令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議(第5回)議事録

1.日時

令和4年10月21日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議事録

令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議(第5回)
令和4年10月21日(金曜日)16時00分~17時46分

【秋田座長】  それでは、定刻でございますので、ただいまから第5回「令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議」を開催いたします。本日はお忙しいところ、御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、委員の皆様全員に御出席をいただいております。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。本日の配付資料ですけれども、議事次第にございますとおり、資料1がこれまでの議論の整理(案)、資料2が今後の日程(案)、また、参考資料1から4までがこれまでの本会議での主な議論、第4回につきましては議事録になりますが、御用意しております。委員の皆様には、資料を事前にメールにてお送りしておりますので、御手元に御用意いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【秋田座長】  それでは早速、本日の議題に入りたいと思います。本日と来月の2回の会議で、各委員からの発表でお聞きした意見も含め、次期読書計画の策定に向けた本会議としての議論をまとめていきたいと思います。
 まず、資料1のこれまでの議論の整理(案)を事務局で作成しておりますので、前半、後半の2回に分けて事務局から説明をいただいた後、それぞれ協議していきたいと思います。
 なお、委員の皆様全員から広く今回は御意見をいただきたく、お一人様二、三分程度に御発言をまとめていただきたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、議論の整理の前半部分について、事務局より説明をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。資料1になりますが、これまでの議論の整理(案)ということでまとめました。
 まず作成の考え方ですが、この子供の読書活動の推進に関する有識者会議につきましては、国の次期基本計画が一層意義のあるものになるように御意見をお伺いする会議となっております。今回につきましては、これまでの会議の議論を整理したものとして事務局でこの資料1をまとめ、提示をさせていただいております。これについて今回委員の皆様から御意見等いただきまして、この会議の論点のまとめとして今後まとめていきたいと考えております。
 この議論の整理の全体の構成になりますけれども、こちらは、現行の第四次基本計画を下地にして、本会議での議論や御発表の内容を肉づけしたものになっております。大きく4つのパートに分かれております。1つ目が第四次基本計画期間における子供の読書活動に関する状況ということで、現状のデータ等を踏まえ記述しております。2つ目が基本的方針ということで、現状を踏まえ子供の読書活動の推進に関する基本的方針を記述しております。3つ目ですが、子供の読書活動の推進体制等ということで、市町村、都道府県、国の体制と取組について記述させていただいております。最後、4つ目ですけれども、子供の読書活動の推進方策ということで、家庭、地域、学校、民間団体のそれぞれでの推進方策について記述させていただきます。なお、前半部分につきましては、3つ目の子供の読書活動の推進体制等のところまで御説明させていただきたいと思っております。
 それでは、具体的な内容について御説明させていただきます。まず、1ページ目になります。第四次基本計画期間における子供の読書活動に関する状況等ですが、こちらについては第四次基本計画の期間中の各種データを踏まえまして、地域の図書館とか学校図書館の状況を簡潔に記述させていただいております。根拠となるデータにつきましても下の脚注に示しておりますので、参照いただければと思っております。
 2ページ目になります。こちらからは2つ目の基本的方針の内容になっております。最初から3つ目の丸につきましては、総論的な部分で、現行の基本計画を基にいたしまして、子供の読書活動の推進の意義を記述しております。
その後、基本的方針では、この会議でも論点となりました項目について大きく4つ記述しております。
 1つ目が、不読率の低減になります。こちら、2つ目の丸にございますけれども、第三次基本計画で作成した数値目標と現状のデータを示しておりまして、なかなか改善が図られていないという状況について触れております。次の丸のところについては、新型コロナウイルスの発生等によりまして、図書館、学校図書館へのアクセスが制限を受ける、そういった理由などによって子供の読書活動にも影響を与えているのではないかという可能性について記載をしております。
 続きまして、3ページになります。最初の丸については、この会議でも発表いただきましたけれども、一斉休校の期間を経て不読率が上昇したということや、小学校の低学年、小6、中3で不読率が高まる傾向があるということ。次の丸になりますけれども、学習意欲が低下した子供が増えたという調査報告、また、その次の丸では、体験活動の機会の減少にも触れさせていただいております。こうした状況を受けまして、3ページ目の最後の丸になりますけれども、学校図書館に関するオリエンテーションの実施など低学年や学校種を移動した際の取組の強化、体験活動等と連動した取組、あとは就学前の読み聞かせの推進といった、本会議で委員の皆様からいただいた御意見等についても踏まえ記述しております。
 続きまして、4ページになります。高校生の不読率について、小中学生と比べても高い状況が続いているという旨を記述しております。不読率の数値目標がございますけれども、現行の基本計画の目標を維持することといたしまして、乳幼児期から中学生までの読書活動の形成を促すことや、高校生が主体的に読書に興味・関心を持てるよう取組を充実させることを記述しております。
 基本的方針の2点目になりますけれども、多様な子供たちの読書機会の確保を挙げております。障害のある子供とか日本語能力に応じた支援が必要な子供など多様な子供たちに対する読書環境の整備の必要性を述べております。
 続きまして、5ページ目になります。こちらがデジタル社会に対応した読書環境の整備につきまして、個別最適な学びや協働的な学びに資するように、デジタル社会に対応した読書環境の整備について記載しております。
 基本的方針の4点目ですけれども、子供の視点に立った読書活動の推進で、子供の意見聴取の機会を確保するなどして子供たちの意見を取組に反映させるなど、子供の視点に立った読書活動の推進の重要性を記載しております。また、子供が主体となって進める取組を促進するということも記載しております。
 6ページ目は、大きい項目の3点目になります。子供の読書活動の推進体制等で、市町村、都道府県、国のそれぞれの推進体制とか役割、取組等を記載しております。こちらでは4つ目、5つ目の丸になりますけれども、都道府県、市町村の推進計画の策定率について記載しております。現行の基本計画で示している策定率の数値目標につきましては町村の策定率のみ達成している状況ですので、次期基本計画においては町村の策定率については新たに80%以上として、引き続き、読書計画の策定につきまして促進に努めるというような形で記載をしております。
 それから、6ページの一番下のところから8ページ目まで、市町村、都道府県、国のそれぞれの立場で必要な取組を記載しております。
 前半部分は以上になります。前半部分につきましては、読書活動を推進する個々の取組よりは、全体としての基本的な考え方とか、読書計画を策定する立場である国とか都道府県、市町村の体制等について記載しているものになっております。これらにつきまして御意見いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また、例えば基本的方針の方向性に合致する、まだ紹介していない取組等もございましたら、委員の皆様におかれてはそうした取組も御紹介いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 事務局からは以上となります。よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  御説明ありがとうございました。それでは、御説明いただきました第四次基本計画期間における子供の読書活動に関する状況等のところから子供の読書活動の推進体制までについて、前半の部分を議論してまいりたいと思います。前半部分は、特に基本的方針で考慮すべきとしている4つの項目は、本会議でも大事な論点かと思います。また、不読率や自治体の読書計画の策定率は、国の計画においても数値目標として定めている部分となりますので、そこについても御意見ございましたらお願いをしたいと思います。
 御意見のある方は今回もどうぞ挙手ボタンを押していただきまして、その挙手の順序で指名をさせていただきたいと思います。
 鎌田委員、お願いをいたします。
【鎌田委員】  鎌田です。一つ、基本方針案のところで疑問に思ったことがあったので、意見させていただきます。この文章のところ、丸の2つ目、「また、文学作品に加え、自然科学・社会科学関係の書籍や新聞、図鑑等の資料を読み深めることを通じて」という文章があるのですが、「文学作品に加え」という表現が適切なのかどうかと疑問に思いました。文学作品と共にとかというやり方をしないと、読書観が旧態依然としたもので時代に合わないのではないかなという気がして、例えば「加え」というような形で示すべきではないかなと思いましたので、発言させていただきました。
 以上です。
【秋田座長】  大事な点を御指摘をありがとうございます。
 それでは続きまして、稲井委員、お願いいたします。
【稲井委員】  私は、高校生の不読率の解消について、特に都道府県教育委員会、設置者、公教育の場合、高等学校は都道府県教育委員会が設置するということが非常に多いと思います。その中でこの解消でなかなかこれがまだうまく達成されてないということから、これは後半のところに関わってくることだとは思うんですけれども、新しい学習指導要領が高等学校においては4月から始まり、教育内容としては探究科目が複数設置されていますので、高校生の不読率を解消するに当たっては、教科との連携とか教育委員会の探究学習への推進の姿勢みたいなものが非常に問われると思いますので、探究学習と関連づけて、教育委員会を中心に設置者に不読率の解消の一つのチャンスと捉えて進めていくような提言も必要かなとは考えてございます。
 どうも読書といいますと、今の鎌田委員のお話にもありましたけれども、やや旧態依然として、文学作品とか、あるいは娯楽的な読書、読書生活を切り開いていくというような視点があるんですが、もう少し教科の学び、学習というところに焦点を当てて、それを切り口として推進していくようなことが高等学校の発達段階には適切だと思いますので、設置者である教育委員会あるいは地方自治体の関わりをもう少し前面に示していく必要があるというのが私が考えているところでございます。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございました。それでは続きまして、福田委員、お願いいたします。
【福田委員】  第四次の基本計画、今、実際にそれに基づいて推進されてるわけなのですけれども、全校一斉の読書活動を行う学校の割合が減少傾向にあるというのは、現実的には朝読書や何かが減少しているということだと思います。それは端末による朝ワーク学習のために、読書が逆に圧迫をされているというところがあるかと思います。端末で読書が圧迫されている。そういう側面も見ていかなければいけないのではないかと思っています。全体を通してなのですが、ICTとかDXの環境整備充実に関する記述が目立ち、それは本当に整備をしていかなければいけないところなのですけれども、逆にタブレット端末が入ったから、学校への団体貸出しのサービスはもういいのではないかという公共図書館の声も聞きました。
 そこでなのですが、この推進計画の一番最初の総論のところで、この基本計画に読書の必要性とか読書を推進する意義や理由がもっと盛り込まれるべきではないかと考えます。読書の意義を押さえましょうと発言してくださった先生もいらっしゃったのですが、私もそこのところをもっと押さえていく必要があるのではないかと思います。ですから、鎌田先生や今、稲井先生がおっしゃったように、読書を一括りにというよりは、やっぱり読み物で読み深めていくことと、それから、情報源として何か調べていくときに読んでいくというところを分けて捉えてく必要があるのではないかと感じています。
 ICTはすばらしい機能ですが、万能ではないと思います。どんどん活用していけばいい場面と、最初にお話を提案いただいた島委員が物としての紙というふうなことをおっしゃっていますが、じっくり紙の力で育てていく場面を考えていかなければいけないのではないかと思います。そして、それに発達段階を考慮しながら考えていかなければいけないと考えます。
 2024年からのデジタル教科書は、当初は全面実施ということでしたが、慎重に考慮された結果、英語科のみデジタル教科書となり、それも紙版と併用となっています。読む能力は、聞く・話す能力と違ってさらに意図的に鍛えていかないと育ちません。ですから、子供時代の読書には、工夫が必要です。その工夫は五感を使って学ぶ紙の本の経験がベースにあると思います。乳幼児期、それから、小学校は特に大切です。大人の私たちは紙で育ってきていますから、時に使い分けて利用することができますが、使い分けができるためにも紙で学ぶ時期を保障していくことが大切ではないかと思います。
 今までお話をしましたように、端末で読む内容を、文学の読書というところと、そうではなくて調べるための情報源として情報を得るためやもっと知的なところをいろいろ興味・関心を引き起しながら広げていくという読書とは区別をして考えていくべきだと思っています。
 発達段階の乳幼児期、小学校は紙で学ぶということが大切だと思っています。でも、低学年からでも、端末で、図鑑を使って調べる、新聞のデータベースで調べる、動物園の画像を見るとか、活用できていきます。授業で本を使って1年生がそれを基に話し合ったり、図鑑のあるページをみんなで確認をしたりというのは、著作権の第35条のSARTRASを使っても可能になっていますので、端末と紙を使い分けの区別を丁寧に考えていく必要があります。高校生とはもちろん違います。発達段階を充分考慮してその点を充分考えていく必要があります。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは、島委員、お願いいたします。
【島委員】  島でございます。今の福田委員と関連するような話になろうかと思いますが、5ページのローマ数字の3のデジタル社会に対応した読書環境の整備なんですけれども、3行目に「子供たちの健康等に配慮しつつ」という表現があります。私はここで、子供たちの発達段階や健康等に配慮しつつというように「発達段階」を入れたほうがよいのではないかと思います。
 この計画は0歳から18歳を対象にしていると思います。3歳、4歳、5歳、また小学生も対象になるわけですけれども、デジタルの読書環境に全ての年齢の子供を置くのは果たしてどうなのかと思います。デジタルの読書はやっぱり発達段階に合わせて徐々に触れさせていくべきだろうと思っています。今までの会議でも、電子書籍の導入にはやっぱり発達段階というキーワードを考慮したほうがいいというような意見が多かったように私は感じております。
 以上でございます。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは、堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  堀川です。最初の1ページで第四次基本計画期間と書いてありますが、今回の次期の基本計画は、最初から考えると20年たっているんですね。だから、何かその総括というか、入れることがあれば入れていただくといいかなと思います。
 それから、2ページの2つ目の項目の先ほどから議論がされているところですが、ここは意義が書いてあるので、定義というか、2004年に文化審議会の答申の中で、「ここで言う読書とは、文学作品を読むことに限らず、自然科学・社会科学関係の本や新聞・雑誌を読んだり、何かを調べるために関係する本を読んだりすることなども含めたものである」という文章があるんですが、現在の学習指導要領の中にもこの文章が散見されますので、ぜひこの文章を引用していただけたらと思います。
 すみません、もう一つ、この2ページ目の4つ目の不読率の低減のところですが、2行目に「することが重要である」とありますが、もしできたら、その後に続けて、子供たちに本の世界をナビゲートする周囲の大人の働きかけや支援が必要であるというような人的援助についても入れていただけたらと思います。それは、5ページのデジタル社会に対応した読書環境の整備のところでも同様です。物的整備だけではなく人的整備も必要ということです。
 以上です。ありがとうございました。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】  東京子ども図書館の清水と申します。この前に発言された先生方と重なるところもあるんですけれども、私もまず資料の全体を拝見しまして、電子書籍の環境整備等にやはり力点が置かれ過ぎているというような印象を受けました。ICTの活用と本来の紙の本の活用と両輪で行うことが大事なはずです。そして、紙の本というのは、現在の電子資料にはない、筋道を立てて思考を重ねて知識を得る喜びを感じさせる、そういう要素が長い歴史の中で集積されています。電子メディアの活用と併せて紙の本をより活用することがこれからの教育には一層求められるのではないかと思います。読書推進という計画の中にぜひ紙の重要性というようなことをうたうべきではないかなと考えます。
 8月末の東京新聞の記事で、広島大学大学院の難波博孝教授らの小学校での調査が記事として載っていまして、そこには文章に没入し深く読む読解力の育成には紙のほうが適している可能性があるという、そういう研究結果が紹介されていました。
 それから、電子資料や紙の本をやはり上手に子供たちへつなぐためには、専門の担当者が安定した雇用形態で配置されるということは必須です。ぜひ望ましい形は専任の配置なのだということを明記してほしいと強く思っています。
 それから、細かいことになるんですけれども、文章の中に「アクセシブルな」という表現が大変頻出しておりまして、5ページ、17ページ、25ページ辺りなんですけれども、同じような言葉の横文字の多用と頻出というのはあまりよくないかなと思いますので、ほかの表現にできないものかなというふうに感じました。
 以上でございます。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、設楽委員、お願いをいたします。
【設楽委員】  全国学校図書館協議会の設楽です。ほかの先生方も御指摘されていますが2ページ目の「自ら学ぶ楽しさや知る喜び」、これは非常に大切です。さらに読むこと自体の楽しさ、読む楽しさ、充実感、満足感というようなものも加えていただければなと考えます。特に文学作品自体は、分析的に読むということも大切ですが文章そのものを楽しむということが非常に重要だと思います。読むことが楽しければ、分析的に理論的に読むという、そういう力もついてくると思いますので、その点、皆さんと同じ意見だと思います。読む楽しさを付け加えていただければと考えます。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、有山委員、お願いいたします。
【有山委員】  お願いします。軽井沢風越学園の有山です。多様な読書機会というところでは、読書の内容はもちろん、それをどんな形で読むかとか、使う紙だったり、デバイスだったりいろいろなものを考えて、幅広い形での読書機会というのを改めて考えていきたいなということと、いろいろな委員の方がおっしゃっている、特に電子書籍等に関しては発達段階に応じた手渡した方が必要なのは本当にそのとおりだと私も思ってるんですけれども、それと同時に、子供たちが置かれてる環境、年齢において置かれてる環境もそれぞれだなというのも意識したいなと思っています。下に行けば行くほど、小さい頃から高度なデジタル社会の中にいるというので、一概に今のこの状況だから小学生も高校生もというふうには言えない。小さい頃から高度なデジタル社会にいる小学生と、ある程度遅れてやって来る高校生みたいな、結構年齢の幅の10年、15年が物すごく大きいと思うので、そういったことも踏まえて、発達段階プラス子供がどの時点でどういうことを体験してきたかということも意識しながら重ねていく必要があるのではないかなと思っています。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、野口委員、お願いをいたします。
【野口委員】  まず1点は、先ほど「アクセシブルな」という言葉が多用されているという御意見あったんですけれども、多分これは国の読書バリアフリーの基本計画等の既存の計画との関係があるような気もしますし、読書バリアフリーの文脈では「アクセシブルな書籍」という言葉はよく使われている用語でもあるので、特に違和感はありませんでした。
 次に2点目ですが、子供の読書を推進するという観点で考えたときに、大人の読書実態の与える影響はどうなんだろうとすごく気になっているところです。子供に読書を推進する大人の側の不読率も相当高いわけですよね。
 そうしたときに、前半のところで都道府県、市町村の計画策定を促していきましょうということが書かれていますけれども、最近の取組としてすごくいいなと思うのは、秋田県とか横浜市なんかは大人も含めた全年齢層を対象にした読書活動推進計画をつくっているんですね。そういう、子供だけに区切らず、大人も含めての読書活動の推進計画をつくる動きが地方自治体であるということも、行政のベストプラクティスとして、どこかで触れていただくといいのかなと思っております。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、富永委員、お願いいたします。
【富永委員】  市川市教育委員会の富永です。私からは2点お話しさせていただきます。
 まず1点目は、5ページです。子供の視点に立った読書活動の推進というところで、丸の2つ目に「子供同士の協働的な活動を重視する」という言葉があります。これは前回、私が図書委員の活動などをお話ししたことが関係するのではないかと思います。読書活動というのは、授業の中に当てはめる場合と授業以外の活動で考える場合では、意味が異なってくるのではないかと思います。授業の中での協働的な活動というと、読書活動以外も含まれるため、この協働的な活動が何を指しているのかというところはもう少し整理していただけるといいのではないかなと思いました。
例えば、「図書委員会活動や読書活動に関わる行事などにおいて、子供同士の協働的な活動を重視することで、子供が主体となって進める取組を促進することができる。」とすることで、明確になるのではないかと思います。
 2点目は、野口先生と全く同じです。先ほど堀川先生も、大人の援助をという言葉を付け足してくださいとおっしゃっていましたが、やはり子供が本を読むためには周りの環境も重要だと思います。私が小学校の担任をしていた時のエピソードで、保護者が「うちの子、本を読まないんです」とおっしゃるので、「では、お母さんのかばんの中に、今読んでいる本が入っていますか。」と聞くとみんな黙って苦笑いをしてしまうというようなことがありました。ですから、子どもの周りにいる大人が楽しんで読書をする姿を見せることも大切だと考えるので、大人の読書の視点も付け加えていただければと思います。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、白井委員、お願いいたします。
【白井委員】  私からは、ブックスタートの活動の経験からちょっと思ってることを申し上げたいと思います。やはり発達段階における読書というのはいろいろな意味合いがあると思うんですが、ブックスタートで大事にしていることは、やはり本に親しむ、それから、本は喜びをもたらすものという観点なんですね。本に親しむことで得られるものは様々でありまして、子供の読書体験がやがて学業とか就職とか仕事とか学問の研究とかいろいろなところにつながっていくんですけれども、それはやはり最初の楽しい経験がもとになっていると私は思います。何といってもブックスタートにとっては、楽しいひとときを得る、それをシェアするということを大事にして、読書はわくわくどきどき、それから、感動や優しさ、場合によっては慰めとか、そういう多様な価値観を子供にもたらす。それはなかなか数値では測れないものなんですけれども、それを一度体験すると、本を愛する人になって、その子供が成長してシェアブックスの楽しい経験を、やがて大人になったときに今度は自分の子供たちともシェアしていくと。そういうシェアブックスの世代を超えての循環みたいなものが出来ていくんじゃないかと思っております。
 もう1点は、私が印象に残ってるのは、このまとめの中にもありますが、子供の視点に立った読書活動の推進というところで子供の意見を様々聞いてますね。どんなときに本が読みたくなるか。そのときの答えが非常に印象的で、多くあったのが、暇なときに本が読みたくなるとか、それから、静かな場所、快適なところがいいとか、そこがきれいな場所であってほしいとか。それはすごく私にとっては新鮮で、やはり子供の読書を考えるときに、子供はそういうことを望んでるんだなと。そういう機会が得られれば、自ら本を読むというところにつながっていく。大人が「本を読みましょう」と言う以上に何かそういうものを感じました。ちょっと感想を述べさせていただきました。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは、桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】  ありがとうございます。こども園の桑原です。先ほど清水委員さんからお話があったように、紙の本の大切さをもっとうたうべきではないかなということに関して私も同じように思っております。先の9月に在園児137名の保護者全員を対象にした読書に関するアンケート調査を行ったんですね。その際に電子書籍に関して初めて触れてみました。「電子書籍を知っていますか」という項目に関しては、保護者はほぼほぼ全員「知っています」ということでしたが、「実際に利用したことはありますか」という質問に対しては、半数ぐらいが「ちょっとやってみたことはあります」ということだったんですが、「電子書籍と紙の本、自分がどちらを選びますか」という項目に関しては、ほぼ100%が「紙の本を選ぶ」という回答だったんですね。それも踏まえてなんですが、この計画の中で、発達段階に応じた読書活動が必要だという部分に関していえば、「特に」という言葉を使って、乳幼児期においては紙の本を手にすることが大切であるということをぜひ明記してほしいなと思いました。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは、前半部分につきましては御意見をいただきましたので、続いて、議論の整理の後半部分について、事務局より御説明をお願いいたします。
【工藤専門官】  それでは引き続きまして、後半部分、9ページの、子供の読書活動の推進方策から説明させていただきます。こちらは家庭、地域、学校、民間団体、そうした個々の取組につきまして記載をしています。この4つ目のパートが一番大きくて、この9ページから最終ページまでが、推進方策のパートになっております。
 この推進方策の構成につきましては、まず最初に共通事項を記載させていただいております。共通事項につきましては、家庭、地域、学校とそれぞれのパートの共通で重要な事項を記載させていただいております。具体的には連携・協力とか、人材育成、普及啓発といった、個別でそれぞれ行うよりは、それぞれが一緒に関わって進めていく取組を記載させていただいております。
 1番の連携・協力については、今回の会議でも多くの委員から御意見いただきましたけれども、図書館、学校図書館だけでなくて、様々な関連する機関との連携体制を強化することなどについて記載しております。
 続いて、10ページになりますけれども、人材育成のパートです。こちらは司書、司書補、司書教諭、学校司書の研修等について記載しているところですけれども、それぞれ求められているものがだんだん変化してきておりますので、そうしたニーズへの対応についても記載しているところです。
 続いて、10ページ一番下の普及啓発です。こちらは、子ども読書の日や、優れた取組の奨励について記述をさせていただいております。11ページの中ほどにある、優れた取組の奨励の2ポツ目になりますけれども、子供の読書活動の表彰につきましては幼稚園等も対象とするという御意見がございましたので、そういったところについても記述しているところでございます。
 11ページの下のほうに4がありまして、発達段階に応じた取組とか、13ページからは、子供の読書への関心を高める取組について、解説をしたり、その具体的な取組を紹介しております。こちらの4、5につきましては、現行の基本計画を基に記述したところでございますので、さらにその具体的な取組もございましたら、ぜひそこは御紹介いただければと思っております。
 続きまして、14ページの下から、2つ目の家庭の部分になっております。家庭での読書活動の重要性を記述しているほか、15ページの後半部分になりますけれども、ブックスタートや家読といった取組についても記述しているところでございます。
 続いて、15ページ下の3番の地域のパートになります。こちらは地域の図書館の子供の読書活動の推進方策について記載しております。まず最初は、図書館としての基本的な役割やサービスを記述していますけれども、16ページの下に、基本的な方針で記述いたしました、多様な子供たちへの読書機会の確保につきまして触れさせていただいております。こちらは読書バリアフリー法等を踏まえて、障害のある子供に対するサービスや、17ページの2つ目の丸につきましては、先ほど御意見として「アクセシブルな」という横文字という御意見がございましたけれども、こちらは読書バリアフリー法の表現に沿った形で書いております。そうした書籍等の整備とか、次の丸については多言語対応といった話も記述しております。
 17ページの下から、デジタル社会に対応した読書環境の整備で、ICTを積極的に活用しつつ、多様な主体な主体と連携・協働というような視点に立って、記述をしております。
 続きまして19ページの後半、中ほどからの2番の丸で図書館における取組の促進については、図書館の設置や資料整備、司書等の適切な配置について記載をしております。以上が地域の部分になります。
 20ページになりますけれども、中ほどから、4番目の学校のパートになっております。学校のパートは大きく2つに分かれておりまして、幼稚園、保育所、認定こども園等というような就学前の段階と、初等中等教育段階と分けてそれぞれ記載しております。1つ目の幼稚園、保育所、認定こども園等につきましては、3つ目の丸になりますけれども、幼稚園等の絵本の蔵書数に差があるというようなところから、保護者等と連携・協力した図書整備や、公立図書館等の団体貸出事業を活用しながら読書環境の整備に努めるということを、今回の会議でもございましたので、加えております。
 続いて21ページからは初等中等教育段階の学校等についてになります。こちらのほうに、5つ目の丸になりますけれども、探究的な学習での図書の活用などを記述しております。また、その下からは、多様な子供たちの読書機会の確保になります。22ページの4つ目の丸になりますけれども、こちらで多様な子供に対応したアクセシブルな図書の整備について記述をしております。
 また、23ページからは、デジタルのパートになってございます。デジタルの2つ目の丸については、個別最適で協働的な学びとか、図書へのアクセスを可能とするデジタル化とかDXについて記述をしております。
 続いて、24ページの2つ目の丸になりますけれども、こちらでは、公立図書館の電子書籍の貸出サービスとの連携の事例も記述しまして、次の3つ目の丸では、そうしたデジタル化の先進事例の横展開を図ると記述しております。また、次の丸では、子供の視点に立った読書活動の推進になります。児童生徒への意見聴取の機会をつくったり、主体的に関わることについて記述をしております。
 その後は、(2)で学校等における取組の促進について、第6次学校図書館図書整備等5か年計画を踏まえた計画的な整備や、25ページには、文科省で事業として行っている読書バリアフリーコンソーシアム、体制整備では、学校図書館支援センターにつきましても記述をしております。また、その下からは、司書教諭とか学校司書の配置についても記述しております。
 最後になりますけれども、26ページになります。こちらが民間団体のパートになっております。27ページに進んでいただくと、地域レベルでは約1万グループの読み聞かせ等の活動が行われているとありまして、次の丸では、絵本専門士、認定絵本士等の読書活動に関する専門的な知識を有する者や地域のボランティアの方など、そうした様々な人々が参画することで多面的な支援につながるのではないかと記述をしております。
 駆け足で御説明いたしましたけれども、後半部分の説明につきましては以上となっております。こちらについても御意見いただきますよう、よろしくお願いいたします。
【秋田座長】  ありがとうございました。それでは、今、後半御説明いただきました、子供の読書活動の推進体制等について議論してまいりたいと思います。後半部分は、子供の読書活動を推進するための家庭、地域、学校等の具体的な方策が記述されております。
 御意見のある方は、どうぞ挙手ボタンを押していただければと思います。
 鎌田委員、口火を切っていただいて、ありがとうございます。お願いいたします。
【鎌田委員】  ありがとうございます。4点ございます。
 まず1点目は、多様な子供たちの読書機会の保障についてという点ですが、家庭での支援はとても大切だと思いますが、相対的貧困状態にある子供が今大変増えているという状況がございます。そうなってきますと、公助がとても重要になってきますので、それを考えますと、学校の役割が一層重要になってきているということを強調しておくことが必要なのではないかというのが1点目でございます。
 2点目で、デジタル社会への対応についてということなのですが、学校はGIGAスクールの推進によってデジタルトランスフォーメーションの入り口に立っているのですが、なかなか学校図書館とか読書環境を整備するという視点でのデジタルトランスフォーメーションができていないのですね。例えば学校図書館にはWi-Fiの電波が届かないとか、子供たちがタブレットを持って図書館に調べ学習に来ても、出力するためのプリンターが用意されていないとか、また、インターネットの一般サイトを検索して調べる学習をしている子供たちがいるなどという話を聞いています。もちろん一般サイトを使うことが悪いことではないのですが、確実な資料を使っていくということからすると、電子書籍とかデータベースなどの導入も検討しなければならないのですが、国は機材に対しての補助金は出してくださったのですが、サービスや資料に関することについてはまだあまり手が伸びていないのではないかなと思います。その点について啓発していく必要があるのではないかと思います。
 3点目が、これが一番言いたいことなのですが、学校教育の役割について取り上げていただきました。読書活動に関わる専門性を持った司書教諭や学校司書のことは取り上げていただいているのですが、一般の教諭等の働きの重要性をもう少し強調する必要があるのではないかと思います。子供たちに日常的に最もよく接するのは一般の教諭職の人たちです。その方々が読書活動の重要性について強く認識し、日常的に働きかけられていくように、例えば養成段階での教育の必修化、それから、研修段階での働きかけの強化が必要であると考えます。
 GIGAスクールの展開に伴いまして、教育職員免許法の施行規則が改正されました。それによって教職課程のコアカリキュラムが改正されて、コンピューターとか情報教育に関しては必修科目として教員になる者はみんな学んでいるのです。ところが、読書とか学校図書館のことについて必修化はされていませんので、例えば意識のある先生が少し学んでいるといった程度でございます。このデジタル社会の中では、基本的な読む力がなければ、ICTの機器とか環境を活用できないのですね。ですので、教員の養成・研修段階でのアプローチが非常に重要だと思います。
 また、こんなことを言うと申し訳ないのですが、養成課程の後、研修の機会の確保を考えたときに、自治体間格差が大きいです。教育委員会の認識も千差万別で、指導主事の方々の経験や資質・能力も差が大きいように思います。学校図書館とか読書のことについてよく御存じの教育委員会の職員の方もいらっしゃいますけれども、そうでない方にもたくさんお目にかかってきています。ですので、この自治体間格差を埋めるために、例えばこのレポートの中では、国がオンラインで研修を行うというようなことも書かれていましたけれども、そのようなこともとても大切だなと思いました。
 あと最後に、これは私が不勉強なので質問なのですが、この手のレポートを読んでいくと必ず地方交付税交付金によって幾ら措置したと出ているのですけれども、実際問題としてそれを自治体がどう使うかは自治体裁量ですよね。どれぐらい使われたのかというレポートも必要だと思うのです。国としてはこういう姿勢でやってきているのだけれども、実際それが末端まで行くとどう届いているのかということをぜひ知りたいなと思っています。もちろん地道に各自治体の決算を拾っていけば出ると思うのですけれども、なかなか私はそこが専門ではないのでよく勉強できていないものですから、もしお分かりになるようでしたら教えていただきたい。
 以上4点申し上げました。ありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございます。今、4点ございましたが、1点は事務局の方で、御質問に回答されますか。
【工藤専門官】  今調べますので、今、手元にはないので、もし時間内でできれば回答したいと思います。
【鎌田委員】  面倒なことなので、即答でなくても結構でございます。また次回もございますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、富永委員、お願いいたします。
【富永委員】  市川市教育委員会、富永です。今の鎌田先生の御発言と大分かぶってしまうので、もうちょっと具体的にお話しします。
 まず1点目は、10ページの人材育成のところで、やはり教員の意識というのはとても大事だと思っております。市川市におきましては、つい先日、私が4年目の教員に対して、学校図書館を授業で活用するための研修会の中で、「全員司書教諭だと思ってください」と参加者に伝えました。鎌田先生が教育委員会の状況をお話しされましたが、やはり大学の教員養成の段階で必修化されていないということは、大学の先生が図書館をどのように大事に思っているかというところによると思います。教員養成の課程であれば、どの授業でも多分図書館に関する授業を扱えると思います。私も今、大学で1つ授業を持っています。どっちがどっちではないのですが、教育委員会の職員もそうですし、大学の教育に携わる教職員の皆さんも、どちらも学校図書館の活用を意識していくということが大事なのではないかなと思いました。
 2点目です。こちらは20ページの異年齢の交流のところですが、小中学生が幼稚園、保育園、認定こども園等の乳幼児に読み聞かせを行うとありますが、こちらの報告書の中は高校生も出てきているので高校生も入れていただけるとよいと思います。先日の、大学生へのインタビューでも、高校のときの図書館への職場体験がすごく印象があるということも言っていましたので、高校生もここに入れていただけるとありがたいです。
 3点目は、もう痛切に思うことで、図書館にぜひWi-Fiをというのを本当にマストにしてほしいなと個人的には思っています。
 最後の交付金がどう使われたかというのは、ちょっと前の光をそそぐ交付金で市川市は全額図書に使っているんですけれども、その辺はなかなか自治体としても答えにくいところがあるのかなと思いました。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  14ページから15ページの家庭というところに関してなんですけれども、今、私ども図書館にも多くの子供と保護者が来館いたしまして、絵本の読み聞かせなどを楽しんでいらっしゃっています。特に今、父親とか祖父母とか、子供に読み聞かせをする大人が多様化しているというようなことがございまして、そういう意味で読み聞かせの浸透を実感しているところでございます。
 ただ、ちょっと気がかりなこともございまして、そういった保護者とお話をすると、読み聞かせを義務のように考えて、それがちょっと重荷のようになってしまっているんだというケースが結構見られるんですね。周囲が読書読書ということになってるので、自分もしっかりやらなければという、そういう空気に押し潰されそうになっていると思われるような、そんなようなケースも見られます。
 そんな中、ここで記述されているように、地域で連携して支援していくことの大切さとともに、家庭での読書は、子供と共に本を楽しむことが大切なんだよ、それほど無理はしなくてもいいのだという、そんなようなニュアンスをちょっと入れていただけるとよいのかなと思いました。
 あと、16ページのところで日本語を母語としない子供・保護者に対するサービスということなんですが、外国語だけではなくて、今、やさしい日本語による利用案内、こちらを最近行っている図書館も増えてきておりますので、やさしい日本語の利用案内なども含めるとよいのかなと思いました。
 あと、20ページの司書及び司書補の適切な配置でございますが、児童サービスに当たる司書ですが、常に利用者サービスとか学校支援、図書館支援の現場で子供と本をつなぐための手法とか考え方、また、子供の本の知識など非常に深い専門性が求められていると思います。子供の本や読書に精通した司書、専門性のある司書、こういった司書が今、実際、公立図書館では異動とか民営化などによってなかなか配置が難しくなっているという現状がございます。公立図書館での児童サービスについては、やはり専門性のある司書の配置、この重要性というのはぜひ入れていただければなと思います。
 以上でございます。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、稲井委員、お願いいたします。
【稲井委員】  既に何人かの先生方とちょっと重複する点がございますけれども、申し上げたいと思います。大きく分けると3点か4点になるかと思います。
 まず1点目、これは鎌田委員もおっしゃっておりましたけれども、人材育成ということで10ページに教育委員会の研修というような、研修の充実が挙げられていますけれども、先ほどの御指摘にもあったように、指導主事、あるいは指導主事と社会教育主事の連携が十分ではないので、これから読書ということを考えたときに、組織内の縦割りではなくて、やはり指導主事や社会教育主事も連携しながら、かつ指導主事の読書活動や読書指導の専門性を高めていくということも、研修を行う主体が公教育の場合、教育委員会ですので、その専門性を高めていただくということを求めていく、示唆していく必要がまずあると思います。
 確かに私も地方のそういう研修に出向きますと、「私、たまたま担当になったのですが、よく学校図書館とか読書のことが分かりません」というふうにおっしゃる方も少なからずいて、ちょっと驚いてしまうのですけれども、そういう地方間格差というのは確かにございますので、その辺を形式的に「研修やっています」ということではなくて、もう少し語弊がございますが、真剣に取り組んでいただきたいというところがございます。
 あと、やはり家庭の役割ですね。14ページにございますけれども、これも御指摘ありましたけれども、ブックスタートもそうですが、子育ての中での読み聞かせあるいはブックスタートも、やはり、子育ては今、親が孤立しやすいような社会環境にあると思いますので、社会全体で子育てを支援していく、そういうものがベースにないと、読み聞かせをプレッシャーに感じてしまったり、あるいは脅迫的に捉えてしまったりという部分がありますので、コミュニティーの中でみんなで子供を見守り、育ちを支えていくこと。その中に読書も位置づけていく必要があると思います。
 最後ですが、先ほど鎌田委員からも、ほかの先生方からも、教職課程のコアカリキュラムということが出ておりましたが、例えば教職課程の教育方法論という授業がございますが、これはICT活用についてかなりの時間を割かなければいけないというふうになっているのですが、読書ということがほぼ入っていなくて、ちょっと偏った内容になっています。そうすると、どこで読書活動とか読書指導を取り上げるかというと、なかなかそういうものが、司書教諭とか司書科目を取らないと見当たらないというところがありますので、もう少し広い視点を持って、例えば教育方法論とか教育課程論なんかの授業などで読書について取り上げていくというような、そういう教職課程のコアカリキュラムの在り方へも少し影響、波及が必要である思います。
 あと、これは余談になりますけれども、高校生は今、非常にいろいろな学校が、探究学習の一環で、さらにキャリア教育の一環としても、公共図書館とか大学図書館でのインターンシップが見られるようになってまいりました。本学の附属図書館もこのところ御依頼が大変増えていて、日常業務の中でお引き受けしていますけれども、こういう取組もまた、高校生の実社会、実生活につながるという意味で、青少年の読書、あるいは本への関心を高める機会になりますので、直接的ではありませんが、間接的な取組であっても、こういうようなキャリア教育という視点で読書を捉えて、高校生に興味・関心を持たせていく教育の在り方も、また一つ地道な取組ではないかと考えているところでございます。
 長くなりましたが、以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、島委員、お願いいたします。
【島委員】  島でございます。3点にまとめて、気になるところだけお話しさせていただきたいと思います。
 1点目は、15ページの地域、1、図書館の役割と取組というところで、図書館の基本的な業務として「貸出等」というふうに表現をされていますが、それよりは「資料や情報の提供等」というほうがよろしいかと思っています。どうしても貸出等ということになりますと、何か仕事が限定されているような感じがします。資料や情報の提供等がよろしいと思っております。
 次の乳幼児と保護者に対するサービスですけれども、今、図書館では乳幼児向けお話し会を行っているところが多くなっています。とても多くの保護者の方が乳幼児を連れて来るわけですけれども、乳幼児向けお話し会などの事業を入れていただければと思っております。また、いろいろなところで議論がありましたけれども、幼稚園、保育園等との連携ということも大事な内容と思います。一方、託児サービスという表現がありますが、これは図書館の本来的なサービスではないと思いますので、いかがなものかと思っています。
 最後の3点目は、18ページの上から6つ目の丸のところです。「政府全体として、公共施設等の整備・運営について」というところです。今回の「これまでの議論の整理」を通して読んでみますと、この「政府全体として」というところの4行の文章にちょっと違和感があります。この会議は子供の読書の推進のための会議であり、この4行は、検討趣旨の子供の読書の推進とはちょっと違うのではないかと思います。そもそもこの有識者会議で図書館の管理運営についての話合いはしていないと思います。このところ指定管理者制度を導入しているところがあるわけですけれども、全てがうまくいっているわけではなくて、うまくいってない事例も出てきています。有識者会議の報告にはそれこそなじまないこの4行だと思っております。先ほども中野委員さんからそれに関するような発言もあったろうと思います。
 以上でございます。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、福田委員、お願いをいたします。
【福田委員】  私も子供たちと接する教員がより進めてくれるということが一番の大きな力になっていくと思っていますので、ぜひ人材育成のところで研修のことをきちっと押さえていただきたいと思っています。司書教諭や学校司書だけではなくて、学校図書館長としての研修や教員向けの研修も入れていただく。それから、司書教諭だけではなくて、情報担当者と、ICTやDXが活発になってきた中で両方がどう連携していくかというところで、両者の連携研修会にも触れていただけるといいかなと思います。
 先ほど稲井先生や鎌田先生もおっしゃっていましたが、ぜひ人材育成のところで、大学でも司書教諭課程には入らなかったとしても、私も東京学芸大で一般の教員を目指す学生の学校図書館入門講座を長く担当していましたが、そういう形でも講座を開設できると思いますので、ぜひそのような働きかけもしていただけたらうれしいところです。
 公共図書館では、最近は親だけではなくて、孫育てに関わる大人の方たち、おじいちゃん、おばあちゃんも増えてきて、孫育て等の研修会も開かれて、本や絵本の読み聞かせの重要さも伝えられていますので、ぜひその辺りも公共図書館の活動の場の広がりとして取り入れていただくと良いと思います。
 それから、21ページですけれども、初等中等教育段階の学校等というところで、「子供が生涯にわたって読書に親しみ、読書を楽しむ習慣を形成していく」とあります。ここのところにぜひ、読書に親しみに続いて、読む力の基礎を培っていくという文言を入れていただきたい。それがないと、趣味的にやっていけばいいんだよというふうに感じ取られている先生方も多いので、ぜひ読む力の基礎があってこそ、いろいろな活動ができていく、情報社会も生き抜いて、生きる力や何かも培っていけるというところを明確にしていくために、ここのところに付け加えていただきたいと思っています。
 あと、12ページなのですが、小学生の時期というところで、高学年では本の選択ができ始め、よさを味わうとともに、読書の好みの本の傾向が現れるとともに読書の幅が広がり始める一方、幅が広がらなくなったという記述があります。ここで幅だけではなくて、読む深さといいますか、質といいますか、読む力があれば、次の段階に行って、本当に本そのものを楽しめていくのですが、読む力がないと、もう次の段階にジャンプしていけないので、ぜひその辺りを加えた内容にしていただきたいと思います。読む力がなく読めないので不読につながっていくということです。
 それから、13ページなのですが、子供の読書への関心を高める取組はこれだけではないので、学校の先生方や学校司書の方々にいろいろな工夫をしていただいています。これは子供の読書への関心を高める取組の一例というふうに言葉を入れていただけるといいのではないかと思います。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】  私からは大きく3つに関してです。まず一つは、先ほども中野委員、島委員も触れられていた15ページ、16ページの辺りなんですけれども、地域の図書館の役割・取組のところです。そこでサービス等の説明で、丸1番が乳幼児と保護者に対するサービスとあって、丸5番の図書館への来館が困難な子供・保護者に対するサービスまで5つ挙がっているんですけれども、1番から5番のところを見ると、1番と4番と5番の、それぞれ乳幼児、日本語を母語としない子供、図書館への来館が困難な子供の部分は後ろに「保護者」がついているんです。ところが、2番の児童・青少年と3番の障害児のところは「保護者」がついていないんですね。2番、3番もぜひ「保護者」をつけていただきたいなというところがあります。
 それから、同じところの丸5番の図書館への来館が困難な子供へのサービスのところで宅配サービスが盛り込まれているんですけれども、これは確かに重要なんです。それに加えて、伝統的に、近くに図書館がなくて行きたくても行けない状態を解消するための取組として、移動図書館サービスが行われてきております。ぜひ「移動図書館」という視点も丸5番のところに書き加えていただけるといいなと思いました。
 それから2点目です。先ほど鎌田委員も触れておられたところとも重なるのですが、電子書籍サービスだけではなくて、データベースサービスなどの環境整備にも関連するんですけれども、最近、公立図書館でもデジタルアーカイブの取組も広がっております。学校向けの副読本をデジタル化して公開をして1人1台端末で活用していたりとか、地元に伝わる昔話、それを地元の方に語っていただいた音源などをデジタルアーカイブで公開をしている取組などもあります。デジタルな側面の部分では、デジタルアーカイブについても可能であれば入れ込んでいただけたらと思います。
 同じくデジタル関連で、9ページとか24ページでは公立図書館が導入する「電子書籍貸出サービス」という表現があるんですけれども、貸出型だけではなくて閲覧型のサービスもありますので、「電子書籍サービス」としていただくほうがより正確ではないかなと思います。
 最後に3点目です。これは25ページ、26ページ辺りで司書教諭、学校司書の配置に関わってなんですけれども、配置率が小中高等学校については触れてあるんですが、ぜひ特別支援学校の状況についても触れていただきたいと思います。特に学校司書に関しては、特別支援学校は小中高校よりも配置率が一段と低い状況があります。やはり司書教諭、学校司書の配置は、特別支援学校の学校図書館の環境整備、そして、運営、さらには利活用を進める上の要になりますので、ぜひ司書教諭、学校司書の配置を特別支援学校でも促進していくという意味合いも込めまして、ぜひ配置率の部分についても触れていただければと思います。
 私からは以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは、有山委員、お願いをいたします。
【有山委員】  風越学園の有山です。ほかの先生方とも重複してしまうことも多いので、できるだけ簡潔にお話ししたいと思います。
 やはり私も人材育成のところからまずお話ししたいなと思っていて、福田委員もおっしゃっていた情報科の教員との連携というのはこのデジタル社会においてはすごく大事だなと思っています。一般の先生方はもちろん探究活動に使っていただいたりとか、日頃の授業でも読書を活用していただくということはもちろんですけれども、前任校では情報科の教員が図書館の中に常駐して一緒にいるという形を取っていまして、子供たちが何か、例えばインターネットの使い方とか、データベースどんなふうにしたらいいかなというときもすぐに対応してくれたり、機器がうまく使えないときにも対応してくれたりしていたので、もちろん一般の教員それぞれにもいろいろ使ってほしいのですが、改めてこのデジタル社会においては、情報科の教員とか技術科の教員との連携が必要だなということを思っているところです。
 また2つ目は、インターネットを図書館にもっと環境整備してほしいというようなお声もありましたが、やはり紙の本を借りるときだけ図書館に行くみたいなことにならないように、例えばこの1人1台時代に、子供たちがパソコンを持って図書館に行って、パソコンでも本を読んだり調べたりするし、その隣で紙の本を読んでいる子がいるみたいな、とにかく読書をしたい、情報を何か得たいというときには情報センターとしての学校図書館に行くんだよというような仕組みが出てくると、とてもいいのではないかなと感じています。今、現場にいて、図書館とICTとか情報というのが分断されているような気がしてしまっているので、電子書籍を読むときも、隣で紙の本を読んでいる子と感想を言い合うみたいな環境が生まれたらいいかなと思っています。
 それから、野口委員がおっしゃっていたデジタルアーカイブもすごく大事だなと思っていて、デジタルアーカイブだったり、読める電子書籍であったり、あるいはデータベースであったりを選書するような形で、子供たちがすぐそこにアクセスできるようなものを用意しておく。そういうことも図書館が担っていくと、ますますデジタル社会に対応した読書環境の整備につながるのではないかなと思っています。
 最後に、これも福田委員もおっしゃっていたところなんですけれども、子供の読書への関心を高める取組が13ページ、14ページにいろいろ紹介されていますけれども、子供の視点に立ったという視点からも、今、新しいいろいろな取組も出てきますし、それこそデジタルを使ったような、子供たちがちょっと興味・関心を持って入り込めるような新しい読書活動も盛り込んでいけたらいいかなということを感じながら拝見していました。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】  東京子ども図書館の清水と申します。私は12ページの3番目の中学生の時期というところなんですけれども、「多読の傾向は減少し」というふうにあるんですが、多読をする子と読まない子の個人差が広がってくるということも言えるのではないかと思いまして、そういう意味ではこのように断定していいのかなというような疑問を感じました。
 それから、研修はもちろん必要なんですけれども、やはり適正な人的配置があってこその研修ということが一番大事だと思っています。しつこいようなんですけれども、20ページの公立図書館の職員配置のところなども、ただ「積極的な配置を促すことが望まれる」というようなことだけではなくて、安定的な雇用条件の下にというようなことを入れていただきたい。同様に25ページの学校の司書教諭の配置のところでも、「その配置の促進を図ることが重要である」というだけではなくて、兼務でなくて専属の安定的な配置を図ることが大事というような強調した文言を入れていただきたいと思っています。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】  よろしくお願いします。私は、20ページの学校というところなんですけれども、1番の幼稚園、保育所、認定こども園という欄の3番目の丸印で、「幼稚園、保育所、認定こども園等の絵本の蔵書数に格差がある」と書かれておりまして、その2行下には「全ての子供がより多くの本にアクセスできる」という文言があります。それに関連しまして、24ページの学校図書館整備費という制度についての明記についてなんですが、こちらは計画的な図書の更新を図る目的で5か年計画で2,400億円が計上されていると書かれております。
 こういった整備費についての提案というか、私がちょっと考えていること、他にも、いろいろな御意見をいただいてる方もいて、その方もすごく懸念されていることなんですけれども、この予算は地方交付税措置という性質もあり、その特性上、学校図書館の予算に回さない自治体もあることも事実だということも聞いています。こういった予算化された整備費が、なぜ幼児施設、こども園であったり、保育所であったり、幼稚園であったりに対して対策が取られていないのかなというのを単純に思ったところもあります。
 いろいろな園に聞いてみたりもしましたが、自前の予算で、自分のところの予算の中で捻出しているという園もあったり、あるいはふるさと納税を利用していますという施設もあったりということもあって、予算のない中でどうやって本を整備していこうかという悩みが本当に多いんだなというのも実感としてありました。私どもの自治体は当初予算で最初から組み込んでいただいているので、図書に関しての購入は毎年できている、増冊できている状況ですが、そうではない施設に関しては、それがやっぱり20ページにもある、絵本の蔵書数の格差につながるのだろうなというふうに思います。
 これは提案として、幼児施設の図書環境整備費というような制度があれば、もっと子供たちの読書活動においても学校同様の幅が広がっていくんじゃないかなと感じます。この5か年計画の中では、新聞の配置であったり司書の配置であったりということにも触れられていますので、こういった内容全てが幼児施設に当てはまるかというと違うかもしれませんけれども、幼児施設というかそういった施設にもこういった制度があったらいいなと思いました。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。それでは続きまして、設楽委員、お願いをいたします。
【設楽委員】  全国学校図書館協議会の設楽です。簡潔にお話ししたいと思います。
 21ページに学校図書館について記述されていますが、上から2つ目の〇には、「学校図書館は、…児童生徒等及び教職員が利用する」とあります。その次の〇のところに、「読書センター」、「学習センター」、「情報センター」という記述があります。この中に、教職員が利用するという視点から「教材センター」という、文言を入れていただければと考えております。
 それから、21ページの一番下の〇に、学校図書館は「一時的に学級になじめない子供の居場所」と明記されています。やはり学校図書館は子供たちの心の居場所であるという機能もありますので、「読書センター」、「学習センター」、「情報センター」に加えて、「教材センター」と子供たちの「心の居場所」を加えてください。「心の居場所」は全ての子供たちという意味です。これを入れていただけるとありがたいと思います。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは、白井委員、お願いをいたします。
【白井委員】  ブックスタートの白井です。私からは1点に集中して述べたいと思います。このまとめの中の一番最後のところ、26ページに民間団体ということで、民間団体の活動もいろいろここに記述されているんですが、ブックスタートを推進している我々NPOも実は民間NPOなんですね。ブックスタートは家庭とも非常に深い関係がありまして、先ほど稲井委員もおっしゃられたように、子育ての中におけるブックスタートの位置づけも確かにあります。
 それから、このまとめの中で15ページに、家庭の最後のところかな、乳幼児の読み聞かせの体験とともに乳幼児と保護者に絵本を手渡し家族のコミュニケーションを促す活動である「ブックスタート」というような形で紹介はされているんですけれども、家族のコミュニケーションを促すことにも通じるんですけれども、これは家族だけではなくて、語り手は老若男女いろいろあるんですね。絵本さえあれば、どんどん楽しいひとときが広がっていく。それがまた語り手にも、それから、聞き手である赤ちゃん、子供にとっても、双方にとっても喜びであるという。それがいい、楽しい経験になって、老若男女みんなが参加できる、地域の人たちみんなが支えられる事業になってます。
 ブックスタート自体も、実は民間の出版社、取次会社、販売会社、書店、いろいろな応援を受けてこれが事業として成り立っていて、これは非営利の事業としてここまで来ているんですけれども、そういう意味では民間団体といっても、私は出版業界のことが頭にあるんですけれども、その応援を得ながら、それからあとは、地域の方々も実に様々な人たちがこのブックスタートを支えています。
 そういう支える人たちのゴールはもう本当にシンプルで、楽しいひとときを過ごすということになるんですけれども、私、1点、これまでの発表の中ですごく印象的だったのは、第3回の会議で、浦和第一女子高校の木下さんの報告の中に、埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2021というのがありましたけれども、その中に多数の書店さんも参加していたんですね。やはり、あともう一つ、新入生の読書調査の中で、読んだ本をどこで探したかというと、書店さんという声が非常に、48%ぐらいあった。
 これも非常に印象的なんですけれども、もちろんブックスタートにとっても町の本屋さんというのはすごく大事で、今、本屋さんは非常に難しい環境にあるんですけれども、それでもやはり、地域の中で非常に頼りにもなるし、また大きな存在でもあると思うんですね。そういう意味でいえば、このまとめの最後のところにある、地域の民間団体のいろいろな活動、これは実はブックスタートにおいても、あるいはいろいろなほかの活動もいろいろ恩恵を受けているということをちょっと強調しておきたいと思います。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、堀川委員、お願いをいたします。
【堀川委員】  ありがとうございます。堀川です。もう皆さんがいろいろなことをおっしゃってくださったので付け加えるのもどうかと思いましたが、有山委員さんが先ほど、新しい読書活動の取組もたくさんあるんだというようにおっしゃってくださっていて、ぜひそれを入れていただけたらなと思います。今のところ、前の第四次のものがそのまま載っていますので、新しさも入れていただけたらと思います。
 それから、25ページに司書教諭の配置のところがありますが、そこに、司書教諭を複数配置することもできるという、そうした工夫も少し書き加えていただけるとありがたいなと思います。先ほど野口委員さんが、県民や市民のための読書活動推進計画があるとおっしゃってくださいましたけれども、そのほかにも読書条例とか読書のまち宣言とか、地域によっていろいろありますので、そうした工夫も、ちょっとこんなのもありますよというのをどういう形でか入れていただけると、読んだ人は分かりやすいんじゃないかなと思います。
 それからもう一つ、学校図書館支援センターが出ていましたけれども、子ども読書支援センターというのも県立図書館などでつくっているところもありますので、それも文字として入れていただけたらなと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございます。
 ほかに、もし2回発言したけれどもまだ言い忘れたとか、何かございましたら御意見をいただけたらと思いますが、いかがでございますか。
 福田委員、お願いします。
【福田委員】  ブックスタートがかなり白井さんたちのおかげで広がってきています。そのほかに、この前も話しましたように、セカンドとかサードブック事業を取り入れている自治体があるように、乳幼児期が非常に大事であると思います。前回の群馬大の濵田先生の御発表でも、やはり乳幼児期にちゃんと読み聞かせをされてるかどうかで全然小学校に入ってから違うというデータも出されていましたが、ぜひその辺も取り組むことができるというか、セカンドやサードブック事業を取り組むことができるというところの記述がどこかに入ればいいなと思っています。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。
【福田委員】  それから、すみません、私も三郷市読書活動アドバイザーで出ていますが、三郷市では、市民全体の読書推進計画をつくっています。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  堀川ですが、いいですか。すみません。時間があるようなのでちょっと厚かましく。元に戻ってすみません。8ページの最後のところに、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の改訂について書かれています。その次の項目としてぜひ挙げていただきたいんですけれども、学校図書館の機能強化のために、学校図書館指導資料、つまり、「学校図書館の手引」なんですが、これをぜひ作成することが望まれるような、そういう文章を入れていただけるとありがたいと思います。この「学校図書館の手引」は、昭和62(1987)年に出版されて以来、それ以降刊行されていません。ただ、学校図書館法が2度、1997年と2014年に改訂されているにもかかわらず、その後刊行がないということで、学校図書館の機能や司書教諭の役割についての認識が浸透していないという課題もあります。ぜひ御検討いただきたく思います。ありがとうございました。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは、鎌田委員、お願いをいたします。
【鎌田委員】  ありがとうございます。今、堀川先生の「学校図書館の手引」のお話が出たので、ここでぜひお願いしたいなと思ったので挙手させていただきました。これまで情報教育といえば学校図書館の役割だということで語られてきたと思うのですが、近年、ICT化が進むところですと、情報教育というとコンピューターの話に限定されつつあるのですね。例えばコンピューターのほうの情報教育の人たちは、そちらでどういう指導するかということを体系的にまとめ、今、堀川先生のお話にありましたが、文科省からの学校図書館の手引きはここのところすっかり御無沙汰になっていたのですが、近年学校図書館による情報教育とコンピューターによる情報教育を統合しながら学校現場に示していこうという動きが出ているかと思います。
 早いところですと横浜市教育委員会のものとか、それから最近ですと、鳥取県の教育委員会が、情報教育の指導体系表と系統表、作成するときに両方の担当がすり合わせを行いながらやっていくということがあるのですね。今回のこの会議でも情報教育、ICTと学校図書館はこれからある意味共同歩調を取りながらやっていく面も大きいのだということのお話が出てきておりますので、今の堀川先生のところの御発言にもし重ねられるとすれば、先ほども福田先生から御発言ありましたけれども、いわゆるICT系の情報教育の人たちとも一緒に考えていくということが必要なのではないかということも提言する必要があるのではないかと思いまして発言させていただきました。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、稲井委員、お願いいたします。
【稲井委員】  私からは、生涯学習を見通したときに、学校を出た人たちが地域で生活していくときに、今まで学校とかあるいは公共図書館ということは結構話は出てきたのですけれども、町の書店が今どんどん潰れていってしまう、そういうことがよく話題になっています。地域の書店が潰れてしまったために地域から本屋さんが全くなくなってしまったという状況も見られます。これからは、読書人とか本を読む人、本に親しむ人という視点に立ったときに、学校はもちろんですけれども、図書館、そして、書店というものが地域の中にうまく溶け込んで共存していくということも必要だとは思っております。
 例えば、YA出版会のような、出版社がヤングアダルトにについて推奨していくというような団体もありますし、図書館、あるいは学校以外の、社会のいろいろな、先ほどお話もありましたけれども、様々な書店や団体がいろいろな取組をしていますので、広く人生、生涯を見通したときに、書店あるいはそういった出版社、いろいろなものが同じ目線を持って子供たちの読書を支えていく、生涯学習につなげていく、将来につなげていくというような視点がもう少し必要であると思います。
 先日、佐野眞一さんという、『だれが「本」を殺すのか』という衝撃的なノンフィクションを書いた方がお亡くなりになりましたけれども、本をそのように無くしてはいけないわけで、そういう意味での視点というのは、書店や地域含めて読書環境というようなところに出版社や書店も必要だと思っております。
 以上です。
【秋田座長】  どうもありがとうございます。それでは続きまして、富永委員、お願いいたします。
【富永委員】  私も堀川委員と鎌田委員の御意見に賛成で、やはり子供たちが読書活動をするときに、学校図書館の活用と、情報活用教育、これらは車の両輪であるといつも研修会のときに言わせていただいているので、ぜひその方向で作っていただければと思います。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは続きまして、有山委員、お願いをいたします。
【有山委員】  私も最後にそれが言いたくてというところで発言させてください。ずっと学校図書館が情報教育という文脈から取り残されてるなということをすごく感じていて、どんどんICT教育に行ってしまう中で、ずっとそこは連携していきたいということを言い続けてきて、そういう動きが実際もうあるんだとすごくうれしく聞いていました。学校図書館は本当にデジタルからアナログまでいろいろな情報を扱って提供する場所であるとともに、紙が大事ということも言えるのも学校図書館だと思うので、そこのことも大事にしながら、ぜひ情報科の教員とかあらゆる教員と連携しながらつくっていけたらいいなと思います。すみません、最後にどうしてもそれが言いたくて。ありがとうございました。
【秋田座長】  どうもありがとうございました。いろいろな観点からお話をいただくことができたと思います。時間軸としても、0歳から小中高校生までのことを議論していますが、しかしながら、今日皆様がお話しくださったように、それが生涯学習や生涯のウェルビーイングにつながっていくための読書であるという点を示すことが大事かと思います。
 そのためには、白井委員がshare books with joyという、喜びとか楽しさというものがどの世代においても読書の中心にある。それはいろいろな形の読書はあり得るわけですけれども、その根幹になり、教員やほかの方たちも含めいろいろな大人も本の喜びを共に味わっていくというような展望の時間軸が大事であろうと思います。またそれから、地域のまちづくりの中心、子供がこれから減っていく中でその中心に、学校も地域も図書館がコミュニティーづくりの中核になっていくというところの少し大きな視点と、具体的にそのためにはどのような政策や手立てとして何がこれから必要になっていくのかが書き込めたらと思います。恐らく先ほどお話がありましたように、デジタルトランスフォーメーションは、ICT機器が入ることだけではなく、組織の関係を変えていく、組織としてのコーポレーションを変えていくとトランスフォーメーションが同時に起こると言われています。いろいろな教科や専門性を持った教員が新たにつながり合ったり、地域の人が参画し変えていくところについてもうまく書き込めて、新たな第五次の計画に進めていけたらと思っております。
 また、細かなことでは、項目の順序等ももう一度改めて見てみますと、よりよい流れに順序を組み替えることもあり得るのかなと今日皆様のお話も伺いながら感じていたところでございます。
 そろそろ本日の会議の終了時間が近づいてまいりましたので、最後に事務局から、今後の日程について御説明をお願いいたします。
【工藤専門官】  事務局でございます。本日は活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。もし御意見等でまだ言い足りない部分とかがございましたら、一応事務局のほうまでメールでいただければと思っております。可能でございましたら、来週の水曜日、10月26日までにいただきますと、こちらで可能な限りにここを反映させていきたいというふうに思っております。
 次回の会議につきましては、第6回の最終の会議になります。日にちが11月29日で、時間は16時からを予定しております。事務局のほうから本日の議論を踏まえて論点まとめ案を提示させていただいて、取りまとめに向けて最終の議論としていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【秋田座長】  ありがとうございます。それでは、本日は若干予定より早く終了となりますけれども、これで閉会とさせていただきます。皆様、お忙しいところ御出席をいただき、熱心に御発言を賜りましたことを御礼申し上げます。
 以上で終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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