学校安全の推進に関する有識者会議(令和6年度)第4回 議事録

1.日時

令和7年2月20日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

Zoom利用によるWeb会議

3.議題

  1. 学校における安全教育の取組のさらなる充実について
  2. 「学校安全の推進に関する組織体制の整備と地域等との連携について~複雑化・多様化する課題に対応するための、実効的・持続的で安全・安心な学校づくりに向けて~審議のまとめ(案)」について
  3. 次年度の検討事項等について

4.議事録

【渡邉座長】 ただいまから第4回学校安全の推進に関する有識者会議を開催いたします。
座長の渡邉です。本日も御多用の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。今年度最後の有識者会議になるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局から本日の配付資料と出席委員の確認をお願いいたします。
【遠藤専門官】 事務局の遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料でございますけれども、次第の下のほうにあります資料を使わせて進めさせていただきたいと思います。
資料1-1から1-3までが議事の1で使わせていただきたいと思っております。それから、資料2-1から2-3までが議事の2で、それから資料3が議事の3で使わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それから、本日の欠席の御連絡入っております委員は、小川委員、それから嵯峨委員、首藤委員、山中委員でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 配付資料等に不備はございませんでしょうか。何かございましたら、Zoomのチャットで事務局のほうにお知らせください。
それでは、議事に入ります。議事の1、学校における安全教育の取組のさらなる充実についてです。
この議事ですが、学校からの事例発表がございますので、会議の開催時間も考慮し、最初の議事として扱いたいと思います。安全教育の取組の充実については、本有識者会議で議論するテーマとしており、各学校において実効性のある安全教育を実施していくに当たり安全教育の評価が重要と考えます。そのため、まずは安全教育の評価について先進的に取り組む2つの学校から事例発表をお願いしたいと思います。事例発表の後に、2校合わせまして10分の質疑の時間をとりたいと思います。その後に、事例発表を踏まえて安全教育の取組のさらなる充実について、皆様と意見交換を行いたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
それでは、初めに、土佐市立蓮池小学校様から御発表をお願いいたします。
【土佐市立蓮池小学校】 こんにちは。高知県土佐市立蓮池小学校長、豊田益子と申します。
本日は、安全担当と研究主任の2名で発表を行わせていただきます。
【土佐市立蓮池小学校】 こんにちは。蓮池小学校の安全担当のハマグチと申します。本日はよろしくお願いいたします。
【土佐市立蓮池小学校】 同じく蓮池小学校の研究主任、ヒサモトと申します。よろしくお願いします。
【土佐市立蓮池小学校】 よろしくお願いします。
まず初めにですけれども、すみません、事前に配付させていただきました資料と本日発表いたします資料が多少違っている部分がございます。大変申し訳ございません。今からお伝えします資料が最新版となりますので、画面のほうを御覧いただけたらと思います。
本校では、令和8年度より学校安全の研究に取り組んでおります。令和4年度は、様々な場面でやってみる、挑戦してみるという姿勢で、安全教育の手法の開発や指導の工夫改善に主眼を置き、実践を広げてきました。令和5年度は、より効果的な安全教育となるよう、各学年の目標を明確化し、教科横断的な視点で教育課程に位置づけた指導計画を立て実践してきました。子供たちの知識が増え、安全に対する意識は高まっていますが、それが行動となり得ていない姿が見られました。
そこで、本年度は、子供たちの行動変容を読み取れるよう研究を進めてきました。行動変容のためには、子供たちの安全意識が高まる必要があると考えましたが、今年度の全校児童対象の安全の意識調査では、児童の意識と教職員の見取りにずれが生じていることが分かりました。
こちらは、全校児童を対象に行っている安全アンケートの結果です。項目の中で、特に児童の意識と指導者の見取りのずれが大きかった3項目です。児童の肯定的回答が非常に高いのに対し、指導者の見取りでは低いという結果になりました。特に1つ目の項目、「ろうかを歩く」は日常的に指導を行っていましたが、児童が自分の行動を客観的に捉えることができておらず、改善には至っていませんでした。つまり、安全行動の変容が見られなかったのは、自分たちの行動は安全だというバイアスがかかってしまい、それ以上行動を変えようという意識がなかったためだと考えられます。
そこで、本年度は、安全意識を向上させるために、知識を学ぶ安全教育の授業を行う際にも自分事として考えるということを重視し、研究を進めてきました。まず、1学期は、自分事として捉えさせるためにどんな手だてがあるか考え、全校研などを通して明らかにし、共通理解を図っていきました。学年、教科はばらばらでしたが、こうすると自分事として考えられそう、次の授業ではこの手法を使ってみたいなど、1つの柱を基に話し合うことができました。自分事として捉えるための手だてとしては、このようなものが有効であるのではないかと考えました。
さらに、今年度は安全に関する知識、意識、行動が、自分事を取り入れることで、どのように変わっていくのかを検証するために、安全の評価を取り入れました。評価は、知識、意識、行動の3つについて行います。知識の向上については検定で評価を行い、意識の向上についてはアンケート調査、行動の変容は客観的なアンケート、効果測定で行うようにしました。また、A、B、Cと3段階で評価し、児童の実態を把握できるようにしました。7月段階での現状把握と中期検証、後期検証と、年に3回検証を行うようにしました。
まず、全校として検証する内容は、5月に行った安全アンケートで、特に児童と指導者側でずれが大きかった3項目を取り上げました。検証事項1つ目は、校内では走らずに歩いて移動することができるです。指標は90%ですが、7月に効果測定を行った結果、校内を歩いている児童は59%であり、評価はC評価となりました。2つ目は、けがをせずに気をつけて遊ぶことができるです。こちらも指標を90%に設定しました。保健室からのけがのデータを基に評価を行いました。延べ人数で調べましたが、評価は68%でC評価となりました。3つ目は、自転車を乗るときは交通ルール(左側通行・一時停止)を守ることができるです。命の危機と直結するため、指標は100%に設定しました。こちらは、保護者や地域パトロール隊の方に協力いただき、地域の子供たちの様子をアンケートにして回答いただきました。結果は79%とB評価となりました。
こちらは1年生の授業です。項目1の廊下は歩くで評価Cを評価Aへ近づけるための授業です。学級活動2で行いました。2つ目の項目、けがをせず気をつけて遊ぶことができているでは、代表委員会で話し合いました。1年生から6年生までと発達段階が違う子供たちの課題で、非常に難しい話合いでしたが、たくさん意見を出し合いながら真剣に話し合っていました。ほかにも、委員会や集会などでも児童の意識を変えられるような取組を行ってきました。
こちらは、2項目含めの検証結果です。自転車の項目は地域へのアンケートのため2月下旬に行います。校内は歩いて移動は、7月59%でC評価だったのが、10月には80%のB評価となりました。しかし、2月には62%でC評価となりました。続いて、けがをせず気をつけて遊ぶは、7月68%でC評価だったのが、10月には79%のB評価、2月は85%でB評価となりました。項目1の校舎内は歩いて移動の児童の意識調査である安全アンケートの結果、当初7月には25%も児童の意識と実態のずれがあったところ、10月の安全アンケートと意識と実態のずれはほとんど見られず、いい方向へと変化していました。しかし、2月の結果では1学期と同様の結果となり、中期と比べずれが大きくなりました。これは、3学期に大きな行事があり、安全に対する意識が教師も児童も薄れたからではないかと捉えています。安全教育は継続した指導が必要であり、1度きりで終わらせるようなものではありません。児童を巻き込みながら、継続的に安全意識を高めるための仕組みづくりが必要であると思います。
【土佐市立蓮池小学校】 では、代わって失礼いたします。
それでは次に、各学年の取り組んでいる項目についてお伝えします。今回は、時間の都合上、5年生を中心にお伝えいたします。
5年生は、この2つの項目を評価検証することにしました。知識についての評価、線状降水帯によって起こる災害の備え方について知っているは、本市が発行している降水・土砂津波ハザードマップを参考に、蓮池版検定を作成いたしました。後半の質問には、自分の家族はどのレベルで避難が必要なのかを問うものもあり、より自分事として捉えることを意識して作成しています。子供たちは、安全な学習をしていく中でこれらの知識を身につけていきますが、大人になり、どこで暮らすことになっても共通して使える知識でもあります。
なお、各学年で作成した蓮池版検定は、警察や市役所の方にも確認していただいております。
それでは、5年生の検証結果を御覧ください。7月に学習前に行った検定ですが、このような結果になりました。その後、総合や学級活動の中で、自分事を意識した授業に臨みました。10月の結果ではA評価の児童が増えていますが、十分な結果とは言えませんでした。それからも継続して行った結果、最終的にはC評価は0%となり、A評価が87%まで増加しました。増加した理由としては、地域の人にマイタイムラインの作成の手順を伝えるという防災教室をゴールとし、それに向けてどうすれば地域の人に伝えられるのだろうかということをグループで話合い、最終的には一人一人が説明できることを目指しました。以上の活動から、児童の知識の向上が見られたのではないかと捉えています。
最後に、今年度の取組からの成果と課題をお伝えいたします。1つ目は、児童の行動の変化や知識の向上が可視化できたことです。評価を取り入れ可視化したことで、児童が今何ができていて何ができていないのかが把握でき、次への改善へとつなげることが可能になりました。また、私たち教員も子供たちと取り組んできたことが目に見えて向上してきたことが分かり、次の取組への意欲となりました。
課題としては、現在は教師主導の取組が多く、子供たちにもっと活動を委ねていかなければならないということです。6年生児童が廊下や階段の右側通行のための中央線や矢印を貼っています。これは、6年生が総合的な学習の時間に自ら考えたアイデアを実行に移したものです。廊下を通った低学年の児童は、歩きやすいとうれしそうに声を上げていました。このように、児童が自ら考えたことが効果的であったりアイデアを考えていくことが、より児童が自分事として捉えていくこと、重要であったりするのかと思ったことでした。
今後も安全を通した教育を行い、児童が自らの命、他者の命を守れるよう取り組んでいきたいです。
御清聴ありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。質問につきましては、後でまとめていただくことになっております。
では、続きまして、高槻市立第三中学校の取組を高槻市教育委員会様からお願いいたします。
【高槻市教育委員会】 失礼いたします。大阪府の高槻市教育委員会学校安全課、浅沼と申します。
本日は、私のほうが第三中学校、セーフティープロモーションスクール認証校の第三中学校のヒアリングを基に作成しました実践と評価について御報告をさせていただきます。
それでは、資料のほうを共有させていただきます。
それでは、安全教育の取組の充実に向けてということで、本市のSPS認証校、第三中学校の取組を基に御報告をさせていただきます。
それでは、早速ではございますが、安全教育の実践と評価について、安全教育を進めていく前提といたしまして、まずは、安全教育について相談できる校内体制があること、これが重要だと考えております。御覧いただいております資料は、第三中学校の校務分掌の一部抜粋とはなりますが、第三中学校においては、教務部という校内組織の中で、安全教育についての計画を定めた学校安全計画の策定やその評価、改善についての話が行われております。組織的に取り組むことで、先生方一人一人が授業等で行っている安全教育の成果や課題が教科横断的につながっていきます。特に中学校は教科担任制ですので、他教科や他学年とのつながりで考える上で、こういった組織をつくっていくということが重要だと考えております。
次に、安全教育の実践と評価を考えたときに、学校安全計画は、具体的な取組を記したものとなりますが、それを体系的に考えていきますと、当然ながら、学校としての目指す子供の姿や子供像、また、学校教育目標につながっていくかと思います。第三中学校の場合、教育目標があり、さらに共助の精神を身につけるという安全教育の重点目標を設定しています。第3次計画を基に策定いたしました本市の学校安全の推進に関する指針の中に、安全教育に関して枠組みの内容を記載しておりますが、先ほどの第三中学校の体系と重ねて考えたときに、学校への特色を生かした目標や指導の重点を計画、つまり、第三中学校では安全教育を通して共助の精神の育成、これを重点目標として、その実現のための教科横断的な視点での学校安全計画というものを作成しているという整理になります。多忙な学校現場では、目の前の取組や評価の前提として、本来、取組を通してどのような子供たちを育てたいかという視点、つまり、目標をしっかり持つということが大切だと考えております。
こちらは、安全教育の目標を学校安全の3領域ごと、さらに中学校区における発達段階ごとに整理したものとなります。第三中学校区に属する小中学校は全てセーフティープロモーションスクールの認証校で、SPSの考え方に基づき、3年を区切りとした中期目標の設定を行っております。
安全教育について目標を設定しているということは、取組を通して子供たちにどのような力が身についたのか、あるいは身についていないのか、これを評価していくことが必要となりますので、それを図るための評価基準例をSPSの認証校の取組を基に日本教育委員会のほうで策定いたしました。
御覧いただいております左の表は、先ほどの中期目標を具体的に身につけさせたい資質能力に落とし込んだもの。さらに右側の表は、その評価について、3つの観点ごとに整理したものとなります。
ここまでは、第三中学校の取組を見本に本市の安全教育の考え方を御報告させていただきました。
続きまして、これを第三中学校では具体的にどのように実践しているか。これを、評価という視点から、3つ御紹介いたします。
まず1つ目となりますが、安全教育の内容のほとんどは各教科の授業で扱われていることから、各教科の授業で行われる評価が安全教育を評価することにつながるという考え方です。この場合、評価の方法につきましては、安全教育の評価のために特別な方法を用いるというわけではなく、レポート作成やペーパーテスト、実習等、その教科における評価の方法がそのまま安全教育の評価の方法につながっていくと考えています。併せて、学習評価の充実という観点から、評価は単純にA、B、Cや点数を付けたりするというだけの学習結果を総括的に評価することにとどまるものではなく、生徒のよい点や学習の進捗の状況等を積極的に評価して、生徒が学習したことの意義や価値を実感することができるようにしたり、教師が指導したことが身についているか、それを教師自身が振り返って指導の改善を図ること、これも必要だと考えています。第三中学校では、学校安全計画を基に実施する安全教育について、教科担当者の会議で授業の打合せを行ったり、取り組んだことを振り返ったりする時間を設けています。また、指導の際には、教科書を使った指導に加えまして、市の実情を踏まえて、本市教育委員会が作成いたしました安全教育副読本も併せて授業で活用することで、子供たちが教科で学ぶ学習と、さらに安全というものをひもづけて理解することができているということが、生徒への質問紙調査の結果から読み取れています。
この場では口頭での御紹介となり恐縮ではございますが、質問紙調査の項目に、災害や事件事故が起こったとき、どのように行動すればよいか分かるという項目がございます。その質問に対しまして、98%以上の生徒が肯定的な回答をしております。現在は、100%に向けて、次年度の計画や指導方法の改善を検討している状況です。
具体的な理科の授業内容にひもづく安全教育の例となります。この授業では、雲の発生について気圧や気温の変化と関連づけて理解するという授業ですが、左下に記載のものが、理科の授業の評価基準、還元における評価基準となっております。この評価基準に沿って、この場合は知識・技能の評価が行われております。仮に、この授業において、総括的にB評価というようなことになれば、今度は右下の安全教育の観点別評価基準の知識・技能、この赤字の部分が先ほどの理科の授業とリンクするような形で、理科の評価がBであれば、安全教育の赤字の部分の評価についてはBであるというような判断をしております。ただし、この赤字の部分につきましては、本理科の授業の評価のみで結論づけるものではないということも留意した上で、評価のほうは考えていく必要があるかなと思います。
こちらは、技術・家庭科の家庭分野の授業です。先ほどの理科の授業と同様に、本単元では、家庭分野の知識・技能、そして主体的に学習に取り組む態度の評価が、右の表、安全教育の評価へとつながっていきます。このように、各教科で行われる安全教育は、当該教科における評価とつながっており、それを授業者がポートフォリオしていくことで、安全教育を評価する材料の1つというふうに考えています。
安全教育の取組は、各教科だけではなく、総合的な学習の時間、特別活動、特別の教科道徳等でも行われるかと思います。このスライドでは、第三中学校で行われた取組の一部として、生徒会の生徒会活動の専門委員会となります安全委員会の生徒が、熱中症や校内事故の防止に向けた発表を行ったり、また、学校行事として実施した避難訓練の振り返りを生徒が主体となって行い、生徒目線での評価や改善を行ったりすることで発信する生徒、またはそれを受信する生徒双方にとっての学びとなっております。
こちらは、特別活動の勤労生産、奉仕的行事といたしまして、地域の防災イベントや地域清掃への参加、校区内の小学校に出向いて、小学生と一緒に避難訓練をしたり、小学生の安全学習の支援をしたりしています。第三中学校では、安全教育重点目標でもあります共助のテーマに沿って、このような共同的な取組を積極的に計画実施することで、生徒に地域の一員としての自覚を促すよう指導や活動の工夫を行っております。
安全教育の評価の2つ目の考え方といたしまして、形成的な安全教育の評価のための質問紙調査の実施です。第三中学校では、生徒及び教職員に学校安全についての質問紙調査を年3回実施しております。併せて、学校評価の一環として、学校教育自己診断アンケート調査も実施しておりますが、ここでは、学校安全アンケートについて御紹介をさせていただきます。
学校安全アンケートの質問項目は、生徒用と教職員とで同じ意図を問うもので、生徒は自分自身、教職員は生徒の状況について回答するつくりとしており、先ほどの蓮池小学校さんと同じように、双方の結果を比較して分析をしております。こちらはその1例となりますが、生徒のアンケートは、生活の中で自分の状況が安全か危険か判断することができる。同じように教職員のアンケートでは、生徒は生活の中で自分の状況が安全か危険か判断することができるという、どちらも生徒の状況について、生徒は主観的に、教職員は客観的に見て回答するつくりとなっております。教職員の回答につきましては、先に紹介いたしました、授業等の学習評価、また、各種教育活動の様子も踏まえて、総括的に考えてアンケート調査に回答、つまり評価するものとなります。それぞれ、生徒も教職員も肯定的回答を多く得るということも重要なんですが、それ以上に生徒と教職員の回答傾向の違い、これについて分析いたしまして、取組の改善を通してずれを修正していくということに重点を置いています。例えば、このアンケート項目の回答結果には、グラフを見てお分かりかと思うんですが、ずれが明らかに生じております。それを分析していくと、生徒にどのような姿になってほしいかという、教職員の指導の意図がもしかしたら生徒に伝わっていないのではないか。生徒の学習改善につながる評価を適切に返せていないのではないかなどの課題が考えられ、それらの改善につなげていくことができる点が、質問紙調査による評価の特徴となります。
最後となりますが、3つ目は、安全教育の取組を包括的かつ総括的に捉えて評価し、学校安全計画の見直しにつなげることです。
先ほどの2つの評価に加えまして、生徒の日常の様子や保護者、地域からの意見や情報、負傷の発生者数等を用いて、学校としての安全教育目標が実現できたかを評価することです。そのためには、初めに申し上げた安全教育について話し合う校内組織を中心として全教職員が関わっていくことが大切で、第三中学校でも年間2回、この安全計画を見直すための評価というものを行っております。今年度の取組から改善した点の1つといたしまして、現在のアンケート調査の項目では、学校安全のどの領域のどの観点に取組の成果や課題が表れたのか分かりにくいというような課題が生じてきました。それを受けて調査項目を提示しております資料、表のように整理をいたしました。このように、第三中学校では、安全教育の実践や評価については、まだまだ試行錯誤を重ねながら、PDCAサイクルで展開をしているところでございます。
以上の3つの評価の考え方や方法について整理をすると、このスライドのようなまとめとなりますが、安全教育は特定の教科のみで行われるものではありませんので、単にA、B、Cで評価をしたり、5段階の評定として評価を返すというだけではなく、安全教育目標の達成に向けて行われるもの、そのためには何を指導するか、学びをどういう観点で見取っていくかが大切だと考えております。セーフティープロモーションスクールの考え方にもございますが、組織的かつ継続可能な学校安全の取組が共同的に実践、展開されるよう、安全教育の評価につきましても、教育委員会も第三中学校の取組に深く関わりながら、そして実践を重ねながら、よりよい在り方について、今後模索していきたいと考えております。
報告は以上となります。御清聴ありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。この後、質疑の時間を10分ほど取らせていただきたいと思いますので、蓮池小学校様と高槻市の教育委員会様は、もう少しこのままお待ちください。
それでは、皆様のほうから、御質問がございましたらお願いいたします。御質問のある方は挙手機能で挙げていただきますとこちらで分かりますので、いかがでしょうか。ただいまの御発表に関しまして、皆様のほうから御質問ございますか。北村委員、お願いします。
【北村委員】 産業技術総合研究所の北村と申します。
2つのすばらしい取組を御紹介いただいてありがとうございました。
10分しかないということなので、まず、ちょっと蓮池小学校さんの取組についてお聞きしたいんですけれども、まず、ただアンケートするだけじゃなくて客観的なデータも使われて評価などをしていて、本当にすばらしいなと思いました。それで、例えばこの廊下の走っているというものの評価のところで、(録画)と書かれた部分があったんですけど、具体的には何か廊下の様子を測る日を1日決めて、そこだけ測って走っている子が何人いたかみたいなカウントをしたのかとか、どんな形で評価されたのかなと思ったんですけど。まず、その点、ちょっと教えていただけると助かります。
【渡邉座長】 いかがでしょうか。
【土佐市立蓮池小学校】 お答えさせていただきます。
廊下の録画のほうですけれど、場所を、3階建てになりますけれど、校内で5か所設置をいたしました。3階はちょっと狭いので1か所、2階は2か所、よく人が通るところと階段に位置するところ、それから、1階も同じく階段の下りるところと、あと1年生の教室がありますので、そこの前で設置をいたしました。
それは場所は5か所は変えずに、一番移動が多い給食の後から昼休みにかけての決まった時間を10分間取り出して、そこを撮影を、毎回変えずにさせていただきました。カウントに関しては、そこに10分間写っている子供たちを母数といたしまして、そこから歩いたという人数をはまって割り出したものになります。
1年生とかはスキップする子とか一段飛ばしとかする子も結構いるんですけれど、それもちょっと落ち着いていないという行動で走ったというふうにカウントして計算をさせていただきました。
以上になります。
【北村委員】 ありがとうございます。
一番初めのところで、先生方とお子さんたちの意識の、走っているとか、差が結構ありますというお話、アンケートの結果があったかなと思うんですけど、それと、実際先生方は、ちょっとでも走っている子1人でも見ると、走っているじゃないかと答えているとか、実際動画見ると、大半の子は走っていなくて、その子がたまたま走った瞬間を先生が見ちゃったということもあるのかなと思って、なので、アンケートだけじゃなくて、そういう客観的なデータも使われているというところが非常にいいなと思いました。
あと一つだけ、コメントですけども、もし、ちょっと難しいかもしれないですけど、走ってしまう場面とかどういう状況のとき走ってしまうかみたいなことが、もし分かってくると、子供たちも自分たちで、確かにああいうときは走っちゃいがちだよねとか、その場面が分かってくると、より自分事になって、どういうときに気をつけなきゃいけないかというのがより具体的になるのかなと思いました。
すみません、今のはコメントでした。
以上です。
【土佐市立蓮池小学校】 ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】 ありがとうございました。AED財団の桐淵と申します。元さいたま市教育委員会で仕事をしておりました。
まず、蓮池小学校さんに質問ですが、校内の組織体制が非常に整備されて、先生方がお互いに協力し合って取り組んでいる様子が大変よいと思いました。
それで質問ですが、1つは、活動の評価、あるいはその成果の評価について言及されていると思いますが、リスクそのもののリスクアセスメントといいますか、子供たちは何が危険だと思っているのか。「これはよくないね」、という子供たちの意識で、子供たち同士の話合いの中で、危険な行動や危険な箇所を見つけていくというような活動をされているかどうかというのが1つ。
もう1点は、特に防災の面で地域との連携をどのように進めていらっしゃるか。学校の立地条件は分かりませんが、地域の防災、あるいは防犯との関係で、学校教育の中に連携した取組があるかどうか、この2点、質問させていただきます。
続けて、高槻市教育委員会さんの質問もよろしいでしょうか。
高槻市教育委員会さんは、地域全体の取組で非常にロジックが分かりやすい、安全教育について進め方や評価、活動の評価に対するロジックがすごく整理されて分かりやすいと思いました。ここも、小学校さんと同じような質問ですが、特に地域との連携、その学校が置かれている場所の何が危険なのかというふうなことについて、生徒も考えるし、地域の皆さんからの情報も取り入れていくというふうな取組がされているかどうかです。特に、共助の視点で小学校との連携が非常にすばらしいなと思ったのですが、より専門的な機関との連携が教育の中でどのように生かされているかについて、取組があれば教えていただきたいという質問です。
【渡邉座長】 それでは、蓮池小学校さんのほうからお願いします。
【土佐市立蓮池小学校】 御質問ありがとうございます。
まず、リスクアセスメントのことですけれど、何が危険かということは、総合的な学習を中心に今現在行っております。例えば、6年生でしたら校内の曲がり角を調べて、そこで止まってもらえるようにどういう方法があるのかということで、今年度は、昨年度の4年生がストップマーク、交通安全で使いますストップマークをつくっておりまして、それを校内に貼って一時停止をしようということで作成をしました。また、集会等で呼びかけも行ってとまるようにということはしております。
あと、学校全体としましては、昨年度も、教師が安全点検をしておりましたが、教師だけではなく、児童全員で安全点検を行っています。毎月月末に、本校は縦割り班で1年生から6年生が1班になって2週間ごとに掃除場所が変わっているんですけれど、その箇所を項目決めて、Chromebook、PCを使って危険箇所を調べ、また6年生が危険箇所について班長会で共有をしていくということをしております。また、危険な箇所については、例えば掃除場所が変わった際に、避難訓練じゃないですけど、地震が起きたらどこに逃げなくちゃいけないということを事前に伝えるようには、6年生が主となってしております。
地域との連携ですが、本校は2年前から防災ワンデーキャンプという、1日の行事を交通安全であったりとか災害安全を含めた行事を行っておりまして、地域の方、あと保護者の方々にもお招きし、子供たちと一緒に学ぶ活動を取り組んでおります。それとまた、学んだことを地域の方に発信をする活動、総合的な学習で今年度5年生がハザードマップをつくり発信をしたりだとか、また、6年生も2月の、再来週予定しているんですけど、3月の上旬に、地域の保育園であったりとか地域の方を招きして発信するようにしております。
あと、ここ最近は近くに高等学校もありまして、高等学校とも連携をしまして、高校生がSNSの危険性を6年生に伝えるというふうに、連携も取り組んでおります。
すみません、十分伝わっているか分かりませんが、以上です。
【桐淵委員】 ありがとうございます。すばらしい取組だと思います。大人も子供も一緒にこのリスクについて話し合う機会があるというのは大変すばらしいと。ありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは、引き続いて、高槻市教育委員会さんのほうからお願いします。
【高槻市教育委員会】 失礼いたします。本市と地域との連携というところなんですけども、実はこの第三中学校を中心とした第三中学校区の中に、今年度から学校運営協議会を設置いたしまして、コミュニティースクールとして、学校の教育活動を軸として、地域や家庭と、どういった共同的な活動ができるか、どういった支援を考えていけるかというところを、今年度からなんですが、展開をしております。その中で、つい先日、学校運営協議会開かれたんですけども、地域の方のほうから、登下校に関わる防犯面が心配であるというような御意見をいただいて、先生方はやはり学校の中で子供たちをしっかりと安全を見守っていただきたいと。その代わり、登下校については、我々地域の大人が守っていきたいというようなことをおっしゃられておりました。早速、御発言いただいた学校運営協議会委員の方を中心に、そういった組織をつくられて、子供たちの登下校の時間帯に自転車でぐるぐると、通学路を中心に校区を防犯パトロールという意味合いでパトロールしているというようなことをおっしゃっていただきました。それも、幹線通学路は割と人通り、車通り、子供たちもたくさん通るということなので、人通りが少ない場所、また、不審者が過去に出てきた場所、そういった場所を中心にパトロールをしているんだというようなこともおっしゃっていただいていまして、もしそういう情報があったら、またすぐに言っていただいたらパトロールしますよという声をいただいております。
また、これも今年からですが、いわゆる地域の方々を学校教育に一緒に参画してもらおうということで、今年から学校の避難訓練、共同的な訓練なんかを、まずはそれを地域の方々に知っていただこうと、学校安全の取組を知っていただこうという取組で訓練を見ていただいたりですとか、様々な学校の教育活動に関わっていただくことで、少しずつとはなりますが、学校だけではなくて、そういったいろんな地域の方々を巻き込んで、協力をいただきながらとしてやる取組というものがとれてきているなと感じています。
また、高槻市の特徴なんですけども、先ほどの学校運営協議会を学校単位で設置するのではなくて、中学校校区単位で設置をしております。ですので、この第三中学校はそこに進学するあと3つの小学校があるんですが、全部で4つの小中学校で1つの学校運営協議会を設置いたしまして、学校教育についての様々な意見交換をしております。特に、この校区は、学校安全というところを非常に重点を置いておりますので、この学校運営協議会で議論される学校安全の専門部会というような位置づけで学校安全委員会というものを校区単位で設置をしておりまして、そこには、警察の方であったり消防の方であったり、そういった専門機関の方にも入っていただいて、学校の取組を支援していただいたり、また指導助言いただいたりというようなことを行っています。
小学校との連携というところにつきましても、先ほどの学校運営協議会も含めてですが、学校安全の担当者が月1回集まって学校の取組の共有であったりですとか、また、各校の取組の協力体制といったものも相談をしながら進めておりますので、やはり1つの学校だけでは不十分だったりだとか、そういった点をいろんな方々を巻き込んでやることで、より発展的な充実した取組につながっていくということが、今現在、第3小学校区では行われているかなと思います。
以上となります。
【桐淵委員】 ありがとうございました。ちょうど私たち有識者会議で議論しているテーマ、そのとおりのすばらしい取組が進められていると思います。
ぜひ子供たちも、その地域の危険を知り、大人たちがどういう活動しているのか、その活動を知って、できれば参加するというふうに発展させていただけるとありがたいと思います。
【渡邉座長】 それでは、平塚委員、お願いします。御質問、平塚委員で最後でさせていただきますので、平塚委員、お願いします。
【平塚委員】 ありがとうございます。宮城県にある石巻市立青葉中学校で校長をしております平塚真一郎と申します。
今日は、お二方とも本当に貴重な事例を紹介いただきまして、ありがとうございました。大変多くの学びがありました。ありがとうございます。
安全教育を考える上で大切な視点として2つあると思います。1つは、自分の命は自分で守ること、命の大切さを実感できる児童生徒を育成するということ、もう一つは、自分事の視点でいろんなことを見ていくということが大事かと思っています。そういう意味で、蓮池小学校さんの事例の中で、可視化して自分事で捉えさせるという、その方法論としては、非常にすばらしいなと思っています。もう一つの大切な「自分の命を自分で守る」つまり、命の大切さというか、そこがベースにあると思うのですが、それを自分事で捉えさせることとどうリンクさせているのか、今日の発表の中ではちょっと見えないところなんですけれども、日頃どういうふうにリンクさせているのかということをお聞きしたいと思っています。
それから、高槻市教育委員会の取組について、安全委員会の取組とかすばらしいですね。生徒が主体的に取り組むという、うちの学校でもぜひ参考にさせてもらいたいなと思いましたし、それから安全教育の実践と評価の項目を見ると、結構自分事で捉えているという部分で、すばらしい評価だなと思っていました。そういう中で、何であえて共助の精神というところにいってしまったのかなということが1つと、それから無理やり教科の評価と安全の評価を1つにする必要もないのかなと思っていました。せっかくすばらしい取組があるので、その中での子供たちの心の変容であるとか、子供たちの学びみたいなものを素直に見ていけばいいのかなとちょっと思ってしまいました。それは意見でした。ありがとうございます。
以上です。
【渡邉座長】 御質問は、そうしますと、蓮池小学校さんへの御質問だけということでよろしいですか。
【平塚委員】 そうですね。高槻市さんのほうは、自分事ということをどのように捉えているのかなというのを知りたかったもので。
【渡邉座長】 それぞれの学校から、またお話しいただけばと。蓮池小学校さんのほうからお願いします。
【土佐市立蓮池小学校】 ありがとうございます。命の教育に関しては、全ての教育活動においてベースとして考えておりますし、全教職員でそこは大事にしているところです。
本年度に限らず、御指導いただきまして防災小説を小学校で取り組んだり、それから、事故でお子様を亡くされたつらい経験をされた保護者の方のお話を実際に児童が聞いたり、児童の想像力、もし自分だったらという、形なんかに応じた学習内容が必要だと思うんですけれども、そういう学習にも取り組んでおります。
今、修学旅行で神戸にも行きますし、これは安全とはまた異なりますが、広島に行ったりして、実際に、ものに体験された人の話を聞くという学習は大事にしたいと思っています。
今、先ほど担当の者が申しましたが、6年生が動画というかミニ映画をつくっているんですが、それも実際、避難所運営に関するものですが、そこでも、自分たちで台本をつくる中で、命について自分たちで話合いをして考えてというような取組、ベースはやっぱり想像力を育てていく、これは全ての国語科を中心とした教育活動で大事にしていきたいなというところです。
お答えになっていないかもしれませんが、よろしいでしょうか。
【平塚委員】 ありがとうございます。
【土佐市立蓮池小学校】 ここは、今後大事に、より一層していきたいと思っています。ありがとうございます。
【渡邉座長】 高槻市教育委員会さんからお願いします。
【高槻市教育委員会】 自分事としてもどう捉えていくかというところですけども、この中学校にひもづく3小学校では、子供たちが知識として分かっていても、実際それが行動に伴っていないというような課題が見られていたことから、主に特別活動の時間を中心として、いかに自分の課題というものをしっかりと認識して、それをどう改善につなげていくか、どう行動につなげていくかというところを、研究授業等を行いながら実施をしてきたところです。
中学校のほうですけども、自分事として捉えるというか、つまり自分を大切にするというところになるかと思うんですけども、まずは自分を大切にするということは、子供たち自身がいろんな人から自分が大切にされているということを実感していくことと近しいものはあるのではないかなと思っています。ですので、第三中学校では共助というところがテーマといいますけども、自分が相手のためにどういった関わり方ができるか、相手を助けるために何ができるか、それを受け取り手が、それは自分を大切にしてくれていることなんだなというところを子供たちに実感をさせて、そういった共助の精神というのを育んでいきたいという狙いがあると聞いております。
そういったことを続けてから、地域の方から、この第三中学校に様々な感謝のお言葉であったりだとか、そういった御連絡をたくさんいただくようになったと聞いています。地域で困っている御高齢の方を中学生が助けたりだったりとか、困っている小学生を中学生が声をかけて一緒におうちに帰ってあげたりとか、そういった姿も見られているというような報告も聞いておりますので、やはりまずは、自分が大切にされていると、それを自分も大切にする、そして自分の身を守るために勉強したことを自分事として捉えていくというふうにつなげていけたらなというふうには考えております。
以上です。
【平塚委員】 分かりました。ありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは、これで事例発表校への質疑の時間は終了いたします。
御発表いただきました蓮池小学校様、そして高槻市教育会様、お忙しいところ学びの多い発表をいただきまして大変ありがとうございました。
もしまた、委員のほうからちょっと御質問ということがありましたら、また御連絡させていただきますので、無理のない範囲で、またお答えいただければと思います。
これで、御発表を終了させていただきます。
それでは、この後、今のお話も含めまして、踏まえまして、学校における安全教育の取組のさらなる充実についての意見交換を行いたいと思います。
初めに、事務局から安全教育に関する第3次計画の内容説明をお願いいたします。
【遠藤専門官】 では、事務局でございます。
資料の1-3を御準備願います。
では、第3次学校安全の推進に関する計画の中で、安全教育に関する関連技術ということで、大きく3点、記載させていただいております。
今回、特に(3)学校における教育手法の改善という中で、赤字で書いておりますけれども、安全教育についての効果の検証も重要であり、安全教育の評価の在り方について検討を進めるということで、この点に絞って、委員の方々から、安全教育の評価を進めていく上での重要なポイントについて御意見を頂戴したいなというふうに思ってございます。
続きまして、次のスライドでございますけれども、こちらは文部科学省が作成しました『学校安全資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』の中に記載をされている安全教育の評価に関する記述でございます。今画面に映しておりますのは、評価の意義と内容ということで、安全教育の目標がどの程度達成されたか、子供たちの意識の変容でありますとか子供たちの状況、また事故に関する状況、客観的な数値なども組合せながら検証していくというふうなことが重要であるというふうなことが記載されております。
次のスライドが、続きになりまして、評価の方法ということで、幾つか、先ほど事例にもありましたけれども、方法等が記載されております。当然、子供たちだけじゃなくて、保護者でありますとか関係者の方々からの評価というふうなことも重要であるというふうなこと。そして、評価の項目として、例えば、事故防止に関する理解でありますとか、安全な行動につながっているかどうか、そういったところも評価の項目として考えられるというふうなことが示されているところでございます。併せて、学校安全計画の見直しにも生かしていくというふうなことが重要であるというふうなことが、この資料の中で示されているというふうなところです。
以降、参考として、国が作成している安全教育に関する資料、それから、前回の会議で報告させていただきました取組状況調査の結果での安全教育の実施状況についての抜粋を掲載させていただいております。
この後、安全教育を評価していく上での重要なポイントについて、委員の皆様から御意見いただきたいと思っておりますが、来年度、引き続き検討していくに当たりまして、また、来年度、国のモデル校での取組の実践にも参考にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上になります。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ただいま安全教育の評価をしていく上での重要なポイントというところに、多少絞って皆様からコメントをいただければと思います。いかがでしょうか。来年度以降もこれが続いていくというお話ですので、今日は少し皆さんから様々な御意見がいただければと思いますけれど、いかがでしょう。桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】 お願いいたします。
評価については、先ほどの実践の発表のときにも質問したんですけれども、教育の成果の評価だけでなく、そもそも子供たちに危機意識が、何というのかな、リスクアセスメント、子供たちの危機に関する意識がどういう状況にあるのかということを、まず、教育の出発点として押さえなきゃいけないと思うので、それが何とか入ってこないかなと。それによってリスクコミュニケーション、これは危ないよねとか、特にSNSなど、私の世代だとつかみにくいような危険が今取り沙汰されているんだけど、子供たちがそれをどう受け止めているのかというふうな、そこも見ていかないと、教育のスタートあるいは教育の成果評価も難しいような気がするんです。リスクアセスメントと言っていいと思うんですけど、それは教員の状況も同じことだと思うんですけども、教職員のほうの。
ちょっとうまくまとまらない意見で申し訳ありません。私の意見です。
【渡邉座長】 ほかに御意見ございますか。木間委員、お願いします。
【木間委員】 木間です。
評価という点においては、教科指導でもそうなんですけども、活動する前に、まず、子供の実態をしっかりと、どの教科においても把握した上で、それが事後どういうふうな意識に変わったかとか、教科であれば、成績的にどうであったかというふうに評価していくので、やはり一つ一つの安全教育の取組の活動をする前に、避難訓練でも、それぞれの活動において、まず、子供たちがこの活動についてどういう意識を持っていたかという事前の意識を確かめた上で行動を行い、それがどう変わったかということを絶えずやっていく必要があるかなと。
また、教員にとっても、教員の意識のほうも、この活動がどういう意味を教員たちが持っていくかということが大事だと思うので、やったことによって、子供の評価とともに教員の評価の変化ということも追っていくことが、この安全教育の充実と評価につながっていくかなというふうに思っております。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、桜井委員、お願いします。
【桜井委員】 ありがとうございます。安全教育の評価ということで、ちょっと防災の分野でやっていますので、ほかの2つの領域にどう当てはまるか分からないんですけれども、まず、効果検証というときに、よく授業をやる前と後で評価をしたりするんですけれども、やった直後にとったものでは知識だとか意欲というのは上がるのは当然なので、しばらく置いた後にどう定着するのかというところまでを見ていくような検証の方法というのが必要なのかなというふうに、今、防災教育なんかでもそれが重要だというふうに言われて議論されています。
例えば、大学の研究者など外部の人間が入って調査をするときというのは、学年が変わってしまったり、学校レベルが変わってしまうと、個人情報とか子供の権利みたいなものもあるので、なかなかフォローアップして長期に評価をするのが難しいんですよね。なので、評価をする際というのは、教育委員会なりにも入っていただいて、ちゃんとコホートみたいな形で評価をしていく、つまり、先ほどの高槻の教育委員会の事例があったように、市の中で発達段階に応じて何がどうできるようになるかというような体系化が進められているので、そういったものを基にして、全体としてどういうふうに段階が上がるにつれそれが深まっていったのかというようなものがとれるような体制づくりというのは、教育行政の中でやっていただかないと、なかなか外部からやると、単に介入した前と後しかとれないという、そういった結果になってしまうので、その辺りをどうしていくのかというのは、1つ重要なところなのかなというふうに思っております。
それともう一つは、これは災害に特化したことになるのかもしれないですけれども、先ほどの第3次計画のスライドで、学校の安全教育の評価の前に地域の災害リスクというようなところも出ていたと思うんですけれども、防災については、評価の前提に、先ほども議論ありましたけど、学校や学区、自宅周辺のリスクの評価というものを前提にしなければならなくて、そこをきちんと理解した上で、いろいろな行動が、知識を持って行動ができるようになるかという一貫性というものをつけていかないと、ただ単に机の下に潜るとか、もうそういった訓練の時代ではなくなってきていると思いますので、状況によって、災害種別、類型によって適切な行動を適切なタイミングで自らとれるようになっていくのかというようなところを、何に対する行動なのかというところが分かるように、どう評価していったらいいのかというところは、今言いたい放題言っていますけども、今後のこちらとしても検討していかなきゃいけないことなのかなというふうに考えていますというのが2点目になります。
取りあえず、以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】 ありがとうございます。
私のほうからは、この評価というのについて、SPS活動等も展開しながら、評価をする以上は何が目的で何が目標なのかと。そのために何を基準にすべきなのかというのが重要なポイントになってくるかと思うんですが、当然安全については、3安全それぞれの内容とか特性がありますから、そういった中で、今後の安全教育という広い概念の中の、どういう形でその評価ポイントを絞っていって、どういう形ですれば最も効果的な測定ができるのかということについて検証していく必要があるのかなというように感じているところです。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、大木委員、お願いします。
【大木委員】 ありがとうございます。
私も災害安全に特化しちゃうんですけれども、私たち、研究で防災教育をやっていると、結局それでどういうふうに評価しているんですかというふうに、よく修士論文とかでも学会でも言われる。そのときに、よく使われているのを御紹介しようかなというふうに思います。
全部で3つ、観点というか、3つの項目を満たすということが大事だと。1つは知識の内化、知識を自分に取り入れた、つまり、これは普通のいわゆる学校でのペーパーテストの知識と同じです。これに偏り過ぎても防災だと意味がないということで、2つ目が、自分のアイデンティティーが変化する、学習者からおうちに帰って家で自分が教える側になるとか、あるいは自分がアクターになる、家に帰って早速重たいものを本棚の下に移してみたとか、アクターになるというふうに、自分の立場がアイデンティティーで立場が変わる、役割を持つ。3つ目が、それを学ぶ共同体が維持されている、もしくはさらに拡大していくという、教室の中での学びが、授業が終わって廊下に出たらもうおしまいではなくて、例えばさっきの例で言うと、おうちにまで学びの共同体が拡大しているとか、先ほどからお話に出ている地域にも広がっていくとか、これらが3つ満たされたときに、学習によって学習があったというふうに、災害は起きていないけれども、学習はあったものだというふうに、一般的にはそれで満たされたというふうによく評価されるので、こういう観点から、細分化して考えていっていただいてもいいかなというふうに思います。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。北村委員、お願いします。
【北村委員】 北村です。
今までの皆さんの御意見、私も非常に勉強になりましたし、基本的に全て同意だなと思いました。
先ほど藤田先生もおっしゃっていましたけれども、安全教育の目的のゴールをどこに設定するかというのが結構大事だなと思っていまして、最終的なゴールと多分そこに至るまでのサブとなるようなゴールというのもあるとは思うんですけど、そこの設定の仕方も、誤ると違う方向に進んでいってしまうので、そこの設定の仕方も少し検討しなきゃいけないかなと思いました。例えば、先ほどの蓮池小学校の例で、悪くはないんですけど、けがをせずに気をつけて遊べるかみたいな指標があったかなと思うんですけど、あれはどこまでやられていたか分からないですけど、擦り傷も打撲も起きずに遊べるみたいな感じにしてしまうと、子供たちも活発には遊べなくなって、静かに遊ぶみたいになっちゃうと、本来の話とはずれてしまうので、やっぱり本来やる活動とこの安全という両面で見るような評価軸みたいなことも必要なのかなというふうに思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ちょっと時間も迫っていますので、御意見はここまでとさせていただきたいと思うんですけど、今皆さんの出た御意見をちょっとまとめてみますと、1つは、子供の今の状態がどうなのかというベースラインのようなものをちゃんと押さえたほうがいいんじゃないかという御意見と、何を評価するか、これは安全教育の目標と非常に密接なものであるというようなお話と、もう一つは、どうやって評価するかというか、評価デザインというか、そういった部分の話が出てきたと思います。
これらにつきまして、文部科学省のほうからは何かコメントございますか。
【遠藤専門官】 大変貴重な御意見ありがとうございました。皆様からいただいた御意見、非常にそのとおりだなというふうなところがございまして、また、来年度、引き続き御意見いただいたところについて、調査研究等で深掘りしながらまとめていけたらなというふうに思っておりますので、引き続きまして、よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 それでは、今回の御意見を踏まえて、また来年の取組のほうを進めていただければと思います。
それでは、議事の1はこれで終了させていただきまして、次に、議事の2、審議のまとめ(案)についてです。前回の会議で、有識者会議として取りまとめる審議のまとめの素案について、皆様の御意見をお伺いし、座長扱いとしておりましたが、その後、座長と事務局とで確認し、今回最終段階として皆様の意見を踏まえた修正を加えまして、審議のまとめ(案)をお示ししております。また、事務局では、この審議のまとめを踏まえた具体的な推進方策についてをまとめてもらいました。これらについて、事務局より御報告いただき、皆様に御意見をいただきたいと思います。
それでは、お願いします。
【合田補佐】 それでは、審議のまとめの案及び審議のまとめを踏まえた国における取組の推進方策について御説明いたします。
お手元、資料2-1から2-3までを御用意ください。
まず、資料2-1でございますけれども、審議のまとめは前回の会議で座長預かりとさせていただいておりましたけれども、渡邉座長と相談の上、委員の皆様から頂戴した意見を反映させていただいたものとして、今回審議まとめ(案)ということで整えさせていただきました。
主な修正点を御説明させていただければと思います。
まず、2ページ目でございますけれども、いただいた意見の中で、この審議まとめの実効性につきまして、絵に描いた餅にならないように、より現場で浸透させていくような発信とすべきといった御趣旨の意見をいただいておりました。この点につきまして、新たにはじめにという項目を設けまして、本有識者会議として、この審議まとめを取りまとめた趣旨を説明するとともに、今後、国、学校の設置者、各学校がそれぞれの立場でどうこの審議まとめを受け止め、実効的、持続的で安全安心な学校づくりのためにどのように取組を進める必要があるのかといったことを、1つのまとまったメッセージとして掲載いたしました。また、連携体制全てを新しく構築するということではなく、既存の会議等を必要に応じて活用し、安全体制構築を進めていくということもメッセージに込めました。また、全体を通しまして、各項目におけます今後の施策に関する軽減部分につきましては、それぞれ意識的に取り組んでいただきたい対象を明確にする形で整理をし直しました。特に、学校だけが頑張るのではなく、国や設置者がしっかりフォローしていくことが重要であるとの御意見がありましたことも踏まえ、そういった趣旨の記述を幾つか追加するとともに、全体として、国、設置者、各学校の順で記載をする形といたしました。
そのほか、個別のところですけれども、まず、3ページ目の最終段落から4ページ目にかけてでございます。前回会議で報告しました令和5年度の実績の取組状況調査の結果を踏まえたものにということで、今回の検討テーマである組織体制の実態の具体的なデータを追記いたしました。
また、6ページの真ん中辺りでございますけれども、地域や関係機関等との協議の場について、既存の組織の発表の表現をもう少し具体的にすべきといった御意見を踏まえまして、各学校が柔軟かつ実効性を持って協議の場の機会発表につながるよう、より丁寧に書き下す形に修正をしております。この後、同様の記載が出てくるところも併せて直しているところでございます。
さらに、9ページ目でございますけれども、全ての教職員の役割のところでございまして、学校安全計画や危機管理マニュアルに基づく、自らの役割を進めるだけではなくて、その見直しに参画するといった点も追記させていただきましたところと、あと、11ページのところで、今後創設が検討されております新たな職の各教育委員会における積極的な活用の検討につきまして、その目的が明確となるように、記述といたしましては、校内組織が円滑に機能し、安全教育、安全管理及びこれらを推進する組織活動に関する取組が最大の効果を上げられるようという記載を追記しております。
なお、この新たな職につきましては、先日2月7日に閣議決定されました法案に関係事項が盛り込まれておりまして、これから国会審議が行われるところですけれども、その点、脚注には補足を加えております。
前回の御意見を踏まえた主な修正点は以上でございます。
資料の2-2につきましては、審議まとめの概要をまとめたものでございますので、説明は省略させていただきます。
続いて、今後この審議まとめを現場に浸透させていく方策として、国としてどのようなアクションを起こしていくかということにつきまして、今回資料2-3をまとめております。
具体的には、まず、この審議まとめが取りまとまりましたら、学校の設置者や各学校等に対して速やかに通知による周知を行うほか、今年度中には審議まとめの趣旨やポイントを分かりやすくコンパクトにまとめた解説動画を、学校と学校の設置者それぞれに向けて作成し、周知を図りたいと考えております。また、来年度には、都道府県等担当者会議などで審議まとめの内容を細やかに追記していきたいと考えています。
参考資料の2に、来年度事業の予算案をつけてさせていただいておりますけれども、調査研究事業において、審議まとめの内容を踏まえた先行事例等の収集や事例集による周知、これは教職課程における学習の充実も含めて行いたいと思いますけれども、そういった取組を進めますとともに、校長等の管理職や中核を担う教職員向けの研修の充実やモデル的な取組の支援も予算事業の中で進め、審議まとめを踏まえた取組がしっかりと学校現場で浸透していくよう、国としても重点的、継続的な支援をしていきたいと考えております。
なお、審議まとめにもある、中央教育審議会において必要性が示された新たな職については、今後の動きを踏まえながら、適宜適切な情報発信を行っていきたいと思っております。
審議まとめに関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、審議のまとめ(案)及び審議まとめを踏まえた国における取組の推進方策について、委員の皆様から御意見をお願いしたいと思います。御意見や御質問です。それでは、桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】 お願いいたします。
大変よく整理されて分かりやすくなったと思います。
その上で、2ページ、「はじめに」の下のほうに、「これを踏まえ」から始まる段落がありますが、そこにはまず、「国においては」、その下の段落に「各学校の設置者においては」、さらに次の段落に、「そして、各学校においては」とあります。
この「各学校の設置者においては」から始まる文章の述部が、「積極的な助言や支援を行うこと」となっているのですが、前回の会議で木間委員がおっしゃったように、学校に全部丸投げされてもできることじゃないという意見に、非常に同意、共感しておりまして、私は、主題である「学校安全に関する組織的取組」「家庭・地域・関係機関等との連携・協働による学校安全」は、本質的には設置者の仕事だと強く思っています。だからこの文末にあるような「積極的な助言や支援」だけでは決定的に足りないと思っておりまして、「積極的な施策(政策)の推進及び学校への助言や支援」というふうに、設置者自身が主体的に取り組むイメージを打ち出してほしいと思います。「施策」や「政策」がちょっと強過ぎるようなら「取組」でもいいです。「積極的な取組の推進」という、設置者を主体とする言葉を入れてほしい。
関連して、6ページの(3)に、国、各教育委員会という項目があります。そこには「具体的な方策を講ずることが必要である」と書かれています。これは賛成です。しかし、その下の「各教育委員会や学校法人等の学校の設置者」では、ページ変えて7ページにいきますと、ここが「積極的な支援や助言」という、要するに学校を支援したり助言したりということだけになっています。ここに「積極的な取組」、設置者自身が取り組むということをはっきり打ち出してほしい。これが大きな1点目の意見です。
あともう1点よろしいでしょうか。
6ページの今申し上げた(3)には、「国、各教育委員会」の項目に、○が1つしかありません。一方、13ページを開けていただきますと、13ページの「国、各教育委員会」には○が2つあり、2つ目に「域内の国立大学附属学校及び私立学校関係者にも参加を促す」とあります。これはとても適切だと思います。同じことを、今申し上げた6ページの(3)にも入れてほしい。つまり、地域との連携は、各学校の1校の努力ではとてもし切れない。それは、国立大学附属校や私立学校でも同じことなので、P13のように、2つ目の白丸で、私立学校へも参加を促すというふうなことを入れてほしい。これが2つ目の意見です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ほかには御意見ございませんか。いかがでしょう。それでは、平塚委員、お願いします。
【平塚委員】 ありがとうございます。
このはじめにの部分が非常にいいなと思いましたし、それから3ページ目の後半、「以上のことについて」というところからのデータの部分については、新たに加わった部分なのかなと思うんですけれども、やはり学校にこれがきて読んだときに、説得力を持つ部分として、「今こういう状況だから、やっぱりこういうところが大事だよね」、「こういうふうにしていかなきゃないよね」という、その動機づけという部分において、このデータはすごい大事だし、現場の者としては、「うちの学校はここはできているな」、「ここができていない」とか、そういう見方をすると思うんです。そういう意味で、このデータはせっかくいいものなので、「これを今後推進していくため、以下にそれを示していく」みたいな、もうちょっと強い表現で、「こうだからこうしていきたい」みたいな、そういう書きぶりのほうがよりいいのかなと思います。せっかく前半部分で、こういうのが必要だからこういうふうにしていくというようなことがあるので、そことうまく結びつけて、データが説得力を持たせられるように変えていくといいのかなと思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、木間委員、お願いします。
【木間委員】 この間、この前の会議を経て本当に短時間ですごいしっかりとまとめられたなと感心しております。さすがだなと思ったのが、まず1点あります。御苦労さまでした。
そういう中で、文面は、特に分かりやすくなったかな、また、会議の意見がそれぞれ取り入れられているかなというふうに思っているんですが、この前、これも小川委員が言ったかと思うんですけど、審議のまとめの周知はもちろんですけれども、時間軸でどこまでそれぞれがこれを達成していくのかということを明らかにしていかないと、今までもこういうことはまとめられていたけれども、ここまで、これについてはここぐらいまでにまとめていくということをはっきりさせて周知、今すぐではないと思う、まず周知が大事だと思うんですけど、今後この審議のまとめが生きて本当に実効的なものになるためには、時間軸で何年度までにはやるのかというようなことを明らかにしていく必要があるかなと、読んでいて感じました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、大木委員、お願いします。
【大木委員】 単純なテクニカルな質問なんですけど、これは義務教育を指しているんですか、それとも例えば幼稚園とかは入るんですか。公教育だったら入ると思うんですけど、何となく曖昧にしているけど、小中学校という感じなんですか。質問です。
【渡邉座長】 御質問ですね。文科省からお願いします。
【合田補佐】 文科省でございます。
小中高が基本ベースかと思いますけれども、幼稚園なんかにおいても適宜参考にいただくべきものかなというふうに思っております。
【大木委員】 なるほど、分かりました。そうすると、幼稚園保育園問題が出てくるんですよね。保育園は入らないみたいな。つまり、さっきの国の役割のところで、本当は関係省庁との連携というのが入るべきなのかなというのをちょっと思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ほかにはございますか。よろしいでしょうか。
今日も新たな意見をいただきましたので、この御意見を……、桐淵委員、まだございますか。お願いします。
【桐淵委員】 追加でお願いいたします。
先ほど申し上げた意見の補強です。私は、2020年、令和2年に、高知県の黒潮町に招かれて、ASUKAモデルのお話を桐田明日香ちゃんのお母さんと2人でさせていただきました。黒潮町は、人口1万人くらいの小さな町ですが、「子供の命を守り生きる力を育む町民会議」という組織があり、私どもの講演を、学校職員だけでなくPTA、町役場、消防署、警察署、国や県の出先機関の職員、鉄道やバス、タクシーなど民間企業の役員や社員、民生児童委員、商工会、婦人連合会、社会福祉協議会、各種NPO法人、ライオンズクラブなど、たくさんの人が聞いてくれました。それでもコロナ禍で出席人数は絞ったということですが、要するに「子供の命を守り生きる力を育む」という理念のもとに町全体が結束しているという印象を持ちました。
我々のこの提言、審議のまとめの内容は、地域の、例えば「学校安全推進協議会」のような、名称はともかくそういう大きなイメージで捉えないといけないと思います。
私は中学校の教員でしたが、若い頃、「学校警察連絡協議会」という組織がありました。全国的にあったかどうかは知りませんが、少年非行や少年犯罪の問題が多発していた時代に、教育委員会が要綱をつくって、関係機関と連携をとって、校長や生徒指導主事などと警察の担当者が集まって話し合う場を作ったのです。
高知県の黒潮町のように、子供の安全だけじゃなくて健全育成全体も一緒に考えていくというような地域連携が構想ですが、いずれにしても地域連携を構想するとなると、本当に設置者である教育委員会がきちんと要綱を立てて、各機関と連携をとって取り組まないとできません。結構大きな取組になると思います。
先ほどの意見の補強として、設置者がきちんと取り組むということを打ち出してほしいということで申しました。
以上です。ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、今日の御意見を踏まえまして、改めて座長扱いとさせていただき、事務局と相談しながら、最終版を整えて、皆さんに御報告したいと思っております。その上で、全国へ周知等をお願いしたいと考えております。
改めまして、ワーキングで関わっていただきました委員の皆様をはじめ委員の皆様には、本審議のまとめの検討に当たり多大な御尽力を賜り感謝しております。この審議まとめが、各学校の設置者、各学校における組織的な学校安全の推進に生かされ、全国の学校が安全安心な学校づくりにつながっていくということを願っております。
それでは、議事の2はここまでとして、次に議事の3、次年度の検討事項について、御説事務局からの御説明お願いします。
【合田補佐】 それでは、お手元資料3を御用意いただければと思います。
まず、第3次の学校安全推進の計画におけます各テーマの主な関連記述がありますけども、それは次ページ以降に記載しておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
令和7年度の検討事項についてですけれども、まず、第3次計画の期間中であります令和4年度から8年度における本会議の検討テーマのうち、令和7年度、赤字の3点、学校における安全教育の取組のさらなる充実、学校事故予防に向けたデータの活用と施策の検証、危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策について検討を深めたいと考えております。
具体的な検討の進め方としては、テーマの性質を踏まえまして、予算事業を活用しながら調査研究において事例収集や分析などを行いつつ、それに並行して、本有識者会議から専門的な意見を聴取し、学校等への有効な周知等に生かしていくとともに、学校安全の推進に係る諸政策の一体性を図った議論を進めたいというふうに考えております。
事故予防のためのデータ活用につきましては、現在学校の管理下で発生した事故等に関する報告や再発防止、ヒヤリ・ハットの分析による事故の未然防止などについて、通知や学校安全ポータルサイト、また、研修会等で学校の設置者や学校への情報発信を継続しております。日本スポーツ振興センターの災害共済給付に関するデータの活用につきましては、令和6年3月に作成した、学校における安全点検要領におきまして、活用方法を掲載し周知を図るとともに、日本スポーツ振興センターが発行している資料なども学校等で活用いただくなど、日本スポーツ振興センターを所掌しているこども家庭庁とも連携を図りながら、学校の設置者や学校へ事故の再発防止に資する情報発信等の啓発に努めていきたいと思っているところです。
来年度で検討いただきます事故予防のためのデータの活用については、令和6年3月に改定した学校事故対応指針に基づく基本調査結果及び詳細調査結果の報告が来年度初旬に国上がってまいります。この報告内容を年度ごとに分析し、事故の再発防止に生かすための御検討をお願いしたいと考えております。
なお、当該事故対応指針は、毎年報告がありますので、令和8年度以降も継続する検討テーマとする予定でございます。
次年度のこれらのテーマの検討に当たりましては、3次計画で示された観点も踏まえながら、さらなる深掘りした検討を進めていければと考えております。先ほど安全教育につきましては御意見をいただいておりましたので、この後は、学校事故予防に向けたデータの活用と施策の検証、また、危機管理マニュアル等の見直し、実効性を高める方策の検討をするに当たっての重要なポイントとなる御意見をいただけましたらありがたく存じます。
次年度の検討事項についての御説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【渡邉座長】 次年度の検討事項ということで今御説明いただきましたけれど、安全教育については、先ほど皆さんに御意見出していただきましたので、今御説明にあったデータ活用と、そして危機管理マニュアルの見直しのこの2点、これについて、委員の皆様から今後の検討に当たって重要な議論のポイントとか、そういったようなことを御意見いただければと思います。いかがでしょうか。木間委員、お願いします。
【木間委員】 すみません。今あった議題の2つのことでないことを先にちょっと言いたくて、先に手を挙げました。
この安全教育の充実という点で、先ほど評価に限定して発言をということだったので、評価だけについてちょっと発言させていただきましたけども、私は、この施策の中にある安全教育に関わる時間の確保というのが、大変難しくなってきているなというのがありまして。というのは、教員の働き方改革の一環の中で、我々教育課程を組む上で年間の授業時数の余剰時間を減らして、標準時間の中で教科指導等を行っていくということが言われているんです。前のように、余剰時間をたっぷりとっての学校教育が進められにくくなってきているのが公立小学校、中学校で現実だと思うんです。
そういう中で、安全教育の時間の確保をして安全教育を進めていくという在り方についても、教員の働き方改革とともに考えていかないと、言葉だけになってしまうかなというふうに思ったので、先に挙げさせていただきました。これについては、また来年度とか思っておりますので、ちょっとそのことだけお伝えしたくて手を挙げました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。今、議論から外すみたいな話になっていましたけど、大変重要なことかと思います。ちょうど次の学習指導要領の検討が始まった時期なので、この安全教育の時間というのが果たして学校教育全体の中でどういうふうな位置づけになるかということについても、ここでは議論してもなかなか変わらないんですけれど、国のほうで検討していただければというふうに思っています。
では、吉門委員、お願いします。
【吉門委員】 遅れてまいりまして、申し訳ありません。研究所のメイン事業がありまして、大変失礼しました。
なので、今まで会の空気をちゃんと読まないとと思って発言控えておりました。大変恐縮ですけど、私も、安全教育の議論は終わったというふうに今伺っていまして、皆さんの御意見も聞いたんですけど、来年度の検討事項にも絡んでいったり、今後、文部科学省としてどう進めていくかということにも関係があるので、あえて申し上げたいと思います。3点ほど申し上げたいと思うんですけども、まず、安全教育の評価の話が今日あったと思うんですけど、安全教育を、それから先ほど木間委員がおっしゃったことも非常に現場としては重要で、今の学習指導要領ができるときには、東日本大震災直後に安全教育、防災教育を教科にしろという声が非常に大きくて、そういうことにどうするかということが、文科省の中でも非常に悩ましかったというふうな記憶がございます。その中で、いろんな教科の中でカリキュラムマネジメントによって実現していくということで、今、落としどころとしては。でも、教科の中でちゃんと学べるところもあるんだねということで御理解いただいた部分もあるんですけども、でも、いろんな教科で身につけた知識をどうやって、先ほどのような子供たちの行動に移したり、子供たちの変容につなげていくかというところは、横串を刺すような時間が必要だったり、でも、特別活動の時間は限られているとか、総合だったらどうかということも、今までこの10年近く進めてきた中での課題もあると思うので、ぜひそういうところを視野に入れて進めて、安全教育の取組の充実というところの検討の中には、もちろん評価と絡めて、先ほどの委員の方々の御意見もありましたけども、目標設定がないと評価がないわけで、学習評価は必ず、目標と評価をセットなので、安全教育も、子供たちに何を身につけてほしいのかということの先にそれがあって、それが何が身についたか、何ができるようになったかという評価になっていくというふうに、学校での評価は一般的にそうなります。
今の生きる力を育むの冊子がそのように書かれていないのは、先ほど桜井委員がおっしゃった、防災については地域特性があるので、それを文科省が個別に具体的に書くと膨大になってしまったり、それから、文部科学省が限定的にこれだというと、それしか考えられないということも懸念されて、だから、こういうふわっとした書き方になってきていて、でも、実践レベルでいろんな実践を増やしていって、そういうことで周知していくということが今までの間にしたかったことではあると思う。そこへ来て、具体的に評価として体系化するのはどんなふうに考えましょうかということが、今の議論だった、今後やっていきたい議論だったというふうに私の中では理解していますので、ぜひそういうことも進めるように、例えば、それに当たっては、せっかく総合支援事業をやっていますから、そこの幾つかの、高槻市なんかは市を挙げてなさっていることは非常にすばらしいと思いますので、そういうところに、モデル地域とかモデル的にいろんな有識者の方も入って、モデル的に、そこで、例えば目標設定と評価ということで進めていく、逐次、都道府県教委にお任せで、学校にお任せでできた成果を上げてくださいねじゃなくて、文科省も逐一そこに入って、いろんなことを見ながら進めていくという、そういうモデルケースをしっかりと、かつては研究開発学校で、研発の中で防災教育をやっていただいた2校があったんですけども、研発まで行くと大変大きなことにはなるんですけども、総合支援事業の中でそういうふうに評価というものを体系化ということを試みるということを、進め方としてはそんなふうにやっていただけたらなというふうに思っていました。少し前の議論のところで申し上げるべき内容だとは思うんですけども。
検討事項ではないんですけども、検討事項と併せて、もう一つ、本来、今回の今の有識者会議というのは、あるべき姿というのは、3次計画がありますから、3次計画を実現するために文科省として何をするのかという大きな課題が2つあって、それを進めていくための有識者会議であったというふうに、昨年度から理解しているところです。いろんなもろもろスケジュールのこともあって、新たな職のことなんかも、まだまだスケジュール的に、大本のところは確定していない段階ですから、今こういうことになっていると思いますが、都道府県に周知を徹底して実効性があるものに高めていきますというお話がたくさんありましたけども、まず、文部科学省としてできることはきっちりやっていくということをぜひお願いしておきたいなというふうに思います。
その1つとして、周知の方法としても、都道府県の担当者会があって、従前はそこで初めて指導主事になった人が安全というものを、調査課の説明の中で、安全というのはこういうふうにやっていくんだということを知る場面だったと、私も最初に指導主事になったときにそんなふうにして学んできたということもあり、それから成果発表会も対面で行って、そこへ行くと、各都道府県の指導主事やモデル地域の人たちが一堂に会するので、そこで全体発表ではないいろんなコミュニケーションの場面でいろんなことが共有されていくというところもありますので、ぜひそういう、文科省が研修会とかいろんなことやっているところももう一度見直しを図られて、実効性のあるものに進めていただきたいというふうに思っております。
今の検討事項に戻りまして、このデータの活用と施策の検証、これもずっと今まであった議論なんです。それから、マニュアルの見直し、実効性を高める方策をどんなふうにやっていくかということが実は大事で、それを有識者会議で幾ら百万遍こういうことが大事ですというふうにやったとしても、現場に何をやればそれが実行できるのかということを、本当に具体的なことが下りていかないと、ここで検討して、こういうことが大事です、都道府県はこうやって指導しなさいということをいくら言っても実効性高まらないと思うので、具体的に何をどうすればいいのかという、既にマニュアルの見直しについては、新しいガイドラインで詳細なガイドラインも出されていて、でも、それが現場にあまり読まれていないということが大きな課題だと思うので、それだったら、そういうことが進むような、何をすればいいのかというふうに考えていくべきだなと思って、今までもあった議論で、この中での安全教育の評価というところが今まであまり手をつけられていないところだったのかなと私の中で思っていたので、この2つ目、3つ目のところは、具体的なことが進むようにしていただけたらなというふうに思いました。
長くなって申し訳ありません。以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ほか、来年の取組につきまして、皆様のほうから御意見ございませんか。大木委員、お願いします。
【大木委員】 災害安全のことになってしまうんですけども、能登半島地震は、地震学的には直下型タイプとしては非常に大きな、日本の歴史の中では非常に規模の大きなもので、学校施設に関する調査の速報が年末に関連学会から出たと思うんですけれども、今までとは違う被害を受けているんです。とはいえ、構造部分は大破には至っていないという、やっぱり日本の学校は強いなという結果にはなっているんですけど、そういった最新の知見を踏まえて、例えば、建築の方からの報告書を見る限りでは、渡り廊下みたいな接合部分はことごとく全てずれているんです。ですけれども、私が行く先々の学校で、渡り廊下なり建物が、学校はコの字型とかL字型だと思うんですけど、そこに接合している部分をまたいで避難する避難経路になっています。ですので、ちょうど第3次の学校安全推進計画ができた後に起きた地震災害で見られている被害を踏まえて、ここは施設の管理についてはあまり扱わないところですけど、そこに溝があって、ベースになっていることがあると思うので、避難経路の見直しとか、そういった、本当に我が事として、自分の学校には大体銀色のパッキンが挟まっているので、どなたでも学校にいれば見たら分かる、ここがくっついている接合部分なんだなというのが分かるようになっているので、そういったポイントを踏まえて、ここはずれる可能性がありますよ、この下を通って避難したら落ちてくる可能性がありますよという、そういった施設と絡めた、それと避難訓練がどうしても絡まってくるはずなので、それは第3次のときには入れられなかったことだと思いますので、施設の専門の方の意見も伺いながら、改めて学校の中でここを見直してください、その上で避難経路を考えてくださいというようなことをやる。そうすると、訓練の中に入ってくるし、マニュアルの見直しにもつながるんじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
【渡邉座長】 それでは、北村委員、お願いします。
【北村委員】 ありがとうございます。
先ほど吉門委員のおっしゃっていたのに非常に私も共感をして、ひょっとしたら前回もちょっと申し上げたかもしれないんですけど、別途昨年度末ですか、公開された安全点検のほうの要領なんかの関連で、安全点検に関して現場で支援するというのに行ったときに、安全点検の要領をまず知っていますかとか、見たことありますかと聞いたときに、校長先生が1人手を挙げればましというぐらいで、誰も手を挙げないというのが結構ありました。そういう意味で、せっかくいい議論をして、いい要領ができたりとかガイドラインができたりとか、何か通達をするとやっても、やっぱり現場になかなか伝わっていないですし、情報が届いていなくて、それが活用がうまくいっていないという現状はあるかなと思っています。
それに対して、文科省さんのほうでも、いわゆるPDFとかだけではなくて動画をつくってみたりという、いろんな取組をしているかなとは思うんですけども、ここもいかに現場で使えるような形で情報を伝えていくか、どうしたら使いやすく伝わるのかというところは、いま一度検討しないと、今後いろんな議論をしていっても、いい議論できました、現場には伝わっていません、変わりませんというと、非常にもったいないので、この部分に関しては、ひょっとすると全然違う分野でそういう取組をしている方の事例を御紹介いただいて勉強させていただきながら織り込んでいくとかいうことも考えていく必要があるのかなと思っています。
これは、現場では、いろんな影響で時間もなかったりとかということもあると思いますので、一方で、いろんな技術的には、例えばAIとかでかなりいろんな技術が進んでいるので、こういう膨大な資料をバーンとAIに読み込ませておいて概要だけ教えてもらったりとか、やり取りしながら、欲しい情報とか今すぐ知りたいことをぱっと教えてもらうみたいなこともできるような時代にはなってきているので、そういった意味で、今までとは違う情報の伝え方の在り方ということも考えていけるといいのかなと思っています。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ほかにはございませんか。では、平塚委員、お願いします。
【平塚委員】 ありがとうございます。
この中でいうと、3つ目の危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策についてという点について、危機管理マニュアルの見直しに関しては当然だと思うのですが、今、教育関係法規が手元にあるんですけど、学校保健安全法の第29条のところに、判例として大川小の訴訟のことが出ていまして、例えば避難場所と避難経路、それから避難方法をあらかじめ定めておくことが必要だったみたいなことが、平成30年に出されているわけです。こういった具体的なことというか、こういうことを強く押し出して整備していくことは大事なのかなというふうに思っていますし、ただ、それを実効性といったときに、マニュアルの整備は進むのかもしれないのだけれども、それが具体的に実効性を持ったものになるのかというところを、文科省としては、どういうイメージで考えているのですか、その辺の方策をちょっとお聞きしたかったんですけど。
【渡邉座長】 御質問ということ。
【平塚委員】 はい。
【渡邉座長】 一応皆さんに御意見いただいた上で、後で文科省のほうからお答えいただくということをしたいと思います。それでは、神内委員、お願いします。
【神内委員】 よろしくお願いします。
今、平塚先生がちょっと話題に出されていた大川小学校の事件なんですけど、この判決、よく読むと、結構校長とか、いわゆる学校の教職員に、一般人よりもさらに踏み込んだ専門性とか防災とか、そういうものの知見を要求しているんです。そうなってくると、今の状況で本当に判決が示した人材を担えているかどうかというのが、1つ、すごく問題で、これはもちろん判決に対する批判もありまして、現実見ていない裁判例、そういった見解はやっぱり問題だという意見も全然あるんですけども、一方では、多分この判決の影響力は大きいので、このことを見ていると、そこの人材育成というんですか、それをどうすればいいかというのが、この検討テーマの中にあまり入っていないので、そこがちょっと気になったことと、あと、例えば危機管理マニュアルとかの見直しとか実効性とかそういったところのほうで、それを1つ加えていくのはありなのかなというふうには少しちょっと思ったんです。例えば、今私とかも、専門家の先生と防災教育の専門家の先生とよくお話しする中で、各校に1人ぐらい、防災士の資格を持った先生とかを取り入れたらどうですかみたいな話が出ていて、防災士は結構割と取りやすい資格で、かつ結構いろんなことが勉強できる資格なんです。そういった目標とかあったら、多分うまくそういった人材とかも、育成とかにつながるのかなと思って、それを参考までにちょっとお話ししたんですけども、大きく危機管理マニュアルの見直しとか実効性を高める方策のところに関する提案かなというふうに思います。
以上です。
【渡邉座長】 それでは、桜井委員、お願いします。一応御意見、御質問は桜井委員で終了させていただきます。
【桜井委員】 すみません、時間が迫っている中。今日最後ということと、あと今、大川小学校の事例が出たので、この危機管理マニュアルの検討については一言申し上げたいことがありまして、お話しさせてください。
先ほど大木委員からもお話にあったと思うんですけど、この危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策については、石巻の事例、今検討、まさにマニュアルの見直しの方法について検討して研修を計画していますけれども、もはや教育委員会だけでは対応ができない状況になっております。つまり、専門家以上の知見を持たなきゃいけないという判決に基づいていくと、やはり市の危機管理の部署との極めて緊密な連携が必要で、学校周辺の避難場所、緊急避難場所や住民等の避難については、学校と地域がどう連携していくのかというのが実効性を高めるためには必要で、そのためには、市のレベル、行政のレベルで、教育委員会と関連部局がどうやって本気で検討を進めるかというところにかかっているように、今そのような状況にありますので、この点についてだけ、今後検討する際に、ぜひ他部局との連携というところを、これについても入れていただけたらと思います。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見はここまでとして、文部科学省のほうから、先ほど平塚委員からの御質問にお答えいただければと思います。
【合田補佐】 このテーマの実効性のところなんですけれども、おっしゃるとおりのところでございますけれども、もちろん見直しを定期的にやっていただくということがまず大事で、このPDCAサイクルを回しくださいねということがあるかと思いますけれども、その見直しをした際に、当然その中身がきちんと効果のあるものでなければならないというような意味での実効性を高めるということを書いているというふうに理解しております。
取組状況調査などでも、外部の専門家の方ですとかといったものを活用した見直しがどれぐらいできているかといったことも調査をしておりますし、我々のモデル事業の中でも進めているかと思いますけれども、なかなかそれが十分に進んでいないという状況もあるかと思っておりますので、そういったところをどうやってさらに施策を進めていけばいいかといったことを、このテーマの中でさらに議論をできればというふうに考えております。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
以上で議事の3を終了させていただきますけれど、本日皆さんいろいろ御意見いただきまして、恐らくこの有識者会議を超えているといいますか、もっと上のところでやってもらわないといけないようなことも多々あるんじゃないかなと思います。ただ、そういったことは、ぜひすぐに実現しないかもしれませんけれど、御意見としてどんどん出していただければと思います。来年以降も、そういう形でお願いできればと思います。
それでは、予定されました議事は以上ですが、今回はこれで今年度最後ということなので、最後に、私のほうから、あと簡単に御挨拶させていただきます。
この有識者会議では、昨年度は学校事故対応に関する指針の見直し、そして学校における安全点検の在り方を取り上げまして、今年度は、本日まで学校安全を推進するための組織体制の在り方の検討を進めてまいりました。委員の皆様のおかげをもちまして、第3次学校安全の推進に関する計画で挙げられた幾つかの課題に対して、本会議での役割を果たすことができたとは思います。この場をかりまして、皆様に御礼申し上げます。もちろん成果も上がったとは思うんですが、まだ残されている課題、そしてまた新たな課題というものがあるわけです。このような課題に対して、これで終わりにするのではなくて、来年度以降も引き続き議論していただきまして、よりよい学校安全をつくっていければと思います。特に、今年は組織体制について、今回方向性というのは示せたんですけれど、これが教育現場で実際に機能して、そして定着していくためには、また時間がかかると思います。また、さらなる工夫も必要かと思います。また、先ほど、来年度以降に取り上げるテーマの御説明がありましたけれど、ここに挙がっていることも含めまして、まだまだ学校安全について解決を図らなければいけない課題があるかと思います。これからも、委員の皆様の御協力をお願い申し上げて、私の今年度最後の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、事務局へお返しします。
【遠藤専門官】 最後に、事務局から御挨拶をさせていただきたいと思います。
【江﨑審議官】 今日は、いろいろ活発な御議論をありがとうございます。総合教育政策局担当審議官の江﨑と申します。
今年度の学校安全の推進に関する有識者会議、親会議、ワーキンググループ合わせて10回というようなことであったというふうに承知しております。本当にお疲れさまでした。
今年度は、学校を取り巻く環境が複雑化、多様化する中にありまして、子供たちの安全が実効的、それから持続的に確保されるよう、コミュニティースクールの仕組みや、それからそういったものを活用したもの、あるいは地域や関係機関と連携による取組、学校安全の中核を担う教職員を位置づけることを始めとした校内体制の整備、教職員の資質能力の向上などについて御議論いただきまして、このほど審議のまとめとして、取組の方向性を具体的な施策について提言をおまとめいただいたところでございます。
この審議のまとめに込められた思いのとおり、学校現場において実効性のある取組や、子供たちが安全に安心して学べる環境を整備、充実させていくために、文部科学省としましては、まず、その趣旨が、全国の教育委員会、学校等にしっかりと伝わるよう周知に努め、そして、提言を踏まえた取組をスピード感を持って推進してまいりたいと思っております。
今年度の会議は本日が最後ということでございますけれども、委員の皆様におかれましては、それぞれのお立場から、引き続き御指導を賜れますと幸いでございます。御多用中にもかかわらず、本会議の議論に多大なる御尽力、御協力をいただいたことに深く感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、これで第4回の有識者会議を閉じたいと思います。1年間、御尽力、皆様ありがとうございました。本日もお疲れさまでした。これで終了いたします。

―― 了 ――

 

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)