学校安全の推進に関する有識者会議(令和5年度)第3回 議事録

1.日時

令和5年12月22日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 各ワーキンググループの検討状況について
  2. その他

4.議事録

【渡邉座長】 ただいまから第3回学校安全の推進に関する有識者会議を開催いたします。座長の渡邉でございます。本日は御多忙の中御出席いただき誠にありがとうございます。
それでは、事務局より、本日の配付資料と出席委員の確認をお願いいたします。
【遠藤専門官】 本日の配付資料でございますけれども、次第に記載しておりますとおり、本日、議事で使いますのは資料1-1から資料2-2までになってございます。それから参考資料については、1-1から参考資料の5までとなってございます。
なお、参考資料の5、第三次学校安全の推進に関する計画、主要指標に係る参考値につきましては、来年度の有識者会議の中で議論させていただきたいと思ってございます。今回、参考で付けさせていただきましたので、御報告申し上げます。
それから、本日の欠席連絡をいただいている先生方でございますが、参考資料の1-1になります。裏面になりますが、名簿の上から4番目、木間先生、それから、上から6番目の嵯峨先生、お二人が欠席の連絡をいただいているところでございます。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。配付資料などに不備はないでしょうか。何かございましたら、Zoomの挙手機能で事務局のほうへお知らせください。
それでは、本日の議事に入ります。本日の議事は、各ワーキンググループの検討状況について、2つのワーキングから御報告いただきまして、そして、それについて委員の皆さんに御意見などをいただきたいと考えております。
それでは、まず、1つ目、最初のワーキングから御報告いただくということなんですけれど、最初は、学校事故対応に関する指針の見直しのワーキンググループとなります。ワーキンググループの座長でいらっしゃいます、大阪教育大学、藤田先生から御説明をお願いいたします。
【藤田委員】 学校事故対応に関する指針の見直しワーキンググループ座長の藤田です。
学校事故対応に関する指針の見直しにつきましては、予定されている4回のワーキンググループでの検討を終え、今回、改訂版(案)として取りまとめましたので、報告させていただきます。本日、報告させていただく資料は、資料1-1、1-2、1-3になりますので、お手元に御用意ください。
資料1-1は、学校事故対応に関する指針改訂版(案)の概要をまとめた資料です。今回の改定のポイントを、この資料を使いまして、報告させていただきます。また、資料1-2は、指針改定版の本体となりますので、赤字で記載している箇所が、今回の改定箇所になりますので、適宜、概要版とともに確認をお願いいたします。
なお、資料1-3は、新たにQアンドAを作成し、学校や学校の設置者等が、本指針を参考に取組を進めていただくため、改定内容の具体の開設など、理解促進を図れるよう、作成したものですので、併せて確認をお願いいたします。
それでは、資料1-1を御覧ください。指針の目的及び改定の趣旨ですが、事故等の検証や再発防止、死亡事故等の発展に関する国への報告の徹底等が図られるよう、具体的な方策を示し、組織的に事故の未然防止、事故発生時の適切な対応等に実効性を持って取り組めるように検討し、改定を進めました。
以降、赤字で記載しておりますのが、主な改定のポイントとなりますので、この改定点を中心に説明いたします。
まず、1、本指針の目的、対象、構成です。本指針の前提となる目的は、先ほども説明したとおり、事故の未然防止、事故が発生した場合の適切な対応、保護者への十分な説明、事故の発生原因の究明、再発防止を措置的に行うことであり、本指針の対象としては、原則として、登下校中を含めた学校の管理下で発生した幼稚園及び認定こども園における事故や、いじめ等の重大事態等を除く事故となります。
また、指針本文4ページに記載しておりますが、学校の設置者、都道府県と担当課の取り組む内容を分かりやすくするよう、対象を明確に示しております。事故の未然防止については、これまでの発生した重大事故の教訓やJRC、蘇生ガイドライン2020などの最新の救急救命の在り方などを踏まえて見直しました。
そのため、まず初めに、重大事故、ヒヤリ・ハット事例の共有と活用を、全国の学校等で発生した重大事故をはじめ、校内等で発生したヒヤリ・ハット事例も教職員間で共有することが、実効性ある学校安全の体制を構築する上で非常に重要であるため、一番最初の項目に持ってきております。
次に、各種マニュアルの策定、見直しについては、学校が作成する危機管理マニュアルについて、事故や災害等から児童生徒等の安全を確保できるものになっているかを定期的に点検し、不備があれば、指導助言により、是正を促す必要があることを新たに加えております。
次の教職員の危機管理に関する支出の控除については、未然防止を含めた、事前、事故発生時、事故発生後のそれぞれの場面における対策、対応の研修の在り方について言及する中で、事件、事故発生時の対応訓練の留意点として、被害児童生徒等の生命に関わる緊急事案については、救命処置が秒を争うことから、管理職への報告よりも救命処置を優先させ、迅速に対応することの確認のほか、新たに119番通報の際に、現場からいち早く通報が行える体制を整えることを加え、危機等発生時に被害を最小限にとどめる都内の観点を重視しております。
次の、安全点検の実施と安全教育の充実では、現在、学校の安全点検等在り方検討ワーキンググループで検討している学校における安全点検要領など、参考にしながら、安全管理を徹底していくことなども加えました。また、安全教育の充実においては、救命に関する児童の充実にも新たに言及しました。
事故発生に備えた事前の取組等については、事件、事故が発生した場合の対応に備えて、事前の体制や連携整備等について示している箇所です。まず、緊急時対応に関する事前の体制整備では、児童生徒が意識を失って倒れるなどの緊急事案では、駆けつけた教職員の中で、直ちに指揮命令者を決めて、組織的に対応できるよう、想定訓練を実施しておくとともに、事故現場からの119番通報の仕方や、救急現場での役割分担一覧表を名札などに入れて、常時携行する事例などの記載をし、誰もが取り組めるよう、体制整備を図っておくことなどを新たに加えました。
保護者や地域住民、関係機関等との連携、協働体制の整備では、在校園児等において、事件、事故等が発生した場合の児童生徒等の安全確保や連絡体制について、家庭に知らせ、対応の共有を図ったことを新たに加えました。
また、児童生徒等の安全をより確実に確保するため、家庭、地域、関係機関等との意図的、意識的な連携、学校運営協議会などの場の設定、活用により、連携協働を進めることが重要である点を加えました。
また、指針本文13ページには、以前の取組等の推進に当たってとし、学校安全計画に基づく取組の推進や学校が行う対応のサポート体制を整えておくことや、詳細調査委員会の構成員の事前検討など、事故発生に備えた取組を記載しています。
事故発生後の対応の流れでは、事故発生直後の取組から、事故発生直後から1週間程度の基本調査を含む初期対応時の取組、それ以降の詳細調査の実施に至るまでの流れを記載しています。
まず、事故発生直後の取組として、事故に遭った児童生徒等の命を優先し、速やかな応急手当ての実施が必要であり、呼びかけに応じないなど、重篤な事故では、誰でも即座に119番通報、複数の教職員により、通信指令員からの口頭指導内容を共有し、対処することを追加しました。また、被害児童生徒等の保護者への連絡、現場に居合わせた児童生徒等への対応についても記載しています。
次の初期対応時、事故発生直後から、事故後1週間程度の取組では、危機対応の体制を整え、被害児童生徒等への保護者への対応を、責任を持って誠実に行うことを記載しています。その中で、学校の設置者等への事故報告、支援要請における事故の報告対象を次のような事故が起こった場合として整理しました。
1つ目は、死亡事故の発生を漏れなく学校設置者と共有されるよう、全ての登下校中を含めた学校の管理下において発生した死亡事故としました。
2つ目は、現行の治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う場合等、重篤な事故に加え、重篤な事故の捉え方として、治療に要する期間が30日以上でなくても、人工呼吸器を装着、ICUに入ると、意識不明等の場合や身体の欠損、身体機能の喪失を伴う事故等も含むことを新たに明文化しました。
次の、国への一報では、死亡事故が発生した場合は、確実に国まで報告がなされるよう、新たに項を起こして記載しています。なお、国への一報の報告対象を死亡事故及び意識不明など、児童生徒等の命に関わる重大な事故とし、国はこれらの報告を基に、全国の学校における類似の事故防止に役立てることを新たに加えました。
初期対応時のその他の対応として、指針本文20ページから基本調査の実施、保護者への説明、報道機関等への公表、詳細調査の実施の概要を記載しています。基本調査、詳細調査の実施については、次に項目で説明いたします。
調査の実施では、基本調査、詳細調査の詳細を記載しています。まず、基本調査については、事案発生後、速やかに着手し、学校が、基本調査期間中に得た情報を迅速に整理するものです。調査の対象については、学校からの事故報告のあった死亡や重篤な事故を対象とし、学校の設置者が調査の実施を判断するとしており、治療に要する期間が30日以上となる場合でも、骨折や捻挫等の事案は、事故の発生状況等により、調査の実施の有無を判断することとしています。
基本調査の実施主体は、学校の設置者の指導、支援の下、原則、学校が実施しますが、新たに事故の重大性を鑑み、学校の設置者は職員を学校現場に派遣し、助言と学校では手が回らない部分をサポートするなどの支援を行うことも加えております。
指針本体、25ページからになりますが、調査実施に当たっての留意事項、手順では、教職員や児童生徒等に聞き取りを行う際の配慮や負担軽減について記載しています。関係する教職員からの聞き取りでは、教職員の心のケアに配慮しながら行うこと、事故の発生状況を踏まえた学校設置者の支援について、事故現場に居合わせた児童生徒等への聞き取りでは、その配慮事項、関係機関との協力では、新たに警察で捜査が継続されている場合の対応について加えました。
情報の整理、再発防止策の検討報告においては、学校における基本調査の実施に関し、学校の設置者が適切な対応を促すとともに、事故等の原因が明らかで、再発防止策を講じられると設置者が判断したときは、学校として再発防止策を検討し、設置者に報告することを加えています。
また、都道府県等担当課は、指針を踏まえた対応を設置者に等に助言することや、都道府県内の事故の状況を把握し、再発防止に生かしてもらうよう、学校の設置者に報告された基本調査の結果を都道府県担当課が取りまとめ、国に報告することを新たに加えました。基本調査における被害児童生徒等の保護者との関わりでは、被害児童生徒等の保護者との関わりを通じて得た情報は、学校と学校の設置者が確実に共有すること。被害児童生徒等との保護者との関わりは、基本的には学校が行うことが想定されますが、事故の重大性を鑑み、必要に応じて、学校の設置者が、被害児童生徒等の保護者への事実関係の説明や、今後の調査の意向を確認する必要があることも加えました。
詳細調査は、基本調査等を踏まえ、必要な場合に、詳細調査委員会において行われる詳細な調査であり、事実関係の確認のみならず、事故に至る過程を丁寧に探り、事故が発生した原因を解明するとともに、事故後に行われた対応についても確認し、それによって、再発防止策を打ち立てることを目指すものです。
移行の判断主体は学校の設置者となります。詳細調査に移行すべき事案の考え方ですが、次のような場合は少なくとも詳細調査に移行するとし、具体の考え方を新たに示しました。アとして、当該事故の教育活動の中に、事故の要因があると考えられる場合、事前の安全管理体制に十分でない点が認められるなどの事例です。次にイとして、事故発生直後の対応の中に適切でない点が認められる場合、ウとして、基本調査により、事故の要因が明らかとならず、再発防止策が検討できない場合、エとして、被害児童生徒等の保護者の要望がある場合、オとして、その他必要な場合、また、学校の設置者は、意向の有無等を都道府県担当課を通じて、国まで報告する体制を新たに加えています。
なお、詳細調査に移行しない理由で不明な点がある場合には、都道府県と担当課は、学校の設置者に確認し、必要に応じて助言、国も助言等を支援することも加え、保護者の要望等に配慮し、指針に基づく対応を連携して促せるよう取り組んでいきたいと考えています。
詳細調査について、詳細調査の実施主体は基本的に学校の設置者としています。詳細調査委員会の設置と詳細調査委員会の構成等では、学識経験者や医師、弁護士、学校事故対応の専門家等の専門的知識及び経験を有する者で、対象となる事案の関係者と直接の人間関係、または特別の利害関係を有しない第三者としており、新たに国等に応じ、学校の設置者等における詳細調査委員会の設置に支障がないよう、助言等の支援を行うことを加えています。
指針本体33ページからの詳細調査の計画、実施手順、被害児童生徒等の保護者からの聞き取りにおける留意事項、事故に至る過程や原因の調査と再発防止、学校事故予防への提言、報告書の取りまとめでは、現行の指針から大きな改定点はございませんが、聞き取り対象への聞き取りを行う目的を明らかにして行うことや、報告書の取りまとめの際の具体例など、新たに加えています。
再発防止策の策定、実施では、5-1、調査の目的、概要及び目標に照らして、今後の学校事故予防、再発防止に調査結果を役立てることが必要となります。詳細調査委員会の報告書等の活用では、学校及び学校の設置者は、報告書の提言を受け、速やかに具体的な措置を講ずるとともに、応じた措置及びその実施状況について、適時適切に点検評価すること。詳細調査委員会の報告書等の国への提出についても示しています。
事故等の状況の取りまとめでは、それぞれの地域において、事故の再発防止に生かせるよう、新たに都道府県等担当課は、来年度、当該都道府県内の学校管理下で発生した事故等の基本調査及び詳細調査から、事故原因、傾向、再発防止策等の、事故等の状況について取りまとめ、当該都道府県内に周知、再発防止に努めるとともに、国に報告することを加えました。
具体的、実践的な再発防止策の策定では、学校または学校の設置者は、報告書の提言を受けて、被害児童生徒等の保護者の意見も聴取するなどして策定し、その徹底を図ることとしています。再発防止策の継続では、都道府県等担当課は、この取組状況を把握いただき、再発防止策の継続を働きかけていただくことも加えました。
国における取組においては、全国の学校における事故等の発生状況、基本調査及び詳細調査の実施状況等を把握し、蓄積した事故情報を有識者会議等において検討分析し、教訓とすべき点を整理、学校の設置者及び都道府県担当課に周知することを加えました。被害児童生徒等の保護者への支援について、学校及び学校の設置者が組織的に対応していく必要があります。被害児童生徒等の保護者への関わりでは、被害児童生徒等の保護者への丁寧な説明、継続的なサポートが必要であること。児童生徒等の心のケアにおいても、組織的な支援が必要であること。また、教職員に対しても継続的な心のケアが必要であることなどを示しています。災害共済給付の請求については、請求に当たって、保護者と意思疎通を図りながら進めることなどを新たに加えています。
中立的な立場で、事故の対応を支援する支援担当者の設置では、現行指針のコーディネーターという名称から支援担当者という名称に変更しました。これは大きな役割の変更はありませんが、一義的には、学校の設置者が、被害児童生徒等の保護者と学校の2者間ではコミュニケーションがうまく図れず、関係がこじれてしまうおそれがあると判断したときに、被害児童生徒等の保護者と学校双方にコミュニケーションを取ることができ、中立の立場で現場対応を支援することができるよう設置するものであることから、その趣旨が明確となるようにしたものです。また、継続的な支援が必要になるため、複数人のチームで対応することも加えています。
以上が指針の概要と主な改定点となります。
次に、指針の有効性、理解促進を図る取組について、指針の実効性を図るために、指針本体の参考様式として学校の設置者、都道府県等担当課向け取組確認用のチェックリストを作成し、指針に基づく着実な実施ができるよう工夫しています。また、同じく参考様式として、新たに事故報告を作成し、また、事故発生時の記録などに使用する各種様式も備えています。文部科学省の学校安全ポータルサイト等への掲載を予定しているとのことであり、各学校や学校の設置者が対応に役立ててもらうことを想定しています。
指針の理解促進を図るために、指針の内容を補足するQアンドAを新たに作成しています。また、指針の周知の必要性について、これまでの親会議でも意見を伺っておりましたので、既存の都道府県教育委員会等の学校設置者の担当者を対象とした会議や説明会、学校向け研修会において、周知理解を深める内容の実施、さらには、周知を資料等の作成、提供も予定しているとのことです。
また、今後、文部科学省においてパブリックコメントを行うことも伺っておりますので、本日の親会議の意見、パブリックコメントの意見等も参考にしながら、次回の親会議で最終検討いただきたく思います。
以上で、学校事故対応に関する指針の見直しに係る検討状況の報告を終わります。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ワーキンググループの委員の皆様、検討ありがとうございます。予定しておりましたワーキンググループでの検討はこれで終了し、改訂版の案が、今御報告されましたけれど、内容につきまして、委員の皆様から御意見、御質問があればよろしくお願いいたします。御発言される方は、挙手機能のほうで上げていただくか、こちらに分かるようにしていただければと思います。いかがでしょうか。
特に、こちらはもう一つのワーキングのほうに入っている方は今日、初めてお聞きになったと思いますので、そちらの、もう一つの安全点検のワーキングの方の方も積極的に御意見いただければと思います。いかがでしょう。ございませんか。もちろんこちらの指針のワーキングの委員の方から御発言いただいても結構ですので、もしありましたらお願いいたします。
首藤委員、お願いします。
【首藤委員】 主社会安全研究所の首藤です。御説明ありがとうございます。質問とか意見というよりは、援護射撃的なことなんですけれども、非常に事務局の方々は苦労していただいて、すごく、しっかりと整理できた指針案になったかなと私個人は思っております。特に、これまでと違う大きな点として、誰がやるのかという主語をしっかり指針のそれぞれの項目に明記しているというところがとても大きな進化だと思っておりまして、こちら、チェックリストとかもつくっていただきましたけれども、この指針が、具体的に動きにつながるようなものになるのではないかと期待しております。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。桐淵委員、お願いいたします。
【桐淵委員】 桐淵です。ワーキンググループのメンバーでもありますので、特に疑問とか質問ということではありません。
私は、中学校教員の経験や教育委員会で勤務した経験から、教職員が全国でどんな重大な事故が起きていて、それを防止するためにどうしたらいいのかという基本的な学習をしていないという現状に問題を感じておりました。今までの教員養成課程でも、学校安全や事故防止は必須の内容になっておりません。これは、教職免許法が改正されましたので今後改善されていくと思いますけれども、そういう中で、今回の改訂案で、重大事故ヒヤリ・ハット事例の共有と活用という内容が先頭に前面に出てきたことは非常に評価できると思います。これが1点。
もう一つは、日本で2004年にAEDの市民使用が解禁されてから、人が倒れたときに周りにいる人がどういう処置をするかが非常に重要視されてきました。特に、119番通報すると、通信指令員がたとえ救命講習を受けていなかった人に対しても、「こうしてください」と胸骨圧迫(心臓マッサージ)などの指示をするようになりました。NHKの「エマージェンシーコール」という番組でもそうした場面が紹介され、実際にそれで救われている事例なども出ております。指針の改訂案では、その点、迅速な119番通報と通信指令員の口頭指導に従うことが強調されたのも非常によかったと思います。
そこで、文部科学省にお願いしたいことがあります。市民が行う一次救命処置の重要性がこれだけ社会的に注目されており、その基になるJRC(日本蘇生協議会)の「蘇生ガイドライン」が5年に一度改定されていきます。これは、世界中のエビデンスを集めて、関連学会から選ばれた研究者がまとめていくものです。特に私が教育長任期中に関わった桐田明日香さんの事故から生まれたASUKAモデルの考え方も非常に注目されておりまして、「蘇生ガイドライン」にもこの指針にもそれがよく反映されていますが、「蘇生ガイドライン」は、今度2025年に改定があります。最新の改定内容をこの指針の中にどう反映させていくか、そのシステム的な検討もぜひお願いいたします。おそらくそれほど大きくは変わっていかないと思いますが、やはり世界中で研究され、最も適切な対処方針が打ち出されていきますので、それを指針に反映させるシステム的な対応をお願いしたいということが要望です。

【渡邉座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。御意見とかございますか。平塚委員お願いします。
【平塚委員】 平塚です。ありがとうございます。私もワーキンググループのほうに参加させていただきました。膨大な資料をきちんと整理いただきまして、ありがとうございます。
ヒヤリ・ハット事例について、実際、現場のほうに既にいろいろ情報として入ってきています。個人情報に配慮しながら、非常に具体的な話が流れてきていまして、これまで以上により見やすくなったといいますか、それを活用できるような形になってきているというのは非常にありがたいなと思っています。特に今後、現場のほうでもしっかり共有しながら、事故の未然防止ということで、実践できればと思っています。
【渡邉座長】 ありがとうございました。先ほど申しましたように安全点検のほうの委員の方たちは、今日初めて御覧になったと思うので、最新版を御覧になったと思いますけれど、こちらのほうで指名させていただきたいんですけど、北村委員、何か、御意見箱ありませんか。
【北村委員】 ありがとうございます。今、挙手をしようかと思っておりました。ありがとうございます。
内容については、しっかりワーキングのほうで練っていただいたので、特にそこに関してコメントというわけではないですけれども、今日、藤田先生がポイントに絞って御説明いただいただけでも30分近く説明があるぐらい、かなりボリュームのある内容になっていると思いますので、この内容を、いかに現場の方たちがうまくちゃんとそしゃくして、活用可能な状態にしていくかというところが、今のできた指針から、そこは少しギャップがあると思うので、先ほどの御説明の中でも、今後研修会であるとかそういうところで周知していくということでしたけども、そこはかなり分かりやすく、現場で使うことを想定したチェックリストだったりとか、何かフローチャートだったりとか、そういうものがないと、指針はすごくよくできているんだけども、現場は何かありますねということだけ知っていて、内容があまりよく理解できませんという状態になってしまうと非常にもったいないので、そこの現場に落とし込んでいくというところが、今後非常に大事なところになるのかなと思っています。
それから、内容を含めて重大事故が発生したときに国に報告するという内容であったりとか、中立な立場で事故の対応を支援する方がいるとか、再発防止策をしていくというようなことがうたわれているんですけれども、これを個々の学校で対応して終わりというのではなくて、これは中心でちゃんと吸い上げて、対策が必要なものに関しては対策を、こういう方法で対策をしなさいという形で発信するというようなことも必要だなと思っています。
また、最近、何個か幾つか学校現場を見させていただくことがあったんですけれども、対策しなさいと言われているけども、学校では、もう予算もないのでいかんともできませんと言って対策が進んでいないというケースもかなり見られましたので、対策をして安全を守るというために、学校を頑張りなさいというだけでは難しいので、そこの予算的な仕組みづくりというのも、今後大きな課題ではないかなと思っていますので、できた指針をうまく活用して、本当に安全に資する取組になっていくという部分が、今後、さらに検討が必要な部分かなと思っています。
少し長くなりました。以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ただいまの北村委員の話なんですけど、藤田先生、何かコメントございますか。
【藤田委員】 御指摘いただいたように、いかに現場に具体的に普及させていくかという観点で、今回の指針改定におきまして、学校の設置者をかなり全面にいろいろと言及し、それをさらに国への報告ということも明らかにしていくという中で、そういう点で吸い上げていって活用していくという対策はかなり強調されたものかと思っております。
ただ、おっしゃったように、今後予算をどうするかと、これは多分、また国のほうの御検討事項になっていくのではないかと思いますが、そういった中で、今回の指針改定におきまして、国の責務というのがかなり強くなったということで、国のほうでも今後、検討を進めていただけるのではないかと期待をしております。
【渡邉座長】 ありがとうございました。先ほど北村委員から御指摘あった、チェックリストの件ですけど、本文の最後に、チェックリストが今回、新しく入っていますので、そこで学校の先生方はチェックしていただいて、また、QアンドAもありますので、今回はそういうふうに、学校関係者の方にしっかり理解していただくというような部分が加わったのかなとは思っております。ありがとうございます。
それでは、もう一つのワーキングの座長をされている小川先生からは何か御意見ございますか。
【小川委員】 ありがとうございます。すごく詳細に検討していただいて、全体像が見えてきたなと思いました。御説明ありがとうございました。
それで、私のほうでは、安全点検の在り方を検討していますが、今回、事故対応の話と安全点検の話で、オーバーラップする部分もあるなと思います。特に未然防止のところで、ヒヤリ・ハットとか重大事故の情報を共有すること。事故があったからゆえに、こういう点検をしているんだと、そこが有機的に融合しているからこそ、点検に意味があり、研修に意味があるという話になってくるので、オーバーラップしているなと思いました。
また、詳細調査をした結果を、点検とか研修等に反映させていくということですので、この点検と事故調査が、どういうふうに実質的に融合していくのかなというのを感じた次第です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。先ほど申しましたように、指針のほうのワーキングはこれで終了して、これからパブリックコメントという流れになっていって、それから、最終的に発表ということになると思うんですけれど、これまでの議論がすごく生かされていると思っております。
ほかに一言何かおっしゃりたいという委員の方、ございますか。大丈夫ですか。
事務局のほうからは指針のワーキングについて何かございますか。追加のこととか、よろしいですか。
【遠藤専門官】 大変貴重な御意見、ありがとうございました。今日いただいた御意見も踏まえながら、また検討をしっかりしていって、また、2月の親会議のときに報告をさせていただきたいなと思ってございます。ありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは、こちらの指針のワーキングの御報告、皆さんの御意見につきましては、これで終了させていただきまして、次に、学校の安全点検と在り方検討のワーキングの御報告につきまして、小川先生からよろしくお願いいたします。
【小川委員】 学校の安全点検等の在り方検討ワーキンググループ座長の小川です。よろしくお願いします。
学校安全点検等の在り方検討につきましては、前回の親会議の後、2回ほどワーキンググループで会議しまして、今回、学校におけます、安全点検要領案を取りまとめましたので、報告させていただきます。
本日、報告させていただく資料は、資料2-1、それから資料2-2になりますので、お手元に御用意ください。まず、資料2-1は、学校における安全点検要領についての骨子案です。資料2-2は、現在、作成進行中の要領抜粋版となります。
初めに、資料2-1について説明します。学校における安全点検要領についての骨子案です。
まず、1、要領作成の目的ですが、学校及び学校の設置者が連携した安全点検体制の確立により、学校の施設、設備に起因する事故を防止することを狙いに、学校における施設、設備の定期の安全点検等に関する標準的な手法及び専門的な知見を取り入れた外部人材等の活用について、その考え方と先進事例等を示し、教職員の負担軽減も考慮しながら、学校現場等における質の高い実効性のある、安全点検の在り方を検討していくために参考となるようにすることを目的としております。
また、安全点検は児童生徒等を守る安全管理として欠かせない取組であり、安全教育と相互に関連づけて組織的に行うことが重要です。点検だけを独立して進めるのではなく、安全教育と相互に関連づけて進めていくということは、ワーキングでも議論されました。そのため、児童生徒等への安全教育との関わり等を踏まえた学校での取組に資するものと考えております。
2、要領の主な内容についてですが、学校における施設、設備の定期の安全点検等に関する標準的な手法や専門的な知見を取り入れた外部人材等の活用などの考え方及び先進事例などとしており、次の骨子案で内容を説明させていただきます。
3、骨子案についてですが、別紙骨子案、2ページ目になります。別紙骨子案を御覧ください。骨子案の構成として、主に8つの大項目に分けております。大項目の1つ目、安全点検要領についてですが、点検要領作成目的、点検要領構成、消費者安全調査委員会からの意見の項目とし、作成目的、安全教育との関連性についての考え方、要領の構成の概要等が分かるように内容を構成しております。
次、大項目2つ目、安全点検実施の考え方についてです。学校における安全点検のPDCAサイクルとして、安全点検計画立案から実施、評価、改善等のサイクルの安全点検に必要な一連の取組の流れや必要事項を示します。安全点検の実施体制では、学校の設置者及び学校の安全点検の役割と連携について、専門的知見からの点検、教職員が行う安全点検の考え方を含め、示します。学校の設置者と学校の安全点検に関する連携について、安全点検の実施の流れとして示します。改善措置では、施設設備の不備や危険箇所があった場合の改善措置の在り方について示します。
3つ目、安全点検の種類と対象についてです。学校保健安全法施行規則に基づく安全点検、種類として、同法施行規則に基づく定期、日常、臨時の安全点検に関する考え方をここで示します。学校における安全点検を行う対象の考え方として、安全点検が施設、設備の劣化、破損状況のチェックだけでなく、児童生徒等の行動の観察、全国の重大事故、事故で起きたけがの発生状況、ヒヤリ・ハット事例などを踏まえた点検の対象の検討となるよう構成し、学校生活上、不審者侵入防止、自然災害等の発生に備えた観点の安全点検を行う対象の検討に当たっての留意点を示します。
点検の頻度と方法では、安全点検の頻度をどのように考えたらよいのか、また、どのような方法で点検を行うのか、その考え方を示します。
次、大項目4つ目、事故情報の共有についてです。事故発生のリスクとして、日本スポーツ振興センター災害共済給付事例を基に、学校施設、設備が起因する事故事例の分析の考え方と分析結果を示します。ヒヤリ・ハット事例の活用では、児童生徒等や教職員からのヒヤリ・ハット事例の収集等に関する活用の意義と取組例を示します。
次、大項目5つ目、安全点検表の活用についてです。安全点検表の作成に当たってとして、各学校が点検を行う際に作成する安全点検表作成の考え方をここで示します。安全点検表作成のベースとなる点検の観点として、主な観点項目例や、その際の点検の方向を示します。様式のサンプルになりますが、安全点検表及び集計表の例として、学校の実情に合わせて編集可能なサンプルを2点ほど示しております。
次、大項目6つ目、安全点検の方法と解説についてです。解説の活用の仕方として、解説の活用方法を示します。場所ごとの安全点検の方法の解説で、教室内、廊下、階段等、屋外、校地、屋外運動場、プール、屋内運動場の各場所の主な点検箇所について、新しい点検場所を受け持った場合や、新規採用の教員にとっても参考となるよう、事故発生のリスク、点検の視点、主な点検の方法、対策を示します。点検方法の理解促進のため、点検方法の映像も作成し、ここで示すようにする予定であります。
次、大項目、7つ目、安全点検の取組事例についてです。専門家を活用した安全点検、教職員の負担軽減に資する安全点検、児童生徒等の視点を取り入れた安全点検、地域や保護者等と連携した安全点検など、学校や学校の設置者の取組の参考となる事例をここで掲載する予定でいます。現在、事例を収集中ですので、次回の親会議で報告させていただく予定であります。
次、大項目、8つ目、安全点検参考資料については、安全点検に関する通知や安全点検に関する資料等をここで掲載する予定であります。ここまでが点検要領の骨子概要です。
元に戻っていただいて、4番目です。公開方法です。骨子の4、公開方法について御説明します。この点検要領は、ホームページとして作成し、公開する予定です。事故防止に資する安全点検の新たな事例や最新の知見等をタイムリーに更新できるよう、文部科学省として考えているところであります。また、点検要領の活用促進に当たり、概要版パンフレットも作成し、周知を図るなど、文部科学省において検討していきます。
次、5番目、要領作成における主な参考資料についてですが、記載の資料等を参考に作成いたしました。既にこれまでの事故を教訓とした学校における安全点検の充実に向けた取組方針を示している自治体もありますので、そういった資料も参考としております。
次に、資料2-2を御覧ください。説明した骨子案の内容を踏まえて、現在作成しております学校における安全点検要領案(抜粋版)について、御説明いたします。まず、今、表示しておりますのはトップ画面のイメージですけども、あくまでも仮のトップ画面です。実際には、もう少しレイアウト等を考慮して見やすい形にしていきますことを御留意ください。先ほど御説明しました骨子の大項目をここで並べております。学校等が必要な箇所を選択して活用できるようにしております。
また、左側、安全点検要領について、その中にある、掲載ページ一覧からも、それのページにリンクを張って飛ぶようにする予定であります。
では、主な箇所を順に御説明いたします。大項目1つ目、安全点検要領についてです。目的に加え、安全点検要領の構成でどのような内容が備えられているのかを、分かるようにいたしたいと思います。
次に、大項目2つ目、安全点検実施の考え方です。学校における安全点検のPDCAサイクルとして、学校安全の活動は、安全管理と安全教育を相互に関連づけて組織的に取り組む必要があること、これはワーキングの中で、前回議論しました。非常に重要な点だという指摘がありました。
それから、中でも、安全点検の実施については、学校安全計画に位置づけて、単に決まった項目を毎年点検するだけでなく、児童生徒等の安全教育と密接に関わりを持ちながら、学校生活の環境内にある危険箇所、ヒヤリ・ハット事例、及び、危険な環境条件等を抽出、分析、管理する取組などをPDCAサイクルとして確立して、組織的に進めていくことが重要であるということをここで示していきたいと思います。
左上の危険箇所の抽出、ここがとても重要だということもワーキングで議論がありました。危険箇所の抽出では教職員、児童生徒等、それから保護者等から提供されるヒヤリ・ハット事例などの情報や、過去の重大事故等の発生状況、保健室にあるけがの情報などを把握していく重要性をここで示していきたいと思います。
次に、安全点検実施の考え方のうち、安全点検の実施体制についてです。前回の親会議でも検討いただいた内容を踏まえまして、学校の設置者と学校の役割を整理したものです。金属疲労、腐食、亀裂等の点検の専門性が必要とされるものは、学校等の点検結果や求め等を踏まえて、専門家による専門的な見地からの点検を依頼することを学校の設置者が担っていくことを示しております。この実施体制を安全点検の実施の流れとして落とし込んだものが、次になります。
学校の設置者と学校が連携し、点検を実施し、学校の設置者において、危険性及び対策の必要性を考慮し、改善措置を講ずること。特に危険性が高いものは、緊急性を持って優先的に対策を講じる必要があることも示しております。
次に、安全点検、実施の考え方のうち、改善措置についてであります。安全点検の結果を踏まえた事故防止対策の考えとともに、安全点検の結果や補修、改修履歴等の安全管理に関する情報を学校の設置者と学校が共有する必要があること、人事異動の際にも引き継ぐことが重要であることをここで示したいと思います。
次に、大項目3つ目、学校保健安全法施行規則に基づく安全点検、種類と対象についてです。定期の安全点検では、児童生徒等が使用する施設・設備、多く使用する教室等の場所など、使用頻度や児童生徒等の活動の状況を踏まえ、点検の対象及び点検の時期を設定する必要があること。日常の安全点検は、ふだんの学習活動前に、場所、時刻、時間等に無理や危険はないか、また、日常の使用等により変化するものもあるため、使用する施設・設備用具等が安全な状態にあるかを確認することが必要だということを示しております。
次、安全点検の種類と対象のうち、学校における安全点検を行う対象の考え方についてであります。
まず、ここでは、単に施設・設備の劣化や破損状況を確認する安全点検だけではなく、児童生徒等の多様な行動や日常の中で変化しているものをちゃんと把握し、安全点検を行う危険箇所としてリストアップし、対策を講じ安全性を維持するとともに、安全教育と緊密な関わりを持って事故防止につなげていくことが重要であるということを示しております。
そして、その中で必要な全国の重大事故、自校のけがの発生状況、ヒヤリ・ハット事例を安全点検の対象項目に生かす点についても触れております。ワーキングで議論したのは、安全点検というと、ただ設備の劣化を確認するだけといった固定観念を持たれがちじゃないかという議論もありました。実際、重大事故は児童生徒の行動と密接に関係しておりますので、児童生徒の動きとか行動も把握することも重要だと。それから、日常的に変化していくもの、物が動いたりするのもありますので、そういったものも点検する観点を示す必要があるということをワーキングの中で議論しました。
次、さらに安全点検を行う対象の検討に当たっての留意点を、生きる力を育む学校での安全教育を参考として、ここでは安全管理の対象だけですが、児童生徒の行動や遊びの中での危険性にも触れた学校生活上の観点、不審者、侵入防止の観点、自然災害等の発生に備えた観点からも示したいと思います。
次、安全点検の種類と対象のうち、点検の頻度と方法についてであります。
幾つかの学校の点検表を見ると、毎月全ての項目を全部点検されている学校もあります。今回、点検の頻度として、家具・用具等の使い方点検、非構造部材等の劣化点検、家具等の耐震性点検については、それぞれ目安を示しておりますので、参考にしてくださいということにしております。
しかし、ここが重要なんですけども、児童生徒等が毎日使用しているものは劣化や破損等につながりやすいということもありますので、その使用頻度を考慮していただいて、点検する頻度を増やしていくなどの対応が必要だということを留意してほしいということも、ここでは示しております。また、教職員が行う点検は主に目視としておりますが、点検する対象によっては、異常がないか、触れたり触ったり動かしたりしてみる触診等の点検も必要であるということも示していきたいと思います。
次に、大項目4つ目、事故等情報の共有についてであります。
学校において事故の発生を防止するために、過去の事故統計や事故事例を分析し、施設・設備等に起因する事故の発生状況やリスクを把握して、自校の安全点検に生かすこと、教職員間で共有することが重要です。ここでは、事故発生のリスクを学校における安全点検に生かせるよう、日本スポーツ振興センターの学校等事故事例検索データベースに公開されている死亡、障害事例から、学校施設・設備に起因する事故をリストアップし、分析した情報を掲載しております。ここでは窓からの転落・落下事故を掲載していますが、ほかに設置物等の転倒、落下事故、設置物等に挟まれた事故、設置物等により切ったり刺さったりした事故について分析した結果を掲載しております。この情報については、定期的に更新し、学校に参考となる情報を掲載していきたいと考えております。
次、事項等情報の共有のうち、ヒヤリ・ハット事例の活用についてです。
ヒヤリ・ハット事例を活用していく意義として、児童生徒等の安全意識の高まりに寄与するものであること、真に事故防止に資する安全点検の点検項目の設定に生かせること、安全点検に子供の視点を加えることで、事故の要因に対する気づきや学校内での問題意識の共有を推進することを示しております。
次、大項目5つ目、安全点検表の活用の安全点検表の作成に当たってです。
ここでは、各学校の実情に即した安全点検を行う項目を定めた安全点検表を作成するに当たっての留意点を示しております。また、学校におけるICTを活用して、点検表への記入や集約の効率化に努め、教職員の負担軽減につなげている学校もありますので、効率化を図りながら実効性のある安全点検表を作成していくことが重要であることを示しております。
次、安全点検表の活用のうち、安全点検表作成のベースとなる点検の観点についてです。
各学校・園が安全点検表を作成するに当たり、ベースとなる点検の観点を参考に示しておりますので、その活用に当たっての留意点を示します。特に、各学校・園においては、児童生徒等の行動分析を踏まえ、適宜、学校の実情を踏まえた安全点検等の追加・修正・削除等により、安全点検表を作成すること、ベースとなる点検の観点の点検の頻度等については、少なくとも児童生徒等が毎日使用しているものは劣化や破損等につながりやすいものがあるため、各学校においては児童生徒等における使用状況等を考慮して設定することなども示しております。
次からの4枚ほどのスライドが、ベースとなる観点を示したものです。
例として、教室・廊下等、屋内運動場、屋外・校地、屋外運動場、遊具等、プールについて示しており、主な点検の観点の欄に星マークがついているものは、特に死亡事故や重大事故につながるケースが多い事項で、使い方に関する内容が多いわけですが、授業等の業務に付随して行う日常の点検として行う必要があるものとして記載しております。
次のスライドです。
安全点検表の活用のうち、安全点検表及び集計方法の例、様式のサンプルです。ここでは、安全点検表作成のベースとなる点検の観点を参考とした場所ごとの安全点検表と集計の例(様式サンプル)として、学期ごとや月ごとの点検結果を蓄積して記録していくものと、主に劣化の状況を具体に把握したもの、その2種類から例示しております。編集可能なものとして提供する予定ですので、各学校の実情に即して、点検の観点を付加、または削除するなどして、安全点検表を作成し、活用していただきたいと考えております。
今回のサンプル例として、学期ごとや月ごとの点検結果を蓄積して記録していくものとなりますが、日常的に点検が必要なもの、定期の点検が必要なもの、その中でも年1回程度の点検でよいものを分かるようにしたものです。各学校の使用状況に応じて点検頻度を検討していただき、自校化していただくことを想定しております。
次に、大項目6つ目、「安全点検の方法の解説」の解説の活用の仕方です。
教室内、廊下や階段等、屋外・校地などの各場所の吹き出しとなっている主な危険箇所について、点検方法の解説を活用するに当たっての説明をここで示しております。点検時等の参考に役立てていただくよう想定しております。
2つの事例を御説明したいと思います。
まず、窓・ドアです。窓の下に足がかりとなるようなものが置かれていないか、窓やドアに異常がないかを点検するに当たり、事故発生のリスクと点検の視点、方法を示しております。また、解説映像で点検の仕方についての理解を深めていただくような想定で作成していきたいと思います。
次、棚やロッカー等では、固定の状況の点検方向を示しております。学校現場においては棚等の設置場所がなく、一定期間経過すると、またロッカーを重ねるというようなことがありますので、事故防止につながる点検に役立ててほしいと考えております。
以上、安全点検の方法の解説までの報告です。
安全点検取組事例については、骨子の説明でも御説明いたしましたが、現在事例を収集中です。次回の親会議で報告させていただきたいと思います。
以上、学校の安全点検等在り方検討ワーキンググループの検討状況について報告させていただきました。

【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、各委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。もう一つの指針の委員の方からいろいろ御意見いただきたいんですけども、もちろん、この安全点検の委員の方からも御意見いただければと思います。いかがでしょうか。御意見のある方はいらっしゃいますか、御意見、御質問。首藤委員、お願いします。
【首藤委員】 ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。
小川先生、御説明どうもありがとうございました。最初、冒頭お聞きしたときには、ホームページに掲載するということで、冊子を作るのではないんだなということが、ちょっとおやっと思ったんですけれども、御説明いただいた内容を拝見して、例えば、点検の方法を具体的に動画もつくられてお示しされるとか、まさに今の世の中のICTを活用した形の点検要領ができるんだなというのをすごく思って、大変興味深い、そして役に立ちそうなものができるなというふうな感想を持ちました。
2点、もしこれから可能であれば少し強調していただきたいという点がありますので申し上げますと、まず一つは、非常に大事なポイントとして、施設や設備の劣化の確認じゃなくて、子供の行動とかから、子供さんに危険が迫ることについて点検するんですよということを述べていただくということだったんですけども、そこの言い方が、「劣化のみならず子供の行動から生じる危険を見る」というふうな表現ぶりだったんですけども、私個人的には、施設・設備の劣化はむしろ設置者の責任でしっかり確認するべきで、先生方は、子供さんの行動の特徴とかから来るような危険、子供の命の危険に対して、より重点を置いてほしいと思うのですが、実際現状は、施設や設備の劣化点検になってしまっているんです。ですので、それ「のみならず」ではなくて、「そうではなく」というような言い方で、先生方の見る視点は全然違うんですよということをぜひ強調していただきたいというふうに思います。これが1点です。
それからもう一つは、たまたま機会がありまして、北村先生などと御一緒に、実際に学校の現場で安全点検のお手伝いをすることが今年度何回かあったんですけども、そこで非常に感じましたのが、産業安全の現場では安全の「基本のキ」になるような整理整頓とか不要物の廃棄がなされていなくて、そのために、非常に危険な状態が生じているという例が多いなというふうに感じました。先ほど申しましたように、いわゆる産業安全の分野では、整理整頓というのは安全な状態をつくるために、まず、いの一番にやらなきゃいけないことなんです。そこのところを、もう少し指摘をしていただいて、ただ、そんな状況に学校現場がなっている1つの理由として、先ほどもありましたけども、廃棄にお金がかかって、その予算確保が難しいということもあるみたいなので、その部分も何らかの形でカバーできるような措置が今後できるように、まずは、そういった廃棄に係る予算確保のベースとなるためにも、基本をまず整理整頓をして、いらないものはなるべくなくすというようなこととか、そういったことも、点検に至る前の安全な状況をつくり出すための1つの視点だということを、可能であれば触れていただきたいというふうに思いました。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。廃棄のこととかいろいろ入ると、どうですか、これは文科省のほうから、何か御説明いただいたほうがよろしいですか。何かありますか。
【遠藤専門官】 ありがとうございました。先ほども小川先生のほうから御説明あったかと思いますけど、例えばですけれども、積み重ねられた棚等に関しても、また置かれたり、そういったことなんかもございますし、なかなか学校現場で非常に物が多かったりというふうな現状もございますので、どのような伝え方がいいのかというふうなところについて、また次回のワーキング等でも御意見いただきながらかなというふうには考えてございます。
以上です。ありがとうございます。
【渡邉座長】 小川先生からは何か御意見は。
【小川委員】 重要な御指摘ありがとうございました。全く先生のおっしゃるとおりでありまして、私も同感です。学校は物が多いなというのは、私も印象として持っております。なかなか捨てられないものもあるだろうと思うし、保管期間が決まっているものもあるだろうし、あるいは前任の人たちが残したものを引き継いだ人たちが、それを捨てていいのかどうか判断しかねるというものもあって、そのまま残してどんどんどんどん蓄積されていくという、そこのところは何か基準を示していかないといけないのかなと思います。とにかく物が多いというのは実感です。
それからあと、最初に御指摘いただいた点、設備の劣化等だけではなく、そこの表現の仕方は少し工夫していきたいと思います。何が大事かというと、重大事故と点検が有機的にリンクする必要があるので、実際の重大事故は子供の動きと設備との関係で起こります。窓の下に物を置かなくても、子供が掃除のために机やいすを持っていって、上のほうをふこうとしていたら転落の危険性が高まりますので、やはり子供の動き、子供の行動の様子、物が動いたところ、そういったところが重要な点検の視点だということを、工夫して表現していきたいと思います。
重要な御指摘ありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、桐淵委員、お願いいたします。
【桐淵委員】 お願いします。ワーキンググループの方に質問とかというよりも意見のような形になると思うんですが、案の抜粋版の、5ページでしょうか。
ここで、学校保健安全法の施行規則にある他の法令に基づくもののほかというところで、建築基準法、消防法等に基づく法定点検云々と書いてありますが、これは設置者の業務でありまして、管理職が知っていればいいのかもしれませんけども、安全点検の全体像を理解するために、具体的に何が、つまり、学校の教職員ではない専門家がやる点検に何があるのかがもうちょっと分かるといいかなというふうに思いました。ガスとか水道とか、水道の水質検査とか消毒検査は学校薬剤師がやっていただいていると思うんですけども、管理職が理解してればいいのかもしれませんけども、要するに、これらが法律で決められて行われていて、学校の教職員が行う範囲がどこなのかみたいのが見えてくるといいかなというのが意見です。中身が増えちゃって読みにくくなっちゃうかもしれませんけど、すいません。
それから、これはどこということではないんですが、例えば理科室で保管している薬品とか、そうしたものの点検、これはいろんな意味での点検ですけども、多分やっているんじゃないかと思うんですけども、学校では、理科の先生が残量を、盗難とかないようにというようなこともあるんですが、それらが安全点検の中に入ってくるのかどうか。でも、事故防止という視点からすると、そうしたものも重要かなというふうに思っております。これも意見です。
それから最後に、3つ目の意見なんですけども、これは安全点検と言うかどうか分からないんですが、例えば小学校などで休み時間に、非常に大きな事故としてランドセルをしょったまま滑り台に乗って、それが引っかかって窒息を起こしたりとか、肩掛けのかばんでとか、あるいはその、ひものついている衣服、フードのついている衣服などで、何かに引っかかって窒息を起こしているという事例というのは結構あるんですよね。指針のほうでは、これ以上言ったらゲートキーピングみたいな感じで、応急手当て、救命処置を非常に強調していますけども、これ以上言ったら死んでしまうというところを何とかとめようということで指針のほうで強調している反面、そういう衣服とか服装で子供たちは休み時間とか放課後に遊ぶのは非常に危険なわけで、それは安全教育のほうに入るのか。でも、具体的な御指摘があると、若い子がどんどん増えているので、そういう重大事故の教訓みたいなものを、どこで現場に反映していくのかというようなことです。あともう一つあるのは、理科の実験での事故です。最近、埼玉県内でも、全国の報道になっているかどうか分からないですけど、炭酸水をつくる実験でガラス瓶が破裂してけが人が出たというようなニュースもあります。要するに、教育活動中あるいは子供の活動中に起こる重大事故を未然に防げる可能性あるんですけども、それをどこでどう点検チェックしていくかということを、これはグループよりも、2つのグループでカバーし切れないのかもしれないのでちょっと検討していただければなと。実際に重大事故が起こっていますので、しかも未然に防げる可能性があるものなのでということです。
小川先生に直接お伺いするということではないんですけれども、意見として申し述べました。ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
【小川委員】 御指摘ありがとうございました。私もすごく気になっていた点を御指摘いただいたなと思います。要するに、子供の様子をちゃんと観察してくださいと言いつつ、それについての点検表がないんですよね。先ほどの点検表は、どちらかというと設備・施設の点検表なんです。だから、子供の何を見たらいいのかというところを、何かチェック表があったほうがいいのかなという気がしまして、そこはちょっと足りないなと思っていたところなので、先生に今御指摘いただいた点は、検討していきたいと思いました。
【桐淵委員】 ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。学校安全だけでは、どちらかといえば、例えば環境衛生などの学校保健のほうに入ってくるというのもあって、なかなかすみ分けの難しい部分もあるのかなと思いますので、今回の施設・設備の安全点検を中心にやっていますけど、いずれにせよ、子供の安全を守るためにはいろいろな取組が行われていくということを期待したいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。北村委員、お願いします。
【北村委員】 ありがとうございます。今、桐淵委員からお話あった点にも関係するところなんですけど、初めの理科室とかの薬品とかに関しては、恐らく理科の先生ももちろんチェックされていると思うんですけれども、消防法に基づいて適切に管理する仕組みがあったと思いますというのが1つです。
もう一つは、先ほど小川先生にお話しいただいた中でも少しあったんですけど、安全点検というのを点検だけでやるのではなくて、安全教育とセットで関連させる必要がありますというときの安全教育の位置づけというか関係性が、今ちょっとまだあんまり明確にできていないなと、どう位置づけるのがいいのかなというのを個人的にちょっと悩んでいたところではあって、今のお話であったとおり、安全点検をして環境を整えましたという状況になっても、なお残るリスクであったりとか、そこで子供が何らかの行動を取ることで発生するリスクが出てくると思うので、その部分を教育で扱っていくところなのかなという、そういう位置づけがいいのかなと思っていて、そのときに、先ほど御指摘いただいたもの全部がカバーできるわけではないとは思うんですけれども、安全点検で、例えば窓際の棚が危ないのでなくしましたというときに、ただなくしただけだと、子供たちは教室が広がった、わーいだけで終わってしまうかもしれないですけども、なぜそこにあると危ないのかということまで含めて教育をしていくと、窓際に高いものがあると上っちゃう人がいて落ちるから危ないんだというところまで一緒に教育ができると、そこに棚を持ってきちゃおうとか、いすを持っていこうということはしなくなるかなと思うので、そういう形で安全教育を位置づけるといいかなと思いました。
遊具の話も、おっしゃったとおり、ランドセルだったり水筒をつけたまま遊んでいて首つり状態になるというのはありますけれども、あれに関しても、例えば柵の隙間がこうなっていますとか、滑り台とかも、手すりのところが、以前は割と突き出したままになっていたので、そこでフードが引っかかって首つりになるとかいうのがあったので、今、割とちゃんと締まっているというか、閉じるような構造になっていますけど、そういうのもなぜそういうふうになっているのかというところまで教育をしていくと、これは引っかかりそうじゃないというのが自分でも気づけるようになっていくとか、そういうことをやらなくなるという方向にいくのかなと思うので、やはり環境面だけ整えただけでは防ぎ切れない部分を、いかに安全教育で一緒に防いでいくかという位置づけが、この安全点検と安全教育の関係性としていいのかなと思ったので、安全教育の部分の位置づけに関しても、あのワーキングのほうでまた議論をしたいなと思いました。
ありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。よろしいですか、御意見いただいたということで。ほかにございますか。大木委員、お願いします。
【大木委員】 大学の業務で、先ほど小川先生の説明の途中で入りまして、しかも小川先生のワーキンググループのほうにおりますので、今の、ごめんなさい、質疑の中に関するコメントなんですけれども、桐淵委員からいただいたお話で、フードとひもがついているお洋服というので、一保護者としての視点で思うものがありまして、やっぱり息子の小学校から、ひものついた衣類は学校に着せてこないでくださいというお便りが来るんです。そこには、理由は何も書いていないんですよ。本校ではこれは禁止ですというふうに書いてあって、安全教育に立っている立場とすれば、そこにクレームして何で駄目なんだと言ったわけじゃないですけども、その理由が、駄目なものは駄目なんです、本校ではそういうルールなんですしか言えない学校は、安全の観点で問題があるなというふうに端々から感じることがありまして、ですので、これは、学校の先生だけが把握しなきゃいけないことなのではなくて、保護者も一緒に学ばなきゃいけないことで、そういった意味では、学校だけに押しつけるというよりは、むしろ文科省のほうでお便りの例を用意して差し上げて、それをもう印刷して配れば、アプリで配ればいいんだと。そうしたら、配付するときに先生が御覧になって、こういう例があったから駄目なんだということも、先生も学ぶことができるし、保護者も、何でうちの学校だけ駄目なのとかではなくて、こういうことに配慮しているんだな、こういう事例が本当にあったんだなというふうに学んでいけると思うんです。なので、そういったお便りの例みたいなものが学校にアクセシブルなところに御用意できるといいのかなというのを1つ思いました。
そうすると、例えば、本当に水難事故に遭った学校は、水難事故に注意の夏休みの前に、水難事故に遭った御家庭にまず御連絡しなきゃいけないんです。こういうものが、いきなり保護者の目につかないように配りますというふうに。でも、そういうふうに個別に電話しなきゃいけないところが出てくる、それが負担になるじゃないかという意見が出たとしても、それはやっていただいて、そして全ての保護者も学ぶ機会があって、こういう理由で駄目なんだという、その分考えても、そういったお便り等を用意できるほうがいいんじゃないかなというふうに、今、一保護者の視点で思いましたので、コメントさせていただきました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。首藤委員、挙手されていますよね。
【首藤委員】 すいません、度々申し訳ありません。
先ほど来の桐淵先生の御意見からつながっている議論の関連で、だからこそとまた思ったのですが、ホームページに掲載されるものなので、順次更新ができるというよさを多分生かせるんじゃないかというふうに思います。子供のこういう服装は危ないとか、こういう行動は危ないというのを、一気に全部上げようとすると多分難しいと思うんです。でも、例えば先ほど来出ているフードとか、ひものついた服装とか、そういった幾つかの知見はもう既にあるので、そういったものから載せていって、先生としてもこういう点に注意して子供たちへ指導しましょうとか教育しましょうという情報をどんどん増やしていくつもりで、その取っかかりになるような掲載場所だけはつくっておいていただいて、今後、その内容を充実していきますというような観点もあってもいいのかなというふうに思いました。
私自身も、自分が学校の安全について初めて知ったと思う記憶が実は中学生の頃で、中学の頃に、体操着のファスナーを開けっぱなしにしてマット運動をしていたら、体育の先生にすごく怒られたんです。なぜかというのは、その先生が教えてくださって、ファスナーの根本のところが、マット運動をしているときにばっと動いて目に当たって、目の大きなけがをした子供が過去にいるので、そういうのはちゃんと閉めなさいということを言われたんです。多分それは、安全管理の面でも子供の行動について気をつけて点検をしているという例ですけども、同時に、指導という面で安全教育にもなった。まさに、安全管理と安全教育がすごく一体となった形かなと今となってはそう思うので、そういった観点は多分、学校現場にいろんな視点がたくさんあると思うので、それを吸い上げて生かしていくような枠をまずつくっていただいて、そこに、これから事例を増やそうみたいな形で取り組んでいけるようなベースの素材、土台をできればつくっていただきたいなというふうに思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。皆さんの、例えば服装こととかを伺っていたんですけど、実は日本スポーツ振興センターからは、そういう固定遊具で遊ぶときの服装のこととかそういったことというのは、実は注意というかそういったものは出ているんですよね。ただ、あちらこちらにそういうのがあるものですから、なかなかその全体が、情報も行き渡らないところもあるんだと思います。学校安全のポータルサイトがそういうのを整理する役割があるかと思いますけれど、そういうのがうまくもっと情報がつながるといいかなというふうに思いました。
ほかにはいかがでしょうか。桐淵委員。
【桐淵委員】
子供の活動、子供の行動から起きる危険、施設設備を含めてその遊びの中に生じる危険というものは保護者とも共有する必要があります。公園で遊んでいる場合でも事故は起こり得るので。そういう意味で、それは「安全文化」といいますか、それを充実させるためには、先ほど御提案があったホームページでどんどんアピールしていくなどという取組も極めて重要だと思います。
一方で、教育の専門家である教職員が、そういう事故が起きているということを知って、例えば何かに引っかかりそうなフードのついている服のまま滑り台で遊んでいるとか、あるいはジャングルジムに登っているとか、そういう子供を見たときにきちんと注意できることも大切だと思います。「管理」と言ったらきついかもしれませんが、そういう知識を持って指導するという意識、マインドも必要です。これは文部科学省の今後の取組に期待することですが、教員免許を取るときにきちんと学校安全を学んでいくという取組を強化すること、併せて現職の教職員研修の場でどんな事故が起きていて、どうすればそれが防げたのかというような内容の学びを、ぜひ充実させる方向で取り組んでいただければと思います。
働き方改革などの関係で、つくばで行われている研修なども規模が小さくなったという話も聞いています。都道府県でもリーダーを育てるし、各市町村教育委員会でもきちんと学校安全のリーダーが育っていって、学校の先生たちが専門家として必要な知見を得られるような、そういう研修体制を充実させていただきたい。危ないなと思った子供を見たら、先生がさっと注意できるような、これは安全文化というよりも安全管理の能力ですけども、それを高めるような努力が必要なのではないかと思います。
今回の2つのグループでつくっている内容にこれがどう反映するかというのはまた別の議論ですが、全体としてはそういうことが必要だと思いました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。今の桐淵委員の御意見なんですけど、これは文部科学省のほうから何か御意見、お話はございますか。
【遠藤専門官】 ありがとうございます。今、桐淵先生からいただいた御意見については、これまでもいただいた重要な御意見だったかなというふうに思ってございます。
特に、教職員の方々に安全のスキルをきちっと身につけていただくための研修について、引き続き、文部科学省のホームページも含めて情報発信しながら、各都道府県、教育委員会等々で連携しながら実施をしていきたいなというふうに思ってございますし、また、保護者等への事故情報の共有等についても、今回、学校安全の先進的な地域と連携した取組でありますとか、家庭と連携した取組についての事例等も今後収集して紹介する予定でございますので、そういったところも御紹介しながら、しっかりと学校と家庭と地域と連携をして、安全を築けていけるような、そういったところがメッセージできちっと伝わるような形で検討していきたいなというふうに思ってございます。
ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。大分話が広がっていってしまったんですけど、安全点検のほう、今回のワーキングの御報告の内容に少しまた戻したいと思うんですけれど、まだ御意見いただいていない先生、平塚委員、よろしくお願いいたします。
【平塚委員】 ありがとうございます。まず、非常に見やすくなっていましたし、教師の負担軽減等配慮いただいているということ、現場としてありがたいなと思っています。
それで、この安全点検要領の目的にあるんですけれども、安全管理という側面と、安全教育という側面、そこの関わりを踏まえたということで、そこはすごい大事だなというふうに思っています。我々も環境整備をすることはもちろんなんだけれども、やっぱり子供たち自身に、自分の身は自分で守る、自分の安全は自分で守っていくという、そういう安全の当事者意識というか、そういうところを育てていくということはとても大事なのかなと思っています。
今後、安全点検の取組事例を収集していくとのことですが、前任校で、PTAが安全点検をやった時のことです。それをやろうとしたときに、最初に親御さんに言われたのは、「私たちが点検したことで、例えば事故が起きた場合に、そこの責任等はどうなるんですか?」みたいな話があって、「いやいや、違うんです、親御さんにしてもらうのは、まず、保護者の視点で見ていただくということと、それから安全について保護者の方にも考えてもらう」というようなことを言ったことがあります。専門家や教職員が行う安全点検の目的と、それから児童生徒や地域保護者の方がやる点検の目的というのは違うと思うので、その辺り、取組事例を提示する際に示していったほうがいいのかなと思っています。特に児童生徒等の安全点検については、当事者意識を持たせるということが一番なのかなと。もちろん、そのことによって発見される、新たな箇所等ももちろん大事なんだけれども、一番はそれを見ていく視点というか、安全をつくる視点を育てていくことが大事なのかなというふうに思っています。そういったことも盛り込んでいただくといいのかなと思っています。
最後になりますが、先ほどあがった不用物の多さとか整理整頓とか、確かにそこが安全の一番基本の基本だなということを改めて思いました。
ありがとうございます。
あと、主に小学生ですが、発達段階に応じて子供たちの視野の狭さとかそういうのはあると思うんですが、その辺りはどうなのかなと。私も分からないんですが、藤田先生のところで何かやっていましたよね、発達段階に応じてみたいな。その辺りも入ってくるといいのかなと思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。一応皆さんの御意見をいただいた上で、小川先生にコメントいただきたいと思うんですが、山中委員、いかがでしょうか。何かこの安全点検のことについて。
【山中委員】 すいません、今日時々抜けながら聞かせていただいているので、まともなことを言えないんですけれども、ほぼ完璧安全点検の表ができたんですけど、これを実際にやるとなると、かなり難しいのではないかと思いました。もちろん専門家の方が学校に入っていただくのが1つの方法なんですけど、学校の中で安全点検を主にやる方たちを集めて、例えば研修会みたいなものを開かないと、なかなか現場には行き渡らないかなと思いました。
それから、今、産業技術総合研究所のグループが子供たちに安全教育を行っています。実際にタブレットを持って校内の危険なところを撮ってきてもらって、それでディスカッションするような授業も始めています。子供たちへの安全教育も、そういう具体的にできる例が実際に行われていますので、そういうものが少しずつ広がっていくといいのではないかと思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、指針の座長をされています藤田先生、何かいかがでしょう。
【藤田委員】 藤田です。いろいろと安全点検のことについて提言いただいて、参考になる意見をたくさん皆さんから伺いながら聞いておりました。
私も、附属池田中学校での実践を通じて、子供たちを使った安全点検というのは、さっきから話が出ている安全の視点を養うという中で、子供たちと教員が情報を共有していくことが重要なんだろうなというように考えています。
そこで、今回の指針の中で確認できなかったんですが、窓からの転落という点で大変重要なポイントが多いわけなんですが、ただ以前、窓からの転落事故が起こった際に、例えば構造物、いわゆる設置物を置かないというのはよく教員は分かっているんだけども、例えば図書室の本棚を取付けてしまう。そうすると、移動できる設置物というよりも構造物になってしまうと、その構造物の危険性というの視点が抜けたりとか、あと廊下の、例えば手洗い場の上にある窓を手荒い場に上って開けようとして転落死亡事故が起こった事例なども、やはり教員としては、窓の下の足場になるという認識がなくて、いわゆる構造物という意識で、そういう点でも、視点というのか教育というのが、これからの点検の進めていく中で重要なポイントになるんだろうなと考えながら、今のいろんな委員の方々の発言を聞かせていただきました。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは最後に、小川先生から、ちょっとコメントをいただければと思います。いかがでしょう。
【小川委員】 重要な御指摘ありがとうございました。
いろいろ御意見があったと思いますけども、点検と教育をいかにリンクしていくかというのは重要だなと思います。山中委員が先ほどおっしゃった部分です。どうやって定着させていくかということが難しいだろうという御意見でしたけども、立派なものをつくっても現場に定着しないことになったら意味がないので、子供と一緒に点検していけば、先生は、子供がこういうことに気づいていたんだということで点検の視点を学ぶことにもなるし、子供は子供で自分の身を守るということにもつながっていくと思うので、やはり点検と教育を、リンクさせて進めていったほうがいいのかなと思いました。実際にどういうふうに現場に定着していくのかということも踏まえて、次回のワーキングで議論していきたいなと思います。
それから、藤田委員のおっしゃった部分もそうで、要は、なぜ窓の下にものを置いてはいけないのか、そもそも転落事故の事例をきちっと我々が勉強する、事例分析というのをきちっとやらないといけないのかなと思いました。教員の研修の中で事例を分析する、事例を分類する、そういう研修があってもいいんじゃないかなと思います。私は交通安全が専門ですけども、とにかく若い頃、交通事故の事例の分類やその分析ばかりやっていたんです。そうすると、道路を見たときに、この道路のこの状況だったらこういう事故が起きるなと、何となく見えてくるので、事例をいかに分析しているかということが、見る視点を豊かにしていくということにつながるんじゃないかなと思います。それを研修の中にうまく盛り込む方法はないかなと思います。
研修というのは、私たちのワーキングの課題ではないですよね。その辺は文科省の方にお伺いしたいんですが、研修という話はどういう位置づけになるのかというのはお伺いしたいなと思います。
それから、学校の中に、先ほどフードつきの服の話とかあったんですけど、学校の中に持ち込まれるものについて、それを教育とか保護者への周知というのも分かるんですけど、そもそもそういう製品がつくられているということ自体に問題はないのかなと思いました。例えば画鋲を使って掲示板に掲示物を貼るんですけど、その画鋲を抜くときに針だけが残ってしまう、そういう製品もあるらしいんですよね。そうすると、画鋲の針だけ突き出て、それでけがをする、目に刺さるというのがあるんですけど、そもそもそんな製品が世の中に販売されているということ自体がおかしいなと思いました。消費者庁のほうに、こちらから、こんな事故があるんだけど、これは製品としてどうなのかということを、この事故事例の分析から発信することも必要なのかなと思いました。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。小川先生から今お話にありました研修のことについて、文科省のほうからちょっとお話伺えればと思いますけど、いかがでしょう。
【遠藤専門官】 ありがとうございました。現在、例えば宮城県の教育委員会のほうでも、教職員を対象にした安全点検要領、安全点検の研修会なんかも実施して、その中で、これまでの重大事故、そういったものを基にした点検の在り方というふうなところもやっている事例なんかもございますので、そういった内容も併せて御紹介しながら、研修についてもある程度関連を持たせてやれていけるといいのかなというふうには思ってございます。ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
もう大分時間が迫ってまいりましたので、本日、多くの意見、皆さんから出していただきましたので、こちらの安全点検のワーキンググループはまたもう少し続くということなので、検討をさらに進めていただければと思います。
それでは、議事の1はこれで終了いたしまして、あまり時間ないんですけれど、議事の2、その他なんですけど、何か、もう皆さんからいろいろ御意見いただいたんですけど、さらに何かありましたら、少しだけ時間ありますけど、よろしいでしょうか。よろしいですか。
それでは、以上で議事はこれで終了させていただきます。
今回の議事につきましては、追加でもし御意見とか御質問ございましたら、メールのほうで事務局まで送っていただければと思います。送ってください。重ねまして、本日の積極的な御議論に感謝申し上げます。
それでは、事務局から諸連絡のほうをお願いいたします。
【遠藤専門官】 今日も丁寧な御議論大変ありがとうございました。今後の予定でございますけれども、次回のこの親会議につきましては、来年夏頃の開催を考えてございます。日程につきまして、追って事務局から御連絡を差し上げますので、御承知おきいただければと思います。
事務局からは以上になります。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、第3回学校安全の推進に関する有識者会議は以上とさせていただきます。皆様におかれまして、本日は御多忙のところ出席をいただきありがとうございました。これで終了いたします。

―― 了 ――

 

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)