学校安全の推進に関する有識者会議(令和5年度)第1回 議事録

1.日時

令和5年6月5日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 今年度の検討事項について
  3. 【報告】学校安全に関する情報発信について
  4. その他

4.議事録

【岩倉室長】 ただいまから第1回学校安全の推進に関する有識者会議を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室長の岩倉と申します。座長が決定するまでの間、進行役を務めさせていただきます。
本会議は、オンライン会議方式で開催をさせていただきます。
開会に当たりまして、文部科学省総合教育政策局、藤江局長から一言御挨拶を申し上げます。
【藤江局長】 皆様、こんにちは。ただいま御紹介いただきました文科省の総合教育政策局長の藤江と申します。
本日は御多忙のところ、第1回学校安全の推進に関する有識者会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本年度第1回ということではございますけれども、この会議は昨年12月に設置したものでありまして、皆様方には、昨年度に引き続きまして委員をお引き受けいただきましたことを、重ねて感謝申し上げます。
この会議は、昨年3月に閣議決定された国の学校安全の推進に関する計画の進捗管理と具体的な施策について、有識者の方々から御知見をお借りしながら展開するということで設置させていただいたものでございます。12月の発足時にも申し上げましたけれども、そのことと併せまして、この会議は、恒常的なアドバイザリーボードとして、学校安全に関する施策や取組について幅広く御助言いただくという役割もお願いしております。
大変残念なことに、学校事故や災害等もなくならないという状況の中で、必要に応じて事故対応など、学校安全をめぐる課題にも御対応いただきたいと考えておりますので、その点でも併せてよろしくお願いいたします。
また今年度は、特に優先して検討すべき課題として、学校事故対応に関する指針の見直しと、学校における安全点検等の在り方について、有識者会議の下に2つのワーキンググループを設置し、機動的に検討を進めていただきたい考えております。
皆様方の御議論を通じて、我が国の学校安全がさらに力強く推進されますことを期待して、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【岩倉室長】 藤江局長、どうもありがとうございました。
それでは、まず事務局から、本日の配付資料の確認と、出席委員の御紹介をお願いいたします。
【林補佐】 事務局でございます。今、画面を共有させていただきました。次第を映しております。次第の下のほうに配付資料の一覧を掲載してございます。本日の資料は、資料1-1から資料5まで、また参考資料として、参考資料1番から参考資料5番までを御用意させていただきました。不備等ございましたら、ウェブの挙手機能を使ってお知らせいただければと思います。
また、本日の出席委員でございますが、本日は、大木委員と嵯峨委員が御欠席、また神内委員が途中から御出席と承っております。スタートは9名でのスタートということになります。
以上です。
【岩倉室長】 配付資料等に不備はございませんでしょうか。もし不備がございましたら、Zoomの挙手機能で事務局にお知らせいただきたいと思います。
それでは、議事に入りたいと思います。本日1つ目の議事、(1)の座長の選任等でございます。
今後の議事の進行のために、座長を決めたいと考えております。事務局といたしましては、これまでも中央教育審議会の学校安全部会をはじめ、様々な会議において座長の御経験のある渡邉正樹委員に、昨年度に引き続きまして、本会議の座長をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、今後の議事につきましては渡邉座長にお願いできればと存じます。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 ただいま、学校安全の推進に関する有識者会議の座長を拝命いたしました渡邉でございます。就任に当たり、私から一言御挨拶申し上げます。
本会議の委員の皆様方も、引き続き、学校安全の分野において優れた御知見を有されている方々にお集まりいただき、大変心強く思っております。第3次学校安全の推進に関する計画を受け、学校現場においてはこれまで、学校安全の様々な取組が実施されておりますが、一方で、子供の生命に関わる問題が残念ながらいまだに起こっております。学校に侵入した不審者によって教員が負傷するという事件、あるいは校庭に放置されたくぎにより負傷する事故などが発生しております。
次代を担う子供たちが安心・安全な状況で学ぶことができるよう、これからも不断に学校安全の取組の質の向上を図っていくことが重要であり、引き続き国としては、地方公共団体や学校設置者と連携協力の下、各学校が学校安全に取り組みやすくなるように支援していくことが求められております。
後ほど本日の議事についてお諮りいたしますが、今年度は本会議の下に、学校事故対応に関する指針の見直しと、学校における安全点検等の在り方の検討のワーキンググループを設置し、学校現場の課題等を踏まえながら議論を進め、実効性のある取組につなげていきたいと考えております。
委員の皆様の英知を結集し、今後の学校安全の充実のために、闊達な御意見、意見交換が行われることを期待し、私の挨拶と代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めたいと思います。
本会議の運営に当たって、公開等のルールを会議として定めておく必要があります。これについて資料1-2を用意いたしました。
内容について、事務局から御説明お願いいたします。
【林補佐】 事務局でございます。改めて画面を共有させていただきます。
今、画面を共有させていただいております資料1-2が、事務局で御用意させていただきました本会議、学校安全の推進に関する有識者会議の運営についての運営のルールでございます。簡単に内容を御紹介させていただきます。
まず、1番は議事でございます。
そして、今回の議事の中でもメインとなります、ワーキンググループに関する条項が第二条になります。
会議の公開に関する規定は第三条になります。
そして、会議の傍聴に関する規定を第四条で設けてございます。
ページが次のページになりまして、会議資料の公開に関する規定が第五条、議事概要の公開についてを第六条といたしまして、こちらの会議での議事手続、そのほか運営に必要な事項につきましては、座長が有識者会議に諮って定めるという雑則を、七条で設けさせていただいております。
事務局案は以上でございます。何とぞ、本議案につきまして御了承賜れたらと思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ただいま御説明いただきました資料1-2につきまして、本会議として決定したいと存じますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。では原案のとおり決定いたしました。
今後は、このルールにのっとり会議を運営するということにいたします。
続きまして、議事の(2)に参ります。(2)は今年度の検討事項についてと題しまして、3点、丸1 、ワーキンググループの設置、丸2 、有識者会議、この会議、親会ですけれど、親会及び各ワーキンググループの検討の方向性、丸3 、学校事故の予防に向けたデータ活用について、皆様から御意見をいただきたく存じます。
それでは、議事の(2)の丸1 について、事務局から御説明をお願いいたします。
【林補佐】 再度事務局でございます。また画面を共有させていただきました。お手元に資料2-1と資料2-2を御用意いただければと思います。
議事の(2)の、まず丸1 番のワーキンググループの設置についてでございます。先ほど冒頭の局長からの挨拶にもありましたように、今年度は2つのワーキンググループを、皆様方親会の下に設置をお願いいたしまして、それぞれのテーマについて議論を深掘りしていただければと思います。
まず、資料2-1が学校事故対応に関する指針の見直しワーキンググループについてでございます。
平成28年3月に作成されました、この指針につきましては、その後、これが運用されまして、様々な事故対応に関する、例えば基本調査、詳細調査、そして国への報告といった一連の対応をいただいてきたわけですが、これにつきましては一方で、第3次学校安全の推進に関する計画の中でも課題が指摘されてきたところです。また計画の中でも、いみじくも早急に検討を着手すべきであるということが提言されたことも踏まえまして、本会議においてワーキンググループを設置し、より御検討いただければと思います。
検討事項並びに構成員に関しましては、別紙の名簿で掲げさせていただいたとおりでございます。
この後に御紹介いたします安全点検のワーキンググループと同様に、親会議の委員の皆様方にそれぞれのワーキンググループに御参加いただくとともに、外部の方に、ワーキンググループ専門の委員の方ということで委員の委嘱をお願いしたい、このように考えております。
資料2-1が、学校事故対応に関する指針の見直しのワーキンググループでございます。
もう一つのワーキンググループが、学校の安全点検等の在り方を検討するためのワーキンググループでございます。
安全点検の在り方につきましても、第3次学校安全の推進に関する計画の中でも早急に検討を開始すべきであると提言された個別のテーマであるとともに、今年3月3日に消費者庁の消費者安全調査委員会からも、安全点検について緊急の対応をすることや、その安全点検の在り方について、担い手、また手法の見直しについて御意見をいただいたところでございます。
こうしたものも受けて、私どもといたしましては、より専門的な知見をいただきながら、安全点検の在り方について、この親会の下にワーキンググループの設置をお願いいたしまして、さらに深掘りした御議論をいただければと考えております。
検討事項並びに構成員と、あとはその名簿に関しましては2枚目に添付しているとおりでございます。
なお、名簿をつけさせていただいたんですが、先ほど御了承いただきました運営規則にありますように、この主査に関しましては、渡邉座長に後ほど御指名いただくという段取りで、名簿のみの添付ということにさせていただいております。何とぞこちらにつきましても、会議としての御了承をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 ありがとうございました。今御説明いただきましたように、各ワーキンググループの主査につきましては、立ち上げまでに私のほうから指名させていただきます。
なお、これから後の丸2 のほうで、その検討の方向性のことを少し詳しく議論することになりますけど、今御説明していただいた内容につきまして、御意見、御質問がありましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。このワーキンググループの設置ということでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは事務局におかれましては、次回以降の議題について整理していただければと思います。
それでは、次の議事に入りたいと思います。議事の(2)、丸2 について、事務局から御説明をお願いします。
【林補佐】 再び事務局でございます。画面を共有させていただいております。こちらの資料3をお手元に御用意いただければと思います。議事の(2)の丸2につきましては、こちらの資料を基に御説明さしあげたいと思います。有識者会議、この会議、並びにワーキンググループの検討の方向性についてということの資料でございます。
まず、最初の表紙をおめくりいただきまして、当面の有識者会議の検討体制と進め方についてです。これは、今年3月に行いました昨年度の最後の会議でもお示しいたしました。方向性に関しましては、まさにただいま御了承いただいたように、2つのワーキンググループを設置して、それぞれ機動的に検討を進めていただくということとともに、この会議、親会におきましては、定期的にワーキンググループから検討状況の報告をしていただきつつ、各テーマの関連性を俯瞰していただいて、学校安全の推進に係る諸政策の一体性を図った議論を進めていただければと思います。
検討の進め方でございますが、今年は第3次計画の期間の2年目に当たります。昨年度の会議でも大きなテーマにつきましては掲げさせていただきましたように、太字になっております、学校事故対応に関する指針の見直し、危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策、学校安全を推進するための組織体制の在り方、学校における安全教育の取組のさらなる充実、学校における安全点検の在り方について、そして学校事故予防に向けたデータの活用と施策の検証についてという、6つの検討テーマを整理させていただいたところです。
このうち、ワーキンググループを設置いたしました学校事故対応に関する指針の見直し、並びにアルファベットのDをつけさせていただいております、安全点検の在り方につきまして、これは優先的にワーキンググループを設置して御議論いただければと思っています。
一方、テーマの性質上、この資料の下から2つ目の丸印になります、安全教育の取組のさらなる充実と、事故予防に向けたデータの活用と施策の検証につきましては、このテーマの性質に鑑みまして、継続的に議論を行っていただければと思います。本日、この後JSCさんにもお越しいただきまして、このデータに関しましては御発表いただき、また御意見等を賜れたらと思っています。
そして、ワーキンググループを設置する場合には、それぞれの検討に当たって、その範囲を明示して、各ワーキンググループの検討状況をこの会議において定期的に共有いただいて、各テーマの関連性を整理しながら、それぞれのテーマ、各テーマ、個別のテーマはございますが、それぞれが個別に進めていくのではなくて、全体でやはり学校安全という一つのテーマで、一体性を持った議論が必要になります。その一体性を確保しながら進めていただければと考えてございます。
大まかなスケジュールを2枚目にお示ししています。本日、6月で第1回の会議、親会を開催させていただきました。昨年度は、本当に月1ペースで計3回を開催させていただいたんですが、親会の開催ペースはこのように、少し空く時期がございますが、約2か月に1回程度で開催していければと思います。
一方で、機動的に御議論いただきたい2つのワーキンググループに関しましては、それぞれ1月から2月の間で集中的に御議論いただければと思います。それぞれの検討の状況に関しましては、例えば第2回がこの時期にワーキンググループは開催予定でございますが、そういった内容を親会に御報告いただくというような流れで考えてございます。
また、それぞれのワーキングの中でも、適宜有識者であるとか関係団体等からのヒアリングを聴取しながら、より専門性を持った議論を深めていくことができたらと考えています。
スケジュール上は記載はございませんが、年度単位で御検討を、可能であればいただきたいなと考えておりまして、ひとまず当面の目途といたしましては、可能であればそれぞれワーキングチームとして、年度末までに何らかの取りまとめが現時点ではできたらいいなと、事務局としては考えてございます。
学校事故対応の指針に関する見直しに関しましては、年度末までを目途に指針の改訂に向けた何らかの方向性、また安全点検の在り方に関しましては、この後、議事の内容に関しましては掘り下げますが、今、特に安全点検の要領に関しましては特に固まったものをお示ししていないものですから、そうした安全点検の要領について、何らかの成果物を年度末までに、可能であれば取りまとめることができればといったスケジュール感で、今後進めていければと考えてございます。
1つ目のワーキンググループです。学校事故対応に関する指針の見直しについてのワーキンググループの検討事項の資料でございます。
上半分が、これまでの計画の記載であるとか、また昨年度の会議でいただいた御意見の中での関連事項を、抜粋して箇条書にしてお示ししています。計画にも指摘されていることに関しましては、これまでも再三説明させていただいたとおりですが、有識者会議の中でも様々な御意見をいただいているところです。
幾つか紹介させていただきますと、詳細調査への移行及び調査委員会設置の在り方を検討して、国が一元的に調査することも必要ではないかという御意見もありました。
保護者が詳細調査を望まない場合などもありまして、詳細調査への移行の判断、また事故の報告を求める対象をもっと整理すべきではないか、指針運用の周知徹底が課題であって、指針に沿った対応を改めて通知で依頼すべきではないかという御意見もありました。
国に報告が上がってこないという実情に対して、情報が集まってくる仕組み、そのほかにも事故報告に関する様々な国の仕組みがございますので、そういったものとも連動させていくべきではないかという御意見もございました。
詳細調査の専門家の活用で、事故事案ごとに専門家を構成していくことも必要であるという御指摘もいただきました。
学校に基本調査の方法を分かりやすく解説したマニュアル。その基本調査の方法も、かなり学校ごとで実態に即した形で行っていただいているというのがございますので、もう少し分かりやすく解説したマニュアルが必要ではないかという御指摘もいただきました。
また、被害児童生徒並びに、その保護者に対するグリーフケアという観点もあろうかと思います。コーディネーターの機能、被害児童生徒等への支援、そういった点に課題はないかということも、これまでの詳細調査が行われた事案を通じて把握することも必要であるという御指摘もいただいております。
以上を踏まえまして、現時点で事務局としてお示ししております、あくまで現時点の案でございますが、検討事項として5点をお示ししています。
1点目、詳細調査に移行する判断基準及び詳細調査の在り方について。
2点目といたしましては、国への死亡事故報告の在り方について。他機関、他省庁、例えばこども家庭庁が今度できましたが、そこでの事故の報告の体制、また国土交通省の事故報告、厚生労働省の医療事故等、そういった事故報告の在り方なども参考になるのではないかと、こうしたことを踏まえた議論でございます。
3点目といたしましては、被害児童生徒等やその家族への配慮した支援。先ほど御紹介した意見の一番下のコーディネーター機能などが、具体的な論点として挙げられると思います。
4点目といたしましては、指針の運用に関する周知徹底。これは研修等も含めた方法などが考えられます。
5点目といたしまして、事故の再発防止。この防止に向けた情報発信について。この後ポータルサイトの御紹介もありますが、それも含めた様々な情報発信の仕方があろうかと思います。
こういったことが、現時点でのまず当初案としてお示ししている、主な検討事項の案でございます。
また、そのワーキンググループの検討に当たりまして、実態を踏まえた、実態に即した議論が必要になります。そうしたことから事務局といたしましては、現行の指針をどのように運用されているのか、これについての実態調査、アンケート調査を、都道府県と市町村教育委員会を対象として実施したいと考えています。
また詳細調査を実施した学校設置者、今、教育委員会と書いておりますが、学校法人も含めて、詳細調査を実際に実施した、実施主体にあるところに対してヒアリングを行って、その課題点をより具体的に抽出して改善につなげることができないかと、このように考えています。こうした検討事項並びにその検討に当たってのバックデータの集め方などについて、事務局案をお示ししている次第です。
もう一つのワーキンググループについても、同様の体裁で資料を用意させていただきました。
構成といたしましては同様に、一番上に第3次計画に関する関連記述をお示ししておりまして、その下にこれまでの会議の御意見をいただいています。3点ほど記載しています。
教員が安全点検を行う際の視点や対象について、点検の主体・内容の分類、点検体制の仕組みを構築すべきではないか。
安全点検の際に子供の視点を入れる。例えばGIGA端末を活用した校内のヒヤリ・ハット事案の共有をすることなどが考えられるのではないか。
安全点検に警察や消防など、地域の関係機関の視点も盛り込むことが必要ではないかという御意見を会議でもいただいています。
また、3月にいただきました消費者事故調査委員会の報告書を受けまして、マクロデータの活用など、子供の様子と環境との関係を観察してリスクを抽出していくという点。法律に基づく行政が行う定期的な外部人材による専門的な点検と、日常的に教員が行う教育活動上の点検ということ、使用上の安全点検というものを内容面で整理していく必要があるのではないかという点。危険な施設や設備が学校に配置されないようにするという、ハード面に関しても視点を入れていくという御指摘もいただいています。そして人材の活用であるとともに、外部の視点。様々な視点があると思いますが、専門的な視点や第三者としての視点を入れていくことが必要であるという御指摘もいただいています。
これらを踏まえまして、事務局案として整理いたしました検討事項といたしましては、下記に記載のとおりでございます。
まず、消費者安全調査委員会の意見書もございますので、これも受けた安全点検の在り方の見直しです。具体的には、安全点検の担い手とその手法の在り方の見直しということが挙げられます。あわせて緊急点検も求められておりますので、そのことについてもワーキンググループの中で御議論いただきたいなと考えています。議題に関しましては、事務局でまた御用意させていただきます。
学校と教育委員会が行う安全点検体制、この在り方について。教職員が行う日常的に行っている安全点検の視点。またその点検を行うべき対象の範囲です。あわせて外部の専門的な方を含めた外部人材等の活用について。そして子供の視点を取り入れた安全点検といった、5つの点をお示ししておる次第です。
そして、このワーキンググループの最終的な今年度においての取りまとめの一つの方向といたしましては、教職員が日常的に行っている、あえて踏み込んで言うと、専門性は必ずしも十分持っているというわけではない、教育活動の専門家であっても、設備であるとか施設の専門家、事故の専門家では必ずしもない教職員が日常的に行う点検、これを実効性たらしめるための日常的に使っていただく安全点検要領、先生方が行うものを、しっかりと明示して示していくこと、仮称という括弧書きをさせていただきましたが、これを一つのワーキンググループの成果物としてまとめていただくことはできないかなと、事務局としては考えてございます。
これも指針のワーキンググループと同様に、実態を踏まえた検討を行っていただくに当たりまして、消費者安全調査委員会の意見を受けた安全点検の実施とその結果報告、3月にこれは文科省のほうから通知して、各学校にお願いしております点検、その結果をぜひお聞かせいただきたいなと考えてございます。
また、外部人材等を活用した安全点検の好事例の収集です。幾つかそういった事例もお聞きしているところでありますが、外部人材にどのように御知見をいただく方法が考えられるのか、事例を収集し、それを展開していくことを考えていきたいと思います。また関係いたしまして、関係団体であるとか関係機関に対してヒアリングを行っていくということも、ワーキングを通じて行っていきたい、このように考えてございます。
以上が資料3の説明でございます。
今回、ワーキンググループの設置を御承認いただきましたので、もう今月にもワーキンググループを設置して、検討を開始していくに当たりまして、最後の資料2枚の検討事項の部分で、事務局案としてはこれをワーキンググループにお示しするに当たって、より内容を充実するという観点から、さらに追加すべき観点であるとか、こういった点をより掘り下げていく必要があるのではないかという点に関しまして、2つのワーキンググループの検討事項につきまして、特に御意見を賜れればありがたく存じます。
事務局からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、資料3の有識者会議及び各ワーキンググループの協議の方向性について、皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。今、最後に御説明がありましたように、それぞれの特に検討事項、その内容について不足があれば、またそのことについても御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。御意見のある方は挙手機能を押していただくか、直接手を挙げていただいても分かると思いますが、いかがでしょう。
首藤委員、お願いいたします。
【首藤委員】 ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。2点、質問のような意見のような、どっちとも言えないことを申し上げたいと思います。
まず、1つは、事故対応指針の見直しワーキンググループのほうなんですけれども、頂いた資料の主な検討事項というところの中に、学校側が行う基本調査について、その在り方とかの検討というのがあまり入っていないように思います。在り方まで詳しく検討するかどうかはさておきかもしれませんけれども、学校が基本調査としてできることの限界というものもあるかなというふうに思いますので、学校が基本調査をきちんとできるようにするとか、あるいは、ここまででいいのでここから先は詳細調査に委ねるとか、その基本調査と詳細調査との関係とかも含めて、検討対象にしていただいたほうがいいかなと私は個人的に思いました。
なので、そのような意見を持ちつつ、この見直しワーキンググループの中で、基本調査のことが主な検討事項に挙がっていない理由があれば、今のうちに教えていただきたいなというふうに思います。
もう1点は、安全点検の在り方の検討ワーキンググループのほうなんですけれども、ここで言う安全点検というものの範囲を少し考えたほうがいいかなと思います。この契機になった消費者事故調の報告書は、基本的には学校の設備や施設に問題があって、子供さんがけがをするというような場合を防ぐための安全点検ということで、施設や設備に関する安全点検というのが主眼だったと思うんです。
ただ、学校現場で安全点検といいますと、例えば通学路の安全点検というものも範疇に入りますので、今回検討されて、安全点検要領をつくる場合の安全点検の範囲については、少しはっきりさせたほうが、その後の検討がスムーズにいくのではないかなというふうに思いました。これは意見です。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。では、文科省のほうから何かあればお願いします。
【林補佐】 1つずつ。御指摘ありがとうございました。まず、指針の見直しについてです。いみじくも御指摘いただいたとおりでございます。すみません、確かに基本調査についての記載はございませんが、もちろん基本調査の在り方も、その後の詳細調査にもつながる重要な要素でございますし、やはり基本調査の在り方も大分学校ごとに、学校も重なっている部分がありまして、ばらつきがあるのではないかという点も指摘されておりますので、当然のことで、主な検討事項の中にしっかりと位置づけたいと思います。文言がなかったのはちょっと事務局の不手際でございました。失礼いたしました。
あともう1点、安全点検の在り方に関してです。こちらも大変重要な御指摘ありがとうございます。範囲を設定すべきであるという点、これはまさにおっしゃるとおりかと考えています。当面射程に入れている、範囲に入れておりますのは、御指摘にもありましたように、施設設備に関するものを中核に考えていきたいと思います。最終的な成果物としては、全ての学校で使えるようなものになってまいりますと、施設設備については、全ての学校においては必ずあるのではないかと思われます。
一方通学路に関しましては、また別の形で、合同点検等、また関係機関も巻き込む形で実施しておりますし、あと一方でポイントになってくるのが、体育施設に関して、やはり運動部活動であるとか、体育的な活動の中で事故が起きているという点もあるんですが、そちらに関しましては、かなり学校ごとに、また学校種ごとにバリエーションに富んでいるものですので、消費者事故調の意見との整合という観点もありますので、まずは学校の施設等設備で、また学校保健安全法で想定されている安全点検も、日常的に行われる点検については、学校施設内の子供たちが日常的に使われるもの、学校種の共通のもので安全点検要領をつくっていくという観点から、まず施設設備を中心に議論の範囲を、ワーキングまでにはそれは整理した上でお示ししていきたいと考えています。範囲に関する御指摘はごもっともかと思います。どうもありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは、次に、桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】 ありがとうございます。事故対応に関する指針の見直しの主な検討事項なんですが、申し上げることは、事故発生直後の取組というのがこの指針の中にもあるんですけれども、その中に応急手当の実施という項目がございます。御案内のとおり、日本蘇生協議会という公的な団体ですけれども、5年ごとに市民に期待される一次救命処置の内容を改訂しておりますので、ワーキンググループでの検討事項というよりは、きちんとチェックしながら改訂していく、更新していくという意味合いで、この中に書かなくてもいいと思いますけれども、重要な見直しの事項だということだけ共有していただければと思います。
以上です。
【林補佐】 ありがとうございます。御指摘ごもっともかと思います。改訂に当たっては必ず盛り込むべきポイントといたしまして、しっかり共有させていただいた上、記録に残させていただきます。ありがとうございます。
【渡邉座長】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。2つのワーキンググループの取組の内容につきまして、何かさらに加えたほうがいいようなものとか、何か御意見があればお願いいたします。スケジュールとかそういったことでも結構です。いかがでしょう。
今回は安全点検の検討については新たに立ち上がったものですけど、事故対応の関係につきましては、今回改訂ということで、これも冒頭あったわけなんですが、それにつきまして、何か前回の指針の検討に携わっていただいた先生から、ちょっと一言お願いしたいんですけど。藤田先生、いかがですか。
【藤田委員】 大阪教育大の藤田です。
前回、事故対応指針の調査研究等から参加させていただきまして、今回は先ほど御指摘がありましたように、基本調査の実施という中で、近年特に働き方改革との関係も含めて、今回のワーキングの主な検討事項になってくるんじゃないかというふうにも感じているところです。
あとは事故対応指針で、やはり今回の見直しをするに当たっての基本的な対象として、前回は、スポーツ振興センターで管理されていた過去10年間の事例等を中心にということで行ったんですが、今回の見直しというものは、それ以降を含めてのスポーツ振興センター等の事例等を中心に検討を進められるのでしょうか、それとも何か特定の要因等、いわゆる自然災害であったり、不審者の問題であったり、交通事故であったりといった内容として進めていく方針なのかというところをお聞かせいただければと思います。
【渡邉座長】 お願いいたします。
【林補佐】 藤田先生、ありがとうございました。
まず、1点目の基本調査の在り方に関してですが、安全点検のほうの話もそうなんですが、やはり今の大きな流れといたしましては、教員の働き方改革の流れがございます。特に事故対応に関して、調査をしていくという点に関して、基本調査は学校が行うことになっていますので、学校に対して大きな負担をかけている。また、この後のワーキングの検討になっていくと思うんですが、詳細調査の意向の判断、そして詳細調査の実施は、今の現行指針では設置者が行うことになっておりまして、この点に関しましてもこれまでの議論の中で、その当事者である学校に、またその設置者に調査委員会の設置等を求めるのは、大変厳しいものがあるのではないかという御意見もいただいているところです。
なので外せない論点といたしましては、その負担感と、あとは実効性、これは2つの対立する考え方になってしまうのかなと思うんですが、そこの整合をしっかり取る形で、より実効性の高いもの、実を取っていけるような指針の見直しをしていきたいなと考えてございます。
2点目の点でございますが、基本的には28年3月につくっていただいた指針の見直しになりますので、まずは指針の運用の状況をしっかり押さえたいと考えてございます。したがいまして、先ほどの資料でも、ちょっとまた共有させていただきます、右下のほうにございます実態調査でございますね。ここで基本調査がどう行われていたのか、ある程度押さえていきたいなと思っています。
また詳細調査に関しましては、数も必ずしも多くないということもありまして、個別にヒアリングをして、より課題をここで抽出していくと。実際に詳細調査を実施した設置主体に対して、いつの時点で何をしたのか、そしてその点でどういったということが課題であったのか、どういった点で苦労したのかといったことをつぶさに聞き出すような形で課題を抽出して、その見直しにつなげていきたいと考えてございます。
ですので、ゼロからつくるのではなく、今ある指針の運用状況をしっかりと押さえていくというところから、まずはその出発点を置きたいなと思っています。当然そのデータに関しましてはJSCも膨大なデータを持ちですので、それを補完する部分で、JSCにお力もお貸しいただきながらデータも活用していきたい、このように考えてございます。
【渡邉座長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、やはり同じく前回の指針の作成に携わっていただいた山中委員、いかがでしょうか。
【山中委員】 小児科医の山中です。
28年3月に出された学校の対応指針作成に携わらせていただきました。その同じ時期に、保育管理下の対応指針もほぼ同じようなものが出されました。前回の委員会でもお話ししたことがあるかもしれないんですけれども、保育事故のほうは、保育管理下で死亡事故が起きると、重症例もちょっと含まれていますが、各自治体で検証委員会をつくって国への報告が挙げられています。多分8割ぐらいは挙げられているんですが、学校管理下の死亡例に関しては、これはメディアの報道なのでどこまで正確か分からないんですが死亡例はかなりあるんですけれども、国への報告は四、五件しかないと報告されています。
その違いは何なのか、私もちょっと実は疑問に思っているんですが、保育管理下とどこが違うのか。できれば今回、死亡例が起こってもそれが報告につながらなかった理由、遺族の方が同意していないとかあるかもしれませんけれども、基本調査で最低限、今後の予防のために必要なことをリストアップして、たとえ遺族の方の同意が得られない個人情報の問題とかがあっても、次の予防につなげるための何か最低限の情報を、入手、記録しておく方法を検討してはどうかと思いました。あやふやなデータなんですけど、私自身はそういうふうに思っております。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。この件に関しまして文科省よりお願いします。。
【林補佐】 山中先生、御指摘ありがとうございます。いみじくも前回の指針で作成にも深く携わってくださいまして、誠にありがとうございます。
また御指摘のとおり、幼稚園であるとか、認定こども園等で発生した事故に関しましては、ちょうど同じタイミングでシステムが整備されまして、当課も文科省も関係機関といたしまして、そちらの状況についても常に共有させていただいているんですが、確かに実効性と申しますか、上がってくる案件が、かなり数が多い一方で、学校事故に関しましては、機関数、学校数そのものも多い割に、やはり上がってくる数が少ないのではないかという御指摘はそのとおりかなと思います。
幾つか理由は考えられるんですが、やはり根拠を持ってその原因を特定し、改善していくということを、ワーキングの中でしっかりやっていきたいなと思います。御指摘いただいた点はこれまでも会議の中でいみじくもいただいておりましたので、これはワーキンググループでの検討課題としてしっかりと位置づけたいなというふうに思っています。
また基本調査も、その在り方も、指針の中の重要な一部ですので、その精度を上げていく、内容をしっかり統一感を持たせて、負担感ももちろん増やさない形、かつ必要な情報が取れるような形で、基本調査の見直しというものも、併せてワーキングの重要な課題としてしっかりと位置づけていきたいなと考えています。御指摘ありがとうございます。
【渡邉座長】 ほかはいかがでしょうか。
私のほうからも1つ、これは文科省にお願いということになるんですけれど、挙がっている取組の中で、1つは周知するということがあったと思うんです。前回、平成28年に「学校事故対応に関する指針」が出た後、いろいろ研修会に行っても、学校現場の方はもうほとんど御存じなかったんです。1年目は本当に。2年目ぐらいから少しちらほら知っている人も出てくるぐらいだったものですから、今回この見直しが終わった後は、文科省のほうから各都道府県に、少なくとも管理職を対象とした、見直した指針の研修会を必ずやってくださいぐらいのことを、言っていただけるといいと思いました。
それともう一つは、死亡事故の場合は報告書を提出と。提出していただいて終わったではなく、これも国のほうから、できればその事故が起きた学校に対して、1年ぐらいたって、再発防止を行っているかどうかということの確認といいますか、そういうことを一言やっていただくといいと思いましたので、御検討ください。
【林補佐】 ありがとうございます。特に周知に関しましても、過去の経緯を拝見いたしますと、各種の事務連絡、通知、また各種の会議で御紹介されているんですが、やはりまだ周知に関しましてはさらに力を入れる必要があるのかなと、このように考えております。改訂の暁にはかなり力を入れて、それこそ策定のときより以上に周知に努めていきたいなと、このように考えております。
また、再発防止に向けてのフォローアップですか、詳細調査を行った設置者に対してのアフターケア、これも重要な視点かと思いました。しっかりと受け止めて、ワーキングの議論につなげていきたいと思います。ありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ほかいかがでしょうか。安全点検のほうなども少し御意見をいただければと思うんですが。こちらから御指名させていただきますけど、北村委員、何か御意見ございますか。
【北村委員】 ありがとうございます。産業技術総合研究所の北村と申します。
具体的なワーキングのほうで検討してもいいかなとは思っていたんですけれども、今回一応安全点検要領をつくるのが一つ目的だということなんですが、恐らくこの安全点検要領というのを1回つくってそれで終わりというわけにはいかなくて、基本的な考え方とかはつくれると思うんですけれども、どうしてもやっていくうちに、抜けがあったりとか、不足しているものが出てくると思いますので、安全点検要領をつくって終わりではなくて、つくりつつ、それをうまく更新したりとか、それ自体を評価するような、そういう枠組みもないと、つくりました、でもやっぱりそれから抜けていたので事故が起きましたでは意味がないので、そういう全体的にどうマネジメントをして、更新していいものにしていくのかという、その枠組み自体も一緒に検討できるといいなと思っております。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
【林補佐】 御指摘ありがとうございます。安全点検要領を作成した後のPDCAに関して、これも重要な御指摘かと思います。まだ確たるところまでは申し上げられないところではあるんですが、やはり一定期間経過後の見直しというものも作成当初から盛り込んでいくと。最近の法改正事項なども、何年を目途にその実効性について見直していくことは、必ず附帯決議、あるいは附則等でついていくということが、近年の制度改正では多くなってございます。その実効性をたらしめるために。
特に御指摘のとおり抜けがある可能性も。作成の段階で完璧なものを目指しつつも、やはりよりよいものにするために、一定期間経過後の見直しというものも重要かと思いますので、それは作成の際にしっかりビルトインをしていくということで、こちらもワーキングの議論の中につなげていきたいと思います。ありがとうございます。
【渡邉座長】 ほかに。小川委員、いかがでしょうか。御意見ございますか。
【小川委員】 ありがとうございます。東北工業大学の小川です。
安全点検のことについてお伺いしたいんですけれども、まだ私も理解し切れていないんですが、主な検討事項のところで5つありますが、その前に0番があるような気がします。安全点検上の課題というものをもう一度洗い出していかないと、この5つで全部網羅できていないように思いました。
現場では点検を何らかの形でやっていると思うんですが、よく聞く話は、点検した結果をどうするんだというところで止まっているとか、流れが悪くなっていたり、点検をしたんだけど、ずっと点検したままで改善が行われていないとか、その理由が分からないとか、予算がつく、つかないとか、あるいは点検した結果をどこかで誰かがデータベースで集約しているのか、あるいは複数に改善すべき点が出たときに、その優先順位はどうなるのかとか、何かいろんな課題が既にあるので、ただ点検の要領だけでいいのか、やっぱりその後の流れですよね。目詰まりしているとすれば、どういうところで目詰まりするのかということを、もう一度その全体像を議論した上で要領をつくっていくという流れがいいのかなというふうに思いました。
もう一つは、何か設備や施設の点検というふうに限定されると、老朽化だとか、設備不備だとかいうところに視点が絞られ過ぎるような気がします。その設備を使う人はどうなのかとか、子供や教職員、大人も含めて使い方に問題はないだろうか、それは生活安全上、防災上、防犯上もあると思うんですが、それでいいんだろうかとか、何かもう少し幅を広げて課題を抽出した上で、この要領をつくっていくという作業が必要な感じがしました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
【林補佐】 ありがとうございます。御指摘のとおりかと思います。安全点検要領の作成に当たっては、要領という単品をつくるのではなくて、先ほど北村先生からの御指摘もありましたように、やはり実効性あるものにしていく必要がございますので、小川先生の御指摘のとおり、課題をしっかりと洗い出して、その点検をした後に、何をするのかまでもやはりフォローできているような要領にしていくことが必要かなと、御指摘のとおりかと存じます。こちらもワーキングで、最終的に要領をつくる際にしっかり位置づけていきたいと思います。ありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは学校現場からの御意見というのもちょっといただきたいと思うんですが、この2つのワーキングのことにつきまして、それでまず、木間委員から御意見いただきたいんですけど、お願いします。
【木間委員】 ありがとうございます。柴又小学校の木間です。今年もよろしくお願いいたします。
学校事故対応に対する指針の見直しという点については議論のあったとおりで、学校現場での基本調査の方法等が、学校長でも知られていないというところがあるのかなと思っておりますので、その辺から見直していただいて周知していくこと、そして渡邉先生がおっしゃったように、こういう研修が校長、管理職にないので、なかなか知る機会がないというのは事実だと思っておりますので、ぜひ出来上がった後の研修体制も考えていただければなと思いました。
2点目の学校の安全点検の在り方につきましても、先ほど小川先生が言ったとおり、安全点検上の課題というのをまず見直さなければいけないかなと。
小学校では安全点検がされていないということはないんですけれども、どういう表の下に安全点検がされているかといったときに、柴又小学校では平成31年につくった、安全教育資料にある点検表を基に点検させているんですけれども、それぞれの学校によっては、ただ修理箇所を探すような安全点検に終始している。
例えば電灯が切れているとか、ドアのノブが閉めづらいとか、そういうのは安全点検ではないのではないかというところもありますので、そういうそれぞれの学校の安全点検の仕方というようなものも見直していく必要があるかと思いますし、また何度も安全点検の中では、我々が研究会の中でも言っているんですけれども、1人の先生が集中して同じ場所をずっと見続けていて、見落とすということもあるかと思っておりますので、そういう点検の仕方ということについても見直していかなきゃいけないかなと考えております。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。よろしいですか。また引き続きお願いします。
そして平塚委員からも御意見いただければと思います。
【平塚委員】 ありがとうございます。石巻市立青葉中学校の平塚です。この4月から学校が替わりまして、石巻市立の学校に来ました。本校は、藤田先生が推奨していますSPSをやっている学校になります。
今、お話を聞いていて本当に、まず周知ということに関してどういうふうにしていくのがいいのかななんて、今ずっと頭の中で考えておりました。それで、教育委員会からどういうふうに学校のほうに流れてくるかということも非常に大きいなと思っていまして、例えばこの辺で言うと、コンプライアンス系のことって結構しっかり伝わってきて、過去の事例等も挙げられて意識するところなんですけれども、殊、安全に関する事例等の流れ方というか、そういうところはちょっとやっぱり弱いような感じがしています。そういったところの周知の仕方ということは、やっぱり考えていかなきゃいけないんだなというふうに、今ちょっと思っています。
それから、先ほど来出ています実効性のある点検ということなんですけれども、前回でしたか、小川先生から御提案いただいた、子供がいないところでの安全点検じゃなくて、子供が動いている中で点検をしていくという視点、あれはすごくいいなと思っていまして、早速現場でもちょっとやってみようということでやっていたりしています。そういう動きの中で実際使われている使われ方がどうなのかとか、そういうことを含めて見ていく視点というのは、すごく大事なのかなというふうに思っていました。
現場として本当に皆さんから出されたことをどうしていくかということは、やっぱり考えていかなきゃいけないなと改めて思っているところです。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。委員の皆さんからお一言ずつ御意見、御質問いただきましたけれども、何か追加はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、皆さん、ワーキンググループに参加されたときには、さらに議論を深めていただければと思います。
それでは、次の議事に入りたいと思います。
議事(2)の丸3 ですが、独立行政法人日本スポーツ振興センターから、災害共済給付に関するデータについてヒアリングさせていただきます。災害共済給付事業部調査課主任専門職、栗山様から御説明をお願いいたします。
【日本スポーツ振興センター(栗山)】 皆様、こんにちは。私、独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部調査課の栗山でございます。本日少し遅れて会議に入らせていただきまして、大変失礼いたしました。本日は御依頼いただきまして、私ども、日本スポーツ振興センターに蓄積されている災害共済給付に関するデータについて御説明を申し上げます。15分程度でという御依頼をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、資料のほうを共有させていただきますので少しお待ちください。画面のほうは映っておりますでしょうか。よろしいでしょうか。大丈夫そうでしょうか。資料4番というものに沿って御説明申し上げます。
では、2枚目のスライドからお話しさせていただきます。私ども、日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部は、学校・園等における災害について、申請に基づき、医療費、障害見舞金、または死亡見舞金の支給を行うとともに、災害共済給付の実施によって得られる事故情報、近年は毎年約80万件程度のデータがございますが、そのデータを活用いたしまして、事例、統計データの整理、分析及び調査研究を行い、その成果を学校関係者等の皆様に御提供し、現場で御活用いただき、事故防止に向けた取組を行う業務を実施いたしております。
近年の調査研究の実施に当たりましては、本日の会議に御参加の渡邉先生をはじめ、山中先生、木間先生、北村先生等、皆様に御指導いただきながら、日頃の業務を進めさせていただいております。
災害共済給付制度への令和3年度の加入者数は、全国の学校、保育所等で約1,615万人、その加入率約95%となっており、全国の児童生徒はほぼ加入していると申し上げられます。小中学校はほぼ100%で、幼稚園、保育所等は約80%程度の加入率となっております。また、令和3年度の災害の発生件数は約83万件、給付金額は約156億円という規模でございます。
3のスライドをお話しいたします。災害共済給付金の請求と給付までの流れについてを図で示しますと、このようになっております。学校の管理下において災害が発生し、児童生徒等が医療機関を受診しますと、医療費の証明として、「医療等の状況」が保護者に手渡されます。保護者は「医療等の状況」を学校に提出、学校により災害報告書が作成されます。それらが設置者を通じ、当センターに請求データとして到達いたします。当センターでは、受付・審査・決定のプロセスを経て、給付金支払通知を行うとともに、設置者に向け、給付金を送金、設置者から保護者に向けて支払いがなされ、一連の給付が完了いたします。
医療機関が作成する医療等の状況及び学校等が作成する災害報告書については、御覧のような内容となっております。いささか細かくて見づらい点があるかと思いますので、今回の資料の最終ページに別紙としてつけさせていただいております。御参照くださいませ。これらの書類に記載された内容が、災害共済給付に関するデータとしてJSCに蓄積されるということになっております。
次に、この蓄積されたデータを事故防止対策に活用し、学校事故の減少に資するためにどのような形で御提供しているかについてをお話しさせていただきます。
まず、私ども、日本スポーツ振興センターのホームページ、災害共済給付Webで公開しております、学校等事故事例検索データベースについてです。こちらのデータベースにアクセスいただきますと、平成17年度以降に、死亡・障害見舞金、供花料及び歯牙欠損見舞金を給付した、全ての事例を御覧になることができます。
公開している項目は御覧のような内容となっております。給付の年度、死亡・障害種別、被災した学校種、被災学年、性別、また場合、これは授業中ですとか、体育的部活動中、通学中などといった場合についてです。競技種目、通学方法、発生場所、遊具等、そして災害発生時の状況となっております。学校種や競技種目等、任意の条件でキーワードでフィルターをかけてデータを御覧いただくことで、どういう場合にどんな重大事故が起きているのかを御確認いただくことができるようになっております。
さらに私ども、日本スポーツ振興センターには、今御説明しました公表されていますデータベースのほかに、医療費の給付事例に係る事故データが蓄積されております。医療費給付事例とは、病院を受診し、治療を受ける時点までの医療費について給付を行った事例のデータであり、件数としては、近年では1年間に80万件前後で推移いたしております。医療費の支給期間、つまり同一の負傷、疾病に関する支給期間は10年間と定められております。システム上も10年間のデータ保管を行っております。JSCから外部へのデータ提供は、申請及び給付されたデータを使用して実施いたしております。
次に、書籍『学校の管理下の災害』についてお話しいたします。『学校の管理下の災害』は、災害共済給付を行う際に得られた事例、データ等を年度ごとにまとめた資料で、毎年、私ども、日本スポーツ振興センターが発行しております。
第1編では給付制度の概要について記載しており、第2編と4編では、学校等の管理下で起きた死亡・障害、供花料、歯牙欠損見舞金の事故事例と、子供の発達段階に応じた事故防止のための留意点を、学校種別に有識者の先生方に解説いただいております。第2編の事例はそのまま、さきに御説明した学校等事故事例検索データベースに収められ、公開されております。
第3編では、当該年度に最初の医療費の給付を行った児童生徒等の負傷・疾病について、男女別、場合別、場所別など、様々な角度から集計し、掲載をいたしております。学校種ごとに、どんなとき、どんなけがが多いのかを数字で見ることができるので、例えば小学校の休憩時間中の災害発生件数など、災害発生傾向を正確に把握することが可能となっております。災害共済給付Webから無料でダウンロードいただくことができ、統計データを加工してお使いいただけるように、帳票はエクセルでも公開をしております。
令和4年3月25日に閣議決定された第3次学校安全の推進に関する計画の中で、過去の事故事例やヒヤリ・ハット事例から学ぶ事故防止の重要性について明記されておりますことから、ここまでは、主に私ども、日本スポーツ振興センターに蓄積された事故のデータと、そこから作成される刊行物について中心にお話をしてまいりましたが、それらのみならず、私ども、日本スポーツ振興センターでは、事故の再発防止に向け、調査研究の実施、その成果を活用した啓発資料の作成、配送、講習会の実施、またそれらのデータを事故防止に資する使用目的のために、提供申請する団体等に対して提供するなどの取組を実施いたしております。
JSCではさきに御説明したように、災害共済給付に関するデータを整理し、統計として公表する以外に、それらのデータを活用して、分析及び調査研究を行い、その成果を学校関係者等の皆様に御提供しております。取組を進めるに当たっては、要綱に基づき、外部有識者の先生を委員として委嘱し、委員会及び専門部会を組織しております。学校等における事故防止調査研究委員会においては、調査研究課題の選定、調査研究の実施方法に関する事項及び成果の普及等について必要な事項を審議いたします。
同委員会の下に専門部会を組織いたしております。専門部会は、学校等における事故防止調査研究委員会が選定した調査研究課題に係る取組を行い、同委員会に対して報告を行っております。
参考までですが、令和5年度は調査研究専門部会において、幼稚園、保育所等の事故防止に取り組みながら、情報発信専門部会においては、事故の再発防止に向けたオンラインセミナーを開催するとともに、学校等の事故防止に資する情報発信について、従来型の紙媒体の配送や、災害共済給付Webからのダウンロードという形での事故防止情報の提供に加えまして、学校・園の現場へのICT機器の普及やGIGAスクール構想の広がりなどに伴った、今の時代に合った、新しい形の事故防止啓発方法の検討及び実現に向けた取組を行うこととしております。
JSCでは長年、学校等における事故防止に向けた調査研究の実践を行ってまいりました。これまでに御覧の調査研究課題への取組を行ってまいりましたが、その間、スポーツ庁からの委託事業を9年間にわたり受託しておりましたことから、特に近年の取組内容は、スポーツを原因とする事故、つまり中高生の運動部活動を中心とした事故防止に重点を置いた内容となっておりましたことを考慮いたしまして、令和元年度からは、スポーツ庁の委託事業と並行して、私ども、日本スポーツ振興センターの本体事業として、主に小学生や幼稚園、保育所等を対象とした事故防止対策に取り組み、それらの世代への事故防止啓発資料作成等の取組を強化しております。
調査研究においてデータを分析、研究した結果は、パンフレットや映像資料等、学校等の管理下における事故の再発防止のための情報として、学校関係者の皆様に御提供しております。災害共済給付Webに掲載するとともに、制度に加入する啓発資料の対象学校に対して、配送等を継続的に実施いたしております。
事故の再発防止に向けた啓発資料の一例について御紹介させていただきます。こちらは「スポーツ事故防止ハンドブック」、「事故対応ハンドブック」です。令和2年度に私どもが実施した活用状況調査におきまして、学校現場の多くの先生方から、活用したことがあるとお答えいただいております。心停止や熱中症、食物依存性運動誘発アナフィラキシーなどについて、水色のハンドブックには事故防止のためのポイントがまとめられており、黄色のハンドブックには事故発生時の対応がフローチャートでまとめられております。
もう一例御紹介させていただきます。こちらパンフレット、「熱中症を予防しよう」です。熱中症のメカニズム、また事故の事例、統計データ等を詳しくまとめたパンフレットと、10分程度のドラマ仕立てのDVDとなっております。DVDは熱中症予防以外に、御覧の突然死、頭頸部外傷の事故防止、水泳における飛び込み事故防止、歯・口の事故防止、目の事故防止などを作成しております。全てユーチューブで御覧いただくことが可能になっておりまして、授業で御活用いただいている学校もあると聞いております。
これら御紹介した内容以外にも、災害共済給付Webでは、事故防止に関する様々な情報や資料を御用意しております。ぜひ一度御覧いただけますと幸いでございます。
最後に、私ども、日本スポーツ振興センターでは、統計化した災害共済給付に関するデータを、事故防止に資する使用目的を持ち、かつ成果が十分に期待できる活用計画を有する団体等に対して提供する業務を実施いたしております。これは私どもの内規に基づきまして、事故防止業務の一環として実施するもので、主に大学、病院等の研究機関やマスコミの方々を対象とした業務となっております。
私ども、日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部では、今後も災害共済給付の実施によって得られる事故情報を整理、分析し、データを活用した事故防止の取組を推進してまいります。引き続きの御理解、御支援を賜りますようお願いいたします。
本日の私からの御説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。それでは、今御説明いただきました災害共済給付のデータの関することですけど、皆様から御質問、御意見ございますでしょうか。
それでは、桐淵委員にお願いします。
【桐淵委員】 桐淵です。私はAED財団で活動していることもありまして、その関連で2点ほどお伺いしたいんですけど、1つは、過去のデータでも、管理下でお子さんの突然死が非常に多いということで、これはスポーツ振興センターで刊行していただいた「突然死予防必携」ですね。
これは改訂版が平成23年に出ているんですけれども、この更新は、先ほども発言しましたが、一次救命処置はどんどん医学的にエビデンスを集めて改定されていまして、一般市民――もちろん学校の先生もそうですけれども――が初期対応していただくことが非常に重要だということが強調されていますので、その情報更新の予定があるのかということと、それからもう一つ、これを読んでいると、養護教諭向けの印象が非常に強いんです。ところが一次救命というのは養護教諭を待っていてはいけないので、誰もができるようにするということが鉄則なんです。そういう視点でもう一度強調することが大切かなと思いました。すみません。
あともう1点は、災害報告書がありますね。今お示しいただいたものですけれども。これは給付金の申請のための書類が本質なので、やむを得ないのかなという気はしているんですが、何年か前のNHKの調査報道でしたか、AEDを使ったかどうか、報告書に書いていない学校が多いという調査報道があったと思うんですが、今申し上げたように、これは申請書類なので、事故の検証のように、救命処置をやったのか、やらないのか、AEDを使ったのか、使わないのかということをここに書くかどうかというのは、どこかで例示を示すか、あるいは手引で。この中に応急処置や医療機関への移送など、災害発生に対して学校側の取った措置状況という欄があるんです。そこの欄に何を書くのかということが学校に求められているのかどうか、それがちょっと私は分からなかったものですから。
そうすると、学校は要するに給付金の申請のために書くので、急いで取りあえずここを書いて出しているんじゃないかと思うんです。そうすると調査報道のように、学校側が意図的に隠しているとか、何かそのような印象につながるのは私は避けたいと思うので、申請書類でそこまで要求できるかどうかはともかくとして、実態がきちんと把握できるような措置は取れないかなということが意見であり、質問みたいなものです。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。じゃ、栗山様、お願いいたします。
【日本スポーツ振興センター(栗山)】 桐淵先生、ありがとうございます。以前電話等の問合せで対応させていただいて、お久しぶりにお顔を拝見して。
【桐淵委員】 どうもお世話になっています。
【日本スポーツ振興センター(栗山)】 お世話になっております。ありがとうございます。ちょっとこっちから先に。
御質問いただきまして誠にありがとうございます。まず最初に、私どもで作成いたしました「突然死予防必携」の更新予定があるかという御質問につきましてなんですけれども、ここ、例えば今年とか来年とかいったところで明確に予定しておりますということは、ちょっと申し上げかねる状況でございます。ただ、私どもの作成したものの中でとても古いという認識は、我々もとても認識しておりまして、どこかのタイミングでやらなくてはという認識、問題意識は持ってございます。
近年様々なテーマ、それぞれのところで、先ほどもお話しいたしましたが、ちょっと手薄になってしまっておりました幼稚園とか保育所のところを、去年と今年と重点的に取り組んでいるという都合もございまして、ここ数年での改訂は予定してございません。ただ、先ほどお話ししたように、いつも情報提供させていただく研究者の先生とか、救急時搬送情報等と情報を照らし合わせて事故防止に取り組まれている先生方からは、再三協力してアップデートしないかという提案をいただいたりもしておりますので、私どもとしては引き続き前向きに検討してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
そして、2点目の一次救命処置のところで、養護教諭を待っていてはいけないということで、まさにもうそのとおりだと思っておりまして、現場にいる誰もが、先生はもちろん、もしかしたら生徒さんも含めて対応できるようになっていくことがとても重要であるということについても認識してございます。
啓発資料なんですけれども、割とどれも先生に向けてつくってしまうんですが、こういったいろいろな場でお話しさせていただく中で、例えば学校医の先生とか、そういった方も含めて、対象としたものをつくっていただけないかという御意見をいただいたりもしておりまして、その辺りも総合的に勘案して、改訂する暁には、御意見をいただきながら作成していければと考えております。
3点目のAEDを使ったのか、使わなかったのかということに関してなんですけれども、桐淵先生のおっしゃるとおりでして、我々も同じ問題意識を持っております。NHKさんの報道でも書かれていないことが多くてということで、恐らく桐淵先生はよく御存じの、明日香ちゃんのお母様が出演された番組とかあったかと思うんですけれども、そのときから状況は今のところ変化がないところでございます。
というのは、先ほども、給付のためのシステムだからという御理解をいただく発言をいただいていたんですけれども、今画面上で共有させていただいておりますが、こちらの災害報告書ですね。定量的にデータとして集めておりますのは上の部分でございまして、先ほど私も口頭でお話しいたしましたが、場所ですとか、いつ起きたのかとか、何年生で、男の子なのか、女の子なのか、どういった場合にいつ起きたのかといったところは、もう義務づけているというか。
ですので、申請が上がってくることで、自動的に私どものほうにデータとして蓄積されていくというところなんですが、問題視してくださっていましたのは、この下の部分ですね。災害発生の状況というところと、あと、その右側、学校の取った措置状況といったところで、こちらはフリーワード入力となっておりまして、何ら、何かこれを書かなくてはいけないといった情報がないので、それこそ急いでいらっしゃる、お忙しい学校現場の先生が入力されるときに、この次の事故を防ぐために必要な情報、本来積み重ねるべき情報が積み重ならないというのは、現状の問題として我々も認識しております。
将来的には、給付だけに限られたものではなくて、予防に役立つ情報も集めていきたいということで、我々も事務レベルでは、各分野の先生方、突然死の専門家の方々にヒアリングさせていただいて、じゃ、もし定量的に集めるとしたらどういったことが必要なのか、AEDを使ったのか、AEDをもし使わなかったとすれば理由は何なのか、使ったとしたら、何分後に誰がやったのかとか、そういったことも含めて集めていけるものなのかということは、今検討段階ではございますが、検討を進めているところでございます。
ただ1つ申し添えますと、現時点で私どもが作成しております、こちらのこの『学校の管理下の災害』書籍です。あとはデータベース、先ほどお話しさせていただいたものですけれども、突然死の案件のAEDの使用に関しては、私どものほうで、死亡事故に関しては現地調査に必ず行くことにしておりまして、その際にAEDの使用の実態については必ず聞き取りをするようにしております。学校の先生がこの報告様式に記載されていなかったとしても、私どもが情報として世の中にデータを公開するときに、そちらを補足して書き添えるように、近年は取り組んでおります。
逆に何年か前の『学校の管理下の災害』、また学校等事故事例検索データベースを見ていただくと、記載のない事例もあるかと思うんですけれども、近年はそういった補完する取組を行うようにということで、内部のほうからも方針を固めておりまして、そのように取り組ませていただいているところです。
以上でございます。
【桐淵委員】 ありがとうございます。すみません、今おっしゃったことは……、座長、ちょっと続けてよろしいですか。
【渡邉座長】 はい。どうぞ。
【桐淵委員】 今お答えいただいたことは私どもと問題意識を共有されているので、大変ありがたく、頑張っていただきたいと思います。
【日本スポーツ振興センター(栗山)】 ありがとうございます。
【桐淵委員】 ただおっしゃったことは、これはセンターだけの業務かどうかは検討が必要で、ぜひ文部科学省の担当部署とよく協議をして、特にできれば学校事故防止研究センターのような、より能動的な、機動的な組織が必要じゃないかという意見が、この会議でもすごく出ていますので、これも一緒に協力して検討していただけるといいんじゃないかなと思いました。ありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは、首藤委員、お願いします。
【首藤委員】 ありがとうございます。社会安全研究所の首藤と申します。資料の御説明どうもありがとうございました。
私自身は決して、JSCさんがお持ちのデータベースのものに詳しかったりするわけではないので、大変御説明の内容を興味深く拝聴いたしましたし、あと、特に先日のNHKさんの番組の内容とかも大変興味深く拝見しまして、本当に、こんな言い方は変かもしれませんが、せっかく貴重なデータがありますので、それをぜひ再発防止ですとか被害の軽減という観点で生かしていただくことになればなというふうに、改めて思った次第です。
例えば、先ほど来、桐淵先生とのやり取りの中でも挙げておりましたけれども、報告書のフォーマットですね。あちらも拝見した限りですと、これは給付金の給付のための様式ですよというふうに書かれていて、やはりメインの一番の目的は給付金の支給のためだということは分かるんですけれども、できればあの報告書に再発防止とか被害軽減のためという目的も加味していただいて、より詳しいデータが取れるような工夫を重ねていただければというふうに思います。
特に実際の災害の状況とか応急対応の状況は、全て記述式になっているということですけれども、これは逆に記述式だからこそ、データの取りこぼしも生じるのに加えて、書かれる学校の先生の負担はむしろ増しているのではないかと思うんです。
それを考えると、これまでの蓄積から考えて、これはもう選択肢でぱぱぱっと書いていただければいいなというところをできるだけ増やしていただくようにすれば、定量的なデータも取れるようになりますし、学校現場の負担もむしろ、増やすんではなくて減らす方向に行くのではないかなというふうに思いますので、センターさんはとてもその苦労は生じるかもしれませんけれども、ぜひお願いしたいなというふうに思っております。
あと1点、質問なんですが、センターさんがお持ちのデータを使って、いろいろと分析もされているということだったんですけれども、例えば、私は先日のNHKさんの番組を拝見して、例えば休み明けの事故が多いとか、走っていたり運動している最中よりも、それを終えた後に倒れること、休憩に入ってから倒れることが結構多いというように、私自身も、詳しくないからかもしれませんが、びっくりするような情報がデータとして出たなと思っていまして、その辺りは、単にデータを集計するだけではなくて、それをどんな表現で伝えるかというところが、結構そのNHKの番組の作り方なりに、すごく大きなポイントだったのかなというふうに思っております。
その意味で、集計結果を出すのではなくて、集計結果を分析して、そこから学び取る教訓を練り出すというんですか、その辺りはどういう体制でどのようになさっているのか。たしかNHKさんの番組ですと、AIを使って、テキストマイニングのようなことをやったということも書かれていたと思うんですけれども、そういった新たな分析の取組とか、その辺も含めてどういうふうにされているのか、差し支えない範囲で教えてもらえればと思います。お願いいたします。
【渡邉座長】 すみません。ちょっとお答えいただく前に、小川先生、退室されるということで、一言あれば何か。
【小川委員】
もう少し定性的なデータが集まるといいかなと。簡単な図面や発生状況図があると、データベースを検索することで、我々が学習できると思うんです。
活用できるデータベースがあると、教員の研修会なんかにも使えるし、例えばプールの事故とか、休み時間とか、掃除中の事故というふうに何か条件で検索すると、事例がだーっと100件ぐらい出てくる。それを見ていると、共通性だとか共通した発生要因というのがみつかるかもしれません。その視点を学ぶと、今度点検するときに役に立つと思います。そのときに簡単な図面があるとイメージが湧きやすいので、そういうデータの取り方や、活用するためのデータベースのインターフェースをどうつくるとかというのが、今後課題になるのかなというふうに思いました。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
じゃ、栗山様のほうからは、あと、首藤委員からの御質問を。
【日本スポーツ振興センター(栗山)】 はい。御質問と御意見をいただきまして誠にありがとうございます。
先生がおっしゃっていただきました、記述式だから負担が多いのではないかということは、全く同じことを実は私どもも考えております、やはり御存じかと思うんですけれども、学校現場の養護教諭の先生をはじめとした実際の先生方が御入力いただくということで、何を書けばいいのか分からなかったわと言われたことは実はありまして。
先ほどお話しさせていただいたように、我々の事務レベルでの、こういったジャンルの事故に対してはこういった項目があれば役に立つというようなことを、ちょっと分野ごとに取り組んでいる最中なんですけれども、その候補の項目のようなものをお見せしまして、それは幼児の落下、転落というんですか、それの項目の中に、どのくらいの高さから、どういう素材のところに向かって落ちたんですかみたいな項目を設定していましたら、幼稚園の園長先生をやっていらした委員の方に、ああ、こういうことが知りたかったんですね、初めて知りましたと言われた経験が私もございまして。
そういったところを見てみますと、逆にさっきおっしゃっていただいたように、選択式にしていくことで、手間が減って、かつ必要な情報が集められるのではないかということは、日頃、特に山中先生とかからよく御提言いただいておりまして、私どももそういうふうにしていけるといいなと思っているところではありますが、やはり災害共済給付オンライン請求システムは全国の学校のほうで稼働させていただいておりまして、その仕様を変えていくということになると、かなり大規模な取組になっておりまして、事故防止に資する情報ってジャンルごとに様々あると思うんですけれども、その全てを一律に、せいのと導入することはとても難しいところだと考えています。
壮大過ぎるのではないかと。私どもだけの取組ではないのではないかと先ほどおっしゃっていただいていましたけれども、そういったところも、実際の災害発生の状況からどういった項目が出せますか、出すべきですかというところは、今日御参加の北村先生などにも御相談させていただいているところです。
ですので、今すぐこのようにということは、お約束は難しいんですけれども、例えばシステムの更改のタイミングとかそういったところで、よりよいようにしていきたいと思っております。ただ、先ほど林補佐もおっしゃっていただいていましたけれども、現場の負担感と効果を総合的に見比べて、何事もやっていくことになるのかなと思っておりまして、その辺りを今後前向きに、検討を進めていきたいと考えております。
あとは、先ほど首藤先生から御質問いただきました、集計結果をどういうふうに出して効果的なところを攻めているのか、事故防止対策を立てるのに効果的なところを、どうやって探しているのかという御質問につきましてですけれども、私どももその調査研究の委員会の中に、情報の分析の御専門の先生、北村先生とか、あとは東工大の西田先生とかにお入りいただいて進めております。
私どもの膨大にございますデータを先生方に御提供させていただいて、それを先ほどおっしゃったみたいなAIとか、あとは状況R-Mapといったようなもの、ドットで危険性と頻度とをXとYで取っていって、右上が危険度が高いみたいな、そういったところで出てくるものがどういった事故なのかといったように、例えば近年やりました休憩時間の事故ですとか、幼稚園、保育所等の事故などについては、そういった手法を先生方からお示しいただいて、ターゲット、強調するべきところ、注意すべきところはここだという感じで、事故防止対策を立てるというやり方をさせていただいております。
簡単ですが以上でございます。
【渡邉座長】 よろしいでしょうか。文科省からも追加の御説明があると思うんですけど。
【林補佐】 失礼いたします。事務局から、文科省から1点、関連資料の御紹介をさせてください。画面を共有させていただきます。
JSCさんの御発表、御説明、ありがとうございました。関連いたしまして、JSCさんのデータも活用して、また桐淵委員、首藤委員から、それを国としてもしっかりと協働して活用し、また分析に生かしていくべきではないかという御趣旨の御発言をいただきました。
いきなり組織を立ち上げるのはなかなか難しゅうございますが、今年度の予算の事業を1つ御紹介させてください。これは学校安全総合支援事業という予算事業の一部で、JSCさんの災害共済給付のデータを基に、過去に発生した学校事故に共通する要素等について分析する事業を予定しております。民間の調査研究会社に業務を委託いたしまして、その内容を煮詰めているところでございます。分析結果に基づきまして、再発防止や事故後の適切な対応等に資するための周知等を、この事業の結果行うことを、今年度は予定しています。
また、このテーマそのものにつきましても、冒頭、議事の説明の中でも触れましたように、継続的にこの会議の中でも取り上げさせていただきたいと思いますし、こうした事業の進捗、また成果に関しましても、適時共有させていただきたいと考えてございます。
事務局、文科省からの補足は以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉座長】 桐淵委員、挙手されていますけれど、まだ。
【桐淵委員】 すみません、追加で。先ほど御説明のあったことなどは、この毎年出ている『学校の管理下の災害』、これはウェブでも見られますけれども、その中にもいろいろ分析などはしていただいておりまして、やっぱりこれも周知徹底が課題になってくるかなと思います。全然努力されていないということではないんだと思います。
1点だけ強調して申し上げたいのは、これも文部科学省とセンターとで協力してやることだと思うんですが、少なくとも突然死に関しては学校管理下で、この数十年でかなり減らしてきているんですよね。先日のNHKの番組では、学校事故は同じことが繰り返されるということが非常に強調されていましたけれども、事故というのは原因があって、その原因を除去しない限り、また起こるものですよね。
これは学校事故に限らず交通事故でも、いろんな事故に見られるものでありまして、学校事故だから繰り返されるのではなくて、学校のような非常に精度の高いはずの組織であるのに繰り返される。それが問題なんだと思うんです。学校事故の特性として反復性があるということではないはずなんです。
その中で、突然死に関しては少なくとも数十年の統計で減らしてきている。これを文科省もセンターももっと強調すべきであって、それは取り組んでいますよという言い訳、宣伝ではなくて、私は逆だと思うんです。つまり頑張れば減らせるんだ、頑張れば減らせるからこそ危機意識を持ってほしいという。
1980年代だと、学校内で150件前後の突然死があったんです。今は20件台まで減らしてきているんです。だから頑張れば減らせるんだからという危機意識として、突然死に関してぜひ強調してほしい。ほかのものも原因がはっきりしているものはたくさんあるから、頑張ればなくせるんだということを、ぜひ国としても強調してほしい。
学校の先生になりたいという人があの番組を見て、同じことが繰り返される、しかもブラックだという印象で、どんどん学校教育のイメージが広がっていくと、本当に成り手が減っていくんじゃないかということを、すごく心配しています。今働いている先生たちがとても苦しむんじゃないかということを、私はすごく心配するんです。だから頑張れば減らせるということを、ぜひ強調して訴えていきたいというふうに思います。
少し情緒的な意見も入りましたけど、以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
議事の(2)、丸3 についてはよろしいでしょうか。
栗山様、どうもありがとうございました。
【日本スポーツ振興センター(栗山)】 ありがとうございました。
【渡邉座長】 それでは、このことについては今後も継続して議論させていただきたいと思います。
それでは、議事の(3)について、事務局のほうから御説明お願いします。
【木下調査官】 議事(3)について説明を申し上げます。お手元に資料5を御用意ください。本日は、実際のホームページを御覧いただきながら説明を申し上げます。画面の共有をいたします。
学校安全ポータルサイトというものがございます。こちらは、学校安全の参考となる資料や情報発信をしているものです。水害に備えた防災教育など、ホットトピックスに関しては、バナーを設けて皆さんに見ていただくようにしております。
その一つに、今月のニュースというのを掲載しています。こちらには、今月は消費者安全調査委員会の報告書の安全点検に関して取り上げています。特徴は、短い動画と1枚物にしてまとめております。毎月1回、職員会議等で、全教職員が安全について振り返るきっかけとして活用していただきたいと思って作成しております。そのためにも、管理職だけではなくて、誰もが分かりやすく、短時間で理解できる内容を心がけて作成しています。
今後は、熱中症とかマイ・タイムラインなど、点検に限らず、3領域をくまなく、こういう情報発信をしていきたいと思っております。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。ただいまの学校安全に関する情報提供ですけれど、これについて何か御意見、御質問とかございます。
首藤委員、お願いします。
【首藤委員】 ありがとうございます。今御紹介いただいたもの、すごく分かりやすくて、学校現場にも配慮した、いい取組かなというふうに思います。もしかしたらもう既にできるようになっているのかもしれませんけれども、多分、今月のニュースという形で月替わりで出てくるといった前提だけだと、それをたまたま見つけたときに見るみたいになってしまって、例えば、今度の職員会議でプール事故のことをやりたいなというときに、今月のニュースを全部探さないと見つからないというのはちょっともったいないなと思っていまして、何かこういうことを見たいとなったときに、そこにうまく到達できる仕組みもあるといいなというふうに実感いたしました。
以上でございます。
【木下調査官】 ありがとうございます。今月から始めたばっかりなので、また皆さんから、こういう情報を載せたほうがいいとか、こういう仕組みにしたほうがいいというのがあれば、ぜひ御指導いただけたらと思います。ありがとうございました。
【渡邉座長】 この件につきまして、ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
一応議事はここまでなんですが、途中から神内委員が御参加されていますけれど、資料とかを御覧になって、何か御意見があればお願いします。ちょっと音声が入っていないようですが、皆さんは聞こえていますか。音声が聞こえていないみたいですね。ミュートにはなっていないようなんですけれど、音声がちょっと聞こえていないようです。すみません、またワーキンググループのほうでいろいろよろしくお願いいたします。
それでは、残り時間も少なくなりましたので、本日の議事はこれまでとさせていただきます。今後の議事につきましては、追加で御意見、御質問がありましたら、メールで事務局までお寄せください。
重ねまして、本日の積極的な御議論に感謝申し上げます。
それでは、議事の(4)について、事務局からお願いします。
【遠藤専門官】 それでは事務局でございます。議事(4)その他について、資料はございません。口頭の説明のみということで失礼いたします。
内容としましては、今後の予定でございますけれども、今年度はあと3回程度会議の開催を考えており、日程につきましては追って事務局から御連絡を差し上げますので、御承知おきいただければと存じます。
また、各ワーキンググループにおきましても、委員の皆様にはお力添えをいただきます。重ねましてよろしくお願いいたします。
事務局からは以上になります。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、第1回学校安全の推進に関する有識者会議は以上とさせていただきます。委員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ出席いただきありがとうございました。ここで終了いたします。
―― 了 ――

【神内委員】※音声の不調により会議終了後に書面にて提出
神内です。第1回会議で音声トラブルがあり、発言ができず申し訳ありませんでした。
議事のうち、「丸3 学校事故の予防に向けたデータ活用について」について、コメントできませんでしたので、こちらにコメントを付記いたします。
・現状では正規雇用・常勤教員以外の人材に対しては法定研修等がないので、ほとんど周知と理解の機会がない。
1点目は、学校事故対応指針や日本スポーツ振興センターのデータの周知と理解についてです。現状では周知や理解の対象として、法定研修が存在する正規雇用の常勤教員が中心になっていますが、それでよいのかどうかです。実際の学校の教育活動、特に事故の多い部活動では正規雇用の常勤教員だけでなく、非正規雇用の非常勤の教員や、部活動指導員・コーチ等の様々な外部指導者が関わっており、今後は働き方改革との関係で民間移行・地域移行も推進されると思われるので、教員以外の人材に対する周知と理解の機会を確保する必要があると思います。現状では規雇用の常勤教員以外の人材に対しては法定研修等がないので、ほとんど周知と理解の機会がありません。
2点目は、データ活用と危険な教育活動の禁止への方向性です。データ活用を推進すれば、必然的に危険な教育活動がエビデンスとして判明することになります。もし事故率が高い活動はそもそも学習指導要領等の学校教育で取り扱うことを禁止することになるのでしょうか。予防法務的には、事故率が高い活動は禁止するのが最も合理的な選択となり得ます。また、既存のデータ分析で、事故率が高い活動は既にある程度判明しています(跳び箱、柔道等)。しかし、仮に禁止した場合に、子供の体力や健康等への影響はどう考えるべきか、体育科教育学の専門家に諮問しなくともよいのでしょうか。あるいは、危険な教育活動も厳格な条件付で実施を認めていくべきでしょうか。
3点目は、子供の健康管理に関する保護者の責任についてです。裁判例の中には、前日又は当日朝の子供の体調不良について保護者が学校に十分に伝えておらず、そのこともあって学校の認識が十分でなかったことが一因となって重篤な事故が発生している例もあります。例えば、前日の寝不足や当日の朝食抜き等が熱中症や突然の体調不良の一因になっている例は少なくありません。保護者に対して、子供の健康管理については学校任せにせず、前日や当日朝の子供の体調をしっかり観察し、必要があれば学校に連絡することが保護者の責任として大切であることを伝えるために。保護者向けの研修の機会を確保すべきでないでしょうか。

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)