上でなんですけれども、2点目が、基本調査とか詳細調査なのですけれども、こんなことを申し上げていいのか大変悩ましいのですが、今行われている基本調査の分析とか詳細調査の分析というのは、どこまでによい分析がされているのかということが、実は私、大変疑念を感じることが時々ございます。
 例えば詳細調査の報告書ですと、比較的、自治体さんなどから公表されている報告書があったりするのですけれども、申し上げにくいのですが、報告書の出来というのも結構まちまちでして、分析の内容や結果だけではなくて、調査のプロセス自体も非常に丁寧にやっていらっしゃるよい報告書になっているものもありますし、内容としてこれはいかがなものかなと、事故調査の専門家の立場からすると首をかしげるような詳細報告の報告書もあると思います。
 ましてや基本調査については、ごく一部しか拝見はしておりませんけれども、これを要因というだけでいいのだろうかということを感じるようなものがあるように思っておりまして、そのような、あまりしっかりと行われていない事故調査、事故要因の分析をどんなに分類しても、それで本当に教訓が正しく把握できるのかというところがちょっと疑問です。
 ですので、基本調査の内容、あるいは詳細調査の内容について、専門的な観点からこの内容でいいのかということはきちんと確認した上で、調査結果を分類したり整理したりしていただきたいと思っております。
 例えば、今見せていただいているスライドの調査結果の分析のところで、「学校種別×事故誘因」というものがありますけども、この事故誘因という言葉も非常に悩ましくて、下に書かれている例示だけ見ると、本当に誘因なのか、事故の形態じゃないのかというところもありまして、その辺どういうふうに考えるのかなということ。
 一方で、同じスライドの一番下にある、再発防止に資する要因分析と改善策のところは、要因をちゃんと挙げていないと対策も的確なものにならないはずなのに、それができているのかというところが非常に気になりますので、個別の調査報告書をしっかりと1つずつ分析をして、集計に値する分析内容なのかということはぜひ確認していただきたいと思います。
 それから3点目は、基本調査もそうですが、特に詳細調査については、そもそも第三者の調査委員会のような組織体を設置して事故調査を進めるというところで、非常になかなか難しいものがあると思っております。
 ですので、分析に際しては、その調査報告書ができるまでのプロセスについて詳しく調査をしていただいていて、特にうまくやった詳細調査について、どういうふうにやったのか、どんな工夫をされたのかということを、統計的に整理するというよりは、個別の事例紹介でもいいので、こうやると比較的うまくいくというようなことをノウハウとして整理をしていただいて、ぜひ公表していただきたいと思います。
 すいません、ちょっと取り留めなくなりましたが、私からは以上3点でございます。
【渡邉座長】  ありがとうございました。これは御意見という形でよろしいですか。
 文科省からは特に何かございますか。どうぞ。
【合田補佐】  いずれも意見として承らせていただきます。ありがとうございます。
【渡邉座長】  ありがとうございました。今、首藤委員から非常に大事なお話があったと思うのですけど、特に基本調査のことなのですけど、学校事故対応指針では、調査を始めて3日以内で終了ということになっていますので、果たしてここまで原因を追及できるかというと、ちょっと難しいのではないかなという気はします。取りあえずこういう取組するということですけれど、そこのところは少し慎重にやったほうがいいかなと思います。
 それでは、桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】  先ほどの北村委員さんの御発言に通じる意見ですが、JSC、スポーツ振興センターは災害給付の関係で、データベースもありますし、学校事故に関する報告を含めて、様々な内容の情報を持っています。また、子供の事故に限りませんが、消費者庁でも様々な事故の分析をやっていると思います。
 それからCDR、これはこども家庭庁でしょうか、チャイルド・デス・レビュー、亡くなった子の死因や事故の原因について、警察の捜査情報とか医療の情報も含めて総合的に分析していこうという取り組みですね。こちらは、先日たまたま法社会学の先生からお話を伺うことができたのですが、制度化についてはまだ取りかかりの段階ということらしいです。
 前回の詳細調査報告書の横断整理読ませてもらいますと、それなりに質的な問題がいろいろ読み取れる、考えられる内容となっていて、意味のある活動だとは思います。
これを、先ほど申し上げた、関係省庁が進めている事業ときちんと関連づけて、具体的な再発防止策が学校に浸透していくよう、どんなスタイルのレポートを出せばいいのか、あるいはパンフレットなりで呼びかけるなり、事業の総合化といいますか、それぞれの組織でよく努力されていると思うので、より効率的な発信の仕方について、関係省庁とよく連携して進めていただければよいと思います。意見です。よろしくお願いします。
【渡邉座長】  ありがとうございました。御意見ということで承りました。ただいまの桐淵委員の御意見もぜひ生かしていただきたいと思います。
 それ以外に委員の方から何かございますか。
 山中委員、お願いします。
【山中委員】  すいません、小児科医の山中です。詳細調査の概要はお聞きしたのですけども、具体的には事例数はどれぐらいなのでしょうか。多分そんなに多くはないような気がするのですけれども、今、いろんな条件をクリアして、検討材料となるものはそれほど多くはないでしょうか。ちょっとこれ質問です。
【渡邉座長】  いかがでしょう、これにつきましては。
【合田補佐】  よろしいですか。詳細調査のほうにつきましては、これから同意を得られるかどうかなどのこともございますので、数は変わってきますけれども、多くても多分20件とか、それぐらいの数になってくるだろうと見込んでおります。
【山中委員】  ありがとうございました。私も詳細調査はとても大切だとは思っているのですけども、話がちょっとずれるかもしれないのですけど、例えば、JSCのデータを見ると、学校管理下の死亡数は以前に比べてすごく減っているのですね。これは大変いいことだと思うのですけども、じゃあ、なぜ減ったのか。そこら辺の要因を明らかにすることも、あんまり症例数が少なければ、AEDの配布なのか、それともいろいろな処置がうまくいったのか、ちょっと分からないですけど、成功事例をもう少し分析すると、より具体的なことが分かるかなと思っています。今回の詳細調査とちょっと話が違うかもしれないのですけども、あまり事例が少ないときにはそういう調査も行っていただくと、より具体的なことが分かるのではないかと思いました。
 以上、意見です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 ほかにはございますか。
 桐淵委員、どうぞ。
【桐淵委員】  山中委員さんの御発言にも関連してですが、JSCの場合は、救命事例についても、その後治療が必要なケースもあるので、重大な事故については調査しているのではないかと思います。数年前、さいたま市内の小学生の窒息事故で救命された事例がありましたが、そこにもJSCの担当の方が学校まで出向いて、AEDの使用状況とかを含めていろいろ調べていただいたということもあるので、亡くなっているお子さんの事故を分析するだけでなくて、救命された事例についても、できればJSCと連携して、何がよかったのか。そういうことも、この調査そのものじゃないのかもしれませんが、事業全体としては、そういう展望を持って取り組んでいただきたい。先ほどの他の省庁との連携ともつながりますけれども、ぜひお願いしたいと思います。
 亡くなったお子さんが残した、残してくれた教訓も大切です。そして、どうすれば救えるのかという実例も現場の教員にとっては非常に大事なので、それもぜひ考慮に入れて事業を進めていただけるとありがたいと思います。
【渡邉座長】  ありがとうございました。今のお話ですけど、例えばJSCから出ている突然死予防必携、ちょっと前のものですけど、あの中には確かに心肺蘇生をやって救命できた事例が載っています。今回の場合はあくまでも調査報告書のほうを中心にということですが、ちょっとそこまでは、できるかどうかちょっと分かりませんけど、もちろん子供たちの安全のことを考えますと、どうすれば助かるのかという情報提供ができるような形になればよいかと思います。ありがとうございました。
 ちょっと長くなりましたので、次の議事に入りたいと思います。次は議事の3-2になりますが、危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策について、これについて事務局から御説明をお願いします。
【合田補佐】  資料3-2を御覧いただければと思います。危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策についてですけれども、こちらも資料のつくりは同じになっております。
 まず、大きな方針ですけれども、真ん中の左、事業内容にありますとおり、危機管理マニュアル等の見直しに関する先進事例等を収集し、各学校における危機管理マニュアル等の実効性を高める見直しの観点や手法等を整理した資料を作成するということを目指したいと考えております。
 なお、本検討につきましても、関連調査研究はNTTデータ経営研究所様が委託事業者となってございます。
 続いて具体的な検討の進め方ですが、真ん中オレンジ色の枠にありますとおり、まずは参考となります先進事例等の収集が必要であると考えております。
 こちら、1つには、当課がこれまで把握しております総合支援事業に基づいて行っている先進的な取組を実施したモデル校ですとか、また、専門性向上支援事業において、危機管理マニュアルの見直しなどの研修を実施してきた自治体、その他SPSの認証校などから選定していくことを考えております。
 あわせまして、委託事業者様より、自治体設置者向けのアンケート調査も検討されているということでございまして、その2つの切り口を活用しながら情報収集をしていきたいと考えております。
 また、選定対象の中から幾つかにつきましては、さらに委託事業者におけるヒアリング調査といったことも実施したいと考えております。
 次に、オレンジの枠の右側、実効性を高める見直し等の観点でございますけれども、こちら、どういった事例を収集するのかといったことを考える上でも重要な点かと思います。こちら、大きくは、学校レベルのものと、自治体や設置者レベルのものは、それぞれ分けて考える必要があると思っております。
 例ですけれども、学校であれば、校内の事故事例、ヒヤリハット事例の活用、避難訓練等の振り返りの活用、コミュニティ・スクールをはじめとする地域との連携や専門家の活用、教職員への周知徹底、特に異動などの体制変化、これらへの対応などを例示として挙げております。
 また、自治体や設置者といったことでありますと、見直しのための方針や参考資料等の作成など、広域的な支援、国からの最新情報やこれまでの重大事故等の活用、各学校の取組を促す効果的な研修などを例示として挙げておりますけれども、この点に関しましては、特に今回、有識者の皆様から様々御意見をいただければと思っているところでございますので、よろしくお願いいたします。
 次、一番下、成果物のイメージについてでございますけれども、収集した先進事例等を分析し、危機管理マニュアル等の実効性を高める見直しの観点や手法等を分かりやすく整理した資料として取りまとめたいと考えております。
 また、こちらデータ活用の話と同様でございますけれども、各自治体や学校現場に浸透する、活用しやすい形式となるよう、単なるいわゆる事例集ではなくて、具体的な見直しの観点や手法について、専門的な知見で解説など付して説明をしていくといった形ですとか、発信方法の工夫についてよく検討していきたいと考えております。
 また、成果物の活用イメージにつきましても、データ活用の話とも重なりますけれども、国から都道府県教育委員会などに対する通知や研修等の場で生かしていくといったことをはじめ、各自治体や設置者においても、今回取りまとめる成果物をベースに各学校現場への周知や自治体主催の研修会の場での活用などを促していければと考えております。
 最後、資料真ん中右の事業の流れでございますけれども、今回、先進事例等の収集に一定時間を要すると考えられますので、10月の第2回では先進事例等の選定の状況ですとか、また分析の状況の進捗報告をさせていただいた後、12月の第3回及び翌年2月の第4回において成果物の案の内容を御協議いただければと考えております。
 また特に先進事例の対象の選定や事業者によるアンケート調査の実施に当たりましては、正式な有識者会議の場以外でも、途中途中で一部の有識者の方から御助言をいただく機会を設けつつ進めたいと考えております。こちらも座長とも相談の上、また個別に各委員に御相談に上がりますので、よろしくお願いいたします。
 特に先進事例等の収集の方法ですとか、また、実効性を高める見直しの観点、また、成果物のイメージ、活用方法などにつきまして、事業開始前の今日この段階でまた皆様から様々な御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】  ありがとうございました。2つ目のテーマですけれど、先進事例等の情報収集した上で、危機管理マニュアル等の実効性を高める見直しの観点や手法等を整理し、まとめていくと。そういう御説明だったと思います。この先進事例等の収集方法や実効性を高める見直し等の観点などについて、皆様の御意見をいただければと思います。
 これについてはいかがでしょうか。御質問、御意見がある方お願いいたします。
 桜井委員からお願いします。
【桜井委員】  危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策について3点意見を申し上げさせてください。
 1点目は、すいません、ちょっと防災に偏ってしまうかもしれないのですが、実効性を見直す観点として、情報の取扱いということをぜひ入れていただきたいということです。
 つまり、リスクが高まっている状況、つまり、その場その場で時々刻々と状況が変化する中で、リアルタイムの情報をどのように収集して理解して判断をするのかというところが実効性を高めるためには非常に重要なポイントでして、訓練等の振り返りでは実効性が高まらないとも考えています。避難訓練ですね。なので、避難訓練をする前に一番大事なのは、危機管理マニュアルに基づいて、避難訓練計画というのを立てると思うのですけど、その前提となる状況設定をどういうふうにして、どのような訓練を行えば実効的になるのかというところを踏み込んで分析をしていただきたいなと思います。
 というのは、例えば自然災害発生時の場合、今の文科省さんも出している危機管理マニュアルの作成要領なんかに出てくる内容は、特に大雨時ですけれども、もう既に避難指示が出ているとか、危機が発生して土砂災害が発生したとか、河川が氾濫したという状況から始まるのですね。これは既に災害が発生している状況で、その前に打つ手がたくさんあるのに、そこから発生してしまっているので、あまり実効性が高くない状況にあるかなと考えています。
 なので、避難情報については、警戒レベル、警戒レベル相当情報の気象情報、それから河川については、水位の情報等の様々情報をどう組み合わせて、その学校が置かれている立地に合わせて最適な情報を取って、そして判断できるかというところについての、今一番現在の状況では漏れているところですので、ここをどうにかしなければならないと思っています。
 そして2点目は、じゃあ、実効性を高めるための方策を考えるときに何が一番重要かというと、管理職です。判断をするのは管理職ですから、マニュアルだけじゃなくて、この方策をどう具体化するかというときには管理職研修というものをぜひ考えていただきたいということです。様々な研修ありますけれども、管理職向けにいかに状況を付与したリアルタイムの判断を考えられるのかというところの訓練の拡充が必要と思います。
 それから3つ目です。先ほどの1番とも2番とも絡むのですけれども、危機、自然災害のリスクが高まった際の危機管理ということにおいては、学校行政の中だけでは完結できません。それぞれの自治体レベルで、危機対策、あるいは防災等、あるいは河川の管理等々の行政間の連携というものをどういうふうに図るのかと。それを平時からどう図るのかというところが必要になってきますので、コミュニティ・スクールとか地域との連携も大事なのですけれども、自治体レベルの行政の関係部署との連携をどう図って、学校が危機管理をできるのかどうかというところを考えていただきたいです。
 その際に一番重要なのは、緊急避難の行動というところになると思うのですけれども、学校が垂直避難をできなくて、立ち退き避難をしなきゃいけない状況とか、あるいは引渡しの判断をどうするのかとか、様々な具体的な事例があるかと思いますので、そういったことについてどういうふうに対応したらいいのかということについてもぜひ御検討いただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【渡邉座長】  御意見、御要望ということでいいですか。
【桜井委員】  はい。
【渡邉座長】  ありがとうございます。それでは、𠮷門委員、お願いします。
【𠮷門委員】  𠮷門でございます。よろしくお願いします。私もここのページが一番何をするのか、成果物のイメージが一番難しいのではないかなと率直に思いました。
 なぜならば、もう既に、学校の「危機管理マニュアル」等の評価・見直しガイドラインという、すごく詳細な資料が作られていまして、どのようにそれを活用しているのかというデータは持っているのかなと思いました。
 今回、実効性を高める取組がどのように行われているのかという具体的なイメージがあるのかと、ゴールイメージがないと、今から始めても、成果物を作るのは、時間が短い中ですごく難しいのではないかと思いました。
 内容を見ますと、見直しの観点の項目に、学校側と自治体・設置者側とあるのですが、これに沿って事例を集めてくるのかなと思ったのですけども、それだと昨年別事業で危機管理マニュアルの見直しの研修とか講習会などが実施されているので、一番左側に先進事例のところで、文部科学省の過去の事業成果を踏まえつつ、と書かれているのは、それらが入ってくるのかと理解をしたのですけども、それは間違っていないかどうかを1つ御質問です。
 あとは、成果物はガイドライン以上のことは出てこないよう思います。取組の事例を作成するならば、どのように実施していくかということが具体的に分かるような資料になるように進めていただきたいと思います。
 一番の課題は、学校がそれぞれ実施するのですけども、自治体、設置者が、マニュアルを点検するノウハウを持っていないということがずっとこれまでも言われてきている課題だと思います。都道府県レベルでありますと、学校安全担当の部署があって、二、三年で人が替わっていく県が多いですけども、学校安全に特化して考える指導主事等がいるわけですけども、市町村レベルに行きますと、自治体が小さくなればなるほど、学力向上も、体力も、いじめや不登校も全部1人、2人が担っているという実態があります。設置者がマニュアルの改善については責任を持つとされていますので、そうした市町村に参考になるような資料ができるといいと思います。「言うは易し」ですごく難しいことだと思いますがせっかくつくるのであれば、ぜひ市町村の担当者がこういうふうにやればいいのだと分かる実効性のあるものにしていただけるといいなと思います。
 アンケートという言葉に物すごく敏感に反応してしまいますが、学校まで届けないにしても、アンケートというのは、よほど整理して簡便でありつつ必要な情報が得られるようなものにしないと、現場の負担感が増すだけで関心を持ってもらえないと思います。アンケートの情報をどのように使うのか、実施する目的やその後に出される成果物の情報などをぜひ伝えていただきたいなと思いました。
 取り留めのない話で大変失礼ました。以上です。
【渡邉座長】  一応御意見ということでよろしいですかね。
 それでは、首藤委員、お願いします。
【首藤委員】  ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。このマニュアル等の見直し・実効性を高める方策についての事業の内容でちょっと確認かなと思っているのですけれども、マニュアルの実効性を高めるのは、単に見直しだけではなくて、作られたマニュアルを基にそのマニュアルを使っていかにうまく訓練をするかとか、マニュアルで定めたことを例えばアクションカード形式にするとか、壁に一部だけ貼り出すとかいうように、どういう形で運用していくかということも実効性向上にはすごく重要なポイントだと思うのですけれども、頂いている資料で拝見すると、実効性を高める見直し策となっていて、実効性を向上するのは見直しだけのように見えるのですけども、見直しのことだけを調べる御予定なのか、それとも、マニュアルどおり定めたことを、いかに実効性を持って教職員が実施できるようにするかという、そこの方策まで網羅するのか、私、絶対網羅したほうがいいと思うのですけども、そこをちょっと確認させてください。
 以上です。
【渡邉座長】  今の実効性のことについて、これは文科省のほうからお答えいただけますか。
【合田補佐】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、見直し・実効性を高めるという言葉の使い方が難しいところがあったのですけれども、いわゆる運用面というのも実際のこのマニュアルがちゃんと効果を持つ上では非常に重要でございますので、そこも含めて対象としたいと考えております。
【渡邉座長】  それでは、北村委員、お願いします。
【北村委員】  ありがとうございます。産業技術総合研究所の北村です。
 今回、先進事例なんかも調査して、そういったものを参考にしていただくように最終的に資料で伝えていくというようなお話もあったかなと思うのですけど、よくいい事例を調査して整理したもので出てくるのって、すごくきれいに整った、いい事例が「こんなものあります」「こんなものあります」というのが出てくるパターンが多いのですけど、それを見て、確かにいいのだろうなと思いながら、きっとすごく今の現場とのギャップが大き過ぎると、そういうのができるところはできるでしょうね、みたいになっちゃうとそれで終わってしまうので、多分実際に先進事例というか、いい事例を出しているところも、一足飛びにいきなりそれができているわけじゃなくて、多分段階を経て、まずここまでやって、次ここまでやってというふうにプロセスが多分あると思うので、そのプロセスまで含めて可能であれば整理していただけると、まずはここから手始めに行けばいいのだな、次、こう広げていけばいいのだな、みたいな流れが見えると、現場でも自分のところでこれは取り組めそうだなというやり方が見つかるのではないかなと思うので、そのプロセスも含めて整理していただけるといいなと思いました。
 同じように学校の中だけでできないことも、先ほどの御指摘もありましたけれども、自治体も、コミュニティ・スクールとかとの連携なんかも必要になってくる場面が出てくると思うのですけども、そこもすぐにもう既に関係性があってすぐぱっとできるようなこともあれば、そうじゃなくて新たに関係づくりをしなきゃいけないこともあると思うので、そこを例えばどのように関係づくりを行っていったかって、それも多分プロセスがあると思うので、ちょっと何か取組を実際にやろうと思ったときに、まずどうやったらいいのかということが見えるような整理ができるといいなと思いました。
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。御意見ということで承っておきます。
 それでは、長塚委員、お願いします。
【長塚委員】  ありがとうございます。私、私立学校の観点から少しだけ意見を申し上げたいと思うのですが、先に申し上げました様に私立学校の生徒は多数派ではないのですけれども、私立学校の生徒は県境を越えて広域から通っているような場合も結構多いのです。このことを考えて、例えば首都圏の東京や神奈川などでは、広域災害のときに、生徒の登下校の通学時に避難できなくなってしまったり、連絡が取れなくなったりしないように、避難校ネットワークというのを構築しています。というのも、3.11の大震災のとき、交通麻痺のために生徒たちが避難した先で、保護者などと連絡が取れませんでした。その際、携帯であるとか、電話などはもちろん使えなくなるのですが、ウェブだけは生きているということで、東京や神奈川の私学全体で専用のサーバーを設け、生徒が最寄りの学校に避難して、そこから連絡が取れるような仕組みを構築したのです。
 これは災害時の連絡システム及び避難先というレベルのことなのですけども、広域災害で普段の情報手段が遮断されてしまうときに、遮断されないで済むネットワークづくりなどもこれから必要ではないかなと感じたところなのです。
 高校生は18歳になりますと成年になりますから、高校生と小中学生ではまた違うかもしれませんが、公立の高校生は全国的にいいますと、6割の県で全県1学区の通学区になっていますので、その県の大変広い地域から通っている状況でございます。私立学校に限らず、何かネットワークを構築して、災害時にも安心して利用できる、連絡できる専用の仕組みなどをつくるのもこれからの課題ではないかなと意見として申し上げました。
 以上でございます。
【渡邉座長】  ありがとうございました。それでは、平塚委員、お願いします。
【平塚委員】  ありがとうございます。石巻市立湊中学校にこの4月から異動になりました。石巻市内の異動ではあるのですが、前の学校と違うところは、実際津波で1階が浸水したという、そういう学校に異動しました。同じ市内なのですが、またちょっと防災に対する考え方等が違うので、今後、いろいろ話をする場があればと思っています。
 さて、今回の件に関して、まずは学校のマニュアルについては、やっぱり東日本大震災以降、充実は図られているのかなと思っています。第3次学校安全の推進に関する計画が出たときに、実効性というような話が出ているところですが、日本全国、いろいろなところのお話を聞く中において、この有識者会議でもいろいろ本当に勉強させてもらったのですが、実効性を突き詰めていくと、本当に地域、学校によって結構違うということを思っています。
 そうした中で、やっぱり能登に学ぶことは非常に多いのかなと思っています。東日本大震災が、たまたま学校がある時間帯に起きた災害ということで、その後、それを前提にいろいろやってきたのだけれども、学校のない時間帯に災害が起き、なおかつ学校が避難所になるというような状況のところがいっぱいあると思うのです。
 例えば1つ例を挙げると、富山のほうで、垂直避難をするために学校の窓ガラスを割って入った学校があるとか、本来であれば東日本大震災の教訓が生かされるべきところが実は生かされていないというようなことがありました。
 そういうふうにいろいろな状況、特に、学校がない時間帯にそういうことが起きるということも考えられるわけですので、そういったことも教訓として考えていかなければいけないのかなと思っています。あと、能登豪雨ですよね。先ほど桜井委員からも話があったように、地震、津波とはまた違う判断が求められる災害に対して、学校にいるときは学校の判断でいいのかもしれませんが、子供たち自身が例えば自宅にいるときに、どういうふうに判断をして避難行動を取るのかといったことが大切で、そういった防災教育もやっていかなきゃいけないのかなと思っているところです。
 以上,意見です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、坂井委員、お願いします。
【坂井委員】  𠮷門先生のお話伺って、非常に心強いなというか、各学校に管理マニュアルって任されることが多いのですが、本当に一から教員が作っていくってすごく大変で、作っても、作っても、もっとほかのもの見ると、ああ、こんなのいいねとなって、増やしていきたくなっていって、整っていれば安心というところもすごくあります。本当に整えなければいけないのだけれども、じゃあ、一番理解しなきゃいけないのは何かといったときに、教員が最低限のルールというか、これだけは絶対やっていこうねとか、これだけは確認しておこうねというどこの学校でも持っていなきゃいけないものをまず文科省のほうから、土台というか、そういうものがあるといいなと思いました。安全点検を今ホームページに文科省が載せていただいているので私も市内の生活指導主任とかにも、必ずこれ見てちゃんとやってねと伝えています。安心のあるものというか、それを提供していくというのがまずは実効性につながっていくのではないかなあと思っています。
 効果のあるものにするという点で、マニュアルが作られていれば安心とか、これがあればいいよねというだけではなく、教員の負担を減らしながら何か提供できるものをぜひ出していただきたいなというのが、意見というか、願いとしてお伝えしたいなと思いました。
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 時間の関係もありますので、2番目の議事、3-2はここまでにしておきたいのですけれども、村上委員が御参加されたと思いますので、新しく委員になった方に簡単に御挨拶をお願いしていますので、村上委員、ちょっとお願いしたいのですけど、いかがでしょう。大丈夫ですか。
【村上委員】  大丈夫です。皆さん、こんにちは。今年度より本委員会に参加させていただきます桃山学院大学の村上と申します。昨年1年間、様々な活動をされていますので、そのことを踏まえながら、意見を述べていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、3つ目のテーマに行きたいと思います。資料についての御説明をお願いいたします。
【合田補佐】  資料3-3を御覧いただければと思います。学校における安全教育の取組のさらなる充実についてですけれども、こちらも大きな方針、まず真ん中左の事業内容にありますとおり、安全教育に関する先進事例等を収集し、各学校における安全教育の体系的な実施や指導内容を充実するための観点や手法等を整理した資料を作成するということを目指したいと考えております。
 なお、本検討につきましても、関連調査研究はNTTデータ経営研究所様が委託業者となってございます。
 続いて具体的な検討の進め方ですけれども、真ん中オレンジ色の枠のとおり、これも危機管理マニュアルと形はよく似ておりますけれども、まず、参考となる先進事例等の収集が必要であると考えております。こちら、特に予算の立てつけにおきまして、関連調査研究が学校安全総合支援事業の1項目に位置づけられているということもございまして、まず、基本的にセーフティプロモーションスクール認証校ですとか、また、総合支援事業等に基づいて先進的な取組を実施してきたモデル校といったところを対象に幅広にアンケート調査を実施するということを考えてございます。
 また、この対象校の中から有識者の御意見もいただきながら、さらに対象を選定し、委託事業者におけるヒアリング調査も実施したいと考えております。
 次に、オレンジの枠の右側、調査の観点でございますけれども、本調査研究の成果物をどういう形にしていくかを見据えた上でも重要な点かと考えております。
 こちらも例示を書いてございますが、カリキュラム・マネジメントの考え方を踏まえた教育課程への反映、学校安全計画への位置づけや目標設定、全教職員による安全教育推進のための校内組織体制、コミュニティ・スクールなど地域と連携した安全教育の取組、体験活動やデジタル技術の活用等の授業事例、また、昨年度、有識者会議の最終回でも議論いただきました効果的な安全教育の評価手法などを例示として挙げておるところでございますけれども、この点につきまして、また特に今日有識者の皆様から様々御意見をいただければと思っているところでございます。
 次、一番下の成果物のイメージでございますけれども、収集した先進事例等を分析し、安全教育の体系的な実施や指導内容を充実するための観点や手法等を分かりやすく整理した資料として取りまとめられたらと考えてございます。
 さきの2つのテーマと同様でございますけれども、各自治体や学校現場で浸透できる活用しやすい形式となるように、単なる事例集ではなくて、具体的な取組の観点や手法などにつきまして、専門的な知見での解決例を付すなど、発信方法についてはよく工夫して検討していきたいと考えております。
 また、成果物の活用イメージにつきましても、危機管理マニュアルの先ほどの話と類似でございますけれども、国から都道府県教育委員会等に対する通知ですとか、研修等の場で生かしていくこと、また、各自治体や設置者においても、今回取りまとめる成果物をベースに各学校現場への浸透や自治体主催の研修会等での活用といったことを促していきたいと考えてございます。
 最後、資料真ん中右の事業の流れでございます。こちらも危機管理マニュアルの話とかなり類似してございますけれども、先進事例等の収集に一定時間を要すると考えておりますので、10月の第2回では、その選定の状況ですとか分析状況の進捗の報告、12月の第3回と翌2月の第4回において成果物の案の内容を協議いただければと考えております。
 また、特に今回、事業者によるSPS認証校等に対するアンケート調査ですとか、またヒアリングの調査の実施に当たりましては、正式な有識者会議の場以外でも途中途中で一部の有識者の方の御助言をいただきつつ、進めたいと考えております。
 特に今回、セーフティプロモーションスクール等の観点が大きいので、藤田先生なども中心に御助言をいただければと思ってございます。
 この点につきましては、座長とも相談の上、また個別に各委員に御相談に上がりたいと考えております。
 以上ですけれども、特に先進事例を収集するためのアンケート調査の方法ですとか、また安全教育の評価の話をはじめとしまして、今回、安全教育について特に調査を深めていくべき観点や、成果物のイメージ、活用方法などについて、事業開始前のこの段階で皆様から御意見をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問ある方お願いします。いかがでしょう。
 𠮷門委員、お願いします。
【𠮷門委員】  𠮷門でございます。安全教育については、今年度の一番の中心は、安全教育の効果をどのように図るかということ、そこの1点だと私は捉えておりましたが、今回のこの資料で見ますと、1行、調査の観点のところに1行書かれているだけでして、本当は全体の中でその言葉が中心になってもいいぐらいの位置づけではないかなと思います。
 安全教育の手法はもういろいろ出されていまして、第3次計画の中でも、デジタル技術の活用とか、体験活動とか書いてあります。安全教育の事例を示すだけにならないようにそういう手法は何のためかというと、子供が主体的に行動する態度の育成や、危険を予測して回避できるようになるとか、そういうことが安全教育の目指すところ、ゴールであると思いますので、どういう状態になれば安全教育の効果があったと言えるのかという、成果を図ることを中心的な視点にしていただきたいと思います。今の計画では、今までと同じような事例が集まるだけにならないようにお願いします。
 もう一つ、安全教育の時間の確保についてです。次の学習指導要領に向けての議論も動いていますので、それに向けて現状の整理をしておく必要があると思います。現行の学習指導要領の中でも色々な教科の中に安全教育は書かれていますが、それが学校の中で体系的に行われているかというと、必ずしも全ての学校で実行されているとは言えない状況もあると思います。学校安全計画に整理し、各教科等の中で結びつけて体系化している事例なども併せて集めていただけるといいと思います。そして、その学校ではどのような効果測定を行っているかという事例が集まってくると、全ての学校でのモデルになり得ると思いました。
 以上でございます。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  大阪教育大学、藤田です。先ほど御紹介いただいたセーフティプロモーションスクールの活動を展開させていただいております立場から発言させていただきたいと思います。今回、安全教育の取組で、事業内容で安全教育の体系的な実施指導内容を充実するための資料というのが目的として入っているわけですが、ぜひその中で、先ほど𠮷門委員もおっしゃいましたが、事業の成果物のイメージの中に、例えば収集した先進事例の分析、実施、観点、手法等を分かりやすく整理というのがありますが、そこにやはり次期学習指導要領への提案を含めた整理のような形で、教科横断的な活動を含めての具体的な提案ができれば、事業の成果物として出していただければいいなと考えています。
 それとあと、成果物の活用イメージで、今まで文科省と各自治体、設置者という形で分類いただいているのですが、ぜひ、今回の安全教育の成果ですので、各学校ということ視点から、いわゆる各学校現場での実践であるとか、成果の共有ということについても、成果物を活用していくためにどうすればいいのかという観点で、ぜひ活用イメージの中に入れていただくというのが必要ではないかなと感じています。なかなか難しいところがあるかと思うのですが、ぜひ、今回、先ほどありましたように、安全教育の時数確保等も前提としながら、次期学習指導要領への提案というのをちょっと大きく入れていただきたいなと感じたところです。
 以上でございます。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】  小川です。先進的な事例集を集めるというよりは、なぜ学校が先進的な取組を展開できたのかを知りたいです。それはいろいろあると思うのですけども、管理職の先生が、非常に関心が高かった。あるいは過去にその学校で事故や事件があったというのがきっかけになった。それから、担当する先生が非常に熱心で、クリエイティブな先生が積極的に関わった。あるいはサポートできる体制が整っていたなどです。
文科省が様々に行っている事業を活用して進めていることによって先進的な取組が行われているとか、宮城県石巻市の例だと、常にどこかの学校が3領域の安全教育を行っている。今年担当する学校は前年度担当した学校の事例を基にさらに進化させていくので、それがぐるぐる回っていく中で、徐々に水準が上がっていく、そういう仕組みが自然と出来上がっている。
 今後の事業展開についての戦略を考える必要があります。施策を考える上で、私たちが知らないといけないのは、なぜ先進的な取組が実施できたのか、その要因です。そういう情報を集めていただいて成果物に残していただけたらと思います。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、坂井委員、お願いします。
【坂井委員】  まず、私、今年度から参加させていただいているので、もしかしたら去年度までお話しいただいたことというか、目的に沿ってない発言をしてしまうかもしれないのですけれども、安全教育がどこの学校でも広がってほしいと願ってちょっと意見を言わせていただきます。先進事例を収集して聞いていても、それは先ほどの小川先生がおっしゃっていたみたいに、やっぱりやる気のある学校の事例なので、なかなか広まっていかないのではないかなというところもあって、まずは安全教育に対する興味・関心をどうやって持たせていくかというのが私はとても大事なのではないかなと思っています。
 セーフティプロモーションスクールの手法とか、それを取り入れてと言うけれども、そもそもセーフティプロモーションスクールって何?というところを御存じない管理職も実はいらっしゃったりするというところなので、桜井先生が先ほど管理職の研修をとおっしゃっていましたが、ぜひ、そこもひとつ大事だなと思っています。
 それから、本校で安全教育をずっと進めていた教員が、若手なのですが、他市に異動して安全教育をしたいですと言ったら、時数取ってないから駄目だよって校長に言われて、先生できないのですと言って電話かけてきたのですね。だから、そんなこと言ってないで私も応援するからちゃんとやってねという話はしたのですけど、やっぱり安全教育をやるというときの時数の確保とか、何をやったらいいのかも分かっていらっしゃらない先生も実際はいるので、その辺りももう少しプッシュできるような、アンケートというよりは、実際やりましたかというのをちゃんと教育委員会も本腰入れてやっていくというところが大事なんじゃないかなと思っております。
 ぜひ教育課程の中にしっかりこれはやるのだということを入れられるような安全教育の推進というのも一つの手だなと思っております。
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、首藤委員、お願いします。
【首藤委員】  ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。先ほどの小川先生の、なぜその取組ができたのかを知りたいという御意見、私も大いに賛同でして、こんな取組事例がありますという単なる事例紹介ではなくて、そこに至ることのできたプロセスですとか、そういったことをしっかりと調査をしていただいて、特に今まであまりやってこられてない学校園がまずこれに取りかかったらいいのかなと感じられるような成果物としてまとめていただきたいと強く思っております。
 その中には、先ほど坂井先生がおっしゃられたように、そもそも時間の確保をどうやってやったのかとか、どんな工夫をして、うまく教育課程の中に盛り込む形で安全教育の時間を確保したのかとか、そういったこともぜひ、まだあまり取り組んだことのない先生にとっては大事な情報だと思うので、そういうこともぜひ調べていただきたいと思います。
 その上で、調査の手法なのですけれども、先進事例等の収集方法の1つ目が、SPSの認証校とか総合支援事業のモデル校へのアンケートとなっているのですが、これ、このままやると、ほとんど全て記述式のアンケートになってしまうのではないかというのを心配していまして、アンケートを受ける側にとって非常に負担の大きいアンケートになってしまうのではないかということを懸念します。
 私はよく分からないのですけども、セーフティプロモーションスクールの認証校であれば、うちの学校園でこういうことをやっていますという成果報告の資料が既にあったり、あるいは総合支援事業のモデル校でもどんなことをやっていますという報告の内容があったりすると思いますので、アンケートというよりは、既に対象候補となるような学校園が取りまとめている資料をしっかり集めて、その内容を分析して、その上で、アンケートでなければ把握できない事項をしっかり整理した上でアンケート調査に取りかかられるほうが、調査を受けられる側の負担を軽減し、なおかつ実のある調査になるのではないかと思います。
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 桜井委員、お願いします。
【桜井委員】  ありがとうございます。今の首藤委員の意見に賛同しておりまして、最初に、セーフティプロモーションスクール認証校等に対するアンケート調査ってなっていますが、SPSの学校、それから学校安全総合支援事業モデル校等は既にレポートをたくさん書いて存在しているので、ここは要らないのではないかと思います。既存の資料を分析していただければまず出てくるので、ここでアンケートを使ってしまうのはもったいないなと思います。
 じゃあ、どういうふうに使うのかというところですけれども、先ほど𠮷門委員からありましたように、効果的な安全教育の手法をどう確立するのかというところがやはり一番重要なところで、しかもこれまでずっと安全教育を進めてきて、体系的にどう発達段階に応じてやっていったらいいのかという検討をしているわけですから、安全教育の効果をはかるときに、例えば学校丸ごとで、学年を追うにつれてどう進化していくのかとか、そういった長期の取組をしているところであれば、そういった調査もできるのではないかと思っていまして、そういう調査は文科省さんじゃないとできないので、ぜひ文科省さんじゃないとできない学校丸ごと調査みたいなものではかっていただけたらなと思います。
 それからもう一つは、SPSSも長期的な取組になりますので、これはもう既に藤田先生のところでやられている方法があるのかもしれないですけど、SPSSが継続していくことでどういう変化があらわれるのかみたいなものがあるのであれば、そういったものを活用して、例えばSPSSをやっているところとやってないところを同じ例えば自治体の中で調査してみて比較するとか、そういった比較調査みたいなものもできるのではないだろうかとも思ったりしますし、それともう一つは、もちろん学習指導要領の中でカリキュラム・マネジメントを踏まえてどう行われるかも大事なのですが、昨年議論したように、コミュニティ・スクールの枠組みで、当の学校運営協議会の計画、年間計画に防災教育とか安全教育やりますということが位置づけられたことによってどのような活動が可能になって、それが持続可能になったのかというところですよね。つまり、担当の先生が替わってしまうとやられないという、今までの防災教育、安全教育の限界というものが、学校運営協議会の中で議論されることによってどう継続可能になるのかといったような観点からの評価とか、今までやってきたことを踏まえてさらに進化させるための安全教育の取組の調査というものを書けていただけたらいいのではないかなと思います。
 それは先生だけが頑張るのではなくて、地域ぐるみでどういうふうにやればいいのかというところも含まれると思います。教員の負担軽減とか時数の問題とかありますので、コミュニティ・スクールのほうの追っかけもぜひやっていただきたいなと思います。
 以上です。
【渡邉座長】  よろしいですか。
【桜井委員】  はい。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 もうあまり時間がなくなってきたのですけど、途中から参加されました村上委員、何かございますか。
【村上委員】  これまでの話を伺い,セーフティプロモーションスクールの認証を目指すとハードルが高く感じてしまう学校があると思います.このことから,「先進的」ということに関して、セーフティプロモーションスクールだけでなく違った観点から「先進的」をどのように捉えるか,いわゆる何をもって「先進的」というのかを明確にすることも非常に重要なポイントのひとつ思いました。
 先にも述べましたようにセーフティプロモーションスクールを全面的に出してしまうと、どうしても全ての項目に取り組まなければならないと思いハードルがぐっと上がります.そのことで,場合によっては各学校が足踏み状態となることも考えられます.これらのことを想定し,実現可能なことを分割するなど如何にうまく現場に落としていくのか、この様な手法的なことも踏まえながら考えていかなければならないのではないかと考えます.
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。今村上委員からご発言があった何を先進的に捉えるかになると思うのですけれど、私も防災教育チャレンジプランの審査委員長をずっと続けているのですが、防災教育チャレンジプランはすごくすばらしい実践が賞を取るのですけれど、ただ、どこの学校でもできるかというと、なかなか難しいですよね。これはすばらしいけど、じゃあ、ほかの学校でもやってくださいってなかなか難しいなというのがあります。
 でも、文科省から出てくるようなものであれば、うちの学校でもこれはできるよねというようなものにしないといけないと思うのです。1つは、皆さんのお話、𠮷門委員や藤田委員からも出ていましたけれど、時間ですね。時間の確保のところ、第3次計画にも、安全教育のところの最初に安全教育に関わる時間の確保というのがあります。これをクリアしないとやっぱりできないというところがあるのですよね。そこを具体的にこうすれば安全教育が実践できるというような方向性はやっぱり今回のもので出さなきゃいけないのかなと思います。
 安全教育は幅広くいろんなものやっていますけれど、例えば防災教育に関しては、3年かけて実践的な手引を出しています。ですから、同じものを繰り返すのではなくて、やっぱりまだやってない、ここはまだ第3次計画で出していないというところに焦点を絞るような形で、そして何よりも、日本のどこの学校でもこれならできるというようなものですよね。それは安全教育だけじゃなくて、先ほどのマニュアルもそうですし、全てそれは同じことが言えると思いますので、そういった視点で、これから1年間、1年もないですけど、取り組んでいければなと思いますので、どうぞ文科省の皆さん、頑張っていただければと思います。私たちもいろいろ厳しいこと言うと思いますけど、できるだけいいものにしていきたいと思います。
 今日、時間があんまりないのですけど、何か追加で御発言される方いらっしゃいますか。
 よろしいでしょうか。
 桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】  直接の議題に関連しないかもしれませんが、追加で意見を申し述べます。私は、ASUKAモデルと救命教育の普及のために講演などで全国を回っていますが、自治体によって、学校に「安全主任」という分掌、役目の人を置いてないところもあり、驚きました。
そうした学校では、学校安全にかかわるほとんどの業務が養護教諭に回ってきたり、あるいは中学校だと「生徒指導主事」と分担したりというような形で取り扱われています。これはおそらく、省令、学校教育法施行規則に「安全主任」が明記されていない、すなわちいわゆる「省令主任」になっていないことの影響だと思います。
昨年度、「学校安全の中核を担う教職員」の育成・配置という、学校の組織を強化するための議論をしてきて、この実態については大きな課題があると強く感じました。文部科学省としても、ぜひ学校の組織体制というところをもう1回見直して、強く呼びかける必要があるのではないかと思います。学校教育法施行規則に「安全主任」をきちんと位置づければ、全国どこの学校でもそれは決まってきます。ぜひ進めていただきたいと思います。これが1点目です。
 もう1点は、第3次学校安全の推進に関する計画で、教員養成段階での学校安全の学修が打ち出されましたが、これはまだ理念とどまっているように思います。実際に大学等の反応は鈍い。
これも教育職員免許法施行規則等に明記して、教員養成段階で、過去にどんな事故が起きていて、それはどうすれば防止可能なのか、実際に子供が倒れたときにどうしたらいいのかといった、重大事故防止のための基本的な知識と技能をきちんと教職の専門性の柱の1つとして位置づけることが重要だと思います。教員免許を取るときにそういうことも学んでいれば、学生が自信を持って採用試験にチャレンジできるのではないかと思います。全然学ばないと不安なままなので、教員になるのが怖いと感じる学生もいるのではないでしょうか。これは私自身の就職時の実感でした。
 教員は、未成年の人たちが何百人も集まっている非常に特殊な環境で働く職業なので、やっぱり子供の命、安全についてきちんと学んだという自信を学生につけさせたいと強く思います。
 この会議での一つ一つの議題には上らないかもしれませんが、文部科学省として、ぜひそういう大きな事業の展望を持って進めていただければと思います。
【渡邉座長】  ありがとうございました。安全主任というのはもう第1次計画のときからずっとやっています。なかなか実現しないのですよね。
【桐淵委員】  ぜひやりたいですね。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 もう時間になってきましたので、本日いただいた意見を事務局でお預かりいただき、事業に生かすとともに、次回以降の会議で議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 もし追加の御意見とか御質問がありましたらメールで事務局のほうへお寄せください。
 本日は積極的な議論に参加いただきどうもありがとうございました。
 それでは、事務局から次回の予定等についての御説明をお願いします。
【合田補佐】  事務局でございます。次回、10月頃の開催を予定しておりますけれども、詳細につきましては追ってまた事務局から御連絡を差し上げたいと考えております。
 以上です。
【渡邉座長】  ありがとうございました。
 それでは、第1回学校安全の推進に関する有識者会議は以上とさせていただきます。
 委員の皆様におかれまして、本日は御多忙のところ御出席いただきありがとうございました。
 
―― 了 ――

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)